二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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東方魔戒録
日時: 2010/12/08 05:14
名前: ミカギ (ID: jvWBucyN)
参照: http://story.awalker.jp/evihurai/

幻想郷。非常識こそが常識的で、非現実こそが最高のリアルな世界。妖怪、妖精、はたまた神様までもが住まう悠久の常代に、全人類に復讐を誓う悪霊がいた。

死してなお、憎しみに生きる魔女。彼女が復讐者として生まれたのは、遠い昔の記憶。

愛した人間だからこそ、許せない。

愛した人間だからこそ、殺さずにはいられない。


愛した人間だからこそ、まだ愛したままでいたい。


霧雨魔理沙。

願い、嘆く彼女の前に、その少女は唐突に現れた——



さあ、ぐだぐたな小説を書いてくよ!

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Re: 東方魔戒録 ( No.16 )
日時: 2010/12/04 06:16
名前: えいきっき☆ (ID: JrQ720Id)

くるの遅くなってすみません!
って!こ、こまっちゃ—————んっ!!!!∑(゜A゜)
魅魔様はここで悪霊に!?
お、落ち着け!たしかニコニコ大百科ではこのあt(本当に落ち着け
なんかやばいんじゃ・・・・?
更新頑張ってください!

Re: 東方魔戒録 ( No.17 )
日時: 2010/12/07 05:39
名前: えいきっき☆ (ID: JrQ720Id)

・・・・なんか最近ミカギさん見ないなぁ・・(´・ω・`)
更新がんばってください!

Re: 東方魔戒録 ( No.18 )
日時: 2010/12/08 05:13
名前: ミカギ (ID: jvWBucyN)

すんません。スピード第一だったのに、ちょっと手間取ってます;;

時間と相談というか、喧嘩しながら更新頑張ります。今週中には更新しやすぜ(`・ω・b

Re: 東方魔戒録 ( No.19 )
日時: 2010/12/11 15:43
名前: ミカギ (ID: jvWBucyN)

悲鳴という、心地良いメロディを奏でる、生物。

鮮血。灼熱のように熱く滾った深紅の液体をぶちまけると、動かなくなる生物。どんな玩具よりも面白くて、飽きるという言葉を持たない生物。

生物達の村を、紅蓮の業火で焦がす。深き闇を白昼に変える焔が、美しくて仕様がない。

村人を殺した。村を、魅魔の罪で焼いた。一時でも、大切な人が住んでいた村を、自らの手で壊した。

なのに、彼女は笑う。命を狩ることを知り、自分の本質を自覚し、破壊する。

人間。その生物は、面白い。

人間。その生物を壊すのは、面白くて仕様がない。

満たされていくような高揚感。殺すことへの喜びが、魅魔の思考を黒く塗り潰す。

「……まだ、いるな」

静寂に包まれ、急激に冷めていった感情を高ぶらせる、生存者。自身の手で壊していた玩具が残っていたことを心から感謝して、闊歩した。

「——あんた、覚えてるよ」

男。

最初に石を投げてきた、男だった。

「こ、子供が下敷きになったんだ! 頼む! この子だけでも——!」

家の焼け落ちた木材に挟まれる、年端も行かない少女。微かに呻きながら、弱々しく腕を伸ばしては力無く身体を捩る。放っておくだけで消えてしまう、弱小な命。

それでも、憎い人間は自分の命を差し出してまで、彼女の生を願う。

娘が大切だから?

娘の命が、自分の命よりも大事だから?

「……集え」

魅魔の指差した男の肩にうっすらと光が宿った刹那、男の表情が苦痛に歪む。

「あっ、うぁ……!」

痛みに伴い膨張していく肩の筋肉。血管を浮かばせながら赤黒く変色していく肉を押さえ、男は嗚咽する。その姿を楽しそうに、嬉しそうに。魅魔は指差していた手を広げ、力強く握り締めた!

パァンッ!——と、響いた破裂音。男の嗚咽は絶叫へと昇華し、鮮血が魅魔の顔を汚した。

筋肉が無残に飛び散り噴水のように血を噴く肩からは、少しくすんだ骨が顔を出していた。

「次は、どこがいい?」魅魔は歪んだ笑みを浮かべ、指を伸ばした。

「や、やめてくれ……!」

「娘を、助けるんだろう?」

「ひぃっ……!」

男は魅魔を背に、肩を押さえながら駆け出した。

……娘を、置いて。

その行動に魅魔から笑みは消えた。それが望まない結末だったように、彼女は深く息を吐き、男へと伸ばした指を弾いた!

パチンッ!——と、指が鳴ると同時に、男の首が勢い良く弾け飛んだ!

「——あんたは、間違っちゃいない」

それが、人間。鮮血を噴きながら勢いを止め、よろよろと首を失いながらも逃げ、崩れた肉の塊を尻目に、木材に潰された少女を見下ろした。

「……よくも、おとう……んを……!」

まだ、生きている。見捨てられたと理解していないのか、少女の瞳は憎しみに淀み、魅魔を鋭利に睨み、一途に生を掴み取ろうともがく。

「…………」

魅魔は少女を押し潰す木材に光を宿し、ゆっくりと浮上させ、彼女の身体を引きずり出した。
 辛うじて微かに呼吸している、小さな命。一度は望まれたか弱き命。そして、魅魔を憎む愚かな命。

「今頃、償いか?」

「……っ!」

静寂を壊した女性の声に、浮いていた木材が発信源をめがけて猛進した!

刹那、白い閃光が高らかに飛翔し、木材を分割した。

「あたいはあんたのこと、嫌いじゃなかったんだがねぇ。楽しそうに惚気て、自分の死など気にせず、家族の心配だけをしていた女。あんたが羨ましくて、一瞬でも女として生きてみたいって思っちまったもんだが」

にんまりと笑みを浮かべ、小町は大鎌を構え直し、鼻を鳴らした。

「……生きていたのか」

「生憎、死神の身体は人間のそれとは別物でねぇ。腹を抉られただけじゃ、死んでくれないのさ。それとも、死の神があの程度で死ぬとでも思ったか?」

一時は穴を開けていた腹を叩き、小町は一息つくと、ややあって、殺意を孕んだ冷たい
瞳で睨んだ。

「力って奴は厄介な代物だ。天国にいた善人も、ちょっとした過ちで地獄に叩き落される。力があるばかりに、些細な事が惨事に発展するのさ。だから、大抵はちょっとした罪があれば、たとえ天国へ行くべき存在であろうと、そのまま地獄に落とされる。他の閻魔が、制定した決まりだ。だが、あんたは……」

天国へ行くことを許された。一切動じる様子のない魅魔に舌打ちし、彼女は腰に差していた小刀を鞘ごと抜き、高々と頭上に投げ飛ばした。

「四季様は自分のことを省みず、あんたを天国に迎えた。たとえ、生前の結末が悲惨だったとしても、死んでから、幸せって奴を感じ取ってほしかったからだ」

ややあって、降下した得物。

姿は、古めかしい姿へと変貌した、刀。札を幾つも貼られた漆黒の鞘が小町の傍らで地面に突き刺さり、彼女は魅魔へと投げた。

「抜け。あたいはフェアな殺し合いって奴が好きでね。フェアな上で、相手をぶっ殺す。最高さ」

魅魔は鼻を鳴らし、足元に転がった得物を抜き、眉をひそめた。

紅蓮の炎に煌く、糸直刃。鋭利で美しい刃に映ったそこには、彼女の汚れた顔。家族を一途に愛していた女の姿は、完全に消えていた。

「……もう、戻れない」

「そうだな。だが、やり直すことはできる。死神の鎌は、魂ごと存在を奪う。おとなしく地獄へ送られて、こいつを使わせてくれなければ、あんたの汚れた魂も清く戻るさ」

「……もう一つ、選択肢がある」

魅魔は得物を投げ捨て、近場に転がっていた竹槍を拾い上げ、身体から漆黒の闇を噴き、得物を呑み込んだ。

「やられる前に、ぶっ殺しちまえばいい」

闇が取り払われて顔を見せた得物は、杖。欠けた月を模した装飾が先端にくっつき、暗褐色の取っ手は、薄らと闇の衣を纏う。

「——何を言っても無駄か」

残念とばかりに息を吐き、小町は手を魅魔へと伸ばした。

Re: 東方魔戒録 ( No.20 )
日時: 2010/12/11 15:43
名前: ミカギ (ID: jvWBucyN)

間合い。

そこには、確かな距離があった。

気がつけば、目の前で大鎌を振り上げている死神。そこは、明らかな彼女の間合い。

いつの間にか、安全な距離が消されていたのだ。

「……っ!」

ギィンッ!——と襲いかかる衝撃。

ギリギリと、斜めに受けた刃が、魅魔の首にめがけて切っ先を伸ばす。重たく鋭い一撃は魅魔から余裕を奪った。

「大した能力だ。武器ごとぶった切れると思ったんだが、ね!」

小町は無防備な魅魔の腹に爪先を突き刺した!

「ぐぁっ……!」

鳩尾に刺さった一撃に魅魔の表情は歪み、緩んだ力を大鎌が一気にねじ伏せた!

深々と地面に刃が突き刺さり、小町は軽く舌打ちすると、あっさりと大鎌を引き抜き、空を見据えた。

空からふわりと降り立った魅魔は執拗に身体の具合を確かめながら、ややあって、両腕を漆黒の闇で覆う。

小町の腕が伸びる前に魅魔は低く腰を落とし、地面に手を添えた。

「……走れ」

闇が地面に浸透するように滲むと、地面に亀裂が生じる。

ピシシッ!——と、亀裂は地面を這いながら小町へと伸び、静寂。

刹那、亀裂から波状の鋭利な闇が噴出し彼女を襲う!

「ちっ……!」

伸びかけていた手を引き、半身となって闇の軌道から逸れる。その動きを見透かすように魅魔は一気に懐へと踏み込み、彼女の腹に手を添えた。

「お返しだ」

狂気に満ち溢れた邪な笑みと共に小町の腹部に重たい衝撃が加わった!

聞いたこともない音。臓物の位置を無理やり組み替えられるような、味わったことのない苦痛。くの字に折れ曲がった小町は血の混じる吐瀉物を吐き散らし、腹からはじわりと血が滲ませる。

お返し。お返しというには余りにも鋭く、冷酷な一撃。致命傷だった傷を抉るように、一度は貫かれた腹へと見舞いした。

少し後退した小町に近づき、魅魔は朗らかな笑みを浮かべ、腹を押さえた小町の手に、腕を添えた。

「仕返しは倍に返すって決まってるだろう」

「……良い性格、してるじゃないか」

苦痛に青白くに染まった表情で嘲ると、小町は片手で大鎌を振り上げた。

ガキィンッ、と、軽い金属音。月の形をした装飾が大鎌の振り上がった位置で競り合いとなり、加速する距離を潰された。

「あんたは距離を操れる。そして、あたしもあんたの攻撃の“距離”を操った」

振り上げられた鎌。一番力の消える距離で固定され、小町は鼻で笑った。

距離を操ると一目で確信して、あえて自分で接近し、大鎌の扱いにくい超接近戦に持ち込んだ。

……否。小町の能力を確信したのは、今。

「距離を離さないのか?」

クスクスと嘲り笑う、魔女。勝利と共に小町を快感へと変換する準備の整った邪悪な笑みを浮かべ、添えていた手を深く押し込んだ。

「……化物が」

刹那、衝撃が小野塚小町の表情を強張らせた。

衝撃、ではない。漆黒が小町の腹を貫き、背から放射線状に伸びていく。

腹を、ぶち抜かれた。尽かさず魅魔は大鎌を解放し、膠着した小町の即頭部を柄で薙ぎ払う!

重く、鈍い音と共に、彼女は焔に染まる木材へと吹き飛ばされ、業火の渦に消えた。

「……あの世で閻魔に説教でもされるといい」

掃討された村で静寂の悦びを噛み締め、魅魔は冷たく、小町の消えた焔を見据えた。

悲しい思いをした。死を超えて望んだ出会いを、ぞんざいに扱われた。

憎んでいたそいつらを、皆殺しにした。

なのに、魅魔の顔には、笑顔が張り付くことはなかった。

「待て……!」

その場から去ろうとしていた魅魔を呼び止めた、女。

子供。自分の命も守れていなかった、村の娘。そいつは死神の刀を手にして、魅魔に刀鋩を突き立てた。

「それで、あたしと戦うのか?」

愚かな、敢闘。否、眼前にいる相手は、ただの愚かな女。殺しを知らない純粋無垢の矮躯。
模倣された構えはいい加減で、得物がカチカチと鍔を打ち鳴らし、主人の心情に呼応している。

それでも、彼女は逃げない。強い憎しみを瞳に灯らせ、村を壊した化物へと立ち塞がる。

「……理屈じゃねぇのさ」

業火の炎から耳朶に触れる、声。

後頭部で燻る火の粉を振り払う、死神。ぽたぽたと血を滴らせながらも、焔を背に笑みを作り、彼女は口内に溜まった血を痰に絡ませ、吐き捨てた。

「理屈じゃねぇ、規律や格差があれど、居心地の良い場所ってのは存在する。放恣(ほうし)な日々を送っていても、痛かろうが、この身体がぶっ壊れようが、あたいはそいつだけは守らなきゃならないんだ」

「……死神にしては、殺し合いの最中に駄弁を弄するじゃないか」

「殺し合いは好きだが、あたいは軍神や武神のように徹底はしない。戦いってのは高度なシュミレーションゲームよ。選択によって是非が決まる。——あんたは、あたいの言葉に耳を傾けた。そいつは、果たして正しい選択か?」

「なにを——」

意味深な言葉に眉をひそめた魅魔の身体が、大きく揺れた。

腹から突き出た、鮮血に濡れた美しい刀身。背には荒々しい息遣いが響き、刀身を奥へ、奥へと突き立てる。

華奢で、脆弱。妖怪からすれば良好な餌でしかない、動物。

復讐心。否、濁しながらも、強い意志が灯った瞳。力の持たない存在の、非力な瞳。

それでも、そんな彼女が、魅魔を刺し貫いた。

「窮鼠猫を噛む、ってか?」

いつの間にか、死神が目の前で、大鎌を振り上げていた。

「因みに、距離を操るのは自分も有効だ。そこに“距離”があればな」

今更遅いか。唐突な出来事に、魅魔は動けずにいた。

「……あばよ」

小町は、凍りついた表情で、一滴の涙を流した。

それが誰に向けられた涙なのか、分からなくて。


魅魔は暗い、暗い闇へと、沈んでいった。


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