二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ぼかろ。中編小説「暗い森のサーカス」執筆開始
- 日時: 2011/05/29 09:33
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
曲を自分で解釈して小説書こう!!という思い付きです((
「あくゆりん」の曲。イレギュラーな玩具二人のお話
>>1ネジと歯車とプライド
またまた「あくゆりん」。そっくりだけどどこか違う少女二人の出会い、別れ。
>>2South North Story
この歌を聞くといつも何故かキーボードが濡れています。大罪人である姉を救った少年
>>3Re_birthday
牢屋の最高責任者の娘と囚人の恋のお話。あれ、ソファに水たまり((
>>4囚人
もう一つの「囚人」
>>5紙飛行機Ⅰ
>>6紙飛行機Ⅱ
「キミ」は、どこかへ行ってしまったのか。それとも・・・
>>7家出少年と迷子少女
美人親子と評判の家族が次々と殺された。その犯人は?
>>8円尾町の仕立屋
隣にいる、その女は誰?
>>9恋愛疾患
きっと、貴方と紡ぎ出す世界に「終わり」は無い。
>>10Genesis
中編小説「あの森に入れば、二度と『元の姿』に戻る事は出来ない」
>>11暗い森のサーカス
- Re: ぼかろ。 ( No.4 )
- 日時: 2011/04/13 20:08
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
囚人
ある時代、ある場所で、一人の囚人が恋をした。
だけど、それは絶対に叶わない恋。何故なら、囚人はそこから出ることは絶対にないのだから。
「セツナイ。」「セツナイ。」
嗚呼・・・・———
「自由」を奪われ、毎日、毎日、迫害を受けた。
こんな「汚い」僕と「綺麗」な君では
「サガアル。」「サガアル。」
手紙を、書いたんだ。それで紙飛行機を折って柵の向こうへ飛ばした。
二人の「壁」を越えて行けるように。
「トンデケ。」「トンデケ。」
嗚呼・・いつか自由になれるというのも、「嘘」だって・・知っていたんだ。
だけど、君さえいればそんな「嘘」も「本当」に変えられる気がした。
「僕と、こっちに来て話そうよ」
けれど、決してこの「思い」は伝わらない。
だけど君を見ている事が、明日へのささやかな「幸せ」。
幾日、幾月、あれから毎日、君からの紙飛行機が僕の
「シアワセ。」「シアワセ。」
だけども君は、突然僕に告げた。
「遠くに行くの。だから」「バイバイ。」「バイバイ。」
嗚呼・・ずっと、苦しみながら今まで生きて来たけれど、これほどまでに泣いた日は無い。
君さえいれば、どんな「運命」も「笑顔」に変えられる気がした。
名前も知らない君と出会って、「未来」が輝いた。そんな気がしたんだ。
「呼ぶ」ことも—
「追う」ことも—
「出られない」—
僕には出来ない————!
「なんだ、この紙屑の山は」
看守長の男が、僕の手紙を取った。
!!!やめろ、それは僕の大切な、大切な手紙なんだ!
ビリッ・・ビリリッ・・・
男が、手紙を破った。僕の、大事な手紙を・・破った・・・
許さない、許さない、許さない!!
ドガァッ
「!!!」
男が倒れた。良い気味だ・・。
「何をする!」
後ろにいた男が、僕の腕を押さえつけた。
それから、数日後。遂に僕の番が来た。
防護服とガスマスクを着た男が暗い部屋に僕を放り込む。
君がいなくなってしまった今、この世に未練はもうないけれど、何故だがココロが叫んでいる。
もう少しだけで良い。もう少しだけ、生きたい。
今はもう、前見たいな難しい気持ちじゃなくて・・最後に君に
「アイタイ」「アイタイ」「アイタイ」「会いたい」
君と過ごした日は、止まらることなく、戻ることなく、走馬灯のように蘇る。
一つ一つ君がくれたもの。それが、僕の生きる「糧」になっていた。
闇が渦巻いている「雑草」の、傍に咲く美しい「一輪花」。
生きて行く「世界」が違ったよ。
だけど、それでも、必死に手を伸ばしていた。
お願い、もしこれが「最後」なら、僕とあの子を話させて!
狭くて暗い、閉じたこの部屋でその声はただ、切なく響く。
胸も息も苦しい。目が痛い。涙が出る。
薄くなる視界の中で僕が見つけた物は、あの子がくれた手紙の切れはし。
あの時破かれた手紙が服にくっ付いていたのかもしれない。
「さよなら」と書かれたあの手紙。あの子からの手紙なのに、貰いたくなかった手紙。だけど、必死に手を伸ばして、動かない足を一生懸命動かして手紙をつかもうとした。
けれど、その手は虚しく空を切る。
せめて、君の名前だけでも———
知りたかった。
- Re: ぼかろ。 ( No.5 )
- 日時: 2011/04/22 20:47
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
紙飛行機Ⅰ
ある時代の、ある場所で
二人の拙い「世界」を繋ぐ、一つの「紙飛行機」のお話—
毎日、毎日、看護師さん達にばれないようにこっそり病院を抜け出してパパの仕事場で、あの子にあっていた。
名前も知らなくて、話したことが無いけれど、あの子に会うのが私の全て。
とっても綺麗な青い目と、金髪。笑顔はとっても優しくて、どうしてあの子があんなところにいるのか分からなかった。
あの子に貰った手紙を読むと心があったかくなって、頬っぺたが赤くなった。
これが、「恋」なのかな?
だけど、パパは私が病院を抜け出して、あの子に会っていた事を知っていたんだ。
ある日、パパは怖い顔で私に、
「あの子にはあってはいけない」
「どうして?」
「どうしても、だ」
どうしてもって、何?私には、全く分からない。
あなたがいるのなら、それだけで私は生きている意味がある。
光が刺さない、孤独な部屋だったけど未来は輝いていたよ——
日に日に増える、管の数に遠くなる耳。最近では看護師さんやパパの言葉も、何度も聞き返すようになっていた。
歩くのも、かなりきつくなってしまったかもね。
みんな「大丈夫」って言うけど、私にも分かってた。
もう、ここから生きて出るのは無理だって。
だけど、最後にあなたに心配だけは絶対に、かけたくないから。
足に無理に力を入れて、走る。あの子の所まで。
「さよなら」の思いを乗せて、飛んでいく紙飛行機。
ニッコリ笑って、病院へ戻るために歩き出す。
泣きたいよ、だけど、涙はもう見せられない。
「待つよ!いつまでも、待ってるよ!また、君が来る日まで、絶対に!手紙を、無くさずに大切にしていたら・・・また、会えますよね!」
あぁ、初めて聞いた、あなたの声。とっても、暖かいね。
ずっと我慢してたのに、涙が出ちゃった。
- Re: ぼかろ。 ( No.6 )
- 日時: 2011/05/02 19:00
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
紙飛行機Ⅱ
あれから、幾月。もう、体は完全に動かない・・・唯一動くのは、指と、顔。
お迎えは、もうすぐくるのかな。
あの時、最後の手紙の別れ際に強がったりしなければよかった。
だけど、もう遅すぎた。
今も、きっとどこかで笑っているあなたに
「会いたい、会いたい、会いたい—!!」
光の当たらない花はただ、枯れていくのを待つ「運命」
あなたがくれた手紙だけが、私に「光」をくれたんです。
もう、目の前が霞んで手紙も読めないよ。
「お願い、もしこれが最後なら、あの子の元へ行かせて」
そんな願いは届かずに、部屋にはただ無機質な機械音が響く。
ピ・・ピ・・ピーーー・・・
あなたがいたから、私たちは笑顔を絶やさずに生きられたのよ。
深い「闇」が二人を切り裂いて、また、闇が二人をめぐり合わせる。
「また明日・・あの場所で・・」
会いましょうね。
- Re: ぼかろ。 ( No.7 )
- 日時: 2011/05/23 18:05
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
家出少年と迷子少女
「忘れたい、事があるんだ」
ここで、あったこと。ここで、見たこと。
キミが、どこへいったのか。
「消し去りたい、ものがあるんだ」
「暗闇」に残された、一人ぼっちの
ワ タ シ を・・・・・
ある朝、突然、君が姿を消した。
少し、変わり者の君のビョーキは私には理解し難い。
「ああ、また何かしちゃったんだね」
君はいつも、イタズラがばれると隠れちゃうから・・・
私、一緒に謝ってあげるのに。
「え?アイツは———」「そうそう———」
あっという間にクラスの皆がキミの事を話し始めた。
その言葉が不快で、私は学校を飛び出した。
「嫌いに、なっちゃうよ」
って、ちょっと拗ねてみた。
勝手にいなくなるなんて・・そんなの、絶対、許さない。
—嗚呼・・・・・———
イタズラにしても、度が過ぎるよ。もう、一緒に謝ってなんてあげないから。
君を探していたら、いつのまにかどこかの高架橋の下。崩れたビルに、橋には落書き。秩序は最悪。
こんな危ない所にキミはいるの?
見つけたら、頬を叩いてやるから。「心配したんだからねバカ」って。ちょっとだけ、涙ぐんでしまうかもしれないけど。
歩きっぱなしで足が痛くなってきたけど、それでも町を歩く。
—帰らぬ人は今どうしているの?————
まるで、迷子のように。泣きそうな顔して、かっこわるいなあ。
張りつめていた、感情の糸が切れて目から涙が零れ落ちる。
あーあ、これじゃほんとに迷子みたい。キミが手を引いてくれないと・・
—無慈悲な、真実を閉ざしてしまわないと———
困るんだから。
「早くキミに、会いたい」
一日の終わり、影が伸びる。ワタシのだけ。
大好きなキミがいない日なんて、忘れたいな。じゃあ、忘れよう、忘れました。
ふと、違和感が頭の中をよぎる。
ワタシの記憶は、捏造?キミは、家出してしまったんだよね?
とっても大切な事のはずだけど、何故か思い出しちゃいけない気がする。
—「街」は過保護なくらいに、その「少女」の願いに忠実だった。
それが「少女」に幸せをもたらすかはわからなかったけれど。————
バラバラ・・と、音を立ててこぼれ落ちた「記憶」の欠片を拾い集めながら
一度、目を背けてしまった真実を・・
——帰らぬ人をどうしたいの?———
思い出したい、そう願った。
クルクルと、廻る。キミを探す迷子旅。散歩の終点はもうすぐ。
——目を背けた、無慈悲な真実を明かしたら———
本当は、もうキミは・・・
キミを探して歩いた踏切で、全ての記憶がよみがえる。
昇って行くキミの煙に、空の手を振ってキミのことを見送った。
「あの日」から、居なくなってしまったキミを探しに行って迷子になったワタシ。
「キミの元へ行きたい・・・行かせて・・・」
カタン、カタン・・・・
キミを最後に見た場所に、もう一度立った。
もう、もどることは出来ないのだけれども
——帰らぬ人は、なんと言ったの?————
これで良い、そう決めた。
フラフラと、君を探しに行って、迷子になって、かっこ悪くて。
二つの点滅が、照らされた
——無慈悲な真実に、向かって———
頬を伝う涙は、きっとキミの元へ行けるという安堵から。
キミのいない世界の方が、きっと「間違い」なんだ——
向こうでは、キミもきっと見つかるし。
ハッピーエン・・・・・?
ガタン・・ガタン・・・・ガタン・・・ガタン・・・
- Re: ぼかろ。 ( No.8 )
- 日時: 2011/05/23 19:27
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
円尾坂の仕立屋
円尾坂の片隅で、須藤加代という若い女性が仕立屋を営んでおりました。
桃色の髪をした、気立てがよく、腕も良いので近所ではなかなか評判の仕立屋でした。
だけど、そんな彼女にも悩み事が一つ、あります。
愛する旦那が、酷い浮気性なのです。
「私という妻がいながら、家に帰って来ないなんて・・」
だけど、加代は仕事を一切怠りませんでした。
加代の商売道具は今は亡き母親がくれた裁縫鋏で、研げば研ぐほど、よく切れる良い鋏でした。
翌朝、加代は買い物をするために大通りへでかけました。
「ああ、今日も平和ねえ・・」
だけど、次の瞬間、加代のささやかな幸福感は一瞬にして吹き飛びました。
「あのひと・・・・」
青い髪のあの男は、紛れもなく加代の愛する旦那です。でも、その隣には見知らぬ茶色い髪の女がいました。
赤い着物がよく似合う、美しい女性は旦那と腕を組んで仲睦まじく微笑み合っていました。
「そんな・・・」
加代は気がつくと、二人に背を向けて走っていました。
「最近帰ってこない理由はこれだったのね・・・・」
加代はしばらく泣き続けました。
だけど、仕事は頑張らなければなりません。加代は、頬を涙で濡らしながら今日も鋏を片手に着物の縫い直しに精を出します。
その翌朝、加代は着物の生地や糸を買うためにでかけました。
けれど、町にはなんだか不穏な空気が流れています。
「・・さんの奥さんが・・ですって・・」
「娘さん達も悲しむだろうに・・」
「本当ねえ・・」
何か、事件が起こったようです。
「何があったのかしら・・」
でも、加代はあまり気に止めず帰路につきました。
すると、今日もあの人がいました。
なんだか落ち込んでいるようで、加代はすぐ駆け寄ろうとしました。
だけど、先に違う女性が旦那に寄り添いました。
美しい髪の、昨日の女性より若い娘です。
(あの娘、緑の帯がとても似合うわ・・嗚呼、貴方はそんな娘が好みなのね・・・)
だけど、仕事は頑張らなければなりません。加代は、赤く眼を腫らしながら今日も帯の修繕に精をだします。
その次の昼、加代はかんざしを買いに出かけました。やはり、仕事が忙しいとはいえ女性ですから、美しくいたいと思うのものです。
加代は、町がいつもより騒がしい事に気が付きました。
「・・・は・・の・娘さんが・・たって・・」
「まあ・・・も・・を失って、・・と・・さんも悲しむわねえ」
また、事件が起こったらしいのです。
西洋の方で話題になっている「切り裂きジャック」のように、無差別に人を殺す輩が出たのでしょうか。
「あら・・・?」
かんざし屋に、またあの人がいました。昨日よりも元気が無くなっているようで、こんどこそ声をかけようと加代は早足で歩きました。
「え・・?あの娘は、だれ・・?」
蜜柑色の髪の少女が、男に黄色いかんざしを頭に挿して無邪気な笑みを浮かべています。
「確か・・あの人に妹はいなかったはずよ・・・・あの人ったら、年端もいかない女の子に手をだすなんて、本当に見境がないのね」
今度は悲しみよりも怒りがこみ上げて、加代は二人に目もくれずに帰りました。
今夜も、加代は仕事に励みます。
「あら、この鋏、こんな変な色してたかしら?」
「はあ・・ようやく、仕事も一段落したわ。貴方が会いに来てくれないのなら、私から会いにいくわ・・ほら、貴方の好きな赤い着物に、緑の帯、黄色いかんざしを髪に挿して、あなた好みの女になったのよ。」
ド ウ ? ワ タ シ キ レ イ デ シ ョ ?
今日は、街中が大騒ぎです。
「大変よ!今度は、旦那さんが殺されたんですって」
「これで、家族四人全員殺されちゃったのよ・・」
「美人家族って、評判だったのにねぇ・・」
町は、この話題で持ちきりでした。家族全員が殺されてしまったのですから、次はどこの家族か・・なんて、不吉な予想をし始める人も出ています。
「それにしても、酷い人ねえ。『初めまして、こんにちは』だなんて。
まるで他人みたいじゃない。まるで・・他人みたいじゃあない・・でも、仕事は頑張らなきゃね。鋏、こんなに真っ赤になっちゃったけど・・・錆びたりしてない限り、使えるわよね」
さあ・・仕立てを、始めなくっちゃ
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