二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- キョンの消失
- 日時: 2012/01/09 22:32
- 名前: デストルドー (ID: xPOeXMj5)
初めまして、デストルドーと申します。新参者なので至らないところもあると思いますが、よろしくお願いします。
〜注意〜
・これはライトノベル「凉宮ハルヒシリーズ」の二次創作です。涼宮ハルヒシリーズファンの方は特にキャラのイメージが各々の方と異なる可能性があります。キャラのイメージを損なわないよう努力致しますが、あらかじめご了承お願いします。
・作品の評価や感想は厳しくとも喜んで受けとるつもりですが、謂われのない誹謗中傷はご遠慮ください
その他何か問題点等あればいってくださるとありがたいです。
〜目次〜
・プロローグ >>1
・第一章 >>2 , >>3 , >>4 ,>>5
・第二章 >>6 , >>7 , >>8 , >>9
・間章 >>15 , >>16
・第三章 >>17
- Re: キョンの消失 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/08 20:47
- 名前: デストルドー (ID: COM.pgX6)
〜プロローグ〜
11月、僕たちは二度目の文化祭を迎えようとしている。僕はわりかし催しは好きな方ではあるが、そんなことに現をぬかしている場合では無さそうだ。僕はこれから行わなければならないことに大きな躊躇いを感じつつ、僕は旧館にある文芸部部室に歩を進めている。
「おや、あなただけですか」
「悪かったな、俺だけで」
「んふ、むしろ良かったです」
僕がこう言うとすぐに、
「どういう意味だ、気色悪い」
と、常套句が返ってくる。
「ふふ、いえ、失礼。ただあなたにお話ししておきたい事案があるのでね、彼女が、いや、彼女たちがいたのでは少々話しにくいことなのでね」
「またアイツ絡みか」
「流石ですね、もしかしてあなたには超能力があるのではないのですか」
「……笑えないぞ」
「んふ、冗談です」
「冗談を言うならそれに見合った表情があるだろ、第一、おまえが話がある、といって俺に聞かせた話は九割九分アイツが絡んでいる」
彼はめんどくさそうに言う。しかし、その表情と裏腹に、彼は事態の解決に協力してくれる。所謂天の邪鬼という性質なのだろう、現代風に言うと、「ツンデレ」とでもいったらよいのだろうか。
「おい、そこはかとなく俺のことを馬鹿にしているだろ」
「おや、どうしてです」
「なんとなくだ、なんとなく」
「ふふ、やはりあなたには超能力者の素質がありそうですね。僕より適任かもしれない」
「おい、それはどういう意味だ。やっぱり馬鹿にしてたのか」
彼とこうして普通の会話ができるのは平和な証拠であり、僕が転校してきた当初、彼と初めて話したときは想像していなかったことでもあった。
「冗談はここまでにして、本題に入りましょう。手短に言います。よろしいですか。」
彼はまた面倒なことが始まるのかといった落胆の表情をうかべながら、
「……はあ、またか」
と、イエスととっていいのかノーとっていいのか解らない返事をよこした。すると続けて
「まあ、もう慣れたさ」
といった。
「そうですか、それは良かった。では話すとしましょう」
「あなたは後一週間で死にます」
僕はなるべく明るく、日常会話となんら変わりない調子で言葉を紡ぐよう努めた。
- Re: キョンの消失 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/07 19:17
- 名前: デストルドー (ID: GUeCGhoP)
《 第一章 》
「死」について考えたことがあるだろうか。人間にはもともと生きたいという欲求ともに死にたいという欲求が存在するという。あのフロイト先生が言っていたのだからそうであろうと信じたい。だが、今大事なのはそんなことではない。「死ぬ」とはどういうことなのだろうか。生物学的に言えば生命活動の停止とでもいったところだろうか。それとも人間として廃れたという意味での精神的な死だろうか。恐らく今俺の目の前に問題として現れているのは前者の方だろう。
「ちょっと待て、それはどういう意味だ」
今俺の前で何といったらいいか解らないと言った感じの哀愁漂う顔でこっちをみているキザ野郎は今何と言った。なんだその顔は、普段みたいに微笑を浮かべつつ御託を並べながら胡散臭い話をしないのか。急に文化祭の劇に向けての練習でも始めたのか。もしそうだとしたらなかなか筋がいいんじゃないか。昼過ぎにやってるサスペンスの刑事が崖際で犯人にあなたが犯人だと突き付けた感じがよくでているぜ。
「ふふ、お褒め頂きありがとうございます。しかし、これは演技ではありません、第一僕のクラスが文化祭で行うのは喫茶店ですし、SOS団としては今回は何も行わないと決まったばかりではないですか」
ああ、そういえばそうだったな。確かおまえはウェイターをやるんだったよな。朝比奈さんのウェイトレスだったら
喜んで見に行ったが、誰が好き好んでおまえのウェイター姿を見に行くかと思って記憶の片隅においやっていたことを思い出した。
「だとしたらどういう冗談だ、全然笑えないぞ」
古泉はふと視線を文芸部室の木目に視線を落とし、そしてもう一度俺の方をいつになく真剣な顔で見やった。
「冗談でもありません、非常に残念なことですがね……」
そういうと古泉は言葉を紡ぐのを辞めた。俺はよほど古泉を怪訝な顔でみつめていたのだろう、それに気づいたのか古泉は、
「やはりこういうことは僕でなく長門さんに伝えてもらった方が良かったでしょうか、信じてもらえてないようですね」
いや、今回ばかりは長門よりお前の方がいいだろう。長門にこんなことをいわれたら本当に死ぬのだと確信して絶望するからな。で、どういう魂胆なんだ、教えろ。
「いえ、魂胆なんてものはありません。ただ、これから起こる事実を伝えただけです」
古泉はいつもの愛想笑いの一つも浮かべず、重々しい雰囲気で言う。なんて言うか、話せば話すほど古泉の口調が暗くなる。俺はだんだん不安になってきた。
「それは起こりかねない事象だからそれを未然に防ぐとかそんな感じか」
「いえ、規定事項を伝えているだけです」
どうせ未来の規定事項を教えてもらうなら、朝比奈さんが良かったとか思っている余裕もだんだん無くなってきた。第一、朝比奈さんは俺が死ぬことを知った時点でわんわん泣き出してしまって俺に教えるどころじゃないだろうしな。
「なんで俺が死ぬことが規定事項なんだ」
古泉は口を噤んだまま俯いている。こいつはなんで答えないのか最初は解らなかったが、理由が解るのにそう時間はかからなかった。ただ、それを理解するのには時間が足りなすぎた。
アイツが……ハルヒがそれを願ったから−−
- Re: キョンの消失 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/08 22:30
- 名前: デストルドー ◆s4.FcLcEko (ID: COM.pgX6)
簡単に言えば、目の前が真っ暗になった。そんな表現がいいだろう。どうやって死ぬのか、いつ死ぬのか、いや、いつかは解っている。確か古泉が先程一週間後といっていた。しかし、いまはそんなことどうでもいい。問題は「なぜ」俺は死ぬのか、だ。交通事故か、原因不明の急性心臓麻痺か、俺はとうとう例の黒いノートに名前を書かれてしまったのか。確かあれは、本名じゃなきゃだめなんじゃなかったか。もし俺の名を書いた奴がいたら教えといてやる。「キョン」と書いても無駄だからな。
こんなジョークがとっさに浮かぶほどこの時の俺に余裕はなかった。なぜなら、どんな死因で俺が死のうが、原因は一つでしかないのだから。
「……ハルヒがそう望んだからか?」
再びの沈黙、少ししてから古泉から皮肉の笑みがこぼれ、俺が今一番聞きたくないことを告げた。
「……やはり……あなたには超能力があるようですね」
再びのブラックアウト、今度はしばらく立ち直れそうにない。
ハルヒ、お前はとうとう人の命を左右するほどまでになっちまったのか。