二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶
- 日時: 2009/11/22 12:21
- 名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)
クリックありがとうございます。
この話は主に雲雀さん中心です。
未来編総無視です。
設定的に女体化が約一名います。
シリアスです。(のつもり)
再再再スレッドです。
よろしくお願いします。
- Re: (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶 ( No.1 )
- 日時: 2009/11/22 12:25
- 名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)
(プロローグ)
兄さん、あなたまで私を忘れてしまったの?
今でも私の耳には聞こえているのに。
あの日の、私を呼ぶ声が。
また、ヒナって呼んでよ。
私は、ここにいるよ?
こんなに近くに・・・いるんだよ?
・・・兄さん
(第一話)
オレンジの炎・・・
あぁ、ツナの炎だね。
きれい、すごく。
でも、くるしいよ。
あついよ、ツナ。
「ヒーちゃん、ツーくん!どこにいるの?返事をして!!!」
あぁ、母さんの声だ。
ねぇ、母さん、ツナは、ここにいるよ?
ツナ、ちょっとおかしくなっちゃったんだ。
だからね、ツナを、たすけてあげて・・・
どうか、ツナだけは・・・
「奈々、危ないからさがりなさい!!!」
「だって、まだ中には綱吉と雛結が!」
あぁ、父さん、来てくれたんだ。
じゃぁ、もう、だいじょうぶだね・・・
きっとツナは・・・たすかるね・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ひばり、ひばり。じかん、じかん。」
聞きなれた小鳥の声。
群れてる連中は勝手にヒバードとか呼んでるみたいだけど、
別にその小動物がなんと呼ばれようと、僕には関係の無いこと。
それにしても、またあの夢を見るなんて・・・
最近、あの草食動物たちと群れすぎたせいか、
疲れているのだろうか・・・
心なしか少し熱っぽい気がする。
今日は休んでしまおうか・・・
しかし、応接室のデスクには
今日も高々と書類が積まれていることだろう。
昨日、手に負えなくて残してきた仕事も、
今日中にかたをつけてしまいたいし。
そういえば、黒曜中の不良の残党狩りも、
来週にひかえていたはずだ。
そんなことを頭でぐるぐる考えているうちに、
不意に眠気が襲ってくる。
雲雀は自分でも気づかぬうちに、
また夢に引き戻されていた・・・
(第二話)
目を覚まして、一番最初に目に入ってきたのは
紅いカーテンだった。
おそらく天蓋付のベッドなのだろう。
浮いた感覚と、動かない体が、また眠気を誘う。
「起きたのかい?」
私を覗き込んでいる老人の顔が、
妙に懐かしく感じられるのはなぜだろうか。
やさしそうな、でもどこか哀しそうな、その顔。
父さんに、どことなく似ているといえなくもない。
「ずいぶんとひどい火傷でね。体がしばらく動かないだろうが、
少しの辛抱だ。いいね?」
老人がなだめるように私の頭をなでると、
ふいに涙が私の頬をつたった。
ずっと、この手を待っていた気がする。
ずっと、もっと、遠い昔から・・・
体が動かせるようになって、部屋から出ることを許された私は、
城の中を探検することにした。
ツナや母さんのことは心配だったが、それよりも、
このいかにも外国風な建物を探検してみたいという好奇心が
その心配に勝るほど大きかったのだ。
城にある装飾品や家具のどれもが、
とても高価なものだということは子供の目にも一目瞭然だった。
それでも、むやみに高価なものをそろえたというわけではなく、
たしかにあの老人のセンスを感じさせるものばかりだった。
そんな今までとかけ離れた生活の中で、私は戸惑いながらも、
なんとか環境に慣れようとしていた。
(第三話)
それから、二・三週間たった頃、あの老人が私に会いにきたのだ。
聞きたいことは山ほどあったのに、抱きしめられて、
「私の子供にならないか」と言われたら、もう何も言えなかった。
老人の話し方はとてもやさしかったけれど、
内容はそれとは裏腹に、暗いものばかりだった。
マフィア、イタリア、リング、後継者、
ボンゴレ九代目、家族のこと、これからのこと、
・・・そして、ツナの暴走。
ツナは、もって生まれた強大すぎる炎と力に耐え切れず、
暴走した、というのだ。それに加え、私の雲の炎の特性、
増殖で、さらに炎を強めてしまったらしい。
暴走したツナは周囲のものをすべて焼き尽くし、
力を使い果たして停止した、と言うのだ。
話はあまりにも簡潔で、でも、その簡潔さが
言い表せないほどの事の重大さを表していた。
選択肢なんて、はじめから「はい」しかなくて、
それが妙に哀しくて、それでも、
この人の孤独を少しでも和らげてあげたくて。
私が弱かったから、子供だったから、
ツナの暴走はさらに酷くなってしまったのかもしれない。
強くなりたかった、もっと強く。
ツナを守れるぐらい、この人を守れるぐらい、
強く、なりたいと思ったんだ。
(第四話)
「イレーネ、どこだい?」
「ここよ、パードレ。」
イレーネ、というのは、私の新しい名前だった。
さすがに沢田雛結と名乗るわけにもいかないので、
あの老人、ボンゴレ九代目が名前をくれたのだ。
きれいな名前だとは思うが、正直、
いまいちしっくりこなかった。
カーテンに隠れていた私が姿を現すと、
九代目の隣に立っていた少年がこちらをにらんだ。
「息子のxanxusだ。イレーネのお兄さんだよ。」
xanxusは面倒くさそうに手を差し出す。
握手、しろというのだろうか。
機械的に、義務的に自己紹介を済ませた後、
三人で軽く昼食をとると、九代目は仕事にもどってしまった。
私が庭を横切って部屋に戻ろうとすると、
xanxusが日本語で話しかけてきた。
「おまえ、この城に秘密の花園があるってしってたか?」
突然の問いかけに、声がかすれて答えられない。
「付いて来い」
ひとりでスタスタと歩いていくxanxusを追いかけながら、
私はxanxusが日本語を話せることに、内心驚きを隠せずにいた。
ボンゴレ城の庭は、とてつもなく広い。その中でも、
私のお気に入りは、花と蔓でできたトンネルだった。
xanxusは、そのトンネルのちょうど真ん中あたりに立つと、
トンネルの蔓を掻き分けて、ここだと言った。
トンネルの壁の中は、ドーム状になっていた。
蔓でできた天井からは、かすかに陽がもれていて、
にわかに花の香りが鼻をくすぐった。
「ボンゴレ歴代ボスのなかで、たった一人、女がいた。
その女、ボンゴレ八代目が秘密裏に作らせた庭が、ここだ。」
眉間にしわを寄せながら話すxanxusの顔が、
さっきよりも優しく見えて、私は少し嬉しく思った。
(第五話)
xanxusや九代目が、いつも城にいたわけではなかった。
九代目は仕事が忙しかったし、xanxusには学校があったからだ。
それでも、九代目よりは忙しくないxanxusは、
時折私に会いに来てくれた。
同じ敷地内に住んでいることには変わりないのだが、
なにしろ城という名が付くくらいだ。
端から端まで直線に歩いても、一時間はかかりそうだった。
xanxusは相変わらず眉間にしわを寄せたままだったが、
だんだん私もxanxusの表情が読み取れるようになってきた。
xanxusは群れることをひどく嫌ったので、
私もxanxusと同じように、群れることはしなかった。
たいてい二人で話すときは、あの秘密の花園に寝転がって会話をするため、
誰もが私とxanxusが話しているところを見たことが無かった。
身内いびりが、無かったわけではない。
三人いた九代目の甥も、互いに嫌がらせをしていたりしたが、
私にその手が伸びたことは一度もなかった。
おそらく、私がxanxusのお気に入りだと、誰もが思っていたからだろう。
xanxusには悪い癖がある。気に入らない人間やうるさい人間には、
そばにあるものを投げつけるという癖だ。
しかし、xanxusが私になにかを投げつけたことは一度も無かった。
気に障るようなことを言っても、うるせぇの一言である。
だから、そのおかげでもあり、私は常に一人だった。
さびしい、と思わなかったと言えば、嘘になる。
帰りたいとも思った。ツナに、母さんに、父さんに、会いたかった。
日本の文化に触れたかった。
けれど、そうしなかったのは、xanxusをおいてはいけなかったから。
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