二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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銀魂 全てがゼロにもどるとき
日時: 2011/02/28 21:09
名前: 究極の菜食主義者 (ID: 5VUvCs/q)

 銀魂(空知英秋様 原作)の二次創作小説を書かせていただく者です。
 荒らしや暴言、他の読者様に対する侮辱はご遠慮ください。
 コメントやアドバイス、大歓迎です。

 
 
 

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Re: 銀魂 全てがゼロにもどるとき ( No.2 )
日時: 2011/02/28 21:41
名前: 究極の菜食主義者 (ID: 5VUvCs/q)

 その夜、江戸には大雨が降っていた。
 絶えることなく、途切れることなく——灰色の雲から雨粒が降り注ぐいでいる。

 そんな夜——スナック『お登勢』の二階に位置する『万事屋銀ちゃん』には——、

 坂田銀時。
 志村新八。
 神楽。

 三人の従業員が、だらだらと過ごす風景があった。
 銀時は、鼻をほじりつつ、寝転がって『ジャンプ』を読みながら、

「うおーい、新八」
「……何ですか」

 気だるげな声で話しかけた銀時に、鬱陶しそうな新八の返事。
 食事の片付けをしている。

「ジャンプ捨ててくんの忘れた。捨ててきてくんね?」
「自分で行ってください。ぐうたらしすぎですよ」
「んじゃ、神楽」
「私、そんな安い女じゃないアル。酢昆布三個くれるならいいアルよ」
「多いのか少ないのかわかんねー量だな、オイ」

 たった五行の会話にも個性が出ている。

 銀時は、言いあいのあと、「しゃーねえ」と、立ち上がった。
 足取りは重い。

 銀時は、玄関にまとめてある『ジャンプ』数冊をつかみ、かんかんと硬い音の響く階段を下りていった。戸を開けっ放しにしていると、雨の音が一層、強く聞こえる。

 片付けを終えた新八は、ソファに座ってテレビを見ていた。
 三分ほど経ってから、新八は玄関をちらりと一瞥した。

「ん? 銀さん遅くない?」
「ジャンプの読みすぎで、七つの玉探しに行ったアルか?」
「大人の事情が絡むようなこと言わないでよ……」

 と、新八はツっこみ、階段を下りていった。

 そして、ゴミ捨て場に、傘を持ったまま呆然とする銀時の姿を見つけた。新八は「銀さん?」と、銀時の顔を覗き込む。
 その目は、驚愕に見開かれていた。

「……おい、アレ」
「え?」

 銀時と新八の視線の先には——人がいた。

 身体中が、血まみれで傷だらけ。
 雨に濡れた黒髪に、荒い息遣い。
 紅く染まった着物を身に纏い、がくりと項垂れている。
 俯いた目は、閉じられていて——気絶しているか、あるいは——、


 死んでいるのか。


 江戸には、一層強く雨が降り注いだ。

  

Re: 銀魂 全てがゼロにもどるとき ( No.3 )
日時: 2011/02/28 22:01
名前: 翼 (ID: OQn8VdX9)
参照: うぅ・・・

 あー続きが気になります。
頑張ってください!

Re: 銀魂 全てがゼロにもどるとき ( No.4 )
日時: 2011/02/28 22:06
名前: 如月葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
参照: 真実に向かってひた走れ


こんにちは。お初お目にかかります。
如月葵きさらぎあおいと申します。
主人公がツボですね。かーわい!((
期待してます*
更新頑張ってください.
     

Re: 銀魂 全てがゼロにもどるとき ( No.5 )
日時: 2011/03/01 17:27
名前: 究極の菜食主義者 (ID: YohzdPX5)

>翼さん

 続き、気になりますか?
 ありがとうございます。
 頑張りますね!

>如月葵さん

 初めまして。
 ありがとうございます。
 主人公ツボですか?
 ご期待に添えるよう、精一杯努力します。

Re: 銀魂 全てがゼロにもどるとき ( No.6 )
日時: 2011/03/01 18:06
名前: 究極の菜食主義者 (ID: YohzdPX5)

「……ん」

 慌ただしい足音と電子音で、僕は目を覚ました。
 一番に視界に入ったのは、真っ白い天井だった。
 どうやら、病院らしい。

「……はや? びょーいん?」

 今までのことを思い出してみる。

 仕事をしていた。
 仲間には極秘の任務を遂行していて、あの雨の夜、一気に戦闘集団に襲われた。それで……。

 それで、何とか逃げ切って、そのあと路地裏で気絶したのだ。

「あうあー……。やっちゃったよ」

 なんて呟いていると、

「目ぇ覚めたか?」

 という声が、横から聞こえてきた。
 僕は、起き上がってその声の主を確かめる。

 ふと全身に、電光石火の如く痛みが駆け抜けた。

「うずぁっ!」

 なんて不明瞭な声を上げて、僕はもう一度ベッドに倒れこんだ。
 全身がうずく。

「おいおい、安静にしてろっての」

 今度は、首だけでその人物を視認した。

 パイプ椅子に座っているのは、銀髪天然パーマの若い男だった。
 目が、死んだ魚のような色をしている。
 片方だけ着物を羽織っていて、やる気の無さが窺えた。

「……誰?」

 と、声を絞り出す。
 ずっと眠っていたようで、かすれ気味だ。

「通りすがりのブラック・ジャックだよ」
「闇医者?」
「そんなもんだ」

 と、テキトーな返事をして、銀髪(闇医者?)は、

「ところでお前、なんであんなとこ倒れてたんだ?」
「倒れ……ん? ああ……」

 途切れがちな記憶を辿り、僕は頷く。

「まあ、深夜徘徊のときに寝不足だったんだよ。こう、校舎の窓ガラスを割って回ってさあ、」
「盗んだバイクで走り出す、な。尾崎豊かよ」
「十代という名の獣の呻きが止められなかったんだ」
「……まあ、詳しいことは聞かないけどよ」

 呆れたように、銀髪はかぶりを振った。
 そして、

「まあ、困りごとがあったらここ来いや」
「ここ? どこ?」
「待てや、これだよ」

 銀髪は、懐から一枚の紙を取り出した。
 僕は、傷が疼かないように、そっとそれを受け取る。
 よく見ると、シンプルな名刺だった。

「万事屋……坂田銀時」

 と、僕は書いてあることを読み上げた。
 坂田銀時と名乗る男は「おうよ」と頷く。

「ある程度のことは請け負うからよ。恋愛相談以外だったらここに来い」
「にゃは、面白いことを言うんだね。まるで頭が中二の夏だよ」
「ほっとけ。……じゃーな」

 僕は、立ち上がって病室から出て行く、坂田銀時を見送った。

「面白い男なんだね」

 ……あ、お礼言い忘れた。

 廊下に人影はない。
 傍においてある着替えにちらりと目をやる。

 雨は、すでに止んでいた。
 窓ガラスに映った僕の蘇芳色の瞳が、興味津々に輝いていた。


 


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