二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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■━…紫弓 【銀魂】
日時: 2010/10/17 22:03
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: MDpJUEHb)
参照:      ──きっちり俺の敵やってンじゃん!!

消えたので立て直しです

誰か友達になりましょう( ´・ω・)


以前書いていた小説のリメイクです!
腐りきっていますよ! あっは!(

ここの主人公は!! 基本!! 総★受けです!!
多分暇潰とかでは攻めになったり((


■━━・・・目次
>>0 挨拶やいろいろ
>>1,>>29 登場人物紹介
>>2 創始
>>3- 紫弓
>>4 技術説明・用語説明
>>12  紫弓想曲
>>190-192 紫弓人絵
>>40 暇潰 稜弥でワールドイズマイン
>>59 暇潰 稜弥で裏表ラバーズ
>>87 暇潰 紫弓キャラで人柱アリス
>>96 暇潰 稜弥でmagnet
>>103 暇潰 稜弥で恋愛サーキュレーション
>>126 暇潰 万斉と稜弥で短編
>>139 暇潰 稜弥で初音ミクの消失─DEAD END─
>>151 暇潰 稜弥でルカルカ★ナイトフィーバー


■━━…話目次
>>3 壱.山崎、頑張る
>>5 弐.稜弥の理想
>>6 参.ねこちゃんがいい
>>7 四.自分勝手すぎる我等が副首領
>>8 伍.おてんば紫娘
>>9 六.面倒な戦闘
>>10 七.高杉、ヒーローになる
>>11 八.稜弥様大好き
>>13 番外.沖田の決意
>>14 九.稜弥風邪っぴき
>>15 拾.高杉、看病する
>>16 拾壱.江戸で見つけた藍色
>>17 拾弐.欲しいモノが出来た
>>18 拾参.任務内容が不服すぎる
>>19 拾四.ツンデレ泉菟初登場
>>20 拾伍.銀時、居る?
>>21 拾六.稜弥のプライド
>>22 拾七.目的現る
>>23 拾八.甘ェよ
>>24 拾九.連れてこられた
>>25 弐拾.キレる紫 散る藍色
>>26 弐壱.攘夷最強の気持ち
>>27 弐弐.大切なモノ、稜弥の価値
>>28 弐参.医務のせんせー登場
>>39 弐四.空気読んでよ ねぇ万斉
>>45 弐伍.高杉さんが居ないんです
>>47 弐六.今は銀ちゃんを信じるアル
>>48 弐七.お土産は甘味で☆
>>53 弐八.手当てをしてやる、脱げ。
>>84 弐九.打ち首獄門だよォォォ!!!
>>90 参拾.テメェには義務がある
>>99 参壱.鬼兵隊船医の底力
>>107 参弐.先生VS藍色 紫VS天パ
>>122 参参.頭の中がぐちゃぐちゃだよ
>>125 参四.勝者は敗者を治療する
>>148 参伍.いっぱい泣いとけ、バカ
>>166 参六.俺は船医なんですが
>>169 参七.拾われた時のお話
>>184 参八.泉菟は俺の嫁。
>>194 参九.先生の優しさ

■━━・・・説明
当スレッドは、銀魂二次夢小説を取り扱っております。
オリジナルキャラクターが中心で、ほぼ高杉さんの妹が活躍するという設定です。
原作沿い、オリジナル、なんでもやります( ´・ω・)

たまに暇潰しと称して、
ボーカロイドの替え歌、
本編とまったく関係のない短編小説などを投稿したりします。
替え歌に嫌悪感を抱く方などはスキップしてお読み下さい。

■━━・・・注意
この小説がアホなオリジナルキャラクターが滅茶苦茶する物です。
オリジナルキャラクターに嫌悪を感じるような方にはお勧めできません。

そのオリキャラと銀魂キャラの恋愛、流血表現が当たり前になるかもです( ´・ω・)
恋愛の相手はまだ考えていません( ´・ω・)
キャラ壊れもあるかもしれません。

その他、帽子屋が嫌い
    銀魂が嫌い
    男なんです

なんて方々は観覧をご遠慮ください。

勿論、荒らしやチェーンメール貼りは堅く禁じます。
作者の性格がチキンなんで、中傷コメントは禁止です( ´・ω・)

━━━━━


それでは、規則が守れる方だけ、小説をお楽しみ下さいw



( ´・ω・)>>0は後後いろいろと付け加えていく予定なんですw




■━━・・・お客様一覧
━紫陽花様
━麻奈様
━空雪【そらゆき】様
━梨栖様
━フルーツ様
━椿薔薇様
━琥奈美様
━光素.聖忌様
━コナ様
━長月様
━プー君♀様
━流様
━★勇羅★(†槐朱†)様
━神無(刹薇)様
━†蒼威†様
━†零無彩†様
━真鶴様
━/゜絆那,様
━ ( ´・ω・ )ショボン玉 様
━CROSS様
━月兎様
━リリ様
「【22】人のお客さんだとよ泉菟。まぁ茶でも出してやりなさい」
「何故貴様が偉そうなのだ。因みに、過去の消えた紫弓スレッドからお越し下さった方々も数えている。いつも有難う。心から感謝するぞ」

それではどうぞー( ´・ω・)

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Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.10 )
日時: 2010/01/15 19:00
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・七


≪ガガガガガッッ!!≫

俺が連射した弓は、相手に当たらず虚しくもコンクリートに突き刺さった。

さっきは6発ぐらい当たったんだけど、それでも気にせずに攻めてくるから、相変わらず面倒なモンだよなァ。

そんな悠長な事言える身じゃないんだけどさ、俺も。

アイツ、ていうかまァ沖田がよ。

前と戦った時より、確実に強くなってやがる。

俺になんて手も足も出なかったくせにさ。

『何、少しは修行でもしたかよ!? 大分強くなってんじゃね? 褒めてやってもいーぜ!』

俺は弓を打つ手を止めて、沖田に吹っかけた。

「テメーに褒められても嬉しくねェや!!」

沖田はそう言いながら、凄い速さで俺に斬りかかってきた。

間一髪で避けた俺は、『チッ』と舌打ちをすると、また弓矢を連射し始めた。


守っては攻め、守っては攻めの繰り返しで、なかなか決着がつかねェ。

だんだん弱っていく沖田と、俺。

傷口から噴射した血が、少しずつ積もりつつある雪を赤く染めた。


言い訳に聞こえるかもしれねェが、俺だって人間だ。

しかも、これでも女なんだよ?

攘夷一の戦闘能力だなんだって言われてるけど、そんなの周りの奴等が勝手につけた肩書きだしさ。

体力にも【限界】っつーもんがある。

それはヤツ(沖田)も同じだろうよ。


時間がどんどん過ぎていく中、それと同時に削られていく体力。

2時間半が過ぎた頃には、もう両者共に呼吸が荒くなっていた。

そんでだよ。

グジュッ!! なんて鈍い音がした。
俺の、足から。


『っぐ……、ァ…』

激痛が電流みたいに、俺の中で流れ出した。

左足に刺さった沖田の刀。

まさかのまさかで、俺が始めて負ける様な形になっちまった。

疲れからか瞬発力が衰えたのかな。
後ろに回りこまれてるのに気がつかなかったよ。

寂しく光る電灯。

飛び散る血飛沫。

痛みが俺の脳を蝕んでって、だんだん意識も朦朧としてきた。

がくん、と膝が曲がって、俺は冷たいコンクリートにしゃがみ込む。

ああもう。
何だよ、ちくしょう。
俺かっこ悪いじゃんか。


「しめーだぜィ、高杉…。あばよ」

沖田がニヤりと笑った。
そしてゆっくりと、刀を高く上げた。
ああ、なんか、バチあたった気ィすんだけど。

多分、何かこう、最近自分勝手だったからかな。
逃げたい、けど、足動かねェし?
考えてても仕方が無い。
俺は覚悟を決めて、ギュッと目を瞑った。





……しかし、なかなか衝撃が来ない。
奥でドサッなんて音がしただけだった。


俺はそっと目を開けた。

そこには。





倒れてる沖田が居て




何故かそこにいる兄貴が




ジッと俺を見ていた。







■━━・・・

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.11 )
日時: 2010/01/15 19:01
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・八


『な、なんッ、あ、兄貴、何で…』

俺はガタガタと震える人差し指で兄貴を指しながら、開いた口が塞がらなくなっていた。

「……チッ、馬鹿げた事しやがって…」

兄貴の舌打ちが大きく響いて聞こえて、俺はちょっと傷ついた。

そんで、兄貴は俺に歩み寄ってきた。

や、やべェ。
殺されるかも、俺。
若しくは、大きく頭叩かれるかも。

でも、俺の予想は大きく外れて、兄貴は何にも言わずに手を差し伸べてくれた。



「おら、けーるぞ」


振り続ける雪とは反比例して、兄貴の手は、不思議とあったかかった。

■━━



「稜弥ざばァァァァァアア!!」

「俺らじんぱい(心配)じだんでずよォォ、グズッ、どご行っでだんでずがァァァ!!」

船に足を引きずりながらも、頑張って帰ってきた稜弥を待っていたのは、涙と鼻水で顔をグシャグシャにした鬼兵隊隊士10人程だった。

医務室で足の治療を受けている最中、ダダダンッと波のように隊士達が流れ込んできたのである。医務室に。

『ちょ、お前等、なんちゅー顔してんだよ!』

稜弥は隊士達の顔を見るなり、とても驚いた様子で言った。

ときどき、足の治療の際に起きる痛みに顔を歪めているが。

『お前等、いつも俺に手ぇ焼いてるみてェだからよ。俺、頑張って功績上げてさ、お前等に見直してもらおーとさー……』

『ま、ちょっと俺が強い事知ってもらいたいのもあるんだけど』と稜弥は後付た。

だんだん小さくなる声。

今回、稜弥は新しく出来た部下にカッコいいとこ見せたいのと、
鬼兵隊隊士達に自分が活躍できる、とても強い、という事を知ってもらいたいのとで、こんな騒動を起こしたのだが。

その稜弥の言葉を聴いた瞬間、隊士達はまたブワッと涙を流す。


「何言ってんすか馬鹿稜弥様ァァ!」

『馬鹿ってなんだよ!』


「稜弥様が強いのは、俺らが一番良く知ってるんですよ!!」

「それに、見直すどころか、鬼兵隊隊士全員、稜弥様の事尊敬してますって!!」

隊士達は口々にそう言った。

それを聞いた稜弥も、少し目に涙が溜まる。

『そ、そうだったのかお前等…、おお、そうだな、もう心配かけさせねェからな! 安心しろよ!』

お前達ー! 稜弥様ー! とそんな掛け合いをし始める。
はたから見てみれば阿呆の集団であるが、稜弥は以前には見せなかった最高の笑顔を、皆に振りまいていた。
とても過激派攘夷集団とは思えない、平和的な図であったのである。






治療受け終わったあと、俺は武市とまた子に説教された。

「おてんばで可愛いのは良いですが、少々副首領としての自覚を持って…」

「そうッスよ稜弥様、もう心配したんスから」

俺はさすがに反省した。

この2人に言われたら、もう頭上がんなくなっちゃうよ、もう。

あの後から兄貴に会ってないけど、2人が言ってた。

兄貴も凄い心配してたって。

あとで、兄貴ん所に酒でも持って飲もうかな。




関係ないけど、俺の部下だった山崎? だったか。
アイツは真選組だったらしい。

でも、そんなに哀しくない。
武市が逃がしたって言ってたから、死んでないと思うし。

何より、あんなのよりもっといい部下が俺に居たんだよ。


つかもう名前も忘れそうだし。


いい部下に恵まれて、俺ァ幸せだな!

さて、仕事でもすっかな。


■━━・・・


━━オマケ


「山崎ィ…、任務失敗たァ何事じゃゴルァァァア!!!」

「うぎゃァァァ!! ちょっ、ふくちょっ、刀はっ、刀は止めてェェエエ!!!」

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.12 )
日時: 2010/01/15 19:02
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━・・・想曲

(敬称略)
歌手:RADWIMPS
作詞:野田洋次郎
作曲:野田洋次郎

紫弓イメージソング
/トレモロ

満天の空に君の声が 響いてもいいような綺麗な夜
悲しみが悲しみで終わらぬよう せめて地球は周ってみせた

本当に伝えたい想いだけはうまく伝わらないようにできてた
そのもどかしさに抱かれぬよう せめて僕は笑ってみせた

「何もないんだってここには」って笑ってる君も望んでる
そんな声もかき消すほどに 膨れるこの万象を

「意味はないんだって僕には」って叫んでる僕も望んでる
無味を悟る その先に浮かぶ光の粒を


最近は映画の見すぎで 奇跡も珍しくなくなったね
心にもないことでもすらすら言えるようになったよ

ほら 僕が僕から離れてく そんな事さえも忘れたくなる
「真実とはねそれだけで美しいんだ」と 言って

満天の空に君の声が 響いてもいいような綺麗な夜
悲しみが悲しみで終わると疑わぬように 神様は僕に夢を見させた

今開いていたページの上に描いてみようかな
「離さないよ 繋いでたいの 僕は僕の手を」

今止まっていた景色が動き出した気がしたんだよ
ほら 僕の鼓動も確かに 刻み始めた4拍子

不器用な僕も描き出してみるよ 終わりに向かってゆく明日の

笑って迎える意味を


歌詞:http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=37111
MAD:http://www.youtube.com/watch?v=kpuJWVfwa6Q



紫弓のイメージソングを選んでみました
RADWIMPSは好きです。いい歌過ぎません?( ´・ω・)

多分これから明らかになるはずの、稜弥の過去。
俺が想像しているのと結構リンクしていたので、これにしてみました。

( ´・ω・)さて、そごたんの無事をしらせる番外編でも書こうかな!


■━━・・・

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.13 )
日時: 2010/01/15 19:02
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・番外




辺り一面真っ白な世界
黒も無ければ蒼も無く、ただただ真っ白な世界に

一人佇む紫頭

そいつァ、凄くにこやかな顔で、俺の前に居た

揺れる鮮やかな紫を、ただ見つめている俺

夢だと分かってた
その気になれば起きれると分かってた

けど

まだ目覚めたくねェ
もう少し見ていてェ
あの紫ヤローを、なんて

馬鹿げた事考えて、起きようともしない俺はそのうち、どんどんとその世界から離れていった。



パチ、と目覚めた沖田が居たのは、冷たいアスファルトの上でも、雪積もるコンクリートの上でも無かった。

暖かく、ふかふかとした布団。

見慣れた部屋。

どうやら、ここは道路では無く、真選組屯所内の様だ。

ムクリと起き上がる沖田。
ピリッと痛む切り傷には、包帯が巻かれていた。

布団の横には、盆には水が入ったコップが置いてあった。

あの道路からここまで、誰かが運んできてくれたのだろうか。

だとしても、感謝はしないが。

「なんでィ…」

沖田はそうボソリと呟くと、掛け布団を被り、ボスッともう1回布団に寝転んだ。

二度寝を決め込む事にしたのだ。

ゆっくり休めるんだったら、休んどこう。
そんな意思のもとである。

暖かい布団の中、昨日の事を思い出す沖田。

(『何、少しは修行でもしたかよ!? 大分強くなってんじゃね? 褒めてやってもいーぜ!』)

あの腹が立つ、沖田曰く紫ヤローの言葉が頭にふと浮かんだ。

決着が結局つかなかった気がする。
もう1回戦いたい。

もう1回会いたい。

……何言ってんだ俺ァ。

布団の中で自己嫌悪になる沖田。

しかし、その顔からは笑みが見て取れた。

「今度見つけた時ァ、俺がぜってェ粛清してやりまさァ…」

そう言うと沖田は、また夢の世界へとゆっくり落ちていった。




「近藤さん、アイツもう起きてんぞ? 仕事させなくていいのか?」

土方が煙草を吹かしながら近藤に聞くと、近藤は天気予報を見ながら答えた。

「ああ、見たところ総悟にしちゃあ珍しくボロボロだったし、休ませてやる事にしよう。それに」

天気予報が放送されているテレビを指差し、近藤は続ける。

「今日の江戸の天気は豪雪暴風。しかも外出禁止令が江戸全域に出てる。俺達も活動できないしなァ!」

ガハハと豪快に笑った近藤。

土方は「へェそうかい」と煙草を灰皿に置いた。

「だけどトシ」

今度は近藤が外に目をやりながら、土方に尋ねた。

「あの木に吊るしてあったザキは…、ほったらかしにしておいていいのか・・・?」

土方は少し間をおいて答える。

「別にいいだろ。アイツ任務失敗した上にボコボコにされて帰ってきたからな。士道不覚悟で吊るし上げの刑だ」

もう外はビュウビュウと吹雪が吹き荒れていた。

山崎がもう半分凍死しかけていたのが2人に見つかるのは、後1時間後ぐらいしてからだった。


■━━・・・

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.14 )
日時: 2010/01/15 19:04
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・九


夜。

外は大雪。大荒れ。大風。

ゴウゴウと鳴ってて、今にも俺の部屋の窓は外れそうだった。

俺は体の熱が異常なくらい熱いのと、頭の中がグラグラしてる違和感で眠れずに、起きた。

『あ……? ンだこりゃ…』

頭痛ェ。
ガンガンする。ダルい。

時計を見ると、針は1時半を指していた。
そういや、医務室の先生は昨日から新しい薬買ってくるために江戸から出てたな。

やべェ。誰にも見てもらえないじゃん。

もう、誰も起きてないと思うし。

あーもう、体火照ってる。本当にヤバい。

そんな事考えながら、俺はとりあえず水欲しさに力が入らない体を鞭打って、部屋から出た。

廊下に出ると、そこが本当に廊下なのかっていうぐらい壁や床が歪んで見えて、さらに気持ち悪くなる。

『ッあ…、ちくしょッ…』

ズリズリと床を鳴らして、俺は食堂に向かう。

少ししか歩いてないのに、ハァハァと息も切れてきた。

熱い。死にそうなくらい、熱い。

どうしよう。水飲む前に、倒れちまうかも。

誰かに助けてもらおうか。いや、皆寝てるかな。

そんな事言ってる場合じゃないか。

また子、は部屋遠いし…
武市と万斉は医務の先生と一緒に出かけてるし?
似蔵なんかには絶対頼りたくない。
隊士達なんかに頼るのは副首領の面目丸つぶれもいいとこだ。

そんな事考えてるうちに、霞んでくる意識と視界。
これはヤバい。死んじまう。

俺はもう半分意識を飛ばしながら、ズルズルとその場に倒れこんだ。

そこは、偶然だったら凄い奇跡だと想うんだけど、兄貴の部屋の前だった。

■━━・・・

高杉は、深夜、廊下からする妙な音で目が覚めた。
ズルズルと何か引きずる音に加え、ガタガタッと何かがなる音も聞こえる。

なんだァ・・・? と眉間に皺を寄せる高杉。
ふつふつと殺気が沸いてくる。というか、もう目に見えるくらい高杉の周りを濃い殺気が取り巻いていた。
大体こういうタイプは寝てるとこ邪魔されると怒るよね。

高杉は枕元に置いてあった刀を持つと、音がする廊下へ続く自分の部屋のドアを、ゆっくりと開けた。

そこで、高杉は予想していなかった物を目の当たりにしたのだ。

そこに居たのは。

『……ッあ、兄貴…?』

顔がとても赤く、目も潤んで、辛そうに荒く息をする、稜弥だった。

高杉は驚きで目を丸くする。

稜弥は高杉を2秒間見つめた後、糸が切れるようにその場に倒れこんだ。

「・・・! オイ、稜、しっかりしやがれ」

そう投げかけてみても、返事は無い。

高杉はとりあえず稜弥を自分の部屋まで運ぶと、静かにドアを閉めた。


■━━・・・


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