二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 怪盗クイーンとけなげな少女
- 日時: 2011/11/10 18:18
- 名前: 真由 (ID: XlTUhOWG)
少女はいつも考えていた。
ドウシタラ、自由ニナレル?
ドウシタラ、コノ小サスギル牢屋カラ出ラレル?
答えなど見つかる訳ないじゃないか。
「学校」なんて牢屋は存在しないよ。
時と共に、少女の瞳は虚ろになっていった。
「ねぇ。あたし、自由になんかなれないのかな」
悩む少女にお気楽なクイーンは答える。
「そうだね。本当の自由さえ理解できたら・・・連れて行ってあげてもいいかな。ロリコン野郎も喜ぶだろうし」
「・・・・・・怪盗?」
赤い夢に、よくいらしましたね。
そのお荷物お持ちしましょう。・・・え? いいのですね、かしこまりました。
たいへん分別のあるお方です。ちゃんと帰り道を知っていらっしゃるようで。
では、この廊下を真っ直ぐにお進みください。
けっして振り向かないように。
・・・振り向けば、赤い夢に囚われるとでも、思っているといいですよ。
まあ・・・、振り向かずとも囚われる可能性はナシではありませんから。
どうぞ、みなさん。真っ直ぐに、ですからね。
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- Re: 怪盗クイーンとけなげな少女 ( No.5 )
- 日時: 2011/11/18 21:20
- 名前: 真由 (ID: NGqJzUpF)
「クイーン!!」と沸騰しているジョーカーを少女は再び色のない目で見つめた。
「・・・おかしな人たち」
目は色がなかったが、口元には微笑みがうかんでおり、この状況を楽しんでいる。
少女は「意外」が好きだ。規則正しい生活になどうんざりしているのだ。
「すみません」
「どうしたのかい?」
あくまで、ジョーカーは子供に優しい。
少し冷めたジョーカーに少女はお願いした。
「けんかはお終いにして・・・お話しません?」
「お話? なんで」
ジョーカーの瞳をとらえて、少女はいう。
普通に「いう」動作をしただけなのだけれど、ジョーカーはそれを切実な悩みだと受け取った。
「わたし・・・あなたたちといると、本当の中葉光にもどれるんです」
- Re: 怪盗クイーンとけなげな少女 ( No.6 )
- 日時: 2011/11/20 20:54
- 名前: 真由 (ID: I36i1trF)
「なかば、ひかるちゃんというんだね」
御一行は遊歩道を散歩している。
ジョーカーはクイーンに恨みがましい視線を送るが、クイーンは光にちゃっかりおごってもらったアイスクリームを食べることに専念していて、全然気づかない。
ジョーカーも、光の好意を無駄にしてはいけないので、溶けないうちに食べようとして、お小言をいえない。
光は・・・そんな二人を暖かい、キラキラした目で見ている。
「はい。光で結構ですよ」
「それじゃあ、光。君のお願いってーーーなんだい?」
クイーンは初めてアイスクリームから目を離した。
それはですね、と光がうつむく。
「・・・わたしを、盗んで」
ぽつりと出た「盗む」に顔を見合わせる二人。
小型マイクとスピーカーで、RDも交えて会議を始める。
「今、盗むっていいましたよね」
(いいました。・・・クイーン、あなたがばらした可能性は、85.9%です)
「い、いやっ! わたしはいってな」
「あなたがいってないんなら、どうしてわかるんですか」
「・・・どうしてだろうね」
(早めの降参が身のためですよクイーン)
「んぎゅ・・・。ツーツー」
(「こら、クイーン!!」)
- Re: 怪盗クイーンとけなげな少女 ( No.7 )
- 日時: 2011/11/26 15:38
- 名前: 真由 (ID: UlsZCx61)
「あの・・・なんであの方は、いきなり走りだしたのですか?」
「い、いや・・・。なんでもないから」
「そ、そうですか・・・」
ジョカーは遠く彼方へ逃げたクイーンに舌打ちする。
アイスクリームは怒りのあまり、地面へ叩きつけてしまった。
「うん、居てもしょうがないクイーンは置いておくとしてーーー光ちゃんがいった[盗んで]は・・・どういうことなのかい?」
驚きすぎて顔を上げて呆然としていた光は、はっと我にかえり、またうつむいた。
「えーっと・・・間違いならいいんです」
「僕も間違いならうれしいよ」
「? うれしい?」
「いや、ごめん。最近会話システムが調子悪くて」
(ジョーカー・・・。いくらなんでも、あなたに会話システムなんてありませんよ。れっきとした人間ですからね。あんまり嘘はつかないほうがいいです)
「そ、そうか。まあ、僕の発言はスルーしてくれ」
「はい・・・?」
「続きを」
見るからに不思議に思われてるだろーなー、と考えつつ、ジョーカーは先を促した。
光は足を止める。
「わたし・・・わたし、知ってるんです」
知ってるんです。ナニをか。そうですね、クイーンとジョーカーの正体とかーーー。
「あなたたち、怪盗でしょ」
クイーン・・・。
ジョーカーの血管は、今度こそ切れそうだった。
いつもはわかりやすすぎる嘘だったが・・・ついにポーカーフェイスを身につけたのか!!
拳を握りしめるジョーカーだったが、少しおかしい部分がある。一つ目は、クイーンは「んぎゅ・・・。ツーツー」とあやしすぎる逃げ方をしたのだから、ポーカーフェイスには程遠いということ。
二つ目は、根本的に・・・クイーンが犯人ではないということ。
「卒業買いに来たんですよね」
「・・・・・・」(ジョーカー、返事)
「卒業の横に並んでた本・・・見ませんでしたか?」
「・・・見てない」(よしよし、えらいですよジョーカー。クイーンに怒ってるなか返事できるなんで・・・感動です)
「おなじく[はやみねかおる]さんの本、[怪盗クイーン]シリーズが置いてあるんです」
「それ・・・それが?」(泣)
「そっくりなんです。ジョーカーさんですよね。さっきの人がクイーンさん。まったく・・・一緒」
「・・・・・・」(泣)
「正直に答えなさい。あななたちは怪盗? Yes or No?」
- Re: 怪盗クイーンとけなげな少女 ( No.8 )
- 日時: 2011/11/26 15:47
- 名前: 真由 (ID: UlsZCx61)
ジョーカーが究極の選択をせまられているなかーーークイーンは先ほどの本屋へ戻っていた。
「また来たのか!!」という顔で「いらっしゃいませー」と泣き笑いっぽく発音する店員。
クイーンは自分にかけられた汚名を晴らすため、店員に一つ気になることを聞いた。
「すいません」
「あ、あ・・・。Yes」
「日本語は話せますよ。それに、わたしの故郷は英語ではありません」
「あ・・・。はい、何でしょうか」
店員は案外普通だった客にほっとする。
客は、捜し物のキーワードを口にした。
「[怪盗]という存在がいい意味で書かれている本は、ありませんか」
- Re: 怪盗クイーンとけなげな少女 ( No.9 )
- 日時: 2011/11/30 12:37
- 名前: 真由 (ID: /..WfHud)
「Yes or No?」
「・・・Yes。僕たちは、怪盗だよ」
嘘をついちゃ駄目だよ。
幼い日のクイーンが教え込もうとしたこと。
怪盗というものは、いかなるときでも嘘をついてはいけない。
・・・じゃあ、ばれそうになったら、どうするんですか?
クイーンは凍ってしまった。
そうだね・・・。命に関わる緊急事態には、いいかな・・・。
はい。わかりました。
「やっぱり・・・怪盗・・・」
緊急事態なんかではなくても嘘はつく。クイーンもそれは承知していた。
ついてはいけない嘘というのは。他人を傷つけてしまう嘘。
No と答えれば、少女は明らかに傷つくとジョーカーは判断した。
「はぁ・・・。成長したね、ジョーカー君」
「クイーン。・・・そのビニール袋はなんですか?」
「これかい? 店員さんが、地球温暖化が進行してしまうとわたしがいっても聞かなかったんだよ」
「・・・それ。本屋の袋」
「よく気づいたね」
クイーンは笑った。
少女はクイーンを睨みつける。
「君がわたしたちを怪盗だと勘違いしたのはーーーこれだね?」
一冊の本。
怪盗クイーンはサーカスがお好き。
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