二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】
- 日時: 2011/03/27 20:41
- 名前: 蓮羽 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 元、帽子屋ですv
▽ ご挨拶
初めまして、二度目まして。
以前帽子屋という名前でいろいろ雑文書き散らしていた者です。
性懲りもなくまた小説書こうと思ってます。
豆文章能力の分際でこんな偉そうな事言ってすみません( ´・ω・)
誰かお友達になってください( ´・ω・)
亀並みの更新になると思うのですが、楽しんで読んでもらえたらなと思います!!
どうか生暖かい目で見守ってください!
まずは注意事項!
! オリキャラ主人公
! 逆ハーレムになればいいな
! みーんなキャラ崩壊 かっこいいBSRキャラなんていない
! 亀かナメクジ並の更新速度
! キャラとの恋愛有かもしれない
! 荒らしや中傷、チェーンメール禁止
! 蓮羽を生理的に受け付けない人は立ち入り禁止
! 男向けではないかも
! 戦国BASARAシリーズが嫌いな人も立ち入り禁止
これらをふまえた上で、お楽しみ下さい。
▽ 更新情報
・12月18日 更新情報開始
稜弥の設定追加
・12月19日 第四話 更新
・12月27日 稜弥の設定追加
・12月31日 大晦日番外編 更新
・01月06日 第伍話 更新
・01月08日 第六話 更新
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▽ 目次
>>0 ▽挨拶と言い訳と目次等
>>1 ▽オリキャラ設定
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▽ 小説
>>2 ▽プロローグ 嫌な夢と怖い三成さん
>>3 ▽壱 寒がり
>>6 ▽弐 『前髪ー!!』
>>7 ▽参 智将と番犬、初対面
>>8 ▽四 熱く燃える男、登場
>>16 ▽伍 番犬の威力
>>19 ▽六 佐助の観察 朝篇
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▽ 番外編
>>10 ▽番外編 恐惶と蝶々と番犬で年越し
----------------------------------
▽ お客様 現在【3】名様ご来店ー!(*・ω・*)ノシ
▼ YAMATO様
▼ 椎羅様
▼ 和華様
----------------------------------
▽ 開始
2010年 11月27日 22時08分
▽ 最終更新
2011年 01月17日 22時21分
- Re: ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/30 15:26
- 名前: YAMATO (ID: .62EDtJk)
どうも、YAMATOと申します。
貴方の学園BASARAもひそかに読んでました。
稜弥イイですねvとても共感できます。
でも18歳くらいっていうのは以外でした!
鬼爪・・・すごく斬新な武器ですね。
政宗の六爪を短くして増やした、ってかんじですかねw
更新頑張って〜!
- Re: ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】 ( No.5 )
- 日時: 2010/11/30 17:14
- 名前: 蓮羽 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
▽YAMATO様
コメント有難う御座いますvv
学園の方は全然更新してなくて……もう何か自分が嫌です←
稜弥はもうちょい若くした方が良かったかなと後悔ぎみです←←
政宗はもっとありえませんからね、アレ(
でもまぁ独眼竜ですしwwwwwww(
応援有難う御座います!!
そちらの方も更新頑張って下さいねvv
- Re: ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】 ( No.6 )
- 日時: 2010/11/30 18:28
- 名前: 蓮羽 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 元帽子屋ですvv
▽ 弐
大好きでした。
拾い物の私にも、優しくしてくれる貴方の事が。
とてもとても、大好きでした。
でも、何ででしょう。
貴方は突然、逝ってしまったのです。
泣きそうになりました。
たくさんたくさん泣きそうになりました。
でも、貴方を殺めた人のことも嫌いになれなくて。
もっともっと心が痛くなって、泣きそうになりました。
私の友達も、悪に染まってしまいました。
それでもう心がボロボロになって、もっともっと泣きそうになりました。
だから、それでも私が強く在らなきゃいけないと思いました。
だから、今の私が在るのです。私は泣いてはいけないのです。
俺は泣いてはいけないのです。
▽
『どけどけェ!! どかないと俺に食われちゃうぞーっ!!!』
何人もの兵どもが薙ぎ倒され、屍の山となって積まれていく。
それは全て、稜弥が作り出した物だった。
「番犬だ!! 豊臣の番犬が来たあああ!!」
「撤退だァァ!! もう応戦しきれない——ぐあッ!!」
撤退の命を下せようとも下せない、そんな超高速の速さだった。
敵兵は皆恐れをなし、刀を捨て、逃げ惑った。
「稜弥!! 次は私が斬る!! いい加減止まれ!!」
遠巻きに見ていたが、そろそろ痺れを切らした三成のその怒号で、一瞬稜弥の動きが止まる。
『えー!? だって一応俺切り込み隊長なんだしさー!! これくらいやらないと仕事した気にならないー!!』
そう大声で返事を返したら、「五月蝿い」と一蹴された。
「お前がそこで斬ってばかりいたら前に進めんのだ!!!」
それを言われたら、さすがに稜弥も止まりざるをえなかった。
すると、稜弥が止まった瞬間に三成が俊足で敵に斬りかかる。
そのまま奥へと進んでいった三成を見ながら、あとからふよふよと浮き進んできた大谷に稜弥は呆れて聞いた。
『何、何で三成荒れてんの?』
大谷はふうとため息を一つ吐いてから、
「北条に太閤の悪口を叩かれたらしい」
と答えた。
舞台は小田原、小田原城再建戦。
秀吉の悪口を北条氏政が叩いたらしく、その情報が三成の耳に入って、今に至る。
「我は先に行く故、主もはようついてこい」
『もういいじゃん北条なんて三成1人で勝てるって、行かなくてもいいよ』
「そういうわけにもいかぬ。やれ、戦意喪失か?」
『ちげーよ、ったく面倒くせェ』
稜弥は頭を掻き、顔を顰めた。
大谷はヒヒッと笑うと、そのまま言ってしまった。
超絶北条家栄光門が、大きな音をたててゆっくりと開いたのが遠巻きに見て取れる。
あーもう三成あんなとこまでいったのか、とぼんやり眺めていた稜弥は、ハァッと大きく深いため息を吐いて、また走り出した。
▽
帰り道、勝敗は見事(というかやっぱり)石田軍の大勝利で幕を下ろした。
北条はいろんなところが大損害だったが、北条氏政の命は稜弥が三成に頼み込んでなんとか見逃してもらえた。
帰路、兵士達の行列の一番先頭に稜弥、三成、大谷は居た。
三成は大層機嫌が悪く、その理由は稜弥も大谷も分かっていたので、あえて触れなかった。
季節は段々と冬の足音が聞こえる頃となったが、まだ紅葉は赤々としていて、見ているこちらを和ませる。
綿雲のような雲が流れ、赤橙の夕日が美しく沈んでゆく。
木枯らしがぴゅうとふき、思わずぶるっと身震いをする。
そろそろ本当に寒いな、冬用の着物出しとこう。
稜弥はそう決意して、露出した腕を摩った。
「稜弥」
そんな稜弥を、横に居た大谷は呼んだ。
『ん、何?』
「帰ったら、ちと使いを頼みたい」
稜弥は首を傾けた。
『使い?』
「そうよ、毛利に書状を渡してきてほしい」
毛利元就、詭計知将の名を持つ男。
どんな奴かあまり稜弥は知らないが、いい噂を聞かないのは確かだった。
大谷の背に回りながら浮いている数珠が、夕日にきらりと光った。
毛利? 毛利に何の用があんの?
稜弥がそう聞くと、
「なに、あとで分かることよ」
とはぐらかされた。
分かるならいいや、と稜弥はまた前に向き直った。
稜弥はたまに、大谷のこういう所を不思議に思う。
何か俺達に隠してやってるのかなー、なんて少し疑心暗鬼になってしまう。
『(……証拠も無いのに疑っちゃ申し訳ない、なんか引っかかるんだよなー……)』
そんな事を思いながら、横目で大谷を見やる。
いつもと変わらない大谷の様子に、疑っている自分が馬鹿みたいに思えた。
兎も角、稜弥の明日の予定は決まった。
しかし戦の時以外あまり領地外へと出ない稜弥は、毛利の拠点がまったく分からなかった。
『ねぇ三成、毛利ってどこら辺のだっけ』
「そんな事も知らないのか、無知め」
『何でお前にンな事言われなきゃならない』
「中国だ、あとは知るか」
『テメーもよく分かってねェんじゃねーかよ!! 無知!!』
「なんだと、貴様が言うのか!!」
『言うねバーカ!! バーカバーカ! 前髪ー!!』
「ッッ貴様ァァ!! そこに座れ残滅してやる!!」
ギャイギャイと言い合いになった三成と稜弥を、「また始まった」という目で見ている大谷が痺れを切らして止めに入るのは、あと30分後の出来事である。
▽ つづく
- Re: ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】 ( No.7 )
- 日時: 2010/12/16 22:41
- 名前: 蓮羽 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 元、帽子屋ですvv
▽ 参
『……ここが毛利さんの城? え、何コレでかい、何なのこれ』
俺がぽろっと言ってしまうほど、郡山城はドでかかった。
俺こと那塚稜弥は、刑部の言いつけで毛利さんの家に書状を届けに来た。
……でかい、郡山城デカいよ!! 毛利さんボンボンか!? 噂で聞くと兜がオクラっぽいって言われてるけどボンボンか!?
門前で予想外のデカさに感服してると、門の前で警備していた毛利さんとこの兵達から棘のような視線を感じてきた。
あっ、そうだそうだ、俺の役目は書状を届けること!!
『す、すみまっせーん。あの、俺石田軍の大谷吉継から毛利元就さんへ書状届けに来たんですけど、どうすればいいですかねー、え、えへへ』
こういう事はあまりしないから、ちょいちょい不自然に声が震えた。
俺がそう作り笑いをしていると、兵士達は怪訝そうな声でひそひそ話をし始めた。
いやあああキツいいいい俺こういう状況無理いいい!!
怪しまれてる? 俺怪しまれてる? そりゃそうだよねだって女のくせに男のなりしてるからね!!
直立不動になり、額から冷や汗が吹き出てくる。
大丈夫かな、俺もしかして殺されるかな、どうしよう、刑部が俺に頼んだのが間違いだったよね、そうだよね俺悪くないよね
なんてありもしない心配で心が押しつぶされそうになったとき、
「那塚殿、で宜しいか?」
「ようこそおいで下さった。毛利様のもとへご案内します」
と、会議が終わった兵士達の内2人が、半笑いでそう言ってくれた。
俺もただただ苦笑いで、『あ、あざーっす』と言うしかなかった。
▽
「それでは、こちらにお入り下さい」
俺が連れて来られたところは、城の最上階のなんか一番偉い人が入ってそうな部屋の前だった。
いかにもお偉いさんがいるな、と感じて、再度俺は緊張しだす。
何故刑部は俺に頼んだんだ本当に。帰ったらミカン4個謙譲してもらう。絶対に。
連れてきてくれた人も、俺にそういい残すとそそくさと立ち去ってしまった。酷い、入るまで見送ってくれたらいいのに!
どうするんだ、こういう時普通の人はどうするんだ? えーと、えーっと……
俺は襖の前であたふたと慌てた。それはもうガチで。
襖どうやって開ければ失礼じゃないの? 座るの? 立つの? 蹴り倒すの? 蹴り倒せばいい? 襖蹴飛ばして野生的に入っていけばいい?
あわわわと焦りに焦って、結局俺は恥を捨てて毛利さんを呼ぶことにした。ここで。
いいさ女なんてもう捨てたから! 一歩踏み出せ俺!! すみませんって大きな声で叫べ俺!!
ようやく決心して、生唾をごくりと飲み込んだ。
大きく息を吸って、いざ!!
『すみまッせーん!!! 毛利さーん!!! お使いに来たんですけどいらっしゃいますかー!!』
そう、俺が全力で言い放ったときだった。
2秒も無く襖が開いて、中から毛利さんらしき男の人が見下すような目つきで出てきた。
あ、間違った、やり方間違った!
悟ったときはもう遅かった。
「大谷から聞いてはいたが…… 貴様、礼儀と言うものを知らないのか」
毛利さんは物凄い呆れたご様子で、マジで俺を見下していた。
▽
部屋には通してもらえたものの、もう俺は半泣きだった。
とりあえず正座して毛利さんと向き合うけど、怖くて目が合わせられなくて、さっきから俺の目はざばんざばん泳ぎっぱなしだ。
偉そうに肘掛に持たれて、観察するように俺を見てる毛利さん。怖い。
俺は腿の上で緊張を潰すように拳を握った。
最上階、というだけあって、城下の様子が一望出来る。
城下を挟んで見える瀬戸内の海が綺麗だった。中国は南の方だから、まだあまり寒くない。
だから入ってくる風は丁度良かったんだけど、この状況だからそう余裕に楽しめない。
暫く沈黙が続く。何、俺が切り出さなきゃいけない状態?
『あ、あのっ、刑部から、じゃなくて大谷から書状預かってきてるんですよ!! これ!』
意を決して俺はそう毛利さんに伝える。
袖から「毛利殿へ」と書かれた書状を出して、スス、と前に出す。
「聞いておる」
毛利さんはそう冷たく返事した。怖い。
その返事を聞いて、俺はある事に気付いた。
『あの、恐れ多いんですけど質問いいですか?』
「なんぞ」
『さっきも゛大谷から聞いていた゛って言ってたじゃないですか。刑部と前から交流あったんですか?』
毛利さんは少し眉をひそめた。
「大谷め、事情を説明しておけというのだ……」
『? 何か言いました?』
小声で毛利さんが何か呟いたけど、俺には聞き取れなかった。
「大谷の方から同盟の提案を以前から受けていた。その際、石田軍の情勢を聞いたまでよ。番犬と呼ばれる貴様にも、興味があったのでな」
刑部から同盟の提案か……
俺そんなん聞いてないんだけどな。三成は知ってるのかな。
あ、朝の会議でそんなの言ってた気がしないでもない!! 俺多分寝てた!!
『同盟は結ぶんですか?』
「もう結んだ」
『なんとっ!?』
知らんかった、俺知らんかったぞ!! 駄目だちゃんと軍議は居眠りしないようにしないと!!
俺はそう堅く誓った。次の日には緩んでるんだろうけど。
『……じゃ、俺そろそろ帰りますね。ちゃんと目的果たしましたからね俺!! 失礼があったとか刑部に告げ口しないでくださいね!!』
俺はスクッと立ち上がって、そう毛利さんに釘を刺してから、少しだけ急ぎ足でその部屋を後にした。
……威圧感、すごかったなぁ。
▽
稜弥が出て行ったあと、毛利は大谷からの書状を開いた。
書状には達筆で、「愉快な奴だろう」とだけ書いてあった。
以前、大谷との密約中、稜弥の話が2人の間で出てきたことがあった。
「毛利よ、主に紹介したい奴がおる」
突然そう切り出したのは大谷の方だった。
ゆらりと揺らめいた蝋燭の炎が、毛利の顔を照らす。
「面白き犬よ。主もさぞ気に入ることだろう」
馬鹿な。我が人を好くなど。
毛利はそう言いたかったが、以前から興味があった「豊臣の番犬」についてはそう断言できなかった。
「われも三成も、あやつだけには敵わなんだ」
大谷はヒヒッ、と怪しげに笑った。
恐惶三成にも沼地の蝶からも気に入られる「番犬」。どれだけおかしな奴なのだ。
そう気になっていたところへ、大谷が寄越したそれは、どうも自分の想像とかけ離れていた者だった。
礼儀知らずで、異様に自分に怯えていた。そこらの兵と変わらない。
やはり番犬といえども、それは「石田軍」内だけどの話か。
毛利は失望した眼で、先程稜弥が座っていた場所を見つめた。
▽ つづく
【郡山城】
毛利元就が拠点とした広島県のお城。
行った事無いから内部は想像だよ!!
- Re: ▽ 鬼爪 【戦国BASARA3】 ( No.8 )
- 日時: 2010/12/19 23:08
- 名前: 蓮羽 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: 元、帽子屋ですvv
▽ 四
早朝、毛利のもとから帰ってきた稜弥を出迎えたのは———なんか暑苦しい人だった。
「おお!! 貴殿が豊臣の番犬と名高い那塚稜弥殿で御座るか!?」
『へっ!? えっ!?』
城に帰ってくると、休む暇もなく大広間に連れて来られた稜弥。
「石田殿も大谷殿もそこにいらっしゃいます」と言われたので、納得して連れてこられたのだが。
大広間の襖を開けると、左側に三成と大谷と数名の軍幹部、右側に赤い鉢巻をした若者と明細柄の服を着た橙色の髪の男座っており、左右向き合う様に座っていた。
どうやら会議中のようだった。
その若者は稜弥が入ってくるなりすくっと立ち上がって、稜弥の目の前に近づきぱっと手を取った。
稜弥は三成達に「帰ってきた」と伝える間もなくそうされたので、動揺を隠し切れなかった。
するとその稜弥の表情に気づいた若者は、稜弥を手を離しその場に座った。
「某、甲斐武田軍からこの石田軍との同盟を結ぶために馳せ参じた、真田幸村と申す者!! 宜しくお願い申し上げる!!」
そう言って深々と頭を下げられ、稜弥はよりいっそう焦る。
『え!? え!? あのっ、とりあえず顔上げて! 俺今状況についていけない!!』
稜弥の焦りようを見て、楽しそうに笑う大谷。
「して稜弥、毛利にはしかと渡したか?」
『あ、うん。何かあの人怖かった』
とりあえず稜弥は三成の横に座る。
三成は煩わしげに稜弥を見やり、また視線を幸村に戻した。
『……ああ、甲斐の若虎さんか!! どうりで聞いたことある名前だと思った』
稜弥はやっと合点がいったというような表情で、幸村を見つめる。
覚えてもらっていて光栄だ、という面持ちで幸村は稜弥に一例した。
『でも、またなんで同盟を?』
稜弥のその問いに、幸村は立ち上がって叫ぶ。
「無論!! 家康殿と戦う為で御座る!!」
東照権現、徳川家康。
豊臣を裏切り、豊臣秀吉を討った男。
絆を説き、人々と結ぶ絆を尊ぶ男。
三成と稜弥が、恨み、妬む男。
稜弥は家康の名前を聞くと、顔を顰めた。
横の三成も、恨めしそうな表情だった。
『……そっか。まぁ味方は多いに越したことはないんじゃない、三成。ねぇ刑部?』
「その通りよ。真田、願ってもない申し入れ、承る。よいな、三成」
稜弥と大谷はそう三成に促した。
三成は少し黙った後、大谷に「貴様に任せる」と呟いた。
そして、幸村に向かって低い声音で呟く。
「同盟を結んだからには、絶対に私を裏切るな。それに、家康を討つのはこの私だ」
幸村は三成を見据え、静かに
「承知した」
と答えた。
こうして石田軍と武田軍の同盟は結ばれた。
武田軍は今からここ大阪城に移り、軍議等を行う事になった。
簡単に言えば、真田幸村等武田軍は大阪城に住むという事。
これから宜しく申し上げる!! と熱くまた頭を下げられ、稜弥もまた焦った。
▽
『何か騒がしくなりそうだな』
稜弥はそう言いながら大谷の部屋の炬燵にあたる。
「そうよなァ。五月蝿いのは御免こうむるが」
大谷は数珠の手入れをしながら、そうヒヒッと笑った。
最近の徳川の情勢と言えば、伊達と雑賀の介入という衝撃的な事実が発覚した。
伊達には独眼竜・伊達政宗が居る。真田幸村の好敵手であり、六爪流などという常識破りで有名だ。
雑賀には雑賀衆三代目頭領、雑賀孫市が居る。雑賀集は生粋の戦闘民族であり、主君を持たない契約式傭兵組織である。
そこでの武田軍の同盟は、大谷に言うとおり願ってもない申し入れだった。
力が多いことに越したことはない。今の状態じゃ徳川に勝てない。
石田軍も、早に武力を高めなければならなかった。
『難しいのはよく分かんないけど、戦ほど面倒な事は無いよね』
ミカンを剥きながら稜弥はぐうたれる。
「勝たねば意味が無いゆえ」
大谷が布で綺麗に拭いた数珠が、ふわりふわりと宙に浮かんだ。
それはそうだけど、と稜弥が炬燵に突っ伏した、その時だった。
スパァン!! と襖が開き、「稜弥殿ォ!!」と熱く叫びながら入ってきた男が居た。
真田幸村だ。
稜弥と大谷は驚いて目を丸くした。宙に浮いていた数珠が床に落ち、食べ損ねたミカンがぽろりと手から零れる。
「某と勝負してくだされェ!!!」
『は!?』
幸村の背からは、熱く燃える炎が見えた。
▽ つづく
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