二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- おおかみは赤ずきんに恋をした。かもしれない。
- 日時: 2012/08/05 18:44
- 名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)
ボカロの曲の「おおかみは赤ずきんに恋をした」を見てというか聞いてですが、
『これ他の童話でも書けたら面白いかもしれない』と思ったので
勝手ながら書かせていただくことにしました。
とはいえ、
毎回のことながら栖樺は無鉄砲者ですので、何の童話からしようかは一切考えておりませんゆえ、お許しいただきたいのです。
まぁ、予定としては、日本昔話とかよくある階段とかにも
手をのばしたいかなーって、
そして、ご注意。
栖樺は気分次第でいろんな童話の話が書きたくなる人なので、
すっごい読みづらいし、探しづらいかと思いますが、そこはご協力お願い致します。
勝手ながら、滑手ながら、やってみようと思います。
夏ですが、やることはないので(勉強しろよ)やりましょう。
ということで、
よろしくお願いいたします。栖樺の道話をお楽しみ下さい。
きっとbadエンドもあることでしょうね。
栖樺 瘤
- 序曲:6場面 女の子 ( No.8 )
- 日時: 2012/08/25 17:44
- 名前: 栖樺 啼 (ID: zRrBF4EL)
赤色の、可愛い小さな女の子は
次の日、また森に来てしまった。
そして、森の奥にひとつだけある家に、入って行った。
女の子は僕に気付いているように、見えた。
- 序曲:7場面 おばあちゃん ( No.9 )
- 日時: 2012/08/25 18:25
- 名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)
次の日、私はおばあちゃんの家へ辿り着いた。
何事もなく。
誰にも会わなかった。
誰とも触れなかった。
誰とも、・・話せなかった。
あ、ちがう。話さなかった。
私の勝手な解釈だ。話せなかっただなんて、
彼は私に気付いていないのだから、
気付いていたら、私を放っておくわけない。
小さくて、非力な子がいるのだから、絶好の獲物だ。
「おばあちゃん。」
私が声をかけると、
おばあちゃんはすぐにベッドから起き上がってくれた。
「赤ずきんじゃないか。どうしたんだい?
ここまで・・お母さんは?一緒じゃないのかい?」
「うん・・・。あ、ジュース持ってきたよ。」
聞かれるとは思っていたけど、
お母さんが一緒ならここまで来れるハズないということは
おばあちゃんにはお見通しだろう。
私がどんな悪さをしたのかも。
約束を、破ったのを・・お母さんにはばれないといいなぁ。
「そうかい。怖かったろう?大丈夫かい?」
「怖い?どうして?」
「みんなから、オオカミのことで脅かされたんだろう?」
「脅かされた?」
私がそう聞くと、おばあちゃんは笑って立ちあがり、
台所へ向かった。
私はあわてておばあちゃんを止めた。
「いいよ!私がするから!」
「ジュースもそうだけどもう一つ。」
そういうとおばあちゃんは台所の棚から一冊の本を出してきた。
タイトルは読めなかった。
おばあちゃんも覚えていなかった。
私はその間に自分の分とおばあちゃんの分のジュースを持ってきた。
「この本にはね、オオカミが出てくるんだよ。」
「オオカミが!? 怖いねぇ・・・。」
私は今まで聞いたオオカミの噂を思い出す。
「怖いかい?」
「うん。そうだ!私本物のオオカミさん見たんだよ!」
昨日のことをおばあちゃんに話した。
本当はもっと他の話をしようと思っていたけど、
何故か今はこの話が一番したくなったのだ。
おばあちゃんは本を枕元に戻した。
「そうかい、どうだったオオカミは?」
私は家からこの家にたどり着くまでの話を一通り話した。
「どうっていっても・・。影だったから、
形ぐらいしかわからなかったよ?だから、たぶんかな。」
「それでも赤ずきんはオオカミと思ったんだろう?
どんな形だったんだい? 教えておくれ。」
おばあちゃんは興味深深だった。
お母さんと違っておばあちゃんは私と同じように
《好奇心》というものがあるのだ。
「うーんと、とんがった耳が見えた。犬とか・・猫みたいに。」
「うん、うん。それで?犬とはどう違ったんだい?」
「足・・かな。」
「足かい?」
ジュースを一口。
さすがに話疲れた。
「《爪》があったの。鋭いやつ。それに、
《牙》かな?雷がなって、驚いた時にちらっとね。
口にとがったものが見えたから、でも私すぐ家に帰っちゃって。」
おばあちゃんは楽しそうに私の話を聞いてくれた。
ときどき質問をしながら、頷きながら。
とっても楽しかった。
ふと、枕元に目がいった。
「ねぇ、おばあちゃん。それで、その本は?」
「あぁ、そうだったね。」
「脅かしたってどういうこと?」
そう聞くとおばあちゃんは少し時間を開けてから、
話始めてくれた。
- 序曲:8場面 おばあちゃん ( No.10 )
- 日時: 2012/08/25 19:11
- 名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)
「赤ずきん、オオカミが怖いって、いつから思ったんだい?」
「怖いっていっても、私は会いたいとも思ってたよ?
あ、でも噂を聞いたのは、お母さんが最初だよ。」
「オオカミが悪いオオカミだという噂かい?」
少し端的な気もするけど、確かにそうだ。
「うん。だから、森には近付いちゃだめって。」
「お母さんは誰から聞いたんだろうね?」
「さぁ・・。でもこの町の人はみんな言ってる。
『森にオオカミが現れたから、近づくな』って。」
おばあちゃんは顔をしかめて、続けた。
「他には?」
「あ、鳥さんから、鳥さんだけじゃなくて、
森の動物はみんな言ってたの。危ないよ、って。」
「森が騒がしいのはそのせいもあるだろうね。」
おばあちゃんは、ジュースを飲む。
一言、「甘いね。」といって、テーブルに戻す。
「そのせいも?そのせいだけじゃないの?」
「人間のことはばあちゃんにはわからないけど、
動物がさわいでいるのは 猟師 が来たからだ。」
「猟師?」
私はわからなかった。
おばあちゃんは教えてくれた。
「獣を猟銃する人たちさ。それでお金を稼ぐんだ。」
「殺しちゃうの?」
「そうだね、でもそうしなくてもいいハズなんだけどねぇ。」
「オオカミは食べれないから?」
「それもある。」
おばあちゃんは笑った。
でも私は納得できなかった。
「でも、オオカミは人を襲うんだよ?」
「でも、優しいオオカミだっているさ。」
「?」
私が、首を傾げると、おばあちゃんが本を開いた。
「この本のオオカミはね。優しいオオカミなんだよ。
でも、周りはオオカミを嫌うんだ。ただ、『オオカミ』というだけで
酷い話だよ。」
「えー、可哀想・・。」
おばあちゃんは私の頭に手を置いて、
撫でてくれた。
私はベッドに腰掛ける。
「人間はね、オオカミの言葉は聞こえない。
オオカミも、人間の言葉はわからない。そうなっている。」
「そうだね。違う生き物だもん。」
「だけどね赤ずきん。言葉が通じないことは
『心も通じない』ことにはならないよ。わかるかい?」
「え、わかんない。」
おばあちゃんは笑って、
「そうだね。でも例えば、犬が人間に餌入れの前で鳴いていたら、
『餌が欲しいんだな』って思うだろう?」
「そうだけど・・、でもそれが《優しい》オオカミさんと
どうつながるの?」
「じゃあ、赤ずきん。人の食べ物を奪った犬がいるとしよう。
お前なら、その犬をどう思うかな?」
「ひどいね。人のモノ奪うのはいけないんだよ。」
おばあちゃんはまた笑って、
私の頭を撫でる。
「でもね、それが《犬の子供のため》だったらどうだい?」
「・・犬にあげるかな。食べ物を。」
「そうだね。お前は良い子だからそうするだろうね。」
そしておばあちゃんは悲しそうな顔をした。
そして、続けた。
「そんなオオカミや犬まで、撃って殺してしまう人もいるんだ。」
「あ・・。」
私はおばあちゃんの言いたいことが分かったような気がした。
これから言うことも。
「そんなオオカミを嫌ってしまう人もね。」
「それは・・、優しいオオカミさんの話でしょう?」
あくまで、たとえ話はたとえ話、現実のオオカミさんまで
優しいとはわからないし、わかりようもない。
「そうだね。でも酷い話だね。
酷い話は少ない方がいいと思わないかい?」
「それは、そうだけど、少なくする方法なんて、ないよ。」
私は切なくなって、下を向く。
おばあちゃんが私の頭をつかむ。
そして、さっきよりも、きっぱりした口調で私の言った。
私はおばあちゃんと目を合わせた。
「でも、赤ずきんになら、できるよ。
お前は《動物の言葉がわかる》のだからね。」
「・・・・。」
私はまた下を向く。
おばあちゃんが手を離す。
「私なら・・できる?」
「お前なら、オオカミが《悪い》オオカミなのか《優しい》オオカミ
なのか、わかるハズさ。それに、きっとこの森のオオカミは
子供さ。歳で言えばお前くらいだろうね。」
「え、どうしてわかるの?おばあちゃんもわかるの?」
おばあちゃんは、また軽快に笑った。
楽しそうに、愉快そうに、
「違うさ。だってもし大人なら、おばあちゃんなんてとっくに
食われてるよ。人間のにおいに敏感だからね、それに、
たまに此処から影が見えるけれど、どう見ても小さいだろうね。
だからきっと《優しくて子供》のオオカミだよ。」
おばあちゃんが言うと、本当のような気がした。
そして、事実。それは本当にそうだった。
でもこの時はそんなこと知るよしもなく、
「そっかぁ、でもそのオオカミさんでも猟師さんに
殺されちゃうのかな? ・・・可哀想だね。」
「そこなんだよねぇ。もし、お前らオオカミに
会えて、触れて、話をできても、そこを見られたら。
たちまちオオカミは撃たれてしまうかもしれないね。」
私は怖くなった。
オオカミさんを助けたいけど、
もし猟師さんや、お母さん、町の人に見られたらオオカミさんは・・。
そうならないためにはどうすれば・・・。
私は思いついたことを言ってみる。
「じゃあ、私オオカミさんと、
会わないよ。触れないし、話さない。それでも、
オオカミさんと仲良くなって、みんなにわからせるよ、
オオカミさんは良いオオカミさんだって、教えてあげる。」
おばあちゃんは不思議そうな顔をした。
「できるのかい?」
即答した。
「わからない、だからやってみなくちゃ。」
「でもやったら、オオカミさんの命が終わるかもしれないよ?」
私はその言葉に驚いた。
終わる。
終わってしまう。
私は何故か不安になってしまった。
だから、
「じゃあ、ゆっくりやるよ!ここに来た時みたいに、
遠回りして、オオカミさんと会って、触れて、話せるようになる!」
おばあちゃんはそれはいいね、と言って本を枕元に置いた。
片づけないの?ときいたら、
また読むからいいよ。と笑って答えてくれた。
私はジュースを飲み終えるまで、ずっと考えていた。
オオカミさんと仲良くなる方法を、
そして、帰る前にもし『その人』に会った時の対処法も。
飲み終えたら、私はすぐ帰った。
おばあちゃんに、「また来るね」と手を振って。
近くの大きな木には、黒い影の、『オオカミさん』の気配。
私は、話しかけなかった。
こんなに近くても、襲ってこない。
その様子でもう、彼が《優しい》オオカミさんだと分かった。
それで、十分だと思った。思えた。
- 序曲:9場面 優しくて親切でずるい ( No.11 )
- 日時: 2012/08/25 19:40
- 名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)
森の奥の一軒家に住んでいるおばあさんがいるのは知っていた。
知っていたし、見たこともあった。
そして、僕は話したこともある。
というよりも、助けてもらったことすらある。
僕が今より小さい頃(今も大きくないけれど)足を怪我したとき、
治るまで、看病してくれた。
ひとりだから、と言って僕に優しくしてくれた。
とっても良い人だと思った。
でも僕はその頃はまだ群れの中にいたから、
足が治ったらすぐ、出ていかなければならなかった。
その時におばあさんは言った。
おばあさんに孫がいるという話を。
「その子はね、動物が大好きなんだ。まだあなたくらい小さいけれど
もう動物と遊んでいるそうなの。
まるで言葉が通じるみたいにね。まだ人間の言葉も覚えていないのに
動物とは、話しているみたいに見えたの。」
そしておばあさんは僕の毛を撫でて、
「もし、あの子が大きくなったら、仲良くしてあげてね。」
そう言って、僕を外に出した。
僕は、その時少しだけ、悲しくなって、
僕達の言葉でこう言った。
『わかった。その時はまた来るね。』
どうせ、伝わらないと知っていたけど。
どうせ、おばあさんの孫も僕らの言葉をわからないと知っていたけど、
それでも、言ってみたかったんだ。
そして僕は群れに向かおうとした、その時、
おばあさんは何か言ったんだ。
そして、今。あの子があの家に入っていって、
あの子がおばあさんの孫なのだとわかった。
おばあさんの言った通りに育ったんだろうか。
叶うハズのない想いをかけてみている自分が嫌だった。
そんな風に育つ人間がいるのなら、仲間が撃たれたりするわけがない。
だから、どうせ、通じないんだ。
家に近づくと話が聞こえた。
そして、おばあさんとは違う、別の声がした。
大きな声でこう言った。
「じゃあ、私オオカミさんと、
会わないよ。触れないし、話さない。それでも、
オオカミさんと仲良くなって、みんなにわからせるよ、
オオカミさんは良いオオカミさんだって、教えてあげる。」
そんな声が聞こえた。
僕は家から離れた。
木のそばまで走った。
なんだか、変な気分になったから。
くすぐったいような、はがゆいような、そんな気分。
あの子が僕と仲良くなると言った。
きっとおばあさんがそうしろと言ったんだろう。
僕の時みたいに。
あの人は優しそうで親切なくせに、ずるいのだ。
だって、断れない。あの人の頼みは
無理なことを、自信ありげに、堂々と。言ったのだ。
そして、女の子はそれを承知したらしい。
それだけなのに、僕はなんだかむずむずした。
うずうずといったほうがいいかもしれない。
足をバタつかせたくなったでも、できないから、
頭を木に押しつける。
僕はこの気持ちを知ってる気がした。
おばあさんが、あの日僕に言った言葉。
あの時の気持ちとおんなじだ。
「あなたみたいな良い子なら、あの子を任せられるから。」
あの時みたいに、僕は嬉しかった。
嬉しかったんだ、喜んでいたんだ。
そして今、同じように、女の子から言われて、
もしくは言われる前から、
あのときからぼくはもう、
あの子、赤ずきんと呼ばれたあの子に、
赤ずきんに恋をした。
『僕は、どうすればいいんだろう。』
そう、呟いた。
赤ずきんが家から出てきた、赤色はよく目立つ。
「また来るね。」
そう言って、手を振ってあの子は帰っていく。
僕は、なんとなく、後を追った。
これからのことはよくわからないけれど、
仲良くするかもしれない相手だ。相手のことを知っておくのは
別に悪いことじゃない。そう思いたい。
そして、赤ずきんがちょっと笑った。
何かあったんだろうか。
でも、そのあと、緊張した顔になる。
前を向いて、あの子らしくもない、怒ったような顔になった。
前・・・?
僕はそっちを向いて、愕然とする。
それと同時に怒る。
なんで、こんなときに。
僕のよく知っているやつだった。
いつも同じ服装、同じ装備、同じ顔つき。
いつもの様に、周りに目を光らせるあの様子。
赤ずきんの前に、猟師がいた。
そして、彼はきっと僕を探している。
僕は、待機した。 そのときを。
- 序曲:10場面 銃声 ( No.12 )
- 日時: 2012/09/12 13:02
- 名前: 栖樺 瘤 (ID: j.vAWp8a)
家への帰り道、歩いていたら見かけの無い人と出会った。
少なくとも前に来た時には居なかったはずだ。
格好を見るからに、物騒だった。
銃を持ってて、少し汚れた服。
たぶん、まだ20歳前後だと思う。
噂には聞いていたけど、たぶん、あれがおばあちゃんの言っていた、
動物をさわがせている人、猟師だ。
向こうも私に気付いたらしく、顔をあげる。
そして、何かを探しているように辺りを見る。
私ぐらいの子が一人でココにいるのを不審に思ったのだろう。
声が、かかってきた。
「こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
もう、こんにちはという時間か曖昧だ。
少なくとも正午は過ぎているだろうけど・・。
「ひとりなの?」
その人は優しげな口調で聞いてきた。
おばあちゃんが言う程悪い人には見えない。
「はい、まぁ。お見舞いの帰りです・・。」
私は別に人見知りでは無いけど、何故か人の目を見て話せない。
「お見舞いってことは、そこの一軒家のおばあさんの?」
するどい。
というか、ここの近くの家なんてそこしかないけど。
「はい、でもすぐ帰りますから。」
「そっか。気をつけてね。 この辺は危ないから。」
「え?」
帰ろうとし歩こうとしていたところ、何か呟く声が聞こえた。
最後が聞き取れなかった。
訊き返すと、
「なんでもないよ。じゃ。」
手を振って歩いて行った。
私も振り返した。
「・・何が言いたかったんだろう。」
私はそのまま帰った。
なんだかとてもいい人そうで、警戒していたのになんだか
あっけにとられてしまった。
私はあの人がおばあちゃんの言うような悪い人にも見えなかった。
でも
パンッ
「っ!」
後ろから銃声がした。
鳥たちが逃げていく木から次々と。
怖い。
耳をふさぐ。同じ音がもう一度。
火薬のにおいがほんのりする。
さっきの人が鳥を狙って撃ったのかもしれない。
私はオオカミさんじゃなくてよかったと思うのと同時に、
耳に聞こえてくる、鳥たちの悲鳴が怖かった。
無意識に聞こえる叫び声。私には悲鳴にしか聞こえない。
仕事なのかもしれないけれど、今頃きっとおばあちゃんも
怯えているかもしれない。
ひどい、
むごい、
私は半泣きで家に帰った。
『オオカミのせいではない』と必死に伝えた。
お母さんは変な顔して「ならいいけど。」と言った。
もう、あきらめてるのかもしれない。
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