二次創作小説(紙ほか)

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真の魔女は誰? ハリー・ポッター
日時: 2018/05/03 21:54
名前: マスカット (ID: KpEq4Y5k)

真の魔女は誰?

これは魔法の美しさに魅入られ、「魔女」と師弟関係を結んだ14歳の少女エスティルの話。

目次

第一章

1.プロローグ     >>01
2.「魔女」と「人間」 >>02
3.影表し、影遊び   >>03
4.タイムリミット   >>04
5.忘れられない光景  >>05
6.逃亡生活      >>06
7.私のせいで     >>07

影表し、影遊び ( No.3 )
日時: 2018/04/06 14:04
名前: マスカット (ID: eD.ykjg8)

2週間もかけて、やっとのことで「新月の誕生の杖」が出来た。

両端の太さが違う黒檀の真っ黒い棒に、光に透かすとうっすら光る青色の木に刻まれた模様。杖の太い方の端は先が丸っこくて穴が開いている。穴には凧糸くらいの細さの細かい組紐が結びつけてある。

エスティルの棒は綺麗な真っ直ぐじゃなくて、穴も歪んでいるけど組紐だけは会心の出来だと思う。

棒に刻んだ模様に塗る青い塗料はラピスラズリを使っているらしい。それが光できらきら輝くのは、凄く神秘的に見える。

先生が言う。
「さて、この杖を使う魔法を影表し、又は影遊びと言います。自分の影の形を変えたり、影の中に入ったり、影の中に物を隠したりできます。エスティル、よく見ていなさい。」

先生はそのまま大きく息を吸い込んだ。そのまま詩みたいに言葉を紡いでいく。
「新月は影、光の狭間、始まりのお終い、誕生の闇の中」

杖を掲げると先生の上半身がゆっくり近くの切り株の影に沈んでいく。あわてて覗き込むと、手だけで制止された。

そのまま完全に先生の身体が影の中に沈む。心配になってじっと影を覗き込むと、いきなり誰かに後ろから肩を叩かれた。

もしかして一般人の人に「魔女」の事がばれた?慌てて振り向くと、先生がにっこり笑っていた。

「切り株の影から貴方の影に移動したんですよ。さて、練習しましょうか。」

それから練習を始める。呪文には息継ぎのタイミングも重要になってくるし、杖の掲げる角度も重要らしい。流石に一日では魔法は習得できなかった。

タイムリミット ( No.4 )
日時: 2018/04/06 14:27
名前: マスカット (ID: eD.ykjg8)

影表しの練習の後、エスティルはオズレルドの孤児院に帰っている。

私には両親がいない。生まれた時から孤児院に預けられていたらしい。もう14年も孤児院にいることになる。14歳にもなると、孤児院では最高年齢だから家族の世話をしないといけない。
家族はもちろん血が繋がっている訳じゃなくて、自分より小さい世話しないといけない子供たちの事。

最近は人件費が高いらしくて、孤児院には院長さんしかいない。それであんまり世話ができていないらしい。私が先生に質問してる間も世話するように言われる時もあって、最近は困ってるけど仕方が無い。

でも最近焦っているのは、別の事。もうすぐすると、私が「魔女」と関わっている事に気づかれてしまう。

実は「魔女」になると、髪が銀髪になるらしい。本当の魔女は「魔女」は生霊力という力を使って魔法を操っている。完全な「魔女」になればなるほど体内の色素が生霊力に変換されていく。
だから「魔女」になれば、人種に関係なく肌の色が薄くなっていくし、髪の色素も生霊力に変換されて白くなる代わりによく光るようになる。

だから「魔女」の証拠は、銀髪で薄い色の肌といえる。また、「魔女」にはそれぞれ一人ひとり違う色の生霊力を持っていて、目には特にその影響が出やすいらしい。だから「魔女」の目の色は一人ひとり違って、完全な「魔女」になると色が変わってくる。

私の髪は白っぽい金髪で、髪の色はあんまり分からないけれど肌が少しだけ白くて目にアメジスト色が混ざってきている。だからその内ばれてしまう、私が「魔女」と関わっているということが。

そうなったら家族にまで嫌われるのだろうか。

エスティルは心配になりながら孤児院に帰る。

忘れられない光景 ( No.5 )
日時: 2018/04/11 22:37
名前: マスカット (ID: eD.ykjg8)

今日は誰が食事当番だったっけ。

やっと孤児院のシルエットが見えて来た。だけれど何故か赤く光っている。焦げ付いた嫌な臭いやうっすらとした煙、けたましいベルの音がして消火活動に当たっている屈強な男性たちが現れた。


エスティルは走り出した。
「どうして!どうして孤児院が燃えてるの?」

近くのお爺さんが気の毒そうに見て来て言った。

「それが、いきなり数時間前に建物から火が噴き出してきたんだな。近くの奴は魔女の仕業だって言ってるんだがな。きっとそうだ、なんせまるで魔法みたいに火の回りが早いもんだから。」

逃亡生活 ( No.6 )
日時: 2018/04/19 19:33
名前: マスカット (ID: KpEq4Y5k)

頬がかっと熱くなった。頭の中をぐるぐる言葉が回る。

どうして、先生は悪い魔女じゃ無いのに。みんな魔女のせいなんて、酷い。どうして、どうしてなの?

燃えている孤児院を見ていられなくなった。独りでにその場から走り出す。そうして気づいたら、先生の洞窟に着いた。

「どうしたんです、こんな遅くに。」

私のせいで ( No.7 )
日時: 2018/05/03 20:51
名前: マスカット (ID: KpEq4Y5k)

走り出したエスティルを気の毒そうにしていたお爺さんが見て、歪んだ笑みを浮かべていたことなんか知らない。

お爺さんが数ヶ月前からエスティルの事を魔女と繋がっていると疑っていたことなんて知らない。

お爺さんが魔女を突き出して出世しようと企む貴族だったなんて知らない。

お爺さんが孤児院を出世の為に燃やしたなんて知らない。

けれど、悪いのは全部私のせいだ。
私が孤児院を見て、魔女の仕業だと言われて、いつも先生の言う冷静な判断が出来なかったせい。

先生の隠れ家で故郷の洞窟にまで警備隊の人達を連れて来てしまったせい。

お爺さんが孤児院を燃やしたと聞いて、怒って制御出来ていない魔法を使ったせい。

私が魔女との繋がりを隠し切れなかったせい。

そのせいで、
孤児院が燃えて、

家族が死んで、

先生の隠れ家を吹き飛ばして、

お爺さんの顔を火傷させて怒らせて、

先生が警備隊に連れていかれて、

先生が一生を賭けて作っている大事な魔法の杖を完成出来なくなって、

私は貴族を傷つけた犯罪者になって、

ただ逃げ続けるだけの中途半端な魔女になった。

「魔女エメラルディア、お前を国家反逆罪を犯した重罪人として逮捕し、直ちに国王の元で裁判に掛ける為、逮捕する!これで出世出来るぞ、感謝してやる。」

先生はエメラルディアって言うんだ。初めて知った。

いつかはこの時が来るかもしれないと分かっていたけど、現実じゃないみたい。

私は何も出来なかった。

目の前で先生が生霊力を封じる手錠を付けられた。先生がぐるぐる巻きに縛られる。鎖で犬みたいに引きずり回される。

私の足は所有権を失ったみたいに動かなかった。きらきらと光る鎧を着た兵士が私を軽々と押さえ込んでいた。息が出来ない。

「こいつはどうしましょうか。」

先生は唇を指差した。兵士の隙を突いてゆっくりと口の形を変える。

じゅ・う・た・ん・の・し・た・の・と・び・ら

絨毯の下の扉。

「ただの子供だ。そのうち野垂れ死ぬだろう。」

私だけ半分壊れた洞窟に残される。

「魔女になろうとしたら地の果てまで追いかけるからな。王都に言ったらお前にわしを傷つけたとして賞金首に掛けてやる。精々一時の自由を楽しむんだな。その前に死ぬかもしれないが。」

賞金首?言葉が頭の中を素通りして理解出来ない。先生の口がまた動いた。

イル・ペスカ・リャシャ・クフィ・シュリラ

魔女のみぞ知る、古代の生霊言語、エンシェルティトゥー。
先生の言った意味は、

さ・よ・う・な・ら


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