二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【dance;wits:the:DEVIL 】
- 日時: 2010/07/02 15:50
- 名前: EN (ID: tHinR.B0)
- 参照: http://id46.fm-p.jp/209/satorusora/
ドラゴンボールとDevilMayCryのコラボ小説書いてみました。
戦闘重視でがんばります。
※注意※
此方の作品には女性向け・暴力表現が含まれています。
作品に登場するキャラクターの性格はドSが基本装備となっています。
- Re: 【dance;wits:the:DEVIL 】 ( No.1 )
- 日時: 2010/06/27 19:43
- 名前: EN (ID: P3xeYQNF)
- 参照: http://id46.fm-p.jp/209/satorusora/
悪魔と踊ろう。闇を纏って。
深い深い冬の奥から、
這い上がり囁く様に手招く。
久し振りに男同士でという事で、孫父子がMr.サタンの屋敷へ訪れた後の帰り道。
夜も更け人気のない繁華街を帰路にのんびりと歩いていれば、裏路地へと続く細い道の奥から気配を感じて足を止めたのは父である悟空だ。
「どうしました?お父さん」
仕事でめっきり視力が落ちて黒縁眼鏡を掛けた息子の悟飯も吊られて奥を覗き込めば、妙な雰囲気と背筋に走る冷えた空気に無意識に緊張した。
父子は互いに視線を配り、悟空は裏路地へと歩き出し悟飯も続く。
細い道はそう長くはなかった。
灰色のビル群に囲まれた寂れた広場に辿り着けば、雲に隠れていた月がタイミングよく顔を出す。
見上げた闇の空には星はなく、血のように赤く染まった月だけが浮かんでおり、不気味な月光は父子の頭上と広場を照らし出す。
その時、獣の鳴き声が響いた。
声がした方へ視線を向ければ、置き捨てられた廃車の影から、赤、碧、黄色の6つの眼がこちらを見ていた。
悟飯は若干驚いたが、悟空は更に驚いて眼を見開いている。
やがて、ソレの正体は月光の下へと歩いてきた。
のっそりと、影から出てきたのは大きな獣。
犬に、近いだろうか。
闇から産まれたような漆黒の毛並みを持つ獣。
ただし、6つの眼がこちらを眺めていたが現れたのは一匹だけ。その獣はみっつの頭に、ひとつの胴体をしていたからだ。
表情筋は至って変化はないが、片方の眉だけを跳ね上げるという器用な真似をしたのは悟飯だ。
反対に悟空はというと、見たこともない獣を前にして先程の緊張感の欠片もなく眼を輝かせている。
「っっすっげぇ格好良いなぁ!!」
腹の底から響かせた楽しげな悟空の声に、今度は獣が驚いた。
帰路の時は、夜風に当たりながら眠い眠いと愚痴をこぼしていたのに。
両手を広げて歩み寄ってくる悟空に、相手が無邪気すぎて対応に困った獣はとりあえず警戒に唸りを上げたが如何せん、野性児として長くパオズ山で暮らしていた悟空にはそんなものは効果はない。
例え、獣の毛並みが逆立ち闇夜の影が異様に波打ったとしてもだ。
異様な冷気が、急激に表れる。
近くにあった水溜まりが瞬時に凍りつき、周りのコンクリートや廃材にもパキンと音を立てて霜が溢れてゆく。
流石に真冬のために悟空も悟飯もそれなりに長外套やジャケットを羽織っているが、この気温は異常だ。
- Re: 【dance;wits:the:DEVIL 】 ( No.2 )
- 日時: 2010/06/27 19:45
- 名前: EN (ID: P3xeYQNF)
- 参照: http://id46.fm-p.jp/209/satorusora/
は、として悟飯は獣に眼を行く。
嫌がられているにも関わらず構い倒す悟空の周りに、闇と冷気が混じる『気』が空間を歪ませている。
そしてそれを発生させているのは、眼を輝かせた獣だ。
「お父さんっ」
獣が容赦なく悟空の伸ばしてきた手に噛みつこうとして、悟飯が慌てて声を掛ける。
が、遅かったようだ。
獣が悟空に噛みつく前に、悟空の手が優しげに3頭を撫でてゆく。
悟空は屈託のない笑みを浮かばせ、冷気に当てられてすっかり赤みが失われた指でわしゃわしゃと毛並みを乱してゆく。
「おめぇ、どっから来たんだ?」
自分で野性児と言っていただけあって、動物の手懐け方は上手かった。
幼い頃から、動物達に好かれている父の後ろ姿を見てきたせいでもあるのか、悟飯は拍子抜けしてしまう。
獣が発生させたであろう強烈な冷気を諸ともせず構ってくる悟空に獣も諦めたのか、じぃ、と黙ってされるがままになっている。
その光景を見守っていた悟飯はポケットから携帯電話を取り出すと、ネット検索を開いた。
いやまさかなぁ、と薄々は感付いてはいるが、科学者としては認めたくないのも本音である。獣の特徴を検索してゆき、瞬時に検索結果が出てそれを読むと、悟飯は重い溜息を付く。
「お父さん。その子の正体、分かりましたよ」
「ん、なんだ?」
とうとう膝の上にまで抱き寄せた父と、すっかり懐いてしまった獣に悟飯は笑っていいのか複雑なところだ。
「名はケルベロス」
「ける、…?」
「地獄の門の番犬と呼ばれています」
ひとつの体に複数の頭は、事例は少ないが発見はされている奇異な存在だ。
しかし、異常な冷気はまったくもって別問題だ。
悟飯が獣に歩み寄ろうとすれば、獣が途端に悟飯に向かって唸り声を上げ出す。
悟飯が疑心の眼を宿しているのを気付いたのだ。
青年だった頃はそうでもなかったが、何故か動物に嫌われるようになったのを、悟飯は自分自身、原因が全く分からない訳ではない。
常に穏やかな悟空と違い、沸点の低い悟飯の「気」を獣は反射的に警戒したのだ。
それとも一学者としての物理欲求に獣が危険を感じたか。
- Re: 【dance;wits:the:DEVIL 】 ( No.3 )
- 日時: 2010/06/27 19:46
- 名前: EN (ID: P3xeYQNF)
- 参照: http://id46.fm-p.jp/209/satorusora/
「お父さん、そろそろ帰りましょう」
「でも、こいつ迷子じゃねぇのか?」
「いえ、恐らく…」
視線を月の真下のビルに向けて言葉を発した所で、別の声が遮ってきた。
「おい、おっさん」
高い声が広場に冷たく響く。
悟空も見上げれば、ビルの屋上に誰かが立っていた。
バサリと、夜風に靡いたのは深紅の長外套だ。
使い慣れたくすんだ色のブーツに焦げ茶の革ジーンズ。
悟飯が思わず唖然としたのは、この真冬にも関わらずその者は長外套の中に薄いシャツしか着ていない事だ。
胸元にルビーの輝きに似ていて、しかし異様な光を纏うアミュレットを首に下げた、銀髪の青年。
アイスブルーの瞳は狡賢そうな印象を受けた。
そして青年が手に振りかざしたのは、刀身130cmはある神話にでも出てきそうな大剣。
その大剣を悟空と悟飯に突きつけ、青年は再度口を開いた。
「あんたら、悪魔か?」
にやりと笑ったその表情は、青年にしては酷く威圧めいた「気」を放っていた。
足音よりも深紅の長外套が翻る音が大きく、滑るようにビルの屋上から降りてくる。
銀髪の青年の首に下げたアミュレットが赤い月を浴びて、怪しく美しく光った。
青年が掛けた言葉に、悟飯は眼を細める。
「『悪魔』とは、また非現実的な事を言いますね」
例えようにもあるが、悟飯が想像している『悪魔』と青年が知っている『悪魔』には違いはあるはずだ。
自分達の力も非現実的だが『悪魔』と一緒にされるのは大変失礼に値する。
「なぁ、」
悟飯の言葉を無視して、青年は悟空に声を掛けた。
悟空が首を傾げて見上げれば、青年は悟空が抱いているケルベロスを指差す。
「いい加減、離してくれね?」
「なんだ、おめぇコイツの飼い主か?」
「あー…、まぁそんなもんかな」
悟空の腕の中で、ケルベロスが青年の言葉に抗議の鳴き声を上げた。
「よくまぁ、手懐けられたもんだ」
「それがお父さんの特技ですけどね」
気配もなく隣に立った悟飯に、青年は少し驚いた。
「…、あんたら兄弟じゃねぇの?」
まるで不審者を見るような眼差しを向ける青年に、悟飯は冷たい視線を送ると笑い返す。
「良く言われますが、れっきとした親子です」
悟空と悟飯を交互に見て、青年は苦笑を漏らした。
「ウチの親父も似たようなもんだったからな…」
「そんな事より」
青年の何処か鋭利を含ませた言葉に興味すら沸かず、すっかり『科学者としての欲求』な表情をなくした悟飯が、ケルベロスを撫でながら青年に問い掛ける。
「ケルベロスは、悪魔の番犬でしょう。どうして君が飼っているんですか?」
悟飯の声は冷淡で、つい、と目配せした冷たい黒い瞳に、青年のアイスブルーの瞳は細まる。
「なに、あんた信じるの?悪魔の事」
「君が最初に言ったんじゃないんですか?それとも、狂言だと?」
ふたりの間に、見えない火花が散る。
お互い名も正体も明かさない限り、油断ならない人物だと察しが付いた筈だ。
無邪気でいるのは悟空ぐらいなものだ。
「これでも、非現実的なものなんて幾らでも見てきましたから。大体の事には免疫があるんですよ」
「…、同業者なのか?」
ふいに、青年の口から出た言葉に悟飯は言葉を止めた。
深読みを、して良いのだろうか。
いくつか想定はしているが、悟飯はまだ答えを出せない。
「同業者とは、どういう事を差すんですか?」
その台詞に青年の、目付きが変わった。
- Re: 【dance;wits:the:DEVIL 】 ( No.4 )
- 日時: 2010/06/27 19:47
- 名前: EN (ID: P3xeYQNF)
- 参照: http://id46.fm-p.jp/209/satorusora/
アイスブルーの瞳のように、冷たさを含ませる攻撃的なそれは、悟飯の背筋を凍らせた。
「何って、分かんねぇ?」
くつくつと笑いを漏らす青年に、流石の悟空も表情が強張る。
青年がチラリとケルベロスを一瞥した途端、背中に背負っている大剣を降り上げた力をそのままに、目の前にいる悟飯に斬りつけた。
赤い月に反射した銀の閃きだけが悟飯の視界を捕らえ、半ば反射神経でその垂直斬りを一歩退いて避けた。
青年の銀髪が、遅れて冷たい夜風に揺れる。
悟飯が僅かに驚くほど、その攻撃は早かった。獲物を掠めた剣先は地面を深々と抉り、威力は凄まじさを表している。
殺気は、青年から一切感じられなかった。だが剣技の破壊力は本気が伺える。
「へぇ、意外に素早いな」
「悟飯!」
「大丈夫です。当たってませんから」
邪気のない青年の笑みに、悟飯は警戒すら抱く気にもなれない。
最初から、いや恐らくはケルベロスと接触した時からこの青年は、臨戦状態だったようだ。
感じた事のない『気』だ。だが怖れるほどではない。
「あんた、只者じゃないだろ」
笑みを崩さない青年の内情は掴めないが、強者に違いない。
「さぁ、『悪魔』だったらどうしますか?」
此方の力を試したのならばと、お返しにほんの少し悟飯は『気』を放出してみる。
悟空はすぐに複雑な顔をしたが、こんな不愉快な喧嘩を売られたなら受けるべきだ。
悟飯を中心として、夜風が弧を描いてゆく。撫で付けている前髪が夜風とは違う、熱を含む風に靡いた。
至って穏やかだった悟飯の豹変に、青年は息を飲んで一歩下がった。
そうすれば、青年が居た場所が僅かに陥没し始める。
「悟飯!!」
「大丈夫ですよお父さん。殺しはしませんから」
父親には優しい笑みを向けているのに、青年に対しては露ほどの優しさ等ない瞳を向けてくる。
「ただ、御灸を添えるだけです」
「おぉおぉ、怖いねぇ」
手をヒラヒラとさせて怖がる素振りを見せない青年は笑っているだけだ。
悟飯も笑っているが、二人とも笑顔がまったく違う。
小さな公園でも作れそうな、狭い裏路地で不似合いな凄まじい戦いが繰り広げられそうで、割って入るタイミングを完全に失った悟空は慌てていた。
そうしていれば、ずっと悟空の膝の上でじゃれついていたケルベロスが、不意に暗闇に飲まれた数ヵ所の隙間や裏通りに眼を向けると悟空の膝上から降りる。
「ケル、どした?」
そっちに行ったら悟飯に虐めらるぞ、と喧嘩を止める気すらなく最早、地獄の番犬を完全に犬扱いしていた。
飼い主(悟飯なら契約者と言うだろう)の元へ行こうとするケルベロスは、穏やかな6つの眼を悟空に向けると、口を開きだした。
『待たれよ、』
悟飯と青年が互いに一歩踏み出そうとして、別の声が遮ってきた。
視線を声がした方へ向ければ、そこにはケルベロスが座っていた。
青、黄、赤の瞳が二人を見上げている。
『主よ、この者の力は充分に知れただろう』
『目的を忘れている』
『仕事をしろ、主』
三頭がバラバラに喋りだす。
尻尾を振って、青年を見上げたり放心している悟空とやはり冷静な悟飯を見上げている。
「ケルて、喋れるんだなぁ!!!」
ケルベロスの言葉を遮ったのは悟空だ。再び撫でてくる悟空にケルベロスは既に抵抗を諦めている。
冷たい空気すら砕く無邪気な悟空の声に、青年は緊張の糸を解いて笑い出してしまった。
悟飯も、溜め息を付いて自然と苦笑が零れた。
「分かった、からかって悪かったよ。俺はダンテだ」
笑いを収めて、ダンテと名乗った銀髪の青年は悟飯に振り返る。
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