二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
日時: 2011/07/29 00:16
名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252

はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。

登場人物
>>28

プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218 
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234

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Re: 137章 晴天の太陽光線 ( No.297 )
日時: 2011/07/14 23:28
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「ゴルーグ、空を飛ぶ!」
ゴルーグは猛進するズルズキンの攻撃をかわすべく、空を飛ぼうとする。
「ズルズキン、ゴルーグが飛び立つ前に飛びつけ!」
ゴルーグは飛行する前にエネルギーを変換する。その変換に時間がかかるのか、すぐに飛び立つ事は出来ない。
「今だ、跳べ、ズルズキン!」
ズルズキンはゴルーグにある程度接近すると、突撃するかのような勢いで跳躍する。
結果、頭をゴルーグの胴体にぶつけたが、ゴルーグにしがみつく事が出来た。
「ズルズキン、噛み砕く!」
ズルズキンはゴルーグの巨木のような太い胴体に、鋭い歯で噛み付く。
「ゴルーグ、引き剥がしてください!」
ゴルーグはこれまた大きな手でズルズキンを引き剥がそうとするが、ズルズキンはなかなか離れない。
「炎のパンチ!」
しかもズルズキンは何度も何度もゴルーグの胴体に攻撃をする。
「噛み砕く!」
そしてまた噛み砕くを繰り出す。ズルズキンの歯はゴルーグの胸に付いている止め具のような物を引き剥がす勢いで——というか、引き剥がしてしまった。
「ゴルーグ!?」
するとゴルーグは力が制御出来なくなったのか、胸の亀裂からエネルギーを垂れ流しながら叫び、暴れる。
「ズルズキン、振り落とされるな!」
ズルズキンは暴れまわるゴルーグに必死にしがみつき、振り落とされないようにする。
「なかなか止まらないな……しょうがない。ここは1発入れて治めるか。ズルズキン、胸の亀裂に炎のパンチだ!」
ズルズキンは片手でゴルーグにしがみつき、もう片方の手は拳を握り、炎を灯して胸の亀裂にその拳を叩き込む。
するとゴルーグはプシュウとエネルギーが切れたみたいな音がして、落下する。
「ゴルーグ!」
ゴルーグは目を回している……ように見えるが、実際よく分からない。しかしピクリとも動かないので、戦闘不能だろう。
「戻ってください、ゴルーグ」
シキミはゴルーグをボールに戻す。これでシキミの手持ちはあと1体、もうすぐである。
「ぞれでは行きます。頼みましたよ、シャンデラ!」
シキミの最後のポケモンは、誘いポケモンのシャンデラ。黒いシャンデリアのような姿のポケモンで、頂頭部や腕に青紫色の炎を灯しているポケモンだ。
「シャンデラはゴーストタイプ。だったらタイプ的にはあくタイプを持つズルズキンの方が有利。ズルズキン、噛み砕くだ!」
ズルズキンは歯をガチガチと鳴らしながら、シャンデラに向かって走り出す。
「シャンデラ、日本晴れ!」
対するシャンデラ意外にもズルズキンを迎撃するようなことはせず、暗い塔内を晴天の日のように明るくしただけだった。
「何考えてるのかは知らないけど、とりあえず攻撃だ。行け、ズルズキン!」
ズルズキンはシャンデラに接近すると跳躍し、シャンデラを噛み砕こうとする。
「シャンデラ、大文字!」
シャンデラはそんなズルズキンに対し、大の字の巨大な炎を放ち、迎撃する。
「ズルズキン!」
ズルズキンはその場に倒れ込む。そしてその体は酷い火傷を負っている。
「くっ。戻れズルズキン」
イリスは戦闘不能となったズルズキンをボールに戻す。これでイリスの手持ちも残り1体だ。
「でも相手は炎タイプも持つシャンデラ。最後の残ったのがこいつで本当に良かったよ。頼むぞ、ダイケンキ!」
イリスの最後のポケモンは、水タイプのダイケンキだ。シャンデラとはタイプ的に相性が良い。
「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは大きく息を吸い、口から超高圧の水流を発射する。
「シャンデラ、大文字!」
シャンデラも大の字の巨大な炎を放ち、ハイドロポンプに対抗する。
普通に考えれば水タイプのハイドロポンプが炎タイプの大文字に勝ると思うが、この時はそうではなかった。大文字がハイドロポンプを押し切り、ダイケンキを襲ったのだ。
「ぐぅ。大丈夫か。ダイケンキ」
ダイケンキはイリスの言葉に対し、首肯する。
シャンデラの大文字がダイケンキのハイドロポンプに勝った理由。それは、ダイケンキの特攻よりもシャンデラの特攻の方が圧倒的に高かったから……ではない。確かにシャンデラの特攻はずば抜けているが、ダイケンキだって相当高い。それにタイプ相性が絡めば、必然的に勝つのはダイケンキのハイドロポンプだ。なら、何故シャンデラの大文字が勝ったのか。それは、もう1つシャンデラに有利な要因があるからである。
「! 日本晴れか……!」
その通り、日本晴れである。日本晴れは一時的に一定範囲内の天気を『日差しが強い』状態にする技。『日差しが強い』時は、水タイプの技の威力が半減し、逆に炎タイプの技の威力は上がる。それらの要因もあり、シャンデラの炎はダイケンキの水に勝ったのだ。
「どんどん行きますよ。シャンデラ、シャドーボール!」
シャンデラは影で生成した黒い球を6個、ダイケンキに向かって発射する。
「シェルブレードで切り裂け!」
ダイケンキは襲い来る影の球を、水のエネルギーを纏わせた角で切り裂くが、威力が半減しているので全てを切り裂き切る事は出来なかった。
「それでは、そろそろですね。シャンデラ、ソーラービーム!」
シャンデラは顔の目の前に光のエネルギーを溜め、それを光線にしてダイケンキに発射する。
「な、ダイケンキ、避けろ!」
イリスは慌ててダイケンキに指示を出すが、ソーラービームは思いの他速く、ダイケンキが回避行動を起こす前に直撃していた。
「ダイケンキ!」
ダイケンキは大きく吹き飛ばされる。なんとか持ち堪えて戦闘不能ではないようだが、それでもかなりのダメージを負っている。
「ふふ。もうすぐ、アタシたちの最終章が始まります……」
シキミは不気味に丸眼鏡を光らせ、怪しく微笑むのだった。



今回はイリスVSシキミ、パート5です。シャンデラって強いですよね。特攻がめちゃくちゃ高いですし。もうちょっとでレシラム級ですよ。では次回はイリスVSシキミ、パート6、ついに決着です。お楽しみに。

Re: 138章 Great ( No.298 )
日時: 2011/07/16 00:30
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「シャンデラ、ソーラービーム!」
シャンデラは太陽の光を集め、それを光線として発射する。
「ダイケンキ、吹雪だ!」
ダイケンキはその光線を、猛烈な吹雪を放って相殺する。
「溜めなしのソーラービームは流石にきついな……」
ソーラービームは威力も命中率も申し分ないが、光を吸収する溜めが必要なのが弱点だ。そうやって突っ立っているうちに相手に攻撃されるのが関の山、なのでそれ単体で使うポケモンは少ない。しかしソーラービームは日本晴れによる『日差しが強い』状態だとその溜めをなくすことが出来る。
「ソーラービーム!」
シャンデラは連続でソーラービームを発射する。流石にここまで連射されると、ダイケンキでは避ける事も相殺する事も出来ずに何発か喰らってしまう。
「やられてばっかいられないな……ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは口から超高圧の水流を発射する。
「シャンデラ、大文字!」
シャンデラはそのハイドロポンプを、大の字の巨大な炎で消し去ってしまう。
「だったらシェルブレードだ!」
ダイケンキは角と前足に仕込まれているアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、シャンデラに斬り掛かる。
「シャンデラ、避けて」
シャンデラは刀を振るって突っ込んで来たダイケンキの頭上に回るようにシェルブレードを回避する。
「まだだ。メガホーン!」
ダイケンキは素早く角を真上に向かって突き出すが、シャンデラはゆらゆらと揺れるような動きでその攻撃もかわす。
「威力が低い上に当たらない。かなり厄介だな……!」
シャンデラは日本晴れでダイケンキを弱体化し、さらにゴーストタイプ特有の不規則な動きで攻撃をかわす。この戦いもまた、チェレンのジャローダや先のデスカーンと通じる所があるという事だ。
「せめて日本晴れさえなければ……」
そう言ってイリスはふと視線を上げる。
「……何だ、あれ? 太陽?」
イリスの視線の先は塔の天井付近。そこには小型の燃え盛る球体が浮いていた。
「そうか。あれが日本晴れの正体か」
イリスはこの塔内を晴天にするなんてどうやっているのだろうと思っていたが、こういう事だったようだ。
「……まてよ、だったら……」
イリス打開策を閃いた。しかし、成功するかどうかは分からない。正直、かなり分の悪い賭けだ。
「……いや、大丈夫だ。僕らはその分の悪い賭けを何回もして、その度に成功してきたじゃないか」
イリスは覚悟を決める。ダイケンキもそれを読み取ったのか、顔を上げ、さらなる気迫を放つ。
「よし、行くぞ、ダイケンキ。水は放つんじゃない、撃ち出すんだ」
イリスは一呼吸おいて、ダイケンキに指示を出す。

「ダイケンキ、ハイドロカノン!」

ダイケンキは体内の水を凝縮させ、大きな塊とする。そして口を銃身に見立て、その水の塊を弾丸のように、発射する。
水の弾丸はまっすぐ太陽に向かって行き、そのスピードもさながら銃弾のようだ。
「シャンデラ、太陽が破壊されるよりも速くソーラービームです!」
流石のシキミでも太陽が壊されると困るらしく、速攻でダイケンキを倒すべくシャンデラにソーラービームを指示するが、時既に遅かった。
水の弾丸は太陽に直撃し、破壊した。その際に炎と水が混じり合い、膨大な蒸気も発生する。
ハイドロカノンは攻撃後に反動で動けなくなるが、シャンデラは今、ソーラービーム発射のために光を溜めている。日差しがないために溜めるのに時間が掛かり、その隙に反動から立ち直り、シャンデラに接近する。
「ダイケンキ、もう1発ハイドロカノン!」
ダイケンキはシャンデラの正面まで来ると、巨大な水の弾丸を、至近距離からシャンデラにぶっ放した。
「シャンデラ!」
炎タイプのシャンデラが、間近でハイドロカノンなんて大技を喰らって耐えられるはずもなく、炎を消えるように倒れ、戦闘不能となった。



「ごごご、ごめんなさい!まずポケモンたちに謝らないと……。アタシのせいで辛い思いさせちゃって、本当にごめんね!」
シキミはバトルが終わるなり、ボールに向かってペコペコと頭を下げ始めた。あんまりやるので、丸眼鏡が落ちそうになる。
「えっと……」
イリスは反応に困る。謝るべきかどうか、でも別に悪い事してるわけじゃないし、でも……と頭の中で考えていると、謝り終わったのか、シキミが近寄って来る。
「大丈夫ですよ。あなたは悪くないです。こうなるのは勝負の常、それを踏まえてアタシも四天王やってますから」
「はあ……」
イリスはシキミの意外な一面を知った。
「それにしても、凄いバトルでした。何が凄いかって言われると、正直答えづらいんですけど……。アタシもいろんな言葉を知ってますが、上手く言い表せないんですよ」
それはイリスもよく分かる。ポケモンバトルというのは理屈ではなく、体と心で感じるものなのだ。
「たぶん言葉にすると今溢れている感情とか、それに閉じ込められちゃうからかなぁ……。でも、これだけは言わせてください」
シキミは最後に、左手に持つペンをくるりと回し、こう言った。
「あなた、グレートです!」



終わりました、イリスVSシキミ。6話分ほど使ってやっと一人とは、全員書くのは結構大変そうです。でも、僕はちゃんと書きますので、ご安心ください。では次回はチェレンと四天王の誰かが戦います。お楽しみに。

Re: 139章 チェレンVSレンブ ( No.299 )
日時: 2011/07/17 12:28
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

イリスがまだシキミと戦っていない頃、チェレンは4つある塔のうちの南東の塔に向かっていた。
「何だ、ここは……?」
塔の内部に入ると、そこは事務的で機械的な所だった。まず色彩が灰色で、入口以外の壁には金網が張り付けてあり、目の前には螺旋状のレールとリフトがある。
「乗れって事か」
チェレンはそう呟くとリフトに乗る。リフトは螺旋状のレールをガタガタと音をたてて上っていく。
上り終えると、そこは四角形のリングのような場所だった。チェレンがリフトから降りると、パッとライトがついた。そこには、1人の男が立っている。
「よくぞ来たな、挑戦者よ。わたしの名前はレンブ。見ての通り、四天王だ」
レンブと名乗った男は特徴的な眉をしており、金髪に色黒。道着に黒帯と、格闘家のような出で立ちをしている。
「……僕はチェレンといいます」
チェレンも礼儀として名乗るが、レンブはそれを無視するように言葉を続ける。
「わたしは格闘の道を極めるべく、師匠アデクの下、修行を続けている。そしてお前も我が師が認めたトレーナーの1人。その強さ、どれ程のものか見せてもらう」
言う事は聞かないが、やることはやるようだ。チェレンはとりあえず、モンスターボールを取り出す。
「この格闘使いレンブ。砕くは弱き己。貫くは強気信念。そして望むは圧倒的勝利!ではたくましき挑戦者よ、いざ参る!」



「行くのだ、コジョンド!」
レンブが最初に繰り出したポケモンは、武術ポケモンのコジョンド。しなやかな動きと高い攻撃力を持つポケモンだ。
「出て来い、ケンホロウ!」
対するチェレンの繰り出すポケモンは、プライドポケモンのケンホロウ。格闘タイプには有利な飛行タイプのポケモンだ。
「ケンホロウ、電光石火だ!」
ケンホロウは目にも止まらぬスピードでコジョンドに突っ込み、先制攻撃する。
「やるではないか。ならばコジョンド、ドレインパンチ!」
コジョンドはケンホロウに向かって跳躍し、光る拳を振り抜く。
「ケンホロウ、フェザーダンス!」
ケンホロウはその攻撃を避けようとせず、無数の羽をコジョンドに当てるだけで、光る拳を喰らい吹き飛ばされる。
「体勢を立て直せ!エアカッター!」
ケンホロウは宙返りをして崩れた体勢を立て直し。無数の風の刃を放つ。
「避けよ、コジョンド!」
コジョンドは襲い来る無数の刃を、体を捻って全てかわす。驚くべき柔軟性だ。
「ケンホロウ、電光石火!」
ケンホロウは高速でコジョンドに突っ込み、その体を当てて攻撃する。
「コジョンド、跳び蹴り!」
コジョンドはそのままコジョンドから距離を取ろうとするケンホロウの後を追うように跳び蹴りを放つ。
「くっ、ケンホロウ、エアカッター!」
ケンホロウは跳び蹴りで吹っ飛ばされたが、すぐに体勢を立て直して風の刃を放つ。
「コジョンド、アクロバット!」
コジョンドは襲い掛かる全ての刃を避けつつもケンホロウに接近し、背後を取って拳の一撃を見舞う。
「威力が高い……!フェザーダンスで攻撃力を下げてなきゃ、とっくにやられてるな」
ケンホロウはコジョンドの攻撃をある程度流しており、フェザーダンスも含めて威力を軽減している。しかしそれでもコジョンドの攻撃力は相当高く、あと一撃でも喰らえば戦闘不能だろう。
「ここは慎重に行くか。ケンホロウ、エアカッター!」
ケンホロウは三度風の刃を放つ。しかし今回のはその数が増量されている。
「アクロバット!」
コジョンドは先ほどと同じように刃をかわし、ケンホロウの背後を取って拳の一撃を放つ。
「避けろケンホロウ!」
ケンホロウはその攻撃を宙返りするようにかわし、逆にコジョンドの背後を取る。
「エアカッター!」
そしてケンホロウは至近距離からコジョンドを無数の刃で切り刻む。
「コジョンド!」
コジョンドは切り刻まれた後に落下して、硬い床に叩きつけられる。
「……たぶんまだやられてないな。ケンホロウ、念には念だ。電光石火!」
ケンホロウは真下に落ちたコジョンドに向かって、高速で降下する。この一撃が当たれば、コジョンドは戦闘不能になるだろう。しかし

「コジョンド、目覚めるパワー!」

コジョンドは黄色い球体をいくつも作り出し、それを突っ込んで来るケンホロウに発射する。
「ケンホロウ!」
ケンホロウはその球体に当たり、痺れたように落下する。
「我がコジョンドの目覚めるパワーのタイプは電気。飛行タイプのケンホロウには、さぞ辛い事だろう」
レンブがそう言う傍ら、チェレンは目を回して戦闘不能になっているケンホロウをボールに戻し、次のボールを手に取る。
「なら次はこのポケモンです。出て来い、オーベム!」
チェレンの2番手は、ブレインポケモン、オーベム。エスパータイプだ。
「オーベム、目覚めるパワー!」
オーベムは指先から黒い球体をいくつも発射する。
「コジョンド、かわすのだ!」
コジョンドはその球体を体を捻って全てかわす。
「10万ボルト!」
オーベムはさらに広範囲に高圧電流を放射する。これはもう10万ボルトというより、放電に近い。
「くっ、目覚めるパワー!」
コジョンドは流石に避けれないと悟り、相殺できる見込みがある電気タイプの目覚めるパワーを放つ。しかし特攻の高いオーベムの10万ボルトを、コジョンドの目覚めるパワーで相殺できるはずもなく、コジョンドは高圧電流を喰らって沈む。
「成程、流石だな。師匠が認めるだけの事はある」
レンブは独りそう呟き、コジョンドをボールに戻す。
「だがバトルはこれからだ、少年。互いの気力、精根、ポケモンが尽きるまで、バトルは終わらない」
そしてレンブは、次なるポケモンを繰り出す。



今回はチェレンVSレンブです。よくよく考えてみると、チェレンのみをクローズアップするのって、今回が初めてですね。イリスの回は6話分ほど使いましたが、チェレンのはもうちょっと短く出来たらいいなーと思っております。では、次回のチェレンVSレンブ、パート2もお楽しみに。

Re: 140章 柔と剛 ( No.300 )
日時: 2011/07/17 21:26
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「行け、ダゲキ!」
レンブの2番手は空手ポケモンのダゲキ。空手着を着た人間の男性のような姿をしており、体色は青で細めの体型のポケモンだ。
「ダゲキ、ビルドアップ」
ダゲキはすぐには攻めず、筋肉を増強して攻撃と防御を高める。
「オーベム、速攻で決めるぞ。サイケ光線!」
オーベムは指先から光線状の念波を発射する。
「避けよダゲキ」
ダゲキはその光線を、体を横にずらして回避。そしてオーベムに向かって向かって走り出す。
「毒突きだ!」
そしてその勢いのまま、毒を帯びた貫手をオーベムに喰らわせる。
「ぐぅ。オーベム、10万ボルト!」
オーベムは毒突きを食らって後ずさった(?)が、すぐに高圧電流を放って反撃する。
「かわすのだ」
ダゲキはまたも体をずらすようにして電撃をかわし、オーベムに接近する。
「二度蹴り!」
そしてダゲキはオーベムの顔面に正面蹴りを炸裂させる。さらにその足をすぐに地面につけ、その足を軸にして今度は側頭部に回し蹴りを放つ。
「オーベム、ダゲキから離れるんだ!」
ダゲキは今、自分の戦いやすい距離で戦っている。そしてその距離はオーベムにとっては戦い難い距離だ。なのでオーベムはダゲキから距離を取る。
「逃がすなダゲキ!」
しかしダゲキはしつこくオーベムに近づき、逃がそうとはしない。
「なら、目覚めるパワー!」
オーベムは近づいて来るダゲキに、黒い小球をいくつも発射する。ダゲキはそのたまを1つ残らず叩き落したが、オーベムはそのうちにダゲキから出来るだけ距離を取る。
「この距離なら……オーベム、サイケ光線!」
オーベムは離れたダゲキに念波の光線を発射する。
「ダゲキ、跳んでかわすのだ」
ダゲキはその光線を、跳躍することで回避。そしてオーベムの上を取る。
「毒突きだ!」
そして毒を帯びた貫手を突き出し、落下する。オーベムはその一撃を避ける事ができず、直撃してしまう。
「二度蹴りだ!」
ダゲキの猛攻は続き、毒突きで体勢を崩したオーベムに、二発の蹴りを放つ。
「オーベム、サイケ光線!」
しかしオーベムはその崩れた体勢のまま、念波の光線を発射する。その光線はダゲキの足が届くより早くダゲキに当たり、ダゲキを吹き飛ばす。
「ダゲキ!」
ダゲキは特防の低いポケモン。そしてオーベムは特攻の高いポケモン。なのでダゲキがこの一撃に耐えられるはずもなく、戦闘不能となる。はずだった
「倒れて……ない……!?」
しかしダゲキは今だ立っている。まだ戦闘不能にはなっていない。
「わたしのダゲキの特性は頑丈。どんな攻撃を受けようとも、一撃では倒せない。行くぞダゲキ、インファイト!」
そしてダゲキはオーベムに急接近し、怒涛の連続攻撃を繰り出す。
正拳突き、回し蹴り、貫手、膝蹴り、手刀、肘鉄、掌底、正面蹴り、正面突きと、様々な空手技を浴びせ、最後にとどめの一撃を放とうとする、その時

「オーベム、思念の頭突き!」

オーベムはダゲキが最後の一撃を放つための溜めをしている瞬間を見計らい、思念のこもった頭突きをダゲキの顔面に叩き込む。
「な……ダゲキ!」
ダゲキはその一撃を受け、目を回している。サイケ光線のダメージもあり、戦闘不能になったのだ。
「頭突きも一応、空手技ですよね?」
チェレンはニヤリと笑いながら、そう言った。
「……フッ。なかなか面白い少年だ。それでこそ心躍る」
レンブはポケモンがやられたというのに、どこか楽しげな表情をしていた。
「では行くぞ、わたしの次なるポケモン。ナゲキ!」
レンブの3番手は、柔道ポケモンのナゲキ。柔道着を着た人間の男性のような姿をしており、体色は赤でやや太めの体型。そしてどことなくダゲキと似ている。
「相手は格闘タイプ。このまま行くぞ、オーベム。思念の頭突き!」
オーベムは頭に思念を集め、ナゲキに向かって突っ込む。
「避けよ、ナゲキ」
ナゲキはその頭突きを体を回転させるようにしてかわす。攻撃こそ避けられたものの、このナゲキはダゲキほど——というか、素早さ自体かなり低いようだ。
「もう一度思念の頭突きだ!」
オーベムは折り返し、また思念の頭突きを放つ。ナゲキは今振り返ったところらしく、この攻撃を避ける事は出来ない。しかし

「ナゲキ、巴投!」

ナゲキは突っ込んで来るオーベムを前に崩し、真後ろに身を捨てつつ右足の裏をオーベムの胴体に当て、押し上げるように頭越しに投げた。
「な……オーベム!?」
驚くべきはそこだけではなかった。オーベムは勢いよく投げ飛ばされ、チェレンの腰に付いているボールに戻ってしまったのだ。
「レパルダス……!」
そしてそのオーベムとと入れ替わりに出て来たのが、冷酷ポケモンのレパルダス。
「巴投は相手を強制的に入れ替えさせる技。柔よく剛を制すのが柔道の理念だ。相手の力を利用し、相手を倒す。力ある者だけが勝てる世の中ではない」
レンブは腕を組み、高圧的に言う。レパルダスは悪タイプで、格闘タイプのナゲキとは相性が悪い。しかし
「……柔道っていうのは、言い方を悪くすれば他力本願ってことですよね?」
「うむ? まあ、そういう事になるか——」
レンブが最後まで言葉を言う前に、レパルダスの手は光り、そこから光線状の念波が発射される。その光線はまっすぐナゲキに向かい、直撃する。
「ナゲキ!」
ナゲキは吹っ飛びこそしなかったが、大きなダメージを受けたようだ。
「他力本願なら、僕だって負けないですよ!」
そしてチェレンは、格好悪い台詞を、格好良く豪語する。



今回はチェレンVSレンブ、パート2です。ダゲキとナゲキが大活躍です。まあ、ダゲキは結構やられるの早いですけどね。では次回のチェレンVSレンブ、パート3もお楽しみに。

Re: 141章 他力本願 ( No.301 )
日時: 2011/07/17 15:00
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「レパルダス、猫の手!」
チェレンがそう指示すると、レパルダスの手が光り、そこからいくつもの風の刃が放たれる。
「ぬぅ、ナゲキ……!」
ナゲキは両腕を交差させ、その刃を耐える。
「辻斬りだ!」
レパルダスは風の刃が止まると、俊敏な動きでナゲキに接近し、通り間際にナゲキを切り裂く。
「ナゲキ、ストーンエッジだ!」
ナゲキやられてばっかりではいないのか、尖った岩を無数に出現させ、それらをレパルダスに向けて発射する。
「シャドーボール!」
レパルダスはその無数の岩を、影で作った球で全て弾く。ちなみにこれはイリスが使っていた戦法で、チェレンはそれを引用したのだ。
弾かれた岩と影の球は全てナゲキに向かっていき、ナゲキはそれらの攻撃を全て受ける。
「随分と堅いな……」
チェレンは呟く。ナゲキは最初の猫の手によるサイケ光線、同じく猫の手によるエアカッター、辻斬りにシャドーボール。さらには弾かれたストーンエッジも喰らっているが、全く倒れる気配がない。
「レパルダス、猫の手だ!」
レパルダスはまたも手を光らせる。そしてナゲキに向かって走り出し、鋭い爪でその体を切り裂く。
「燕返しか……!」
燕返しは飛行タイプ技なので、格闘タイプのナゲキには効果抜群。しかし、ナゲキはまだ倒れない。
「シャドーボールだ!」
レパルダスはさらにシャドーボールで畳み掛ける。
「巴投」
ここでナゲキは攻撃技を使う。と言っても、攻撃目的ではない。ナゲキは最初にオーベムを投げ飛ばした要領でシャドーボールを受け流した。
流石のチェレンもその光景には絶句する。
「ナゲキ、地震だ!」
ナゲキはさっきの攻撃技で調子付いたのか、地面を大きく揺り動かし、衝撃波を放つ。
「跳んで避けろ!」
レパルダスはその攻撃を跳躍してかわす。さらにそのままの勢いでナゲキに向かう。
「切り裂く攻撃!」
そしてレパルダスは鋭い爪でナゲキを切り裂く。
「ナゲキ、山嵐だ!」
だがナゲキはそれでも倒れず、いかにも強烈そうな一撃をレパルダスに叩き込もうとするが、バックステップで避けられてしまう。
「離れて攻めても、近づいて攻めても、全然倒れないな……」
チェレンはナゲキのあまりのタフさに嫌気が差してくる。気力も体力もやる気も削がれていく。
「燃える闘志が尽きた時、それは戦う者の敗北を意味するぞ」
そんなチェレンの心情を悟ったのか、レンブはチェレンに『戦え』と言わんばかりの気迫を放ちながらそう言う。
「くっ、やりますよ。僕だって、そうやすやすと勝負を投げ出したりしません。レパルダス、辻斬りだ!」
レパルダスは再度ナゲキに向かって走り出し、ナゲキの隙を突く爪の一撃を放つ。
「ナゲキ、山嵐だ!」
ナゲキも再度山嵐を放つが、バク転で回避される。
「地震だ!」
さらにナゲキは地震を発生させるが、これもジャンプで避けられる。
「ストーンエッジ!」
次に鋭く尖った岩を無数に発射するが、これもまた全て切り落とされる。
「レパルダス、猫の手!」
反撃に出たレパルダスは手を光らせ、そこから木の葉の渦を発生させる。そしてそれをナゲキに向けて放つ。ナゲキはその木の葉の渦に飲み込まれ、ダメージを受けるも、やはり倒れない。
「でも、そろそろ倒れるはずだ。レパルダス、切り裂くだ!」
レパルダスは鋭い爪を構え、ナゲキに向かって走り出す。
「ナゲキ、地震だ!」
ナゲキは突っ込んで来るレパルダスに対し、地面を揺さぶる衝撃波を放つ。しかしその衝撃波はレパルダスがジャンプする事でかわされる。
「行け、レパルダス!」
そしてレパルダスは空中から鋭い爪でナゲキを切り裂く。この攻撃は急所に当たったらしく、ナゲキは大ダメージを受けた。しかし

「ナゲキ、レパルダスを捕らえよ!」

ナゲキは接近して来たレパルダスを押さえ込む。レパルダスはジタバタと手足をバタつかせて脱出を試みるが、ガッチリと固定されており、抜け出せない。
「柔道ポケモンのナゲキに一度でも押さえ込まれれば、もう抜け出す事は叶わない。ナゲキ、山嵐だ」
ナゲキはレパルダスが抜け出せない程度に拘束を解除し、腕を大きく振りかぶる。
「まずい……!」
チェレンは焦る。この一撃を喰らえば、まず間違いなくレパルダスは戦闘不能になるだろう。
「こうなった一か八か……レパルダス、猫の手だ!」
レパルダスはナゲキの強烈な一撃が当たる直前に手を光らせる。そしてその手は膨大なエネルギーを纏い、ナゲキの腹部を思い切り殴打する。
ナゲキの一撃とレパルダスの一撃が互いに決まり、それぞれどちらのポケモンも戦闘不能となった。
「今のは……ギガインパクトか」
レンブは驚いたように言いながら、ナゲキをボールに戻す。そしてチェレンも、レパルダスをボールに戻す。
「ケンホロウの技です。あの局面で逆転できる技があるならば、それくらいでしょうね」
チェレンは苦笑しながら言う。これでチェレンのポケモンは残り2体。対するレンブのポケモンは1体だ。
「ここまでわたしを追い詰めるとは、正直驚いている。だがわたしはまだ諦めない。ラスト一匹になっても全力を出し切るのが、わたしの主義だ!」
そう言ってレンブは最後のポケモンが入ったボールを投げる。
「わたしの最後のポケモンはローブシン、格闘タイプの中で最高の攻撃力を誇るポケモンだ」
レンブは静かに、しかし威圧的に、言葉を発する。



チェレンVSレンブは、次くらいで決着になると思われます。結構短いですね。まさかのパート4で終了ですよ。まあそれは置いといて、ローブシンって格闘タイプの中では攻撃力最高だったんですね。僕はまったくもって存じていませんでして、つい最近知りました。では次回のチェレンVSレンブ、パート4もお楽しみに。


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