二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ボカロ 人柱アリス
日時: 2012/05/03 13:37
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

 人柱アリスを、書いてみようと思います。
前から少しずつ書き進めていた話ですが、投稿は初めてです。曲を聴いて考えてみた話ですので、ちょっと違うと思う所が多少あるかもしれません。

 荒らしは禁止です。

 コメントもらえると嬉しいです。

  ・・・・以上!亀更新となりますが、頑張ります!

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Re: ボカロ 人柱アリス ( No.6 )
日時: 2012/05/10 20:06
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

 あっという間に古本屋に着いた。ベルの付いた木製のドアを押し開ける。

   ・・・ちゃりん・・・

 軽い、綺麗な音がする。数多くの本棚には本がぎっしりと詰まっていた。店内はオレンジ色っぽい明かりに照らされて少し薄暗いが、店の雰囲気に良くあっている。
「参考書は・・・・あっちね」
 天井から吊り下げられているプレートに、その下にある本の種類が記載されているのを見て目的の場所に向かった。品揃えは古めかしい店内に合わず、真新しい物ばかりがそろっている。
確かに、参考書などは新しい物でないとなかなか売れそうに無いが。
 友達がくれたメモを見ながら、目的の本を探・・・・・

「何をお探しですか?」

  ・・・していると、黒い服ばかりを着込んだ若そうな男の人が隣に立っている。
この店にはあまり来たことがないが、店員さんだろう。
「この本を探してるんです」
 差し出したメモを受け取ると彼はすぐにその場所を理解したのか私がいた本棚の裏へ周り、一冊の本を手にして戻ってきた。
「これで間違いありませんか?」
 本と共に渡されたメモを確認する。

   うん、あっている。

「ありがとうございます」
「他には何をお探しですか?」
 他には別に探している物はない。しかし、近くにあった解剖の図鑑が目に入る。
「・・・・いいえ、別に何も。でも、他に見たい本があるのですが」
「そうですか。それでは、レジにおりますので何か御用がありましたら気軽に声をおかけ下さい」
 丁寧にお辞儀して彼は去って行った。どうやら本当に店員のようだ。
解剖の図鑑に手を伸ばし、中身を立ち読みしてみる。丁度私が探していた心臓の部分が細かく書いてあった。カエルやイモリ等、他の動物についても書いてある。
「こんな図鑑が欲しかったのよね」
 裏表紙を見てみると、運良く参考書も買える値段だ。多めにお金を持って来たことを内心喜びながら、私は参考書と図鑑を持ってレジへと向かった。
私が無駄遣いしない事が分かっているので、両親が普段からお金を少し多くくれる事をこんなに感謝した事はない。

Re: ボカロ 人柱アリス ( No.7 )
日時: 2012/05/27 05:22
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

「思わず買ってしまった・・・」
 ずっしりと重たい本を手に持って、家の自室で店員に薦められた本をめくる。やはり中は真っ白で何も書いていない。
「買うの止めとけば良かったかなぁ」
 そう思ってしまうが、物は試し。実際に寝てみるしかないが、今はまだ午後六時半。寝るには早すぎる。
そこで私はその本と共に買ってきた解剖の図鑑を手に取った。あまり知られたくないが、私は解剖が好きだ。良く見かける動物も、中身はどうなっているのか外から見たらわからない。その肉の壁を鋏やメスで切り裂き、解体していく。その肉を裂く感触と、中を覗けるという好奇心を満たす事が出来る所が、私が何よりも好む所だ。
 私が医者になりたがっているのを知っている両親は、私のために様々な道具を用意していてくれる。彼らに言わせれば、これも生物の勉強に有効だろうということだ。

 実験用に飼っているカエルを取り出し、台の上に置く。先程買った図鑑に載っていたものの実物を確認したくて、カエルに鋏を入れた。腹を裂き、内臓を取り除く。図鑑のコラムに載っていた通り、取り出したカエルの足に線を繋げる。 

 楽しくてたまらない。

 この感触が。

 この好奇心が満たされる感覚が。

Re: ボカロ 人柱アリス ( No.8 )
日時: 2012/06/10 05:53
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

「鳴〜!お父さん帰って来たから夕飯にするわよ〜!」
 一階から母が呼ぶ声がする。返事をして、私は一階に降りた。手をしっかりと洗い、上に羽織っていた白衣を洗濯機へ放り込むとリビングへ向かった。
「夕ご飯は何?」
「オムライス」
 私は一人っ子だ。だから、テーブルには両親と私。計三人分の夕飯が並べられている。
一人っ子で寂しいかと聞かれたら、私は首を捻らざるを得ない。子供が一人だからか両親は色々と私を優遇してくれているし、専業主婦をしている母が常に家にいるので寂しくはない。しかし、やはり兄弟がいた方が楽しいのだろうかとよく思うのだが、そこまで母に望むのは酷だ。
「また解剖でもしていたのか?」
 柔和な笑みを浮かべて席についていた父が私に話しかける。母はサラダを大きなボウルに入れてこちらへ運んで来た。三人そろっての食事は久しぶりなので会話が弾む。
「「「いただきます」」」
 最近騒がれている事故や事件の犯罪者の話。父の病院での話。私の学校や成績の事。

 静かで穏やかな家族の時間。

 テレビのニュースを見て犯罪者の恐ろしさを語り合う。
自分の罪を認めないで逃亡するのは悪いことだとよく知っているし、何よりも私は犯罪が大嫌いだ。偶然ならまだマシでも、意図的に起こしたりするのは許されることではない。

 もしも計画的に犯罪を起こす人々が居なくなれば、世界は平和になるのではないだろうか・・・—————?

Re: ボカロ 人柱アリス ( No.9 )
日時: 2012/07/08 08:56
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

 時間はあっという間に過ぎ去り、気が付けば午後九時半。学校の課題を終えれば寝る時間だ。
夢の中では一体何が待っているのか。

 課題を終え、結果を楽しみにしながら私は眠りについた。

Re: ボカロ 人柱アリス ( No.10 )
日時: 2012/07/13 18:35
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

  ♪ 一番目アリスは勇ましく 剣を片手に不思議の国







 不思議な音楽が流れている。この曲は一体なんだろうか。
気になった私はゆっくりと目を開けた。

「ここは・・・・・何処?」

 目の前に広がるのは深い緑に覆われた森。太く高い木々は地にしっかりと根を張り、そこでは一面に草が生えている。湿度の高いもわもわとした草の香りが鼻につく。手に触れるのは間違い無く植物の感触だ。
 地に倒れ伏していた体を起こして分かったことはいつの間にか真っ赤なワンピースを着、手に剣を握っていたことだ。手の甲には赤色でハートのマーク。
「剣・・・・?ここが、私の夢?」
 思い出してみる。私の夢は一体何だったのか。

「そうだ。私は、悪を滅ぼしてみたかった。テレビで犯罪者を見聞きしたら、それをこの手で倒してみたかった。そして同時に、色々なものを切ってみたかった。肉を切り裂くあの感覚をもう一度でいいから味わいたい・・・・」

 この考えが異常なことは理解していた。けれど、ここは夢の中。犯罪者を殺しても罪にはならずに済む。
「だからこその剣・・・・ということ?」
 立ち上がり、周りを見回す。微かに流れる音楽が遠ざかり、代わりに人の話し声が聞こえる。
一人や二人ではない。もしかしたらこの近くに村か何かがあるのかも・・・

 そう思い、私は声のする方へ向かって行った。


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