二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- NARUTO 〜明日の未来〜
- 日時: 2010/07/01 18:18
- 名前: 娃輝 (ID: qwjQ/00r)
注意事項
・オリキャラとオリジナルの術がでます
・ヒロインは、デイダラ姉とイタチ姉とサソリ妹です
・できるだけ、微原作沿い&ギャグ(?)&若干シリアスにしたいと思います
・特殊能力が少しだけ出てきます
・原作で亡くなる人が亡くならない場合があります
・デイダラ姉はシカマルと飛段寄り、イタチ姉はカカシ寄り、サソリ妹はサスケとイタチ寄り・・・落ちは未定です。
・いきものがかりなどの曲の歌詞が入り、それをヒロインが作った設定になっております
・ヒロインの過去の方でサソリ妹はデイダラと、デイダラ姉はイタチと、イタチ姉はサソリと会っています。
上記の他にも読者様が「ん?」と、思ってしまう所があるかもしれませんが、ご了承ください。
上記の事がNGの方は読まない方が良い事をお勧めします。
読者様が喜んで読んで頂けたら、私も嬉しいです。
- NARUTO 〜明日の未来〜 第二章 過去と真実 ( No.14 )
- 日時: 2010/06/25 21:54
- 名前: 娃輝 (ID: qwjQ/00r)
「(・・・・・・・・・・・・・・・。)」
私達九ノ一生徒は特別施設に向かうために、アカデミー内の長い廊下を歩いていた・・・なぜかっていうと、今日の二、三時限目は男子のクラスと合同の授業で何かをするらしい・・・詳細は分からないけど・・・。
「(それにしても遅いわね・・・二人共・・・。)」
今日・・・というより、今はソフィアとサオリの姿がなかった・・・遅刻か休みかのどちらかね・・・きっと。
「(まぁ・・・どちらにしろ、ソフィアはともかくサオリが遅いだなんて・・・何かあったのかしら・・・。)」
ソフィアは月に一回は絶対遅刻してくる・・・理由は簡単、単なる寝坊・・・だから、ソフィアが遅れても違和感はないんだけど、サオリは一年で遅刻もしたことないし、休んだこともない・・・完璧主義者なのよ。
「(・・・もしサオリが遅れてくるんだったら・・・きっと、傀儡関係ね・・・。)」
メンテナンスか仕込み・・・それとも新しい傀儡作りか毒の調合・・・色々と私の頭の中でサオリが最低限こなす仕事が浮かんでくる。
「(・・・まぁ、後で聞けばいいか・・・。・・・あ・・・。)」
前に歩いていた子の足が止まった・・・日向ヒナタちゃんだっけ?日向一族の・・・。たしか、あの人達の被害者の一人・・・内気な性格な彼女はすぐ、“あの人達”のターゲットにされ、ソフィアがすぐ助けに行っていた・・・もちろんその日も居残りの日・・・。その時から、ソフィアはヒナタちゃんによく喋りかけては、色々な所に連れて行ったらしい・・・でも、たまーにヒナタちゃんに教えられる事があったとか・・・。
——— ヒナター!一緒に森林浴しよー!今日は暑いから、日陰に座って風に当たろう!きっと涼しーよ! ———
——— ヒナタ!ごめん!ノート写させて!爆睡してた!! ———
——— へぇー・・・ヒナタって妹いるんだ・・・初耳初耳・・・きっとヒナタみたいに可愛いんだろうなぁ・・・私は妹いなかったからよく分からないけど、やっぱり大変? ———
「(・・・ソフィアは話したことがない子でも気軽に話しかけれる性格の持ち主だから、ヒナタちゃんとも親友になれたかもしれない・・・私はそんな事、真似できないけど・・・。)」
私は一度顔を上げ、立ち止まった場所を見渡した・・・私達がいる場所は体育館・・・みたいなところ・・・ここでよく組み手や、儀式が行われる・・・ちなみに、私はよくここで甘味処で買ってきた団子を食べていたものよ・・・まぁ、十二年前の話だけど・・・。
「よし!男子一列女子一列で並べ!」
イルカ先生の号令がかかり、皆ざわざわと騒ぎ出す・・・全く、誰が騒げと言ったのよ・・・イルカ先生は並べと言っただけなのに。
「・・・はぁ・・・。」
私はだいたい列が出来ている所の最後尾に移動した・・・あまり前だと目立つから。
「・・・あっ、コウハちゃんだってばよ!」
はっと顔を上げ、声がした方を見ると、笑顔で手を振りながらこちらに向かって走ってくるナルトの姿があった。
「・・・おはよう、ナルト。」
私は口先を上げて、金髪の男の子に笑いかけた。
「おはようだってばよ!」
・・・朝から元気がいいのね、ナルトは・・・私と大違い。
「?コウハちゃん元気ないってばよ・・・?」
ナルトが私の顔を覗きこむ・・・私は苦笑を浮かべた。
「私、低血圧だから・・・朝弱いのよ。」
「ていけつあつ?」
ナルトが首を傾げている様子を見ると、どうやら意味を分かってないみたい。
「・・・血圧が低くて、朝なかなか起きれないの。」
「へぇー・・・。」
ナルトが首を上下に振ると、前の方から声がした。
「おーい!早く並んで座れ!」
イルカ先生の声が体育館中に響き渡る。
「・・・そういえば、ソフィアとサオリちゃんはどこだってばよ?」
・・・ナルト、イルカ先生の言葉聞いてた?
「・・・今日は休みか遅刻。」
「えぇーーっ!!今日は九ノ一のクラスと合同授業だから、オレってばコウハちゃん達と会えるの楽しみにしてたんだってばよ!」
・・・私に言われても・・・。
「・・・きっともうすぐ来るわよ・・・ほら、ナルト・・・列に座って。」
「うおぉ!」
私がナルトの手を引っ張って、強制的に座らせた。
「・・・よし、男子は全員いるな。」
イルカ先生が男子の列を数えた後、女子の人数を数え始めた。
「・・・?おや?」
どうやら、気づいたみたい・・・二人がいない事に・・・。
「おーい!ソフィアとサオリの遅刻原因を知ってる奴いるかー!」
イルカ先生が声を張り上げて生徒に問う・・・でも、皆は隣の子と顔を合わせたり、首を傾げるだけ。
「イルカ先生、今日は二人共遅刻なんじゃないでしょうか・・・休みの連絡も来てませんし・・・。」
隣にいるミズキがイルカ先生に言う。
「しかし、ソフィアはともかくサオリが遅刻という事は・・・。」
私もそう思ったよ、イルカ先生。
「・・・はぁ・・・しょうがない・・・今日は二人共欠席という事で・・・」
≪バァン!!!≫
「(!・・・やっと来たのね・・・。)」
いきなり閉まっていた出入り口の戸が開いて、生徒が何だ何だと戸の方に視線が行く。
「すいませーーーん!!!遅れましたぁぁぁーーー!!!」
出入り口から姿を現したのは案の定、ソフィアとサオリだった。
「なぁ、あの子達誰だ?」
「おれに聞くなよ・・・九ノ一の生徒だろ・・・。」
「でも、あんな奴・・・木の葉で見た事ないぜ。」
「それより二人とも可愛い・・・。」
・・・なんて、男子の方から声が聞こえる・・・まぁ、二人が美形だっていう事は認めるけど・・・。
「遅いぞ!!今何時だと思っている!」
イルカ先生がソフィアとサオリに怒鳴りつける。
「・・・ごめんなさい。」
サオリはしゅん・・・と、しているが、ソフィアは反省する気もなく、はきはきと答えた。
「えーっと・・・十時十七分五十七秒だ
ね・・・・・・あ、訂正・・・今、十時十八分になった。」
「そこまで細かく答えんでいい!!」
・・・と、言って、イルカ先生がソフィアの頭をごつく・・・あ、痛そう・・・。
「ソフィアを叱らないでください、イルカ先生・・・遅刻した原因は私にあるんです。」
・・・私の予感が的中しそう・・・。
「そうなんだって!サオリが夜遅くまで傀儡いじってたから、私を起こせなかったんだよ!」
見事に的中・・・私、“時の神”より予言ができるかも・・・。
「・・・まぁ、サオリ曰く・・・私を起こしたのは六時で、なかなか私が起きなかったから、そのまま放置しておいたんだって。」
「結局はお前が寝坊したんだろうがぁーー!!」
あぁー・・・もう一発鉄拳が・・・。今のは痛いわね・・・ソフィア頭抑えながら、涙目でイルカ先生を睨みつけてる。
「サオリは武器の整備をしていたとみなして良しとする!だが、ソフィア!お前の遅刻の理由は寝坊だ!罰として今日も放課後残れ!」
「えーーっっ!!」
ソフィア絶叫・・・ドンマイ。
「・・・分かったら二人共後ろに並びなさい。」
「分からなかったので、もう一度説明してくださーい。」
「誰がするか!」
・・・イルカ先生とソフィア・・・忍者辞めて漫才師になればいいのに・・・きっと売れる。
「・・・災難ね・・・二人共。」
ソフィアとサオリが列の後ろに来て、私の後ろに座った。
「ほんとだって・・・はぁ・・・今日も居残りかぁ・・・またあのプリントやらされるだろうなぁ・・・。」
「大丈夫ですよ、ソフィアの集中力は半端ありませんから。」
ソフィアの後ろでサオリがフォローする。
「・・・はぁ・・・。」
サオリの言葉を聞くと、ソフィアは体操座りをしながら、深いため息をついた。
「さぁーて!みんな前を向けー!」
イルカ先生が呼びかけると、生徒が一気にイルカ先生の方を見る・・・みんな優等生ね。
「明日は待ちに待った卒業試験だ!今日は一年間のまとめとして男女合同授業をする事になった訳だが・・・」
「せんせーい!その授業の内容はなんですかー!」
一人の男子生徒が手を挙げて、声を張り上げる。
「それを今から説明するからよーく聞け!今日の授業の内容は・・・」
その瞬間、ゴクリ・・・という効果音がいくつか聞こえた。
「・・・・・・・・・鬼ごっこだ!」
≪・・・シーン・・・≫
イルカ先生の一言で館中が静かになった・・・こういうの、シラけた・・・って、言うんだっけ?
「・・・・・・・・・ええええぇぇぇぇぇーーーっっっ!!!!」
もちろんその後には生徒達からブーイングの嵐が来るわけで・・・。
「しーずーかーにー!!!まだ話は終わっていないぞ!」
イルカ先生、無駄ですよ・・・一度騒ぎ出したら止まらないから・・・子供っていうのは・・・。
「おーい!!静かにしないとイルカ先生が怒って、顔がタコみたいに真っ赤になるから、そんなドン引きする顔を見たくない人はすぐ黙ろうねー!!」
「他に言い方ないのか!ソフィア!」
・・・たしかに、その言い方はきつい・・・でも、みーんな黙った・・・そんなに見たくないのね・・・イルカ先生可哀相・・・。
「・・・ゴッホン!えー、鬼ごっこといっても忍具、術を使った鬼ごっこだ!これはミズキ先生と相談して決めた種目だから、皆、自分の力を十分に発揮して、この授業を受けてくれ!」
・・・先生、私とソフィアとサオリが本気だしたらここにいる人間・・・即、死にますよ?
「それじゃあ、ルールの方はミズキ先生に話してもらうから、皆、静かに聞くように!」
そしてイルカ先生がミズキにアイコンタクトを送ると、ミズキがそれを合図に前列に出て、イルカ先生は後列に下がった。
「鬼ごっこのルールは普通の鬼ごっこと同じで、まず鬼を決めて、鬼の人は逃げる人を捕まえるという単純なルール・・・鬼の人も逃げる人もさっきイルカ先生が言った通り、忍具、術をうまく使って逃げたり捕まえたりして下さいね・・・私の話は以上です。」
すると、ミズキが後列に下がり、イルカ先生と交代する。
「・・・と、いう事だ・・・逃げていい範囲はこの体育館と運動場と中庭だけ・・・それ以外の場所に行ったら即、鬼に捕まったこととみなす!何か意見のある奴はいるかー!」
・・・いないわね・・・あ、サオリが手を挙げた。
「お、それじゃあ、サオリ。」
イルカ先生に当てられると、サオリはすくっと立った。
「あの・・・例えば、私が逃げる側の人間だとして・・・同じ逃げる側の人間が捕まりそうになった時、助けてあげてもいいのですか?」
サオリらしい意見ね・・・。
「いい質問だな、サオリ。サオリの言う通り、同じ逃げる側の人間が捕まりそうになった時は、助けてやっても良い・・・反対に、鬼側の人間だったら、仲間の鬼をバックアップしても大丈夫だ。」
サオリはそれを聞くと、軽く会釈をして、その場に座った。
「それじゃあ、今から鬼を決めたいと思うが・・・この人数を一人で捕まえるのは不可能に近い・・・だから、男一人、女一人で鬼を決めたいと思う!誰かやりたい奴いるかー!」
「はーい。」
後ろから声が聞こえて振り返ったら、ソフィアが少し肘を曲げて、手を挙げていた・・・意外ね、こんな事するのめんどくさいとか言うかと思ったのに・・・。
「女子の鬼はソフィア!男子にはいないかー!」
・・・みんな逃げたい人ばっかりね・・・誰も手を挙げないみたい・・・。・・・あ・・・男子の方で手挙げてる人がいる・・・誰?最前列の方・・・。
「!・・・男子の鬼、シカマル!」
え・・・?シ、シカマル・・・?いつも屋上でサボっている人が?・・・あの人・・・熱でもあるんじゃないかしら・・・それとも、ソフィアが鬼だから?
「よし、ソフィアとシカマルは前に来い。」
ソフィアの気配が動いて、そのままサオリの横を通過する・・・そして、私の横まで来た時・・・。
「・・・コウハ、間違っても写輪眼出さないでね・・・この姿では開眼してないっていう設定になってるから・・・。」
私のほうを向かずにそのままの体制で私にそう言った。
「分かってるわよ。」
私は小声で返事を返すと、ソフィアはちらっと私を見て微笑み、イルカ先生の元に行った・・・シカマルもめんどくさそうに前に出る。
「ソフィアとシカマルは一分数えてもらってからスタートしてもらう・・・それまでにできるだけ遠くに移動しろよ。」
イルカ先生は二人の肩に手を置くと、にんまりと笑った。
「・・・それでは、全員起立!」
イルカ先生が号令を掛けると、皆腰を上げて立った。
「・・・では、鬼ごっこ・・・よーい・・・・・・スターート!!!」
イルカ先生の合図があったら、数多くの気配が四方八方に散らばった。
「・・・いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお・・・」
ソフィアはかというと、上の空でのんびり数を数えていた・・・シカマルは・・・もはや、数えてすらいない。
「・・・私もそろそろ行ったほうがいいわね・・・。」
気がつくと、私しか逃げる側の人間は体育館にはいなかった・・・サオリは軽く私にアイコンタクトを送ったら、どこかに行ってしまった。
「・・・せめて、チャクラを出し過ぎないようにしなくちゃ・・・。」
私はそう呟くと、体育館の出入り口へ走り出した。
- NARUTO 〜明日の未来〜 第二章 過去と真実 ( No.17 )
- 日時: 2010/06/25 21:37
- 名前: 娃輝 (ID: qwjQ/00r)
「・・・だいぶ遠くに来てしまいましたね・・・。」
後ろを振り返ると、体育館がここからだとぼやけて見えた。
「・・・鬼がソフィアだけでしたら、手加減はしないんですけど・・・。」
もう一人だけ・・・奈良シカマル君も鬼なので、手加減は最低限・・・しないといけないですね。
「そろそろ、この中庭ともお別れですか・・・。」
私が今いる場所はアカデミー内の中庭・・・色々な花や植物が植えてあって、よく放課にここでヒナタさんとソフィアが森林浴を楽しんでいたような・・・。
「砂ではこんなに植物は無かったから、最初見たときは驚いたんですよね・・・。」
木の葉ではこんなの当たり前・・・と、コウハは言っていましたが・・・木の葉は冬でも花は咲くんでしょうか?・・・冬が楽しみになってきました。
「花は親、種は子・・・。」
昔、祖母に教えてもらった言葉を思い出し、呟いた。
「木も親、葉は子・・・太陽と月は光、人間と動物は影・・・。・・・・・・!」
もう少し続きを言おうとして、私は誰かの気配を感じ取り、周りを見渡した。
「(・・・・・・一人だけのようですが・・・この気配、どこかで・・・。)」
≪ザワッ・・・≫
「!!」
風も吹いていないのに木の葉が揺れた。
「(!あそこの木・・・!)」
私はポーチの中からクナイを出し、それを左手に持ち、後ろの木に体ごと向かせた。
「誰!」
殺気を少しだけ放ちながら言うと、先ほど揺れた木から青い服を着た少年がゆっくりと姿を現した。
「!・・・貴方は・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
私はゆっくりポーチにクナイをしまうと、彼は木の幹の上から地上に降りてきた。
「・・・・・・ごめんなさい・・・・貴方とは知らずに、いきなりクナイを向けてしまって・・・驚いたでしょう?」
「別に大したことはない。」
・・・と、言ってそっぽを向いた。
「昨日の夕方ぶりですね、サスケ君。」
そう言うと、サスケ君は少し顔を上げた。
「貴方もここに隠れているのですか?」
「隠れているわけじゃない・・・ただ、あいつら〈鬼〉の様子を伺っているだけだ。」
「そうでしたか、その判断は正しいですね。」
私はサスケ君に微笑むと、青い空を見た。
「ふぅー・・・今日も良い天気ですね。」
「・・・あぁ・・・。」
サスケ君も私に続いて空を見る。
「・・・サオリ。」
しばらく経ってから、サスケ君が私の名を呼んだ。
「はい?何でしょう?」
私は青い空からサスケ君に視線を変えた。
「・・・お前は傀儡使いなのか?」
微かに首を傾げて、私に問う。
「えぇ、そうですよ。」
私もその質問の答えを返す。
「なぜ、傀儡使いになったんだ?」
なぜ・・・ですか。
「・・・少し話すと長くなりますよ?」
「別に構わない、話せ。」
私はサスケ君の言葉に口先を上げた。
「・・・この話は祖母に聞いた話なんですけれど・・・。」
私は目を閉じ、ぽつり・・・ぽつりと、語りだした。
「私には年が離れた兄がいて、その方は傀儡使いとしても天才としか言いようがない人だったらしいのです。」
兄・・・という部分で、サスケ君は顔を上げた。
「その時はまだ私は生まれてはいなくて、私は兄の顔ももちろん知りません・・・今でも。」
「?今でも・・・?」
サスケ君の呟きに、私は彼と目を合わせた。
「私が生まれた日に・・・その方は里を抜けたんです。」
「!!・・・里を・・・抜けた・・・?」
サスケ君は目を見開いた。
「えぇ・・・そして祖母は、私が生まれてから兄と同じ道に行かせないように、私と傀儡の距離を遠ざけた・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・ですが、私は三才の頃に傀儡に興味を持ち、祖母はそんな私の気持ちを察したのか、自ら直々に傀儡の操り方を教わり、こうして私は、まだ半人前の傀儡使いになったという訳ですよ。」
私は一通り話し終わると、目を開け、サスケ君の方を見た。
「・・・ごめんなさいね、まだ会って間もない方にこのような話をしてしまって・・・。」
サスケ君が何とも言えない表情をしていたので、私は苦笑いを浮かべた。
「・・・いや、少し驚いただけだ。」
・・・そう言うと、サスケ君は私に二、三歩近づいた。
「・・・・・・あの、サスケ君・・・。」
「?何だ。」
「・・・距離、近くないですか?」
「そうか・・・?」
いえ、これは間違いなく近いです・・・私が仰け反ってなかったら、顔・・・くっ付きますよ?
「あの・・・すごく恥ずかしいのですが・・・。」
「おれをコウハだと思えばいい・・・一応、顔は似ている方だしな。」
「いえ、そういう問題では・・・っ!」
・・・今の私の状況を言葉に表すと、ネズミが黒猫に捕まった・・・という事です。私の両手はサスケ君の片手によって封じられています。
「な、なぜ手を・・・!」
「チャクラ糸で逃げられたら困る。」
私の後ろは木・・・もはや、逃げ場がありません。
「サ、サスケ君・・・!」
「・・・顔、真っ赤だぞ?サオリ。」
なります!普通はなりますよ!異性とこんな近距離だと、誰でも顔を真っ赤にさせます!
「髪・・・本当に赤いんだな。」
・・・と、私の頭を撫でる。
「はいっ・・・!ち、父親譲りなんですっ・・・ですから、は、離れてください・・・!」
「・・・じゃあ、性格は母親似か。」
なぜ、このような状況でそんな話題が出るんですか!・・・見事なまでに当たってますけど・・・。
「(なんとかして話を逸らさないと・・・!私の心臓が持ちません!)」
・・・そして、必死になって思いついた言葉が・・・。
「あっ・・・!えっーと・・・サ、サスケ君には、ご兄弟はいらっしゃいますか・・・!」
「は?」
・・・後半で声が裏返ってしまいました。
「つ、つまり、コウハ以外に兄弟はいるのですか・・・って、サスケ君!これ以上顔を近づけないで下さい!」
「・・・いるには、いる・・・だが、今は話す時じゃない・・・。」
じっと、黒い瞳が私を捉えた。
「・・・嫌なのか?この状況が。」
「嫌というか、今はこんな事するという事態、可笑しいですよ!」
「なら、いつならいいんだ?サオリ。」
サスケ君!前向き過ぎます!
「さ、三年ほど経ったら・・・っ!」
・・・私でも驚いていますよ。なぜ、このような事を言ったのか。
「・・・分かった・・・じゃあ三年後まで待つ・・・。・・・で、いつまでそこに立ってるんだ?」
「いや、だって・・・・貴重なもの見れたような気がしたから。」
「!!」
思わず声のする方を見てみると、そこには木にもたれ掛っているソフィアの姿があった。
「ソ、ソフィア・・・!」
「やー、どーも、どーも。」
ソフィアは軽く手を振った。
「あ、もしかして邪魔だった?ごめんねー。・・・でも、ここは一応アカデミーという名の学校の中庭だからさー、学校内恋愛禁止?みたいな?」
「ソフィア!冗談は止めてください!いつからそこに居たんですか!」
私が問うと、え?・・・という顔で、口をポカンと開けたソフィア。
「まさか気づいてなかった?サスケでも気づいてたのに・・・サオリは興奮すると周りが見えなくなるんだね・・・おぉ、新しい発見。」
「ソフィア・・・!」
私がソフィアの名を呼ぶと、サスケ君が口を開いた。
「それより、残りの奴らはどうした?」
「とっくの昔に捕まえたよ・・・私とシカマルでね・・・後はサオリとサスケだけ。あとの皆は全員体育館にいる。」
「・・・コウハもか?」
サスケ君は半信半疑でソフィアに問う。
「もちろん!・・・ねぇ、知ってる?O型って餌をやると懐くんだってー・・・。コウハってO型でしょ?・・・ポケットの中に入ってた団子をあげたらあっさり捕まってくれました。」
「「((・・・コウハらしい(な。)(ですね。)))」」
サスケとサオリの考えた事が一致した。
「・・・さーてと、私ももう疲れたんで・・・とっとと捕まってもらえるかな?」
「ソフィア・・・後半の方を笑顔で殺気を放たないでください・・・。」
私はさり気なくサスケ君から離れた。
「んー・・・それじゃあ、イルカ先生曰く、後三分で終わりだそうだから・・・じゃんけんして私が勝ったら捕まえさせて?いくらなんでも三分でクナイや術使って捕まえるっていうのは無理だから・・・カップラーメンでもあるまいし・・・いいかな?」
「・・・・・・・・・。」
サスケ君は黙ったまま・・・。恐らく、なんと言葉を返したらいいのか分からないんですよね・・・分かりますよ・・・その気持ち。
「・・・はい、無回答ということで強制的にやらせまーす。最初はグー・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「!」
慌てて私は左手を出した・・・サスケ君は、無言で手を出しています。
「じゃんけーん・・・ポイ。」
・・・ソフィアはパー、サスケ君はグー・・・そして、私もグー・・・。
「はい、お二人共負け〜・・・・・・と、いうことで・・・。」
ソフィアは右手で右目を隠している前髪を退けると、ソフィアの右目がゆっくりと開かれた。
「・・・写輪眼!!」
「っ・・・!?」
「ソフィア・・・!?」
私はソフィアの右目を見た途端、地面に倒れ、意識を手放した・・・最後に見たものは、紅い眼の中に渦巻いていた、黒い勾玉模様だけだった。
- NARUTO 〜明日の未来〜 第二章 過去と真実 ( No.19 )
- 日時: 2010/06/25 21:16
- 名前: 娃輝 (ID: qwjQ/00r)
「ギャハハハハハハ!!!!」
遠くの方で高笑いが聞こえる・・・あれは・・・ナルトの声?・・・ってか、今授業中なんだけど・・・。
「コラー!!また、いたずらばっかりしやがって!!」
「毎日毎日いい加減にしろ!」
「なんちゅーバチ当たりな!」
大人の声もする・・・本当に外で何が起きてんの?窓側の席からでもよく見えん・・・。
「バーーーーーカ!!うっせんだってばよ!!お前らさ!お前らさ!こんな卑劣なことできねーだろ!!だが、オレはできる!!オレはスゴイ!!」
・・・何やったか知らないけど、それは単なる自己満足じゃね?
「何やってんだ授業中だぞ!早く降りてこいバカ者ーーーー!!」
今度はイルカ先生の怒鳴り声が・・・。あー、だんだん気になってきたな。
「(・・・よし、直接見てこよう。)」
十数秒の決断により、私はイスから腰を上げた・・・もちろん、急に立ち上がった私を、九ノ一の生徒の皆さんはガン見するわけで・・・。
「よっと・・・。」
でも、私はそんな視線をシカトして、開いている窓の淵に飛び乗った。
「・・・ソフィア、先生が来る前に戻ってきなさいよ。」
「りょーかーい。」
コウハが頬杖をつきながら眠そうな口調で言った・・・優等生のコウハが私の肩を持つなんていつもの事だけど、今は少し寝ぼけているみたい・・・ちなみに、ただいま自習。
「んじゃ、いってきまーす。」
私はそう言った後、外の風景を目に映して、一気に窓淵からジャンプした。
「・・・さーてと、声はこっちから聞こえたような・・・。」
私は里の住民が住んでいる家の屋根を足場にして空中
散歩中・・・これ、けっこう楽しいよ?
「岩でもよくやったもんだなぁ・・・これでよく鬼ごっこして遊んだもんよ・・・うんうん。」
・・・まぁ、結果的にジジイに怒られたけど・・・。
「あ・・・いたいた・・・おーーーい!!!ナルトーー!!」
私は金髪の少年を発見し、大声でその名を呼んで、手を振った。
「あっ!ソフィアだってばよ!」
ナルトも笑顔で手を振り返してくれた・・・うん、弟そっくり。
「なっ・・・ソフィア!!お前までなんでここにいるんだ!!」
おーおー・・・イルカ先生、怒るのはいいけど、あんまり怒ると皺増えるよ?
「いやー、ナルトの高笑いが聞こえたんで、気になって来ちゃいましたー・・・みたいな?」
「気になったからって来る馬鹿がいるか!!ばか者!」
「いるよ?先生の目のまん前に。」
「屁理屈を言うな!!」
と、言って、頭をごつかれる・・・痛いっすよ、イルカティーチャー。
「・・・んで?ナルトは何をやったのさ。」
頭を抑えながらイルカ先生を見上げた。
「顔岩にペンキで落書きをしたんだってばよ。」
ニシシ・・・と、私とイルカ先生の横で笑うナル
ト・・・反省全くしてなくね?
「わー・・・芸術的作品だね・・・こりゃ。」
上を見上げてみると、なんとも見事に初代から四代目までカラフルな落書きがされていた。
「(“あの二人”がいたら今頃爆笑してるかも・・・。)」
いや、それとももう一工夫入れるかな?
「とにかく!!ソフィアは教室に戻れ!ナルトは俺と一緒に来るんだ!」
「えー、もう少しだけ芸術鑑賞したかったのに・・・。」
ぶー・・・と、頬を膨らませる。
「あと、今の九ノ一の授業って自習でしょ?超メガウルトラめんどくさいし、激ギガスーパーつまんないもん・・・そもそも、九ノ一の授業っていうこと事態やだ。」
「お前なぁ・・・。」
イルカ先生が拳をプルプルと震わせている・・・おっ、殴るか?殴るのか?
「じゃあ、おれ達の教室に来ればいいってばよ!ソフィア!」
「おぉ!ナイスアイディア、ナルト!男子の授業もどういう風か見てみたいし、九ノ一の教室ここからだと遠いから、一石二鳥じゃん!!」
私はパチンと指を鳴らした。
「駄目に決まってるだろ!!勝手に二人で話を進めるな!!」
≪ゴン!ゴン!≫
「「・・・痛ってー・・・。」」
鈍い音が二回聞こえた・・・ちなみに、一回目が私で、二回目がナルトね。
「とにかく!ナルトは放課後残って、歴代火影様の顔岩の落書きを綺麗さっぱり消せ!ソフィアも放課後残って補習プリントを六十枚やるまで家に帰さんからな!」
「げっ!六十っすか!?」
・・・今日はコウハとサオリに先に帰ってもらうように言っておこう・・・さすがの私のその量は・・・。
「・・・って、イルカ先生・・・なんで懐にロープ隠し持ってんの?・・・まさか、それで首吊り自殺を・・・。」
「そんな訳ないだろ!お前ら二人が逃げないようにこのロープで縛っておくんだ!」
「そんなぁ・・・犯罪者でもあるまいし・・・。」
・・・って、あれ?もうナルト逃げてる・・・。
「せんせー、ナルト君がさっそく逃げてまーす。」
「あいつ・・・!こらあぁぁぁ!ナルトォォォ!!」
イルカ先生がナルトを追いかける・・・あ、捕まった・・・この二人良いコンビだなぁ。
- NARUTO 〜明日の未来〜 第二章 それぞれの想い ( No.20 )
- 日時: 2010/07/01 17:42
- 名前: 娃輝 (ID: qwjQ/00r)
「・・・掃除機。」
「黄な粉。」
「子猫。」
「コマ。」
「枕。」
「ら、ら・・・ら・・・?」
ナルトが首を捻って、言葉を捜す。
「お、ナルト・・・ギブアップかい?」
私は意地悪な笑みを浮かべて、ナルトを見る。
「そこの二人!!うるさいぞ!」
イルカ先生の言葉を無視して、ナルトが閃いた。
「あっ!!ラーメン!」
「はい!負けー!!」
やっぱり答えちゃうよねぇー・・・弟もよく引っかかったんだよー。
「うるさいと言ってるだろうがぁーー!!」
≪ゴン!ゴン!≫
「「・・・痛ってー・・・。」」
・・・さっきとは逆で、一回目がナルト、二回目が私ね。
「・・・イルカ先生、女子を殴るとは何事ですか。」
「お前は態度的に女子じゃないだろ!!」
・・・ナイスツッコミ。
「せんせー・・・ナルトはともかく、なんでソフィアがここにいるんスか。」
シカマルが低い位置で手を挙げてる。
「おっ、いい質問だね・・・シカマル。それは私があまりにつまらない九ノ一の授業を抜けてきたから、優しい優しいイルカ先生が私をここに連れてきたのだよ・・・ここだと、けっこう楽しいから。」
「ソフィア!イルカ先生は優しくなんかないってばよ!」
「あー・・・ほんじゃ、訂正・・・怒ると皺が増えて、老化が進むイルカ先生が・・・」
「訂正せんでいい!!」
またまた、ナイスツッコミ。
「ソフィアとナルト!明日は卒業試験だろ!特にナルト!お前は前回も、その前も試験に落ちてる!!
外でイタズラしてる場合じゃないだろ、バカヤロー!」
「「はぁー。はいはい・・・・・・。」」
≪ぷっちーん。≫
ん?なんか切れた音がした・・・?・・・ってか、イルカ先生・・・手、震えてるよ?貧乏揺すり?・・・あ、それは足で起こる現象か。
「今日の授業は変化の術の復習テストだ!全員並べーーーー!!」
イルカ先生は新種の貧乏揺すりをしていた手をビシッと皆の方に指差しながら、言った。
「えーーーー!!」
うん、シカマル君はブーイングじゃなくて、あくびをしてるね。
「先生そっくりに化けること!!」
イルカ先生の言葉に皆渋々席を立って、並び始める。
「あーあー・・・ナルトのせいで・・・。」
「いや、お前もだろ。」
「?」
ふっと横を見てみると、めんどくさそーな顔をしながら、私の方を見ているシカマルの姿があった。
「あ、シカマル・・・さっきは質問どーもありがとー。」
「別に好きで質問したんじゃねぇ・・・。」
はぁー・・・と、ため息をつくシカマル・・・うっわー・・・めんどくさいオーラが強烈・・・。
「ねぇ、シカマル。その子誰?」
「ん?」
なんともマイペースな声がするので、シカマルの後ろを見てみると、少しポッチャリ系の男の子がポテチを食べながら、私を指差していた。・・・ってか、アカ
デミーに菓子持って来ていいの?
「あぁ、こいつはソフィアってんだ。」
シカマルが私と男の子の真ん中に立った。
「よろしくー。」
「こっちもよろしくね。」
「いやー・・・いつもシカマルがお世話になってるようで・・・。」
「ううん、こちらこそ。」
「いや、なってねーから・・・チョウジもこいつに乗るな。」
へー・・・この子はチョウジっていうのか・・・よし、覚えたぞ。
「お色気の術!」
≪ボオォォン!!≫
急にナルトの声と、煙の音が聞こえた・・・しかも、お色気の術って・・・何さ。
「・・・なんか、えらい騒ぎになってるな。」
「ナルトの奴だろ。」
だろうね・・・。
「あ、意識戻ったぞ?イルカティーチャ。」
・・・そして、しばらく間が開いてから、イルカ先生の怒声が教室中に響き渡った。
- NARUTO 〜明日の未来〜 第二章 それぞれの想い ( No.21 )
- 日時: 2010/07/01 17:43
- 名前: 娃輝 (ID: qwjQ/00r)
「・・・帰りが遅いと思ったら、こんな所にいたの?ソフィア。」
「あ・・・コウハ。」
私は男子の教室に入ると、案の定、ソフィアが補習プリントをやっていた。
「・・・あれから、ここに?」
「うん。」
ソフィアが短く返事をする。
「・・・ナルトは顔岩に落書きしたそうね・・・しかも、ペンキで。」
「・・・うん。」
外を見ると、ナルトが一生懸命に顔岩に付着したペンキをこすって、落としていた。
「・・・サオリは?」
「先に帰った。」
「そっか・・・。」
それっきり、ソフィアは黙ったまま、プリントに鉛筆を走らせていた。
「・・・それ、何枚目?」
「五十九枚目。」
「・・・微妙な数字ね。」
私は小さくため息をつくと、外にいるナルトを見た。
「(・・・四代目によく似てる・・・。)」
明るくて、冗談好きで・・・周りを笑わせてくれていた。
「(でも・・・もうあの人はいない。)」
九尾とともに、この世を去った。
「(・・・いつか、昔通りに暮らせるのかな・・・。)」
弟達と一緒に・・・。
「(・・・とにかく、“あの二人”は私の命に代えても、守って見せる。)」
それが・・・“姉”の役目というもの。
「よし!でっきたー!!」
いきなりソフィアが大声を出すので、思わず身震いをしてしまった。
「お疲れ様。」
「いやー・・・、肩凝ったー・・・。」
ソフィアは肩を揉みながら言った。
「あ、コウハ・・・私、ナルトを手伝ってから帰るけど・・・コウハはどうする?」
「・・・私も手伝ってあげたいけど、今日夕食当番だから・・・。」
私は苦笑いすると、ソフィアも笑い返した。
「そっか、それじゃあまた明日だね。」
「えぇ、また明日。」
ソフィアは軽く私に手を振ったら、開いている窓から飛び出して、顔岩の所に行った。
「・・・私も、そろそろ帰ろう・・・。」
よっと・・・と、カバンを背負いなおして、私は教室を後にした。
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