二次創作小説(紙ほか)
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- らくだい魔女~失われた記憶〜
- 日時: 2015/07/28 21:32
- 名前: ひよこパフェ (ID: Q.pGZPl6)
こんにちわーー。
お久しぶりです。ひよこです。
え、分かんない?えとー。前、あたしは世界に嫌われてるをかいてた奴ですハイ。
また、書こうかなぁ、なんて思ってみました←
ノロノロノロノロ亀さんになると思います、が!
最後までお付き合いお願いします。(・ω・´
でわでわ。
- Re: らくだい魔女~失われた記憶〜 ( No.5 )
- 日時: 2015/08/24 09:32
- 名前: ひよこパフェ (ID: Q.pGZPl6)
#5
「……わ、広い。大きいんだね。えっと…」
「チトセでいいよ。今さら別の名前で呼ばれても、気持ち悪いし」
「あ、うん。そうだよね。分かった。チトセ」
あたしが名前を呼ぶと、チトセは頭をかきながら、
「ん、と。適当に荷物はそこらへんに置いといていーよ。この部屋も、自由に使っていいから」
「あ、はーい。ありがとう。これから、お世話になります」
ぺこり、とお辞儀して愛想笑い。
チトセは、そんなあたしに「ん」と答えて、部屋を出た。
それにしても、広いなぁ。
あたしは大きな旅行カバンをベッドの上に置き、部屋の中をぐるりと見回す。
ふと、棚の上にあった写真が目に入った。
なんとなくそれが気になって、手に取った。
あたしと、チトセが仲良くならんでアイスを食べている写真だ。
あたしは三段アイスの一つをおとして半泣き。
チトセはおろおろしながら、あたしに一つアイスを分けている。
なんだか、懐かしい写真。
『フウカ、ダメだ!!』
『ごめんね。今までごめんね。ずっとずっと、一緒にいたかった。もっともっと、話したかった。でも、もう叶わない。だって、もう手遅れだもの。なにもかも、遅すぎたよねーー』
『フウカ…!!行くな、フウカ!』
『ありがとう、チトセ。だいすーーー
「……っ!?」
また、知らない記憶だ。
知っているはずなのに、知らない記憶。
それも、またあの炎の中。
あたしとチトセがいた。
なにか、事件があったことは間違いない。
きっと、あたしはそれで記憶を失ったのだ。
そろそろ、現実と向き合わないと。
- Re: らくだい魔女~失われた記憶〜 ( No.6 )
- 日時: 2015/08/24 21:35
- 名前: ひよこパフェ (ID: Q.pGZPl6)
#6
ドアノブに手をかけると、がちゃり、と庶民的な音がした。
ドアを開き、右をみて、左をみる。誰もいない。
「誰かいませんかーー」
自分でも驚くような小ささ。か細くて、弱々しい。
『あたしじゃ、ないみたい。』
「…ーーえ」
ふと、思い浮かんだ思いに、驚きをかくせない。
だって今の言葉は、自分自身を知っていないと分からないことだ。
あたしじゃない、と思ったってことはーーー
「…あたし、って人はうるさいんだろうなぁ」
そういうことだろう。
「フウカさま?どうなされましたか?」
一人のお姉さんがあたしに声をかける。丸くて大きな黄色の瞳に、淡い桃色の髪をお下げにした美少女メイドさんだ。
フウカ『さま』が気になるところだけど、まぁいいか。
「えっと、チトセのところに行きたいんです。でも、どこにいるのか分からなくて…」
「チトセさまなら、学校へお行きになられましたわ」
「え、そうなんだ…。そっか、今日火曜日だもんね」
「ええ。フウカさまも、もうすぐお昼ですわ。準備ができたらお呼びしますので、お部屋で休んでいらしてくださいな」
「あ、そうします。ありがとう」
そういって、ドアを閉じようとして、もうひとつ、聞き忘れていたことを思い出す。
もう一度ドアを開け、
「あ、あのっ」
歩き始めようとしていた足をとめてメイドさんが振り返る。
「どうされましたか?」
「あなたの、名前は…?」
メイドさんは少し驚いたような顔をして、表情を柔らかく戻すと、
「メイリー」
「…!」
「ドルチェ・メイリー、ですわ」
メイリーは花の咲いたような笑みを浮かべ、スカートの端をもって優雅にお辞儀した。
「では、のちほど」
- Re: らくだい魔女~失われた記憶〜 ( No.7 )
- 日時: 2015/08/25 12:23
- 名前: ひよこパフェ (ID: Q.pGZPl6)
#7
「どうしたら、記憶が戻るのかな…?」
今、分からない所はたくさんある。
ひとつ目は、親。
目が覚めてから、すでに三日は経過している。
親がひきとりにきても、おかしくないのではないか。
なぜ、チトセがあたしをここにとめてくれているのか。
二つ目。
かすかな記憶にあったチトセとカリン。
目がさめてから発した声はその人らを呼ぶ言葉だった。
つまり、二人はあたしにとってすごく大事な人ってこと。
どんな関係なのか。
三つ目。
ここの場所だ。
あまりにも広すぎる。
あたしがいる部屋だけでもこれだから、他のへやもすごいのだろう。
来るときも、城みたいな見た目だった。
ここは、豪邸なのだろうか、それとも、城?
城だとしたらチトセは王子ということになる。
どうして、王子ともあろう人があたしなんかと?
四つ目。
度々よみがえる、炎の記憶。
あれは、一体?
毎回、その中のあたしは弱くて儚げな表情をしている。
どんな事件があったのか。本当の夢なのか。
考えることが多すぎて頭がいたい。
メイリーにも、言われたし、少し仮眠をとることにしよう。
・・・
「…い。おい、起きろって」
目を覚ますと、チトセの顔が間近にあった。
「う、わぁっ!?ち、チトセ…?」
「うるせぇな。飯だから、起こしにきたってのに…」
「飯?」と首をかしげる。
お昼ご飯、ということだろうか。でも、チトセは学校にいるはずでーー。
ふと、自分の体が茜色に染まっていることに気がついた。
も、もしかしてーー
「もう、夕方!?」
「はあ?頭おかしくなったのか。まぁ、ぐーすか寝てたもんな」
「む…。もういいです。チトセ、さまと違ってあたしは考えることがありすぎましたからね!チトセ…さまみたいにのーてんきにはいられないんですよっ」
「…?おまえ、からかってるのか?」
いぶかしげにこちらを除き込んでくるチトセ。
だってーー
「だって、チトセさまは王子なんでしょ?」
「はぁ?なにいってんだ、おまえ」
あ、もしかして違ってた?
「オレは確かに青の城の13番目の王子だよ?」
あ、やっぱり…て、13?
「…ダサい」
「あ?何か言ったか」
「言ってないですすみませんごめんなさい」
口にしてしまった思いを聞かれて全力否定。ひぇー。
「けど、おまえだって王女じゃねーかよ、プリンセス」
「………もう一回おねがいします」
「お前だって、王女だろ?」
「……え?」
- Re: らくだい魔女~失われた記憶〜 ( No.8 )
- 日時: 2015/08/25 21:51
- 名前: ひよこパフェ (ID: Q.pGZPl6)
ひよこです。
もう七話まできましたね。早い!
これから先どうなっていくのか…。
わたしにもさっぱり分かりません!(笑)
直感的に書いてるので←
なので、いつ終わるかなどは全然分かりませんが、
これからもお付き合いお願いします。
- Re: らくだい魔女~失われた記憶〜 ( No.9 )
- 日時: 2015/08/26 10:49
- 名前: ひよこパフェ (ID: Q.pGZPl6)
#8
「あたしが、王女…!?」
「まぁ、一応な。…そんな風に驚いてると新鮮だな」
「え、やだ。気持ち悪いこと言わないで」
「おまっ、さっきまで敬語使ってたやつとは思えねーな!?」
あせるチトセを見ながら笑い、「冗談だよ」と告げる。
「……それにしても。王女、ねぇ」
その国は大丈夫なのか、と本気で思う。
じゃあ、あたしのママは、女王なわけだ。はあぁ、すごい。
「ま、とにかく腹へったし、飯くおうぜ」
「…そだね」
とは言っても、やっぱり不安だ。
あたしの記憶、どうしたらーー
「だいじょうぶ」
「え…?」
あたしの心を見透かされたような言葉。どうして。
「安心しろよ。きっと、だいじょうぶだから」
根拠のない言葉で、頼れなくて、馬鹿馬鹿しいと思ったけど。
バカなあたしは、それですごくすごく安心して。
「ありがとう」
と笑顔をみせた。
・・・
「びっくりした。すごいおいしいんだね、ここの料理」
「まぁな。一応、一流シェフが作ってるし」
夕食後。
チトセはまたあたしの部屋にいた。
なんで、こんなにあたしのことをきにかけてくれるのか分からない。
あたしなんかよりも、もっともっと、大事なことがあるはずなのに。
「…でさ、そいつがーーフウカ?」
あたしの様子に気がついたらしいチトセが話すのをやめた。
「チトセ」
「…?」
「あたし、なんであなたがこんなに良くしてくれるのか、分からない。
突然訳の分からないあたしを引き取って、部屋も貸してくれて、美味しい料理まで食べさせてもらって。なんにもしてないのに、どうしてそんなによくしてくれるの?あたし、分からない」
こんなの、八つ当たりだ。
記憶がなくて、イライラして、記憶がないからそれをどこにぶつければいいのか分からなくて。
だから、よくしてくれるチトセに、八つ当たりしている。
最低だ。恩人にたいして、失礼だ。
でも、わかっていてもその質問を止めることはできなかった。
「…こんなによくしてくれて、罠なんじゃないかな、って思うときもあるよ。
あの炎のなかで、ひとりで死ぬのかなって。こわくてこわくて、苦しい。こんな日々、嫌だし、どうしたら知っているあたしに戻れるのかなって、今までも、今この瞬間だって思ってる。分からないこと、たくさんあるの。ママだっていないし、迎えに来てもくれない。もしかしてあたしって捨てられたのかなって、不安になる。チトセだってあたしを王女とか言ってくれるけど、本当は違うんじゃない?嘘、ついてるんじゃない?嘘はだめ。苦しいから。あたしをこれいじょう辛くさせないで?助けて。側にいて、暖めて、誰かの温もりを、手のひらに感じて、この苦しみから解放されたいよ」
「フウカ」
「あたしだって人間だし。どうしたらいいの?みんな、あたしに何を望んでるの?泣きたいし、叫びたいよ…」
「フウカ…!」
「いつも、寝て、考えて、食べて、寝て、の繰り返し。希望何て見えない。未来なんてない。こんなあたし、生きてないも同じじゃないの?死んだって誰も悲しまないんじゃ…」
「フウカ!!!!」
びくん、とからだが震えた。あたし、今、何を語ってたの?
怖くなる。自分じゃない自分がいて、怖い。
「フウカ…。オレは、お前を信じてるよ」
「…うそだ」
「本当だ。お前なら思いだせれる。信じれる」
「……」
「だから、そんなに泣きそうな顔しないでくれ」
泣きそう?あたしが?
自分の頬にふれた。ずいぶんと歪んでいて、チトセのいう通り、今にも泣きそうな表情だった。
「そんな顔、すんな。オレは、、お前にそんな顔をしてほしいんじゃない」
「…じゃあ、どうしてほしいの?」
「笑っててほしい」
「バカ。バカバカ…もう。ほんと、バカだなぁ、あたし」
「あぁ、本当に。大バカだよ、お前は」
つきの光がさしこむ部屋でふたり。
あたしとチトセは笑い合った。
いつまでも、いつまでも。