二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- バトル・ロワイアル
- 日時: 2009/12/07 16:26
- 名前: 黒猫 ◆2P6zxky1H. (ID: kG84zh4.)
新世紀の始め、ひとつの国が壊れた。
完全失業率15%突破、失業者一千万人、不登校生徒八十万人。
相次ぐ少年犯罪。
自信を無くした大人は子供を恐れ
やがてひとつの法案が可決された。
新世紀教育改革法【通称BR法】
卒業旅行の途中バスで拉致された生徒達。
目覚めるとそこは古ぼけた学校の教室だった。
周りには武器を持った兵士が囲んでいた。
教卓には見覚えのある教師。
その口から出る言葉は想像を絶する絶望だった。
「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
「最後の一人になるまでです」
「反則はありません」
生存条件クラスメート全員殺害。
制限時間二日間。
脱出不可能な無人島。
二十六人の生徒達の闘いが始める。
初めまして黒猫です。
何か前の奴が消えちゃったみたいなんで再度書き込ませていただきました。
全文保存しておいて本当に良かったと思います←
この小説は題名で解ると思いますが映画「バトル・ロワイアル」のパロディ小説です。
とはいいましても実際はあるサイトでこの映画を題材として描かれた漫画を更に私がパロディするというものですが。
勿論そのサイトの管理人様には許可をもらっています。
もしもそのサイトが解った方が居てもサイト名、管理人名は言わないで下さい。お願いします。
殺人・流血表現がありますので苦手な方はバックして下さいね。
では、長々と失礼しました。
バトル・ロワイアル開始します。
- Re: バトル・ロワイアル ( No.5 )
- 日時: 2009/12/07 16:29
- 名前: 黒猫 ◆2P6zxky1H. (ID: kG84zh4.)
第3章 紅い洗礼
見つからない。
何処に行ってしまったの。
今何をしているの。
額に汗を浮かべ表情を青くしながら少女は周りを見渡す。
周りは木、木、木。
人影を見ないどころか物音一つ聞こえない。
大きく息を吐いて少女—もといユフィはしゃがみ込んだ。
探している人物はシープ。
ユフィは彼女の事を厚く慕っており彼女もまた、ユフィの事を妹のように大事にしていた。
何をやっても駄目で取り得なんて全くない自分を彼女は受け入れてくれたのだ。
殺せる訳がない。
自分にそんな事できる訳がない。
護らなくちゃ。
幾ら弱い自分でもシープに迷惑ばかりかけてたら駄目だ。
何としてでも探しだし護ってみせる。
「そうだ、武器何が入ってたのかな。」
ハッと気付きユフィはバッグを下ろしチャックを開け中を探った。
銃や剣だったらどうしよう。
護る為にはそれなりに使えるものではないといけないが果たして自分に使えるのだろうか。
不安になりつつもそれらしいものを見つけバッグから出した途端、思わずそれを地面に叩きつけた。
「いやおかしいだろ!!!確かに私こういうの好きだけれど!!可愛いものには目がないけど!!でもだからってこんな時くらいもっとマシなの入れろや!!」
バッグの中に入っていたのは愛らしい眼差しを向けるクマのぬいぐるみであった。
つまりハズレである。
こんな武器ともいえない武器で護れる訳がない。
初めて教師を心の底から憎んだ瞬間であったが別に何が入って欲しかったなどと希望はない。
もしも銃だとしたら引き金を引けないだろうし剣だとしても刺す事はできそうにないからだ。
そういう意味ではぬいぐるみでも良かったのかもしれないと思えた。
叩きつけられたぬいぐるみを拾いパパッと砂を払うといっきに不安がこみ上げて来たのか目に涙が溜まってくる。
何でこんな事になってしまったのだろうか。
先生は知っていたのだろうか。
殺し合いなんて出来る訳がない。
こんな鈍臭い自分でもクラスの皆の事は大好きなのだ。
——ユフィちゃん。
頭にシープの笑顔が思い浮かぶ。
どんなに迷惑かけても笑ってくれた優しいシープ。
自分は何を立ち止まっているんだ。
シープを探さなければ。
武器はないけどシープを死なせる訳にはいかない。
そう決意すると目に溜まった涙を拭い立ち上がった。
その瞬間。
「ユフィ?」
背後からの声にバッと振り向く。
声をかけてきたのはイルマだった。
手に何も持っていない事を確認すると殺される心配はないと安心し一息つく。
そうだ、いきなり殺し合いなんてできる訳がない。
皆この状況を認めていないに決まっている。
それならばシープも無事かもしれないと微かな希望が大きくなりつつあった。
- Re: バトル・ロワイアル ( No.6 )
- 日時: 2009/12/07 21:03
- 名前: 黒猫 ◆2P6zxky1H. (ID: kG84zh4.)
イルマは酷く不安そうな表情をしておりユフィを見つけるなりすぐに駆け寄ってきた。
「ねぇ、シナを見なかった?」
「え…?」
「ずっと探しているんだけど見つからないのよ。どうしよう…。」
イルマも自分にとって大事な友達を探しているらしい。
口元に手を当て不安そうにしているのを見てユフィは無意識に自分と重ねていた。
やっぱり大事な友達が一番心配なんだ、と。
「実は私もシープを探してて…折角会ったんだし一緒に探さない?」
一人だと何かと寂しくて不安になってしまう。
もしかしたら2人が一緒にいるかもしれないと同行を提案した。
部屋を出て初めて出会った友達だ。
このまま別行動をするのは勿体ないだろう。
ユフィの提案にイルマは不安気な表情を和らいで弱弱しく笑みを浮かばせると小さくお礼を言った。
「今ならそう遠くへ行ってない筈だよ。行こう。」
まだ顔色の悪いイルマを少しでも安心させようとユフィはにこりと笑いながら進み出した。
「ユフィって本当にシープが言ってた通りの人ね。」
「ん?」
「鈍臭いし不器用だけど誰にでも優しくて友達思いで…困ってる人を放っておけない。」
「あはは、言いすぎだよ。そんな出来た人間じゃないって。」
いきなりそんな事を言われるとは思ってもみず歩きながら照れ笑いを浮かべた。
本当に自分はマイナスな部分しかなく少しでも自信が持てるようせめて友達だけは大切に、と思っているだけだ。
「なんだかとっても隙だらけみたい。」
その言葉と同時にドンと背に何かの衝撃を感じた。
何だろう。さっきの音は。
恐る恐る手で探ってみると今迄背にある筈のないぬるぬるとした感覚がする。
それが何なのか確かめる余裕なくフッと力が抜けその場に倒れこんでしまった。
「貴方が大切なシープを探しているように私も大切なシナを探しているのよ。シナが無事であるように願うのなら一人でも多く消しておくべきじゃない?」
イルマの手には黒光りする銃が握られていた。
心臓を貫いていない為かユフィはまだ意識がありゆっくりと首だけを動かしイルマを見た。
今迄のように、話しかけると笑って答えてくれるイルマにはとても見えない。
この有り得ない現状とシナの事から乱心してしまったのだろうか。
「あら、一発じゃ死なないのね。」
イルマはそう呟くと躊躇いなくユフィに銃口を向けもう一度撃った。
もう一度、もう一度。
銃声が響けばユフィの悲痛な叫びを響く。
「シープには私から宜しく伝えるわ。すぐそっちに送ってあげるから。」
「それは無理よ。」
何処からかの女の声にイルマは銃を撃つ手を止めた。
そして誰が来たのか確認する前に音もなく背中にナイフが刺さる。
一瞬何が起こったのか理解できずただその痛みに口から大量の血を吐いた。
「シープは強いんだから。貴方じゃ敵わないに決まってるでしょ。」
「リタ…!!お前ッ…」
リタの手に持つナイフは更にぐんっとイルマの身体に食い込んだ。
「シナにはあたしが宜しく伝えといてやるわ。」
そう言ってナイフに力を込めるとそのまま横に身体を裂く。
悲鳴を上げる事なくイルマはその場に倒れ込み睨む事も毒づく事もなく動かなくなってしまった。
- Re: バトル・ロワイアル ( No.7 )
- 日時: 2009/12/08 16:57
- 名前: 黒猫 ◆2P6zxky1H. (ID: kG84zh4.)
リタはナイフについた血を軽く拭き取るとバッグへと仕舞いユフィの元へ駆け寄った。
「ユフィ!!生きてる!?」
「リ…タちゃん…」
小さな声でそう呟き立ち上がろうとするが身体が動かなくぶるぶると震えるだけだった。
もう感覚がないのか撃たれた所も大して痛いと感じない。
「何やってるの!イルマなんかに騙されちゃって…。だからアンタはいつまで経っても鈍臭いのよ!!」
「あはは…酷い…。でも…そうだね。」
身体を大きく揺さぶられながら薄く苦笑いを浮かべた。
もう意識も遠のいてきてリタの声がとても遠くに感じる。
「こんな風に…簡単に騙されて…簡単に死んじゃうのかな…」
朦朧とする意識の中掠れた声で呟いた。
やはりこんな時だけ強くなれる訳がないらしい。
「立て!!立ってユフィ!!早く先生の所へ…」
リタは大きく首を振ると手を貸そうとユフィの腕をぐっと掴んだ。
しかしその途端ユフィの口から大量の血が吐かれ思わず手を離した。
「立つ…?うん…ごめん…立つよ…」
そういえば前もこんな事があった。
まだ1年生の時、何もできない自分が嫌でもうどうでもよかった。
このまま誰にも頼られずに一人で細々と生きてれば良いと思っていた。
——ユフィちゃん。立って。
そんな時に話しかけてくれたのがシープ。
彼女は自分がどれだけ躓いてしまってもいつも側で励ましてくれた。
——いつまでもうじうじしてちゃ駄目だよ。転んだままでいないでちゃんと立ち上がらなくちゃ。
「立つよ…私、ちゃんと立つよ…シープ…」
そう呟くと静かに目を閉じた。
リタは目を見開いて口をきゅっと結ぶ。
「…せい…先生…」
まだ暖かい彼女の身体に触れながら仕切りに呟いた。
これは現実なのだ。
変える事のできない事ならば自分は立ち止まらない。
前に進んでやる。
ユフィから手を離しイルマが持っていた銃を手にするとそれをバッグへと入れた。
そして立ち上がると前方を睨んでそのまま森を進んで行った。
3番 Irma イルマ
13番 Yuffie ユフィ 死亡【残り23人】
- Re: バトル・ロワイアル ( No.8 )
- 日時: 2009/12/08 20:36
- 名前: 黒猫 ◆2P6zxky1H. (ID: kG84zh4.)
第4章 乙女の祈り
女の子は恋をすると綺麗になる。
だって好きな人に"可愛い"って思われたいでしょう。
ルファは鏡を持って自分の顔を覗き込んで居た。
つけまつ毛を付けて数回瞬きをすると満足そうな笑みを見せる。
「よし、完璧!」
「オイイィ!!完璧じゃねーよ!!」
背後からの声に気が付くと鏡を閉じて誰かを確認した。
そこには拳銃をこちらに向けるモニカが居たがルファは大して焦る素振りなくにこりと笑った。
「あら、モニカちゃんも一緒にお化粧する?」
「誰がするか!!アンタ今の自分の状況解ってんの!?」
愛想良く化粧道具を渡そうとするルファとは対象的に荒々しく声を上げる。
拳銃を向けても態度を変えないルファに腹が立っていた。
相手は自分が撃たないとでも思っているのだろうか。
イライラしてきて差し出された化粧道具を乱暴に払いのけた。
が、
「ちょっとー私の必需品を乱暴に扱わないでよねー。」
「無視かオイ!!つくづく腹立つなお前!!」
それでも相手は恐がらないようだ。
というよりも殺されない自信があるのか余裕そうな表情をしている。
「私ら今殺し合いゲームしてんだけど!つーか今まさにアンタを狙ってるんだけど!」
「こんな時だからこそ身だしなみくらいきちんとしていなきゃ。目は重要よ!目力で好きな人なんかイチコロよ!」
駄目だ、完全になめられている。
今まさに殺されるかもしれないという状況で身だしなみがどうのと煩い。
少し痛い目を見せてやろう。
モニカは拳銃の引き金を引こうとし、相手が油断しているから悪いのだと小さく口角を上げる。
だがルファがまた何か言い出したので思わずその手を止めてしまった。
「死ぬ時は美しくありたい。このゲーム、私は勝てないわ。」
「…はっ、やる前から戦線離脱か?」
「モニカちゃんはやる気なの?」
「当たり前でしょ。殺らなきゃ殺られるんだから。」
この状況で何もやらないなんておかしいだろう。
何もせず黙って死んでいくのなんて絶対に嫌なのだ。
だから、さっさと目の前の女を殺してしまおう。
生きる為に。
「私に先生は殺せない。私にはそれが全て。」
その言葉に引き金を引く筈の手が止まった。
「どちらか一方なんて有り得ない。殺されるなら最初の相手は先生がいいの。」
にこりと笑ってそう告げた。
モニカは拳銃を持つ力が抜けそのまま下に下ろす。
こんなに汐らしい相手を撃つ事はできない。
今更同情心が湧いて来たとでも言うのだろうか。
「まぁ死ぬのに最初も最後もないけどね。モニカちゃん、先生を見なかった?」
化粧道具をバッグに仕舞ってルファはゆっくりと立ち上がりながらそう聞いた。
だがモニカも此処まで来て誰一人として会っていない。
ルファが初めてなのだ。
小さく首を振るモニカを見てルファは残念そうに「…そう」と呟いた。
「モニカちゃん、もしあなたが今私を殺したいなら…全力で相手になるわ。」
そう言うルファの手には短剣が握られていた。
「私を殺していいのは先生だけだから。」
反射的に銃を構えるが引き金を引く事はない。
どうも相手を殺す気にはなれなかったのだ。
「早い話が先生に殺されたいって訳か、アンタ。」
「まぁそういう事になるわね。先生ならば本望よ。」
「……そんなに先生が好きなんだ。」
相手の一途な想いにモニカは呟くように言った。
教師と生徒の恋愛なんて実る訳がないのに。
無謀だとは思うが彼女の気持ちが解らなくもない。
「望みはなかったけど好きになれて嬉しかった。」
その言葉にモニカはとうとう拳銃を下ろした。
やっぱりおかしい。
クラスメートと殺し合いなんて絶対におかしい。
「特別に見逃すよ。早く行けば。先生を…探しなさいよ。」
モニカの言葉にルファは一瞬驚くがすぐに表情を和らげるとお礼を言った。
相手を見ていると何だか本気になっていた自分が馬鹿らしい。
同じクラスの仲間なのに。
……同じ恋をしている仲間なのに。
- Re: バトル・ロワイアル ( No.9 )
- 日時: 2009/12/08 21:04
- 名前: 黒猫 ◆2P6zxky1H. (ID: kG84zh4.)
どうせ死ぬのなら…愛おしい人に会ってから死にたい。
最後に一目だけ、話したいなんて欲は言わない。
これ位許されるだろう。
気付けば無意識にルファに声をかけていた。
「ギルを…見なかった…?」
改めて言葉に出してみると凄く恥ずかしくいっきに顔が赤くなるのが自分でも解る。
しかしやはりそう上手く事が運ぶものでもなかった。
「知らないわ。人に会ったのはモニカちゃんが初めてだもの。」
予想にしていた言葉だがハッキリ言われると案外ショックな言葉だ。
すぐに顔に出てしまうため彼女のように明るく振舞えず「そっか」と小さく呟く事で精一杯だった。
「会いたいの?」
ルファの言葉にハッとする。
「探せばいいじゃない。」
口で言うだけなら簡単だ。
自分だって探したいに決まっている。
彼の無事を確かめたい一心なのだから。
「でもどう会ってどうすればいいか…。」
「そんなの会った時に考えるのよ。」
「殺されるかも。」
「それは覚悟しなさい。」
「こんな広い島で見つかりっこないし。」
「それ言ったらお終いじゃない。」
そこまで話すとルファは額に手を当て大きくため息をついた。
根性が足りないとでも言いたいのだろう。
モニカは困ったような表情になると顔を赤らめながら小さく呟いた。
「会いたい…。それだけで探してもいいのかな…。」
「勿論。」
二人でクスクスと笑い合った。
ルファの笑顔を見るととても気が楽になるというか救われた気がする。
大好きな人に会いたい。
それは皆同じ事なのだ。
だったら助け合う事が大事。
「何か変…。こんな異常事態なのに。」
「そうねぇ。こういう事態だからこそこうやって気持ちをぶつけ合えれるんじゃないかしら。」
「うん、そうだね。」
改めて仲間だと認識し合い協力しようとする二人にはこの事態でも笑う事ができた。
そんな和やかな雰囲気を放っているからこそ二人は気付く事ができなかったのだろう。
二人の背後で銃が向けられている事に。
「ほんとにな。続きはあの世でしてくれや。」
一発の銃声が、辺りに響いた。
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