二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【3Z】死に損なった少女。 =完結
- 日時: 2010/07/27 15:54
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: KUO6N0SI)
クリック有難う御座いますandこんにちわ。
スレ主の瓦龍、(Garilyuu)です。
以前からノートに書き綴ってきた話を、此処に載せて行こうかと思います。
非常に短い連載ですが、読んで下さると嬉しいです。
アドバイスや誤字脱字注意等でも良いので、気軽にどうぞ。
あ、後。「空は只、青く。」も宜しくノシ
▼注意事項、
1)オリキャラ主
2)キャラ崩壊有り
3)もうドンドンupして行きます
4)最低限のルールは守って下さい(荒らし、中傷など)
5)駄文
以上です。
大丈夫ですか?? 大丈夫の方は、其の侭下にストロークして下さい。
▼contents.─────────────
>>002 ─→ 登場人物
>>051 ─→ イメージソング「Blackbird/セシル・コルベル」
>>004 ─→ die.00
>>006 ─→ die.01
>>007 ─→ die.02
>>008 ─→ die.03
>>009 ─→ die.04
>>013 ─→ die.05
>>015 ─→ die.06
>>021 ─→ die.07
>>034 ─→ die.08
>>038 ─→ die.09
>>040 ─→ die.10
>>044 ─→ die.11
>>045 ─→ die.12
>>046 ─→ die.13
>>047 ─→ die.14
>>053 ─→ die.15
>>054 ─→ die.16
>>055 ─→ die.17
>>060 ─→ die.18
▼御客様.─────────────
・棗.サマ ・月芽麻サマ ・あやかサマ ・輝咲サマ ・アリスサマ
・紫陽花サマ
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- Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.7 )
- 日時: 2010/07/25 18:47
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: .pwG6i3H)
▼die.02 ─────────────
パラパラと、雨が降って来ていた。
小降りなため傘はいらないし、例え持っていたとしても差す気にもならなかった。
端から見れば異様な光景だと思う。女・子供を毛嫌いした土方の隣に子供がいる事が。
実際は、あたしなんだけど。
見た目は平凡の女の子で、中身は────土方のクラスメートの女なのだ。
死んだ筈の自分、と言うか、確実に死んでいる。
自分の葬儀が本日行われるからだ。
歩いて行く内に自分の葬儀の張り紙は何回も見たし、事実土方も香典を握り歩いている。
其れなのに、自分の魂は此の誰だかも判らない幼い少女の身体に、すっぽり入ってしまったらしい。
どういう因果か、自分が天国に昇り神様と何かの契約をしたとでも言うのだろうか。
────未練はある。けど、死んだなら潔く死ぬと思うんだけど。
全く未練が無いかと言われれば其れは断固として否定出来る。
まだまだ青春を謳歌したい。クラスマッチに修学旅行、文化祭に体育祭、そして卒業。
皆と一緒に其れ等を過ごしたいし—──—土方に想いを伝えたい。
────だから神様があたしの魂を此処に入れてくれたとしても……意味無いよ。
百歩譲って神様が与えてくれたチャンスなのだとしても、此の身体では全て無意味だ。
完全なる幼女、恐らくはまだ5歳と言った処。
此の姿で高校を過ごせると言えるだろうか。確実に無理だろう。
「……お前、親はどーした?? 廉條の葬儀……お前だけ来るなんてあり得ねーだろ」
「……あ」
ふと、土方に指摘され答えに困り口ごもる。
確かに、5歳の女の子が一人で葬儀に参加するなどあり得ないだろう。
土方は親と逸れたかと思っているようだ。
「多分……お葬式の会場にいると思う」
「そーか」
自分の答えに納得したらしい、ふいと視線を前方へ移す。
カッコいいなぁ。
何時もは遠くから見ているだけだった、好きな人と今は隣で歩いている。
会話した事も無かった筈なのに、今初めて会話をした。
何だか不思議な気分だ。
そういえばこんな至近距離で見るのも初めてかもしれない。凛とした横顔はとてもクールで美しい。
遠くから見ていた時も十分美しかったが、至近距離なら尚更だ。
「……着いたぞ。っつか、何ガン見してやがる」
「え!? あ、いやあの、其の……」
ついつい美しさから見惚れていれば、土方と視線がかち合ってしまい訝し気な表情を浮かべられてしまった。
慌てて視線を逸らし真正面を向いてみれば、入って来た文字と建物に恥ずかしさやら何やらは全て消え失せる。
恐らく今の自分に表情は消えてしまった。
「……葬儀所、着いた……の??」
「……あァ」
目の前には、自分の葬儀所が見える。
葬儀所には、結構な数の人が参列している。真っ黒なスーツ、其処全体が黒に埋め尽くされている。
葬儀だから当たり前なのだが、暗い。
雨雲が葬儀に参加する人々の黒を引き立たせているようだった。
「……入るぞ」
「……うん」
ポツリ、お互いが小声で弱々しく溢す。
其処からゆっくりと、目の前の屋敷に足を踏み入れた。
其れからの自分達は、暫くの間沈黙が支配していた。
/next
- Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.8 )
- 日時: 2010/07/25 19:11
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: .pwG6i3H)
▼die.03 ─────────────
中は、広い広い部屋。
かなりの数の椅子があり、祭壇には沢山の花。
其処に大きい自分の写真があり、まるで有名人の葬儀——──な訳も無く。
実際は其処其処の部屋で其処其処の人数、花も其れなりの数で、普通の大きさの額縁に自分の願が写されてる。
────何か、あたし、自分じゃないみたい。
そんな疑問が浮かぶが、実際は今自分は自分で無い。姿は幼女なのだから。
しかし幼女に宿る魂は紛れもなく「廉條日向」だ。
其の自分が今、自分の葬儀に参列しようとしているのだから、可笑しな話だ。
「親はいるか??」
「……あ、えっ……と」
「見つからねェなら、葬儀中は側にいるか?? やってる内に見つかるだろ」
「……うん」
土方に親の所在を聞かれドキリとしてしまうが、自分の挙動不審な動きを見て見つからないと思ったらしい。
彼は一緒にいてくれると言ってくれた。やはり彼は優しい人柄だ。
土方は「じゃあ座るぞ」と言い、自分についてくるよう促す。
其れに素直に従い土方の後ろを歩く。
幼児と青年の歩幅は違うと言うのに追い付けるのは、土方が歩調を緩めているのだろう。
────……あ。
視界に入った人物に、歩いていた足がピタリと止まってしまった。
土方との距離があいてしまう、追い掛けなくてはいけないと言うのに、全く動く気にならなかった。
「……お父さん、お母さん』
目頭が熱くなり、ぼやけていく視界にはっきり映った、父と母の姿。
母は跪き、泣き崩れている。父も涙を流しながら、母を支えている。
自分と結構な距離があると言うのに、母の狂気に似た鳴き声が聞こえて来る。
「うアァァァァァァァァ!!」
「!?」
突如聞こえて来た叫び声、母に似たものがあったが、母より甲高い声が聞こえて来た。
しかし、耳に馴染んだしっくりと来た声は、自分のよく知った人物。
「嘘ヨォォォォ!! 日向が死んだなんて嘘アルゥゥゥ!!」
「……神楽ちゃん」
「なァ、目ェ開けろヨ!! 何白い顔して寝てんだヨォォ!!」
自分の棺を掴み泣き叫ぶのは、自分の大親友—──—神楽。
人一倍力の強い彼女は、今にも棺を壊してしまいそうな程棺を揺らしている。
神楽の周りには、神楽に声をかけられず——──そして悲哀に満ちた表情を浮かべ只眺めている。
妙に新八、山崎に近藤に総悟、そして銀八。
「明日も酢昆布、食べよーって……言ったアル。なのに……っ……目ェ覚ますアル!!」
「神楽ちゃん、落ち着いて!!」
「煩いアルぱっつァん!!」
新八が静止の声をかけるも、神楽は振り切る。
彼女の青い瞳は珍しく真っ赤だ。
「何で落ち着いていられるアルか!? ……っ、見るネ、日向。
何時もは平凡な顔なのに、今は白くて、綺麗アル……う、嬉しく無いヨっ。
平凡なっ、日向が良いネっ……生きててくれれば!!」
徐々に嗚咽が混じったかと思えば、再び大粒の涙が彼女の瞳から溢れだす。
神楽の言葉を聞き、全員が俯いてしまった。
────神楽ァ!!
泣いている、唯一無二の親友である、神楽が。
親友を泣かせるなんて、自分は何て最低なんだろうか。
フラフラと、自分の棺に近寄る。其れにより一層皆の顔が良く見えた。
神楽は、棺に顔を突っ伏し泣いている。妙もぐすぐすと鼻を鳴らし、男メンバーも心なしか唇を震わせている。
────……っ、本当だ。あたし、顔白い。
酷く滑稽だと思った。
神楽の言う通り、綺麗な顔をして眠っている。
棺にいる自分に言ってやりたかった。
“何綺麗な顔して寝てんだ、お前の目の前で大切な親友が泣いてるぞ”と。
“親友の涙も拭えないで、親友を抱きしめもしないで、何寝ているんだ”と。
────……っ、言えないよ…!!
神様は、果たしているのだろうか。もし、いたとしたら悪趣味すぎる。
何故、こんな幼い少女の姿を貸してくれたのだろう。自分に未練があったとしても、何故、こんな姿にしたと言うのか。
万が一此の姿で「自分は廉條日向です」と名乗り出た処で、死体が目の前の状況で、誰が信じるだろう。
言える訳も、無い。
────なら、幽霊で良かった。
其れならばいっその事、透き通った幽霊の姿で、両親や神楽、皆に——──ありがとうと言いたかった。
こんな中途半端な姿では、何も出来ない。
本当は、両親に駆け寄り今すぐ支えてあげたい。
本当は、今すぐ神楽の元へ行き、小さな体を抱きしめ涙を拭ってあげたい。
未練なら今、山のようにあると言うのに、何故全て許してくれないのだろうか。
目の前に大切な人がいると言うのに、何も出来ない。
罪悪感、屈辱、悔しさが入り交じる。
そして溢れて止まらぬ涙で視界がぼやけ、土方が何時のまにか隣に立っている事にすら気づかなかった。
アタシハ何故此処ニイルノダロウ。
/next
- Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.9 )
- 日時: 2010/07/25 19:28
- 名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)
更新お疲れ様。ノノ
新しく(?)書かれてる小説も結構涙もろい私にとっちゃぁ泣けそうな話です。
てか、もう現在進行形で涙ぐんでます。【グス
こんな、不思議人ですが応援してます。
更新ファイト!!
- Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.10 )
- 日時: 2010/07/25 19:29
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: .pwG6i3H)
▼die.04 ─────────────
もくもくもく。
古びた煙突から、白いような灰色のような煙が止まる事なく立ち込めている。
自分は其の一点をずっと眺めていた。
葬儀はあっという間に終わってしまった。
親友の神楽は泣き叫んでいたが、自分が何か出来る筈もなく。
只、まるで小さな子供のように大声で泣き叫ぶ彼女をぼんやりと見つめるしか出来なかった。
そして神楽の涙を引き合いにするように、妙や九兵衛も涙を溢していた。
男子で涙を見せていたのは近藤位だったが、何処と無く総悟や銀八も悲痛に顔を歪ませているようにも見えた。
そしてあの土方さえも、そう見えた。
あとはとんとん拍子とでも言うように、葬儀は着々と進んで行ってしまった。
悲しみに包まれた侭、焼香を行い、訳の解らぬお経を唱えられる。
あれは成仏する為のものなのかもしれないが、あてにならないようだ。
現に自分は未だこうして下界にいるのだから。
其れを何も考えず見ていれば、いよいよ自分の体が入っている柩が閉じられ釘を打たれる。
もう完全に開ける事は出来なくなった。柩は荷台のような物に乗せられ運ばれて行く。
其の柩に、まるで蟻の行列のように人々が着いて行く。
暫くして着いた場所は、沢山の大理石で出来ている扉がある場所。
其の一つの扉が、音もなく開いた。調度柩が入るくらいの広さだ。
そして其の侭、柩は無機質な狭い部屋の中に入って行ってしまった。
瞬間、神楽の叫び声だけが木霊して消えた。
廉條日向の身体は、完全に無くなった。
────変な感じだなぁ。
会場の外で立ち込める煙をこうして眺めているのは自分だけ。
他の皆は座敷で食べ物を食べながら談笑しているに違い無い。
しかし、全くもって変な光景だろう。
死後、自分が焼かれる様をこうして第三者になって傍観するなど、誰が予想しただろうか。
もう、少なくとも廉條日向の実体は完全に消えたのだ。
今はもう、黒い小さな灰だ。パラパラと舞っては粉々になった、ちっぽけな灰。
其れなのに、こうして魂は他人の姿となって生きているのだ。こ
うして彼是考える事も出来れば、手を動かす事も足を動かす事も出来る。
しかし、何故と聞かれたら其れは解らない。
未練があるのかもしれないが、其の未練が何なのかは検討がつかない。
そして一番は、何故他人の少女の中に自分の魂が入ってしまったのか。
此の身体の持ち主の魂は、一体何処にいるのか。
「……オイ」
「……え??」
考えても答えの出ない疑問をあれこれ考えていれば、低い声が自分を呼んだ。
くるりと振り向いてみれば、嘗てのクラスメートの土方が突っ立っていた。
「お前、何で一人で此処にいんだよ」
「あ……」
「お前のお袋さんと親父さん、見つからなかったのか??」
土方に尋ねられた質問にどう答えれば良いか解らず、だんまりを決め込む結果となってしまう。
両親なら、きちんと式場にいた。もう亡き人となってしまった、廉條日向の両親。
其の二人が父と母だと言ったら、彼はどう反応するだろうか。
答えがどうあれ、そんな事言える訳もない。
「あ……お父さんとお母さん、いなくて」
「そうか、じゃあ家まで送ってやるか?? 一人じゃ帰れねーだろ??」
「う、ううん。此処から近いから大丈夫」
「そうか?? じゃあ、気をつけて帰れよ」
「うん、ありがとう」
土方の有難い申し出をやんわりと断ると、土方は幾分小さい自分の背丈に合わせるように屈んで頭を撫でくれた。
そして其の後、踵を返し去って行った。
式場の中と言う事は、今から座敷で皆と食事をしながら談笑を楽しむのだろう。
────あたしは、此れから如何しようかな。
気付けば、眺めていた煙が細くなっているのが解る。もう直ぐ、焼き付くして骨のみになるのだろう。
さて、此れからどうすれば良いだろうか。
流石に納骨まで見たいと言う気分になれない。自分が焼かれた、骨の姿など、見るに絶えないだろう。
此の侭真っ直ぐ自分の家に帰るべきか。家に帰れば葬儀を終えた両親がいずれ帰って来るだろう。
だが其処で自分は日向だと、証明出来るだろうか。
つい今まで葬儀に参加していて、目の前で骨が焼かれたのだから、其れは難しいだろう。
私が日向ですと、こんな幼女の姿で説得してみた処で信じてもらえる筈もない。
下手をすれば、死者への冒涜だと非難されるかもしれない。
────病院、戻ろうかな。
行く宛てなど何処にも無い。
あるとするならば、自分が元いた病院しか無いようだ。
アタシハ、此ノ侭デ良イノダロウカ。
/next
- Re: 【3Z】死に損なった少女。 ( No.11 )
- 日時: 2010/07/25 19:52
- 名前: あやか ◆yTLbwEHGes (ID: FvJ38Rf9)
瓦龍様。これすごいですねッ!!
どこがおもしろいのかって聞かれると、うまく答えられないんですけど・・・ネタも文章もそれぞれのストーリーも、私的にものすっごく好きですッ!!
おもしろいって言っても、内容は悲しかったんですが(泣)
思わず泣きそーになりました。
続きまた読みに来ますッ☆
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