二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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テイルズオブザワールド 一時休止
日時: 2012/03/13 20:49
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

こんにちは、アビスです。

テイルズオブザワールドのオリジナルストーリーです。
未熟ですか、どうかお付き合い願います。



その他掲載小説
・モンスターハンター・バロル・・・完結!
・モンスターハンター・バロル—根源との争い—
・フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜
・フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜
・怪談百記物語(複雑・ファジー)

〜人物紹介〜

カイン・D・サフィス

年齢:19歳

容姿:スラリとした容姿。青い髪に青い瞳。

詳細・・・・
一度、この世界を滅ぼそうと考えた事がある。言動は冷たいが、
子どもたちの面倒を見たりと世話焼きな処や、優しい処もある。

バトルでは体内のマナを様々なオーラに変えて、その場にあった戦闘法で戦う。
長剣の扱いに長け、足技も得意としている。



ルイル・ルーゼ・ルゼス

年齢:18歳

容姿:スレンダーな体型。赤い髪に黒い瞳

詳細・・・
カインが世界樹で出会った女性。常に明るい雰囲気を持ち続けている。
愛称はルイ。カインが付けたもので本人も気に入っている。
他の人と感覚が少しずれてて、妙な言動、行動をする事が多い。
魔術を扱えて治癒術も扱える。その腕は確かなものである。



ヴァイズ・オルナード・アヴェンチ

年齢:24歳

容姿:がっちりとした体型。緑泥色の髪に茶色の瞳。頭にはゴーグルをしている。

詳細・・・
レジスタンスの武器開発者で魔科学の第一研究者。
堂々とした態度で誰に対してもわきへだてなく接する。
頭が切れ、一聞けば五は知る。
戦闘では『グライダー』と言う風を操る戦闘用の人工翼で自由に空を飛び戦う。


エピローグ>>1-3
ファンタジア編>>4-10
ヴェスペリア編>>14-26
アルテマ渓谷編>>27-32
シンフォニア編>>33-

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Re: テイルズオブザワールド ( No.30 )
日時: 2011/07/14 15:17
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

—ピギャアアアーーーー!!—

甲高い鳴き声を発したかと思うと、大鳥はその大きな翼を羽ばたかせた。
辺りに突風が起こる。ヴァイズは死骸の山を盾にその風を防ぐ。

「ルイ嬢!!大丈夫か!!?」

「・・・・じょうぶ〜〜〜・・・」

風が邪魔して聞き取りにくいが、どうやら無事らしい。
ほっと息を吐くヴァイズだが、今度は自分がピンチな事に気がついた。
大鳥がこちらに狙いを定め、何か力を溜めているようだったからだ。

「やばっ!」

ヴァイズが慌ててその場から移動しようとしたが、遅かった。
大鳥が翼を振り下ろすと、そこからカマイタチに似た風が数多に飛んでいったのだ。

「ぐおおおおお!!」

「ヴァイズ!!!」

吹き飛ばされ、傷を負ったヴァイズにルイはた直ちに駆け寄り治癒術を掛ける。
だが、そんな暇も与えないとばかりに大鳥は二人に風の刃を飛ばす。
もう駄目だと思った時、その風が二人を避けるように方向を変えた。

「・・・・・え?」

不思議がるルイ。と、その頭に声が響いた。

—大丈夫ですか?—

その声と共に現れた小さな少女。ルイが首を傾げていると少女は笑った。

—ふふっ。私があなたが会いたがっていた風の精霊・シルフですよ—

「あっ、そうなんだ!・・・・でも、どうしてここに?」

—あなたの持つソーサラーリングに収められているオーブ。
それは私たち精霊にとっては自身と同じ力を秘めた結晶です。
ですからそれを通じてあなたの前に姿を表すことが出来るのです。
元々精霊は形があって無い者。言うなればこの世界に満ちる風が私ですから—

シルフの言葉にルイは更に首を傾げた。

「むむ〜〜〜。よく分からないけど、シルフが助けてくれたんだね。ありがとう!」

そんな会話を聞いていたヴァイズが傷口を抑えながら言った。

「驚いたな。ルイ嬢は召喚士でもあったんか」

「まあ・・・・成り行き場ね」

—呑気に話している場合ではないぞ、ルゼス—

「ウンディーネ!」

自分の横に現れたウンディーネを見て叫ぶルイ。だが、ウンディーネはそれを介さず大鳥を見つめる。

—こいつは聖鳥・シムルグ。この峡谷を縄張りにする別名、アルテマの掃除屋だ。
自分の縄張りが穢されると、それを直ぐに排除する厄介なモンスターだ—

「く・・・詳しいね」

—この辺りの栄える水から聞いたことだ。どうやら、何者かにこの峡谷を荒されて
相当気が立っているようだな。見境が無くなっている—

ウンディーネの顔から、それが本当に不味い事だという事を表していた。
その大鳥、シムルグは精霊の存在に気付いたのか、こちらを見据えたままじっと立っている。
だが、直ぐに痺れを切らしてこちらに向かって飛んできて、二人の真上に飛び上がる。
そして今度は上から風の刃を雨の様に降らしてきた。

「っつ!ルイ嬢!!」

「うん!お願い、シルフ!!」

—分かりました—

ルイの言葉にシルフは二人の周りに風の結界を作る。これは先ほど、風の刃の方向を変えたのと同じである。

—チカッ—

「ん?」

ヴァイズは目の端の死骸の山から何か光る物を見つけた。目を凝らして見た後、
ヴァイズは風の結界を抜けて、それに向かって走り出した。

「ヴァイズ!!危ない・・・・!」

—ズドドドドドーーン—

ルイの叫びも空しく、刃の雨が地面が大きく削り取る。辺りに土煙りが舞い、
ルイはヴァイズの安否が確認出来ないでいた。

—土煙りを払いますね—

シルフの気遣いにルイはシルフを見つめて頷いた。

「うん。ありがとうシルフ」

風がルイを中心に吹き、土煙りを払った。するとヴァイズが血まみれで倒れているのを見つけた。

「もう〜〜〜!!危ないよヴァイズ!!」

「わ・・悪いね、ルイ嬢」

消え入りそうな声でヴァイズは喋ると、体の下からある物を取り出した。
それはルイも見たことのある物だった。

「それ、グライダー?」

「おう。これをさっき死骸の中から見つけてな。良かったぜ。壊れてはなさそうだな」

自分の怪我も気にせずにグライダーの無事を喜ぶ。それにルイが呆れた様子でため息をつく。

「とことん機械が好きなんだね」

「俺の生き甲斐だからな」

ヴァイズはそう言って立ちあがると、左手にグライダーを装着した。

「やっぱ、両方付いてた方がしっくりくんな。・・・さてと・・・・・ん?」

臨戦態勢に入ろうとしたヴァイズだが、そこでシムルグの様子が変な事に気がつく。
シムルグは顔を上に向けたまま、何かを探っているようだった。
そして何かを感じ取ったのか、そのまま空へと飛んで行ってしまった。
それを唖然として見届ける二人。

「嵐のようにやってきて、去って行ったね・・・・」

「・・・・・そうだな」

Re: テイルズオブザワールド ( No.31 )
日時: 2011/08/17 10:49
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「よっと・・・・後はここを調整してっと。
・・・・・よっし!出来たぜルイ嬢!!」

シムルグが去ってから一時間程度。ヴァイズは故障したグライダーの修理をしていた。
それがようやく終わったのだ。ルイは待ちくたびれたとばかりに欠伸をする。

「長いよヴァイズ〜〜〜!」

「そう言うなよ。そこら辺のモンスターの残骸から使える素材をだって限られてくるんだ。
これでも急ピッチで作業したんだぜ?」

ヴァイズは最後にグライダーからの風力の出を見て、頷いた。

「そんじゃあ、こっから出るがルイ嬢。協力してくれ」

「協力?何を」

「シルフの嬢ちゃんを呼んでほしんだ」

—私なら、ここにいますよ—

ルイの傍で眩い光が放たれ、シルフが現れた。

—私に何か頼み事ですか?—

「察して良いと助かるぜ。俺らを外に運ぶのに少し協力してほしんだ」

ヴァイズの頼みに、シルフは少し困ったような顔をした。

—・・・・・ここは川の浸食で造られた峡谷。故にこの辺りは水の恩恵が強いです。
風の恩恵が強い場所ならともかく、ここでは人一人持ち上げるのが精一杯ですよ?—

「恩恵?なにそれ?」

ルイの言葉にヴァイズが説明した。

「あまり知られてねぇが、マナってのは地水火風、4つの種類があるんだ。
そんで世界にはそれぞれのマナに偏りが生まれる場所が存在すんだよ。それが恩恵って言われる現象。
その恩恵が最も強い場所に精霊が生まれんだ。水の恩恵が強い場所なら水の精霊が生まれるって感じでな」

「へ〜〜〜〜〜!詳しんだねヴァイズ!」

「マナは万物を構成する大切な元素だからな。マナの知識が機械に役立つことも多いんだぜ、意外に。
・・・・・と、話を戻すが、嬢ちゃんにはルイ嬢を持ち上げて欲しいんだ。
このグライダーじゃあ、二人を運んだまま空中を自在にってのは難しいからな」

—分かりました—

シルフは承諾すると、ルイの周りで風が吹き、ルイの体が宙に浮いた。

「うわ!!うわわわわわ・・・・!!」

ルイの突然足元が浮いたことでバランスが悪くなり、身体をバタバタさせ始める。

「落ち着けよルイ嬢。風に身を任せてみろ。気持ちいいぞ」

そう言ってヴァイズもグライダーを起動させ、身体を宙に浮かせる。

「そんじゃあ・・・・行くぜ!!」

ヴァイズが飛び、ぐんぐんと上げって行く。それに付いていくようにルイも飛んで行った。
あっと言う間に洞窟を抜け、辺りに壮大な景色が広がる。それにヴァイズが胸一杯に深呼吸をする。
ルイもキラキラした顔で額に手を当て、遠くを見つめる。

「ふぁ〜〜〜〜〜!!」

「やっぱ何度体験しても良いもんだな、空からの景色は。
さてと、まずはカイン氏を見つけるぜルイ嬢!」

「ふぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

ルイはヴァイズを背にして、辺りの景色を見渡し続けている。
それにヴァイズはため息をついた。

「・・・・・聞いてないっと。・・・・嬢ちゃん!!」

—はい—

「ひゃあああ!!」

ヴァイズはシルフに言って動き出すようにした。
急に自分の体が動き出したことに驚くルイ。
それを気にせずヴァイズは辺りに目を凝らす。と、

「ヴァイズ!!あれ!!」

ルイの呼びかけに振り向くと、ルイはある方向に指をさしていた。その方向に目をやると。

「カイン氏!!」

カインが高い岩山の平地で倒れているのが目に入った。直ぐにその場に向かう二人。

「カイン!!」

ルイが駆け寄るが、そのカインの状況に口を覆った。
カインの体は様々な攻撃を受けた跡があり、致命傷になりうる剣が胸の中央に刺さっていた。

「まさかカイン氏が・・・・・・ん?」

ヴァイズが目を凝らす。カインの左手がピクピクと痙攣しているように見えた。
そして次の瞬間、その左手がぐわっ!!と動き、自分に刺さっている剣を抜き取り、起き上がった。

「・・・・・・っつ!!」

カインは苦痛の表情を浮かべて、そして横にいる人物を見た。

「・・・・・ルイ?」

「・・・・・・・!!」

ルイは喜びで言葉が出ず、そのままカインに抱きついた。

「いっ!!!」

カインは更に苦痛の表情を浮かべるが、ルイは更に強く抱きしめた。

「よかったよ〜〜〜〜。カイン、死んでなくて」

—ミキミキ・・・・・ゴキ!—

「・・・・・・・」

「・・・・・・死んだな」

カインが再びぐったりとしてしまったのを見て、ヴァイズが哀れそうに言う。

「ああ!カイ〜〜〜ン!!!」

Re: テイルズオブザワールド ( No.32 )
日時: 2011/10/01 12:02
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「ふ〜〜〜〜、ったく」

「あはっ、あははははは〜〜〜〜。そう怒んないでよカイン」

「危うく本当に死にかけたんだぞ」

あの後なんとか息を吹き返したカイン。今はゆっくりと腰を下ろし、
ルイの治癒術を受け傷の手当てをしている。

「それにしてもよく助かったなカイン氏。正直もう駄目だと思ってたぜ」

「ああ。俺も覚悟してた」

「けど、どうして生きてんだ?胸に刺さった剣じゃ確実に・・・・」

「こいつのお陰だ」

ヴァイズが言葉を言い終わる前に、カインは懐からある物を取り出した。

「あ!それって・・・・」

ルイが事を上げる。それは以前カインが家族の証しとして作ったと言っていた木彫りだった。
その木彫りには亀裂が入っている。

「そっか。それが剣を止めてくれたから胸に刺さらずに済んだってことだね」

「ああ・・・・・」

カインは生返事をした後、その木彫りをじっと見つめたて、怪訝そうな表情をした。
そして自分のポケットを探った。

「どうしたんだカイン氏?」

その行動に不思議に感じたヴァイズが尋ねるが、カインはいや、と言って木彫りをポケットにしまった。
そして立ち上がると、体の調子を確かめるように動かした。

「もう大丈夫そうだな。助かった、ルイ」

「うん」

ルイは嬉しそうに頷くと、ヴァイズの方に顔を向けた。

「ここからだと、テルカってどっち?」

「運良いことに、すぐそこの崖を下ればもうテルカだ」

「本当か?」

「ああ。取りあえずここを抜けたらまずルインを目指すぜ。
ルインなら俺らのアジトもあるから休みめるし、情報も欲しいだろ?」

確かに、テルカに入って直ぐにあちこちうろつくのは不味いと思う。
それに一度ゆっくりと休憩したいと、二人も思っていた。

「わかった。それじゃあ、次の目的地はルインだな」


〜ストーリースキット5〜

ルイ「ねぇねぇ、ヴァイズ。テルカってどんな所なの?」
ヴァイズ「そうだな。他の国に比べると断トツで暮らしやすい場所だな」
カイン「どうしてだ?」
ヴァイズ「自然豊かで魔物の強さも安定してる。町同士のいざこざも少ない」
ルイ「うん!確かにそれは暮らしやすそうだね」
カイン「それでもその国の王は戦争を生みだした一人だろ」
ヴァイズ「まぁ、そうだな。それでもこの国は他の二つよりは戦争に対して消極的だけどな」
ルイ「いろいろ知ってるんだねヴァイズって」
ヴァイズ「レジスタンスの一員としていろんな所に飛んで回ってるからな。
     ・・・・・・それでももうインヴェルには二度と行きたくねぇけどな。
     あそこの王は国民に対しても非道な行いをし過ぎだ」
ルイ「・・・・・・・」
カイン「ルイ?」
ルイ「あ、何でもないよ!何でも!!」
カイン「???」

〜戦闘スキット2〜

ヴァイズ「ルイ嬢とカイン氏は息ピッタリだな」
カイン「もう随分と一緒にいんだ。自然と合って来て当然だろ」
ヴァイズ「けど、あのルイ嬢に合わせるのは大変だったろ?」
カイン「ああ。初めは、魔術が俺に襲って来たりしてな」
ヴァイズ「そりゃ、こえーな」
ルイ「ちょっと〜〜〜〜、私だけ悪い見たいな言い方しないでよ!
   カインだって、いきなり私に剣突き立てて来たりしたじゃん」
カイン「あれはお前の後ろにモンスターがいたからだ」
ルイ「だからって一声くらい声掛けてくれても良かったじゃんよ〜〜〜」
ヴァイズ「あははは・・・・・。ある意味、お宅らは初めっから息ピッタリだったみたいだな」

〜料理スキット2〜

ヴァイズ「おら、飯出来たぞ!」
ルイ「うわ〜〜〜。ヴァイズって料理上手だね。随分凝った料理もあるし」
ヴァイズ「料理は得意な方だからな」
カイン「意外だな。機械以外は適当な感じがしたんだけどな」
ヴァイズ「お宅〜〜〜、俺を舐めてもらっちゃ困るぜ。これでも家事全般は難なくこなせる」
ルイ「そんな話はいいから、早く食べようよ。お腹空いちゃった」

〜ストーリースキット6〜

カイン「・・・・・・・」
ルイ「・・・・ねぇ、ヴァイズ。何かカイン、さっきっから様子変じゃない?」
ヴァイズ「そうだな。近寄り難い雰囲気出しまくってるな」
ルイ「何かあったのかな?」
ヴァイズ「カイン氏があんだけぼろぼろで倒れてたんと関係あるかもな。
     よっぽどの相手だったのか、それとも・・・・・」
ルイ「う〜〜〜ん。カインに聞くのが一番だけど、今はちょとね〜〜〜」
ヴァイズ「なんだルイ嬢。さすがにそれぐらいの空気は読めるんだな」
ルイ「ちょっと〜〜〜!!どういう意味!!」
カイン「・・・・・ギン。もしかしてあいつ・・・・・・」



〜ルイン〜

「ここがルインだ」

「大き・・・・・くはないけど長閑そうな町だね」

「まあな。そんじゃ、まずは・・・・・」

「待ちやがれ!!」

町に入ろうとしたカインたち。そこに叫び声が聞こえてきたかと思うと、
突然空から男が飛び降りてきて、カインに刃を向けた。
カインは即座に剣を抜き、その攻撃を防ぐ。

「っつ!いきなり何すんだ!?」

「てめーらを町に入れさせるわけにはいかねーんだよ!!」

「え・・?え・・!!?」

突然の出来事にあわめく戸惑うルイ。すると、ヴァイズはため息を漏らしてから言った。

「エミル、落ち着けよ。こいつらは敵じゃねぇ」

「・・・・・ヴァイズ?」

エミルと呼ばれた男はヴァイズを見ると、剣を握る手の力を緩めた。
そしてカインとルイを見た後、剣をしまった。

「ヴァイズ、随分と遅い帰りじゃねぇか。てっきりどっかでくたばってるかと思ったぜ」

「それよりもまず言うことがあるだろ?」

「う・・・・・・・。悪かったな、お前ら」

エミルが二人に謝るのを見てから、ヴァイズは気を取り直して口を開いた。

「改めて。ようこそ、ルインへ。歓迎するぜ」

Re: テイルズオブザワールド ( No.33 )
日時: 2011/11/18 23:09
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「あ!!エミルお帰り!!ついでにヴァイズも」

アジトに着くなりいきなり現れた女の子。栗色の長髪、頭の左右に白い造花の髪飾りをつけている彼女は、
エミルが目に入るなり、帰ってきたヴァイズへ早々挨拶を済ませて、彼に抱きついた。

「ちょ!・・・・マルタ!!くっ付かないで〜〜〜〜!!」

「俺はついでかマルタ?相変わらずだぜ」

エミルは恥ずかしがるようにマルタを引き剥がしにかかり、
ヴァイズはそれに慣れた様子で対応した。

「何だこいつ?」

「あれ?お客さん??」

マルタはそこでようやくカインたちの存在に気が付き、エミルから離れる。
エミルは顔を真っ赤にして息を整える。

「私、マルタ。よろしくね、二人とも」

「俺はカインだ」

「私はルイ!!よろしく」

自己紹介が終わると、間にエミルが入ってきて言った。

「マルタ、この二人がユーリさんたちが言ってた二人だよ」

「??・・・・・エミル、さっきとキャラ違わない?」

「え?」

ルイがエミルの喋り方を気にして質問した。

「確かにな。さっき俺を襲って来た時はもっと荒々しい感じだったが、
今は・・・・・なんというか・・・・・」

「・・・・・ひ弱そう?」

カインの言葉にルイがもしやと言う感じで答えると、カインはそれだと指を立てる。

「う・・・・・・・」

その言葉にエミルはショックを受けたのか、へこんでしまう。
それを見てマルタが機嫌悪そうな顔で二人に詰め寄った。

「ちょっと〜〜〜〜!!『今』のエミルをそんな風に悪く言わないでよね!!
確かに『今』のエミルは気弱で臆病だし、『もう一人』のエミルの方が強く見えるかもだけど・・・・」

—グサッ!!グサグサッ!!—

「『今』のエミルはそれ以上に優しくて格好良いんだから!!!」

「・・・・・どうせ僕は・・・僕は」

マルタは最後の最後に良い所を言ったが、それまでに傷付きすぎたのか、
もう膝を抱え込んで一人でぶつくさ言い始めてしまった。

「はうあぁ!!エミル、落ち込まないで!!ほら、二人も謝ってよぉ!」

「十中八九原因はお前だと思うんだけどな。で、『今』だとか『もう一人』だとかって何だ?」

「うぅ・・・・、僕戦闘何かで気持ちが昂ると人格が変わっちゃうんです」

エミルがまだ凹み気味だが、よろよろと立ちあがると、質問に答えた。

「あ!よく見れば目の色も違う。さっきは赤っぽかったのに今は緑」

ルイがエミルの目を覗き込むように見つめる。それにエミルは顔を赤くして目を逸らした。

「・・・・・ところでエミル。さっきはどうしていきなり襲って来たんだ?」

話を一度区切り、ヴァイズがエミルが問い掛けた。
それにエミルも一度頷き、気持ちを切り替えて話を始めた。

「ヴァイズが出かけてる間に、この町にバルボスが来たんだ」

「バルボスって軍の第四隊隊長のか?それがこの町に?珍しいな」

「うん。『攻勢に転じる為に力を集めてる』とか言ってたよ。
それで力にならないんだったら、町を襲うって言って・・・・・・。
その時も見せしめにって、少し町を荒らされたんだ」

「そうか。そんなことがあったんだな。
それにしてもテルカが攻勢だぁ?何かあったのか?」

ヴァイズが考え込む仕草を見せる。テルカは他の国に比べると戦争に対して積極的ではなかったはずだ。
それが攻勢に転じたと言うことは何かあったに違いない。

「結局テルカも他の国と同じってことだろ?くだらねぇ」

カインはそう吐き捨てる。ヴァイズからテルカは戦争に消極的と聞いていたのに、この姿勢。

「カイン氏。そう言いたい気持ちはわかるが・・・・・・・」

「邪魔するぜぇ!!」

ヴァイズの言葉を遮って登場したのは巨漢で、貫禄のありそうな老人だった。

「・・・・ドン・ホワイトホース。まさか、王の右翼と名高いあんたが来るとはな」

ヴァイズが頬に汗を流しながら言った。それだけ、この人物が大物だってことはカインたちも分かった。
それにドンは、うわはっはっは!豪快に笑った後続けた。

「そんな大層な名前で呼ぶんじゃねぇよ。背中が痒くなるぜぇ。
この間はバルボスの阿呆共がやんちゃしたらしんでな。代わりに俺がその時の礼と答えを聞きに来たってわけだ」

「・・・・・・義に適った奴もいるんだな」

意外な人物にカインが呟くと、ドンはカインの方に顔を向けると、怪訝そうな表情を見せた。

「んぁ?おめぇさんは・・・・・・」

「??俺を知ってるのか」

「まさかおめぇさん、アゼールとシューナの子か?」

「!!父さんと母さんを知ってるのか!!?」

カインが目を丸くしてるのを見て、ドンが嬉しそうに笑った。

「知ってるも何も、アゼールの野郎は俺のライバルだったからなぁ・・・・・。
と、言っても俺は何時も勝てなかったがな。うわはっはっは!!」

昔を思い出すように楽しそうに話すドン。

「あいつは心身ともにつえぇ奴だったぜ。それを支えたシューナも強い心を持ってた。
おめぇさんからはそんな二人の力がはっきりと伝わってくるぜ」

「・・・・・・」

まさかこのような人物が自分の両親と繋がりがあるとは思わず、
カインは言葉を失ってしまう。

「っとぉ・・・、こんな話をしにきたんじゃねぇや。で、どうなんだ?
バルボスの奴はちゃんと言わなかっただろうが、俺らは別におめぇさんたちに前線へ立てって言ってるわけじゃねぇ。
俺ら全部隊が攻勢に出ている間、守備をおめぇさんたちに任せてぇってだけだ。どうだ?」

「・・・・・俺はこの町を守るだけだぜ。他なんて知ったことか」

エミルの口調が強気な物へと変わっていた。目が赤くなっているから、もう一人のエミルってのが出てきたのだろう。

「ああ、それでいいぜ。他の町の奴らには既に承諾は取ってあるからな。
後はこの町だけだったんで、安心したぜ。じゃ、俺らが留守の間この国を任せたぜ!」

ドンはそう言い放ち、また豪快に笑いながら、カインたちから去って行った。

Re: テイルズオブザワールド ( No.34 )
日時: 2012/01/02 17:42
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「嵐の様な爺さんだったな」

ドンが去った後カインがそう呟くと、それにヴァイズが乗ってきた。

「そりゃ、このテルカじゃ伝説の人物だからな。
デリスが送り込んだ五百の魔物を一人でなぎ倒したなんて噂も立つほどだ」

「・・・・・・そんな奴が従うテルカの王ってのはどんな人物なんだ?」

カインが見る限り、あのドンと言う人物が誰かに付き従うような性格には見えなかった。

「名前はデューク・バンタレイン。圧倒的な統率力とカリスマで王になったが、素性はよく知られてねぇ。
いろいろ噂は立っているが、どれもあやふやなものばかりだよ」

ヴァイズはそこで話を区切ると、一旦アジト内をざっと見渡した。

「随分と人気が少ねぇな。他の連中はどうしたんだ?」

アジトにエミルとマルタ以外誰もいないことを気にかけるヴァイズ。
それに対しエミルが思い出したような表情で言った。

「そうだ。話そうと思ってたことがあったんだ。実は・・・・・」

そこからエミルの話をまとめるとこうだ。数日前に突然謎の光がテルカの城に降りたと言う。
それでテルカ軍がよからぬことをしているのではと思ったエミルたちは、数人を城に潜入させていると言うことだ。
それ以外のメンバーはレジスタンスの定時会議に出ているらしい。

「あの光がテルカの城に?」

その時にはすでにアジトを出ていたヴァイズだが、その光は見ていたらしく唸っている。

「なるほどな。それでか。で、誰が言っているんだ?潜入なら・・・・・しいなは行ってるだろうな。他は?」

「ロイドとジーニアス。後コレットの四人だよ」

「あの仲良しトリオとしいなか。無事に見つからねぇで戻ってこれるとは思えねぇな・・・・・・。
仕様がねぇな。俺が見に行って・・・・・・って、おい!どこ行くんだカイン氏!?」

話を聞いてヴァイズが発とうとした時、それよりも先にカインが扉付近まで歩いていた。

「光は城に落ちたんだろ?だったら俺の目的はそこにあるんだ。邪魔すんな」

「邪魔ってなぁお宅。一人で突っ走ってオーブを取れると思うのか?」

「!!・・・・・何で知ってるんだ?」

まだヴァイズにはその話を何もしていないのに、その話を知っている事に驚くカイン。
その表情を見て笑みを浮かべるヴァイズ。

「お前たちの事はユーリたちから聞いてんだ。旅の目的もな。
それを知ってるからエミルたちもその光が城に落ちたことを懸念して、潜入させてるんだ。
精霊があの城の中にいるなら、その力を軍が何かに利用してるかもしれないからな」

「・・・・・・・」

「一人で突っ走んなよ。安心しろ、行くなとは言わねぇよ。
ただ、俺もついてくぜ。先に潜入してる仲間が気がかりだしな。
それに城の構造詳しい奴がいた方がお宅らにとっても都合いいだろう?」

「・・・・・分かった。じゃあ道案内頼むぞ、ヴァイズ」

何かを観念したような顔で呟くカイン。

「ああ、任せろ。エミル、もししいなたちから連絡あったら俺たちにも教えてくれ」

それに笑顔で答えるヴァイズ。そしてエミルのほうに顔を向けるとそう言った。

「うん、分かった。ヴァイズたちも気をつけてね」

エミルはその申し出に頷くとそう言って手を振って、三人を見送った。

——————————テルカ城城内——————————

「言って来たぜぇ!!」

大声をあげそう言うドン。目の前にはガラス窓から外を眺める男性が一人。

「そうか。どうだった?」

「ああ。了承してくれたぜぇ!これで全部の町をし終えた。
これで心置きなく出陣できるなぁ。なぁデューク」

「・・・・・・・・」

デュークと呼ばれた男は何も言わず、ただ黙って外を見続ける。
それにドンは一つ小さなため息を吐いた後、思い出したように言った。

「そういえば、その町でアゼールとシューナの子に会ったぜ。カイン・・・・とか言ってたかなぁ?」

その話題になると、デュークはちらりとドンの方を見た。

「・・・・・ほぅ。あの二人の子・・・・生きていたのか」

「ああ。俺も初め見た時は驚いたが、あれは間違いねぇ!」

ドンが嬉しそうに笑ったのを見て、デュークも僅かに笑みをこぼす。

「ふっ・・・・・。運命とは不思議なものだ」

だが、そこまで言ったところで再びデュークは何か考え込む表情に変わる。

「だが、あの二人の子どもと言うことは、そのカインという者も・・・・・・」

「・・・・・・・ああ、おそらくな。気付いていねぇみてぇだが・・・・・」

それにドンも何か知っているような口ぶりで乗る。

「・・・・・で、どうすんだ?」

ドンの言葉にデュークは暫く考えた後、口を開いた。

「たとえ本人にその気がなくても、一%でもその可能性があるのならその芽は摘んでおかなければならない。
ましてや、本人も自覚していない不安定なその力。暴走しない確率は低い。インヴェルも狙っているだろう。
・・・・・・皆に通達しろ。カインと名乗る者がいたら、その者を・・・・・・・・抹殺しろ」

——————————デリス城城内——————————

「どうしましたダオス様。ここのところずっと何かを考えていらっしゃるご様子」

一匹の魔物が王座に悠然座るダオスの表情を気にして質問した。

「・・・・・・・おい、貴様」

「はっ・・・・・は!失礼な物言い、申し訳ございま・・・・」

「もしテルカ、インヴェルの他に我々の野望を邪魔する者がいるとしたら、どうする?」

消されると思った魔物はすぐさま謝るが、それを気にした様子も無く、
ダオスはその魔物に質問した。魔物は少し詰まったが直ぐに、

「勿論、そのような輩はすぐさま滅ぼすべきです」

そう言った。だが、ダオスは更に神妙な顔をして言った。

「だが、そやつが我々の野望達成に近づけさせる可能性のある者だとしたら、どうする?」

「ダ・・・・ダオス様?一体何故そのような質問を・・・・・・・。
もし万が一その様なものがいても、その者が我々に協力して下さるかは定かではありません。
むしろ牙を剥く可能性の方が高いと思われます」

「・・・・・・確かにな」

魔物の言葉にダオスはまだ納得した様子は見せないが、言っていることは一理あると思い頷いた。

「そのような者がいるのでしたら、手下どもにそのものを抹殺するように命令を出しておきましょうか?」

「・・・・・・ああ、よかろう。全魔物に伝えておけ。こ奴を見つけたら抹殺するようにな」

そう言って見せた映像は、青い髪に青い瞳。さらにスラリとした体型をした人物。
そう、その人物は正にカインそのものであったのだ。


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