二次創作小説（紙ほか）
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- 「文スト」太芥
- 日時： 2018/05/04 01:32
- 名前： rinrin （ID: GMnx0Qi.）
閲覧数100突破
ありがとうございます!!
こんな私得しかない小説にお付き合いして下さって…
閲覧数200突破
行き当たりばったりですみません…。
閲覧数いつの間にか400！
本当に嬉しいです…！！
暗く淀んだ夢をみた。
それは大切な師が自分の元から消えてしまう、不快感溢れるもの。
大切な師、つまりそれは太宰さん。
もう二度と、自分から離れて欲しくない。
何も云わず拳を握りしめた。
師は、首領室にて佇んでいた。
何かを懐かしむ様などこか遠い眦。窓を見ているのかその先を見ているのかは、判断出来ない。
「矢張り此処は嫌だね。」
自分の存在に気づいた師が、こちらも見ずに口を開いた。話しかけているというのに、その目に自分が映らないのが不快でならない。
「血生臭い。…此処にくると沢山の死に直面するようで頭が痛いよ。」
少し微笑みを含んだ言い方だが、目が笑って居なかった。
体と脳が恐怖を覚える。
「何を今更。筆頭し、幾つもの組織と人間を葬ってきたのは、貴方でしょう。」
緊張し、口を開く。
師は何を思ったのか、銃を弄んでいる。
今から二週間前。
マフィアと敵対していた探偵社が突如として消えた。
否、殲滅された。
攻撃を仕掛けられていた事をマフィアは知っていた。首領は酷く喜んでいた。
じわじわと戦力が削がれていく探偵社に、遂に首領が手をさしのべた。
少し語弊がある。正しくは師、のみに、だ。
端的に云えば『助けてやる。だから戻ってこい。復讐したくないのか？』、と。
人虎と関わっていた時分に時々師と会っていたが、再びマフィアと化したあの御方は、まったく違っていた。
強いて云うならば昔の様な。
血も涙も情もない、切り捨てていくあの姿。
感銘を受けずにはいられなかった。
しかし師が戻ってきたことは組織を大きく動かした。
まず、あの時代の師を知るものは、畏れ。
後は反感、怒り。
裏切りに容赦無い組織のこの対応は可笑しいとでも云いたいのであろう。
しかし其処らの雑兵とは器が違う。
あの目付き、手腕。
矢張り自分の師はこの御方だと、再確認させられた。
もう、二度と離れたくはない。少しでも近づきたい、傍に居たい。そんな気持ちが膨らむ理由は、良く分からなかった。
- Re: 「文スト」太芥 ( No.18 )
- 日時： 2018/04/02 20:55
- 名前： rinrin （ID: GMnx0Qi.）
さあ。そろそろかな。
「っ、太宰………」
「うん、…どうしたの？」
中也は私の名を一つ呼ぶと、突然倒れてしまった。
形容し難い音を発て乍崩れる相棒は、なんだか此方を睨んでいる様で。
「嗚呼！…矢張り気付いたかい？」
恐らく中也は怒ってるだろうなあ。
ネタばらしをすると、実は。
中也の頸を掴んで引き摺った時に、薬を塗った。
少量だから効くのが遅いんだけど、まあよかった。
「………あ。中也どうするか考えてなかった。」
まあいい。
こうやって、…道路の端に置いとけば！
あ、心配しないで下さいって札も附けとこう！
こうして、無事私の謀は一つ、成功した。
中也を眠らせた理由？それはね…。
「……………うふふ。」
太宰は一人で路を進む。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
女は焦っていた。
「糞ッ！なんで彼奴は戻ってきたんだ！」
去ろうとした自分が彼奴と会ったのは恐らく偶然ではない。
妙に策士だと訊いていたが…
まあ、正体はばれていない。
この、異能のお陰で。
教えた道を先回りして仕掛ける…！
- Re: 「文スト」太芥 ( No.19 )
- 日時： 2018/04/06 22:33
- 名前： rinrin （ID: GMnx0Qi.）
「はああぁ。…未だ着かないのかい？私もう疲れた」
このまま芥川君と中也を放置したら首領にも怒られそうだなあ。
それに、受けた傷は倍返しにするのがマフィアの鉄則。
「…処刑されたくないし。あーあ、それにしても遠いい。」
太宰が何故これ程疲れているかというと、ある大きな荷物を引き摺っているからだ。
時々愚痴や悪態をつきながらも重い脚を動かし進む。
本来なら、もう到着する筈なのだが＿＿＿＿＿＿
此処辺かなあ。
太宰はキョロキョロと辺りを見回し乍歩く。
路の幅は狭いがまばらに人が居る。
「やれやれ、予定より早く着いた。先にやるべきことをやるとしよう。」
大きい荷物を置き、叩く。
「…おーい。起きて、芥川君。」
- Re: 「文スト」太芥 ( No.20 )
- 日時： 2018/04/11 23:08
- 名前： rinrin （ID: GMnx0Qi.）
目を開くと、目の前に師が居た。
朦朧とする意識の中、それだけは確実に解る。
「太宰、さん…」
「本当に君は面倒を掛けるねえ。お陰で私は骨が折れる思いを＿＿＿＿＿」
その言葉で、記憶が甦る。
そうだ、僕は確かにあの女に＿＿＿。
「やれやれ。で、起きたばかりで申し訳ないんだけど。」
「！申し訳ないだなんてそんな、…！」
そこで師は、自分にある策を伝えた。
これでまた少し、認められる路から遠のいた。
しかし、師の接し方は何時もと変わらない。
…何故だ？
こんなにも迷惑を掛けてしまっているのに、叱りもしない。
そうか、太宰さんは＿＿＿
もう昔の太宰さんでは無いのだ。
「さあ、芥川君。これは君の為に計画した事だ。しくじらない様に、ね。」
「…承知。これ以上ご迷惑は掛けられませぬ。」
「そうかい。…じゃ、位置について………、」
そこで太宰は唐突に思い付いた。
芥川のやる気を煽る最大の方法、…
それは、矢張り認める事だろう。
しかし、否、もしかすればそれ以上にやる気を引き出す魔法の言葉が……、
「芥川君。」
「？」
芥川は振り替えって、
「この作戦が成功で終わったら、条件付きで＿＿＿＿＿＿＿＿」
「一つ、なんでも云うことを聞いてあげよう。」
- Re: 「文スト」太芥 ( No.21 )
- 日時： 2018/05/04 01:22
- 名前： rinrin （ID: GMnx0Qi.）
遅くなってしまい、すみません…！！
まだ見てもらえるとは思いませんが、これからもぼちぼち続けていきます！
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
芥川は固まった。
まるでそれは長年滝を浴びてきてもビクともしない、岩石の様な。
目の前で微笑む師を凝視する。
それで少しは頭が覚め、冷静になってくる。
…違う、師は、僕を煽っているのだ。唯、それだけで…。
まるで展開がよめる。
作戦は成功する。
芥川が詰め寄る。
「…そんなこと云ったかい？」
誤魔化す。
これだ！
まさしくこの通りになるに違いない！
「逃げないよ。」
！
「君が望む事に誠心誠意応えよう。」
「そんな、願いなど…」
＿＿＿＿おこがましい。
「…有るだろう？一つや二つ。」
若し、若し。
本当に、師が応えてくれるのならば………
「さあ、行っておいで。約束事は覚えているかい？」
「はい、勿論。異能の使用を禁ずる…」
「そうだ。」
不意に太宰さんが近付き＿＿＿＿、
僕の頭を撫でた。
- Re: 「文スト」太芥 ( No.22 )
- 日時： 2018/05/09 00:40
- 名前： rinrin （ID: GMnx0Qi.）
暖かい手が芥川の頭に触れ、熱さが伝染したかの様にまた、頬も真っ赤に染まった。
どうすることも出来ないまま、唯、その行為が終わるのを黙って待つが、一向に終わる気配が無い。
＿＿＿＿＿＿太宰さんは一体何を考えているのだろう。僕の様な凡人の頭では到底理解できぬ。
それにしても、何故異能の使用を禁ずるのか。真逆周りに人が居るから等という考えではあるまいし。解らぬ。
「…あの、」
「？」
「質問なのですが……、何故異能を使用してはいけないのですか？」
「周りに人が居るからだよ。」
そんなっ………！
完全に読みを外した……
太宰さんの真意も見抜けぬ弟子等、存在価値はない…。
「…ていうのは冗談で。異能の禁止制限は、本来のこの作戦に大きく関わっているものなのだよ。」
その、目的とは………？
太宰は芥川に聞かせず、目で制した。行ってこい、そう合図する。
それだけで、芥川は完全に前を向く。咳を一つしながら、歩き出す姿を見て、太宰は微笑んだ。