二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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見守っているのではなく操っているのです —フェアリーテイル—
日時: 2012/02/11 17:23
名前: 優雨 ◆uS9UIQYdCY (ID: iUqSgUfr)

「不慮の事故で車に轢かれて神様に謝られてお詫びに好きな漫画の世界に行かせてもらう」

どこにでもある二次創作小説のトリップと呼ばれるジャンルの設定である。
もうすでにすっかり浸透してしまっているので、今では大抵のトリップ小説がこうなってしまっている。
さて。
ところで、私の手の中には携帯電話がある。
何処にでもある単なる電話だ。他の携帯と比べて特殊な機能などない、キノコがマスコットキャラな某会社の機種だ。
強いて言うなら、「連絡を取るときにこれを使わない事の方が多い」というのが他の人と違うところだろうか。
その携帯に、一通のメールが来た。

つまり、メールは一日に十通くらい来るが、その中で異色を放つメールだった、ということだ。

内容が変だった。

「 ★ 君川 雛美様 ★

 貴方は当会社「ゴッドチャリティー」に於いて栄えあるモニター選別を通過されました

 ひいては、我が社の活動の協力をお願いしたい所存です

 都合がよろしければ、明日の正午に「公園」に来ていただきたく存じます

 それでは、ご来訪を心よりお待ちしております」

…とりあえず、つっこみどころ満載である。

まあ迷惑メールフォルダに入ることなくこっちに来たのは褒めてもいいが、「ゴッドチャリティー」って。
神の慈善活動かなんかですか?中二臭が鼻を突くのでやめて。
モニター選別通過って、私そんなのに応募さえしてないのに通過って。
活動協力ておかしくね?どこの宗教に入れるつもりですか。
何処の公園かもわかんねーのに行けるか。バカですか?

なんて言う考えを押し殺す。

何だか面白そうだ。行ってみよう。

———— この時は、未だ、思うはずもないし思っていなかった。
「神々の慈善」とは、少女の自分勝手なお願いや妄想に付き合うことだったとは。


————

Thanks!

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Re: 見守っているのではなく操っているのです —フェアリーテイル— ( No.6 )
日時: 2012/02/05 15:28
名前: 優雨 ◆uS9UIQYdCY (ID: iUqSgUfr)

こうして私は(お菓子とイケメンにつられ)『モニター』を引き受けてしまった。

ナニが待っているのか。立ちはだかる何であろうと私は負けない。
お菓子のためなら、何だってしてやる!
なんていう、ティラミスより甘い考えは即座に脱ぎ捨てなければならないことになる。

まあ、とにもかくにも。

引き受けてしまったのだから、後には下がれない,ということをはっきりと明記しておこう。

Re: 見守っているのではなく操っているのです —フェアリーテイル— ( No.7 )
日時: 2012/02/05 15:38
名前: 優雨 ◆uS9UIQYdCY (ID: iUqSgUfr)

To.美柑

初のコメントが美柑で嬉しい私←

えっとですね。正直なところ思いっきりプロローグです。フェアリーテイルの物語に欠片も入ってないよ。うん。
…さっさと書かないといけないのになー。さぼってるなー。

二次創作じゃないと進行できないプロットを作った私のミスか。
やばい、挫折したくなってきた←

ま、読者様もいることだし、がんばって進めます!

今後ともごひいきに。
                                                                      優雨

Re: 見守っているのではなく操っているのです —フェアリーテイル— ( No.8 )
日時: 2012/02/07 20:22
名前: 優雨 ◆uS9UIQYdCY (ID: iUqSgUfr)

「えっと、モニターは別の世界か何かに飛んでやったりするんですか?」
「そうなりますね。僕達は「堕神収容所」って呼んでます」
収容所って。堕神は犯罪者の扱いと変わらないんですかさいですか。
「定期的に親とか友達とかと連絡取ったり職場に行ったりしないと心配されるんですけどそれについては?」
「あ、携帯電話はその世界でも使えますよ。職場…については、ドッペルゲンガーにでも手伝わせましょう」
「さらっと妖怪使えるんですか」
「ま、時々こっちで必要な人間を置き換える為の人形ですけどね。大量生産するところ今度見せましょうか?」
「全力でお断りさせていただきます」

なんでだろうか。段々コントになってきている気がする。

「何かお笑い風味に成ってきてるのでそろそろ行きましょうか!」
彼が元気よく言う。
私はげんなりとした表情で彼を見た。
「…私にはテレポートを使う力も超次元空間への入り口を作る力もないんですが」
「心配しないでください。こっちで適当につけるんで」
やりたい放題か神の世界。まあ便利だけど。
そんなことを考えていると、不意に私の右手が輝き始めた。
いや、事実である。消して頭がおかしくなったとかじゃなく、車のライト真っ青に神々しく輝いているのだ。

…本当に頭おかしくなったんじゃないか、私?
なんて思っているとやがて右手の光は消え、代わりに人差し指に指輪がはまっていた。
どんなファンタジーだ。

「その指輪が転送装置だったり通信装置になったりするので。
 では、人差し指を二回回してから「堕神収容所へ」と念じてください」

…は?
「いやだから、二回右手の人差し指を回してから「堕神収容所へ」と念じてください」
中二臭過ぎるわ…!
恥ずかしさに体を震わせながら私は言われたとおりにして、そして世界が暗転した。

Re: 見守っているのではなく操っているのです —フェアリーテイル— ( No.9 )
日時: 2012/02/07 20:19
名前: 優雨 ◆uS9UIQYdCY (ID: iUqSgUfr)

「とある空間」

一人の少女が、上も下も判らぬただただ白が広がる空間に佇んでいた。

目は緋色に輝き、髪は漆黒に美しく染め上げられている。

着物は天女を思わせる煌びやかさだった。


その少女は、無表情だった。

一言も口を利かず、そして瞼も表情も動かさなかった。
声を出していないからなのか。それとも整った顔立ちのせいか、その姿は「畏怖」を覚えるようなものだった。
少女の口元は、やがて弧を描き言葉を吐き出した。
「つまらない。つまらないわ」

鈴の転がるような声が、反響し、美しい調べを奏でる。
その空間では、全てが意味を持った。
言葉が歌になり、存在は尊いものとなり、世界は絶対だった。

だからなのだろう。
少女はどうしようもなく、歪んだ言葉を吐き出していた。
「神様である私が、どうしてこんなにつまらない場所に閉じ込められなければならないの?どうして?私は神様でしょう?神様は退屈してはならないのでしょう?神様が遊べるように世界とは作られているはずなのに。だから少し遊んだだけなのにどうして何もない空間などに閉じ込められなければならないの?わたしは神として当然のことをしたのでしょう?苛められていた少女に仕返すことを、飢えた弱き男に肉の食べ方を、人生に絶望した者に楽しみを教えただけでしょう?何故何もない場所などに、何も私を感じない場所などに、私が何も感じない場所などに閉じ込められなければならないの!どうして!?どうしてよ!ありえないことが起こっていることにどうして誰も気付かないの!?誰か気付いてよ!ねえ!誰か!誰か!誰か気付いてよ誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か誰か————————————
気付けぇぇええええええぇええええええぇぇぇええええ!!!」

最初は声を抑えていたのだろう。半狂乱になった少女は激しく取り乱し、叫んだ。

——————その声は、響き、鳴り、また美しい調べを奏でた。

しかし其の調べは、少女にとって鬱陶しいだけの物だった。

Re: 見守っているのではなく操っているのです —フェアリーテイル— ( No.10 )
日時: 2012/02/08 23:23
名前: 優雨 ◆uS9UIQYdCY (ID: iUqSgUfr)

体を揺さぶられ、私はうっすらと目を開けた。
目の前にいるのは、あの美形男性さんだ。
「あ、おきましたか。良かったー、転送時に意識失うなんて前例なかったので吃驚しました」
さらっととんでもないことを言われ私の頭は完全に醒めた。
「は!?意識失ったんですか!?」
「ええ。人間世界に換算すると軽く三日は」
めまいがしそうだ。また意識を失ったらたまらない、あわてて其の考えを振り払う。
そして辺りを見回した。
「うわ・・・どうなってるんですか、これ」
私の周りだけは明るく、他は全て真っ黒という奇怪な状況があった。
そのなかで、やっぱり彼の周りもぼんやりと明るい。
「これですか?神の世界で言う「モザイク」ですよ。
 見られたら困るものはけしちゃえ、ってな論理です」
「それが私の周りにあふれかえってるんですね」
怖い。どうしよう、かえりたくなってきたよお母さん。
彼は苦笑して、やんわりと否定した。
「いえ…別に見せることも出来るんですけど、ちょっと書類が多すぎるので。こうしていると、書類そのものが空気と同化するので山を崩さずに済むんです」
へえ、便利だな。

しばらく談笑しながら、私達は歩いた。


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