二次創作小説(紙ほか)
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- ■… 鎖少女 …■ (学園アリス)
- 日時: 2013/05/05 23:45
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: Jx.yIphs)
あいつが帰ってくるのをずっと待っていた。
晴れの日も、雨の日も、雪の日も、嵐の日も。
何を言われてもあの笑顔を見るまではと、待ち続けた。
それでもやっぱり、あいつは帰ってこなかった。
■ ■ ■
あてんしょんぷりーず。暁って言います!
学アリhshs。好きすぎてツラいってこういう事…ってくらいに好きです!
この小説はオリジナル80%+原作20%で成り立ちます!
最初の方はずっとオリジナルです!イヤという方はsay-good-bye!
あ。誹謗中傷コメントは受け付けてません(^o^)/
■ ■ ■
おりきゃらありがとうございましたm(_ _)m
意外と早く、それなりの数が集まったので募集終了します。
■ ■ ■
〜 index. 〜
Prologue >>07
番外編『You and I』>>26
/ chapter 01
第1話 不思議な石 >>08
第2話 孤独少女 >>09
第3話 石の秘密 >>10
第4話 お友達 >>11
第5話 それぞれの動き>>12
/ chapter 02
第6話 絶望の底の底>>13
第7話 信じる心 >>15
第8話 とある少年の聴取>>16
第9話 fake >>18
第10話 過去の傷痕 >>19
第11話 発覚 >>20
第12話 記憶操作 >>22
第13話 記憶の欠片 >>24
第14話 覚悟 >>25
第15話 確信 >>27
第16話 再会 >>28
【他執筆中小説 Crazy Girl(学園アリス):本編スタート!】
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.9 )
- 日時: 2013/04/19 20:54
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: T3UB3n3H)
「そういえば先輩、この石誰のなんですか?」
「拾い物です」
「…そ、そうですか」
■ 第2話 孤独少女
「…ええ天気」
能力別クラスを一度抜けて蜜柑は歩いていた。
手にはもらったばかりの不思議な石。
「綺麗な石やなあ…」
——その時だった。
石がいきなり輝き始める。光が蜜柑の体を包んだ。
「な、なにっ——」
————ドサッ
響いた音に少女はビクリと肩を震わせた。
一方の蜜柑はというとムクリと起き上がって辺りを見回す。
「ここどこやねん…って、アレ?」
目の前に少女がいる。それも絶世の美少女。
腰まである金色のふわふわした髪。
青色の瞳。お人形みたいで、可愛らしい。
制服ではなく、足首まである白いワンピースを着ていた。
「あの…どちら様、ですか…?」
「…へっ、ウチ!?」
コクンと頷く少女。あれ、と蜜柑は気づいた。
(どっかで…見たこと、ある…?)
「…あ、あの」
「あ、ご、ゴメン!え、えっと…ウチは佐倉蜜柑!この石持ってたらいきなりこの部屋に来てん」
「その石は…ここにワープしてくるためだけの石ですよ?」
「え、そうなん?」
「はい。いつもなら男の人が持っているんですが…どうして佐倉さんに…?」
「あ、拾ったらしいねん。それをウチがもろてん」
ああ、と納得している美少女。
その時蜜柑は気がついた。
少女の両手首と両足首に鎖がついている。ジャラジャラとうるさい。
それは壁に繋がっていて、部屋から出られないようになっていた。
「その、鎖は…?」
「ああ…逃亡防止用の鎖です。ひどいと思いませんか?」
「ひどすぎるで!!ウチが外してあげる!!」
「無理ですよ。鍵がないと外れないんです」
「う…。そーなん?」
ちょっと落ち込む蜜柑。ふふっと少女は笑った。
「そういえば…アンタ名前は?」
「…分からないんです」
「え?」
困った様に少女は笑って、首を傾げた。
「記憶喪失、ってやつで…」
「あ…ご、ごめんな」
「いえいえ。…でも、いつも呼ばれている名ならありますよ」
絶対本名じゃないですが、とまた少女は笑う。
蜜柑はちょっと疑問に思いながら、その呼び名を尋ねた。
「私は…“鎖少女”なんて、呼ばれてます」
■
やっと主人公登場…!!
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.10 )
- 日時: 2013/04/20 20:47
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: Tj9sX3SJ)
■ 第3話 石の秘密
「鎖少女…って何やそれ。もっとかわええ名前がええよな!」
「それは思いますね〜。佐倉さんみたいな良い名前が欲しいです」
「え?あ、ありがとう…!」
照れしまう蜜柑に、鎖少女は優しく微笑んだ。
そや。と蜜柑は我に返る。聞きたいことが沢山ある。
「とりあえず…この石について教えてくれる?」
「いいですよ。…その石は、テレポートの最高能力者によって作られているんです。特定の場所に移動するように作られた石で」
「フムフム」
「この部屋にはかなりの結界がはられているんです。だからそれを超えられるだけの力がその石には入っていて」
「ほおほお」
「何度使ってもほぼ能力は消えません。最高能力者による石なので。だから、それを持っていればこの部屋に簡単に来れるんです。普通のテレポート石では結界に邪魔されて来れません」
何だか難しい話だが、蜜柑は頑張って理解しようとした。
難しかったですか?とクスクス鎖少女は笑っている。
「ちょっと難しかったかな。…じゃあ、アンタの事について教えてくれる?」
「私のこと…ですか?」
「そや!なんで…この部屋で一人なん?」
「……」
鎖少女はうつむいてしまう。
あ、と蜜柑が慌てた瞬間にふっと顔を上げた。
「…私、は……ですね」
「?」
「本当は…この世にはいない人間らしいんです」
「…へ?」
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.11 )
- 日時: 2013/04/21 20:16
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: 5NRE2t7J)
■ 第4話 お友達
『本当は…この世にはいない人間らしいんです』
「それって…どう言う事なん?だ、だってアンタ…今、生きて…」
「はい、今は生きてます。けど…一度、死んだみたいです」
にっこり笑って言う鎖少女。でも、何処か泣きそうな顔だった。
蜜柑は訳が分からないと言った表情で鎖少女を見る。
「私もよくは分からないんです。…ただ、聞いた話で」
「う、うん」
「私は元は“ウラニンム”と言うのをこなしていたそうです。でも、その最中に怪我を負い死んでしまって…」
「え……?」
「それで…『蘇生のアリス』という凄い力を持ったお方が私を生き返らせてくれたそうです。でも私はその影響で、記憶を失ったそうです」
あまりにも話が唐突過ぎて思わず茫然とする蜜柑。
鎖少女は、手足についたその鎖を見たあとに蜜柑を見て、微笑んだ。
「そして…他人に合流させるわけにもいかず、私はこんなところにいるそうです」
「じゃ、じゃあもしかして…アンタ、アリスもってんの?」
「ありす…とは、何ですか?凄いものなんですか?」
「し、知らんのかいな…」
じゃあさっきの石についての説明はなんだったのだろうか。
明らかにアリスを知っている口調だった。
「さっきの石についての説明は?アリス知ってそうやったけど」
「この説明は私が最初にしてもらったもので。念の為覚えてたんです」
「そ、それも凄いなあ…」
はああと蜜柑は溜息をつく。何だか謎がいっぱいだ。
その時鎖少女の表情がいっぺんした。真剣な表情で蜜柑を見る。
「佐倉さん…今日はこの辺で、一度帰った方がいいです」
「え…?」
「ちょっと私…面会の時間ですから」
泣き出しそうな表情で少女は言った。でも有無を言わせない口調。
蜜柑はその勢いにおされてコクンと頷いた。
石をギュッと握りしめながら、少女の方を見た。
「明日も来るなっ!」
「…え?」
キョトンとした顔の鎖少女に蜜柑はにっこり笑った。
「ウチらもう友達やん?絶対、明日も会いに来るなっ」
「…はい、待ってます。あ、あと」
「?」
「私のこともこの部屋のことも、その石のことも…他人には言っちゃダメですよ?」
指を一本立てて、口元に当てる。しーっと悪戯っぽく笑う。
蜜柑は笑ってぶんぶんと首を縦にふった。少女も笑う。
「じゃあ…な!“くーちゃんっ”!」
「くーちゃん…?」
“く”さり少女。蜜柑がこの短時間で考え続けた名前だった。
実際、蜜柑は一度も彼女を「鎖少女」とは呼んでいない。
そう思うと嬉しくって、鎖少女は微笑んだ。
「うん、またねっ!…蜜柑ちゃんっ!」
一番の笑顔で、鎖少女は蜜柑を見送った。
一気に静まり返る室内。鎖少女は笑顔を打ち消す。
ガチャリと扉が開いた。石をなくした張本人だ。遠いし、面倒だろう。
「やぁ、鎖少女。…少々手違いがあって石をなくしてしまってね。いつもの時間より遅れたんだ」
「いえ、大丈夫です。…久遠寺さん」
小柄な体格。子供にしか見えないが、実は大人。
久遠寺…又は初校長と呼ばれている人物。
自分をここに閉じ込めている張本人であり、身寄りのない自分を守ってくれている人物でもある。
でも、嫌いだ。なぜかわからないけど、嫌いなのだ。
「あの…ひとつだけ、聞いていいですか?」
「…何かな?」
「“ありす”って何ですか?私が持っているあのちからも…“ありす”なんですか?」
「…どこでアリスなんて言葉を聞いたんだ?」
「あ…」
そうだ。思わず聞いてしまったが蜜柑のことは言わないほうがいい。
言ってしまえば彼女は罰則をもくらうかもしれない。それだけですめばいいと言えるくらいなのだが。
「…まぁいい。君はアリスじゃないよ。それに君は…何も、知らなくていいんだ」
優しく頭を撫でられる。
はい。と小さな声で返事をしてから、目を閉じた。
(私は…何なんだろう…)
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.12 )
- 日時: 2013/04/21 21:12
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: 5NRE2t7J)
■ 第5話 それぞれの動き
「蜜柑〜!どこ行ってたんだ〜!」
「にゃっ!?ご、ごめんなさいっ空先輩ぃ〜!!」
「心配かけやがってこのバカタレ〜!!」
「ま、まぁまぁ、落ち着いて?」
戻るのが遅い蜜柑に空の鉄拳。それを匪がとめる。
封李はいない。恐らく昼寝だろう。
「あれ…?刹那先輩と、デューン先生と…クロノくんは?」
「クロノは今日来てないみたい。先輩は、先生と一緒にどこかに行っちゃったわ」
「翼先輩は?」
「まーたフラッとどっか行ったよ。これで二日目。…まさかあいつ、可愛い女の子と一緒に…」
「「いやないでしょ/いやないやろ」」
翼とは最近全く会えていない。かなり寂しい。
今は、鎖少女のことも頭の中でぐるぐる回っている。
(考えることがいっぱいや…)
「とりあえず今日はもう帰りなよ蜜柑」
「…そやね。ありがと、匪先輩、空先輩。またねっ!」
「またな〜、蜜柑〜」
■
初等部の方へと戻っている途中、蜜柑は三人と遭遇した。
「悠ちゃん、九六ちゃん、クロノくん!」
「蜜柑ちゃん!今帰り〜?」
「そやで〜」
「…じゃあ、皆で一緒に帰るか」
クロノの言葉に、三人は微笑んで頷いた。
そういうえばと蜜柑はクロノを見る。
「クロノ君、今日どないしたん?何で来んかったん?」
「あ…えっとな、…デューン、と……いっだぁっ!!」
「?どないしたん!?」
「い、いや…なんでもない。ちょっと私用でな。悪かったな」
「そうなん?次は一緒に行こな!」
「あ、ああ」
クロノは苦笑を零して、九六と悠に思いっきり踏まれた足を見た。
見事に痛い。まぁ。言うなということだろう。
「…ふぅ」
「ど、どないしたん、クロノ君」
「いや…女は本当に強いと思ってな…」
「???なんのこと、九六ちゃん、悠ちゃん?」
「「ワカラナイ」」
かなり片言だが鈍鈍感感な蜜柑は気がつかない。
そんな蜜柑を見て、3人は楽しげに笑った。
その時、前方に懐かしい人物が見えた。蜜柑の瞳が見開かれる。
「な、…棗っ!!」
「ん?棗か?」
「げっ、イヤミギツネッ!?」
「ああ、本当ね。…行きましょうか」
振り返った棗も何処か嬉しそうで。
かけだした四人を、木の上から封李はチラリと見た。
彼も小さく微笑んで、再び目を閉じて微睡んだ。
「——小泉さん。こんなところにいたんですね」
初等部の転入生の案内を頼まれていた刹那は声をかける。
小泉月(表記:ルナ)はにっこりと微笑む。
「行きましょうか」
「…はい」
ルナをチラリと横目で見てから、刹那は小さく息をはいた。
■
「…高等部校長。小泉ルナは…初校長は、何を考えているんでしょうか」
高等部校長の部屋。デューンは校長を真っ直ぐに見つめて言った。
「まあ、大方検討はついている。が…この一件、放置はできないな」
「そうですね」
「絶望ヶ丘と連絡はとれているのか?」
「はい」
「そうか…とりあえず任せたぞ。…私は別件があるのでな」
「…もしかして、例の少女のことですか?」
高等部校長は静かにああ。と返事した。
デューンも真剣な表情のまま俯く。
「早く助けないと…大変なことになるかもしれない。いや…なるな」
「…………」
「奴の思い通りにはさせない」
そう言って前を見る高校長の目には、怒りの色も見えた。
デューンは一度瞑目して、もう一度しっかりと目を開けた。
「必ず、奴を追い出しましょう」
「…ああ」
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.13 )
- 日時: 2013/04/22 21:27
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: Di8TedTz)
■ 第6話 絶望の底の底
「お願いだ…盗らないでくれ……」
伸ばした手を思わずひっこめそうになる。
けど、久遠寺さんが後ろから私の手を掴んできたから、それはできなくて。
「盗るんだ、鎖少女。君の力は最近安定してきている…自信を持てばいい」
「で、でも…盗らないでって…この人、言って…」
「この人物はもう永くないんだ。…さぁ、早く盗ってしまいなさい」
強制的にその人に触れされられる。手が一瞬熱くなった。
はっと掌を見ると、そこには赤い石。この人の…“チカラ”?
私が、また…盗ってしまったの…?
「フ…ハハハ…ハハハハハハハッ!!よくやったよ、鎖少女!!」
「…っ」
「かなり君のチカラは安定してきている…もう少し、もう少しだ!!もう少しで私の身体は…っ!!ハッ…ハハハハハハハハッ!!」
狂ったように笑い続ける初校長の隣で、鎖少女は涙を流した。
自分が何をしているのかはいまいち分からない。これが正しいのかもわからない。
でも、目の前のこの人は正しいという。…本当に?
それでもやっぱり、鎖少女には信じることしかできないのだ。他に頼れる人も、頼れる記憶さえもないのだから。
「私の身体が戻れば…すぐにあの親子は排除してやる……」
「…く、おんじ…さ…?」
「ああ…何でもない。もう少しだ。もう少し練習を重ねよう。もう少しすれば……」
————君は完全に、そのチカラを扱えるようになる。
(これは…本当に正しいの?このチカラはなんなの?“ありす”なの?)
日に日に何処か朽ちていく自分を、少女は感じていた。
■
「……」
部屋で静かに、鎖少女は椅子に腰掛けて窓から外を見ていた。
何をする気にもならない。今日は蜜柑が来ても、笑えるだろうか?
そう思っていると、扉がノックされた。
「…入るぞ」
「…誰、ですか?」
部屋に入ってきたのは見知らぬ男だった。
いつものお世話係の人物とは違う、金髪の男。手にはカップの乗ったトレイを持っている。
男は鎖少女を見て一瞬目を見開いたが、すぐに表情を戻した。
「今日は君のいつものお世話係が忙しいんだ。そこで今日は俺が来た」
「…そう、ですか。ありがとう…ございます。あの…お名前は?」
「……デューン・ブラッドだ。これは紅茶だ。初校長からだ」
「…わざわざ…どうも」
軽くお辞儀をするが、紅茶には目もやらない。
そんな鎖少女を見て、デューンは初校長の下劣さを改めて思い知る。
(…あいつは…どこまでこの少女を、絶望の底までおとしているんだ?)
「じゃあな。…30分ほどしたら、回収に来る」
「…わかり、ました」
「……あと」
その言葉でやっと、鎖少女はデューンの方に視線をやった。
デューンは顔は向けず、背中を向けたまま言う。
「…必ず助け出してやるから、待っているんだ」
そう言って、彼は扉を閉めた。
鎖少女は目を見開いて、彼の去ったあとの扉を見つめた。
そして静かに…泣いた。
■
「…」
ふぅ。とデューンは息をはいた。
その時、後ろから声がかけられた。クロノだ。
「どうした?…何かわかったか?」
「何か…どころじゃないな。とんでもないことだ」
デューンの表情が険しくなる。
クロノは一度ため息をついてから、真っ直ぐにデューンを見た。
「あの少女は…帝神姫花は、……一度死んでなどいない」
全ては初校長によってつくられた偽装だ。とクロノは言う。
デューンは最大限に目を見開いたあと、静かに目を閉じた。