二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜20話更新
日時: 2012/06/25 02:41
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

最近忙しくて更新率が悪いです。

フェアリーテイル第二弾です。完全オリジナルストーリーを作りたいと思って始めます。
と、言っても竜関係のことは被るところがあると思います。ここは大事なところだと思うので・・・・。
そんな中途半端な自分ですが、よろしくお願いします。



その他掲載小説
・モンスターハンター・バロル・・・完結!
・モンスターハンター・バロル—根源との争い—
・フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜
・テイルズオブザワールド
・怪談百記物語(複雑・ファジー)

キャラ紹介

名前:シト  性別:男  年齢:??

使う魔法:滅竜魔法(無)  技集>>10

好きなもの:人以外の生物  嫌いなもの:人

備考・・・
大怪我を負っていた処、フェアリーテイルに拾われる。
人を非常に嫌っており、まともに対話することも嫌っている。
だが、人以外の生物には心を許し、無垢な笑顔を見せたり、会話も出来たりする。
幼少の頃、無の竜『ザルチルーニ』に育てられた。
それ以外の過去をを語ろうとはしない。
そんなシトだが、フェアリーテイルに入って少しずつ人に心を開いていくようになっていく。



名前:シャーナ  性別:女  年齢:19歳

使う魔法:重力(グラビティ)  技集>>11

好きなもの:ギルド  嫌いなもの:フェアリーテイルを馬鹿にする人

備考・・・
大怪我を負ったシトを発見して、フェアリーテイルまで運んだ本人。
ばっさりとした性格で面倒見が良い。
小さい頃に親をなくし、物心が着く頃にはギルドにいるため、
ギルドに対する愛着が人一倍強い。



名前:サクラ 性別:女 年齢:17歳

使う魔法:滅竜魔法(花)  技集>>22

好きなもの:花  嫌いなもの:害虫(ゴキブリ・ムカデ等)

備考・・・
当初、自分が滅竜魔導士だと思っていなかった。
花が好きでよく花言葉を使う。




1話>>1  2話>>2  3話>>7  4話>>8  5話>>9

6話>>12  7話>>13  8話>>14  9話>>15  10話>>16

11話>>17  12話>>18  13話>>19  14話>>20  15話>>21

16話>>23  17話>>27  18話>>29  19話>>30  20話>>31

Page:1 2 3 4 5 6 7



Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜5話更新 ( No.12 )
日時: 2011/03/13 16:44
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

6話〜自然災害の目的〜




「うるあぁぁぁぁ!!超絶ナックル!!」

ギャリナが地面をも砕く一撃を放つ。だが、シャーナには当たらない。

「君、もう少しデリケートに戦うこと出来ないの!?
こんなんじゃ、一生地面を砕くだけで終わっちゃうよ!」

「知るかぁぁ!!」

ギャリナがまた突っ込んでくる。それにシャーナはギャリナが砕いた
事によって出来た岩を蹴りつけた。

「レイ」

岩がギャリナに向かって飛んでいく。ギャリナはそれを拳で砕くと、
さらにシャーナへと迫る。

「ベクトル変換・バック」

「くっそぉ!またかよ!!」

ギャリナの体がまた後ろへと戻される。だが、今度はそれだけではなかった。
ギャリナの真上には、シャーナがギャリナに岩を飛ばした間にセットした岩が配置されていた。

「サン!」

岩が急降下してくる。だが、ギャリナはそれにも自分の拳を突きだした。
同じ岩でも重さが違えば威力も変わってくる。ギャリナは苦しんだが、

「うおおおおおおおおお!!」

拳に纏わせている魔力を高めて岩を破壊した。それにシャーナが少し驚いた表情を見せた。

「今ので拳が壊れなかったんだ。ちょっと驚いたな」

「きゃはは!この俺が岩如きで倒せると思ってんなよ。クソアマーー!!」

再び向かって来るギャリナにシャーナはため息をついた。

「熱い男は嫌いじゃないけど、君は少し熱すぎだね」

シャーナはそう言うと自分も攻撃の構えをした。それにギャリナが嬉しそうに笑った。
肉弾戦なら自分は負けはしないと。ギャリナは体を高速で回転させ足を伸ばした。

「ハイパー回し蹴り!!!」

回転の遠心力と魔法の効果で鋼鉄をも砕く一撃を放つギャリナ。だが、

—トンッ—

乾いた音とともに、ギャリナは目を丸くした。自分の放った一撃を軽く受け止められたからである。
しかも片手で、いとも簡単に。

「私は魔法で操れるのは重力なんだけどさ、重力って何か知ってる?
よくこの大地の万有引力だけって思ってる人もいるけど、遠心力なんかも重力一種なんだよね」

シャーナは左手でギャリナの足を掴むと、右手で握り後ろへと構えた。

「今のは君に働いていた遠心力を0にして、ベクトル変換を蹴りの方向と真逆にしたから蹴りの威力を殺したの。
攻撃力を増加させる君の魔法も、元々が弱いんじゃ効果は出ないんだろうしね。だから、これで終わり。

小槌の重撃(ヘビィ・ショット)!」

右手を僅かに前に出す。と、右手にブースターでも仕込んでいたかのように急加速して、
ギャリナを打つ抜いた。ギャリナはそのまま吹っ飛び倒れた。
ギャリナが動かないことを確認してから、右手を振った。

「う〜〜。腕がビリビリする。ま、仕様がないか」

シャーナはそのままシトが戦っている方へと向かった。そこに向かうとすでに勝負はついていて、
シトのそばではナドが倒れていた。

「そっちは終わったの?シャーナ」

「うん。そっちも終わったみたいだね。・・・・それにしてもこの穴すごいね」

シャーナがそう言って覗きこんだのはシトが作った穴。底が見えない程だ。

「これ、この人直撃したんだよね?よく助かったよね」

「正直僕も分かんない。本気でもやっても死なないだろう思ってやったけど、
本当に死なないなんてね。人間って不思議」

「まあけど、この人が生きてたのは都合が良いかもね。理由が聞けそうだし。
まずそのためにはこの人に目覚めてもらわないと」

————————————————————

「評議院の壊滅です」

ナドの放った第一声がそれだった。

「どういうこと?」

「ふふっ。単純な話ですよ。我々を闇に落とした評議院を恨むのは当然の事。
その手段として用いたのが生体砲弾・キメラ」

「生体砲弾?キメラ?あの妙な怪物の事?」

聞きなれない単語にシャーナが返すと、ナドは軽く笑った。

「そうですよ。我々が生み出した魔法でモンスターを改造し、モンスター自体を砲弾に変え
評議院に打ち込むという作戦ですよ。あの近辺のクレーターはその実験の途中の
試し撃ちのために出来たものですよ。そして今、百体のキメラを
評議院に導入するために準備している」

「そんな・・・」

一体であの破壊力のあるキメラを百体も打ち込めば、間違いなく評議院は潰れる。
どうしたらこれを止められるのか、シャーナが考えていると

—バキッ!—

痛い気な音が聞こえ見ると、シトがナドを殴りつけていた。更に殴ろうとするシトを止める。

「ちょっとシト!どうしたの?・・・・・」

シャーナはシトの顔をみると固まった。シトは泣いていたのだ。

「あなたたちの下らないエゴのために、どうして他の生物が苦しまなきゃならないんだ!!」

「ふん!苦しむ?先ほどもそのようなことを言っていましたが、そんなはずはないですよ。
なぜならキメラとなったモンスターどもには、改造途中に心をなくさせてもらいましたから。
あれは生きる砲弾。砲弾に感情などいらないでしょう?」

「っつ!!この・・・・!!」

更に殴ろうとするシトにシャーナは止めた。

「これ以上この人を殴ったら、君もこの人たちと同じになっちゃうよ」

「どういうこと!?」

睨むシトにシャーナは落ち着いて言った。

「君も自分のエゴのためにこの人を殴ってる。そう言ってるの」

「!!僕はそんなんじゃ・・・・!!」

「本当にキメラにされてるモンスターたちのことを思っているなら、
するべきことは彼を殴る事じゃないはずだよ!」

「・・・・・・」

シトは暫くそのままじっとした後、シャーナの腕を振り解いた。

「これだから人間は嫌いなんだ。傷つけた相手を庇い、労わることで自分はこの世で一番偉いんだと思い込む。
あなただってどうせそうでしょ?僕を助けて僕の手伝いをする事で優越感に浸り、
この人を助けることで自分で自分の事を格好良いとか思ってるんでしょ?」

「・・・・・シト」

「やっぱ僕は人間と過ごすなんて無理だったんだ。大嫌いな人間とだなんて。じゃあね、ばいばい」

シトはそう言うとシャーナの言葉を待たずにその場から消えた。
シャーナは暫く考えた後、村へと戻って行った。

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜6話更新 ( No.13 )
日時: 2011/04/17 12:52
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

7話〜ギルドマスター・ディオ〜




「ここか・・・・・」

シトは一人、荒野に佇んでいた。あれからシトはキメラの発する臭いを頼りに、
自然災害のアジトを探していた。そして今この場所が、一番漂っていたのだ。
目の前には荒野には似つかわしくない一軒家が一つ。シトは覚悟を決めると、そのドアを押した。

「ようこそ。我がアジトへ」

ドアに入った瞬間耳元でそう囁かされ、驚きながら振り向くがそこには誰もいない。
と、突然体に異変が起き始めた。体の力がどんどん失われていき、
立っていることも儘ならない状態になってしまった。

「なん・・・・だ・・・・。これ・・・・・」

シトがそう不思議がっていると、目の前に一人の男性が現れた。
一見ひょうきん者のような男性だが、放たれている魔力が異質なことにシトは唾を飲み込んだ。

「どうだ?全身の力が抜けていく感じは?」

男性が笑顔でそう言った。どうやらこの原因はこの男の仕業らしい。

「なにしたの?」

「ん〜〜〜〜??何もしてないよ。ただ単に君が俺を怖がってるんじゃないの〜〜〜」

男はそう言いながらシトを蹴り飛ばした。体に力が入っていないシトの体は
まるでボールのように吹っ飛び床にバウンドする。
シトは蹴られた場所から伝わる感触に、ようやく自分の体に起きている異常の原因がわかった。

本当にあの男の言う通り、シトはこの男から発せされる魔力の中てられて可笑しくなっているのだ。
男の異質な魔力がこの空間を埋め尽くしている。まるで、このフロア一体が、
この男の体の中のような空間へと変わっている。

「おっとっと。自己紹介もないしいきなり蹴って悪かったな。
俺の名前はディオ。ギルド・自然災害のマスターだ」

「お前が・・・・自然災害の・・・・・!!」

「お!」

ディオは感心したようにシトを見つめた。震える手足を必死に抑えながら立ち上がったのだ。

「どうして・・・・評議院を・・・・・」

「何?もっとはっきり喋らないと、聞こえないぞ?」

ディオは耳をシトに寄せて、シトの言葉を待った。
ディオの魔力に吐き気を感じながら、懸命に絶えシトは続けた。

「今すぐ・・・・モンスターの改造を止めるんだ!!」

—ドボッ!—

「ゴフゥッ!!」

ディオの蹴りがシトの鳩尾に入る。シトは激しく吹き飛ばされ、尚且つ大量に吐血する。
その後ディオは何事も無かったかのように口を開いた。

「うんうん、わかるよ。正規ギルドの君からすれば俺らのやってることは異常だ。
キメラにされてるモンスターが可哀想だよな〜〜〜。うんうん。・・・・・けど」

ディオはシトに近づくと、その髪を掴み顔を上げさせた。

「そんなこと、闇ギルドの俺らには関係ねぇことなんだよ。評議院が潰れたら困るだとか、
モンスターのことなんて俺らが知ることじゃないんだよ。わかったかい?」

その時シトが見たディオの笑顔は先ほどまでとは違い、歪んでいた。
先ほどまでのを作った良い笑顔だとすると、今は本当の汚い笑顔と言いべきだろうか。

「分かったら・・・・そこで大人しく死んでろ」

ディオは再びシトを蹴り飛ばすと、ポケットから幾つかビー玉のようなものを取り出した。
何をするのか、シトが吹き飛ばされながら見ていると、そのビー玉がいつの間にか自分の目の前まで来ていた。

—ドドドドッ!—

鈍い音を立てながら、ビー玉がシトの体にめり込む。ディオはそれでシトが死んだと思い、
シトに背を向ける。だが・・・・・

「っつ〜〜〜〜〜!!」

シトが軽く悲鳴を上げながら起き上がる。それにはディオも驚いていた。

「へ〜〜。俺の弾丸を喰らっても死なないなんて、君もやるね」

「弾丸?」

「そう。俺はこの手で触れているあらゆるものを弾丸のスピードで撃ち出せるんだ。こんな風にね」

ディオはそう言うと、手のひらを差し出した。手の上には何もないが、
突然シトの足元の床に風穴があいた。

「驚いた?今のは俺の手に振れている空気を撃ち出したんだ。これでも結構威力あるんだぜ」

「!!!」

シトは自分が狙われると思い、その場から動いた。だが、足腰が上手く立たず
両腕両足に空気の弾丸を喰らい、その場に倒れこむ。

「やっぱ頑丈だな。普通なら体貫通してても可笑しくはないんだけどな」

「・・・・・まさか、モンスターたちもこんな風に弾丸にしたの?」

シトが歯を食いしばって立ち上がる。それにディオはああ、と言った。

「苦労したんだぜ?俺の魔法は生物には効かないからな。
最終的には周りに装甲させた金属を飛ばすことにしたんだがな、威力が出るか心配だったんだ・・・・・。
あれ?そういや実験させてた奴を見に行った奴らが戻って来てねぇな。
なあ君、何か知らないか・・・・・・?」

余裕の表情を見せていたディオの表情が変わった。それは自分の頬を流れる液体に気がついたからだ。
頬の流れる生温かい赤い液体。血だ。どうして流れているのか、ディオには分からなかったが、
直感が告げていた。目の前の男がやったのだと。

「お前はここで、僕が殺す!」

シトの体の震えが止まった。今のシトの体からはディオの魔力を押し返すだけの
魔力が放たれていたのだ。

「言うね〜〜。なら、やってみろ!!」

—ボカアァァァアン!!!—

シトとディオが互いに向き合い、動こうとした瞬間、アジトの扉が壊れた。
立ち上る煙の中から声が聞こえてきた。

「けほっ!けほっ!!ちょっとナツ!!やりすぎよ!!」

「あぁ?どうせなら派手な方がいいじゃねぇか」

「確かに。これから乗り込もうってのに、ちまちま扉開けて登場じゃあ、締まらねえもんな」

「ほぉら!!もう敵陣の中なんだから。気締めて!!」

聞き覚えのある声にシトはそちらを注視する。

「・・・・・誰だい?人のアジト壊すような奴らは?」

「誰だだぁ?そんなの、俺らしかいねぇじゃねえか」

煙が少しずつ晴れていき、露わになったその犯人たちが声を揃えて言った。

「「「フェアリーテイルだ!!!」」」

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜7話更新 ( No.14 )
日時: 2011/04/05 13:22
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

8話〜ギルド〜




「シャーナ・・・・・マスターも。どうして・・・・」

「どうして、正規ギルドご一行がこんなところに居るのかね?」

シトの言葉を受け継ぐようにディオが言った。それにマスターが前に出て答えた。

「うちのガキが単身で闇ギルドを潰しに行ったと聞いてのう。
それを聞いて飛んでこない親がどこにいる?

ついでに評議院の周りで不審な動きをしてる輩がいると情報が合っての。
シャーナの話を聞いてやって来たんじゃ」

「なるほど」

ディオはそう納得したように頷くと、指を鳴らした。
すると今までどこにいたのか、ぞろぞろと自然災害のギルドのメンバーが現れた。

「お前ら!精々暴れてきな!!」

「「ふぉおおぉぉぉぉ!!!!」」

「おらあああ!!来いやああぁぁあああ!!」

自然災害のメンバーとフェアリーテイルのメンバーが混戦状態へと変わった。

「シト!大丈夫!!」

その中でシャーナがシトの元に駆け寄り、笑顔で言った。
シトはまだ信じられないとばかりの顔をしている。

「どうして来たの?・・・・・また僕を救ったっていう優越感にでも浸りに来たの?」

シトはシャーナに顔を背けて尖がった口調で言った。

「まあね」

「・・・・・」

シャーナのその言葉に、シトは何故か心の奥から嫌な感情が出てきていた。
と、シトの隙だらけの後ろから自然災害の者が襲って来た。

「貰ったーーー!!」

「小槌の重撃!!」

「ぐはぁ!!」

シャーナがそいつを瞬殺した後続けた。

「君が助けてほしくないっと言っても関係ない。無理にでも助ける。
君が来てほしくないって言っても関係ない。来る!
今君を助けるの私のエゴ。君の気持なんてしったこっちゃない!分かった!?」

笑顔で語るシャーナ。それにシトは少し呆けた後、ため息をついた。

「そんなの。その人から見れば良い迷惑だよ」

「関係ない!フェアリーテイルは周りを気にして、自分を殺すような人はいないからね!」

「・・・・・・くっ!!あははははははは!!!!」

シトが大笑いする。それはシトがフェアリーテイルに来て初めて見せたものだった。

「なんだよそれ!よくそれでギルドとしてやっていけてるよね!!」

「あはは。マスターもよく評議院から始末書の山を持ってくるよ」

「なるほどね。・・・・・分かったよ」

シトはそう嬉しそうに言う。何か胸のつかえが取れたような表情だ。

「僕は人間は嫌いだ。それは今も変わらない。けど、フェアリーテイルは好きだ。
・・・・・可笑しいかな」

シトが少し照れ臭そうに言う。シャーナはそれに真面目に答えた。

「ううん。家族を特別に思うのは何も可笑しいことじゃない」

「家族・・・・か。うん。いいかもね。・・・・・・ディオ!!!」

シャーナに笑顔を向けた後、シトが叫んだ。
ディオはと言うと上の方で混戦を観戦していた。

「んん?」

「これは僕が招いたことだ。けじめとして、お前は僕が倒す!」

シトが真っすぐな目でディオを睨む。それにディオがにやりと笑うと下に降りてきた。

「良い目してるね〜〜〜。潰し甲斐がある」

手をコキコキと鳴らした後、シトに手をかざす。と、シトは撃たれたように仰け反るが、
直ぐに元に戻り、撃たれた所をさする。

「それじゃあもう僕にダメージは与えられないよ」

「なるほど。ならこれならどうだ!!」

両手一杯にビー玉を持ち、それを撃ち出すディオ。それを紙一重で交わしていく。

「終わりだ」

ディオは何時の間にか天井に張り付いており、大きな照明灯に触れる。
と、それが高速でシトに降ってきた。

—ガシャーーーン!!—

ガラスが砕け、あたり破片が飛び交う。

「いでぇ!!」

「うわぁ!!」

その破片がフェアリーテイルだけではなく、自然災害の者にも当たった。

「・・・・・やっぱ今のはいてーか?」

「ちょっとマスター!!気を付けてくださいよぉ!!」

「ああ。わりーわりー」

「・・・・・っつ!」

直撃を受けたシト。喰らう直前に消滅のブレスを吐いたが、それを突き抜けてきた。
幾分かダメージは軽減出来たが、それでも体に破片が刺さっている。
それがシトの魔力で見る見る消えていくのを見てディオが言った。

「ああ。お前、滅竜魔導士か。頑丈なわけだ。竜の体質になるんだからな。
それでもまだ、ひ弱だな。本物には程遠い」

「・・・・まるで本物に会ったことあるような言い方」

「さぁ、どうだかね。俺の仲間になってくれるなら教えてやってもいいぜ」

「・・・・この状況で勧誘?」

シトの顔を見て、ディオは薄く笑った。

「言ってみただけだ。・・・・・さてと」

ディオはそう言うと、消えてしまった。それを見て何故か他の自然災害のメンバーも消えてしまう。
辺りに不気味な静けさが過る。

「さ〜〜て、フェアリーテイルの諸君。これを喰らったら幾らお宅らでも無事じゃ済まないぜ」

声を外から聞こえる。と、同時にアジトの中の空気が一変する。まるで伸びきったゴムが
戻ろうとするかのような張りつめた感覚だ。それにいち早く察したマスターが叫んだ。

「皆の者!!伏せておれ!!」

マスターはそう皆に指示を出すと自分は手の平で何かを作り上げていく。

「あれは妖精の法律(フェアリーロウ)!?マスターは何をお考えに・・・・」

「何をしようがもう遅いぜ!!!・・・・・・超凝縮(ビッグクランチ)!!!」

ディオはそう言うと手を空間に翳す。すると空間が震え始めた。

「間に合わんか・・・・!!」

マスターがそう呟く。そして次の瞬間、アジトが一瞬にして潰れてしまった。

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜8話更新 ( No.15 )
日時: 2011/04/22 21:22
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

9話〜ばら撒かれる不穏な影〜




「さてと。引き上げるぜ、おめぇら!」

ディオはそう言うと、自分のギルドのメンバーが
ついて来ているのかも見ずに走り出した。それを見て、メンバーも後を追った。

「ディオさん。いいんですか?あいつら、死んでないかもしれないんですよ?」

「いいんだよ」

ディオは少し笑みを溢しながら言った。

「あれでくたばったんじゃこの先やっていけねぇよ。
竜の子。滅竜魔導士ならなおさらだ」

「ディオさん。あの滅竜魔導士のガキ知ってんですか?」

メンバーの問いにディオは答えなかった。だが、その笑みが何かを知っている笑みなのは
誰から見ても間違いないものだった。

(ザルチルーニの子、シト。くくっ。こりゃ、『竜王祭』の日も近えかな?)

————————————————————

—パラッ!バラバラッ!—

「い・・・・生きてるの?」

頭を押さえ伏せていたルーシィが起き上がる。

「皆無事のようだな」

エルザは既に立っていて、周りの状況確認をしている。
フェアリーテイルのギルドのメンバーも次々に起き上がる。
皆、今起こった状況が把握しきれていない様子だった。
そんな中、最初に叫んだのはシャーナだった。

「シト!大丈夫!!?」

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

シトが肩で大きく息をしている。汗もびっしょりだ。

「良かった。皆無事なんだね」

「シト。お前さん、何をしたんじゃ?」

「別に、消滅の膜を広げて皆を囲んだだけだよ。
けど・・・・結構・・・・厳しいかな」

シトはそう力を振り絞ったように言うと、そのまま倒れこんでしまった。

————————————————————

「・・・・・・」

シトがゆっくりと目を開ける。場所はフェアリーテイルの医務室。
シトは起き上がると、一つ大きく伸びをする。

「もういいの?」

と、そこに現れたのはシャーナ。それにシトが軽く微笑んだ。

「うん。もう平気。ありがとう。・・・・・何笑ってるの?」

シトは言葉の途中でシャーナが笑いを堪えているのが見えた。
それにシトが不機嫌気味に言う。シャーナは笑みを浮かべながらごめんごめんと謝った後続けた。

「少し前とはえらい違いと思ってね。以前の君なら、そんな風には笑わなかったから。
ちょっと驚いた。・・・やっぱり君は人が嫌いな訳じゃないんだよ」

「どういうこと?」

シャーナの言葉の意味が分からなかったシトが尋ねると、シャーナは人差し指を立てて言った。

「ずっと思ってたの。君はよく人間は嫌いだって言うけど、本当は違うんじゃないかって。
それで、今まで一緒にいて分かったの。君は人間が嫌いなわけじゃない。むしろ好きな方。
君は人間が大好きだけど、自分の魔法で消えてしまうのを恐れて距離を置いていたって。
君が恐れていたのは人間じゃなくて自分の扱う魔法そのものなんだってね」

「・・・・・・」

「だから君は最初、人に向かって魔法を放つことを躊躇っていたのよ」

「でもこの感情は間違いなく、人間に対する嫌悪感だ。
自分でもどうして僕はこんなにも人間を嫌っているのかが分からないんだ。
シャーナやギルドのメンバーは良い人なのは感じてる。けど・・・・・」

シトは自分の中の葛藤に頭を抱える。頭では分かっているが、心の底からにじみ出てくる
憎しみがじわじわとシトを侵食していく。

「人間嫌い、昔はここまで酷くなかったって言ってたよね。
何か原因があるんじゃないかな?ほら記憶を失う前はどこにいたのかとかさ」

シャーナに言われ思い返すシト。だが、覚えているのはザルチルーニといた頃の記憶と、
後はほとんど人気を避けて歩んだ様々な道程度。
重要な手掛かりとなる記憶だけ全く蘇ってこない。

「分からないか」

シトの気持ちを察してかシャーナがそう言った。

「まぁ、その内思い出すよ、きっと」

じゃね。シャーナは最後にそう言って医務室を出て行った。
それを見届けてから、シトはベットに倒れこむ。

「ザルチルーニ」

シトはそう呟くとそのまま目を閉じた。夢だけでもザルチルーニに会うために。
深い深い眠りについた。

——————————?????——————————

どこか分からない火山口。そこに住む者の前に来客が来た。

「久しぶりだな、イグニール」

「ザルチルーニ」

イグニールと呼ばれた者は歯を剥き出しにザルチルーニを威嚇する。
ザルチルーニをはぁ、とため息をつく。

「そう威嚇するなよ。ちょっとした挨拶をしに来ただけだ」

「お互いに干渉することは禁じたはずだ」

「少しぐらいの挨拶は構わないだろう?・・・・おまえんとこの奴のギルドにシトが入った。
あいつは人間を自分の魔法で消してしまうんじゃないかと恐れているからな。
その点じゃ、あのギルドなら安心だな。あそこは強者が多く集ってる。
シトの人間嫌いも直っていくだろうな。・・・・そういえばあそこにはメタリ・・・・」

「挨拶だけのはずだ。それ以上下らぬお喋りを続けるつもりなら・・・・」

イグニールがゆっくりと立ち上がる素振りを見せる。それを見てザルチルーニが言った。

「分かったよ。悪かったな」

そう言ってザルチルーニはイグニールの元を去っていく。そして最後に振りむきこう言った。

「話の続きは『竜王祭』でな。じゃな、イグニール」

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜9話更新 ( No.16 )
日時: 2011/05/03 11:26
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

10話〜桜と敦盛草〜




—ワイワイ!ガヤガヤ!!—

あれから数日。フェアリーテイルは何時もの風景が戻っていた。
シトはというと、皆と同じ一階のフロアにいた。
あれから、ギルドに皆に対してだけは大きな嫌悪感がなくなったので、
少しは人に慣れようとここにいるのだ。

「お〜〜〜い!シト!ちょっと聞きてぇことがあんだけどよ」

そう言ってシトに近づいてきたのはナツ・ドラグニル。
シトと同じ滅竜魔導士の使い手で火の竜・イグニールを探している。
乗り物が極端に弱い、ギルドきっての暴れん坊である。

「ザルチルーニがいなくなった日?」

ナツに聞かれた質問を繰り返すシト。
どうしてそのような事を聞いてきたのかは尋ねると、ナツはある人物を指差す。

「あそこに座ってんの、ガジルって言うんだけどよ。あいつも滅竜魔導士なんだよ」

「あい!」

と、そこで声を上げたのは何時もナツと一緒にいる青い猫のハッピー。
魚が大好きでよく喋る猫だ。

「ガジルはね、メタリカーナっていう鋼鉄の竜から鉄の滅竜魔法を教わったんだって。
凄いんだよ!鉄をバリバリ食べちゃうんだから!!」

「・・・・・それで?」

話が見えてこなくシトが促すと、ナツが口を開いた。

「んで、あいつのとこの竜も消えちまったんだと。
7年前の777年、7月7日にな」

「!!!」

「イグニールも同じ日に消えちまったんだ」

「・・・・ナツたちもそうなんだ」

シトの呟きにナツが顔を突き出した。

「おお!!やっぱりお前んところもそうか!!」

「同じ日に竜が3匹もいなくなるんて。何かあったのかな?」

「う〜〜〜〜ん!それが分かりゃあ苦労しねーんだけどな。
ま、取りあえず何か分かったら教えてくれよ。俺も教えてやるからさ」

じゃな!と、ナツは最後に手を振り自分のチームのいる場所まで戻って行った。

「さてと。シャーナはどこにいるんだろう?」

クエストを受けるにしてもまずはシャーナと合流しなければならない。
シトはシャーナを見つける為に立ちあがる。すると、

「きゃぁ!!」

丁度その時、人がシトの前を通ろうとしたのかシトとぶつかってしまった。
慌ててシトはその人の腕をとる。

「ととっ!ごめん。大丈夫だった?」

「う・・うん。大丈夫」

声と服装からしてその人は女の子だと分かった。取りあえずシトはその言葉を聞いて
女の子の手を離す。女の子は少し崩れた服装を直し顔を上げる。
見た目は完全に戦う女の子って感じではない。優し気な瞳に薄い唇は男性から見ると
守ってやりたくなるような感じがする。

「・・・・・・・??」

シトは女の子の顔をじっと見ながら動かない。それに困って女の子は手を顔に触れて尋ねた。

「・・・・・私の顔、何かついてる?」

「あ、いや。・・・・・ねぇ、君ってもしかして・・・・」

「ああ、いたいた。お〜〜〜い!!シトーー!!」

と、そこにシャーナがやってきた。

「ごめんごめん!ちょっと、マスターと話してたら遅くなっちゃった。
・・・・・あれ、サクラ?」

「久しぶり、シャーナ。・・・・シト?じゃあ、この人が」

サクラと呼ばれた女の子がシトを見て薄く笑った。

「・・・・・何?」

「ううん。何でもない」

サクラはそう楽しげに言うと、シャーナの方を向いた。

「シャーナ。マスターと話って何?」

「ああ、それね。ちょっと厄介なこと頼まれちゃってね」

「厄介なこと?」

シトの言葉にシャーナは頷き、疲れたような顔をして続けた。

「魔法開発局が新しい魔法の開発に失敗したらしくてね。
実験に使ったあたりに超高重力場が発生しちゃって近づけないんだって。それを止めるには
その重力場に入って中にあるアイテムを壊す必要があるみたいなの。それで・・・・」

「それで、重力の魔法を使えるシャーナが選ばれた」

サクラがシャーナの言葉を引き継ぎ言った。それにシャーナが頷く。

「そういうこと。準備出来てる?シト」

「え?それ、僕も言って大丈夫なの?」

「大丈夫!私の魔法でその重力場に対抗出来るから。
それにシトなら魔法で体を包めば、重力場を受け付けないでしょ?」

「私も同行していい?」

サクラの申し出にシャーナが首を傾げた。

「いいけど。どうして?」

「アツモリソウ」

「??」

サクラの意味不明な言葉にシトは首を傾げたが、シャーナは分かったかのように頷く。

「サクラは花が好きでよく花言葉を使うの。
因みにアツモリソウの花言葉は気まぐれ。大した意味はないってこと」

「そういうことか」

シトが理解したところでサクラはシトに近づいた。

「改めて自己紹介。私はサクラ。よろしく」

「あ、うん。よろしく」

「それじゃあ、行こうか!」


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