二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【リク開始】KAMISAMA!【銀魂】
- 日時: 2012/04/15 20:06
- 名前: 千鶴 ◆iYEpEVPG4g (ID: ycpBp.uF)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
そい!\(^q^)/
◆index◆◇◆ ———————————————————————————————
始めましてこんにちは、ちづると申しまっす(´・ω・`)
千鶴というと某乙女ゲームのヒロインのあの人が思い浮かびますが、特に関連性はございません。
むしろ「君と僕。」の千鶴くんとか剣心の息子くんの彼女っぽい人から来ています。
こういうテンションなのはお察しください。前作は頭の中へお帰りになられました。ごめんなさい。
この小説は、ギャグ5割、シリアス4割よくわからないもジャンル1割で構成されております。
まだまだ至らぬ点もあるかとは思いますが、どうぞお楽しみください。
KAMISAMA! 千鶴
◆up date◆◇◆ ——————————————————————————————
H24現在
3/5 リク品上げ
3/6 メインメニュー改正
3/14 メインメニュー修正※脱字など
◆about◆◇◆ ———————————————————————————————
当スレは銀魂を取り扱う夢小説です。
原作者様、出版者様及びその他関係者様とは一切関係ありません。
無断転載は禁止です。ご理解ください。最低限のマナーやルール・掲示板の規約は守りましょう。
無理な方はバックプリーズ。上記のことを踏まえてお進みください。
◆novel◆◇◆ ———————————————————————————————
こちら、現在執筆中の長の見開きメニューになります
満ち足りた人生ほどつまらないものはない
(言い訳だとほざいてみるけど)
※お話は時系列順が異なる場合があります
ヒロイン紹介 >>1
オリキャラ決定 >>27 瑠々さま 出雲郁
フリー配布 夢主人公に25,5の質問 >>41
東雲あかね編 >>42
Ⅰ
00/とある神様に捨てられた人のおはなし >>2
01/メランコリー・アイデンティティ >>4
02/無題(タイトルが長いので以下略) >>6
03/餃子の○将ですがファミリーセットはいかがですか? >>7
04/夜叉と羅刹>>8
Ⅱ
05/I don't knowの大量使用は御止めください >>12
06/愚か者には視えない彼女 >>15
07/campus >>29
08/そこに居ることがわかっているのなら、ここに居るのと同じでしょう >>36
Ⅲ
09/遺され爆ざる硝子の破片>>46
10/生きていく矛盾 >>47
11/あなたがこんなにも小さいことを知ったとき >>48
12/世界を攫う足音 >>51
◆short◆◇◆ ———————————————————————————————
捧げ夢リクエスト開始!>>60
現在消化中のお客様 レディさま、李逗さま
※先着順に並んでいます。現在2日〜1週間待ち。
影空さまリク/新選組女隊士/切甘/銀時
→午後七時の別れ際 >>68
瑠々さまリク/切ない/銀時/攘夷戦争経験者
→鉛を呑んだ小烏 >>73
酷い人/沖田総悟 >>21
愛情レゾンデートル/神威/死ネタ注意 >>61
オディール=ロッドバルトの娘/沖田総悟/故人 >>50
ブルー・バードに愛と夢と絶望を/見当ちがいのホラ吹きめ/終焉グッドナイト
牡丹にくちづけ/アンダーストゥッド・ユー/愛しているのは自分だけ
溺れる淡水/セカンド・ストーリィ/マザーグースの子守唄
水晶体に視る青/愛恋アイデンティティ/つめたい遺骸/ミルクココアを
透明な花/きっと捨て駒にすらなれない/さまよえる槐樹/篝火より終末を埋める
トゥモロー・ガール/セピアの街灯/ポルックスの消失
太陽の瞳に初夏は焦がされ/夜明けまで、あと//愛を片手に飛び降りて
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- Re: 【オリキャラ募集】KAMISAMA!【銀魂】 ( No.46 )
- 日時: 2012/02/05 17:14
- 名前: 夏雲あざみ ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
09 遺され爆ざる硝子の破片 【過去編】
酷く空は濁っていた。遮られた太陽がその身を覗かせようと、淀んだ曇天から少しばかり顔を出す。戦場は飛蝗がその大地を舐め尽くしたように閑散としている。重々しい静けさがあった。人っ子一人見当たらない。今は天人達は息を潜めているが、いまに江戸へと向かっているに違いない。——今朝ばかり、幕府は最終防衛地区を改め、江戸の南西部の一部を切り捨てた。幕府は怯えきっている。脅威はもう目と鼻の先にまで迫っている。終わりが近いことは、もう誰にでもわかりきっていた。
「銀時!」
砂の舞う荒野は視界が狭い。小太郎と銀時を、川岸の向こうに僅か見つけた。銀時は小太郎に肩を支えられて、右肩の少し下辺りが酸素に触れて黒ずんだ血液で染まっていた。慌てて駆けつけると、小太郎も銀時も、どこもかしこも傷だらけで痛々しかった。乾き切りもうほんの申し分程度に残る川の岸に座らせた。
「小太郎、何が。」
自身の着ている服の裾を噛み千切り、傷口に当てる。幸い出血は抑えられており微々たるものだったことに安堵し、巻きつけた布はしをきゅっと結んだ。銀時は痛がりもせず、無言で虚ろな眼をしている。いつもなら腑抜けてんじゃないわよ、と毒づいているところだ。
「俺が話そう。今は戦える状況ではない。」
俯き加減で小太郎が言った。何か重い事情でもあるらしい。そして、場所を変えるように催促した。あかねが、銀時をこのままにしてはおけないと小さく零す。白い手を伸ばし、座り込む銀時の頬に触れようとした。
高い音が、鳴った。指先がじんじんと熱を帯びて痛む。右手がぶらりと宙に垂れ、驚きを隠せずただ呆然とした。敵意に似た、拒絶。すまぬ、と小太郎が何か後ろめたいことでもあるかのように申し訳無さそうに言った。ここまで来て、やっと事が尋常ではないことに気付く。そしてそれを問う暇も与えられず、憤りを含んだ声は銀時によって掻き消された。
「うるせェな。はは、何?もしかしてお前、知らなかったの?」
低く冷たい、地を這うような、声。吹き荒れる風が、空を覆う雲が、しきりに何かを連れ去ってしまおうとしている。ずっとずっと何かを呼びかけて、その何かが私達であったかのように、叫び続けている。
「やめろ銀時。」
訊いてはいけない、そんな気がした。もう本当は、取り返しの付かないことになっているのかもしれない。恐ろしく嫌な予感が背筋をちりりと総毛だたせる。
「松陽先生が、死んだ。」
うそ、嘘、嘘、嘘、だって。違う!とだれかが胸の内で叫ぶ。否定したい言葉ばかりが陳列されている。どれを取ろうときっとおなじなのだ。否定しているのだ。何を。死を!嘘でなければおかしい。きっと銀時は嘘をついている。ちがう、分かっている。あの子はそんな嘘を付く子じゃあない。では、何故?せんせいが、死んだ。せんせいが、死んだ。言いようの無い、例えようのない、世界が終わるとしても比べることのできない感情。混乱はあるひとつの事実へと終息へ向かう。
松陽先生が。あの優しく尊い人が、死んだ。
空っぽになった脳みそに、鳴り響くのは。
頬を伝う悲しみと、漠然とした喪失。
- Re: 【オリキャラ募集】KAMISAMA!【銀魂】 ( No.47 )
- 日時: 2012/02/05 17:16
- 名前: 夏雲あざみ ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
10 生きていく矛盾 【過去編】
松陽先生が死んだというのに、わたしはなんて冷静なんだろう。ああ吐き気がする。
明日、一斉に幕府の中心地へ天人たちが攻め入るという知らせが入った。まるで現実味が沸かない。がらんどうになった心は意思を失くして、今や情報と任務の意でのみ、こころとからだを繋ぎ合わせるものはない。今まで築いてきた全て、あっけなく終わってしまったかのように。今まで護ってきたもの全て、砂のように零れ落ちて失ってしまったかのように。納得も、理解もできない。しようとも、思わない。例え地面を這い蹲って土下座してでも、わたしはあの人に生きていて欲しかった。
きっと松陽先生のことだから、自分の生き方に、正直に、潔く。聖人のように、全てを受け入れた上で、全ての悲しみをその胸の奥底にしまい込んで。そうして笑って、死んだのだろう。尊い人を、失くした。決して彼の死を汚してはならないのだとようやく悟った。
———だから、わたしは。
あの人が居たから、皆が居たから。わたしはいつだって生き方をあなたたちに学んで、あなたちに助けられて。ありがとうと言える小さな幸せがあって、笑い合える家族ができて。いつだってわたしはあなたの脛をかじるようなものだった。
だからこそ思うのだ。あの人の死の重さを理解しながら、沸々と煮える憤りと痛みを。今すぐにでも戦場へ出向いて刀を振り回さんばかりのその怒りを。感情のまま、矛先を向けてはいけない。どうしてわたしが、彼の願いを、掻き消すようなことができようか。誰にだってする権利などない。もし、それを破るような者がいたら、わたしが血を以て制裁するだろう。例えそれが、仲間であろうと。家族であろうと。
「晋助や、辰馬には?」
「いや、まだ言っていない。」
「わたしから話す。それじゃあ二人とも、暫くは動かないで。ここは殆ど物資も無ければ天人たちの御眼鏡にかなうようなものなんかありゃしない。川を下れば偏狭なところだが小さな町がある。相当出血が酷いみたいだったし、もし容態が悪くなればそこで銀時を手当てして。」
「それでは戦力が。俺も行こう。」
「わたしを誰だと思ってんの。」
「しかし。」
「てかそれじゃあんたを付けとく意味がないじゃない。」
納得のいっていない表情の小太郎に言った。
「あーほんとなんにもわかっちゃいないのねえ。」
「そいつ、ほっといて傷塞がる頃には刀ァ持ち出して松陽先生を殺した奴のところまで行きかねないよ。」
「あんたら二人分の遅れなんてわたしが行けば直ぐ取り戻せるってのに。・・・・・・少なくとも、其処に突っ立ってるひの木の棒みたいな奴よりはマシさね。」
二人に背を向けて、右手を掲げた。この手のひらに、汚れきった手のひらに、数万の民のいのちがある。わたしはそれを、見殺しにはできない。救えるその手は、わたしのものではない。救わざるして、その手は業でしかならない。たとえ何万の敵を斬ることになろうと、わたしは、護るもののために戦わなければならない。それを教えてくれたのは先生、あなたでしょう。
あなたも同じでしょう、銀時。護るべきものを教えてくれたのはあなたなのだから。
- Re: 【オリキャラ募集】KAMISAMA!【銀魂】 ( No.48 )
- 日時: 2012/04/01 21:26
- 名前: 夏雲あざみ ◆iYEpEVPG4g (ID: Y8mt6fGX)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
11 あなたがこんなにも小さいことを知ったとき 【過去編】
「ゆーきの、降る夜にーはー、あーかいー緋ともーしましょ」
「鯨の油ー波打てばー、ちーいさな灯火にー朱花咲けるー」
「はるーまちどおしとふーけりてはー、今はまだゆーめ見る季節」
「揺ーれるほのおのいとしきよー、たーだきうせーること無かれー」
遠い昔の遠い唄。わたしの一番好きな歌。松陽先生が教えてくれた詩。決まって思い浮かぶ、自分と重ねた少女の姿。どうして今頃になって、別れを惜しんでしまうのだろうか。
窓の外は白銀で、迫り吹く風に白が舞っている。この辺りは乾燥しているから毎年雪もあまり降らない、と聞いていたが、この有り様を見るとあの善良そうな村人が嘘を付いたのではないか、と思えてくる。天人は決まって雨や雪を好まない。ご自慢の最新兵器とやらが水やら寒さやらに弱いからだ。戦火は、水無月や霜月、師走、そして年初めの睦月のころはぱったりと途切れてしまう。その間にこちらからも攻められれば良いのだが、生憎江戸にも大阪にも京にも宇宙に飛び出せるような技術はない。天人達は、あのお星様の煌く空の彼方へと空を飛ぶ船で帰るのだ。まるで御伽噺のような、現実味のない話。そういうわけで、この時期は人間も休戦している。そうするしか、しようがない。
それは私達も例外ではなく———、何処か故郷を思い出す、人口300人余りの小さな村の民宿「いろは」に寝泊りながら、つかの間の休みに身を投じている。「いろは」は40を過ぎた気の良いミヤコおばさんと、その一人娘の7歳になる雪路ちゃん。そして甥の健太郎君とその彼女の杏さんが手伝いに来てくれている。廃れたような外見の木造民宿だが、中は手入れも行き届いているし、部屋の畳だって虫食いひとつ見当たらない。瓶は毎日花が取り替えられている、そんな民宿なのだ。
「まだ起きていたのか。」
ふと、声が掛かる。
「あらまあ、晋助くんではないですか。ところであんたって暗いところで見ると顔真っ白で病人てか幽霊みたいね。彫り深いし。」
やたらと明るい声で言った。こわばった唇が震えている。から元気で押し通そうと思っていたのだけれど、晋助には無理そうだ。小太郎や銀時は扱い易い。辰馬は深いところやたらとざくざく刺してくるし、晋助に至ってはごまかしが通じない。モロ直球な感じなのでいつも返答に困る。今、大広間に居るのは二人だけ。空が薄明になるのはまだ先であろう。
「銀時がどうなろうが知らないが、戦線にまで異常を来して貰われると困る。」
「そのびみょーにツンデレちっくな所、わたしは好きだけどね。」
「生きる覚悟の無い奴は戦場では役立たずの塵でしかない。アイツはもう———無理だ。」
「無理、か。」
「お前も、留まりたいのならここに居ればいい。」
なんでもない、なんでもないよ。使命感に突き動かされていた心臓が酷く痛む。本当は悲しみなど枯れては居ないのに。消えることはないのに。護ろうと決意して気付き上げたそれがぼろぼろと崩れ落ちてくる。
「先生がさ、死んだって聞いて、もうわけわかんなくて、かなしくて何か大切ななにかがどこかへ行っちゃって。なんにも無いからっぽで。冷静になろうと考えはするんだけどもうただ悲しくって。わかってるんだけどわかってなくて。それが何なのか理解できてる大人になりたくて。それじゃあダメだって言い聞かせることも全然、これっぽっちも聴こえないの。からだが押し潰されるみたいに重くて、痛くて、寂しい。もうなんだか、ごめん。言えなくて、ごめん。」
止め処なく溢れる、生暖かいもの。ぼろぼろと零れ落ちる涙は視界を濁らせる。手で覆えど、透明な雫は指先からこぼれ落ちた。晋助は黙ったまま背を向けている。彼なりの優しさなのだろう。
「ありがと。聞いてくれて。なんか元気出てきた。けなしてんだか慰めてんのかよく分かんないけど。」
「うっとおしいから元気は出なくていい。」
「……よし。」
下を向いているのは、わたしには似合わない。いつだって、強く、明るく、咲き誇る一輪のヒマワリのような。そんな存在で在らなくてはならない。人に護られるのではなく、人を護れる自分に。涙は止まった。
「お前……。」
呆れ気味に晋助が言った。心なしか寒さも弱まっているような気がする。よっこいせと立ち上がってこう呟いた。
「銀時叩き起こしに行って来る。止めんじゃないわよ。」
「俺が止めようが、アンタはやるだろ。」
「それほどでも。わたしはね、よーく分かってるつもりなの。あの子の辛さも、嫌になる自分の弱さも。それ全部背負って生きてけなきゃ。」
さっきまで泣いていた女と比べると幾分も可愛げがない。元気付けに殴りこみに行くような女など聴いたことが無い。
いつもの笑みを浮かべる。さあ銀時、覚悟してなさいよ!ごきり、と指の骨が嫌な音で鳴った。
***
「はあいご機嫌麗しゅうー!死んだ魚のような目をしないでくれるかなあ銀時くん!」
民宿の2階南館の、客室。朝の挨拶にはまだ随分早い。星はきらきら光っているし、銀時の寝室の前まで廊下を通ったが薄暗くて何も見えず苦労した。身を起こしてた様子の銀時がこちらをちらりと見た。にいと笑ってみるものの表情は固く、なるほどこの状態では晋助がああ言うのも仕様がないと思った。
「突然夜にうっせえなあ頭沸いてんのかってうーん、まあ、とりあえずだな。」
金属同士がぶつかり合う、高い音。きいん、と脳裏に響く、こすれあう音。右手に持ったふたつの鋭い刃を、ベッドの上、銀時の顔面すれすれに突き立てた。ごめんよミヤコおばさん、と心の中で呟くのだが、本気だということを見せつけにゃあならんのよ。そうでもしないと、引っ叩くぐらいじゃ目ェ覚めないバカだからね。
「———真剣勝負と行きません?」
月が満ちている。刀はその刀身を今使われるこそとも言わんばかりにその刀身を煌かせている。鈍い光を確認し、手で合図をしてきびすを返し、向かい側の引き戸を開ける。この南館には、使われて居ない娯楽室、というものがある。昔はおもちゃやおやつにお茶なんかも出していたそうだが、めっきり客が減り、今は埃の積もるだだっ広いだけのフローリングの床とぼろぼろの土壁となっている。始めて見た時は、滅び行く先々に、とその後のことを考えそうになったものだが、寂しさや懐かしさや、そんなかなしいもののことを儚いと言うのだと、わたしは改めて思ったのだった。
衝撃。例えるのなら、何か人間ではない大きなものに弾き飛ばされて、まるで自分が小さな存在かのように錯覚するような。全身全霊のこちらに対し、手のひらだけでいとも簡単に押し返されてしまうかのような。心臓まで響く音と震え。刀で受け止めると、ぞくりと背筋が寒くなった。火花が燃える。ゆっくりと、やがて見える景色がスローモーションのようん遅く垣間見える。後ろへ下げられた刀の起動が白い線となって見える。寸での所でかわし、ぐるりとその身を反転させた。——まだ遅い。
「く、そッ」
途切れがちに銀時が零した。きらきらと光に反射して銀色が舞った。髪の毛だ。仕留めそこなった獲物へと再度切りかかる。無茶をした右腕にに熱い物が奔る。
空気が静止した。はあ、と息をつく。白い水蒸気が見え、また奔る閃光。研ぎ澄まされた鋭利な刃のような。こころを忘れた夜叉のような。それでいい、と思った。生半可にちいとばかし痛めつけてやろうとは残念ながら思っていない。殺すつもりで行かなきゃ勝てない。本気の本気。わかってはいたのだけれど、ようやく決心が付いたよ。
防御に回り軸がずれた刀に横から薙ぎ払うように打ち付けた。円を描いてくるりくるりと空へ飛んでいく。
「勝てるわけ、ないだろ」
どん、と腰を打ちつけた鈍い音がした。
「・・・・・・あんたが、どう思っただとか、何を感じただとか。人に話して納得するような奴じゃないし、アホだから空気の抜き方ってもんも知らない。
でもそんで仲間にどう顔向けしようと思ったわけ?男ならどーんと、何回へし折られようが何度でも立てばいいじゃないの。」
「そんなの、放っておけば良かったのに。逃げようとして、お前らなんて別にどうなってもいいって…」
「いーえまだ許しちゃいないわよ。謝んなさい皆に。心配かけたこと。あんた一人の命じゃないってこと。
わたしは覚えてる。わたしが逃げようとした時、あんたが教えてくれたことも。
松陽先生はねえ、そんなこと望んじゃいないわよ。あの人の誇りも正義も、全て水の泡にする気?」
「わたしたち置いてひとりだけ逃げてんじゃないわよ!」
「——帰ろう。みんなのところへ。」
刀を地面に刺して銀時をぎゅっと抱きしめた。辛かったね、痛かったね、ひとりで頑張ったね。皆が待ってるよ。浴衣の裾を濡らした何か。きっと気のせいね。だって泣かないって約束したでしょう。はやく帰って、その間抜けなツラ皆に見てもらいな。
「ごめん、あかね。」
「礼は晋助のヤローに言いな。全く手のかかる子だこと。」
夜は明けた。陽が、今日もまた昇る。
- Re: 【オリキャラ募集】KAMISAMA!【銀魂】 ( No.49 )
- 日時: 2012/02/06 21:37
- 名前: 夏雲あざみ ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
小ネタ。
「松陽さん、わたしものすごく大変なことになりました。ていうかヤバイ、今度こそ本当に泣いちゃいそうかも。なんだこれ、ありえねぇだろうがよオイ。誰が私をこんなところにやりやがった、よりにもよって銀魂。どうせどっかに飛ばされるんだったらそこそこ危なくないドラえもんだとかの世界にしてくれよ。ありえなくない?捨てられた、そう捨てられたのね私。つか誰に捨てられたかっていうともうなんちゅうか神様?みたいな?ああああくそ何の恨みがあるって言いやがんの?あれですかこの間神様なんざいねーよと遊びで鳥居に入って友達に押されて中の物体を動かしちまった呪いかなんか?つまるところアレはワタクシのお友達が悪いんであってそもそもわたしに非はなくねって思うんですけど。その辺どー感じてらっしゃるんすかねあの方達は。ちょっとまだ喋り足らないんですがとりあえずもういいです。ところでわたしの話、聞いてくれます?ちなみに聞いたら問答無用で色々とお世話になりますからよろしく頼みます。え?何だって?いやぁそうですか、聞いてくれますか。良かった良かった。うんまぁそういうわけだから、お世話になります(下手したら一生)」
- Re: 【オリキャラ募集】KAMISAMA!【銀魂】 ( No.50 )
- 日時: 2012/02/16 22:37
- 名前: 夏雲あざみ ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
沖田総悟 悲恋
オディール=ロッドバルトの娘
頬を伝う生暖かいものはその温度に反して氷のように冷たくこころを抉っていく。わたし、は、彼を愛していた?なのになのに、ねえどうして。逝く前にせめて、わたしのきたないところもみにくいところも全部知って、それでも好きで居られるよって言ってくれたのなら。いつだってあなたはやさしい「おねーちゃん」の代わりのわたしを愛していただけでしょう。わたしの本質を知ろうともしないで、ただ受け入れてくれるだけの優しい便利な女が欲しかっただけ。女として見ればそういうことにして傍に置いていたら良いし、慰めて欲しかったらそれを口実にすればいい。なんて都合の良い女。そんなあなたにどう餞しようというの。誰かの身代わりなんかじゃなくて、ほんとのほんとに愛してちょうだいな。知ろうともしないで理解してくれだなんて、随分虫の良い話。わたしはわたし。他の誰かになんて、なれるわけがないのに。「おねーちゃん」以外のものを求めてくれたのなら、きっとあなたの望むことすべて叶えてあげるのに。おねーちゃんにだって恋人にだって母親にだって、必要とする役柄ぜんぶ甘やかして許してあげたのに。
彼はいなくなってしまった。だからもう、「おねーちゃん」のわたしは必要ない。ただのわたしになったわたしは、あなたを愛して、生きていく。
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