二次創作小説(紙ほか)
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- 大好きで大嫌い
- 日時: 2018/01/01 14:26
- 名前: kisa (ID: BEaTCLec)
阿部隆也とにしうらーぜ。
- Re: 大好きで大嫌い ( No.2 )
- 日時: 2018/01/01 19:30
- 名前: kisa (ID: hxRY1n6u)
今日黎子は一日中抜け殻状態だった。いつも明るい黎子、明るさが取得だけの黎子。落ち込んだ時は誰も手が付けられない…いわゆる病み期!!あぁ今日は阿部も日直だったのに、放課後早々部活行っちゃったから、日誌から黒板掃除まで全部1人。死にてぇ。そして今日は周りの人々に多大なる迷惑をかけてしまった、ことに気が付いた。みんな気を使ってくれて、遊びに誘ってくれたけど申し訳なくて行けなかった。果たしてそれもいい選択だったのか…そう、考えすぎると止まらない負のループ。
日誌を書き始める。教室に誰かが入ってきた。
「黎子…」
「朔…」
朔を見た瞬間、嫉妬やら敗北感やらまだ朔が好きなことやらぐちゃぐちゃになって涙が止まらなくなった。黎子にとって初めての彼氏だった。
「ごめんな、俺、黎子と話がしたくて…」
「話すことなんてない」
「本当に悪いことしたと思ってるから、許して」
やだ、朔に抱きつかれた瞬間、黎子は朔を押し返した。
「俺のこと嫌いになった?」
黎子は静かに頷いた。今までに何度かあった、何度かあったっていうのは確信じゃないけど何となくわかる。なんだろう、女の勘。
「本当にごめんって、」
そんなに謝られたらこっちが悪いみたいじゃん。
「なんでそういうことばっかするの?他の女の子がいいならそっち行きゃあいいじゃん」
「いや、悪いと思ってる…」
「学校であんなことするとかマジで気色悪いから!」
「…どこの高校生も好き勝手やってっから」
「は?」
「手ぇ出さないだけ、一緒にいてやるんだからいいだろ?」
逆ギレじゃん、そんなの…
「最低…」
「お前さぁ、俺にばっかそんなこと言うなら…」
向かい合わせに座っていた朔が立ち上がり、黎子の目の前に立った。
「お前もおんなじことすりゃいいじゃん?そしたらお前だけだよ、俺は」
黎子はすぐさま立ち上がり、椅子を朔が歩み寄ってくる前方へ蹴った。腕まくりしながら黎子に近寄る朔から、逃げる黎子。
「こ、来ないでよ…」
「大丈夫だって」
「やだぁ…」
泣き叫ぶ黎子の手首を捕まえ、勢いよく床に投げ倒した。膝に内出血が走ったような痛みがあった。
「うるせ」
黎子に馬乗りになって思い切りセーターをたくしあげてくる。黎子は爪を立てようと朔の顔に指を近づけたが、手は自身の頭の方で押さえつけられてしまった。シャツの中に冷たい手が進入してきた、すぐスカートが捲られ風が入ってくる。無我夢中で叫んだ、さわられた感覚を忘れようとして、大声を上げていた。
「離せ!」
目を瞑っていた、黎子に頭上の明かりが見えた。視界に朔はいない。
「お前…サツに突き出すからな」
誰かの声がして、黎子は身を起こした。目の前に後ろ姿が見えた、野球のユニフォーム、上にを着ている。後ろ姿の先には項垂れる朔、一体どうしたのだというのか。
「人を全力で殴ったのは初めてだ、1年だけの野球部なめんな」
「あ、阿部…?」
阿部が私の目の前にしゃがんだ。
「無事か?無事ではないよな…?」
「怖かった」
本当に、これから死ぬことより辛い人生を歩んでいたかもしれない。私は多分このまま襲われていたらただの泣き寝入りだったと思う。
「こ、わか、った、あべ、ありが、とう」
黎子は目を真っ赤にしながら、阿部と目を合わせた。阿部の肩に顔を埋めて泣いている。
「保健室行こうとしたら3階から叫び声が聞こえたんだよ、よかった」
「私もう、学校いけない、やだよ」
これからどうして生きていこう。
「んで、警察に突き出すの?」
「事件になったら、私の名前とか家族に迷惑かけちゃう。学校でも私笑いものだよ、嫌だそんなの」
今、生きることが大切だから。
- Re: 大好きで大嫌い ( No.3 )
- 日時: 2018/01/01 20:51
- 名前: kisa (ID: hxRY1n6u)
俺は高多へ帰るように怒鳴りつけた。案の定、あいつは走って逃げた。
今日に残るは阿部と黎子のみになった。黎子の下ろした髪は乱れ、服装も前方がはだけてスカートも垂れ下がっている。放心状態で一点を見つめる。阿部はどこに目をやったらいいのかわからなかった。自分はクソ野郎だと思い、同時に黎子をなんとかしないといけないと思った。
「阿部…ボタン…締めて」
「わかった…」
手の震えが止まらない黎子を見て止めざる終えない状況にあると悟った。ゆっくりと黎子の制服のシャツのボタンに手をかけた。ひとつずつボタンを止めていく、本当に何故か高揚する俺は、どうしたらいいのかわからない。胸元のボタンに差し掛かったとき、阿部は手を止めた。まだ俺への違和感を感じていない、こいつは。なにも見ていないふりをして作業を進めなくちゃなんない。
「これでいいか?」
妙に顔が近い。黎子は俯いたように頷く。
「ありがとう…」
阿部の胸元に顔を埋めた。
- Re: 大好きで大嫌い ( No.4 )
- 日時: 2018/01/01 21:02
- 名前: kisa (ID: hxRY1n6u)
次の日、黎子は学校を休んだ。
「やっぱり…先輩と別れたのがショックだったのかな」
「先輩も今日、来てないらしいよ」
彼女を心配する声もあれば、
「彼氏と別れたぐらいで学校休むとかメンヘラすぎ」
「かまってちゃんじゃないの?」
そんな声もある。昨日の出来事は阿部と黎子の間の暗黙の了解。誰かに話して同情してもらうわけにもいかない。
「大丈夫かよ?」
「多分…いや、わかんねえ」
「珍しいなぁお前が三橋以外のやつ心配するなんてよ」
花井が何気なく言った。本来なら俺はあいつの様態を見に行くべきだか、部活もある。どうしたらいいのか、あ。阿部はクラスのグループLINEから勝手に追加することに決めた。追加してすぐメッセージを送る。
- Re: 大好きで大嫌い ( No.5 )
- 日時: 2018/01/07 20:35
- 名前: kisa (ID: Mm9jHYga)
時計の針は午後10時を回った。黎子は今日一日中、布団の中から出ることは無かった。腹痛と母親には嘘をついて、部屋に閉じこもっていた。
「黎子、化粧水切れたから貸して」
姉の葵子(大学2年)が黎子の部屋のドアを足で蹴り上げながら入ってきた。
「あ…あんた病人だったね」
「お姉ちゃん…誰にも言わない?」
「は?いきなりなんなの」
自分1人じゃ溜めておけない…でも両親には言えないし、友達は信用してないわけじゃないけど、話したら広まるのがやだ…頼れるのはお姉ちゃんだけなんだ。
「お母さんにも、お父さんにも、お姉ちゃんの友達とかにも言わない?」
「え?…う、うん」
黎子はパジャマのズボンを握りしめて大きく息を吸う。手汗が止まらない、
「あのね…私、付き合ってた先輩に、」
黎子は言いながら泣き始めてしまった。姉は不思議そうな顔で黎子を見ている。
「襲われ、そうに、なって、」
「まじ?」
「…」
静かに頷く、二人の間には間が流れた。なに言われるかわからない。もうしょうがない。
「犯罪だよ、そいつ」
「へ?」
「あんた、このまま泣き寝入りするつもり?」
「な、なんか騒ぎが起きたらみんなに迷惑かけるし…」
世の中は男社会なので、ああいう男にひっかかる黎子が悪い、と考えられる。実際問題、黎子が先輩に手を出されたのはあの時が初めてなわけで、それまでは手を繋いだり軽いキスをしていただけ。黎子がああいった行為はまだ早いし、万が一のときも考えて、拒んでいた。それを周りの人に話す余裕と、理解があるか。ないであろう行動に移せないなだ。
「…わかった、秘密にする」
「ありがとう」
「体は大丈夫なの…?」
「転んだ時にアザができただけ…」
「誰か助けてくれたの?」
「阿部…くんが来てくれた」
黎子は胡座をかいた葵子の膝の上に顔を埋めて、また大粒の涙を流していた。
- Re: 大好きで大嫌い ( No.6 )
- 日時: 2018/01/07 20:43
- 名前: kisa (ID: Mm9jHYga)
朝は早い、無慈悲。
リビングへ降りると朝食と共に、テーブルには大量のお菓子の箱が置いてある。
「お母さん、これなに?」
「あ、それね。お父さんの出張のお土産。半分黎子の」
商社マンである黎子の父親が1泊2日の出張で福岡に行ってきた。そのお土産として、明太子の煎餅と福岡限定のキティちゃんのキャラメルや、色々なお菓子を黎子に買ってきた。
「ねぇこれ学校で友達に配っていい?」
そうだ、私日帰りで博多に行ったことにしよう。そして黎子は朝食の席についた。
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