二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【銀魂】 短編・番外編集
日時: 2012/08/17 15:41
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

銀魂の短編・番外編集です。

(泡)は「泡沫の花」、(π)は「π《パイ》」、(神)は「千紫万紅」表記なしは普通の短編です。

攘夷多め。八割の確率でオリキャラが出てくるので、「泡花」を読んでから見た方がいいと思います。


短編・番外編の例

・キャラの誕生日小説
・長編番外編
・オリキャラ過去話 etc……。

モットーは、『書きたいものを書きたいときに』!


目次

和菓子への情熱(泡) >>01 神隠し >>02

若気の至り 壱(泡・・・?) >>03 いつか書きたい話 >>04

じょうい妄想(という名のメモ)>>05

桂小太郎誕生日小説 胡蝶と青花 【壱】>>06 桂小太郎誕生日小説 胡蝶と青花【弐】 >>07

せんそう >>08

弥太郎過去編 逢魔ヶ時の愚者

壱 宵の口 >>09 弐 昼八ツ >>10

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和菓子への情熱(泡) ( No.1 )
日時: 2012/07/08 22:30
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

・銀時と紅葉
・会話文のみ


銀「紅葉、この羊羹どこで買ったんだ?すっげーうめぇんだけど。」

紅「ああ、『桜羊羹』ですか。おいしいですよねそれ。秋小屋っていう和菓子屋さんにありますよ。」

銀「マジでか、聞いたことねぇけど有名なのか?」

紅「何言ってんですかああああぁぁ!!知名度=おいしさじゃありませんよ!知られていないからこそ未知のおいしさに出会える可能性が無限に広がるんです!そこんとこ分かってますかあ!?」

銀「お、おお。何かごめん。」

紅「分かればいいんです。場所知らないなら案内しますよ?」

銀「・・・紅葉、俺達一応攘夷志士だから。」

紅「あ・・・。」

神隠し ( No.2 )
日時: 2012/07/08 22:32
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

・白夜叉と黒焔龍
・攘夷時代
・暗い

「銀、俺の煙管知らねぇか。」
攘夷戦争に参加して数か月たったある日の夜、拠点としている廃寺の廊下で、銀時は声をかけられた。
声のした方向に顔を向けると苛立った表情の高杉がこちらに近づいてくるところだった。
「煙管?知らねえけど。」
またなくしたのか、と銀時が言うと高杉はうるせえと吐き捨ててどこかへ行ってしまった。
自分から話しかけてきたくせに・・・。とか思いつつ、銀時は自室へ戻ろうと、あちこち傷んでいる廊下を歩いて行く。
と、その時煙の匂いが鼻孔を擽った。
その匂いは高杉の愛用している煙草の葉と同じもので、銀時は眉根を寄せる。
というのも、最近高杉の煙管がよく紛失するのだ。そのたびに彼はニコチン切れで苛立ち、拠点内を捜索するのだが、いつの間にか煙管は高杉の部屋に戻されている。
そんなことが頻発するので高杉は近頃、いつにもまして仏頂面なのだ。
銀時は紫煙のかすかな匂いを頼りに歩を進めていく。高杉の不機嫌でかなりの被害を受けた者としては、煙管を盗み出している犯人に色々言いたいことがある。

匂いのもとを辿っていくと、寺の庭に出た。
好き放題に伸びた雑草と手入れのされていない木々が茂るさみしい場所だ。
銀時は縁側から庭に下り立ち、ぐるりとあたりを見回す。
すると一本の木の上に一つの人影を見つけた。
木の葉の陰に隠れて顔は見えないが、自分と同じくらいの青年だということは分かった。
気配を消し、その木にゆっくりと近づく。
「銀時ィ、なんぞ用かえ?」
人影から発せられた訛りの強く残る声。聞き覚えのありすぎる口調に、銀時は人影が誰であるのかを悟った。
「辰馬?」
気の抜けた声を上げる銀時に、坂本はニコリと笑いかけた。その手には高杉の煙管が握られている。
「何?お前煙管とか吸うわけ?つーか晋助にバレたら確実殺されるぞ。」
呆れたように言う銀時を見下ろしながら、坂本はそりゃまずいのうと笑う。全くまずいと思っていないというのが丸わかりだ。
「時々吸いとうなるんじゃ。晋助と違って四六時中吹かしとかんといかん訳じゃないきに、たまに拝借しちょる。」
そう言って煙を吐き出す姿はとても絵になるのだが、周りが荒れ果てた庭であるためによく分からない空間ができあがっている。
「あのさぁ、テメェのせいで俺とヅラが八つ当たり被害受けてんだぞ?吸うんだったら許可取れや。」
「すまん、すまん。」
口先だけで謝る坂本に少々イラッときたが、もう夜も遅いし無駄な体力も使いたくない。
「ったく。煙管それ戻してさっさと部屋戻れ。俺ももう寝るから。」
「のう、銀時。」
踵を返した銀時の背中に坂本の声がかけられた。
その声にはいつもの能天気な雰囲気はなく、どこまでも『無』に近い。
「儂はおかしいんかのう。」
「・・・ハ?」
突然の問いかけに銀時は思わず振り返る。その時見た坂本の顔には、声と同じく何も浮かんでいなかった。
「こんな戦場ばしょで情ば持っちょる儂はおかしいんじゃろうか。」
銀時は目を見開く。いつも笑いながら皆を励ましている彼が弱音を吐いている。
「敵でさえも哀れに思う儂はおかしいんか?」
銀時は答えに詰まってしまった。
坂本の感情は決しておかしいものではない。むしろ人として当たり前のものだ。
だがそれを持ち続けるのは戦場において命取り。この場所では持っていてはならない。
それでも銀時は、坂本にそれを捨ててほしくなかった。情を捨てれば人でなくなる。
情を持たぬ鬼は自分ひとりで十分だと銀時は思っていた。
鬼になってほしくない。でも死んでほしくもない。
二つの感情がないまぜになる中、銀時は口を開いた。
「辰馬。・・・情は捨てろ。」
たとえ鬼になったとしても死んでほしくない。
そんな気持ちが勝った瞬間だった。
坂本はその言葉を聞くと、そうかと言って力なく微笑む。その表情を見ていられなくなって、銀時は下を向いた。
「・・・さて、儂も戻るかの。おんしも風邪ひかん内に、はよう入りよ。」
坂本は気から降りると、銀時の横を通り過ぎて庭を横切り、寺の中へと入っていった。
一人だけとなった銀時はしばらくして顔を上げ、雲に覆われた空を見た。
星も月も見えない暗闇に白がたたずむ。
———嗚呼、
空を見上げた赤い瞳が白い瞼の下に隠れた。
———また一人、人が消えた。
           
(それはまるで神隠しのように)
(誰にも気づかれることなく進む侵食。)


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