二次創作小説（紙ほか）
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- 【剣と魔法のログレス】とあるマジさんの日常
- 日時： 2013/06/19 23:16
- 名前： gumicandy ◆Zim0DJ9qJ2 （ID: Q4WhnRbg）
- プロフ： http://gumicandy0208
これはとあるマジシャンのログレス住民の日常を描いた物語です。
実在する人物、団体、ましてやクランとは一切の関係がありません。
≪０≫
「それなら、あたしのクランに来なよ！団結力がすごくって、すごく楽しいクランなんだ！」
——その人は興奮して「すごい」を2回言ってまで私を誘ってくれた。
「え、いいのですか…？私、弱いし足ひっぱっちゃうかも…」
「関係ない！ほら今マスター呼ぶからさ、こっちこっち」
そう言ってその人はとても素敵な笑顔で私を迎えてくれた。
≪１≫
『ずどおおおおおおおおぉぉぉぉぉんんん！！！！！！』
まだ日も登りきらぬうちから近所迷惑も甚だしいすさまじい爆音をたてたのは、クラン：カルテットのアジト２階部分からだった。
続いて階段をだだだっと駆け上る音、そして、
「こぉーらー新入り！！お前はまたかっ！」
これまた大きな怒鳴り声だった。
「こっそり２階で魔術の実験するなって何回言えばわかるんだ、お前は！修理代ばかにならないんだぞこら！！」
「ひ、ひえ〜すいません、ほんとごめんなさいでした…マスター…」
見れば、マスターと呼ばれた怒鳴っている人物は女性だった。
浅黒い肌に抜けるような白い髪が目立つ。背中あたりまで伸ばしたそれを１つに縛っただけで、ほかにも特に着飾ったわけでもないのにどこか華やかな雰囲気のある美女だった。
ただし、今現在はその美しい顔も怒りに歪んで台無しである。
一方新入りと呼ばれて縮こまってる方は、対象的に真っ白な肌に漆黒の髪を三つ編みにしている。薄い灰色のたれ目がいかにもひ弱そうだ。
そしてその新入りの片手には安物のロッド、片手には怪しい緑色の液体が入ったビン。
マスターはいったん怒りをおさめ、ため息をついた。
「今度は何やらかそうとしたんだ、全く…」
「すみませぇん…」
「まあまあ、それくらいにしておきなよマスターも」
新入りとマスターの間に第３者の声が入った。
２人が振り向くと、その人物はたった今マスターが来たのと同じように１階から階段を登ってきた…のではなく、なんと窓から顔を出していた。
「わ、サブマスター！？あ、危ないですよっ！？」
「やっほー新入りちゃん、今日もかわいいねー」
サブマスターは黒髪を肩まで伸ばした、キザそうな男だった。彼は軽い身のこなしで窓枠を超えると、室内に難なく入り浮遊術を解いて着地した。新入りは最後に彼が着地をするまで心配そうにし（無事着地すると安堵の表情を浮かべて小さく拍手までした）、マスターはあきれてただ見守っていた。
「またあんたは無駄に魔力を使いよって…」
「いいじゃない、別に減るわけじゃないんだし？それより、新入りちゃんだって悪気があったわけじゃないんだよ。だよね？」
サブマスターに視線を向けられ、新入りは恐縮しながらも素直に話した。
「あ、はい、えっと…本当は成功すれば新しい魔法が使えるようになるはずだったんですが…私、みんなの足ひっぱってばかりだから、せめてこういうので役に立てばと思ってたのですが…うぅ、やっぱり私なんかには無理なんでしょうか…いえ無理ですよねやっぱ…」
謝るというより、後半はほとんど涙目でぐだぐだになってしまった。
さりげなくサブマスターが頭をぽんぽんしたりと慰める。
ここまでくると、男気あふれる女マスターで有名な彼女もさすがにそれ以上怒鳴り散らすことはできない（けして性悪ではないのだ、彼女は）。
「だーもう、わかったからその湿っぽい雰囲気やめ！アタシが悪者みたいじないか！…ったく、次からほんっとうに気ぃつけんだよ？あと、爆発するかもしれない実験は外の広いとこでやれ！いいな！？」
「はい…すいません…」
「あはは、怖いこと怖いこと。せっかくの美人さんが台無しだよー？」
「あんたは黙れ。いっそどこかに飛んでけ。」
「新入りちゃん空中散歩にでも行って気晴らししよっか？マスター命令だってさー、なんてねｗ」
そしてこれらの３人のやりとりを、ばれないように（特にマスターに）聞き耳をたててこっそり笑うのがクラメンの日課であり娯楽であり楽しみなのであった。
クランカルテットは今日も平和である。
- Re: 【剣と魔法のログレス】とあるマジさんの日常 ( No.16 )
- 日時： 2013/06/15 18:09
- 名前： yumi ◆CGFOaQutxk （ID: S1CkG5af）
- プロフ： 期末テスト週間なう 数日ぶりにログレスやったらやばかった
新入りちゃんは孤児なのですか…
可哀そうに…
そしてこれが今このアジトにいる理由なのですか
なんかかっこいい！！
数日ぶりにログレスやりましたよ＾＾
デュエルでコテンパンにされましたｗｗ
なんとか不気味な予言士のクエストを終わらせたところです
- Re: 【剣と魔法のログレス】とあるマジさんの日常 ( No.17 )
- 日時： 2013/06/16 18:03
- 名前： gumicandy ◆Zim0DJ9qJ2 （ID: Q4WhnRbg）
デュエルなかなか勝てないですよねーｗただでさえ自分の装備で手一杯なのに英雄用の装備とか、そこまで気が回らない(;´∀｀)
まぁちょこちょこいじってはいますけども(。´・ω・)
↓本編です(/・ω・)/
≪１３≫
新入りは目を覚ました。
今度は目を開けていた。部屋にさす日差しからして、朝のようだ。しばらくぼーっとしていたが、急に記憶が戻り慌ててガバッ、と身を起こした。誰かがかけてくれたらしい毛布がはらりと床に落ちる。
「あ、あれ？……えっと私は」
なんだか、少し前のことを思い出していたような気がする。過去の夢でも見ていたらしい。
きょろきょろと辺りを見回すと、近くの別の椅子に座っているジェネラルファイターがいた。腕組みしたまま黙祷のように目を瞑っている。
「…寝てるのかな」
「起きてるが」
「うわぁっ？！」
いきなりぱっちり目を開いたので、新入りは怪物にでも遭遇したような悲鳴をあげてしまった。実際新入りにとっては怪物のような人なのだが。
ジェネラルファイターは至って気にせず、
「2階にマスターかお前のダチがいるはずだ。動けねーなら呼んでくるが？」
非常にぶっきらぼうな口調で必要最低限のことのみ告げた。
「あ、えっと動けます…。すいません」
「あそ」
そそくさと2階への階段を上って行こうとして、思い出したように新入りは振り向いた。
「あ、あの」
「あ？」
「ソファ、すいませんでした。ありがとうございます」
「……いや」
トタトタと新入りが階段を上っていなくなると、ジェネラルファイターは眠そうにあくびをして、いつも通りソファを占領して眠りについた。
「お、ようやっと起きたかい、寝坊さん」
新入りを見つけたマスターが開口一番にそう言った。
「おはようございまーす……」
どこか遠慮がちに新入りが挨拶していると、声が聞こえたらしく奥からナイトが来た。
「よー新入りっ。もう大丈夫なのか？」
「ナイト君！うん、もう平気。ごめんね、私また何か迷惑かけたみたいで…」
「んな病み上がりでさっそくひがむなよ（笑 」
「新入り」
マスターが声をかけた。
「だいたい何があったのかは、昨日ナイトやプリーストから聞いたよ」
マスターは新入りの前に立った。片手を上げる。反射的に新入りはビクッ、となった。怒られるのかと思ったからだ。
しかしその予想とは反して、マスターの手は新入りの頭をぽんぽんと軽くたたいた。
「…えっ？」
顔を上げると、マスターはひどく安堵した様子で、
「無事でよかった…！ったく、人様にいらん心配かけさせんじゃないよ！」
そして新入りをぎゅっと抱いた。
「マスター…。」
新入りは突然泣いた。今までこんな風に、誰かに母親のようにされたことがなかったからだ。そして、今さらながら『あの時』感じなかった恐怖がよみがえり、同時に「ここでなら大丈夫だ」と安心できたからだった。
「おやおや、今ぼくたちってば入っちゃいけない雰囲気？」
「あーサブマスさん。今は1階にいたほうがいいっすよｗ…うっかり俺も感動しかけたんで」
「何があったんだいナイト君（笑 」
- Re: 【剣と魔法のログレス】とあるマジさんの日常 ( No.18 )
- 日時： 2013/06/16 18:09
- 名前： yumi ◆CGFOaQutxk （ID: S1CkG5af）
- プロフ： 期末テスト週間なう 数日ぶりにログレスやったらやばかった
そこ、笑うところ！？
そう、心の中で思い切り突っ込みました(笑)
英雄は…１４れべまで上げたけど…
やっぱ負ける
- Re: 【剣と魔法のログレス】とあるマジさんの日常 ( No.19 )
- 日時： 2013/06/17 20:08
- 名前： gumicandy ◆Zim0DJ9qJ2 （ID: Q4WhnRbg）
≪１４≫
——それから、数日がたった。
クラン：カルテットで最も早く起床するマスターは、アジトで朝食をとっていた。ジェネラルファイターはまだ夜狩りから帰ってないので、アジトにはマスター1人だ。
ガチャ、とドアを開けて誰かが帰ってきた。てっきりジェネラルファイターだと思っていたので、その人物がソファに直行しないのを感じてマスターは顔を上げた。
ジェネラルプリーストが食糧の入った小さい袋をもって、正面に立っていた。
「おはよ、相変わらず起きるのも早いねーマスターちゃんは。同席していい？」
屈託なくジェネラルプリーストは笑い、返事も特に待たずマスターの向かいに座った。
マスターは表情を一切崩さず、単刀直入に言った。
「今度はどこに行くつもりなんだい？放浪人」
ちらっと眼を配った先には、ジェネラルプリーストの足元に置かれた荷物。一見少ないようで、旅に必要最低限の簡素で身軽な旅道具がそろっている。彼女が旅に慣れている証拠だ。
「んー、とりあえず山かな？」
後ろめるどころか開き直ったようにジェネラルプリーストは言い切る。
「この前までは砂漠だったからー、がらっと趣向を変えて雪山（笑 」
「…ほんと、あっさり言っときながら本気で行くんだからねぇ、お前は…」
「あれ？もう止めないの？」
茶化すようにジェネラルプリーストが言ってきたので、マスターはあきれたように肩をすくめ、
「いくら止めようが通じる相手じゃないと、アタシも学習したからね」
「そっかー。シシッ」
「その代り——」
言葉を切って、先とは一転しマスターは真剣な表情で続けた。
「お前、せめて新入りには一言いって行くんだろうね？」
「……さー？どうだろうね」
「真面目に答えろ」
「わかりましたよー、冗談だって。」
それより、と話をそらすようにジェネラルプリーストは話題を変えた。
「ちょっと思ったんだけど、新入りちゃんはいつまで『新入り』なわけ？」
「…え？あ、ああそういえばそうだな」
「確かあたしがあの子連れてきてから、もう半年くらいはたってるよね？さすがにもうなじんでるでしょ」
「うー、まぁそうだけど…。そうだな、あいつにもそろそろ、何か役職でもあたえてやろうか…」
これまでずっとそうだったが、このクラン：カルテットでは互いを本名ではなく役職名で呼んでいる。最初のうちは、職業がはっきりしていないので皆『新人』『新入り』と呼ばれるのだ。
「…まあ、ナイトとプリースト同様でいいか。」
「お、じゃあ？」
「あいつは今日から『新入り』じゃなくて『マジシャン』だな。…そのままだな」
「いいじゃない（笑 このクラン立ち上げた時からそんな感じだったでしょ」
朝食を食べ終わったジェネラルプリーストは別れを告げ、アジトを出て行った。
この一連の出来事を、アジトの外でこっそり聞いていた人物がいた。
- Re: 【剣と魔法のログレス】とあるマジさんの日常 ( No.20 )
- 日時： 2013/06/18 19:23
- 名前： gumicandy ◆Zim0DJ9qJ2 （ID: Q4WhnRbg）
≪１５≫
その日、ジェネラルプリーストは新入り——もといマジシャンの住処に、寄って行かなかった。
アジトを出て、城下町の大門へまっすぐに向かう。心なしかその足取りは、いつもより少し速かった。
その後ろを、見失わないよう小走りで追跡する小柄な人影がある。
城下町のように人に整備された道は大門までしかなく、そこから一歩外に出るともう草原地帯が広がっている。ここにもモンスターが生息しているが、昼はまだ安全なので、凶暴なモンスターが出現する夜にならないうちに行商人などの一般人が多く出歩いている。
ジェネラルプリーストもその雑多に紛れて、次の旅先へ出発しようとした。しかし、そんな彼女に後ろから声がかかった。
「ジェネプリさんっ！」
ジェネラルプリーストはさほど驚かず、静かに振り向いた。そしてその人物に向かい合った。
「やっぱりねー。薄々感づいてはいたけど…プリちゃん、尾行向いてないねｗ 真面目ちゃんだからかな？」
プリーストは笑わず、真剣な表情で訴えた。
「どうして新入りさん、いえマジシャンさんに何も言わずに出て行ってしまうのですか？！マジシャンさん、とてもあなたと話したいことがあったのに…」
「クランを紹介したお礼でしょ？」
「え？」
プリーストは不意を突かれて、続けようとした言葉が途切れた。
「マジちゃんってドジっ子なのに律儀だからねー。…ホント言うとさ、アレってただのあたしの勝手なんだよね」
「どういう意味、ですか？」
ジェネラルプリーストはいったん道をあけるため場所を移動し、城壁にもたれかかって続けた。
「ただの『おせっかい』ってこと。なんとなーく、その時のマジちゃんが困ってる風だったからウチのクランを紹介しただけ、自己満足でしかないのよ。しかもその後、あたし何もしてないし？」
彼女にしては珍しく、少し自嘲するような笑みを浮かべた。しかし一瞬でそれは見えなくなった。
「つまり、後のことはみんなマジちゃん本人の力で這い上がったってことなの。まーついでに言うと、いろいろ言いつつ世話をしてあげたマスターちゃんとか、あと友達になって支えてあげたナイト君プリちゃんね。マジちゃんが本当にお礼を言うべきは、そういう人たちよ」
あるいは自分自身？と付け足して、おもしろかったのかシシッと笑った。
「で、でも…」
プリーストはなおも食い下がろうとした。それをまた遮ってジェネラルプリーストは言う。
「あたしはまた帰ってくるってー。『旅行』なんだもの。そのときに、また成長したマジちゃんといっぱい話すつもり。…そうだ、そん時にはプリちゃんもおしゃべりしよう！ガールズトークみたいな（笑 」
プリーストはなんだか脱力しかけた。やはりこの人は、何者なのかよくわからない。真剣に話したと思った矢先「ガールズトーク」とこの調子だ。
しかし、プリーストが数日前まで抱いていた彼女へのイメージは、本人も気づかないほど随分と変わっていた。
「はぁ…。わかりました、必ずですよ？もしそうならなかったら、マジシャンさんが許しても私が怒ります」
ため息をつきつつ、どこか表情が和らいでいることにプリーストは気づいていない。
ジェネラルプリーストは敬礼のまねをして「必ずや、帰って参りますっ！」とふざけて言った。そしてまた少年のように笑い、
「じゃあね、マジちゃんによろしく！」
と言って旅立った。振り返りはしなかった。
友達思いなプリーストの少女は、その姿が見えなくなるまで見送っていた。