二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【PandoraHearts】堕天使は舞い降りる。
- 日時: 2010/08/15 22:01
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
- 参照: 堕天使にだって羽が無い訳じゃないんです。
ご訪問ありがとうございます(^ω^)ノ
夢叶[ムト]と言います、一言で駄作文創始者でs(((
……初めましてorこんにちはー!!
『で、何故同じスレを建てたの??』
この質問多分多いんじゃないかと思われます。
……事情があったんですごめんなさいorzorzorzorz
どうしても気になる方は夢叶に聞いて下さい、そんなに深刻じゃない、
って言うかですね。かなり馬鹿馬鹿しい問題で笑っちゃいますフフウー
と言う事で、まずは注意事項から^O^(待て
@注意事項、
・荒らしやチェンメ、中傷目的の方はお引取り願います。
・僕が嫌い!!パンドラなんてつまんないよ。って方も読むのは控えた方が……!!
・駄文。←ひwwwとwwwこwwwとwww
・キャラ崩壊注意!!特に糞ワカメ★「どう言う意味だ!!」
・オリキャラ出ますb恋愛も入ると思うので苦手な方はリータンッ
えへへへ、やっぱり注意事項でもギルはヘタレをかましておかないとね。
虐め害があるキャラが好きです。でもやっぱり美脚のエコちゃんとかかな……
———いや、私はやはりエリオット君一筋です!!
私も前まではブレイクだったんですけどね。
こんな飽き性な奴に誰か優しくツッコんであげて下さい・д・;
続きましてお客様せうかい!・ω・ノ
@お客様、
・亮様 ・アリス様 ・風様 ・うっさー様 ・五円玉様
・煌謎様 ・マユ様
ありがとうありがとうありがとうありg((うざi
この場にシャロンお姉様がいましたら、私はきっと殺されかけていた事でしょう。<●>ω<●>ぎょろ。
さて、とりあえずこんなものです。でもなんか物足りないな……そうだ! ((
最後に一言です。
最後に一言を入れたら良い感じ……かな??((貴様は
@最後に一言@
【更新は亀並みですが、温かい目で応援してあげて下さいね\^q^/】
- Re: 【PandoraHearts】+堕天使は舞い降りる+ ( No.9 )
- 日時: 2010/06/30 19:19
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
瞳って綺麗よね。
だって分かり合えるの。
目を合わせただけで人の気持ちが手に取る様に分かる。
え?? 貴方は、分からないの??
おかしいわね……だって私には分かるのよ。
あ、分かった。私がおかしいんじゃない。貴方達がおかしいの。
(私が正しくて、貴方達が違う。それだけの事)
@+…Ⅲ了承ノ瞳、
———こんにちは———
そう言って、優しく微笑み掛ける女の瞳には全く色が移っていなかった。すると、ソコでブレイクが口を開けた。
「全てをお話しましょうか。 ねぇセシルさん」
「……そうねザークシーズ=ブレイク。だから早く私から離れて早く」
……『セシル』。どうやら、ソレが彼女の名前らしい。
2人の会話を無視して出て来たのはシャロンだ。シャロンは口をポカンと開けてブレイクに問う。
「どう言う事ですかブレイク?? 一体その方は……」
「まぁまぁ今全てを話すと言いましたヨ?? まぁ、お嬢様少し落ち着いて下さいな」
オズ、ギル、アリス、シャロンの4人は、状況が全く理解出来ずにいた。まぁ、当たり前だが。
ブレイクは少女をエスコートして椅子へ座らせようとする。
当の少女は、ソレを少し拒んで入る様にも見えたのだが……ソコは敢えてスルーである。
「やっと落ち着きましたネ。まぁ、とりあえずは自己紹介でもどうです??」
「セシル=シルヴィア。ソレが、私に与えられた名前」
「セシルちゃんって言うんだ?? 可っ愛いー!!」
「……面白い坊やね。帽子屋よりもずっとずっと気に入った」
シルバーの色をしたセミロングに、ウェーブが掛かった綺麗な髪形。
そして、何より綺麗で彼女の特徴である誰もが吸い込まれてしまいそうなその紫の瞳……
だけど、何処となく……ある筈の瞳の色は、『無い』に等しい様に思えた。
笑っている口元……優しい笑み、優しい口調、優しそうな雰囲気—————……
どれも吸い込まれそうで、可愛くて、彼女なりの輝きがあった筈なのに。
なのに——————色が、無い様に思えた。真っ白だ。
「(可愛い。いや、違う。うーん、違わない。てか何言ってんだ俺??
だけど、兎に角分からない……なんなんだこの気持ち)」
「どうかされた?? ソコの、アナタ」
「うっ、ううん何でもないよセシルちゃん。さ、どうぞ話を進めて??」
「……そうね」
そう言うと、セシルはブレイクが酌んで来たお茶を美味しそうに飲み干し再び話し始めた。
「改めましてこんにちは。私はセシル=シルヴィア。彼……ザークシーズ=ブレイクには助けられたわ。
ある意味だけれどね。まぁ聞いていてくれるかしら?? 私達が、出会った事の全て。
そして、何故ザークシーズ=ブレイクは私の手を取ったのか……」
***
ブレイクは歩いていた。ギルに言われた通りに粉砕した庭を見回りに来たのだ。
確認をし終えたブレイクは、踵を返しまた別荘の中へと入ろうとした。だが。
「お、やぁ」
表情を一転し、その場へ座り込んだ。何故か、自分のズボンの裾を引っ張る人物がいたから。
「……中々今日は、こうどうして—————くふ、くふふふふっ!!
満更悪い日ばかりでも無い様で安心しましたヨォー……??」
裾を引っ張る人物は、アリスより少し背が高いくらいの女。
女は地面に倒れ込みながら……と言うよりも、へばり付きながらの体勢で寝転んでいた。
しばらくの沈黙の中、彼女はやっとの事で初めて口を開いた。
「……何」
ソレは、とても綺麗で透き通った声。ブレイクは自分の鼓動が何故か速まった様な気がした。
自分まで心が支配されない様に、ブレイクも言葉を静かに返す。
「何って……君が呼んだ。そうでしょう??」
「そうね……こんにちはお兄さん。 初めまして」
「こちらこそ」
「私はセシル=シルヴィアよ。貴方は」
「私?? ……私の名はですネェ、ザークシーズ=ブレイク、と言います。以後、お見知りおきを」
「貴方……変わってるわ。性格も名前も、その肩の人形も」
『俺の事か?!!』
「このコはエミリーです。ま、今の発言はあまり気が進みませんが
褒め言葉として受け取っときますヨ……で、私を呼んだ理由は??」
返って来た言葉は、案外以外で。
「貴方を……貴方を呼べば、私の記憶を取り戻せる気がしたの」
「記憶を……少し、お伺いしてみる価値がありそうです」
「……良いわ。話してあげる。簡単よ。
———……私は、私の記憶を盗まれたの。とあるチェインにね!!」
セシルは目をカッと見開いて、吹き荒れる嵐の様に嘆かわしそうに地面の草を思い切り毟り取る。
ブチブチィ!!! と、草を毟る音が辺りに響いた。途端に、風もまた強く吹く。
如何にも、セシルの強い怒りを表す表現にピッタリであった。まるで漫画の様(小説だが)である。
ブレイクはふと何かを思い出した様に、手をアゴに付けて考えてみる。
「(そう言えばこの前彼が言ってましたっけ。
幾年か前のの有名なチェインがまた暴れ始めたと……ふぅむ、コレは面白そうダ)」
そしてまた怪しげな笑みを口元に浮かべてセシルの肩に手を置く。
まるで、セシルはブレイクの考えを読んだかの様にブレイク同様怪しげな笑みを浮かべる。
「—————盗まれた記憶、取り返してあげますヨ」
***
「……と、言う訳なんですネェー」
「……ブレイク?? 歯を食い縛りなさい」
「え、ちょ」
バシイイイィィイィン!!!
再び、シャロンの一撃必殺ハリセン攻撃がブレイクに喰らわせられる。
シャロンは一瞬黒いオーラを漂わせてからまた優しくニッコリとした笑みを口元に浮かべ、いつもの姿勢を持ち直す。
「うふふ、失礼しましたセシルさん。私はシャロン=レインズワースと申す者。ちなみにこの3人は……」
「……ギルバート=ナイトレイ。偽名は鴉[レイヴン]だ」
「私はアリス。コイツの契約者だ!! 自己紹介しろ下僕め」
「痛ッ!!」
アリスは乱暴にオズをゲシゲシと足蹴りしながら前へやる。
「オズ=ベザリウスだよ。宜しくねセシルちゃん」
セシルはオズと目をパッチリ合わせる。と言うか、セシルがオズの目をギロリと睨むのだ。
オズは少し動揺するも、体勢は崩さず笑ってセシルを見詰め返す。
怖いのに怖くなくて、知らない人なのに知っていて。美形なのに、何も無い様で。
オズは今、そんな事だけを考えてセシルを見詰めていた。だからこそ目を『合わす』事が出来たのだ。
「ふふ……ザークシーズ=ブレイク。分かった、私の記憶探し彼等に頼む」
「エェ……勿論です」
こうして、また彼等に新しい仲間がやって来た。仲間と言えるのかどうかはまだ分からないが……
だがまぁ、兎に角。ブレイクにとってのお楽しみが増えたのには変わりがなかった。
end+*.
- Re: 【PandoraHearts】+堕天使は舞い降りる+ ( No.10 )
- 日時: 2010/06/30 19:25
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
いつもと変わらない日常は、朝を迎える。
いつもと変わらない青空は、真っ青に輝く。
いつもと変わらない私のココロは、鈍く鈍く……
鈍く……鈍く……鈍く……鈍く……
鈍 く ? ?
その先には—————……何があるのかしら??
(だから見つけ出すのね。 生きてる道の何処かにある、私の『サガシモノ』)
@+…Ⅳ反響ノ夢、
「それじゃぁまぁ、セシルさん、そろそろお部屋でも移動しますカァ??」
「……良いけど、ザークシーズ=ブレイク。アンタに案内されるのは遠慮しておくわ」
「なんだか酷い言い様ですネェ。あまり度が過ぎると襲っちゃいま」
「何か言った……??」
「……何も」
セシルの冷たい氷の眼差しには、ただ身を固めるしかないブレイクだった。
するとソコで、やっと他の者の発言がその場を支配した。
「ちょ、ちょっと待って。コッチだって聞きたい事があるんだから」
「確か、オズだったわね。どうぞ、お好きに聞いて??」
——————オズだ。オズは勝手に話を進めるブレイクとセシルの中に割って入る。
セシルは飄々とした顔付きで、綺麗な瞳を真っ直ぐに輝かせながらお茶を啜った。
「アリスには、記憶が無いんだ」
「…………だから、如何だっての??」
「アリスの場合は記憶を『無かった』。だけど、君の場合は無くしたんじゃない……
さっきの発言の中にさ、『盗まれた』って、言ったよね??」
「そうよ、盗ま……れ、た」
そう言って、再度ティーカップを手に取りお茶を啜るセシル。
ティーカップを掴む手が、小刻みに震えていたのは気のせいだろうか??
オズは目を光らせて、気付いていながらもその事には問わなかった。
もしも聞いたら—————………何かが、壊れる様な気がしたからだ。
ソコで突然、先程までケーキを口に頬張らせていたアリスも発言する。
「私が覚えていたのは自分の名と、自分に記憶がなかった事だ」
「だから??」
「つまりはだなっ!! お前は自分の名前を知っていたなら、他に何かを覚えていなかったのか??」
「貴方と同じね。私もよ」
「…………」
「…………………………」
「………………………………………」
「…………………………………………で?? 質問は」
「質問はって……シルヴィア」
「何ワカメ君」
「ワカメじゃねぇっ!!! と、兎に角だ………俺が言いたいのは、
他にだって返す言葉はあるだろ、ソレをたったの一言で」
「だって、通じたでしょ??」
最もな、答えだった。
セシルはそのまま飲み干したティーカップを置き、『ご馳走様』
と一言だけ言い残し去って行った。多分、これから部屋へ戻るつもりだろう。
すると、とっさにシャロンが慌てて部屋を出ようとするセシルに声を掛ける。
「ま、待って下さいセシルさん私が案内しますわ」
バタン、とドアを閉め去って行くセシルとシャロンの後姿を見て、残された者達は小さく呟く。
「なんなんだアイツは……」
「ほっほっほ。まァ、面白くて良いじゃないですカー」
「……………はぁ、また面倒が増えた」
オズもアリスもギルもブレイクもシャロンも……全員、いまいちセシルのキャラが掴めない様であった。
まぁソレも仕方が無いのかもしれない。最初から神出鬼没で、不思議な雰囲気を漂わせていて………
ソレが、セシルなのだから。と、オズはとりあえずいつもどおり受け止める事にした。
今回ばかりは受け止める事をしなければ、頭が爆発しそうだったのだから。
「(……本となんなんだ。セシルちゃんと会った時から何かおかしい。俺、が。俺だけが……多分)」
***
廊下で。彼女は静かに頭を抑えながら自分の部屋へと向かう。
シャロンは、そんなセシルを見て心配そうに様子を窺っていた。
「セシルさん……大丈夫なのですか??」
「——————————さぁ」
「あまり深く、問わない方が??」
「そうね………ありがたいわ。その方が………」
その時のセシルの笑みは、何故だか何処か儚げで———————……
彼女が彼女じゃない様にシャロンには見えた。淡く、儚く、美しい。なのに。
「(切ない……)」
シャロンの鼓動が———————大きく、大きく高鳴った。
ドクン!! ドクン!! ドクン!! 何度も何度もやむ事の無い鼓動。
「セ、シル、さん……ココが貴方の部屋ですわ」
「ありがとう、お嬢様??」
そしてシャロンを残し、セシルはその笑みを浮かべたまま部屋へ入っていった。
***
「どうして、こんな思いをしなければいけないの……」
頭が痛い。
ガンガン煩い。
ジンジン響いて、
そして反響する。
「盗まれたからって何よ……!! 早く早く早く早く私の記憶を返しなさいチェイン!!!」
返せ———————————………ッ!!
返せ………
私の記憶…………
「何処ヘ行ッタノヨ」
その時だった。
ド ン。
『忘れちゃったノ……??』
『誰!!!』
***
『忘れたノ?? 忘れたノ?? 貴方は忘れてしまったノ??』
『アンタのせいじゃない……!! 分かるわ私には。私の記憶を盗んだのは—————』
『——————エェ??』
『………ッ!! 離れろ!!』
バケモノ!!! 近付くなバケモノ!!!
バケモノ………私に障るな私に囁くな触るな。
——————————キモチワルイ——————————
『ヤだヨ』
『何でよ!!!』
『私ノ契約者だカらニ……決まッてルじャなイ??』
『黙れ!! 黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ煩い黙れ煩い黙れ黙れ黙れ煩い煩い黙れ煩い思い出したく……ナイ』
『早く、私の存在に気付いてよ………シルヴィアあぁぁ……』
***
「——————————————!!!」
————————朝。セシルの目が勢い良く覚める。冷や汗を掻き、荒息を立てる
いつも変わらぬ、飄々とした笑顔を浮かべていたセシル。
なのに今、彼女の表情は—————『乱れていた』のだ。
ボサボサの髪、崩れた笑顔、汗でびっしょりのベッドとパジャマ。涙が込みあがった、瞳。
「あぁ、今日も変わらない1日が始まる」
カチリ、と、セシルにとってはあまり心地の良くない時計の針の音が部屋に響いた。
end+*.
- Re: 【PandoraHearts】+堕天使は舞い降りる+ ( No.11 )
- 日時: 2010/06/30 19:24
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
煩い奴等がまた増えた。
もう近寄らないで。
私に近寄らないで。
じゃないと貴方達が———————……!!
……私は何を考えているのかしらね。
だってほら、私は、私は………
(私は、私は意地悪なコ、そう。どんな時だって非情)
@+…Ⅴ嵐ノ前の静けさ、
「おはよう」
その日の朝、セシルはブレイクに言われた通りにリビングへとやって来た。
セシルはオズ達を見て一度一回り見回し、軽く挨拶を交わす。
「あっ、おはよーセシルちゃん」
「………起きたか」
「遅いぞセシル!!」
「朝から元気ね、貴方方は…………」
セシルがフッと小さく笑むと、セシルに続きまた誰かがやって来た。
「おはようございマース、朝食置いときますネ」
—————ブレイクだった。ブレイクは、紅茶とサンドイッチ2つ、
そしてデザートに小さなケーキを添えた籠を運んで来た。
セシルは顔を引きつらせ、曇った笑みをブレイクに向けて言葉を返した。
嫌々そうな笑顔……本当にブレイクが苦手なんだなぁ、とオズは思う。
「………どうも?? ザークシーズ=ブレイク」
「イヤですネー、私と貴方の仲ですよ。名前で呼んで下」
「あら、おはようございますわシルヴィアさん」
「———えぇ!! ミス=レインズワース、おはよう」
ブレイクの言葉を遮る様に発言したのはシャロンである。
ニコニコと、天使の様に輝く笑みでセシルに挨拶をする。
セシルはそんな拒まれたブレイクを見て、シャロンへ同じく天使のような笑みを返した。
「さ、朝食ですヨーセシルさん」
「分かってるだから近寄らないで」
「そんな拒絶しないで下さいヨ………いくらなんでも私だって傷付いちゃいます」
「お願いだからホントに黙ってザークシーズ=ブレイク」
「おいっ、ピエロ。さっさと任務の事を話したらどうだ!!」
いつも通りの2人の茶番劇が始まる前に、アリスは眉間にしわを寄せ腕組みをしてブレイクに叫ぶ。
ブレイクはわざとらしく『まぁまぁー今話しますカラ』と言ってアリスを宥めた。
「今日は皆さんにココへ行って貰います」
「ブレイク、何その地図ー??」
オズがいつもの笑顔で机に出した地図を除いてみせる。続き、アリスとギルもやって来た。
セシルは相変わらずの苦々しい表情で、一定距離を保ったまま地図を見る。
「今日の任務の地図です。ちなみに貴方達が行くのはこの『ノベルス』って所デス」
「ノベルス……確か昔」
ギルが何か言い掛けたその時、いきなりギルの肩に手をやるオズ。
「そう言うのはどーでも良いってギル!!」
「————分かったから、とりあえず離せ」
「煩い奴等だな。下僕のクセに」
「黙れバカウサギが」
「なんだとこのヘタレワカメ?!!」
オズとギルが多少揉めた様に見えたが、アリス乱入で益々騒がしくなる一方。
ブレイクはと言うと、手を上に挙げて『お手上げ』なんてポーズを表現してみせた。
「あー、また騒ぎ出しちゃいましたネー??」
「ふふふ、元気で喜ばしい事じゃないですか?? ね、セシルさん」
シャロンがセシルの肩に優しく手を置く。が、セシルは無表情で一方をジッと見詰めていた。
セシルは相変わらずの冷めた笑みで、シャロンへと問い掛けた。
「……ねぇ、所で」
「あら、どうかされましたか??」
セシルは、オズ、ギル、アリスの3人の座っていたソファ—————
………の、右側にある大きなまたもう1つのソファを見詰めた。
「ソコにいる3人のコ達は、一体誰なの??」
そのソファには、男が2人、そして女が1人、静かに座っていた。
この部屋に入ってくる時から既に気付いていたのだが、あまり気に留めてはいなかった。
だって、別にどうでも良かった。関係ないとだけ思っていれば、セシルにはそれで十分。
するとブレイクが口を開く。だが————————………
「アー、紹介そびれました。彼等はですネェ」
「……待てブレイク。自己紹介くらいは自分達でやる」
その3人の内の1人の青年が、立ち上がる。無愛想な表情、綺麗な金色の瞳。
「俺はアレンス=ディルク。ディルとそう呼べ」
「あら、生意気な坊や………でも嫌いじゃないわ貴方のその目」
「それはどうも」
「お次は、ノアの出番かな??」
可愛らしい声が部屋に響く。セシルは軽く、小さな笑みを浮かばせた。
声を上げたのは少女。テーブルの上のケーキを美味しそうに口に頬張りながら自己紹介をし始めた。
「ノア……本名はノア=ルルーシュ、です」
「可愛らしいコもこのパンドラとか言う組織にいるのねェ」
「はは、ノアは100年前の真実を探してるんだ。ねぇブレイク」
「エェそうで」
「で、最後のの自己紹介は??」
セシルはサラッと流す。必ずブレイクの発言の時は、流す。勿論流せそうな時だけだが。
ディルクは無表情のまま小さく呟き、ノアは小声でブレイクに耳打ちをした。
「自業自得だブレイク」
「………本当に嫌われてるんだ」
「慣れましたヨ」
「えーと、そろそろ俺の自己紹介良い??」
「えぇ、お願い」
最後に自己紹介をするのは、3人の中で最も若そうな青年。
「シャルル=フェレーラです。宜しくねセシル」
「………宜しく」
直感的に、セシルはあまりこの男と居たくない、そう思った。
「何か隠してる??」
「………解いてみたら??」
そして誰も、この2人の間に割って入ろうとはしなかった。
異様な空気が漂っていたのだ。何故だか、近寄ると危ない気がして————————
「あー、ほらとっとと準備して下さいな。今回の任務はきっと長くなりますからネ」
「長く??」
「えぇそうですオズ君。ノベルスには最近おかしな事件が多発。
アリス君の記憶など、色々な情報があるかもしれません」
「で、長旅になるのが大変だからノア達も一緒に誘ったんだよねブレイク」
「はい。途中から、私とお嬢様も合流する事になってマス」
「ふむ……ピエロにしては中々良い任務を拾って来たな」
「お褒めの言葉をありがとうございマース??」
いつもの調子でブレイクは笑う。なんとなくイラッとしたアリスはブレイクをドガンと殴りつけてみた。
オズやギル、ノアが止めようとする。それとは逆にシャロン、ディルクは黙って見過ごしていた。
シャルルはと言うと、1人でソファに座ってのん気に茶番劇を楽しんでいた。
勿論セシルは何時もの様に相変わらずの呆れ顔で溜息を1つ。
「はぁ」
end+*.
- Re: 【PandoraHearts】+堕天使は舞い降りる+ ( No.12 )
- 日時: 2010/06/30 20:08
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
最近耳鳴りが消えない。
止まない。消えない、止まない。
消えない止まない消えない止まない。
消えて?? 止めて、よ。
もう苦しいのは嫌。
……だけどまぁ、仕方がないわよね。
(今は我慢の時。深呼吸して……そうよ我慢すれば何時かきっと私の求める物が)
@+…Ⅵ苦しみノ夢、
ココは馬車内だ。只今、目的地『ノベルス』へと馬車は進んで行く。
セシル、オズ、ギル、アリス、ディルク、ノア、シャルルの7人が乗るのだ。
馬車も勿論、中々の大きさ。ちなみにセシルはディルクと向かい合わせに。
オズはギル、アリスはノアとシャルルと3人で仲良……く。
「おい!! ズルしただろうお前等?!!」
「ノンノン!! 証拠も無いのに疑うのは、ダメだよー??」
「そうだよ?? アリス」
「黙れイカサマペテン師め!!」
人を罠に引っ掛けたり、悪戯が得意なシャルルはノアと手を組みアリスを負かしていた。
たかがゲーム事で騒ぐ事じゃないだろ、と思った方。間違いなくセシルと気が合う。
「疲れるわね」
「全くだ」
「………酔って来た」
「うわ、ギル相変わらず情けなー」
「煩いッ!!」
オズがギルをからかう。少し不満そうな顔付きで、ギルは煙草に手を差し伸べた。
「……後どれくらいだ?? オズ」
「んー、ねぇ!! 運転手さん後どれくらい??」
「そうだねぇ、大体1時間って所かなあ」
運転手がハハハッ、と陽気な笑顔で軽く笑う。オズもつられて笑みを綻ばす。
「こんな日々がずっと続けばなー……」
オズが目を細めて呟く。ギルは少し心配そうにオズを除いてみた。
するとソコで、突然別席だった筈のノアがひょこっと顔を出す。
「ノアも同感ーっ」
「……何をしょ気ているんだオズ」
「もうちょっと笑えば、可愛いのにねェ」
次々と出て来る言葉。オズも薄々同情されている事は分かったていたのだが、何故だか……心が温まった。
アリスはフッと鼻で笑うと、『さぁもう一度勝負だ!!』とトランプをオズ達に投げ付ける。
ギルは空気が柔らかくなった事を確認すると、落ちたトランプを何枚か拾い集める。
一方セシルはと言うと。遠い目で窓の外を見詰め、目を瞑れば直ぐに眠ってしまいそうな目。
「くだらないのよ。何もかも」
———————ウソだァ。本当はずっとずっと仲間に入れ
———————違う!! 違う!! 違うそんなの私の本性なんかじゃ……!!
———————セ シ ル の ウ ソ 付 き ィ ィ ィ……
***
……セシル。
セシル!!
……おい、起きろ。
セシル??
誰かが私を呼んでいる。私を呼ぶ声。真っ暗闇の、正面の『ヒカリ』。
『ヒカリ』の向こう側から声がする。ココを辿れば私は、私は………
「セシル!!」
「!!」
「やっと起きたのか。ほら、降りるぞ??」
そう言って手を差し出すのはアリス。黒髪が印象的なアリスの、小さくて細い手。
「……ありがとう、とでも言っておこうかしら」
「ほら、さっさと降りる準備をしろ」
ギルの言葉を他所に、セシルは自分の荷物を持つと馬車から降りた。
外ではオズ、ディルク、ノア、シャルルの4人が待ち構えていた。
「あーっ!! やっとついたね」
ノアはくあーっと手を頭の上で重ねると、気持ち良さそうに笑う。
ディルクとシャルルの2人は、何やら仲の良さそうに話していた。
「……あ、セシルちゃん。来たんだね」
「待たせてごめんなさいね??」
「誤ってる様に聞こえないのは俺の勘違いだろうか」
「何か言ったかしらワカメ君」
「だからワカメは止めろ!!」
セシル曰く、既にギルの呼び名はワカメになっている様に思える。
するとその時だった。その言葉に、真っ先に反応する者が。
「フン……俺はピッタリだと思うがな」
……アレンス=ディルク。張本人である。猫が大好きなディルク。当然の如く、猫嫌いのギルは敵。
「ディル……お前は本当に」
「あーだからケンカはストップだってば。ねぇ?? オズ君」
シャルルはニコニコ笑いながらすぐにでも始まりそうな喧嘩を抑える。
すると、セシルは目を少し開いてギルに『一定音』で問う。
「それにしても、なんなのよこの有様??」
「………ああ」
ギルは3秒間を置いて、辺りを見渡すと低いトーン調で話す。辺りは、静まっていて。
「……『不協和音の生まれた街』。
コレが、ノベルスの別名だ」
———————————……その時突然風が吹く。
風は突然やって来て、風は突然静まって。
自然現象は止まらずに。足跡残して去って行く。
風へ訴える誰かの声も聞き届かさずに。
***
「——————————————————————————……」
***
風は淡く、そして静かに打ち消して行った。
end+*.
- Re: 【PandoraHearts】+堕天使は舞い降りる+ ( No.13 )
- 日時: 2010/07/01 20:23
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
今日の風は良い調子。
私の『羽』が良く靡く。
見えない『羽』が、良く靡く。
何故かしら。ああ、もしかして—————……
貴方は私の新しい風ね!! だから良く靡く訳??
———————……あら、なあんだ違うの。残念。
(新しい風じゃないなら、何?? ならば、私の翼にでも)
@+…Ⅶ堕天使ノ変化、
「不協和音が……フフフ、ピッタリじゃないの!!」
その時その場に居た一同は思った。セシルが、始めて笑った様な気がしたと。
「本と不協和音って感じがするよね」
オズがノベルスを見回す。そう、ノベルスの街を——————……
吹き荒れる風。砂が混じり、目に入りそうになってしまう。
カラカラに渇いた家。崩れ、朽ち果てた家。1番酷かったのは、何も無かった事なのだが。
「……お前等は知ってたのか??」
「ブレイクから色々と話は聞いていたからな……」
「そそ。地位は一応、ブレイクと一緒なんだよねぇ」
ノアはブレイクが持たせたであろう飴を取り出すと笑いながら舐め始めた。
そんなノアに、シャルルはニコニコといつもの調子で話し掛けた。
「いやァ、俺は違うんじゃない??」
「シャルルは、2人より送れてのパンドラ入りだったしな」
「まぁねー」
「で、任務はどうなったんだ??」
アリスが唐突に質問を繰り出した。まぁ、本題からズレていたのだ、今回ばかりはアリスが正しい。
「……良い忘れていたが、今日の止まる宿は街外れレインズワース別荘らしい」
「や、ソレは早く言おうよー??」
「お前は敬語を使え」
「こうなるから本題から外れるんでしょー!! ほら、案内してギル」
「あ、ああ」
シャルルにグイグイと押され、一見は別荘へと向かうのであった。
***
——————————ああ、またなのね。
耳鳴りが消えない、病まない。
もしかし
て
この街で何かが起ころうとしているの————————————————??
***
「ココみたいだねー……流石シャロンちゃん」
「うん……コレが別荘?? ってノアは思うよ」
「俺は慣れてるがな」
「うわ、流石金持ちですねーディル」
「さんを付けろ」
「敬語使ったじゃんか」
「喧嘩?? くっだらない、早く中にいれてちょうだい」
「……セシル=シルヴィア、あまりおいたがすぎると」
「いやいや、この場合セシルが正しいんじゃないですかねディルさん」
「……そうだな」
頑固だったディルクも、ココは流石に引くしかないと思った。
「セシルやるねぇ。ノア感心しちゃったよー」
「ザークシーズ=ブレイクが随分お気に入りの貴方に褒められても困るわね」
「!! ……いつから知ってたの」
一気に赤くなるノアの頬。ヒソヒソとした小声で、セシルに驚いた顔で問う。
セシルは『当たり前』と言った様な顔付きで、ノアにこう一言告げた。
「分かるからね」
「(……最所と感じが、変わった??)」
「おいっ!! 2人とも何ぼさっとしている早く行くぞ」
「そう急かさないの、小さなウサギさん……行きましょノア」
「う、うん」
やはり、少ししっくりとは行かないノアだったのだが……
ソレが本当にナチュラルに『セシル=シルヴィア』だったのだ。妙に納得してしまう。
少しの疑問を残し、ノアはセシル、その他の皆の元へと駆け出して行った。
そう、『妙な』疑問を1つだけ残して——————————……
***
オズ達が別荘に付いた頃の事。ブレイク、シャロンの2人は庭園でゆったりとお茶会。
早くオズ達の元へ行かないのか、そうツッコみたい方もいるんじゃないかと思う。
「ふぅ……そろそろだと思うんですがネェ」
「そうですわねブレイク……まぁでもきっとあの方の事だから何処かで道草でも」
その瞬間、庭園の緑の芝生が優しい風に吹かれ、そして静かに靡く。
「道草なんて、今の状況しねぇって……本当嫌味だお嬢様」
「おやおや、随分と遅かったじゃありませんかァ?? ねぇフラヴィ」
『フラヴィ』と呼ばれる女は、クセの付いた黒髪に紺色の眼鏡。
服装は至ってカジュアルだ。黒い長袖カーディガン、白いシャツに黒いネクタイ。
ズボンは黒のショートパンツで腰には小さなナイフなどが入っているバッグ。
靴は黒い厚底のブーツを履いていて、白い紐で不器用に縛られていた。
そして何よりも印象的だった、瞳の色の黒。
その『黒』からは、今までに見た事の無い様な異様な『雰囲気』が。
オーラ、恐怖、畏怖、そんな物じゃない。ただ、ごく普通に『雰囲気』がその身に引っ付いている。
「……煩いですよザクスさん。つか、元はと言えばアンタのせいでしょ!!?」
「……あらら、気付いてましたか、嘘の地図を渡した事」
「たりめーだ!! つか反省してませんよね?!!」
ブレイクはぷひーと……一体何処から出したのか、笛を一吹き。
するとシャロンがニッコリとしたいつもの優しそうな笑みで喋る。
「落ち着いて下さいフラヴィ、ブレイクなら後で殺めておきますから」
「さ、さすがにシめるのは良いですさーお嬢様」
「(なんだかんだ言って優しい所はギルバート君にソックリですネ)」
密かに心の中で、フラヴィとギルを重ねてみるブレイク。
「さ、そろそろ行きますわよ??」
「そーですね、あまり待たせるのも悪いですし」
「ブレイク」
「はーいお嬢様、既に手配させてありますヨ」
ブレイク、シャロン、そして謎の女『フラヴィ』。3人は出してあったお茶を仕舞って
外に手配してあった馬車へ乗り込む。ただしフラヴィは、黒いパンドラの服装へと着替えてから。
「———さぁ、楽しい宴の時間だぜ」
低いトーン調の声が、空に静かに響き渡った—————……
end+*.
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