二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 21エモン〜エモンの夢は〜
- 日時: 2011/02/11 11:40
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
2060年・彼らは大人になり自由の道を歩み始めた。その国では、子供が嫌な仕事は絶対にしてはならない という決まりがあった。
その国の住民 つづれ屋21エモンは東京シティーの溜池山王あたりにあるつづれ屋の跡継ぎである。彼は悩んでいた。いつもの部屋で。
21エモン「なあ、モンガ—」「何?エモンくん。」エモンは困惑している顔で話した。「僕の親父は僕に、後継ぎになれ・後継ぎになれ というんだ。だけど、僕はあのスカンレーさんのように宇宙探検家になって、好きなことをするのがいいと思うんだ。」「法律にも書いてあるしね」モンガ—が言う。「僕はこんな夢を持っている。ルナ君やリゲルも夢を持っているはずなのに、僕だけが達成できない。そして、1月には成人テストがあってそれを受けないと未成年のままなんだ。そこには、『自分の夢を答えよ。』という問題が出るんだ。絶対! ということで、モンガ—に聞きたいんだけど、このままこのつづれ屋のオーナーでいるべきか、宇宙探検家と書くべきかどう思う?」エモンの困惑している顔に、モンガ—は目をつぶって考えた。そして、「それは君の問題だよ。ぼくには、何も分からない。自分で考えるべきだよ。」「君は、僕の願いがわかってくれないのか!」エモンは怒った。これは、その父・20エモンによく似ている。幼馴染の星野ハルカも「エモンクンはすぐに怒るから怖い」と言っている。彼は、烈火のごとく怒っていた。「どいつもこいつもみんな僕の話をわかろうとしない」それを思って部屋にいると、部屋のテレビにリゲルが映った。「よお、つぶれ屋の跡取り。今日一緒に酒飲まないか。ルナちゃんも来てくれるそうだぞ。来るんだったら、銀座に来てくれ。じゃあ、つぶれ屋の頑固野郎」そう言って切れた。エモンは,「行って、僕の悩みを聞いてもらおう」と思い、銀座に行くことを決意した。エモンは、スーツにネクタイ姿で自分の部屋を出て行った。モンガ—はいらない。彼は、ロビーを通り抜けようとしていた。すると、母が来た。「まあ、そんな恰好でどこへ行くの?もしや、また密航して警察のお世話になるつもりじゃないでしょうね。それは、もう嫌よ」「そんなことはしないよ。犯罪じゃないか」「じゃあ、何しに行くのよ」「リゲルから銀座に誘われたんだよ。今から行くんだ。だから、こんな恰好をしているのさ」母はおどきながら見ていた。「エモンはもう20歳になるのね。酒を飲めるようになるのよね。分かった。パパには伝えるから、もう行きなさい」「エアカ—はどこにあるんだよ」エモンは、ネクタイを調節しながら話す。「隣の倉庫にあるわよ」「じゃあ、行ってきます」「行ってらっしゃい」母は、見送ってから泣いた。「あの子は成長したわ。私たちから自立しようとしているのね」時は六時。銀座の街はネオンできれいになっていた。エモンは、上着を着ながら歩いていた。もう、この夜景を見ることができないと思いながら。リゲルがいる店は、銀座叙々苑の個室であった。リゲルは、タキシードで蝶ネクタイを着て来ていた。「あいつ、遅いな。まあ、いつものことか」煙草をふかし、貧乏ゆすりをし、ワインを飲みながら待っていた。「いや、すまん。すまん。遅れたかな」やっと来たか と思いながらリゲルは迎えた。「よお、つぶれ屋の2代目。久しぶりだな」「違うと言ったろ。つぶれ屋じゃなくてつづれ屋って。ルナ君も来てたんだ。
久しぶり。ルナ君」ルナは、エモンをみるとすぐに顔を赤くして、「久しぶりね」とだけ言った。「みんな、中学も高校は違うところに行ったんだよな。だから、6年ぶりの再会だね」エモンは、懐かしそうに見ながら、ワインを飲んでいる。だが、エモンは一人女がいたことを知らずに飲んでいた。
エモンくん。私を気付いてくれないのね。悲しいわ
「エモン。隣の席をごらん」リゲルが言った。「なんだよ」エモンは驚いた。隣には星野ハルカが来ていたのだった。「ハルカちゃん。なんでここに?」「ハルカちゃんは恥ずかしがっているから私が話すわ」ルナが真剣な顔で言った。「ハルカちゃんと私は、宇宙通信をしているのよ。私が始めてあった時から」エモンもリゲルも、12歳の時に出かけた木星の衛星 ガニメデに行った時のことを思い出す。「私が20歳になった時、ハルカちゃんはメールをくれたの。それにはこう書いてあったわ。『もうすぐ、エモンくんも20歳になります。私は、彼とは滅多に会えないけれど、20歳のお祝いぐらいはしておきたい。しなかったら、私が後悔してしまうわ。ルナさん、私はガニメデ発地球行きの船に乗って向かいます。今日中に。ですが、エモンくんには決して秘密にしてもらいたいのです。そこのところ、ルナさんも、リゲルさんもよろしくお願いします。』私、泣きそうになったわ。エモンくんをこんなに愛してくれる人がいたとはね。ハルカさんは、明後日までこの星にいるようだから、私たちより、ハルカさんに喋りかけてあげて」ルナがエモンに手で肩をたたく。「いい話だよ。ルナちゃん。俺もなきそうになったよ。エモン。分かっているだろうな」「もちろんだよ。ハルカちゃん。僕をこんなに思ってくれてありがとう」ハルカは、赤くなって縮こまってしまった。会場は、静寂に包まれた。「さあ、飲もうか」リゲルが、グラスを持ち、上にあげていた。4人は「乾杯!」と言い、酒を飲んだ。料理が次々と運ばれてくる。「懐かしいわ。焼き肉。私、子供のころは、これが大好物だった」ハルカが、独り言を発した。エモンは「ガニメデでは、これを食べれないの?」と質問した。ハルカは、「似ているような動物の肉はあるわよ。ピントンなんかがね。だけど、その肉は焼くことを許されない食べ物なのよ」「へえー」3人は、違う星のことが聞けて嬉しかった。ハルカに、質問ばかり浴びせた。ハルカは、嫌がらずに自分が住んでいる星のことを話した。「ぼく、みんなに話があるんだけど・・・」エモンが話を切り出した。「何だよ。話せよ。俺らは友達だろ」「うん」そして、少し間をおいてから話し始めた。「1月の成人の日に、成人テストがあるだろ。みんなは、何を書くつもりなんだい?」「俺は、ホテルの跡取りかな。親父より、豪華で、サービスが良いホテルを作るんだ。エモンと、またライバルになるかもしれないけどよろしくな」「ルナ君は?」「私は、ホテルギャラクシーの代表取締役かな。女の取締役もかっこいいでしょ」「ルナちゃん。君は薔薇のようにお美しい。ぜひ、僕の元に」バシッとルナは、リゲルの顔を叩いた。「い 痛いよ。ルナちゃん」そしてルナは、エモンの方に向き直り「エモン君は何になりたいの?」と聞いてきた。エモンは、「実は、僕、悩んでいるんだ。親父の後を継ぐべきか、宇宙探検家になるべきか」ルナは、「君は、昔からそうだった。小学生の時君は、宇宙探検家になって、あの人に逢いに行くんだと言ってたわ。懐かしいわ。あのころが。エモン君、私は、君が何の仕事になっても、陰で助け続けるわ。だって、友達なんですもの」「ルナ君・・・」「そうだ。俺もルナちゃんのようにするつもりさ」「リゲル・・・」「エモン。また、俺がお前の宿に来た時は、きちんと決めとくんだぞ」「ああ、分かってるさ。おまえになんか言われなくても」4人はここで笑った。
- Re: 21エモン〜エモンの夢は〜 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/23 21:42
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
上野宝彦の小説誰か呼んでくれましたでしょうか?
読んでくれて、絵が得意な人にして頂きたいことがあります。
エモンの20歳の姿、ハルカの20歳の姿、ルナの20歳の姿、リゲルの20歳の姿をお願いしたいのです。誰か、想像力をふくらまして、書いてください。お願いします!
- Re: 21エモン〜エモンの夢は〜 ( No.4 )
- 日時: 2011/01/24 20:44
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第3話 同年代の日
やっとこの日が来た。1月の成人テストの日だ。これを合格すると、成人入りだ。こう思いながらエモンは昨夜寝たのだ。これは、他の同年代の者も一緒であろう。地球の同学年の者たちが、地球語、宇宙共通語、地球史、科学などを同じ時間に解くのである。この嬉しさのお陰で彼は、いつもより早く起き、勉強に取り掛かった。「えっと、ダンバイというのが、宇宙共通語のさようならの意味なんだよな」などと、ぶつぶつ言いながら、彼は、朝飯まで勉学に励んだ。9時に、ルナ達と日本橋で待ち合わせの約束をしている。試験開始は、11時。場所は、新宿新都市ホテルガナンデル。モンガ—はまだ、ぐったりと寝ている。高齢な2人も寝ていた。エモンは、客もいないような暗く、ひっそりとしたロビーを越え、独り車庫のかぎを開け、エアカ—を取り出し、溜池山王の、我が家を出発する。隣のギャラクシーホテルの娘ルナも、エアカ—を取り出し、出発した。旧桜田門辺りにあるホテルオリオンのリゲルも、日本橋に向かった。旧三越前に到着した3人は、すぐに、新宿に向かう。リゲルがエモンに話し始めた。「エモン。お前、将来の夢欄に何を書くつもりなんだ?」エモンは、笑った顔になり「実は、まだ考えてないのさ。ハハハ」「やはり、つぶれ屋の跡取りは馬鹿だな」リゲルが罵って笑う。「なんだとー」と言っている間に旧四ツ谷駅前を通過し、
旧御苑の辺りに来ていただろうか。ルナが「旧都庁前駅辺りのホテルよ。あれがそうだわ」と指をさした。エモンは、またしても驚いた。
ギャラクシーより高くて大きい・・・。ホテルに到着した彼らは、エアカ—を置いた。政府の者の係員に、受験番号などが書いた手紙を渡すと、係員は「大講堂に行ってほしい。同年代の人たちがいるから」と言い、テレポート機で、大講堂に着く。舞台には、校長が話すときのようなあの机が置かれている。しばらくすると、女のアナウンスの声が聞こえ、髭を生やして、スーツにネクタイ姿の男が現れた。「みなさん。今日は、お受けくださりありがとうございます。これを合格しないと、あなたたちは、成人になることが許されません。では、地球連邦共和国大統領並びに日本州知事であられる日生様より、ご挨拶をいただきます。
日生様、お願いします」3人はびっくりした。あの、大統領の日生明生が来るとは思いもよらなかったためだ。日生は、口を開いた。「諸君達、20歳おめでとう」とはじまり、3人は、耳に入れないまま、ボーッとしていた。「それでは、試験の方始めたいと思いますので、係員の誘導に従い行動してください」長々とした開会式が終わり、皆、着席する。ここからの予定は、地球史、宇宙史、天文学、科学、化学、技術、地球語、宇宙共通語、写真撮影など、沢山しなければならないのである。彼らは、パソナリーという記憶装置をはめ、復習をする。彼らは今、大人になれるという期待も背負い、不安も感じ試験会場に行ったのだ。試験会場の扉が開く。エモン達は、下に画面があるコンピュータ—がある机に座らせられる。この画面に、問題が出るという仕組みなのである。監査官の説明が終わり、試験がスタートした。部屋が静かになった。皆、真剣そのものであった。これが1時間続き、10分間の休憩をはさみ、沢山の教科の問題があった成人テストも終わりになった。問題を解いた装置から紙が出てきて、『10日後にテレビ電話にて、共和国の担当者が御報告いたします。』と書かれてあった。3人とも、その結果が楽しみになり、帰りはとても明るいものとなった。「それにしても、沢山問題と、教科があって大変だったわね。お陰でもうくたくたよ」ルナが、眠たそうな顔をして、エアカ—にまたがりながら言う。
「そうだね。だけど、2週間後が楽しみになってきたよ」エモンが、笑顔を浮かびながら言う。「ねえ、リゲル君はどうだったのかしら」
ルナがきくと、リゲルは苦笑いをして、「うん。良かったと思うよ」とだけ言った。リゲルは、なぜだか震えていた。「じゃあ、2週間後に、合格パーティーを開いて、3人で乾杯しようぜ」エモンが、楽しそうに言う。「いいわね。それがいいわね。ね、リゲル君」リゲルは、自分が呼ばれていたのを気づいてなかったようで「うん。ああ」とだけ答えた。旧桜田門の近くになり、リゲルは、スピードをさげ「じゃあな」と言い、一人で帰った。エモンとルナは、意気揚々として、2人とも家に帰った。「お帰りなさいませ。坊っちゃん」メイドロボットのオナベが、挨拶をする。「うん、ただいま。それはそうと、パパとママはいないかい?」オナベは2人を呼び出した。「エモン。テストはどうだったか?いい点数が取れそうか?」20エモンが笑いながら話す。「もちろんだよ。僕は、本番に強いタイプかもしれないよ」ロビーにいた者たちは笑った。夕日が建物に赤く染まっていた。
- Re: 21エモン〜エモンの夢は〜 ( No.5 )
- 日時: 2011/01/25 23:54
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第4話 同年代の結果
2週間がたとうとしている。同年代の者にとっては、緊張感と楽しみを持っている持っていることであろう。エモンも、よく眠れなかった。エモンは、明日、結果が伝えられるので、それを待ち遠しく思っていたのだろう。いつもの部屋をうろうろとしていた。下のエントランスでは、オナベと20エモンと母が話していた。「ご主人様。坊っちゃんは、結果大丈夫でしょうか?」「たぶん、エモンは大丈夫だろうが、あいつは、嘘をつくことがあるから信用ならん」「そうね。あ、あなた、お客様よ。そして、団体様よ」ママが、嬉しそうに20エモンに話す。「いらっしゃいませ。つづれ屋へようこそ」20エモンが、笑顔で客を迎える。客の部屋わりを終えてから20エモンは、嬉しそうに話し始めた。「最近、我がつづれ屋も、いつも、満員となってきた。昔は、モンガ—に頼まなくてはいけない苦痛な時もあったが、それが、なんと今、隣のギャラクシーをも追いこす貯まり具合だ。これで、わしらも、金持ちの仲間入りだな」「だけど、私たちは、成金者よ」ママが笑って言う。3人は、誰もいないロビーで笑った。ーこれはおかしい。最近悪い事が減って、いい事が増えてきている。こんな時は、いつか危うい時が来る。来ないとすれば、明日ぐらいにこのホテルに好都合ではないことが起こるかもしれない。もしかしたら、エモンに・・・。20エモンは、1人震えだした。
エモンは、また眠れなかった。だが、元気があった。今日は、発表の日なんだ。エモンは、パジャマからいつもの服装に着替え、下に降りてきた。朝日が輝いている。エントランスには、20エモンが、1人掃除していた。「お、エモン。今日はやる気が出てるじゃないか。あの、発表が楽しみなのか?」20エモンが笑顔で聞いてくる。「もちろん。それもあるよ。そして、今日は、つづれ屋に役に立つことがしたくて、早く起きたんだ。今から、宇宙港に客を呼びに行くよ」エモンは、笑って答える。20エモンは、目から涙があふれ、「エモン。お前は、このホテルを継いでくれるだな。俺は、お前と言う子の父になってよかった。ありがとう。これで、冥土の土産に持っていけるよ」20エモンは、エモンを抱き、泣いた。エモンは、うかない感じだった。ぼくは、そんな気はないのに・・・。「エモン。ご飯が出来上がっているから、食べてから行きなさい」ママが、自分たちの食堂から声を出している。エモンは、「はーい」と答えた後、朝食を食べ終え、「モンガ—。モンガ—」と呼び出し、隣の倉庫からエアカ—を取り出し、2人で、羽田空港があった宇宙港に向かう。ここで、客集めを行う。沢山の星から、ロケットがやってくる。沢山の人々がやってくる。エモンは、得意な客引きで、沢山の客をエアーバスに乗せ、エモンが、運転する。これは、20エモンの時ではなかったやり方である。つづれ屋につくと、客は皆喜び、モンガ—も、オナベも、ママも、20エモンも喜んでくれた。エモンは、この姿が見たかったのだろう。さて、今日も満室になったつづれ屋は、賑わい、活気にあふれていた。みんな、活気にあふれていた。エモンが、皆からほめられている途中に、エモンの携帯が鳴る。「はい、もしもし」「エモンか?俺だよ。リゲルだよ。俺、成人になることが実現したぜ。実は、自信がなかったのだけど、ぎりぎりの点数なんだろうな。とても、嬉しいぜ!」リゲルは、とてもうれしそうな口調で言う。成人になれば、親から離れ、好きな仕事に専念できるからである。「だから、俺とお前とルナちゃんを誘って、ホテルギャラクシーの100階で、合格パーティーを開くことにしたんだ。お前も来るか?」
「もちろんだよ。行く。行かせてもらう」「じゃあ、8時に集合な」
電話が切れた。エモンは、行かなければならないと思い、スーツにネクタイ姿で、親に行くことを伝えると、行くことを許したので、エモンは、手ぶらで隣のホテルギャラクシーに向かった。ギャラクシーの玄関には、社長・ルナが直々に迎えに来てくれていた。2人は、超高速エレベーターで100階のレストランに向かい、ワインなどを飲む。ここからの眺めは格別であった。「エモンくん。私も、成人入りしたのよ。合格したのよ。エモンくんは、まだなの?」エモンは、少し緊張しながら「うん。まだ、テレビ電話にきてないんだ」「そう。だけど、楽しみね」−駄目だ。駄目だ。緊張してしまっている・・・。パーティーは、2時間して終了し、エモンが家に帰ると、ゴンスケ以外、溜息をついている。−もしかして、僕、成人入り出来なかったって事?・・・。そう、思っていると、20エモンがエモンに向かって、拍手をしながら、「おめでとう。成人入り確定だよ」と、うかない表情で言った。みんな、泣いている。20エモンは、そして、怒った顔になり、「お前は。この、親不孝者が」と言い、力いっぱい殴った。エモンは、分からないままボーとしている。「お前は、将来の夢のところに、宇宙探検家と書きやがって。お陰で、俺は元気をなくした。みんな、お前のせいで」
そして、語気をまた、強く話し、「創業453年のこの老舗を。徳川時代からあるこの、伝統ある旅館を。お前は、見捨てたんだ」エモンも言う。「これが、昔からの夢だって言ってたろう。僕は、自分のことは何でもやりとおす。それが、あなたから似たところなんだ。一番。あなたは、なにも僕を気付いてくれやしなかった。昔からそうさ。僕は僕の道で行くよ」20エモンは、もっと語気を強くして言い、「うるさい。もう、お前とは、絶縁する。もう、ここに、戻ってくるんじゃないぞ。分かったな」「ああ、こんなぼろホテルから出て行ってやるよ。ここに生まれて、本当に不遇だったよ」そう言って、ロビーから姿を消した。20エモンは、泣き崩れ、皆も泣き崩れた。夜が、もう明けようとしていた。
- Re: 21エモン〜エモンの夢は〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/01/30 08:44
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第5話 エモンの慰め
エモンは、独りむなしく自分の部屋にいた。もう、あの事があってから、エモンを気遣う人はいなくなった。何でも聞いてくれていたモンガ—も、エモンとは一緒にいたくないと言い出し、20エモンなどのそばで寝るようになった。つづれ屋は、家庭内別居状態にあった。エモンは、ずっとベットに転がり、天井を見続けていた。そして、涙を流すのであった。後悔していた。謝りたい。だが、あいつらの顔を見たくない・・・。エモンは、どこかに出て行く時、裏口を使うようになった。
誰とも話したくない・・・。エモンは、一人散歩をするのが日課になってしまった。それ以外は、ずっと、部屋に籠ってばかりだった。エモンは、この頃から、死にたいと思うようになった。何度も自殺を考えた。青木ケ原〔富士の樹海〕に行って死のうとも考えた。だが、ある時、彼は目覚めたのである。
それは、ある日の夜のことであった。いつもの様に、ベットで転がっていると、外から、ハーモニカの哀しい音がする。それが、エモンの部屋の近くで鳴っているようなのだ。今の考えの自分なのか?その考えが、身体のどこかから音がしているのか・・・?気になって外を見てみると、マントをつけ、ヘルメットのようなものをつけている男子が、東京の夜景を見ながら、独り、ハーモニカを吹いていたのだ。エモンは、この子を可哀想に思い、自分の部屋に連れてきた。よくこの子は冬なのに、こんな薄い長そでと半ズボンでよくいるものだ・・・。彼は、そう思い、「君、外にずっといたんだろ。この、ストーブで体を温めな。そうすれば、温かくなるのだから」男の子は、うなずき、ストーブに体を当てた。ーだけど、この子、服に何かをつけている。なんか、目みたいなものが。そして、ヘルメットのようなもので、顔を隠している。なぜだろう・・・?彼は、気になり、ストーブにあたっている彼を見た。
年齢は、11歳頃だろうな。小学生だなと、一人で勝手に想像していた。「ありがとうございました。お陰で、温かくなることができました。では、失礼します」「ちょっと待って」エモンは、その子を止めた。「君は、なぜ顔を隠しているのかね。何か事情があるのかい?」その子は言った。「ぼくは、困っている人を助けている者なのです。訳あってこのような姿ですが、その訳は伝えられません。これは、私たち、仲間しか知ってはいけないことなのです」「ふーん。そうなのか。犯人などにその正体を見せたらいけないという事なんだね」「はい。そうなんです。それはそうと、あなたは悩みがありそうですね。僕のようなものでよければ聞いてあげますが・・・」エモンは、驚いた。この子は、なぜ、悩みを持っていることを分かったのだろう・・・?エモンは言う。「実は、君の言った通り悩みがあるんだ。ここは、ホテルつづれ屋という江戸時代からある古い旅館なんだけど、その、家督を譲れと父からよく言われたんだ。昔から。だけど、僕は、宇宙探検家になりたいんだ。これを、成人テストの答案用紙に書いて、2週間前に成人になることができたんだ。だけど、それを、政府の人が言ってしまったんだ。父は、怒ってね、僕と絶縁すると言ったんだ。そこから、ずっと僕は、家庭内別居中であるわけ。で、君にアドバイスがほしいんだ」「どのような事でしょう」彼は、熱中して聞いているようだ。「僕は、みんなと仲良くなりたいんだ。だけど、親にはもう、逢いたくないんだ。だから、君に頼みたいんだ。どうやったら、仲良くできるかな?」
男の子は少し迷い、こう言った。「ぼくは、こう思います。あなたは、たぶんすねてますね。21エモンさん」エモンは驚いた。なぜ、こいつは俺の名前を知っているんだ・・・。「僕は、自分で謝るべきだと思いますよ。親の方に。そして、国に申し出て、夢を破棄し、ホテルを継ぐのです。そうすれば、こんな家庭内別居状態には、もうならないでしょうし、親も許してくれると思いますよ。これが、僕の意見です。ですが、沢山の人々の意見も必要だと思いますので、これで、呼びたいと思います」彼は、無線のようなものに手をかけ、声を機械の方にかけ始めた。すると、沢山の人々が来た。全員、少年である。少年たちは、彼と同じ考えを言った。そこには、昔見たことのあるメンバーがたくさんいた。木手英一、高畑、空夫,並平 凡
なども、ここにいたであろう。すると、後ろから、強大な体をした人物が現れた。「エモンさんですよね。私は、この者の担当者です」その人物は、マスクをかぶっている彼に指をさす。
「私も、この少年たちの意見に賛成です。あなたは、後ろ向きな生き方をして今日まで生きておられた。ですが、もう、それは辞めた方がいいでしょう。前向きに生きるのです。前向きにいければ、なんでもいい事があるのです。一号。今日は、私が許す。顔を見せてあげろ。この方に」彼は、マスクを取る。エモンは、驚いた。マスクをつけた顔と全然違い、そして、見たことのある男子だったのである。「君は・・・」「そう。ご存知の通り、この者は、本名を須和みつ夫と言います。この者は、私に会うまでは、後ろ向きな性格でした。ですが今、彼は、前向きに生きているのです。前向きに生きていれば、自信もつき、なんでも、したがるようになると思うのです」
「おじさん。そういうことだよ。ぼくは、あなたを見たとき思ったんだ。前向きな心があるとね。おじさんは、悩まなくていい。何をしてもいいんだよ。だけど、最初は、親に謝るべきだね」みつ夫は、笑顔を見せ、エモンに言う。「ありがとう。みなさん。こんな、僕を助けてくれて。私、生きることに活気が沸いてきました。自信がつきました。私、宇宙探検家の夢をまた、考え直したいと思います。みんなのお陰で助かりました。みつ夫くん。君もぼくのようにならないようにするんだよ」
「もちろんだよ。エモンさん。肝に銘じてここで言うよ」
「みんなもだよ」少年たちは、「はい」と元気よく声を上げた。僕を思ってくれる人がいたんだ・・・。そう思ったエモンは、これからよい道を行くであろう。誰もがそう思った夜であった。
- Re: 21エモン〜エモンの夢は〜 ( No.7 )
- 日時: 2011/01/27 06:32
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
このコーナーでは、感想も書けますので、お気づきな事などがあれば、このページに、出してください。
この掲示板は過去ログ化されています。