二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- レッドレイヴン —幻想記—
- 日時: 2012/08/01 15:32
- 名前: 黒猫 (ID: bUOIFFcu)
初めまして。黒猫です。
少々文才に問題ありですが、頑張ります。お楽しみいただければ幸いです。
※注意
・この小説は「レッドレイヴン」を題材としたものです。
・荒らしや中傷、パクリはしないでください。
・キャラ崩壊可能性あり。
・注意ではないのですが、感想を頂けるとありがたいです。
- Re: レッドレイヴン —紅蓮の人形遣い— ( No.4 )
- 日時: 2012/08/01 15:18
- 名前: 東洋の帽子屋 (ID: kphB4geJ)
- 参照: http://
サブタイトルですか?
うーん
『幻想記ト人形』とか
『さ迷い、歩く僕らの物語』
『追い求める影』
とかですかね…ありきたりですみません。
更新、楽しみにしております。
- Re: レッドレイヴン —幻想記— ( No.5 )
- 日時: 2012/08/18 16:08
- 名前: 黒猫 (ID: hxRY1n6u)
第一話 されど首狩り屋は迷う
『雪が見たいです』
黒に染められた寒空の下で、吐息を白くしながら少女は突然そう言った。
むき出しの腕と膝を抱え込むように座っていたアンディは、正面に立っている少女を見上げる。伸ばした前髪の間から、微笑を浮かべた彼女の顔が見えた。…肌の色は青白いが、元気そうである。
ついでに、少女はアンディと違って長袖、半ズボンだ。アンディよりかはまだましだが、それでも寒さを防げるものではない。
『…雪って何さ』
『そうですね…ものすごく簡単に言うと、寒いところでしか見れない冷たくて綺麗な白をしたものです。空から降ってくるんですけど、ここではまだ見れませんね』
『寒いのに冷たいものが見たいのかい?』
変わった子だと思っていたが、さすがにどう反応したらいいかわからなくなった。この寒い中で雪とやらを見ようと思う少女が、不思議でならない。
少女は微笑を崩さないまま、コクリとうなずく。
不自然なほど黒い髪。ぷっくりとした頬は、彼女を実年齢よりも幼く見せた。恐ろしく愛らしい容姿だが、瞳は黒色のガラスのようだ。いつも微笑しか浮かべないのもあって、よくできた人形を連想させた。
『雪は希望と似ているんですよ?絶望のような灰色の雲から、こぼれるかのごとく舞い落ちる、淡い光を帯びた“希望”。触れれば消えてしまう、儚いもの…見たいですね』
『見たことあるの?」
少女は肩をすくめた。
『見たことはありません』
『なら…いつか連れて行ってあげるよ。その“希望”が降る場所に』
アンディはぼそりとつぶやいた。照れくさいのを我慢していったアンディに少女は—
『—お断りします』
「…普通、あそこで断らないでしょ」
アンディは、見ているものの気分が沈みそうな灰色の空を仰ぎながら、過去のことを思い出していた。
今はまとも…とは言えないが、職につけたおかげで、昔とは比べ物にならないほど小奇麗な格好をしている。もっとも、あのころの服がボロボロすぎたので、あれに比べればどんな格好も小奇麗に見えるが…
冬の冷たく澄んだ空気が、肺を刺す。
ふと、殺気の様なものを感じたアンディは横に一歩踏み出す。
ダンッ—石畳にカラスのくちばしが突き刺さった。人に当たれば死んでいてもおかしくない。
「殺す気かい、シャルル?」
シャルルと呼ばれたカラス型ロボットは、器用にくちばしを抜くと、キッとアンディをにらんだ。
「それはこっちのセリフだ!俺を過労で殺す気か!」
「ロボットに過労死はないよ…働きすぎで故障ならあるかもしれないけど」
「わかってんなら、勝手に歩き回るな!それでなくてもスキャッグスの動きが活発な上、スキャッグス狩りという変な奴まで出てきてるのに…」
シャルルは翼で目元を押さえた。妙に人間臭いロボットだ。
「スキャッグス狩り?…あぁ、カルロがレッドレイヴンに欲しいて言ってた人か」
「そんなこと覚えるなら、ちゃんとサイエン一家のところに行け!だいたい、お前のせいで俺は余計な機能までついてんだぞ。それなのにお前という奴は—」
シャルルはアンディに背を向けて、小言を言う。アンディはそれを背で聞きながら、歩き始めた。小言に熱が入ったシャルルは、その恐ろしいことに気付かない。
「—それと、人の言うことは最後まで聞け!いいな、アンディ。……アンディ?」
ギィと音でも立てそうな、ゆっくりとした動きでシャルルは振り向いた。
あの赤いコートを着た、女顔の金髪眼帯少年はいない。
冬の冷たい空気を、シャルルの叫びが震わせた。
- Re: レッドレイヴン —幻想記— ( No.6 )
- 日時: 2012/08/04 16:53
- 名前: 黒猫 (ID: Dbh764Xm)
東洋の帽子屋さん、来てくださってありがとうございます!
サブタイトルは『幻想記ト人形』の『幻想記』から頂きました。心より感謝いたします!
- Re: レッドレイヴン —幻想記— ( No.7 )
- 日時: 2012/08/04 17:07
- 名前: 黒猫 (ID: Dbh764Xm)
第二話 暗闇で交渉は進み
シュボッ—マッチを擦る音とともに闇にオレンジ色の光が現れる。
ダグール・アルローラはその火を机のランプに移した。ズブズブと芯が燃え、机の周りに不思議な影を落とす。
「少しは光が当たるところにきたらどうだ?」
ダグールの問いに、壁に寄り掛かったそれは答えない。
「…早く用件を言いたまえ。こちらとて、暇ではないのだよ」
淡々とした声。高圧的なしゃべり方だが、若い少年のようだ。
ダグールは肩をすくめた。
「サイエン一家の“戦力”を潰してもらいたい。後、赤いコートを着た奴がいたら連れてきてくれ。…あぁ、当然私の身も守ってもらう」
少年は特に反応せず、扉に向かう。しかし、途中で立ち止まり、
「…その赤コートの者と君たちは、“戦力”を持ってるのかね?」
「持っていたら、貴様などに頼まな—」
最後まで聞かず、少年は部屋から出て行った。仮にもダグールはマフィアのボスだ。だというのに、無関心さを隠そうとしない。よほど、自分の強さに自信があるらしい。
ダグールはフンッと鼻を鳴らした。
「酔狂な奴め」
そして、後ろを振り返った。この部屋のもう一つの扉。
「…嘘はいっとらん」
ガチャッとドアノブが回り、白いスーツを身に着けた少年が入ってきた。どこか人を見下した笑いをしている。
「初めまして、ダグール・アルローラ。…商談を始めましょう」
ダグールは満足そうに目を細めた。誰にも聞こえない声でつぶやく。
「ただ、告げていないことがあるだけだ」
レッドレイヴンも、あれも、自分の邪魔となる。
ここら辺で消えてもらおうじゃないか。
- Re: レッドレイヴン —幻想記— ( No.8 )
- 日時: 2012/08/03 16:00
- 名前: 黒猫 (ID: bUOIFFcu)
第三話 記憶は去ることを知らず
アンディは疲れたようにため息をついた。
「ため息つくな!全く…どうやったらサイエン一家とは真逆の方向に行けんだ」
シャルルはアンディの肩に止まり、軽くくちばしで突っつく。鋭い先が頭に当たり、地味に痛い。
「だから、こっちだって」
「違うよ、あっちだよ。…って痛い!」
アンディの目の前を少女と少年が通り過ぎた。少年は少女に引っ張られ、悲鳴を上げた。
既視感に苛まれ、思わず目で追ってしまった。
施設を出るときに、助けてくれた少女。自然と一緒にいた。
別れたのは…見捨てたのは、ところどころ鉄パイプや金属棒が突き出たくらい路地裏でのこと。そこで、少女と口論になった。
かぁっと頭に血が上ったのを覚えている。突き飛ばした少女を一瞥して走った。顔を覆った少女の指と指の間から、あかいものが見えた。
それでも、後悔して戻った。
なのに…いなかった。
代わりに、壁から突き出た細い棒と石畳についた、酸化して黒くなった大量の血だけが残っていた。
「—アンディ!」
ゆっくりとアンディは顔をシャルルに向けた。
「何ボーっとしてんだ!もうすぐ日が暮れる。早くサイエン一家のところに行くぞ」
アンディは暗くなり始めた空を見上げた。
(あのまま、あの子といたら—)
スキャッグスに復讐することを止めていたかもしれない、そう考えたアンディはケースを握った手に力を込めた。
(いや…それはないかな)
どっちにしろ、アンディは復讐のために動いている。今更そんなこと考えても、もう遅い。憎悪の炎は消えない。消そうとも思わない。
目を背ける真似だけは—したくない。してはならない。
アンディは足を速めた。
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