二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto——
- 日時: 2010/01/21 22:10
- 名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: nSk9Dupy)
貴方のその背中を目指して走ってきただけなのに
いつの間にか貴方の背中以外のものが私の視界を埋め尽くしていた
綺羅々々した綺麗な沢山のものたちが私の世界の色を変える
私が目指すものは貴方しかいない
そう思っていたはずなのに
あの日私は貴方と道を分かつことになる
それは貴方以外の正義を私の中に見つけたから
私の正義と貴方の正義は違いすぎて今は別々の離れた世界にあるけれど
いつの日か再び貴方と同じ方向を向けるように
同じ場所で他愛なく笑いあえるように
今の私はただひたすらに己の信じる道を進みます
貴方と離れて他のたくさんのものに触れ
人に触れて心を感じ
力を添わせて新しい世界を切り開く
そうすることで貴方の信じる正義というものが見えればいいと思うから
相手を知ることでその人と同じ方を向けるから
分かち合えばまた笑いあえるから
それまで待ってて下さい
私が貴方の横に並べるくらい強くなったら
己に自信が持てるようになったら
今度こそ貴方の袖を捕まえます
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- Re: 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto—— ( No.4 )
- 日時: 2010/01/21 22:14
- 名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: nSk9Dupy)
【主人公PF】
名前:市丸黒猫 (Ichimaru Kuroneko)
性別:女
年齢:14〜16歳でどちらかというと幼く見える
容姿:濡れているような黒髪を肩に届くほどまで伸ばし綺麗に切り揃えている(現在伸ばし中)前髪は右に寄せて分け、右目は隠れがち。瞳は金色と翡翠色のオッドアイで猫のように丸く、目尻が上がっている。色白で細身、身長は145cmと小柄で全体的に華奢な印象を受ける。死覇装はまだ体の発達が見られないため、さらしなどは巻かないまま結構大胆に開けている。己の体よりも無駄にサイズが大きいので袖は指先すら見えない状態。足袋、草履を履かずによく歩きまわっている
性格:普段はゆるゆる鈍感で天然、感情の喜怒哀楽がはっきりしているが怒はあまりない。最初は人見知りをするが慣れれば邪魔な程まとわりつく。人の顔と名前を一致させることが苦手で、自分が本気で覚えようと思った人しか記憶に残らない。人の優先順位は独創的で隊長格は上、平隊士は下などということではなく、どれだけ自分が信頼しているかによる。基本幼いので大人に良く懐く傾向にある。戦闘は嫌いではなくむしろ好きな方で、その最中は無表情か浮かべるとしても薄い冷笑などといった普段とは考えられないほど豹変する。自分よりも強い者が相手でも弱い者が相手でも構わないらしい
斬魄刀:名、能力共に不明。形状は短刀といった方がいいほど小型で細い。腰に差して携帯している
所属:三番隊
席官:三席
備考:夜は朝まで灯りをつけたままにするか、誰かと居ないと寝ることができない。そのせいで市丸は添い寝をする羽目になるが、信頼している人ならば結果的には誰でもいい。暗闇が嫌いなのが理由で原因は過去にある。戦闘は一騎打ちでも対多勢でも手合わせでも何でもよく、特に対多勢がお気に入りらしい。背中を見られたり触られるのを極度に嫌がる。周りを見ることができず、一方に偏った見方しかできないことが良くある。一度信じたものはどれだけ裏切られても信じ続けてしまう。出身が更木なので更木剣八に憧れを抱いている
- Re: 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto—— ( No.5 )
- 日時: 2010/01/21 22:15
- 名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: nSk9Dupy)
【序章——物語の始まり——】
少女は暗い押入れの中からただ息を殺して僅かに開いている襖の隙間から外の様子を窺っていた
少女の目に映っているのは白髪で長身の男と、茶髪で白い羽織を着ている男
そして、床一面は赤い色
その赤色は少女の親類のものだった
男達はいきなり現れて少女の家族を次々に斬り捨てていった
押入れに逃げ込んだのは幼いながらの知恵を振り絞った防御策
それでも、この砦がいつまでももつ物でない事は分かりきっていた
覗いている部屋の向こうで白髪の男が口を開いた
「藍染隊長ー、後始末はボクがやりますから先に出とって下さい」
「うん、分かったよ…ギン」
暢気な口調の白髪の男の提案に不思議そうな顔をしながらも茶髪の男は素直に同意して部屋から出ていった
足音と一緒に気配も消えた事を確認して少女は少しだけ安堵した
次の瞬間白髪の男の言葉に少女は凍りつく
「さぁて、藍染隊長もいなくなったことやし
始めよか?ボクとキミの鬼事を」
「死神舐めたらあかんで?」
笑いを含んだ声音で明らかに少女へとかけられた言葉に恐れをなした少女は押入れの奥の壁へと背中をつけた
『このままでは殺される』
そう頭では分かっているのに体が言う事を聞かず自分の意思でピクリとも動かす事ができない
暫く少女のいる押入れに一歩も近寄ってこない男に、少女は諦めの思いを浮かべた
『あの人は、自分の居場所を知っている』
誰にでも分かる結論に辿り着き体の力が抜けた
「あれぇ?ここにはおらんみたいやねー」
わざとらしい口調でそう呟くと白髪の男は何故か家から出ていってしまった
嘘と分かっていてもその言葉に少しだけ安堵してしまう
少女は一つ溜息をついた
「みぃつけた…可愛い子猫ちゃん」
ゆっくりとした声に全身に鳥肌が立つ
溜息と共に下に落ちた視線を上げれば襖の隙間から細い目をした白髪の男と確かに目が合った
「何もせぇへんから…こっち来ぃ」
襖の隙間を少しだけ大きくして男は細く白い指を少女へと差し出す
少女は首を振って押入れの奥へと逃げた
あの手に掴まれば命が散る事が分かっていたから
少女の反応に困った様子の男に外から声がかけられた
「何をしているんだい、ギン?」
「早くおいで、屋敷に火をかけるよ」
静かな口調で紡がれる恐ろしい言葉
茶髪の男と白髪の男は少女の家に火を放つつもりらしい
「後ちょっとだけ待っといて下さい」
少し大きな声で茶髪の男に言葉を返した白髪の男はまた、少女に目を戻して諭すような口調でこう言った
「ほれ、はよせぇへんと…キミ、焼けてまうで?」
「いくらボクでもこない幼い子を手にかけたくはないんや」
生きたまま焼かれる
その恐怖に少女は思わず男の手を取ってしまった
そのまま勢い良く押入れから引きずり出され、部屋の真ん中で男と対峙する
部屋には隙間だけでは見えなかった家族の体が点々と散らばっていた
どれも一カ所や二カ所、急所を刺された痕だけが赤く染まっている
それを目にしても全く表情を変えず少女は目の前の以外に長身である白髪の男を見つめた
その視線に若干驚いた様に眉を上げた男はすぐに気を取り直し少女と目線を合わせるように屈んだ
「これから家族の敵を討ちたい思うんなら、ボクを殺したいと思うんやったら」
「キミ、死神になりぃ」
そう告げてにっこりと笑うとスッと少女の頭に手を伸ばし綺麗な黒髪をくしゃ、と撫でた
「じゃ、とりあえずさよならや……また会えるんを期待しとるで、黒猫ちゃん」
少女の乱れた髪を直して立ち上がると背を向けて歩きだしながら男は言葉をかけて部屋から出ていった
少し遅れて少女も窓から屋敷を脱出する
後ろを振り返れば少女の家は紅く燃えていた
人通りのある道へと、死神になるための学校に行くための道へと辿りつくため足を闇雲に進めながら少女は一言呟いた
「ありがとう、狐さん……私をあの牢獄から出してくれて」
「いつかかならず、会いに行きます」
- Re: 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto—— ( No.6 )
- 日時: 2010/01/21 22:16
- 名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: nSk9Dupy)
【第一話】終幕への歯車が廻り始めた日
厳かな雰囲気が漂う一番隊隊舎を訪れたのは朽木白哉六番隊隊長
押し潰されそうな重々しい空気の中でもその静かな湖面のような表情は眉一つ動かない
彼の向かい側に対峙するのは一番隊の主山本元柳斎重國総隊長
隊舎の厳かな雰囲気はこの人から滲むものだと誰がも納得するようなその風貌は老いを知らない
今日、白哉がここを訪れたのは他でもない総隊長に呼ばれたから
顔を出してすぐに話を始めようとしない総隊長に耐え切れず自ら口を開いた
「本日は私に何用ですか」
感情など滲まない冷たい声音に動かなかった総隊長の眉が僅かに動き、瞳が開く
何かを迷っているような珍しく煮え切らない態度の総隊長は暫くして漸く口を開いた
「おぬしと阿散井に一つ仕事を頼みたい」
その言葉に白哉は無言で頷いた
彼の瞳に迷いの色がないのを見て総隊長は言葉を続けた
「先日、現世より朽木ルキア十三番隊隊士の重度霊法違反が報告された。よって、彼女の捕縛を命ずる」
白哉の瞳を真っ直ぐに見据え、彼のどんな動揺も見逃さぬようにと緊張した総隊長
だがそれに反して白哉の反応は淡白だった
「出立はなるべく急いだ方が?」
総隊長の命に了解とも引き受けぬとも言わぬまますぐさま実行への問いかけ
表情は無のまま声音にも変化はない
『相変わらず冷静な男じゃ』
白哉の言葉に無言で頷きながら改めてそんなことを思う
幼い頃は熱くなりやすいと祖父が溢していたのに
今はその見る影もない
それを成長の証と取るかは人それぞれだろう
「では、失礼します」
スッと頭を下げて踵を返す
音もなく歩き出す白哉に結局総隊長は声をかけなかった
養子であるとはいえ、妹の罪を裁くために捕縛を命じたのはさすがに酷だったか
見送った後の心に僅かな後悔が残った
「いやぁ、お兄様も大変やね。妹の尻拭いせなあかんて」
総隊長のもとから辞して最初の曲がり角を曲がった時
そこに気配なく居た男に白哉は僅かに驚いた
「兄には関係のないことだ、盗み聞きなど性の悪い」
驚きにピクリと動いた眉を隠すように顰め、横目で己に話しかけてきた男市丸ギンを見据える
冷たく突き放すような白哉の声音に市丸は狐面に似た顔を苦笑に染めながら口を開いた
「何ゆうてんの?盗み聞きなんざしてへんで。たまたま、ちょっとここら辺散歩しとったら面白い話が聞こえたんでお邪魔しただけですわ」
わざとらしい笑みと共に言われた言葉を相手にする気はないようで、白哉は市丸に向けていた視線を前に戻した
「そうか、兄がそう言うならばそうなのだろう。私は散歩などをする暇人の相手ができるほど暇ではない……失礼する」
最後の言葉は半ば吐き捨てるように言って白哉は市丸の傍を通り抜けた
その背中を市丸は笑顔で見送っていた
「流石にルキアちゃんのこととなると荒れてますなぁ、朽木隊長も……やっぱあの人も人の子やね」
そう呟いて心底面白いというように口元に手を当てて笑いをこらえる
これで"自分達"の目的の第一段階は終了した
さっそく"あの人"に伝えなければならない
音もなく市丸は廊下から姿を消す
急ぎ足で目指すは"あの人"のもと
自分が正義だと信じる彼のもと
- Re: 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto—— ( No.7 )
- 日時: 2010/01/21 22:18
- 名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: nSk9Dupy)
>>秋空様
立て直し終了しました!
コピーしていた本文を載せただけですので
コメント見れませんでしたorz
これからあと何回立て直しするんでしょうね(苦笑
- Re: 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto—— ( No.8 )
- 日時: 2010/01/22 21:27
- 名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: Yc865qQL)
【第二話】黒幕会議
「やっと、計画が動き出したみたいだね」
「そうですなぁ、ボクとしてはもうちょい早いかと思うとったんですが」
「まぁそれもそうだね、でも急いでも何も始まらないさ」
人目に付かない裏路地に二人の死神がいた
茶髪に黒縁眼鏡の白い羽織を着た男
白髪に長身痩躯の白い羽織を着た男
お互いに周りを気にする様子もなく淡々と会話を続ける
彼らは新しい世界をつくるために動き出していた
理想のために全てを犠牲にする覚悟で
茶髪の男が問いかけた
「そういえば…キミの部下はどうだい?」
白髪の男は首を傾げる
「部下ってどっちのです?」
その言葉に茶髪の男は苦笑を浮かべた
「猫の子の方だよ」
疑問に返された答えを聞いて白髪の男は僅かに表情を曇らせる
「あの子がどうかしはったんですか?」
一つの答えにまた別の疑問が浮かぶ
それを素直に口に出すと意外と本心のままの不満げな声音になってしまった
それを気にしていないのか気づいていないのか
茶髪の男は柔らかな微笑を浮かべた
「いや…あの子は使えるかい?」
予想外の言葉に白髪の男は戸惑いながらも無言で頷く
それを見て茶髪の男は満足そうに頷き返した
「そうか、なら近々出番がありそうだね…鍛えておくといい」
それだけ言って茶髪の男は白髪の男に背を向ける
まだ何か言いたげな白髪の男に振り向かぬまま言葉をかけた
「ここで会っているのを気づかれないように帰るんだよ…後からいろいろと面倒だからね」
結局白髪の男の返事を聞かぬまま茶髪の男は姿を消した
後には複雑な思いを抱えた白髪の男が残される
部下を使うことに躊躇いはないが猫の子だけは特別だったから
市丸と白哉との一件があったその日の夜
いつものように黒猫は市丸の部屋にいた
先に敷いてある布団の上に座り、床に広げた本を読んでいた
文字をおうのはとても面白く、市丸にいい加減止めろと言われるまでは止まらなかった
市丸はというと、黒猫と丁度反対側に位置する机に向かい頬杖をついたままぼぉっとしていた
何かを悩んでいるような、考え込んでいるような表情で暫く黒猫を眺めていたが
覚悟を決めたように口を開いた
「黒、ちょっとえぇ?」
市丸からの問いかけに慌てて黒猫は本から顔を上げる
「は、はい!何でしょうかっ」
慌て過ぎて声が裏返る
その声を聞いて可笑しそうに笑いながら市丸は口を開く
「今日な、黒に話しておかなあかん話聞いたんやけど」
その言葉に黒猫の動きは止まる
さっきまでのあどけなさは消えて、冷静な見た目以上に落ち着いた雰囲気になる
それを目にして今度慌てるのは市丸の方
ハッとしたような表情になり手をヒラヒラと振ると苦笑を浮かべる
「大丈夫、黒のことやないから」
その言葉に、黒猫の雰囲気も元の緩いものに戻った
それだけのことに安堵する
やっぱりこの子にはこのままでいて欲しかった
それでも、やるべきことはやらねばならない
自分の信じる人のために
「ルキアちゃん、おるやろ?」
「はぁ。今現世に行っているんですよね?」
市丸の唐突な言葉に黒猫は思わず間抜けな返事を返して、話題の人物の現状を訪ねた
その言葉に市丸は曖昧な返事を返す
いきなり立ち上がって黒猫の前まで来ると、向かい側にしゃがんだ
驚いて元から大きな瞳を見開いた黒猫の瞳を見つめながら、市丸は口を開く
「ルキアちゃんな、あっちで重罪侵してもうたみたいやねん。…だから、今からこっちに捕縛されるんやて。六番隊隊長さんと副隊長さんが行くって言っとった」
「へ?」
予想もしなかった市丸の告白に黒猫は表情を失う
感情の籠らない疑問符を返しながら黒猫の脳裏に浮かぶのは彼女の顔
貴族でありながら自分と初めて仲良くなってくれた同年代の彼女
姉と慕うことを許してくれた心優しい彼女が重罪?
何かの間違い
そう思いたかった
黒猫の意識は彼女と出会ったあの日へと迷い込む
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