二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- イナズマイレブン 黒田エリの好きな人
- 日時: 2011/06/05 19:39
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: LQ45f2Hx)
始めまして、紅花と申します。
注意事項↓
1オリ設定とオリキャラが出てきます
2荒しとパクリはやめてください
3駄作です
上に当てはまる人は、回れ右!
登場人物↓ 増えます
黒田 エリ くろだ えり ♀
「あたし、男どもとグラウンド走り回ってるほうが性に合うんだよねー」
主人公。明るく活発で大雑把。涙もろいが男勝り。
背が高く、好きな人が自分より背が低いためそのことを気にしている。
小説大好き、絵をかくのが好き。土日は家でごろごろ。
猫の品種に詳しい。変なことをたくさん知ってるわりには非常識。
若田 進 わかた すすむ ♂
「学校と違うんだよねー、ここにいると」
エリのクラスメート。学校にいると、大人しく無口で物静かで博識な男の子。
しかし学校からでると一変して元気で明るく生意気で毒舌になる。
二卵性の双子の弟。ただし、兄より背が高い。
ナナ ♀
「とし? そんなもの、忘れたわ」
ホームレスの少女。ミステリアスな雰囲気。
全然ホームレスには見えない。推定七歳。
谷村 律 たにむら りつ ♀
「えっと……佐久間先輩のファンです!」
帝国の女の子。佐久間と同じ眼帯をしている。
ビビリ、小心者、あがり症。恥かしがりやで超内気。
おばけやしきに入ったことない歴とホラーみたことない歴13年。
切先 刃 きっさき やいば ♂
「名前? ああ、俺がつけたんだが、どうした?」
雷門中にきた転校生。律儀な性格で、どんなに嫌なことでも、申し付けられるとかならずそれをする。
超☆非常識。本名は剣寺。
剣寺 白刃 つるぎでら しらは ♀
「オレは白刃。あん? 名前? 名前が全てじゃねぇだろ?」
刃の実の姉。柔道黒帯。オレっ子。
鬼道に一目ぼれして雷門に転校すると決めた。
黒田 ミリ くろだ みり ♀
「ち、ちっちゃいは禁句です!」
エリの誇り高き姉。成績優秀、品行方正。
身長はエリに奪われたらしく、高3となった今も栗松と同じくらいの身長。
イタリアに留学中。
笹目 雪 ささめ ゆき ♀
「ん? 治くんの顔は兇悪じゃないよ〜」
吹雪の従妹。オサーム様の彼女。
柔和で穏やかで天然ででもキレると怖い。
目次
第一章 スタートまで
第一話 「黒田エリ」 >>1
だいじょうぶ? と聞かれた。アルトで。
第二話 転ぶなよ! >>2
はい、もう転びません。
第三話 拒絶 >>3
彼女は暖かかった。
第四話 台湾 >>4
遠いのかな、台湾は
第五話 ナナ >>8
絶対に、気のせいだ。
第六話 高雄 >>11
黒田さん
第七話 日本へ >>12
are you ok?
第二章 恋する乙女(?)は全力投球!
第八話 夢よりも恋をおっかけてます! >>16
……え? 世間知らず? でも、私、太陽が東からあがって西に沈むこと知ってるよ。
第九話 マネキン >>20 ホラーっぽい
でも、たしかその向日葵の所為で、俺、睡眠不足になったんだよね?
第十話 意外な姉弟と眼帯少女 >>21
ほら、私達、よく似てるでしょ?
第十一話 諦める才能 >>24
私、傍にいられるだけで、貴方の後姿を見ることができるだけで、幸せだから。
第十二話 郵便配達の男の子 >>25
そうだよ。人生、そんな甘くない。
第十三話 〈潜む者〉 >>26
努力するってことを、学びたい。
第十四話 幸せな時間 >>29
幸せな時間はたった一言で、小さな行動で——壊れてしまう。
第十五話 〈潜む者〉のせせら笑い >>30
これが本当の貴方なの?
第十六話 triangle >>31
もう、後戻りはできない。
第十七話 生贄 >>32
私を止めたければ、生贄をよこせ。
第十八話 多重人格 >>40
マジありえないから!
第十九話 壊れやすいもの >>43
なんで、なんで壊れやすいものが、この世に溢れているんだろう。
第二十話 エリの姉 >>44
身長は栗松。
第二十一話 レーゼと私 >>45
私は、〝黒田エリ〟と言う名の女子しか、生贄にする気がしないのだよ。
第二十二話 名字を隠した少女 >>47
名字は不明。本人が隠したいらしい。
第二十三話 壊し魔 >>48
私の父の名前は、影山澪冶。
第二十四話 二人の少年の会話の内容 >>49
あぁ、お前が誰のこと好きかも知ってるぜ?
第二十五話 若田の毒舌攻撃 >>52
ブラック化した若田を止められるのは、恐らく彼の双子の兄だけです。
第二十六話 ツンデレなポニテ二人 >>53
猫は三年の恩を三日で忘れる——でも、俺は三秒で忘れるからね。
第二十七話 澪の挑戦 >>54
ポジティブ、それがとりえだ!
第二十八話 男子と女子の会議 >>55
似たもの同士の男女の会議
第二十九話 シスコンの妹様 >>56
鬼道キャラ崩壊です注意。
第三十話 でーと >>60
いつらに捕まったら、なにされるかわかんないから。
第三十一話 マキちゃん >>62
波乱に満ちた恋する乙女の毎日
第三十二話 日曜日の公園 >>65
直球って、何?
第三十三話 ミリの正体 >>66
はじめまして。いいえ——久しぶり。
第三十四話 お陽さま園 >>67
こまかいことは、あとまわし。
第三十五話 三角関係が四角関係になる日 >>68
今までの、帳消し。
第三章 四角関係
第三十六話 御影と戦国 >>69
喧嘩するほど仲がいい。
第三十七話 スランプ中の神 >>72
——私、一年中貴方のこと思ってたんだから。
第三十八話 刃のお姉さん >>73
恋する乙女はトラブルメーカー。
第三十九話 綱海と剣寺 >>74
はじめまして! 剣寺白刃です!
第四十話 ちょっと調子にのってきた >>75
本当にお願いだから仲良くしてね。
第四十一話 中秋節 >>78
明日はお休み! ……だといいな
第四十二話 好敵手 >>79
そう、俺たちは好敵手(ライバル)。ねぇ、だから仲良くしよ?
第四十三話 デートしよ? >>80
あのさ、音無さん。
第四十四話 春奈の苦悩 >>81
私って悪い妹だね。
第四十五話 音無と切先にとって一番恐ろしいホラー >>82
世界一恐ろしいホラー。
第四十六話 どうでもいい雑談 >>86
本編との関連なし。
第四十七話 男勝りな白雪姫 >>87
でも、大好きだよ。
第四十八話 髪の毛マフラーカップル >>89
十月一日、金曜日の秋祭りにて。黒田エリ。
第四十九話 かわいそうな女の子 >>94
二見さんは再び倒れた。
第四章 愛してるとキス、さあどっち?
第五十話 新たな一角 >>105
妬けるなあ。
短編っぽいものや番外編
カゲトのガールフレンド >>35
連想ゲーム。ちょうくだらない。 >>46
お酒の力にご用心 >>97
ヒロトと玲名と緑川 >>99>>101
五秒−“クララ” >>106-107
私の駄作にコメントをくださった神さま
氷橙風 さま
日奈 さま
海刀 さま
空梨逢 さま
レモンティー さま
癒玖刃 さま
ユキナ さま
お知らせ >>10
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- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.27 )
- 日時: 2010/09/04 22:45
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
わああああああああ!!!
百……ちょっと表でろ。(怖い怖い
エリが! エリが! エリがあーー!! 風丸ぅーー!!
……でもわかりますよ、風丸さんはキス寸前までいって払い除けるんですね。「俺にはエリがいる!!」みたいなみたいなみt(妄想終了
エリ緑フラグだと……? わあ、俺得じゃないですか☆(マジ黙れ
絶対りゅうたんエリちゃんに惚れましたよね。それでな親友の風丸さんに嫉妬を抱くんですねわかります。(はいはいわろすわろす
ブロッサム・クイーン……! カッコいいーっ!
ってりゅうたん∑ そんなことが……! わあ、りゅうたんを抱きしめたいです(ヤメレ
さあさあこれでりゅうたんが絡んで物語はどうなるのかっ! 乞うご期待!(なぜお前が
いやマジで続き気になります。毎回毎回暴走コメですが更新頑張ってくださいなのですっ!
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.28 )
- 日時: 2010/09/04 22:56
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: W3jWtiQq)
氷凍風さん
百、表でろって。
百「ちょっとなんかヤバイオーラを感じるのでやめときます……」
らしいです。
うわぁ、すごいですね氷凍風さん!
私も似たようなことを妄想していました。
でもそれだと面白くないのでされちゃったあとにあれこれあれこれあれこれで……。
りゅうたん!?
なんて可愛いニックネームなんだ!
ステキすぎるぞ!
正にステキング!(くるねこ大和ぱくったな
風丸に嫉妬! うわぁ、ステキな展開になりそう。
それで風丸が好きだけどりゅうたんのことを傷つけられないエリが……(妄想妄想妄想妄想
りゅうたんを抱きしめたい?
同感だ!
因みに私の一番の嫁はりゅうたんだ!
そうっ!乞うご期待!! 期待できないような文章だけど。
暴走コメ大歓迎!暴走しながらコメ返ししますので!
早速続きかくぞぉ!
プロット作成?
んなもん、小説初めて五年、一度もやったことないからな!!!
更新頑張ります!!!
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.29 )
- 日時: 2010/09/04 23:35
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: W3jWtiQq)
第十四話 幸せな時間
*
突然やってくることなら、いくらでもある。その一秒前までは、すっごく幸せだったのに。
*
「買い物連れてって!」
いいって言うしかねえだろ。
私って、子どもと人懐っこい笑みに弱いんだ。
ごめんね一郎太。デートじゃないけどさ、一応、一緒にでかけるんだよ。
いや、そりゃもう弟と姉的な関係で。
リュウジくんのほうが、カゲトより数百倍可愛いけどね。
一応報告しておこうかな?
メールしようとした手がとまる。
夕日に照らし出された、ドラマのワンシーンみたいな二見さんと一郎太が思い出される。
考えるだけで胸がナイフに引き裂かれるみたいに、痛い。目頭が熱くなる。
私はケータイをマナーモードに設定し、「風丸一郎太」と「二見百」をケータイから削除した。
幸せになってね。二見さんなら、一郎太のこと、きっと幸せにできる。
私は、ただのクラスメートでいいから。
「エリちゃん……?」
はっとした。
偶に、リュウジくんは、「男の子」から「少年」になることがある。
サッカーをやっているとき。
負の感情に支配されているとき。
誰かを心配しているとき。
明るくて軽めなリュウジくんも、少年。
だけど、私が見ているのは、あまえんぼうな、「男の子」。
これが彼の素顔なのだろう。
そうだよ、人生、前向きに生きなきゃ。
一郎太は二見さんに譲った。
そろそろ、新しい恋を展開してもいいんじゃない?
一郎太のこと、諦めきれないのに。
わたし、そんなことを思ってた。
「アイスおごれ——ッ!」
響く怒鳴り声に、びくっとするリュウジくんと私。
みると、白くてふさふさした髪の毛の男の子が、赤いチューリップみたいな髪型の男の子に向かって怒鳴ってる。
リュウジくんが笑い出した。
「晴矢!風介!またアイスのことでもめてるの?」
え? ってことはこの二人も、
「エイリア————!?」
うそ! ありえない!!!
たしかあの風介ってやつはマスターランク、ダイアモンドダストのキャプテンガゼル!
それがなんでこんなにマヌケな感じにアイスおごれって怒鳴ってるの!?
すっごいマヌケに見えるんですけど——!
「うん、そう、星の使徒」
「ありえない。星の使徒なら星の使徒らしく星の絵がかかれたローブまとってりゃいいのに」
「豚に歌を教えないほうがいいよ?」
リュウジくんがにやっと笑う。明るく軽めな、「少年」になる。
豚に歌を教えるな。それは知っている。台湾の言葉だ。
『豚に歌を教えるな。教えた人が悲しいだけでなく、豚だってかなしいのだから』
無茶をするなって意味よね。ってかこれ諺じゃないわよ。リュウジくんは諺専門かと思ってた。
「おっ! レー、じゃなくてリュウジか。そいつは彼女か?」
「ううん。知り合いの子」
「ほぉ。可愛いな。なんて名前だ?」
「おい、晴矢! 話題ずらすな!アーイース——!」
「うるせえな! アフロディが買いにいってるだろうが!」
「アフロディだけじゃなくて、晴矢、お前も奢れ!」
「あの、私、黒田エリ……」
「おごれったらおごれ! 抹茶がいい! レーゼの髪みたいな!!」
ガゼルってなんかスゴイ冷静そうな感じの男の子に見えたんだけど……勘違いなのかな?
リュウジくんが教えてくれた。風介はアイスのことになるとこうなるらしい。
「アフロディって、亜風炉照美?」
「ああ。あの女顔の」
アフロディかぁ。
彼なら知っている。世宇子のアイドルだ。
一度、台湾に遊びにきたことがあって、その時に仲良くなったんだけど、すっごい面白い子だった。
私のクラスメートが私にアフロディを紹介しろと押しかけてたなぁ。
最初で最後だったよね。私があんな有名人になったのは。
その時、私はもう、一郎太のことが……
ずき、と心が痛んだ。そうだよ。私、もう諦めたんだよ。
もう、考えないようにしよう。
「あっ、りえり」
あっ、アフロディ。
いつの間にきたんだろう。
気付いたら風介はもう一心不乱にアイスをなめているところだった。
りえり、それは、若田がアフロディに教えたニックネームだ。
で、二人が五人に増えて、私達は買い物を続けた。
フリフリのワンピースをとって、アフロディ、買う? とからかったり。
アイス屋さんの前を通りかかったとき、風介におごってあげたり。
ヘアサロンの前を通ったとき、髪、どうにかしたら? とリュウジくんに聞かれて怒ったわたし、風介、晴矢。
ヘアゴム買って、リュウジくんの髪を遊んだり。
楽しい時間が過ぎてゆく。
突然やってくることなら、いくらでもある。
その一秒前までは、すっごく幸せだったのに。
向こう側を、二見さんと一郎太が歩いていった。
驚愕に目が開く。
一郎太が私に気付いた。リュウジくんに気付いた。アフロディに気付いた。風介に気付いた。晴矢に気付いた。
一郎太の目が見開かれる。
まだ、アフロディや風介は気付いていない。
「ねえ、早くいこうよ」
私は皆を急かしてその場を去ろうとした。
焦ってたの。
だから知らなかった。
——リュウジくんが、一郎太に気付いてたなんて。
*
幸せな時間はたった一言で、小さな行動で——壊れてしまう。
*
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.30 )
- 日時: 2010/09/05 13:43
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: ubJFnUz6)
第十五話 〈潜む者〉のせせら笑い
*
これが本当の貴方なの?
*
カゲトは今日から私と一緒に暮らす事になった。
リュウジくんはいつのまにか住み着いている。なに考えているんだか。
因みに私はこの二人を厳しく制限している。
一、風呂中に話しかけるな。話しかけたらぶっとばす。
二、ずかずかとレディの部屋に入るな。ノックぐらいしろ。
三、飯の代は自分で稼げ。こっちだって努力している。
四、節約しろ。誰も部屋にいないんなら消せ。
五、節約しろとは言っているが目を悪くしろとはいってない。
などなど。
処罰は部屋に閉じ込める。
子ども扱いされてすっごい怒った二人に落書きされたからもう一回閉じ込めてついでに晩御飯もぬきにした。
いつのまにおふくろになったんだろう私。
出来れば一郎太の子どものおふくろになりたかったと言いたいところだがそれは二見さんがやってくれるだろう。
彼女が教えるほうが教養のいいこになるだろうし!
諦めるって、譲るって決めたんだ。
新しい恋を展開するって決めたんだ。
だからもっと乙女にならなきゃね!
……到底無理っぽいけどサ。
郵便配達にすっとんでくリュウジくん。
こいつ、食べるの早すぎ。壁山と対決できるぞ。
今日は土曜日。リュウジくんは大変だなー。
因みに私のアルバイトは店の宣伝。月曜日水曜日木曜日が私の当番☆
結構人気なんだよ。
——平和な時間を破壊したのは、轟音だった。
「今、スゴイ音しなかったか?」
「……したわね」
「見に行ったほうがいいんじゃ、」
「野次馬はやめなさい」
そう言ったけど、私も気になった。
眉を顰めて、二階に行くカゲト。
「おっ、おいっ! 姉貴っ! 壊れてんの、雷門中だっ!」
「んですってぇ!? いくわよカゲト! 野次馬感性だしまくれ——ッ!」
「変換早すぎ!!」
学校が壊れた?
嫌な予感がする。
嫌な予感は、あたった。
廃墟となった学校の上に屹立し、右足で黒と紫のサッカーボールを踏みつけている少年。
その顔はあくまでも無表情。若葉色のポニーテールが、日の光に輝いている。
耳の前にある髪が、曲がっている。なにが起こったのかは知らないが、この曲がった髪は……。
「レーゼ……」
そう呟いた瞬間、リュウジくんは、レーゼは、せせら笑いをした。
なんて冷たい笑顔なんだろう。
いつもあっている、明るいリュウジくんとは別人だ。
耳の前にある髪が、曲がっている。そうか、あれがレーゼになったしるしなんだね。
円堂たちがやってきて、またもや廃墟とかした学校に唖然としている。
ねぇ、なんで?
なんで壊すの?
貴方の学校でしょ?
私の学校でしょ?
みんなの学校でしょ?
ねぇ——なんでよ?
私は気付いた。レーゼの肩。血が出ている。
リュウジくんは血を見た。そして、〈潜む者〉が目覚めて、暴走しだした。
そして、暴走した〈潜む者〉は、学校を破壊した。
「やめてよ。そんなの、リュウジくんじゃない……」
私はあの時、どうやって彼を止めたの?
覚えてないよ。わかんないよ。
私に彼を止める力なんかないんだ!
私に頼らないで。私になんかなんにもできないんだから!
私、彼を止めることなんて出来ないよ。
ねぇ、これが本当の貴方なの? ——リュウジくん。
*
やめてよ。そんなの、リュウジくんじゃない。
*
- Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.31 )
- 日時: 2010/09/05 14:34
- 名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: ubJFnUz6)
第十六話 triangle
*
もう、後戻りはできない。
*
「リュウジくん! 目を覚まして——そんなことしないで!」
私に、リュウジくんをとめることなんて出来ない。
暴走した彼を止めるなんて、至難の技だ。
いいや、とめることなんてできないのかもしれない。
ねぇ、瞳子さん。なんで私なの?
瞳子さんのほうが私より責任感があって、しっかり者じゃない。
瞳子さんならきっととめられたよ、リュウジくんを。
だって、瞳子さんって厳しいけど、でも、その厳しさの中に優しさが見えるから。
所謂「愛のムチ」ってやつだよね。
血の繋がりもない子どもたちに優しく、厳しく接している瞳子さん。
瞳子さんなら、とめられたよ、リュウジくんを。
私には……無理だよ。出来ないよ。
きっと六年生の時のことだって、何かの間違いだったんだ。
私が話しかけた時に、偶然直った——それだけのことなんだよ。
だって、私がいくら呼びかけても、返事してくれないんだよ、リュウジくん。
「姉貴、なにもたもたしてんだよ!」
えっ……?
カゲトが私の体を揺さぶってた。
すっごく力強く。
「早く助けに行けよ! 出来なくたってゴリ押しでなんとかしろ! 努力しろよ!」
ねぇ、いつのまに、こんな風になったの?
ねぇ、いつのまに、こんな表情をするようになったの?
ねぇ、いつのまに、こんなに力強くなったの?
ちっちゃかったのに。私の中で、まだ貴方はちっちゃかったのに。
いつのまに、こんな大人になったの? いつのまに、男の子から少年になったの?
私、ずっと知らなかった。
貴方がこんなに強くなったなんて。
でも、おかげで目が覚めた。
そうだよね。最後の一刻まで頑張り続けなきゃね。
「ありがとう、カゲト……私、全力でいく!」
「それこそ姉貴だ!」
ぐっと親指を突き出すカゲト。
私も親指を突き出す。
「じゃあ、いってくるね!」
私は走り出した。
<潜む者>に支配された少年のもとへ。
「リュウジくん!」
ゆっくりと、実にゆっくりと、リュウジくんの外見を持ち、レーゼの中身を持つ少年が振り返る。
表情の無い顔はどこか人を見下したみたいに、尊厳な雰囲気を感じさせる。
姿はリュウジくん。だけど、中身は完全にレーゼ。
レーゼの行動をし、レーゼの声でしゃべり、レーゼの表情をし、レーゼのサッカーをする。
姿はリュウジくんでも、中身はレーゼ。
でも、それはこうとも言える。
中身はレーゼでも、姿はリュウジくん。
<潜む者>の冷たさは、怒りの冷たさ。憎しみの冷たさ。
口元を吊り上げて笑う、レーゼ。
お前一人になにが出来る。この学校はもう破壊したんだだって、言ってるみたいに。
まだまだ、終わってない。
このまま放っておいたら、やがて彼は他の学校も壊すだろう。
残酷な冷笑を浮かべながら、なんの躊躇いもなく。
もし、血を見せなければ、元に戻るだろうか?
心の底から湧き出た、〝のぞみ〟。
でも、それが間違いだった。
私は、一歩前に踏み出した。
彼との距離はあと少し。
でも、それが間違いだった。
彼の、小枝のように細い右腕が伸びた。力を入れて叩けば折れてしまいそうなほど、細い。
その小枝のような腕が、わたしの手首を握り締める。
その細さからは想像できないような力。
彼は無表情に戻っている。
どくんどくんと、私の心臓が高鳴る。
<潜む者>に支配されたリュウジくんは、どうなるんだろうか。
きっと、リュウジくんは眠る。意識を失う。
そして、その代わりに、目覚めるのが<潜む者>——レーゼ。
つまり、こいつは二重人格と考えていいかもしれない。
じゃあ、リュウジくんはレーゼである時の記憶を失っているんだろう。
二重人格とはそういうもの。〝普段の自分〟は、〝もう一人の自分〟の記憶を持っていない。
彼の腕が、私をひっぱる。左腕が、私の背に触れる。
解いて逃げなきゃ、と思った時にはもう遅かった。
*
私のfastkissは、<潜む者>に奪われた。
*
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