二次創作小説(紙ほか)

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ぬらりひょんの孫 【もう一人のぬらりひょん】
日時: 2018/11/09 20:56
名前: マシュ&マロ (ID: 1.h02N44)



 どうも、マシュ&マロです♪


 知ってるという方も知らないという方にも楽しんでくれるような作品ができたら幸いです!

(私の文才は低いですが、最後まで見て頂けたら嬉しいです。)

Re: ぬらりひょんの孫 【もう一人のぬらりひょん】 ( No.2 )
日時: 2018/11/12 11:35
名前: マシュ&マロ (ID: UsiAj/c1)



 ーーギンッ!!


 双方の刀が張り合うようにぶつかり合い赤々とした火花を散らす。


 だが周りで見ている者は何が起きているか分からなかった。...いや、目の前で何が起こっているか見る事もできず、ただ鳴り響いてくる音に混乱しているのだ。



 そこへ______。



 「お〜、こりゃあまた派手にやっとるな〜」


 「あっ、総大将! 」


 「おう、青田坊。それにしてもまた変な輩が来よったの〜」


 まじまじとした様子で目の前の出来事を観察している総大将、だが青田坊には見る事すらできず総大将が何を見て何を考えているかは分からなかった。


 「ほほ〜....今回ばかしはちと面白いよの〜」


 「総大将。リクオ様とやり合ってる奴は何者なんですか?、どう見てもあれは・・・・・・。」


 「おっ、気になるか青田坊?」


 「あーまー、はい...一応...」


 総大将からの言葉に受け答えを少し迷った青田坊。だが総大将に手招きをされて屈んだ青田坊の耳に総大将からの衝撃的な事実を聞かされた。


 「えっ!、それってつまりッ!!」


 「静かにせんか青田坊、この事は後での楽しみに取っておくつもりだからな」


 「ですが・・・・・。」


 少し不服そうな青田坊、だが横から聞こえてきた斬り合いの音を聞いて渋々黙って立っている事にしたのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ーーキンッ!!


 この音が鳴ったあと一旦の間が空いた、そしてリクオからこんな事を投げかけた。


 「おい妖怪、テメェはどうして俺と似たような姿で同じ“明鏡止水”を使えるんだ」


 「・・・・・・殺し合いに私語は不要、知りたいなら勝ってから聞けば良い」


 「そうか...、それなら話が早くて楽だな」


 「では...。」


 強い踏み込みを決めて攻撃を仕掛けてきたのは相手の方だった。だがリクオはそれに対して大胆不敵といった様子でゆっくり歩き出した。


 ーースカッ!!


 「!!・・・・・えっ!...」


 切りつけたはずの刃はリクオをすり抜けた様に空を切り裂くと居たはずのリクオ自身は幻影だったとでも言うように消えてしまった。


 「鏡花水月......。水に映る月のように本物そっくりに見えても触ると消えてしまう、ぬらりひょんの性質をよく掴んでいるだろ?」


 そんな声が聞こえたあと、妖怪の横腹へ目がけてリクオの強烈な蹴りが入れられ小さく呻き声を漏らしながら妖怪は屋敷の端へと地を跳ねながら飛ばされていった。


 ーーガシャン....っ!!..。


 「うぅ.....。」


 壁に勢いよく大の字になったあと視界がぼやけながら地面に膝と手を付いた、すると徐々に近づいてくる草履の足音に気づいて睨みつけた。


 「悪いが妖怪、俺にも期限があるんだ。お前と比べるとちんけに感じる程の時間しかない、だから一思いに逝かせてやる」


 振り上げられた刀、そしてそれを握る者の姿が見上げている妖怪には異様に大きく見え、力尽きたように気絶してしまった。


 「そこまでにせい、リクオ」


 一瞬の間が空きその場にいたリクオは突如として現れた総大将の姿に驚きつつも疑問を覚えた。


 「ジジイ、急に出てきて何のようだよ?」


 「そりゃあリクオ、誰でも家族同士の殺し合いは望むもんじゃあねぇだろ」


 「家族?、急に何言って・・・・・。」


 何かを言いかけたリクオだが、気絶している相手の着物の隙間から見えてきたものを見て喋るのをやめた。


 「さらし?、って事はコイツは女なのか!?」


 リクオだけじゃなく遠くで様子を見ていた者達にも聞こえてきたらしく騒がしく周囲から議論が飛び交っていた。


 「説明しろジジイ!、コイツが誰であって俺とどう関係してんのかをよ!」


 「そのつもりじゃよ」


 総大将はリクオの混乱している顔を見て悪戯っぽく笑ってみせる。


 そして......リクオの夜はまだまだ長引きそうであった。

Re: ぬらりひょんの孫 【もう一人のぬらりひょん】 ( No.3 )
日時: 2019/08/15 14:53
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「それでジジイ、コイツは何者なんだ?」


 敷かれた布団の中に眠っている妖怪を見下ろしリクオはそう言った、すると寝ている妖怪を挟むように座っている総大将から予想外の答えが返ってきた。


 「こいつは儂の娘、つまりお前さんの叔母にあたる」


 「・・・・・・・はっ?」


 思わず間の抜けた声が漏れてしまったリクオ、両眉を額に寄せて眼下にいる妖怪を見てみたが似ても似つかない気がした。


 「こいつは濡れ女であるしゅうと儂との間で出来た列気とした儂の娘じゃよ、まぁ誰にも言ってなかったがお前さんの父からして妹にあたるな」


 「つまり俺のオヤジとは異母兄妹っ......でっ、これからコイツの事はどうするつもりだ」


 


 「それはお前さんに一任しようリクオ、それじゃあ儂は」


 「おいジジイ!、待ちやがれッ!」


 周囲に溶けたかように総大将の姿が消えると、軽い足音だけがリクオの耳に聞こえてきた。


 「チッ!、任せると言われてもこっちが困るって話なんだよ」


 苦言を良いつつも畳に座り直したリクオ、まじまじと妖怪の寝顔を見ていると女と言われれば女のように思えてきた。


 「いつまで見ているつもりだ、見せ物じゃないぞ」


 「やっぱり起きてたか、ならさっきのは狸寝入りってところか」


 「そうだ。それにお前に敗けたつもりはない」


 「そうか、俺もお前に本気を出したつもりはない」


 「それは私も同じだ、お前のような妖怪が奴良組を継ぐなど片腹が痛むという話だ」


 「その話は置いておいて本題だ、何故ここを襲った」


 「最近になって奴良組の勢いが戻ってきたと聞くようになってきた、だから勢いの中心に居るというお前を見定めにきた」


 「でっ、その建前の本音はどうなんだ?」


 「・・・・・・・・・父親に会いに来た、まだ会った事なかったから......」


 「つまり父親にどう接すれば良いのか分からず今まで会えなかったと。なんとも健気な娘心だな」


 「おい斬るぞ?、確かに貧相な体をしているが父親が恋しくなる年代はとうに過ぎている」


 「なら良いが、お前っていつ頃の妖怪なんだ? 時代によっては成長過程という事も・・・・・・」


 「本気で斬るぞ?、確かに私は明治の生まれで妖怪としては未熟だがお前よりは長い年月を生きている」


 「そうか?、それにしては小ぶりだな」


 「今ここで腕の一本でも動かせるものならお前を斬り捨てて私の胃袋にでも入れてやるのだがな」


 妖怪から殺意を含んだ視線を浴びつつも怯む事なくリクオはそれを受け止める、そして話を続けるため口を動かした。


 「話は逸れるがお前、名前は何て言うんだ? 俺は奴良リクオ、奴良組の三代目を継ぐ妖怪だ」


 「妖怪?、昼は人間のくせに奴良組を従えるつもりなのか」


 「なら俺の妖怪としての器量、朝まで堪能させてやろうか?」


 「や、止めておこう。私にその気はないからな」


 「妖怪として未熟とか言っていたが、女としても未熟らしいな」


 「う、うるさいッ! 私をからかうなっ!」


 「どんなに堅苦しく見えても、素は本当に健気なようだな」


 「か、勝手に私の事を決めつけるな! 私は妖怪だ!、お前なんて体が自由に動けば簡単に・・・・・・!」


 「思ったら話が更にこんがらがってきたな、話に戻るがお前の名前はなんて言うんだ?」


 軽くリクオにあしらわれ顔が赤くなった妖怪だったが、まだ理性の一部が働いていたようで渋々ながら話し始めた。


 「私は奴良燐(ぬら りん)、不本意だがお前の言葉に従う」


 「燐....そうか。ならこれから宜しく頼む」


 「よろしく、それと私を女だからと言って嘗めないでもらえると嬉しい」


 「それはお前の実力次第だな」


 こうして衝突気味になりながらもリクオと燐、二人の出会いはここから始まった。

Re: ぬらりひょんの孫 【もう一人のぬらりひょん】 ( No.4 )
日時: 2019/08/15 17:20
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 翌日、燐は温かい布団の上で目を覚ます。そしていつの間にかリクオの姿はなくなっていた。


 「まさか...、夜這いされていないだろうな?」


 そう言って自身の体を見回してみる燐、だが幸いにもそういった形跡はなく安堵の溜め息を漏らす。

 するとそこへ誰かが襖を開けて部屋へ入ってくるのを感じ、燐は思わず身構えていた。


 ______ガラッ!


 「おや、目覚めてたんですね」


 「お前は.....?」


 「おっと失礼、俺は首無という妖怪です。別に貴女に危害を加えようという訳ではありません」


 「そうか......ところでリクオの姿が見えないが、出掛けているのか?」


 「いえ、若様は『学校』という人間たちが通ってる場所へ行かれています。それと総大将....いえ、お父上様がお呼びです・・・・・・」


 「父上がっ!?、ちょっと緊張するなぁ」


 「出来るだけ急がれた方が良いかと.....」


 そう言って廊下へと招くような仕草をする首無、その様子に隣は少しの緊張を抱きつつも布団から起き上がる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おそるおそる父親のいる部屋へと入っていく燐、そこには両手で湯飲みを持って寛いでいる老人の姿がおり燐は少し距離をとって座る。


 「おう来たか燐!、それに州は元気にしているか?」


 「・・・・・・・父上様、実は.....」


 「そんな堅苦しくならずに燐の呼びたいように呼んでみたらえぇ、それに親子なんじゃからもっと近くに座りなさい」


 そう微笑みながら手招きをする父親の姿に、燐は少しばかり躊躇いつつも数歩前へと移動する。


 「父上様...いえ、お...お....お父さん。実は・・・・・・」


 「んっ?、なんじゃい燐?」


 言葉に詰まる自身の娘にそう優しく語りかける総大将、すると燐の方も落ち着いてきたのか徐々に言葉が出るようになる。


 「実は.....母が無くなりました...」


 「そうかそうか!、州が死んだか!・・・・・・・えっ?、今なんと言った!?」


 「えっ...と、母が無くなりました。お父さん」


 あまりの出来事に湯飲みに淹れられたお茶を一気に飲み干して冷静を保とうとする総大将、まだ少し気が動転しているが構わず燐に問いかける。


 「州...いや、お前さんと母上は幸せに暮らせていたか?」


 「まぁ、少し不便はありましたが楽しく暮らせていました。それと死ぬ間際に母から手紙を託されて此処へと参ってきた所存です」


 「どれどれ、州からの手紙とは久しいのう」


 燐から手紙を受け取って中身を拝見する総大将、すると何故か不思議と燐の体に緊張が沸き起こり思わず固唾を飲んで父である総大将の言葉を待つ。


 「ほうほう、つまり娘の燐の面倒を頼むという事か。それに“最後の文”が気がかりだな」


 「さ、最後の文.....ですか?」


 「『山作りし妖怪、当代にて現る』・・・・・、山を作るほどの妖怪が今さら現代に現れるって州はどういう意味でこれを書いたんだかな?」


 そう首を傾けて言った総大将、そしてそれを聞いていた燐自身も母から何も聞いておらず訳が分からずにいた。


 「まぁ、この一件はわしが預かろう。それに州に言われずともお前さんの面倒はきっちり見るつもりだしな」


 「こ、これ宜しくお願い致します!」


 そう言って土下座しようと頭を下げる燐。だが直ぐにそれを止めようとする総大将の言葉が聞こえてくる。


 「どこの世に自分の娘に土下座させる父親がいる、堅苦しくせんでもいいんじゃよ」


 「すみません.....礼儀作法については母にキツく叩き込まれていたもので、癖というのか何というのか」


 「確かに州のやつ、中々礼儀作法には厳しかったからなぁ。まぁそんな彼女に惹かれたというのは否定せんがな」


 そう苦笑を交えつつ言う総大将、それに釣られてか燐自身も母との思い出を振り返って思わず苦笑いを浮かべてしまった。


 「まぁしかし、これから宜しく頼むな燐よ」


 「改めて宜しくお願い致します、お父さん」


Re: ぬらりひょんの孫 【もう一人のぬらりひょん】 ( No.5 )
日時: 2019/08/25 19:57
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 今は夕日の輝いている時間帯、すると場所は変わって街の裏路地らしきところを一人の人物が歩いていく。


 「奴良組にまた変なのが入ったらしいなぁ.....まっ、結局は僕に殺されるからどうでも良いけど〜」


 そう自信過剰とも思える発言をしたのは黒髪の青年であり、オシャレでなのか片耳にビー玉ぐらいの大きさの赤い玉をぶら下がけたイヤリングを付けている。

 すると不意に風が巻き起こり、青年の目の前には突如として長い白髪に両手で持てる程の大きさをした古い壺を抱える女性が現れたのであった。


 「馬鹿を言うな馬鹿者め。お前一人だけで落とせる奴らではない」


 「えぇ〜でも砂掛すなかけ、その場合は馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ?」


 「無駄な知識だけ学びおって!、それにお前の場合は名前が“馬鹿”というのだから仕方がないだろ」


 「あっ!、確かに」


 そうポンッと手を叩いて納得する馬鹿こと変わらず馬鹿という青年、そんな青年と打って変わって砂掛と呼ばれた女性は自身の額に手をあてつつ首を横に振って半ば呆れた様子である。


 「まぁしかし馬鹿、先程“ボス”から全員集結するよう号令がかかった」


 「あ〜、だったら砂掛は僕を迎えに来てくれたんだね」


 「まっ、行くついでにお前を見つけただけだ。それに早く行くぞ」


 そう言って馬鹿の手を取った砂掛、すると次の瞬間には二人の周りに突然起こった竜巻に掻き消されたかのように姿を消したのだった。







 場所も時間も変わって夜を迎えた奴良組の総本山、そこの屋敷の廊下を歩いている燐の姿があった。


 「まさか歓迎会と称した宴会に強制参加させられるとは・・・・・うぷっ....酒なんてものを生まれて初めて飲んだが毒の間違いだな、そのせいか体があまり上手く動かせない...」


 酔いつぶれ気味に廊下を進む燐、目指すは自身の部屋なのだが視界がぼやけている上に千鳥足となってしまった足取りでは到底辿り着けそうにはないだろう。


 「あ〜頭がクラクラしてき・・・・・・」


 ______バタンっ!


 不意につまずいた燐だが酔いが回っているせいで立ち上がる様子はなく、このままだと明日には風邪を引いてしまう恐れもあるだろう。


 すると______。


 「こんな所で寝たら風邪引くぞ、それに俺より年上のくせに酒に飲まれるとはな」


 「う、うるしゃい....この妖怪人間、私は酒になど負ける筈が・・・・・うぷっ....」


 「おいおい大丈夫か?、こんな酔い潰れた妖怪が俺の叔母にあたるなんて考えたくないぞ」


 そう言って自身のちゃんちゃんこを燐へと着せてあげる妖怪状態のリクオ、すると酔い潰れている燐から何かをブツブツ呟いている声が聞こえてきたが気にせずリクオはその隣に座る。


 「私は、悲しくなんかないんだ....。お母様がいなくても・・・・・うぷっ...」


 「少し飲み過ぎだな.....いや、この場合は飲まされ過ぎたってところか」


 「あー、....あっちにお母様がいる」


 「おいおい、悪い夢でも見てるんじゃないか?」


 冗談混じりにそう言って笑うリクオ、だがその表情も直後に聞こえてきた大声によって掻き消されてしまう。


 「お母様〜!、私は元気にしていますよ〜!」


 「おい馬鹿!?、そんなに大きな声出したら近所迷惑だろ・・・・・ッ!、って寝てやがる」


 既に丸まって寝てしまっていた燐を見つめて少々呆れ気味のリクオだが、その寝顔を見てこんな事を呟いた。


 「・・・・・・お前がそんな表情も出来たとは意外だな」


 そう言ってリクオは仕方なく燐を部屋に帰してやろうと思い、眠ってしまった燐を抱えて誰もいない廊下を去っていく。






 「ったく、どっちが年下なのか分からなくなりそうだな」


 そう言って燐をふかふかの敷布団へと放り投げるリクオ、そして溜め息をついて一息置くと何かに気づいたのか襖の仕切られている向こう側を睨みつける。


 「こんな時に厄介な客人のおでましか....」


 そうリクオが言い終わるが早いか雄叫び挙げて何者かが襖を突き破って現れる。気性を荒げた様子の相手を他所にリクオは燐の安否を確かめるために首を傾けてみたが相変わらず寝ており大抵のことでは起きそうにないだろう。


 「ぬらりひょんの孫ッ!、殺すッ!」


 「ハァ.....、今宵は血の気が多い奴が来たもんだな」


 そう言ったリクオの視界には目の前にいる相手の事しか映っていなかった。

Re: ぬらりひょんの孫 【もう一人のぬらりひょん】 ( No.6 )
日時: 2019/09/03 22:28
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 相手は狼を模したような姿の妖怪であった。そしてリクオは片手に刀を携えて振り回してくる相手と狭い部屋内で距離を取りつつ襖を押し破って外へと飛び出した。


 「ぬらりひょんの孫〜ッ!!」


 そう言いつつ刀を振り上げて飛びかかってくる妖怪、だがリクオは怯むことなく相手を見据えると真横に降り下ろされた刀を見下ろしつつ相手の顎に張り手を叩き込んでやった。


 「ぐえっ!?」


 「ったく、何だったか?」


 そう言って首を傾けたリクオ、すると妖怪の着用している着物の中から何かがヒラヒラと空中へ舞う。


 「札?、今時変わったお守りだな」


 そう言ってそれを掴もうとするリクオであったが触れようとした瞬間、札を中心にした小規模な爆発が起こり黒煙がリクオを包み込んでいった。


 「ゲホ! ゲホ! ゲホ!、よく分からないが何だこの煙は!?」


 咳き込みながらそう呟いているリクオ、気のせいか力が抜けていくような気もする。


 するとこの事態に流石に目を覚ましたらしい起きたばかりの燐。まだ眠気の残っている眼を無理に開くと煙の消えた庭を見て思わず目を見開く。


 「リクオ!?、お前その姿!」


 「んっ、どうしたんだ燐?」


 そう呟いたリクオであったが違和感を感じてしまい自身の体を見下ろす。すると心なしか背が縮んでいるような気がするが気のせいだろうか?


 「何の呪いかは分からないが、背が私ぐらいまで縮んだんじゃないか?」


 「この札のせいか.....チッ、力が上手く入らねぇ」


 掴んでいた謎の札を見下ろしつつそう呟いたリクオ、これは異常事態以外の何物でもないだろう。


 「まぁ、俺の知り合いにでも頼んで何とかしてもらうしか道はなさそうだな」


 「知り合い?、こういった力に精通している者という事は・・・・・・」


 「そう、“陰陽師”だ」


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