二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【復活しました!】わたしとあなた【ポケスペ】
- 日時: 2011/09/23 11:14
- 名前: 大庭 (ID: fa55u0nR)
おひさしぶりです大庭です。
はじめましての方、はじめまして!
以前ここで筆記していた大庭と申します。今後ともよろしくお願いします。
前にここで筆記をしていたのですが、スレが恐ろしい程何回も消えてしまう事件があり、しばらくは別の場所にいました。
えーと、それでは……ッ
クリックありがとうございます(`・ω・´)きりりっ
前回や、前々では
ポケノベでは1万HIT、カキコでも2万HIT本当にありがとうございます^^
[>始めての方
最低限のルールを守ってくれればいいです
オリキャラ逃げてな人は【戻る】連打
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第182話 >>81
第183話 >>82
第184話 >>83
第185話 >>84
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第3話 >>92
第4話 >>93
第5話 >>94
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マイ
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100
ゴールド
>>101
[>登場人物
マイ >>102 コウ >>103 アヤ>>?? ユウユウ>>104
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- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.85 )
- 日時: 2011/04/07 20:04
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
第186話 日常が非日常なんだ
あの後、センターに無事泊まることの出来たふたり。
お互いに疲れていたのか起きるのが、午後に近い時間だった。
「サファリパーク行きたいんだけど……」
「別に構わねーけどよ、オレ行かないからさ」
「……?」
たまたまつけたテレビに"サファリパーク今日から開園"というニュースがあり、ポケモンとの触れ合い、捕獲が出来ると聞いてマイは行きたくなったのだけど、珍しくゴールドが乗り気ではなかった。
不思議そうに首をかしげると、ゴールドは握りこぶしを作って宣言した。
「ナンパがしたい」
「ですよねー最近してなかったもんねー」
ワカバにいた頃からナンパ癖のあるゴールドだったが旅に出てナンパをするのをやめたかと思っていたマイ。甘かった。
昔はゴールドが女の子と話してようが何も興味がなかったのでスルーしていたのだが、ちょっとばかり状況が違う。
かなり信頼してきたのだ、この旅で色々と。
だが、はっきりと物事を云える性格ではないので、表情に出さないで、さっきみたいな言葉を述べたのだ。
「じゃ、じゃあわたし、ひとりで行って来るね」
「は? なんで——」
まさかの発言に目を白黒させるゴールド。
少し顔を下にしてマイは出来るだけ早く言った。
「ナンパの邪魔しちゃ悪いし……」
「マイが邪魔? んなこたねーよ」
本当の理由は違うけど、本音は言えなかった。嫌われたくなかったから。
胸が痛むのはよくわからない、もやもやするから早く走り出してスッキリしたい。そんなマイは思わず声が大きくなる。
「で、でもさ! やっぱいいよ! わたしもだいじょぶだし! もしもの時はギアに電話するよ」
「そうか? やっぱオレ、着いてこうか?」
「いい、よ! ナンパしてきなって! わたしの都合に合わせてくれなくてもいいよ!」
(どこまで下に出る気だよ……)
「ゴールド?」
「わかったよ。お前の気持ちを無駄には出来ないからな! 何かあったらすぐに電話しろよ」
「うん!」
ゴールドが納得してくれるとマイは、その場を駆けてセンターから飛び出した。
ギアを手首につけて。道は大体わかる、地図機能があるから。
(——今頃ナンパしてるのかなあ……)
ぼーと空を見上げながら歩いていると、何かにぶつかった。
マイは結構ふらふらしている。
「ご、ごめんなさい! わたしぼーとしててっ」
「こちらこそスミマセン。お怪我はありませんか?」
「へっ!? な、ないです!」
ぶつかったのはマイより年上の、ゴールドと同じくらいの年の子が本を片手に尻餅をついたマイに手を伸ばしていた。
起こしてやるとズレた眼鏡をクイッとあげて、ギアに目がついた。
「そのギア! 数量限定で発売されたのだよね!!」
「よくわかんないけど……」
「凄い! まさかこんな所でお目にかかれるとは! あれ? 地図機能! いいなあ! 僕もこの機能欲しい! あ、サファリに向かう途中かい?」
先ほどとは、全くの別人のように話す少年にマイは少年がギアを見やすいようにあげてやった片腕をあげたまま呆然としていた。
こうして男の子と一対一で話すことはあまり慣れていないのか大量に冷や汗が流れ出て、早くこの場を去りたいと思っていたのに……
(僕もサファリに向かうんだ! 一緒に行こう!)
(えー!)
- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.86 )
- 日時: 2011/04/07 20:05
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
第187話 力こそ全て?
(なんで……)
「君たちには何も害がないじゃないか!」
「ああ? うるさいな、お前がいるだけで邪魔なんだよ! 馬鹿かおめえ?」
(ゴールドよりは口いい……でも面倒なのに巻き込まれた)
少年とサファリに向かっている途中に、まさにガキ大将といえる男の子たちが道をふさぐ様に立っていた。
マイは邪魔だなあ、と思っていた程度なのだがどうも少年の様子がおかしい。
額には汗と目が震えている。これだけみればお分かりだろう。
よくある苛めだ。
「お前さあ、オタクできもちわりーんだよ! 塾なんか通ってよ? うぜーんだよォ!!」
「やめなって」
「ああん? んだあチビ、知らねぇ面だな」
ボロボロになった帽子を深くかぶったガキ大将(仮)の名前はギア。
ギアの後ろに偉そうにたったひとりの男。名はリプア。
「弱い物いじめってさ、ちょーだせぇよ?」
「こいつ……チビの癖に口だけは達者のようだなぁ」
「口だけ? こっちも、いけるよ?」
下がって、とマイは少年にだけ聞こえる声で自分のちっぽけな背に回した。
こっち、とはバトル。腰に手をあて、パーカのチャックを下げる。
キラリと光るボールがまぶしくうつった。
「まあ? バトルには弱いも強いもないんだけどさ」
「ッチいいじゃねーの? その生きがいは気に入った! 勝負だ!」
「ねえ、君もバトル……え!? 持ってないの!?」
ひとつだけボールを手に取り、少年の顔を見ていう。
しかし、ポケモンを持ってないと言われ、まじかよ! と内心焦る。
いっきにふたりも相手をするほどの実力があるのかもマイは分からない。
「まだ持ってないのか? ラキ」
「ラキって言うの? 待ってて、すぐに片付けちゃうから」
「う、うん。ありがとう——えっと」
「マイ! 頑張ってよ、ピーくん!」
ギアが見下したようにラキに言うがラキは言い返せない。
そしてあっという間のバトルが始まった。
マイは基本的に至近距離でのバトルを好む。だからパワー押しと言ってもいい。
「ニョロボン! みずてっぽう!」
「水タイプだっけ? てことは、こっちが有利! ピーくん電気ショック!」
「こっちが地面技使えることを忘れちゃ困るぜ!」
口と思われるグルグル模様から勢いよく水を飛ばす。
その上を走れといわれピーくんことピカチュウは走り電撃を食らわすが、地面タイプの技が使えると聞いて急いで、逃げて! と指示を出すが至近距離果たして逃げ切れるのか。
「いわくだ——」
「アイアンテール!!」
「言わせろよ!」
「遅いほうが悪いんだって! へへっどーだ! 倒しちゃったもんねー!」
間髪いれずにいうマイの指示を知らないギアは思わずつっこむ。
案外いい奴なのかもしれない、とマイはなぜか思った。
一対二でやるバトルと思っていたが、ちゃんとこちらに合わせてバトルをしてくれるので楽に出来る。
「次は?」
「タッツー、ハイドルポンプ!」
「ひゃあ! び、びっくりしたあ。ピーくんもっかい頼むよ」
クルリと後ろに振り返ると、ギアの子分的存在のリプア。
既にポケモンを繰り出しており、先制攻撃をされたが、タイプがタイプだ。
まだ余裕。そんな時、ギアは自分のニョロボンを見て思った。
(急所を外してくれている?)
「ピーくん! もっかい電気ショック!」
「ちょっまっ! 嘘だろー……」
レベルの差であっという間の勝負。
なぜタッツーがいきなりハイドルポンプを出してきたのかは不明だが。
「……ほいっ」
「ん? なんだ、これ」
「回復の薬! ここセンターの回復のやつ使えないんだよね? さっきビックリしたから買っといて正解だったよ。これで君たちのポケモン回復させてね」
ぽーん、と投げたふたつのものは回復の薬。
バトルが終わったらみんな友達。とでもいいたいのか、何も言わずにラキと前に進んでいく姿を見てふたりは——
「若!」
と異口同音に叫んだ。
「若って言ってますよ? いいんですか」
「恥ずかしいじゃん! 早くいこ!」
「あの、僕も若って呼んでもいいですか?」
「いや」
「頼みますよ〜万能薬あげますから!」
顔を真っ赤にしてラキと話すマイはなぜだか新鮮で。
そしてラキの言った、万能薬とは——アカリを治す薬のことだった。
(——わ、わかったよ……これもバトルのためっ)
(若! どうぞ、これが万能薬です!)
(若って……やっぱ恥ずかしいなあ)
- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.87 )
- 日時: 2011/04/07 20:05
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
第188話 君が、
「ナンパする気になんねーなぁ」
ひとりで外をふらつくゴールド。肩には相棒のエイパムのエーたろう。
「なーんか足りないんだよ、な? エーたろう」
「ぱむっぱむむ」
「はーなんつってるか分かりゃしねーよ」
マイちゃんがいないからだよ! と言ったのだが伝わらなかったらしい。
いつもなら伝わるのに、といじけるエーたろうは、自らボールに入ってしまう。
「んだよ。つれねーな」
足元にあった小石を軽く蹴る。しかしすっきりしない。
「よくあるこった気にすんな。てか?」
お馴染みの台詞を言い終わると同時に、マイの姿があった。
しかし、隣……と言うかマイに守られるように背後にいる眼鏡少年が目に入った。
(なんだァ……?)
マイに限って逆ナンはないだろう、と溢れる感情を抑え慎重に現状を見る。
どうやらバトル中のようだ。
「ニョロボン! くっそ〜強い……お前行けっ」
「ええっオレ?」
「そうだよ! オレには戦えるポケモンいない!」
こっそりと岩陰に隠れて様子を伺う。
ひとりには勝ち、あともうひとりとバトルするらしいマイは、まだ余裕の表情を見せる。
「——! ——? ……!」
「…………!」
マイと眼鏡少年の会話が上手く聞き取れなく、焦る自分がいる。
——ギアで
(駄目だ。マイのバトルの邪魔になる……!)
まとまりつくモヤモヤにイラつきを覚えつつも、マイなら大丈夫だ。とおかしな自信を持ち、その場から離れずにただ、見守る。
「若!」
「若って呼び方いやだよ〜」
バトルをしていた少年ふたりに言われてるマイの顔、ゴールドは知らない。
「も、いこっか。賞金はいいから! じゃね」
「若! 賞金いらないなんて! カッコイイっす!」
「だーからっ若はやめてよー!」
困ってるけど嬉しい、そんな顔が。
(——絶対渡さねえ。アイツはオレんのだ)
酷く胸に突き刺さるのだ。
歩き出した先は——
(まずは決めてからなっ)
(ぱむぅ!?)
マイの場ではなく、センターに戻り足。
何を決めると言うのか。ゴールドくん。
(独占欲……強いんだぜ、オレ?)
(——覚悟してろよマイ)
(なんか嫌な予感……)
- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.88 )
- 日時: 2011/04/07 20:06
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
第189話 来るべき災厄
「なんかあっという間に着いちゃったねーサファリ」
「そうですね!」
「てゆーかさ、ちゃんとポケモン捕まえるんだよ? そうじゃないとまた苛められちゃうし」
ラキはポケモンを持っていない。それでいて色んなジャンルのオタクで、周りから浮いているから苛めにあう。
だったら、そのひとつの内の、ポケモンを持ってないを変えなきゃ、とマイが提案してやるとラキは眼鏡をキラリと無駄に光らせ「そうですね若の言う通りです!」と意気込んだ。
「おふたりさまですか?」
「ごー……あ、はい」
「ごー? GO! ですね、流石若! 意気込んでるゥ!」
(テンション高……)
受付のひとに言われ、思わず「ゴールドもいるから3にん」と言おうとしたが、ハッとしてなんでもないフリをした。ラキは勘違いをしているが。
「では、バッチをお持ちでしょうか?」
「ばっち?」
「はい。ジムリーダーと……あ、はいそれです」
パーカーをじー、と開け中にきているTシャツについているバッチを指差し首を傾げると、受付は、言葉の意味通りの返事をした。
そして、ラキを見て、あなたは? ときくが
「あ、僕は持ってないです」
「そうですか……なら、あなたはこちら。バッチを持ってる方はこちらで」
右と左の扉を左右それぞれの手で示された。
マイは右。ラキは左。ここでお別れのようだ。
「じゃー頑張ってポケモン捕まえてね」
「〜〜若!」
「な、なんすか」
いざ参る! と気合をこめてドアノブに手をつけてのだが、隣のラキが思いっきり溜め込んでから名前を呼ぶ。
ビックリしてラキを見ると、ポケギアが。
「あー番号?」
「は、はい! ぜひ交換しましょう!」
「うん、いいよ」
ゴールドもいないしね、と理由つけて簡単に交換してしまった。
まあラキなら悪用はしないだろう。悪用と言っても、夜中に連絡をかけるとかだが。
涙なしのお別れを済ますとマイは何事もなかったかのようにサファリの地へと足を踏みしめた。
どうやら、バッチを持っているひとは捕獲、バトルOKらしい。持っていないひとは捕獲、閲覧だけだそうだ。
「とりあえずーアルファを育てなきゃね」
ぽーん、と軽く投げて出てきたのはラプラスのアルファ。ゴールドがはじめて孵化させたポケモンだ。
嬉しそうに駆け寄ってきたアルファの頭を「よーしよし」と満面の笑みでマイが撫でていると、目にまぶしい光が入ってきた。
「わー! 海まであるんだー!」
真昼の太陽によってキラキラとまぶしく光る海があった。
断崖絶壁なのには流石のマイも引いたが。
そういえば、ここ(サファリ)に来る途中に崖や海があったなあーと呑気に思い出していたら目の前を、す〜と紫の煙のようなものが通った。
慌てて、臨時用のリュックから図鑑を取り出してみると
「ムウマ? ほえーひゃわ! 手がすり抜ける!!」
逃げないムウマに触ってみようとするが、スルっと手が煙を突き通ってしまったではないか。
海をバックに見るムウマの色はなんとも奇妙な色合いだった。
「あれっ急に空がくら——嘘」
ふっと太陽に雲が被さったように真っ暗になった。
しかしおかしい、マイがしゃがみこんでいる周りの場所だけが暗い。
じゃがんだまま首だけ向けるとそこにいたのは、ギャラドスがうじゃうじゃいた湖の時に、コウとアヤと一緒に襲われたあの黒い物体が。
全身が恐怖から悲鳴をあげる。アルファだけでも助かろうとボールに手を伸ばしなんとか入れるが、黒い物体はマイから視線を逃さない。
しかし逃げようと後ずさりをすると、一緒になって後をついてくるではないか。
(やだやだどうしようこわい——! あ、がけが)
どんどん後ろに下がると同時に迫ってくるのは、断崖絶壁。海に落ちるだけだ。
運よく砂浜に落ちたとしても怪我は免れないだろう。
(でも、この前みたいトリップしたらもう会えないかもしれない)
ぐるぐるとさまざまな思考が混じる中、黒の物体が動いた。
さっきよりも早いスピードで寄ってきた。
「こ、来ないでよッこここここわくないんだからあ!」
足の振るえが止まらないし声が震えて弱弱しい。
首には赤い、人間でいうマフラーを巻いているようなものがマイの首元にツン、と当てられた。
「っ」
「——怖いか」
「へ!? しゃべった!?」
「この先は危険だ。ひとりで来るんじゃない。」
青色の瞳がマイを捕らえて離さない。しかし口が見えないのにしゃべりかけてくるのはおかしい。
しかし、この感覚。どこかで
(あ。これってミュウの時と同じ感覚)
「そうだ。我の名はダークライ」
「ダーッ暗い!? でいいの?」
「違う! ダークライだ。全く……」
急に雰囲気が和んだのもつかの間。
マフラーに腰の辺りを掴まれるマイ。
「我は今に自我を無くすであろう。昼間はどうも苦手だ」
「はい?」
「いやなんでもない。とりあえず海に落とすから」
「はい?」
そのまま、先ほどマイがボールを投げた時と同じように軽く投げてやった。
(ええっ——)
- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.89 )
- 日時: 2011/04/07 20:07
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
第190話 蒼海の王子の名は
軽く投げられたマイは、瞬きをする間もなく海に叩きつけられた。
物凄い衝撃を受けて気絶しそうになる中、海は気にせずにマイを地の底に案内する。
そんな中、リュックの中からポケモン図鑑、腕からはポケギアが外れてしまった。
(ちょ……う、そ)
薄れ行く意識の中に見えた、丸くて赤い、真珠のようなものがマイにはうっすらと確認できた。
その真珠が段々とマイに近づいてくるにつれて、黄色に繭のようなものが4つ。真珠から離れて着いているのまで分かった。しかしマイは限界だった。
(くるし——)
必死に図鑑とギアだけを腕に抱える。そして目を閉じて奇跡を待つように丸々。
次に目を開けたときには、ゴールドやソラがいる、そんなことを思いながら。
(——ええっ)
「マッナ!」
ちっぽけなポケモンがマイの身体を泡のようなボールに包み込んでいた。
クリオネを連想させるような姿に、頭には2本の触覚があって光る。暖かい光がマイを安堵させる。
「マーナッ」
(なんて言ってるの?)
「——!!」
(ふえ? だめだ、さっきの衝撃で意識が——)
本能的にこのポケモンは悪いポケモンではないようだ。
安堵させすぎたせいと衝撃からの痛みでマイは眠ってしまった——
あと意識が残っているのは、図鑑とギア。
図鑑が電子的な声で読み上げた。
<マナフィ。かいゆうポケモン。どんなポケモンとも心を通わせることの出来る温厚なポケモンである。しかしその生態はあまり知られていない>
そこまで言って図鑑は閉じた。しかしデータは手に入れた。あとはマイが再び開く時に見るだけだ。
そして、あとひとつ残っている意識がある。ギアだ。
<もしもーしッおーい! マイ! 居留守か? どこにいんだよー! あ、オレってわかるか? ちぇっ……聞こえてないのか? サファリじゃ電波も通じないってか?>
なんというタイミング。ゴールドが電話をかけてきたではないか。しかもなんか気取ってる。
聞こえるわけがないそのギアは、図鑑が閉じた衝撃によって切られ、カメラモードになった。
そして運よく、マナフィを撮ることに成功してしまった。
「まーなっ」
浜辺付近の波打ち際。マナフィはそこまで運んで泡を消すと今度はマイを能力だろうか、持ち上げて浜辺に打ち上げた。
ご丁寧に目の前には「真上はサファリ。階段を上れば入り口付近!」と書かれた看板の近くに置いてやる。
「……」
「ぴかぴー?」
「りゅーっ」
「にゃー」
「ばうー?」
「ごー?」
勝手にボールから出てきたマイの手持ちたちが心配そうに鳴いた。
リューやピーは顔の怪我をしていない部分を触ってみたり、キューは己の身体で冷え切った身体を暖めてやる。
「ん……あれ」
「!!」
「わーみんなあ……ごめんねえありがとー……にがっ」
懸命の介護あってようやく目を覚ましたマイに、みんなの笑顔が蘇った。
それぞれの頭を撫でてやりお礼をいうと、戻ってきた痛覚に顔を歪める。そして、苦いとは?
「ふゅちきっらっらー」
「ぴー?」
<口切っちゃったーですね>
どうやら口内を切ったらしい。あんな高さから投げられて口を切らない方がおかしいが。
エーフィのフィーが訳してくれた。よく分かったな
「んーあひほてもいひゃい」
<んー足と手も痛い>
「ごーりゅどにれんあくひひゃは」
<ゴールドに連絡しなきゃ>
「おほられひゃうおー」
<怒られちゃうよー>
ふたり(というのか)の奇妙な会話に、首をかしげながら聞いてる時、リューが妙な動きをした。
「ひゅーくん!?」
<ちょ、リュー!? あんた何して——>
「りゅー♪」
「あーそーいへばりゅーのだっひはきゃはだにまきゅりょにゃおるっへひいたほほあうー」
<あーそういえばリューの脱皮は身体に巻くと治るって聞いたことあるー>
リューが自ら脱皮して、竜の皮をマイにくれた。
そんな知識をどこで手に入れたのかは分からないがなんとか助かった。
流石に口の中には入れれなかったが。
「にゃーにゃおってう! いひゃくひゃーい!」
<わー治ってる! いたくなーい!>
どれだけ口にダメージを受けたのか。全く聞き取れないし、本人も痛そうにしている。
しかし両手足は治った。そしてマイは思い出す。
(そういえばさっきのポケモン……あ!! 図鑑!)
浜辺に落ちていた図鑑を手に取ると砂をはらって開くと、やはりマナフィのデータがあった。
(マナフィかーありがとうねマナフィ!)
グンっと立ち上がって海に手を振る姿は、もう平気だよ、と言っているようにも見える。
あとはギアを確認するだけなのだが——
(よひ、さふぁいにもふぉろー!)
(よし、サファリに戻ろー!)
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