二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜20話更新
日時: 2012/06/25 02:41
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

最近忙しくて更新率が悪いです。

フェアリーテイル第二弾です。完全オリジナルストーリーを作りたいと思って始めます。
と、言っても竜関係のことは被るところがあると思います。ここは大事なところだと思うので・・・・。
そんな中途半端な自分ですが、よろしくお願いします。



その他掲載小説
・モンスターハンター・バロル・・・完結!
・モンスターハンター・バロル—根源との争い—
・フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜
・テイルズオブザワールド
・怪談百記物語(複雑・ファジー)

キャラ紹介

名前:シト  性別:男  年齢:??

使う魔法:滅竜魔法(無)  技集>>10

好きなもの:人以外の生物  嫌いなもの:人

備考・・・
大怪我を負っていた処、フェアリーテイルに拾われる。
人を非常に嫌っており、まともに対話することも嫌っている。
だが、人以外の生物には心を許し、無垢な笑顔を見せたり、会話も出来たりする。
幼少の頃、無の竜『ザルチルーニ』に育てられた。
それ以外の過去をを語ろうとはしない。
そんなシトだが、フェアリーテイルに入って少しずつ人に心を開いていくようになっていく。



名前:シャーナ  性別:女  年齢:19歳

使う魔法:重力(グラビティ)  技集>>11

好きなもの:ギルド  嫌いなもの:フェアリーテイルを馬鹿にする人

備考・・・
大怪我を負ったシトを発見して、フェアリーテイルまで運んだ本人。
ばっさりとした性格で面倒見が良い。
小さい頃に親をなくし、物心が着く頃にはギルドにいるため、
ギルドに対する愛着が人一倍強い。



名前:サクラ 性別:女 年齢:17歳

使う魔法:滅竜魔法(花)  技集>>22

好きなもの:花  嫌いなもの:害虫(ゴキブリ・ムカデ等)

備考・・・
当初、自分が滅竜魔導士だと思っていなかった。
花が好きでよく花言葉を使う。




1話>>1  2話>>2  3話>>7  4話>>8  5話>>9

6話>>12  7話>>13  8話>>14  9話>>15  10話>>16

11話>>17  12話>>18  13話>>19  14話>>20  15話>>21

16話>>23  17話>>27  18話>>29  19話>>30  20話>>31

Page:1 2 3 4 5 6 7



Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜10話更新 ( No.17 )
日時: 2011/05/25 23:00
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

11話〜サクラの魔法〜




「じゃあ、サクラは一年前にギルドに来たんだ」

「うん」

目的の場所に向かう馬車の中、3人はお互いの事を話していた。

「シャーナは?」

「私は物心着く前にはギルドにいたかな」

「そんな前からいるんだ」

シャーナの言葉にシトが少し驚いた表情を見せる。

「そ!私にとってフェアリーテイルは家族なの。仲間との意味でも、本当の意味でも。
血が繋がって無くても家族と呼べる事、シトなら分かるよね」

「・・・・うん」

シトにとってザルチルーニは紛れもない親だ。言葉を、魔法を、そして生き方を
教えてくれた父さんだ。そこはシトも共感できる。

「私も分かる・・・・・かな」

「え?サクラも?」

サクラの言葉にシトが反応した。サクラは膝を抱え、
何か大切なことを思い出してる顔をしている。その顔に柔らかな笑みが零れる。

「私も『人じゃない親』に育てられてるから。シトの気持ち、よく分かると思う。
種族とかそんなのは関係ない、親子の絆」

人じゃない親と言うのがシトは気になったが、聞きそびれてしまった。
話終わった後、サクラが顔を膝に埋めてしまったからだ。
思い出の中に何か思い出したくはない記憶があったのだろうか。

それを見てシトも早く自分の抜けている記憶を見つけようと思った。
無くても困ることはないかもしれないが、思い出さなければいけないことがあるような気がするのだ。

—ズズゥン!!—

「何!?」

馬車が急に傾き、中が荒れる。そんな中最初に起き上がったのはシャーナだった。
シャーナは状況を確認するべく外へと出た。
するとそこには馬が地面にめり込み、馬車使いが前に飛び出した形で、
同じように地面に這いつくばっている。

「いけない!!」

シャーナは直ぐに辺りの重力場が乱れていることに気が付き、それを正常に制御する。
それにより馬も馬車使いも一命は取り留めた。

「あ・・・ありがとうございます!!馬を走らせていたら突然、ウマが前のめりに崩れてしまって」

「可笑しいな〜〜。情報じゃあ重力場も範囲はまだ大分先なんだよね」

「・・・・重力場が拡大してるってこと?」

顎を摘まんで考えるシャーナにシトが言った。それに反応したのはサクラだった。

「だったら急いだ方がいいかも」

「確かにね。これ以上は馬車じゃ行けないし。それじゃあいこっか」

「ちょっと待った」

いざ行こうとするシャーナを止めたのはシト。それにシャーナがむくれっ面になる。
シトはそれを宥めてから口を開いた。

「ここから先は高重力場なんしょ?重力で反発できるシャーナや、
重力場を消せる僕はいいけど、サクラは大丈夫なの?」

「私なら大丈夫」

サクラはそういうと、歩き出し重力場の中へと一人で入っていく。

「ちょ・・・・」

シトが止めようとするが、それをシャーナが止める。

「大丈夫」

シャーナはそう言って、サクラの方を指差す。シトがそちらを見ると
サクラの足元からピンクの花びらのようなものが浮き上がってきた。

「・・・・・」

シトはその花びらと、それに囲まれているサクラに見惚れる。それを見て、シャーナが呟いた。

「あんま見惚れないほうがいいよ」

「え?」

言葉の意味が分からずシトが振り向くと、シャーナは言葉を続けた。

「サクラの魔法はその花びらに魅せられたものが花びらに触れると、
絶対にさけなければならなくなるの」

「・・・・意味がよく分からないんだけど」

シトの言葉にシャーナは少し考えた後、口を開いた。

「ほらっ、人って熱いものに触れると反射的に手を引くよね。
それと同じであの花びらに魅力を感じる人は、触れることを畏れて反射的に避けるの。
・・・・例え自分の体が裂けようとね」

「けど、それと重力場を防ぐのって・・・・」

シトが納得いかないような表情でそう言うと、シャーナはシトに指をさした。

「話は最後まで聞く!
サクラの魔法の凄いところは人だけじゃなく、植物、魔法、はたまた空気なんかにも
花びらを魅せることが出来るってこと。勿論、重力にもね。
だから、今は魅せられた重力場が反射的に花びらに囲まれてるサクラを避けてるってこと」

「・・・・凄い」

「だから、あんま見惚れてるといざって時ズタズタになっちゃうってこと」

「・・・・恐ろしいこと笑顔で語んないでよ」

「二人とも、何してるの?」

何時の間にか二人の傍に来ていたサクラが不思議そうな顔で尋ねた。
シトはその足元から花びらが出ていることに、少しおっかなびっくりする。
それを見てサクラは少し首を傾げた後、原因が分かると薄く笑った。

「大丈夫。仲間を傷つけるような真似はしないから」

「そ・・そう」

「そんじゃ。改めて出発しよ!」

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜11話更新 ( No.18 )
日時: 2011/07/01 09:26
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

12話〜餓狼の晩餐からの刺客〜





「ここが実験場?」

「そう!」

三人が着いた場所は大きな荒野のど真ん中。そこには一つ、
大きく陥没した場所があり、シトたちはその丁度縁にいる。

「じゃあ、あそこに浮いてるのが?」

シトがその陥没した場所の中央に浮かんでいる物を指差す。
鍵のような形をした、黄土色の物だ。

「たぶんね〜〜〜。さてと、どうやって取ろうかな?
幾ら私たちでもあの重力場の中心に身を投げたらペシャンコだろうし」

シャーナが顎を摘まんで考えていると、徐にサクラが前に出た。
そしてそのままシトの腕を取る。

「ちょっ!!サクラ!?」

シトが慌ててサクラの腕を振り払おうとした。今シトの体には魔力の膜が張られている。
それは高重力を消すためのものだが、それだけではない。
他のものも消す消滅の魔力なので、幾らサクラでもそこに腕を突っ込むのは不味い。

シトはそう思ったが、サクラの腕はなんともない。
サクラの腕には可憐な花びらが舞っている。おそらく両方に危害が出ぬよう
上手く魔力をコントロールしているのだろう。
サクラはシトが落ち着いたのを見てから、シャーナの方に顔を向けた。

「私たちがあの鍵を取ってくる。シャーナは待ってて」

そう言うと、サクラはシトの腕を掴んだまま更に一歩前へと出た。
もう一歩前へ出れば完全に陥没地帯の中に入る。

「サ・・・サクラ?」

もう一度サクラの名を呼ぶシト。サクラは今度はシトの方を向くと口元に笑みを浮かべた。

「行こ、シト」

「ええ!?ちょっとぉぉぉおおぉ!!」

サクラはそのままシトの返答を待たずに超重力地帯へと滑りこんでいった。
勿論、シトを連れて。その様子を覗き込みながら見ていたシャーナが呟いた。

「あ〜〜あ、行っちゃった。まぁ、大丈夫か、あの二人なら。
・・・・・じゃあ、私はこっちの用事を済ませちゃおっか」

そう言って振り返ったシャーナ。その後ろにいたのは・・・・・・。

————————————————————

「ってて〜〜〜!」

無理やり引っ張ってこられたシトは上手く地面を滑れず、最後にはこけてしまった。
そんな様子を見たサクラがシトに手を差し出す。

「大丈夫?」

「大丈夫・・・・だけど・・・・・・」

シトはそこで言葉を切ると、サクラの方を何か言いた気な表情でじっと見る。
それにサクラは不思議そうな顔で首を傾げる。

「どうしたの?」

「急に腕引っ張ってこんなところに連れきといて、どうしたの?はないと思うよ」

幾らシトが魔法で重力場を消せると言っても、急に引っ張られてもし
体を覆う魔力の膜を多くしていなかったら一大事だったのだ。
その言葉にサクラは少しぽけっとした後、ああ、と言った顔で口を開いた。

「シトの魔法ならこれぐらい大丈夫って、信じてたから」

「ああ、そう・・・・」

シトはそれ以上追求することを止めた。そして気を取り直すと上に浮かぶ鍵を見上げた。

「あれを壊せばいいのかな?ねぇ、サク・・・・・」

—グシャーーーーン!!!—

「サクラ!!!」

————————————————————

「どうしてこんな所にいるのかな?馬車使いさん」

「おやおや、なんというお言葉で」

シャーナの後ろにいたのは三人をここまで連れて来てくれた馬車使いの人だった。

「気付いていたのでしょう?初めから」

馬車使いの人はニコニコしながらシャーナに話しかける。それにシャーナも笑顔で答える。

「ま〜〜〜ね〜〜〜〜。前に押し出されて吹き飛んだわりに、君は馬車より随分と前の方に倒れてたし。
それに君がいた場所には地面にめり込まれた跡がなかったから。
馬の方はばっちしあったのにね。君、演技苦手でしょ?」

「私は嘘が苦手でしてね」

自分の失敗になんも問題がないかような素振りで言う。
先ほどまでの馬車使いの男は既にそこになかった。

シャーナはこの男に妙な違和感を感じていた。それはこの男が『何もしていないこと』。
この高重力の中で魔法で反発や消し去っている様子がないのだ。
ただそこに当たり前のように立っている。

「さて、私がここにいる理由・・・・・お分かりですよね?」

「スケープゴート・・・・・かな?」

「ご名答。魔法局が魔法開発でこれほどの失敗があったとなっては、
これからの事業にいろいろと支障がきたすようでしてね。
そのためにもこの大きな異常を別の者のせいにする必要があるのです。

そのためにわざわざ評議院には話を通さず、元々重力の魔法が使える者がいるギルドに
直接依頼を届けたわけです」

つまりは魔法局の信頼を保つために、濡れ衣を着せようということだ。
シャーナは事情を把握した後、ため息を吐いた。

「でも、どうやって私たちのせいにするの?こんなの人一人の魔力の暴走でどうのってレベルじゃないし、
それを知った私が濡れ衣を着たまま黙ってると思うの?」

「大丈夫ですよ。公式では成らず者が魔法局に盗みに入り、開発途中の重力を操る魔水晶を強奪。
その後それを使用し、魔水晶は暴走。巻き込まれたあなたは死ぬ。仲間の皆さんには記憶操作で
あなたの事は完全に忘れて貰う。これが私たちが立てたあらすじです」

笑顔でとんでもないことを語る男。

「君、魔法局の人じゃないよね?」

「勿論。魔法局の方々は魔法を生み出すスペシャリストであって、扱うスペシャリストではない。
私は魔法局に雇われた暗殺専門の闇ギルド『狼餓の晩餐(ウルフ・ド・ハング)』のアキと申します」

アキはそう挨拶した後、シャーナに向かって襲いかかった。
その手には小型のナイフが握られている。

「尋常にその首、取らせていただきます」

アキはそのナイフを振るうが、その刃はシャーナには届かなかった。
シャーナはジャンプしてアキの後ろを取る。それにアキは一つため息を吐いてから言った。

「素直な子の方が、おもてになりますよ」

その言葉にシャーナはべーー、と舌を出した。

「素直に首を切られるのがもてる子なら、私はもてなくてもいいよ〜〜」

「では、無理にでも素直な子になって貰います!」

「やれるものなら、やってみなよ!」

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜12話更新 ( No.19 )
日時: 2011/08/03 23:27
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

13話〜私の家族〜




「ペインレター」

アキはナイフを二本投げた。この重力場にも関わらず
そのナイフは真っすぐシャーナへと飛んで行った。

「こんなの当たらないよ!!」

横に飛び、ナイフを交わすシャーナ。それを見てアキは薄く笑った。

「それは私からのラブレターです。受け取り拒否は・・・・・出来ませんよ!」

ナイフは軌道を変えシャーナへと向かっていく。
シャーナはそれを見て立ち止まると、手を前に構えた。

「サン!!」

シャーナの言葉と共にナイフがだんだん降下していって、
最終的にはシャーナの足元にめり込む形になった。
シャーナは一瞬得意げな表情を見せた。と、アキが後ろに手を回すと小さな鍵を取り出した。
それは後ろの高重力場に浮かんでいる鍵と酷似しているものだった。

「そっか。それがあるから平気なんだ」

「ええ。これはあそこに浮かんでいる物よりも劣化品ですが。
この場の重力に反発する力は持っています」

どうしてわざわざそれを見せたのか不思議がったが、それ以上に不思議に思っていることがあった。

「どうして笑ってるのか、気になるんだけど?」

アキが笑みを浮かべているのだ。アキはよく笑みを浮かべるが、今回のはやけに気味が悪い。
その笑みを一層強めたからアキは言った。

「それはあなたがあまりに油断してるからですよ」

「??」

アキの言葉にシャーナが更に怪訝そうな顔をすると、アキは視線を下にずらして言った。

「その程度の力で抑えた気になってることが、油断なのですよ」

「!!」

その瞬間、地面に埋まったはずのナイフがカタカタと揺れ始め、地面から抜け出ると
シャーナに向かって再び刃を向けた。
両方とも顔を掠めるだけで済んだが、シャーナは解せない表情を一層強めた。

自分はナイフに通常よりも百倍の重力を込めた。それはアキと話している最中も続けていた。
それでもナイフはいとも容易く浮き上がったのだ。

「解せない・・・・といった表情ですが・・・・・」

アキがシャーナの顔を見て言う。

「そう難しいことではありせんよ。これが私とあなたとの差です」

「うっそだ〜〜」

シャーナは冗談交じりの顔でそう言ったが、内心では相当追い込まれていた。
シャーナの長年の勘でこの男の方が強いと悟ってしまっていたのだ。
下にはシトたちがいる。逃げることは出来ない。
どうすればいいか。それを考えるのに思考が傾いた瞬間、アキはシャーナの傍に近寄り抱きついてきた。

「ちょっと!!離してよ!!」

シャーナは暴れるも男の力に勝てるわけもなく、魔法も鍵のせいで効かない。
アキが何を企んでいるかは分からないが、ピンチなのは直ぐに分かった。

「少し・・・私の魔法の説明をしましょうか」

「??」

「私の魔法は凶刃(デッド・エッジ)。私の周りに私が思う形のナイフを生みだし、操ることが出来る魔法です。
勿論、私自身が生み出したものですから、私には一切傷は付きません。
・・・・・・ですが、ああたはどうですかね?」

「・・・・・・!!」

アキが言ってることの意味が分からず少し考えて、ある一つの事が浮かんだ。
・・・・・そしてそれが現実となった。
アキとシャーナ。その二人を取り囲むように無数のナイフが出現した。大きさ、形は様々。
だが、その刃の狂気は全てアキに向いている。そしてアキのに口元が不気味に動いた。

「デス・ピーラー」

—キュイイィィィィィィィンン!!!!—

「ああああああああああ!!!!」

無数の刃に体を切り刻まれたシャーナ。その場に血だらけになり倒れこんでしまった。
その頭を踏み躙るアキ。それでもシャーナはピクリともしない。

「くくっ!最近ではフェアリーテイルはこの国一のギルドと噂されていますが、
私たちから見れば、屑当然のギルドですね」

—ピクン—

その言葉を聞いてシャーナの体がピクリと動いた。

「屑?・・・・・フェア・・・リ・・・テールが?」

「まだ意識があったのですね。そうですよ、屑!闇ギルドの中にはあなたたち程度のギルドは沢山います。
それなのに表舞台に立てるからと言って、逆上せ上がり調子に乗っているギルドなど屑ですよ!!」

「・・・・・・」

フェリーテイルを罵倒するアキにシャーナは黙ったまま。アキはさらに続けた。

「ふふ・・・・そうですね。先ほどはギルドの皆さんには記憶操作してなどといいましたが、
面倒ですからギルド全員を皆殺しにでもしましょうか。
評議院ではフェアリーテイルは問題視してますから、きっと喜ばれるでしょうね。

所詮は弱者の集まりのギルド。我々が押し込めばあっという間に・・・・・」

—バチン!!—

「!!」

アキが突然吹き飛ばされる。アキも何が起きたのか分からず、そのまま倒れ込む。
逆にシャーナは立ちあがっている。

「フェアリーテイルが・・・・・屑?
私の家族の皆を馬鹿にするなんて、君・・・・・・」

「!!」

シャーナは何時の間にかアキの目の前立っていた。

「覚悟出来てる?」

「っ!!」

シャーナに恐れを感じたアキ。それでもアキは立ちあがり距離を取ると叫んだ。

「そんなボロボロの体で私に勝てるとでも?ペインレター!!・・・ぐふ!!」

ナイフを生み出し、それをシャーナに飛ばそうとしたアキだが、何故だがそのナイフが
自分に向かって来た。幸い刃はこちらには向いていたなかったのだが、ダメージはそれなりにある。
何が起こったのか分からず、シャーナを見るとこちらに手を前にさし出していた。

「もう君はナイフを出すことは出来ないよ」

「・・・言いますね!」

アキはもう一度ナイフを出す。だが、またナイフが自分の方に向かってきた。
それを見て確信した。目の前の女が自分を中心に重力場を発生させてると。
それでナイフが自分の方に吸い寄せられていると。

「なら・・・・!!」

アキは魔力を解放する。すると、ナイフは動きを止める。笑みを浮かべシャーナの方を見る
アキだが、シャーナが開いていた手を閉じた事でその笑みを消した。いや、消された。
魔力を最大までしてでも、シャーナの魔法に押し負けてしまったのだ。

「私の家族を馬鹿にしたこと、死ぬほど後悔させて上げる」

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜13話更新 ( No.20 )
日時: 2011/09/09 22:10
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

14話〜新たな滅竜魔導士〜




シャーナの魔力は落ち着きを戻したが、まだシャーナの周りを
渦巻くように立ち上っている。

「ふん。死ぬほど後悔させて上げる・・・・・・・ですか。
それは私の台詞ですよ!!」

アキは数多のナイフを生み出し、それをシャーナに飛ばした。
シャーナはそれに対し、突っ立ったまま動かない。
だが、ナイフはシャーナに当たる前に弾かれた
それでもアキは止めない。しばらくそれが続いた後アキは不敵に笑い

「そこ!」

そう言って一本のナイフを飛ばした。それがシャーナの肩を掠める。
シャーナはそこから出る血を拭う。

「よく、当てられたね」

「舐めないでください。こんな重力異常の場での重力操作。
『ムラ』が出ない方が可笑しいですよ」

「ん、確かにそうだね。・・・・・だったら」

サクラが手を前にやる。

「悪いですが、これ以上余計なことはさせませんよ!」

アキはナイフを飛ばしたが、それはシャーナの手の直前でぐしゃっ!と潰れてしまった。
それを見たアキは、驚愕した。・・・・・目には見えない。
だが確実に、そこにこの辺りの高重力場が集まっているのを感じた。

「私の魔法はさ、生物には10倍、物質には100倍の重力の負荷が限界なんだけどさ。
単純な重力操作なら上限がないんだよ。
だからこうやって、このあたりの高重力を一点に集めることも可能なんだよね。
まあその分、魔力の消費は激しいけど」

シャーナはそう言って掌を狙いを定めるかのようにアキに向ける。

「ベクトル変換・重矢の閃光(ジー・アロー)!」

シャーナの手から撃たれる重力の矢。それがアキの体を貫通する。

「・・・・・!!」

アキはそのまま倒れ動けなくなる。それを確認してから、シャーナは疲れたように
息を吐き頭を垂らす。

「やっぱり、空間の重力をかき集めるのは疲れるな〜〜〜〜。
・・・・・・さてと」

シャーナはそう言うと陥没した、シトたちが飛び込んだ穴に目を向けた。

————————————————————

「何、これ・・・・・?」

シトは地面から出てきたものに目を向ける。
それは大きなムカデのような姿をしたモンスター。そのムカデがサクラを口で捉えたのだ。

「んっ!!」

—ギギャ!—

サクラは自分の周りに花びらを出現させた。それによりムカデが一瞬動きを鈍らせる。
サクラはその内に脱出を試みるが、それよりも早くムカデがサクラを真上に飛ばし、口を大きく開けた。
どうやら丸呑みにするつもりらしい。それを見て、シトは駆け出した。
間一髪、サクラがムカデの口の中に消える瞬間サクラを救出することに成功した。

「ふ〜〜〜。大丈夫?」

「うん。ありがとう」

サクラを降ろしてシトはムカデを見た。硬そうな外殻が嫌に目に引く。

「このムカデこの重力場でも平然と動いてるね」

「うん。それだけの筋力がこのムカデには備わってるってことなのかな。
そしてそれを支えてるのが・・・・・」

「あの鎧の様な殻・・・・・か」

「うん。だからあの鎧を剥がせばなんとかなるかも」

「分かった!」

シトがムカデに駆け出す。それに合わせるようにサクラも花びらを出し、
シトの脇を抜けていく。

「降舞・暁」

花びらがムカデの真上に上ると、そのまま真下に向かって落ちた。
ムカデがサクラの花びらで埋もれる。だが、ムカデはそれをすべて吹き飛ばす。
それを見て、シトは大きく息を吸った。

「ゼロ!」

ムカデは消滅の波動をまともに喰らったが、それでもピンピンとしている。

「そんな・・・・!!」

シトは目を丸くした。今までも防がれたことは何回もあるが、
それでもあれだけ無傷でいられるのは応える。

「ここの重力場の影響が強いのかもしれないけど、あの強固な殻も
シトの魔法を防ぐだけの力があるみたい」

サクラも困ったような顔で言った。
そのムカデはというと、シトたちの様子を暫く見た後、地中へと潜り込んだ。
暫くの沈黙。だが、すぐにシトたちの足元が大きく揺れたかと思うと、
ムカデが飛び出してきた。

「くっ!・・・・・リアン!!」

シトは両腕に魔力を纏い、腕を交差させムカデの攻撃する。
ムカデの体にはバッテンに煙が上がるが、殆ど無傷であった。

「くそっ!」

「シト!もう一度ブレスやって!!」

「どうするの!?」

「同時に攻撃する!」

それにシトは頷き大きく息を吸い構えた。だがそこで、溜めた息を吐きそうになってしまった。
なんとサクラも同じようなポーズをしていたのだ。だがシトは気を取り直し、ムカデを見据えた。

「ゼロ!!」
「乱舞・霞!!」

—ブオオオオオオン!!—

二つのブレスが混ざり合う。性質上反発しあうと思ったが、
二つは上手く絡み合い、威力が倍増してムカデに直撃した。

「上手くいったね、シト。・・・・・シト?」

「・・・・・・」

上手く合わさったブレスに笑顔を浮かべるサクラ。だが、そのサクラがシトの方に顔を向けると、
シトは目を丸くした状態でサクラをじっと見ていた。

「やっぱり・・・・・・そうなんだ」

「何の事?」

シトの呟きにサクラは首を傾げる。
シトの思っていたこと。それは初めて会ったときから感じていた妙な違和感。
それが今の攻撃で感じた感覚ではっきりとした。

「君も・・・・・滅竜魔導士なんだ」

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜14話更新 ( No.21 )
日時: 2011/10/31 22:32
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

15話〜花の滅竜魔導士〜

「私が・・・・・滅竜魔導士?」

「・・・・・気付いてなかったの?」

シトの発言に目を丸くするサクラ。その反応にシトも驚きの表情を見せる。
サクラがどういった経緯で滅竜魔法を覚えたにしても、
それを知らずに使うことなどはないはずだ。
どんな魔導士でも、自分の扱う魔法ぐらいは熟知しているはずなのだ。

「・・・・・サクラがその魔法を教えてもらったのって、
馬車で話してた人じゃない親ってのだよね?」

「うん」

「それってドラゴンでしょ?だったら・・・・」

「違うよ」

「え・・・・・」

てっきりドラゴンだと思っていたシトは、サクラの言葉に言葉が詰まる。

「私を育ててくれたのは・・・・・」

—ギシャァァァァァアアアァァァ!!!—

サクラが言おうとした瞬間、今まで倒れていたムカデが起き上がった。
所々殻にヒビが入り、崩れそうになっているがそれでも尚、向かってくる。

「こいつ、まだ・・・・・!!」

「竜胆」

「え?・・・・・ええっと、花言葉は?」

一瞬、サクラが意味不明な言葉を発したと思ったシトだったが、
サクラは花言葉を使うと言うのを思い出し聞いてみた。

「勝利を確信する」

サクラの笑みを含んだ言葉に、シトも微笑する。
それを見て、サクラは手を前に構えて、集中し始めた。

「連舞・朝霧!!」

花びらがムカデを囲むように舞い始めると、個所個所で一つの団子状に固まり始め、
幾多の花びらの弾丸がムカデを襲う。

「ダスト!!」

更に追い打ちを掛けるように、シトが連打を浴びせる。

—ギ・・・・ギ・・シャ・・・—

ムカデの動きが止まり、今にも倒れそうだ。それを見て二人を顔を合わせると、頷いた。
そして互いに息を大きく吸い込んだ。

「ゼロ!!」
「乱舞・霞!!」

再び二つのブレスが混ざり合い、一直線にムカデに向かって行った。
直撃を受けたムカデは木端微塵となり、攻撃の余波で宙に浮いていた鍵も砕け散った。
それにより、辺りの重力場が落ち着きを取り戻す。

「ふ〜〜〜」

ようやく高重力場から解放され、魔力を張っている必要が無くなったシトは、
力を抜くように大きく伸びをした。

「シト」

名前を呼ばれ、シトが振り向くとサクラが手を上に構えてこっちを微笑んでいた。
その意図を理解したシトも手を上にやり、ハイタッチをする。

「これで依頼完了だね」

「うん。・・・・・ところで、さっき言ってたサクラの親って?」

先ほど聞きそびれてしまったことをサクラに問うシト。

「ああ、うん。私の親ってのは・・・・・・妖精・・・・だと思うの」

「え?・・・・・妖精?」

少し答えずらそうに口を開いたサクラから聞いた予想だにしない言葉に聞き返すシト。

「そう、妖精。名前はノージュ」

「驚いた。妖精って、本当に実在してたんだ」

目を丸くするシト。それもそのはずだ。シトたちが入っているギルド・フェアリーテイルの名前には
妖精には尻尾があるのか、本当に存在するのかも分からない。
だからこそ永遠の謎、永遠の冒険。そういう意味が込められている。
その真意を知る者がこのギルドの中から現れたのだ。

「・・・・・でも何で妖精が滅竜魔法を・・・・・・?
っていうか、だと思うって?」

「私は育ててくれたノージュの姿に疑問を持ったことなんて無かったから聞かなかったんだ。
けど、ノージュが消えて一人彷徨ってたらこのギルドを見つけたんだけど。
そのマークがノージュそっくりだったの。だから、もしかしたらノージュは妖精だったんじゃないかって」

そう言ってサクラは自分の右腕に押されたフェアリーテイルのマークに触れる。

「消えてって・・・・まさか!!」

「ううん。7月7日とは関係ないよ」

「あ・・・そう・・・・」

一瞬舞い上がってしまった自分に反省するシト。

「お〜〜〜〜い!!二人とも〜〜〜〜」

と、そこで上から声がした。それに二人が振り向くと、シャーナが手を振っている。
二人はそれを見て穴から出ると、そこにいたシャーナの状態に目を丸くする。

「シャーナ!それ・・・・!!」

「ああ・・・・うん。ちょっとね」

「そっちにも、ムカデが来たの?」

「ムカデ?・・・・・・うん。ちょっとドジっちゃってね」

無理に笑顔を作って見せるシャーナ。が、直ぐに限界が来たのか、ふらつく。
それを見てシトが駆け寄り、倒れそうになったシャーナの手を取った。すると・・・・・

「「「え?」」」

その場にいた3人が同じ声を漏らした。その原因というのは

「傷が治った?」

そう。シトがシャーナの手を取った瞬間、シャーナの傷が消えたのだ。

「今やったの・・・・シト?」

「え?・・・・・僕は何もしてないけど」

目の前で起きた現象に戸惑いを隠せない3人。それでも、シャーナのダメージまでは消えていないようで、
シャーナはそのまま気を失ってしまった。

「シャーナ!!」

「大丈夫。眠っただけ。取りあえず、急いでフェアリーテイルに戻ろう」


Page:1 2 3 4 5 6 7



この掲示板は過去ログ化されています。