二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ローゼンメイデン—ドール達が普通の女の子だったら—
日時: 2010/12/23 20:34
名前: クラリス ◆lpf/TAjzto (ID: quLGBrBH)

もしも、ローゼンメイデンのドールズが


普通の人間で、女の子だったら———?


ふと思いつき、考え付いた妄想小説。


よければお楽しみくださいねッ☆

(ほぼ蒼星石メインです;;)

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Re: ローゼンメイデン—ドール達が普通の女の子だったら— ( No.1 )
日時: 2010/12/23 20:35
名前: クラリス ◆lpf/TAjzto (ID: quLGBrBH)

「蒼星石ーぃ、早く準備するですぅ〜。」

「……ん。」

「ジュンが玄関でいらいらしてるですよー」

「分かってる。姉さん、先に行ってて…。」

「……元気ねぇですよ。まぁ、先に行ってるです」


パタン—

閉められた扉に向かって、僕はバイバイと呟いた。
…二人はここ最近、付き合い始めた。
僕はそれを見るのが辛くて……怖くて……。


「そりゃ、分かってたよ…。


女の子っぽい翠星石のほうが、ジュン君にはお似合いだって」


—それでも心の片隅に残る、微かな希望…。


「さて、姉さんが帰ってこないうちに…ね。」


僕は私服に着替えて、荷物を持ち家の鍵を閉める。


知り合いのおばあさんの家へ行くつもりだ。

二人は快く了解してくれた。歩いて10分の、翠星石さえでも知らない古びた洋館。



「こんにちは、おばあさん。おじいさん。」

「あらあら蒼ちゃん。いらっしゃい」

「おや、蒼じゃーないか。ははっ、また喧嘩か?
好きなだけいていいぞ」

「…ありがとう、ございます。」


二人の優しさが、胸に痛かった。
理由も言わず押し掛けてきた僕を受け入れてくれた二人の…。


「学校は?行くのかい?」

「はい。一応遠くはないですし…。」

「そうかい、困ったことがあればいつでも言いなさいよ。」


学校。

今一番行きたくて、いきたくない場所。


ジュン君に会えるけれど。姉さんと付き合っている姿。


—見たくないもの。


「…おやすみなさい」

「えぇ、おやすみ。」

「明日から庭園のお世話を手伝いますね」


パタン。

僕は借りた部屋で眠る。



考えるのはやっぱり、ジュン君の事だけだ。

Re: ローゼンメイデン—ドール達が普通の女の子だったら— ( No.2 )
日時: 2010/12/23 20:35
名前: クラリス ◆lpf/TAjzto (ID: quLGBrBH)

—次の日


僕は通学路を歩いていた。
時々、親衛隊とやらの女子から声をかけられたりもしたけれど…
今はそんな気分ではなかった。


「蒼星石〜!!昨日はどこ行ってたです?」

「………別に。」

「風邪ひいたですかぁ?…あ、ジュンですぅ!!」


嵐が去った後、後ろから水銀灯が声をかけてくる。
水銀灯は不思議な子だ。


「あらぁ〜。貴方一人じゃ、みじめな感じぃ…」

「そうだね。姉さんと僕は違う人間で、だけど二人で一人なんだ」

「……うふふふ、ほんっとミジメぇ。
そんなんだからぁ、ジュンもあっちにいったのよぉ」


分かってる。分かってるよ。
だから今日、決意してるんだよ。



—昼休み


「蒼星石!!ご飯食いに行くです。」

「姉さん…。ジュン君…。」

「なんです?」


トンッ

僕に押された姉さんは、ジュン君に抱きとめられ転ばずに済んだ。


「なっ、なっ…。」


教室中が注目した。
仲良しの二人が喧嘩でもしたのかと。


「……姉さん。ここじゃ話せないよね、少し静かなとこにいこうか」

「はいですぅ…」


—暗い旧体育館。

ここは人が来ず、絶好の場所だった。


「…姉さん。僕、もう一緒にいられないよ。」

「!!?な、なんでです…?」

「まだ分かってないの?僕と君は二人で一人。

だけど僕は一人になりたい。陰に縛られない自分と言う存在に。」


「…一緒に居たいです!!蒼星石は同じじゃないですか!?」




「僕と君は違う存在なんだよ。」


「いやっ……やあです、そうせいせ…っ」


「さよなら姉さん。幸せにね」



この日、僕たちは別々になった。

初めはジュン君が抗議に来たけど、今は何もない。


「あ、あの。蒼星石…先輩…。

わ、私と…付き合ってください!!」

「ごめんね。僕、今そういう気じゃないし…」


この見た目のせいで、女子からよく告白されてしまう。
…はぁ、ジュン君はいつも笑って茶化してたな。


「そうだ。僕、気分悪いから……先生に言っててくれる?」

「は、はいっ!!喜んでっ。」

「ありがとう」


タッ

タタタタ……。


僕はおばあさんたちの家に戻ってきた。


……庭の手入れをすれば、少しは気がまぎれるかな。

Re: ローゼンメイデン—ドール達が普通の女の子だったら— ( No.3 )
日時: 2010/12/23 21:20
名前: クラリス ◆lpf/TAjzto (ID: quLGBrBH)

ジョキ、ジョキン。

伸びた草木を鋏で切り、おとしていく。

「ふぅ。ある程度、綺麗になったよね…。」


僕は少し散歩していた。
…あれは、姉さんとジュン君?


僕は思わず隠れた。

「ぐすっ、ひっ…そうせい…石…」

姉さん、泣いてるの?
……君の泣き顔は、僕の本当の素顔を見ているようで。


「大っきらいだった…」

「え?」


やばい、と感じた僕はすぐに逃げた。
幸い追ってこない。


「だけど、誰よりも…


大好きだから…。」


僕はそっと見守っておこう



二人の行く末を。


「蒼ちゃん。入りなさい、紅茶が入ったわよ」

「………はい、おばあさん。」


温かい紅茶を飲む。だけど3度ぬるかった。
紅茶の適温は95度ですぅ、なんて言ってた翠星石が飲んだら怒るだろうなぁ…なんて思う。


完璧な姉依存だ。


「ごちそうさま。おいしかったです」

「そう、よかった。」


安心したように微笑むおばあさん。

少し離れた小部屋で、おじいさんは眠っている。



「僕……買い物に行ってきますね。」

「あら、ありがとう。」


僕は近くのスーパーへ走っていく。
途中周りをキョロキョロ確かめ、挙動不審な動きをしていた。


「ふぅ、よかった。」

「何がだ?」

「ひゃっ!!?」


思わず持っていた卵を落としそうになった。
ジュン君の声だ。


「……何?」


違うのに。
こんな事言いたくないのに。
僕は嫌いだ。自分が…。


「翠星石、泣いてるぞ。」

「それが?」

「………仲直りしろよ。」

「どうしてさ、そんなことしたらまた元の木阿弥だよ」


—そう、全て。
次に会った時、溜まりに溜まった不満をぶつけてしまいそうだ。



「あら、蒼星石?それにジュンも……」

「真紅。」

「どうしたの?」

「別に何でもないよ、それじゃあまたね」

「………えぇ、また明日なのだわ。」


助かった。神様に感謝しよう。
あのままいたら、きっと泣いていたから。


きっと……気持ちを伝えてしまったから。


僕はわき役でいいんだよ。




「お帰り蒼ちゃん。」

「ただいま、おばあさん」



—そう。


物語の主人公になるだなんて



もう望んでいないから。

Re: ローゼンメイデン—ドール達が普通の女の子だったら— ( No.4 )
日時: 2010/12/23 21:20
名前: 咲亜紗 (ID: Tb.7kxDW)


こんにちはっw

ローゼンメイデン大好きです!!

特に蒼星石がww

更新頑張ってくださいね♪

Re: ローゼンメイデン—ドール達が普通の女の子だったら— ( No.5 )
日時: 2010/12/23 22:07
名前: クラリス ◆lpf/TAjzto (ID: quLGBrBH)

“…君をきる、僕はそんなに甘くないんだよ”

“分かったです、そこまで言うのなら…やりやがれです!!
翠星石のローザミスティカ、くれてやるです”


スッと刃先を首に当てた。
姉の首に。
僕の手、動け。ひけばいい。

“……ッ。”


僕は姉を……


ガバッ!!



「はぁっ、はぁ……なんて夢なんだろ…」


嫌な夢を見て、朝が始まる。
何かの前兆かな……。

「おはよう、蒼。」

「おじいさん!!早いですね。」

「あぁ、年寄りは早く起きるんじゃよ」


お弁当を持ち、着替えていざ出動。
大げさだけど、そのくらいの気持ち。


「……あ、あの。蒼星石…」

後ろから聞こえる声。姉さんだった。
ジュン君と一緒にいる。


「何だい?姉さん。」

「よ、よかったら一緒に行くです…」


僕が返事をしたことにホッとしたようだ。


「…ジュン君といけばいいじゃあないか。」

「で、でも!!毎晩どこにいるか…気になるですし…。」

「僕の勝手でしょ?まぁ、路地で寝ないだけましと思ってよ」


スタスタと歩いていく。
下駄箱には恒例のラブレターがはいっている。


“1−B 草乃津 美和”


…また女子だ。
僕はどうして男の子っぽいんだろう。


はぁ、憂鬱だなぁ。


「そ、蒼星石〜。またお呼び出しですかぁ!?」

「……」

「蒼星石の大好きなクリームシチューつくったですよ」


姉さんはいまだ僕に話しかけてくる。
きっと家に戻そうとしているんだ。


僕は……


「姉さん、もうやめてよ…。」

「…翠星石は、蒼星石といたいのですぅ…」


姉さんのオッドアイを見つめる。
自分の瞳もオッドアイなんだ。


「……姉さんは、いつもぼくの大事なものを


軽々しく奪っていった…。」


「えっ?」

「かわいらしさも、……ジュン君の愛も。
何もかも、ね。」


僕はまた早退する。
君たちといるには僕は汚れすぎた。


ガチャッ。


「蒼ちゃん、早かったわねぇ。…顔色悪いわよ?」

「少し…気分悪くて。休んできます…。」

「そうしなさいな、はいお薬。」


パタン。



しばらく寝ころんでいると、鏡が揺れた。




「……何だろ、この現象。」


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