二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅*
- 日時: 2010/01/16 17:01
- 名前: 瑠美可 ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=10918
*重要*
>>4オリキャラ募集(出るのは遅いです)
あはは^^; またまた消えてしまったようです。
でも諦めません。何度でも蘇ってくるので、また応援よろしくお願い致します!
お、クリックありがとうございます!
どっちか知らなくても、片方だけ知っていればぜひ読んでください! わかりやすいように描写を入れていくつもりなので^^:;
鋼原則沿いに、あむちゃんが加わっていきます。
え、ただせ君? イクト? 彼らは時々でてきます!
初めまして瑠留です。消えるので名前をカタカナにしました。が瑠美可(るみか)にまた変わりました^^;改めて応援よろしくお願い致します。しゅごキャラと鋼の錬金術師が大好きなので、コラボさせてみました。鋼のテーマが主になります。ちょっとシリアス気味ですが、たまにはギャグも入れたいと思っています。
鋼もしゅごキャラも、どっちも面白いので楽しい小説にして行きたいと思います。たま〜に遊戯王が混ざりますが、ただのキャラなり相手なので知らなくても大丈夫です。
エドとあむが仲良くなる描写が多いので、エドウィンファンには申し訳ありません(短編で補充するつもりでいます)が、最後の落ちは秘密です
本編♪
プロローグ>>1
リオール編>>8>>10,>>13,>>16,>>22,>>27,>>28,>>33,>>37,>>42,>>43、>>46,>>49,>>54
二章
Ⅰ—明けない日(注意! シリアスです! 嫌いな人は読まないほうがいいです)
>>60(詩),>>63,>>67,>>70,>>74,>77
短編(かなり短い)
エドウィン的なもの
>>35
お客様
客様*コメントがなくても、見てくださる皆様に感謝です!前回までのスレにコメントしてくださった方も含んでおります。
(書かれていない方は言ってくださいね)
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- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅* ( No.73 )
- 日時: 2010/01/09 09:17
- 名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: UVmM/A5C)
おっはようございまーす!
ん? 月曜日にテストですか? 月曜日は成人の日じゃ・・・。火曜日?
というか、休みの間に勉強できるじゃないですかぁ! 羨ましい〜〜〜^^
いやいや、るみかさんなら大丈夫ですよb宿題は平気ですか^^?
私の親も働いていますが、午前中だけなので;
私は1時半の昼休みに電話して、すぐに届けてもらいました;
さすがに、提出物は友だちには頼れないので;;(テレホンカードは借りましたが;
体育着は、私も忘れたことありますよ〜〜〜!
あれは友だちに借りましたが、クラスの視線が痛いですよね><
おまけに、先生の視線が怖くて怖くて・・・こっちを、向かれただけで「わあ、ごめんなさいっ」って謝っちゃいそうです(おくびょうw
「弁当にしょうが忘れたから、数学の教科書忘れた。しょうがない」www
笑いました^^ おもしろいですよ;私のよりは^^
ダジャレといえば、私は知らないうちに男子に言ってしまって恥ずかしい思いをしたことがあります;
帰りの会の時、隣の男子が帰りの準備もせずに机で寝ているから、
「猫みたいに寝込んでないで、早く準備しなよ!」って言っちゃって・・・。
そしたら、男子が飛び起きて「お前、うまいなぁ!」と・・・。(その男子はダジャレ好きです
めっちゃはずかったですね;
- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅* ( No.74 )
- 日時: 2010/01/09 15:26
- 名前: 瑠美可 ◆rbfwpZl7v6 (ID: 2zWb1M7c)
「ふふふ……それはどうかしら?」
突如として、背後から声がした。若い、低めな女性の声。驚いて振り向くと、牢屋越しに一人の女が立っているのが見える。
黒いフードを目深に被り、顔を見えなくしている。裾が地面につくほど、長いコートを着ていてやはり全身を覆い隠している。
彼女を見ていると、あむは変な感じを覚えた。心臓の鼓動がはっきりと聞こえる。体中の毛穴が開き、そこから一気に汗が濁流のようにこみ上げてきた。汗が流れる感じがし、全身が冷えていく。
「だ、誰あんた……」
恐ろしさを感じながら、あむは低い声で女に問いかけた。ランとミキの表情も険しくなる。
「私? 知りたかったら、その牢獄から出ていらっしゃい。お姉さんと話をしましょう?」
随分甘ったるい口調だ。まるでバーのホステスのようだ。
からかわれたあむは、むっとしながらも身体を横にした。歪んだ鉄の棒の間を通り、女の前へと立った。 ランとミキも後から続くが、あむと違い楽々通り抜けた。
「あら、えらい」
からかう様に、黒衣の女は拍手をした。
何か企んでいるのか、フードの下から見える唇が不気味な程にやついている。
「じゃあご褒美に教えてあげる。この村では数ヶ月前に大量殺人事件があったのよ」
言いながら、女は片手で何かをあむに投げた。
それは新聞だった。この世界の言語は英語らしく、aやb等の文字がずらずらと並んでいる。新聞なので文字はかなり小さめだ。
本来あむは英語は苦手なはずだが、この世界に来た途端、急に理解できるようになってしまった。何故かはわからない。ファンタジーのように、異世界に飛んだショックから、なのかもしれない。
「えっと本日未明、ルクの村にて殺人事件発生。村人31人全員が死亡……犯人は、ルクの村民 ジュリエット・ガーギャ氏(25)。後に自殺?」
そこまで言ってあむは、新聞の顔写真に目をやった。
黒い髪の女性だった。鼻が高い美人な顔立ちだ。しかし、目つきは鋭く、いかにも事件を起こしそうな顔をしている。
待って……今。目の前にいる女は? フードから見える髪は黒。まさか!? あむがそう思ったとき。
「!」
急にあむは口元にハンカチを当てられてしまった。
抵抗を試みるが、もう片方の手で身体を押さえつけられ逃げられない。
「うふふ。ジュリエット・ガーギャって、誰のことだと思う?」
いつのまにか黒衣の女がフードを取り払っている。そこにあった顔は……新聞に載っていたジュリエット・ガーギャその人だった。
ジュリエットの血のような赤い瞳が、囚われたあむを映しこむ。
ジュリエットはあむの口元を覆う手を、さらに上に動かした。ハンカチがとうとう鼻まで覆いつくす。
息が出来ない。苦しい。あむは必死に身体をばたつかせた。だが。
ハンカチから何か臭いがした。それを嗅いだら、景色が薄くなり始めた。ランとミキの声が、やけに遠く感じる。息が出来ない、苦しさもない。
(やばい……あたし、どうなるの……)
そう思っていたら、視界が暗くなった。
テレビの電源を切ったかのようだ。
〜つづく〜
- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅* ( No.75 )
- 日時: 2010/01/09 15:37
- 名前: 瑠美可 ◆rbfwpZl7v6 (ID: 2zWb1M7c)
ラッピー様
卯ひゃ嗚呼ああ!(めちゃくちゃ!)
NO月曜日! YES! 火曜日です。
うちまちがるとは、恥ずかしいにも程があります;;
休みの間に勉強は出来ますが、多分遊びます。(いつものこと)
ラッピー様のダジャレはお上手ですね!
クラスメイトは駄洒落より、変なからかいのほうが多いので最近はあまり聞けません><
そういえば今日、ポケ大好きなクラスメイトが「ポケモン・マスター」と呼ばれていました^^;
謎ですね……
- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅* ( No.76 )
- 日時: 2010/01/09 17:12
- 名前: ハル (ID: C4wHHg61)
お久です!とっても良かったよぉ〜
ところでスゥとダイヤは出てきますか?出来れば出していただきたい(・ω・)ノシ
- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅* ( No.77 )
- 日時: 2010/01/16 17:00
- 名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)
「……ちゃん!」
ランとミキの声も、ぷつりと途絶えてしまった。目の前は何もない黒に染められてしまった。
——いったいどのくらい眠っただろうか。不意に感覚が蘇ってきた。手先が冷たい。足も冷え込んでいる。そしてどこか懐かしい匂いを感じる……あむはがばっと起き上がった。そしてはっとした。何故か椅子に座っていた。右横は教室の壁。そして真下には机。机の上には算数の教科書が広げられ、その横には宿題のプリントが置かれている。プリントは問題が解きかけのままで、その上にシャーペンが転がっていた。
「ここ……教室だ……」
あむは辺りを見渡した。
教室の中はあむ以外誰もいなく、廃墟のように静まり返っていた。それに電気が消されているので、かなり薄暗い。担任の二階堂先生が、消したのかもしれない。ただ差し込む夕日のおかげで、窓側だけはとても明るい。その光に誘われるように、あむはふらふらと窓辺へ歩いた。そして窓の前で立ち止まる。
外は、もうすっかりオレンジ色の空になっていた。完全に寝過したのだ。そんなあむを馬鹿にするように、黒いカラスが鳴きながら飛び去って行った。
窓の下では、クラブ活動が終わったらしい上級生たちが、楽しげに笑い合いながら門の方へとぞろぞろ歩いている。
「やっば! あたしも帰らなきゃ!」
あむは慌てて帰りの支度にとりかかる。まずシャーペンを筆箱に仕舞い、鞄に入れる。続いて算数の教科書を鞄に入れ、最後にプリントをファイルに仕舞って終わりだ。
席を立ち、椅子を机の中にきちんと仕舞い込む。それから鞄を持つと、大急ぎで出入り口に向かう。その時、教室の前を横切っていた生徒二人が足を止めた。そして順々にあむに声をかける。
「あ、あむちー!」
「日奈森さん! ちょうど今、起こしに行こうと思っていたんだよ」
一人はあむより少し背が低い女の子だ。ちょぴり幼さを感じさせる顔立ちと、明るい茶色の髪を持っている。髪は、耳の上あたりから立派な赤いリボンでツインテールにしている。本来首から下はネクタイのはずだが、彼女は髪につけているのと同じリボンをしている。
もう一人は女の子のように可愛らしい顔立ちをした子。ブロンドの前髪を右側に流し、後髪は首元で揃えられている。優しげな赤みが強い茶色の瞳が印象的だ。
上のシャツはあむと同じだが、下は青いチェックのズボンだ。
この聖夜小学校では、女子の制服は赤いチェックのスカートだが、男子の制服は青いチェックのズボンなのだ。
「やや! それに……唯世(ただせ)くん!」
女の子の方が『結城 やや(ゆいき やや)』。男の子は「ほとぼり(注・変換できなくてすいません) 唯世」と言う。二人ともあむの友達だ。
「もう! ガーディアン会議サボるなんてひど〜い!」
ややが頬を膨らましながら言う。まるでわがままを言う子供のようだ。それを見た唯世は苦笑いをした。
ちなみに「ガーディアン」と言うのは、聖夜小学校においての「生徒会」である。代々しゅごキャラを持つ人間——キャラもちの子供が受け継いでいく。
行事を企画したり、書類にはんこうを押したり……とても小学生なのに、やることは多くて大変なのだ。その会議を、あむは寝過したわけで。
「日奈森さん、結構疲れていたみたいだから……ほら。最近、運動会の準備で大忙しだったからね。仕方がないと思うよ」
「そっかなぁ? 確かに昨日は色々大変だったけど……やっぱしずるい〜!」
「ご、ごめん……明日はちゃんと行くから!」
あむは両手を合わせると、頭を前に下げた。
その時、変な考えが頭に浮かんだ。
——本当に明日は来るのかな? あたし、何かを忘れている気がする……
「明日は来ない。あむは、夢を見ているんだかな。」
あむの疑問に答えるように、ちょっと柄の悪い男の声が聞こえてきた。振り向くと声よりも幼そうに見える少年がいた。あむよりも小柄で、パッと見ると女子と名乗っても通じそうな程かわいらしい。小柄なことを気にしているのか、頭には黄色のアホ毛がピン、と電波を受信するかのように立っている。さらに靴も厚底のブーツ。……きっとせめてもの抵抗なのだろう。唯世よりも濃い金髪を、後ろで一つに三つ編みにしているのが何とも女の子らしい。ただ格好が黒いシャツに、黒いズボン。そして赤いコートと何だかド派手な格好をしている。何故か手には白い手袋をしているのが謎だ。
「えっと……あんた、誰? でも知っている気がする……」
自分の名前を知っているようだが、当然あむに覚えはない。ただ、彼につい最近会ったばかりのような気がするのが不思議だ。何故だか心のそこから、懐かしさがこみ上げてくる。名前も知らないのに——
「ちょっと君〜! あむちーに変なこと言わないでよ!」
ややは少年に近づくと、あむを指差しながら言った。唯世も顔に嫌そうな雰囲気を宿しつつ、少年に近づいていった。二人に囲まれても、少年はひるむ様子を全く見せない。それどこか、呆れるようにため息をついたのだ。
「変? 俺はあむに真実を伝えたいだけだ」
少年はあむの方に向き直った。金色の目が、あむの顔をじっと捉える。あむは魔法にかかったように、その少年の目を見つめる。
「あむ、思い出せ。お前のやるべきことを。お前の進むべき道を」
「あむちーの進む道はこっちだよ! 考えなくてい〜じゃん! そうでしょ?」
少年は静かに、そして強く言い放った。それを邪魔するかのように、ややが強くあむに迫る。
「あたしのやるべきこと……」
あむは少年の言葉を反復した。そして何かを考えるように、うな垂れた。
そうだ。あたしには、やるべきことがあったはずだ。とても、とても大切なこと。なんだっけ……とあむが悩んだ時だった。ポケットが急に輝き始めた。違う。ポケットの中にある何かが輝き、光がそこからもれているのだ。気になったあむは、ポケットに手を入れ、それを取り出した。出てきたのは、銀色の時計。ライオンのような紋章と、六芒星が彫刻された時計だ。何かを訴えるように一層輝きを増す。しかし今は金色に光っているので、金メダルを持っているような感じだ。あむは眩しさから、目を細めながら銀色の時計を強く握る。すると頭の中に不思議な映像が浮かんできた。自分が見知らぬ土地に立っている。その傍で少女が一人、泣き崩れている。その横を目の前にいる少年と大きな鎧が通り過ぎる。そして言う。
「立って歩け。前に進め。あんたには、立派な足が付いているじゃないか」
少年が呟くのと同時に、あむもまたその言葉を唱えた。あむの声と少年の声が、互いに重なり合い美しい響きを持つ。それと同時に、頭の『記憶』と言う血液がようやく回り始めた。一気に今までの旅の記憶が、鳥が一斉に羽ばたくようにこみ上げてくる。そう、それは自分が唯一信じている魔法の言葉。
「あたしは進まなくちゃ行けない。ここは、ここは」
あむは一度言葉を飲み込んだ。続けたくないからだ。認めたくない。でも……いつかは必ず帰れる場所だと信じて。あえて言おう。
「ここは夢の世界だから!」
「日奈森さん……」
「あむちー……」
その言葉で唯世は残念そうで、そして今にも泣きそうな顔をし、ややに至ってはしゃくりあげて泣き始めてしまった。二人の意外な反応にあむは戸惑う。
「二人とも!? どうしちゃったの……」
夢にしてはリアルすぎる演出だ。
そういえばここは夢のはずなのに机の匂いも、手足の感覚も感じることができる。
(もしかして……あたし戻ってきたの?)
あむの心に疑念がさした。
すると目の前にいたエドが、あむに向かって片手を差し出してきた。まるで本当の紳士のようだ。あむは、はっとした表情でエドを見つめる。エドは何も言わず頷いた。それから、
「帰ろう、あむ。お前のいるべき世界はここじゃない。ここにはランもミキも、アルもいない」
とあむをしっかり見据えながら言った。あむはその手をとろうと手を伸ばした——しかし唯世とややが悲しむ顔を一瞬でもと見てしまうと、途端に手を引っ込めてしまった。
その光景を見ていた唯世が不意に口を開いた。
「日奈森さんのいる世界はここだよ。ここにランとミキはいないかもしれないけど……代りに僕たちがいる。さあ、ここに残って」
「!」
そしてなんと唯世までもあむに手を出してきた。ややも泣きやみ、潤んだ目で唯世と同じことをする。
あむはうつむいてしまった。悩んでいるのか、と誰もが思った。が、悔しそうに歯ぎしりをしているではないか。
「ふざけないでよ……本当の唯世くんとややだったら、絶対そんなこと言わない」
顔を上げるとあむは、唯世とややをビシっと指差し、強く言い放った。
「二人とも偽物だ! 二人はしゅごキャラの大切さをわかってない! ランもミキも……まだ眠っているスゥもダイヤも。みんなあたしの大切な仲間よ。もちろん、唯世くんと、ややも。だから」
そこから先が詰まった。あむの目から一筋の涙が頬をすべり、地面で弾けた。まるで花弁が舞い上がるように弾け、輝くボールがわずかに生まれる。廊下がわずかに濡れる。
「だから……だから」
涙が狂ったようにあふれてくる。もう止められない。まるであむの目が雨を降らせる雲になってしまたよう。しかし。
「だから待ってて! いつか絶対みんなに会いに来るから! 唯世くん、りま、なぎひこ、やや、空海(くうかい)! それにイクト、歌唄(うたう)!」
雨雲はいつか必ず晴れる。そしてその後に来るのは青い空——異世界に飛んでからまだ会っていない仲間。ガーディアンの顔を。知り合いの顔を。頭に浮かべながら、あむは声の限り叫んだ。何度も何度も。頭の中は、全て友達の顔と思い出で占拠されている。ただ仲間を呼ぶことしか考えられなくなっていた。
『そうよあむちゃん。いつかまた会えるわ……』
脳裏に女の子の声が聞こえた。小鳥がさえずるような美しい声だった。
「ダイヤ……!?」
ダイヤの名前を呼んだ時だった。
突然エドの身体が光りを発し始めた。そしてどんどん小さくなっていく。それと同時に、周りの景色が、唯世とややが、青く光る粒子となって溶けるように消えていく。一瞬ですべては消え、粒子がふわっと広がったかと思うと、目の前で弾けて消えてしまった。
溶けた後は黒い闇が姿を露(あらわ)になる。
あむはとっさに唯世とややに手を伸ばそうとした。だが、必死に理性で感情を抑え込んで何とか引っ込めることができた。消えていく二人を見ながら、呆然と立っていた。やがて二人が消え、辺りが暗くなると、力が抜けたように膝を地面に着いた。
『あむちゃん』
エドの縮小が、あむの拳ほどの大きさで止まった。そしてパッと花が開くように、光が散った。
そこにはエド……ではなく、しゅごキャラが光りながら浮いていた。
オレンジがかかった髪を、頭の上からのツインテールにしている女の子だ。ツインテールは長く、毛の一番先っぽは彼女の白い靴の先まで来ている。
左耳にはステージ用のピンマイク。頭には白いカチューシャをしていて、その右はじには大小二つのダイヤ型の飾りがある。服は明るい黄色のワンピース。
彼女の名はダイヤ。ランとミキと同じく、あむの『なりたい自分』の一人だ。
「ダ、ダイヤ! 何でエドがダイヤになっちゃうわけ!?」
『エドは私が作った幻想。……あむちゃん、早く夢から覚めて』
ダイヤの言葉で、これが改めて夢だと知ったあむは、ダイヤに気になった疑問をぶつけてみる。
「幻想って? ここはただの夢じゃないの?」
『ここはジュリエットが作り出した、邪悪な世界。例えて言うなら、ここは檻。さっきの夢は甘い餌なの。甘い餌であむちゃんをおびき寄せて、捕まえる気だったの。でも間に合ってよかった。捕まったらもう終わり……元の世界にも、エドがいる世界にも帰れなくなるわ。』
ダイヤは辺りを見渡しながら語った。
周りは黒しかない。もしダイヤが光っていなければ、真っ暗闇だ。唯一の光で太陽のようだ。もし夜に太陽が照っていたら、こんな風景になるのではないだろうか。
「あたし幻を見せられていたってこと?」
ダイヤは静かに首を縦に振った。
『そう。幻を見せられていたの。ちなみに今、あむちゃんの世界ではこんな感じになっているわ』
ダイヤがある場所を指差した途端。また突然暗闇が、元の夕暮れ時の教室へと変わった。あむの目の前——窓側の一番後ろの席に、唯世とややがいた。
二人とも表情が重苦しい。そして沈黙をまとっていた。
「ねえ、あむちーが行方不明になったって本当?」
最初に切り出したのはややだった。でもいつもとは違う、真面目さがこもった口調だった。
「うん……日奈森さんのご両親が言っていたんだけど、朝起きたら突然いなくなったらしいんだ。制服もないし、学校の鞄もないから、学校に言ったと思っていたらしいんだけど……」
「あむちー来てなかったよね」
「そう。だから、日奈森さんは家出したってことになっているみたいだよ。警察の人も一生懸命に探しているって言ってたよ」
「あたし……やっぱり行方不明になっているんだ」
あむはそう言うと、俯いてしまった。現実だとは分かっていても、事実を突きつけられると心が痛んでくる。
同時に教室が、また暗闇の世界に戻ってしまった。
『そう。みんな、あむちゃんのことをとても心配しているわ』
「みんな……待ってって! 絶対に戻ってくるから!」
誰もいない空間に向かって、あむは誓いを述べた。もちろん返事はない。その時、ダイヤの輝きが強くなった。眩しすぎて、目を開けたままにできない。
「ダイヤ!」
『これから先、色々とあると思うわ。きっと死にかけることだって、くじけることだってある。でも、何があっても諦めないで。希望を見失わないで——』
ダイヤの輝きが一層強くなり、あむはその光に身を持ち上げられたが気がした。だが、それは急に落下する感覚へと変わっていく。
あむはようやく目をあけた。ようやく光が弱まったのだ。ダイヤが遠ざかっていく。どんなに手を伸ばしても、空を切るだけ。掴めそうなのに、掴むことができない。掴めない代わりに、あむは何度もダイヤの名を呼んだ。叫びすぎて声がかれるくらいに。
*
「ダイヤ!」
あむは、腹筋を使いむくっと起き上がった。右手を前に出しながら、だ。
「あ、あれ……」
いつのまにか風景が変わっていた。外は暗く、星たちが自分たちの力を使って懸命に輝いている。
目の前には鉄の格子。鉄の檻の向こうには、長い銃を持った男が立っている。そして通り過ぎていく人々。リオールで見たような格好をしている。それと、夜の色を移し、ますます気味が悪い血色の池。
「ここ、ルクの村……だ。あたし、帰ってきたんだ」
しかしルクにしては様子がおかしい。昼間見た時と様子が全然違うのだ。
鉄の格子はねじれていなく、まっすぐに。滅んだはずなのに人が。家々には明かりがともり、楽しげな笑い声が聞こえてくる。変わっていないのは、あの血の池だけだ。夜になったせいか、色が濃くなったように見える。
「よう、お嬢さん。ようやくお目覚めかい?」
後ろから声がした。振り向くと、昼間骨があった位置に、人間がいた。あぐらをかき、退屈そうに両手を頭の後ろで組んでいる。
縦じまの囚人服を着た、ひげが濃いおじさんだ。50代くらいだろうか。
「あ、あなたは?」
「俺? そうだな……シンとでも呼んでくれ」
「あたしは日奈森 亜夢って言います」
「ああ、知ってる。こいつらから話を聞いた」
シンは自分の左横を指差した。
そこにはランとミキがいて、あむを見るなり喜んで彼女のもとに飛んできた。
「あ〜むちゃ〜ん!」
「よかった! 目が覚めんただね!」
二人を順に見てから、あむは笑って言った。
「ただいま」
「おかえり!」
ランとミキが同じく言った。
その言葉であむは何となく安心した。あたしのいる場所は、ここなんだな。と改めて感じた。
〜つづく〜
なんかまた消えた^^; ってことで、こっちにコピーしてきました!
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