二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 混濁の大空—REBORN— —第二章—
- 日時: 2010/07/04 10:25
- 名前: 冷却 (ID: A2keqJ/o)
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—『 』。
—最後に聞こえた言葉は、淡く泡となって消えていった。
混濁=澄んでいない事。濁っている事。
ジャンルはトリップ&切ないシリアス系統です。
・目次
—第一章—
第零話 —灰色— 暇潰しの自殺行為。
第一話 —二年後— あれから二年後。
第二話 —ザンザス— ザンザスとの出会い。
第三話 —暴走の覚悟— 何かが、弾けとんだ。
—第二章—
第四話 —成長— あれから十年後。
第五話
第六話
第七話
第八話
第九話
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- Re: 混濁の大空—REBORN— ( No.2 )
- 日時: 2010/07/02 16:03
- 名前: 冷却 (ID: A2keqJ/o)
第一話 —二年後—
—あれから、一年が経ち、二年が経った。
つまりは——・・・現在沢田綱吉二歳。
「・・・」
「つーなーよーしー」
「・・・なに、とうさん」
俺は興味無さそうに答えた。
実際、興味なんて無かった。
父さん・・・—沢田家光は俺を見て苦笑する。
「もっと笑顔に成った方が可愛いぞォ〜綱吉〜」
グイッと口の箸をつままれて引っ張られる。
「・・・とうひゃんいひゃい」
パッと離した父さん。
俺は顔を抑える。
「ハハッ・・・だけど、本当笑ったほうがいいぞ〜?」
「・・・ぶあいそうでわるかったね」
俺はプイッと顔を背いた。
「綱吉〜?おやつが出来たわよ〜?」
「・・・ん」
俺はキッチンにあるイスに座り、スプーンを持って目の前に置かれたパンケーキを頬張る。
甘い・・・。
「・・・すこし、あますぎない?」
「あら、そう?」
俺はコップに注がれたお茶を口に含む。
あまり、甘いのは好きじゃないんだ、俺は。
「かーさん、おれ、あそびにいってくる」
「きをつけるのよ〜?」
俺は玄関で靴をはいて、外へでる。
◆
「ツナじゃん、おれたちとあそぼーぜー!」
「ごめん、おれ、いくところあるから」
歩くたびに近所の少年少女に遊びに誘われる。
あまり外出は好きじゃないが、たまに出ないと体がなまる。
更に俺は溜息を吐いた。
「・・・(あれから二年か・・・)」
そこで視線を公園に移すとそこには小石を一人の少年に投げつけている少年達が居た。
俗に言う、いじめらしい。
「いたいよっ」
「あはははっ!こいつないてやがるぜッ!」
(お前等がそんな事するからじゃねぇか)
俺はそう想いながらメンドクサソウに少年の前に立ちはだかるように・・・庇う様に立った。
「なんだぁ?」
「いじめってみじめだよ、やめれば?」
「ッチッ」
いじめっ子達は去って行った。
俺は後ろを向いて少年を見た。
「だいじょうぶ?」
「あ、うん・・・」
少年は差し出した俺の手を握って、立ち上がった。
少年の顔を見る。
「おれ・・・《笹川空也》っていうんだ、よろしくね!」
「おれは沢田綱吉。・・・よろしく」
俺は、無表情で彼に答えた。
「くうやー!かえろー!」
「あ、うん!お姉ちゃん!」
「・・・?」
向こう側から走ってくる少女に、眼を移す。
ロングの髪に茶色の色素。
大きな眼・・・。
・・・—何処かで見たことがあるような。
「あ!ツナ君だね!はじめまして!」
「・・・」
「みんなからきいてるよ!ねぇ、私とともだちになってほしいな!」
「・・・きみのなまえは・・・」
「笹川、京子だよ!」
—今、気付いた。
—この世界が、REBORN!の世界だと。
- Re: 混濁の大空—REBORN— ( No.3 )
- 日時: 2010/07/02 16:43
- 名前: 冷却 (ID: A2keqJ/o)
2、
「ただいま」
「お帰りなさいツッ君」
俺は家に帰って頭を抱える。
最終的に俺は沢田綱吉——・・・前世の名前と同じ奴の成り代わりだったってことか。
・・・冗談じゃねぇ。
「(めんっどくせぇ奴のポジションじゃねぇか)」
一番波乱万丈で疲れ、疲労が溜まるポジションだ。
だけど同時に——・・・。
「(平凡な毎日よりも、楽しいかもな・・・)」
—俺は、少しだけワクワクした。
母さんが部屋に入ってくる。
俺は、絵を描いていたペンを止めた。
「ツッ君、ご飯よ」
「いまいく」
俺は立ち上がって、部屋を出た。
スケッチブックに書かれていたのは、リボーンと山本達の姿だった。
◆
—夢を見た。
俺は、誰かの墓の前に立っていた。
この墓には、誰が居るのかもわからない。
母親か——・・・父親か。
はたまた研究員達か。
友人か。
それとも——・・・。
—俺の、墓なのか。
◆
眼を覚ます。
自分の姿を見て、頭を覚醒させた。
—幼児姿。
俺は今、沢田綱吉だ。
「・・・へんなゆめ・・・」
布団から這い出て、今日も沢田綱吉になる。
俺だけの、沢田綱吉を。
- Re: 混濁の大空—REBORN— ( No.4 )
- 日時: 2010/07/02 17:51
- 名前: 冷却 (ID: A2keqJ/o)
第二話 —ザンザス—
「・・・」
俺は手の平から燃え上がる炎を見ていた。
その炎を握りつぶすような形にして、消す。
—この力は、誰にも見せないほうがいいな。
この炎を見れば、必ずしも命を狙う奴等が現れる。
母さん達も——・・・危なくなるだろう。
「ツッ君、降りてきなさい」
「・・・うん」
◆
—空港。
俺は空港に辿り着く。
どうやら父さんの《上司》が来ているらしいと言う事だった。
・・・上司って、あの人しか、居ないよな・・・。
「お久しぶりです九代目」
「あぁ、久しぶりだね、家光」
—あぁ、やっぱり。
ボンゴレ九代目こと、ティモッテオ。
沢田綱吉をボンゴレ十代目に育てようとする張本人。
俺は、母さんの陰に隠れる。
—マズイ。俺が炎を使えるって知られる・・・。
なまじ、九代目も超直感を持ってることだしな。
九代目は微笑んで俺に近づいた。
「始めまして、綱吉君」
「・・・ッ」
凄く、澄んだ眼。
俺の眼とは正反対の——・・・。
「・・・—?」
俺は、九代目の陰に誰かがいることに気付いた。
九代目はソレに気付いたのか、
「あぁ、このこはザンザスと言うんだ」
「・・・フン」
「(・・・ザンザス・・・!?)」
原作とはまるで違う出会い方。
存在の仕方。
—俺の登場で、原作が変わった・・・!?
「・・・ザンザス、君」
「何だ」
「俺、沢田綱吉って言うんだ、宜しく」
俺は無表情で呟くように言った。
ザンザスはソッポを向く。
「そうだ。ツナ君、良かったら——・・・」
—嫌な予感がする。
「ザンザスと遊んでてくれないかい?」
(俺・・・超直感まで覚えてきたかも・・・)
「・・・うん」
俺は、頷いてザンザスの手を握る。
ザンザスの手は大きかった。
「(ザンザスって絶対年上だよな・・・)」
俺はザンザスの顔を見る。
「・・・なんだ」
「いや、なんでもないよ。ねぇ、あそこいこう」
俺が指をさした方向にあるのは、ベンチ。
とにかく今は座りたかった。
大人しくザンザスも座ってくれた。
しばらく沈黙が続く。
俺は耐えかねて口を開いた。
「九代目って、優しそうな人だよね」
「あの老いぼれは甘すぎるだけだ」
「うん、マフィアとしては甘いし裏社会でも甘い」
「お前・・・マフィアのこと・・・」
ザンザスは驚愕していたが。
俺は淡々と続ける。
「ねぇ、ザンザス」
俺はザンザスの眼を見た。
赤色の綺麗な目。
ルビーのように、真っ赤な。
「ともだちになろう」
「は・・・?」
ザンザスの顔が呆然とした。
俺は無表情でザンザスの顔を見る。
「だから、ともだち」
「・・・」
「おれのめいれい」
俺はニヤッと笑っていって見せた。
その言葉に何故か顔を赤らめるザンザス。
「・・・カスが」
プイッと顔を背けたザンザス。
◆
「かあさん、」
「あら・・・何時の間に仲良くなったの?」
俺とザンザスは手を握っていた。
あれからまぁ、色々とあって仲良くなった。
ザンザスが顔を背ける。
「・・・フン」
「(・・・そうか・・・)ツナ君」
「なんですか?」
俺は九代目の顔を見た。
九代目は微笑んでいる。
「ザンザスと友達になってくれて有難う」
「・・・」
「ザンザス、行こう」
九代目は今度はザンザスの顔を見て微笑む。
するとザンザスは俺に何かを差し出した。
「・・・懐中時計?」
銀色の、ボンゴレのマークが入った懐中時計。
「・・・やる」
「・・・」
—俺はザンザスに笑いかけた。
ソレを見て母さんと父さんが驚愕する。
「あら、滅多に笑わないツナが笑ったわ・・・」
「相当嬉しかったみたいだな」
「ザンザス、有難う」
「・・・フン」
ザンザスは踵を返して、九代目と帰っていった。
◆
「・・・ザンザス」
「・・・なんだ」
九代目は構内でザンザスに話しかける。
ザンザスは不機嫌そうにした。
「何でもないよ。只、良かったと思ってね」
「・・・」
(人嫌いなザンザスがあの子にだけ懐いた・・・か・・・)
九代目は優しげに微笑んでいた。
- Re: 混濁の大空—REBORN— ( No.5 )
- 日時: 2010/07/04 10:06
- 名前: 冷却 (ID: A2keqJ/o)
第三話 —暴走の覚悟—
—本来なら君は生まれるべきじゃない。
声が聞こえた気がして、眼を覚ます。
「・・・あぁ・・・」
—ジャラッ・・・
両手につながれた鎖を見て思い出す。
俺は今、監禁されてるんだった。
「起きたか」
目の前に立つ男。
俺は只、その男の顔を見るだけだった。
確か俺は、家に帰る最中、誰かに睡眠薬を嗅がされて・・・。
「しかしまぁ・・・こんなガキがボンゴレ十代目有力候補だなんてな・・・」
—有力、候補・・・?
そんな訳が無い。
原作ではツナは、最低候補者だったはずだ。
「・・・!」
—また、原作が変わったのか・・・?
「すこーし、大人しくしてて貰うぜ?ボンゴレ九代目が来るまでな」
「きゅうだいめ・・・」
狙いは、俺の殺害とボンゴレ九代目の殺害・・・ボンゴレを潰すのが目的か・・・。
俺は頭をフル回転する。
だが、これ以上動けば原作から外れる。
つまりは——・・・未来も、変わってしまうと言う事だ。
「・・・それだけは」
避けなければ。
「・・・おっと、来たな・・・」
男が、窓の外を覗き込む。
今気付いたが、どうやら此処はある工場跡らしい。
—そんな事よりも。
「・・・くるな・・・」
—ボンゴレ九代目は、殺される。
超直感が告げる、最悪の予感だった。
「・・・約束どおり、来た」
扉を開けて入ってきた九代目は、真剣そうな表情をしていた。
「・・・あ・・」
「・・・条件はなんだい?」
「そうだなぁ・・・まずは、」
—ガチャンッ
九代目に銃口が向けられた。
「死んでもらおうかなぁ・・・」
「・・・」
「 」
俺は俯いて何かを呟いた。
抑えきれない衝動に駆られる。
—お前なんか死ねばいいんだよっ!
—ハッガキが。
—死ねよ。
—ドクンッ
何かが、弾けとんだ気がした。
「・・・・・・——だ」
「あぁ?」
男が俺を振り向いた。
俺は顔をユラリと起こした。
「やめろっつってんだよテメェ!!!」
—ガシャァァァァンッ
両手の鎖と手錠が弾けとんだ。
俺は立ち上がって男を睨む。
「なっ・・・」
「・・・コレは・・・」
「テメェ・・・テメェだけは、許せない・・・」
—ボアァァァァッ
両手と額に炎が灯り出す。
眼を震わせて、自然と体が震える。
「な、何だこれハッ・・・」
「死ぬ気になってるのか・・・!(だが、これじゃあ暴走と同じだ・・・)」
体をユラリと、動かして男の前まで近づく。
男は一歩下がった。
「あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
炎が舞い上がる。
—何も考えない方が楽だ・・・。
俺は、意識を闇に沈めた。
◆
「ん・・・」
眼を覚ますと目の前に九代目が立っていた。
頭を覚醒して記憶をたどってみるが——・・・。
ほとんど、覚えていない。
「大丈夫かい?」
「・・・すこし、からだがだるいです・・・」
「生命力の死ぬ気の炎を大量に使ったからね・・・体を休めておきなさい」
「・・・おれ、なにを」
「キミは、死ぬ気の炎が暴走してしまったんだよ」
九代目は微笑みながら、俺にそういった。
男の言葉を思い出した俺は、
「おれが、《最有力候補》って・・・どういうことですか?」
「・・・きみの包容力・・・まるで大空のようだったんだ。君の面影が一瞬初代に似てる気がしてね・・・ソレで私はキミを最有力候補として、認めたんだ」
「・・・ザンザスは」
「賛成してくれたよ。君がボスになるなら、良いと言ってくれてね・・・。それより、キミはボンゴレの事を何故知っているんだい?」
俺は、そこでハッと成った。
「・・・いまは、いえません」
「・・・そうか・・・次期に教えてくれるかい?」
「はい」
俺は少しだけ笑みを作る。
—偽善だけど。・・・—何故?
—偽りだけど。・・・—本物は何処に?
「・・・」
「そうだ、綱吉君」
「・・・なんですか?」
「明日、私はイタリアへ帰る。キミも、一緒に来ないかい?」
「・・・—」
「死ぬ気の炎の訓練も兼ねてね・・・」
「・・・おれは、」
そこで躊躇する。
此処で、イタリアに行けば原作が崩れる。
ほころび始める。
だけど——・・・。
「・・・おれは、イタリアにいきます。行って、炎の使い方をおぼえて、つよくなる」
「・・・そう、か・・・じゃあ、明日」
「・・・はい」
◆
次の日。
俺は、イタリアに向かう事になった。
母さんと父さんは見送ってくれて。
俺は、未練も無く、イタリアへ、向かった——・・・。
- Re: 混濁の大空—REBORN— —第二章— ( No.6 )
- 日時: 2010/07/04 10:24
- 名前: 冷却 (ID: A2keqJ/o)
第四話 —成長—
—イタリア、ボンゴレ本部—
ノックがされる。
俺は扉を開けた。
「綱吉君、ちょっと話いいかな」
「・・・なんですか?」
俺は、首をかしげる。
九代目は部屋に置かれたソファーに座った。
「もうキミは中学生だ。どうかな、日本に帰ってみたら」
「・・・」
俺は、少し考え込むようにした。
—あれから、十年。
俺は今13だ・・・。
—原作が、始まるのか。
「・・・そうですね、そろそろ、恋しくなってきましたし」
「そうか・・・こちらでジェット機を手配させよう。今日当たり、出発をするよ。ザンザスとかに会いに行ってたらどうだい?」
「・・・ハイ」
九代目が去った後で、俺はザンザスの部屋を訪ねる。
扉は躊躇無く開けられた。
「ザンザス、」
「・・・老いぼれから話は聞いた。・・・帰るのか」
ザンザスは寂しそうに顔を歪める。
俺は、フッと不敵に笑う。
「大丈夫、また会えるから」
「・・・超直感か」
「まぁね」
—嘘だよ。・・・——ゴメン。
「・・・じゃあ、もう行くね」
「・・・あぁ」
俺はザンザスの部屋を、出て行った後で、悲しそうに顔をゆがめた。
「・・・一年後、また、会おう」
キミが、暗殺部隊のボスとなった日に。
◆
「今まで、有難うゴザイマス九代目」
「こちらこそ有難う。ザンザスの友達になってくれて」
九代目は微笑む。
俺は不敵に笑って、手を振ってジェット機に乗り込んだ。
—九代目、また、一年後に。
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