二次創作小説(紙ほか)
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- 新米審神者日記
- 日時: 2020/02/10 19:15
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
祖母から審神者の座を継いだばかりの女審神者の生活の幕開け。
本丸は毎日騒がしかった。
- Re: 新米審神者日記 ( No.3 )
- 日時: 2020/02/17 21:19
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「な、何っ!!主が熱を出されただと!!!?」
へし切長谷部の声が反響する。
「あぁ、ただの熱だからゆっくり休めば…おっ」
薬研は何かを思いついた。その考えとはすぐに分かった。
「わぁ、確かにすぐに治りそうだね。ここにいたら」
フラフラな審神者は目を細める。大典太光世、ソハヤノツルキの部屋。大典太については
病が治ったという話がある。そこにいれば熱もすぐ治まるのではというのが薬研の
思いついたことだった。
「じゃあ大将の事は任せたぜ」
「おう、兄弟と一緒にちゃんと見ておくよ」
ソハヤノツルキが薬研に返した。戸が閉められた。更にソハヤまでも部屋を一旦離れてしまった。
気まずそうな大典太に審神者は話しかけた。
「やっぱり…気まずい?大典太」
「ッ!俺なんかが一緒にいて大丈夫なのか?薬研の方が病気には詳しいし長谷部の方が
世話の仕方を理解しているはずなのに…」
ネガティブな思考に走っていた。
「世話に仕方なんてないでしょ?一緒にいてくれるだけでいいからさ。話し相手になってよ」
審神者は笑顔を浮かべる。それを見て大典太は恥ずかしそうに顔を逸らした。ご飯を食べ薬を飲む
その後、いつの間にか静かになっていた。覗いてみると目を伏せて眠っていた。
「ついさっきまでの辛そうな顔が嘘みたいだな兄弟」
「そうだな…熱も引いてきてるみたいでよかった」
大典太の顔に微笑が浮かんでいる。翌日の朝、病み上がりとは思えないほど審神者は
元気になっていた。
「やっぱり大典太が近くにいるとすぐに治るんだな」
楽しそうに話す審神者を見つめて薬研は呟いた。
- Re: 新米審神者日記 ( No.4 )
- 日時: 2020/02/19 21:00
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「主!このへし切長谷部、最近不満なことがあります」
へし切長谷部が珍しく不機嫌そうな顔をしていた。
「主は俺の事を頼ってくれないのですか!?」
「いやいや、そんなことは無いって。あれだよ、いることに意味があるっていう感じ」
どうにか審神者は上手く言葉を選んで慰める。
「主の良い近侍がそんなことでショック受けちゃダメばい!」
博多藤四郎は長谷部に説教垂れる。
「そうそう長谷部君の主に対する思いは彼女にも伝わっているよ。気付いてないの?」
楽しそうに話す審神者の姿を見た。燭台切光忠は服装を見てほしいようだ。
そこでハッと気が付いた。茶色、ブラウンのパーカーを上に羽織っている。
「主、僕たちとお揃いになるような服とかを持ってるんだよ」
「そうだったのか…近侍として不覚だな」
じわっと目頭が熱くなる。そこで周りにいた二人が驚いた。
「ど、どうしたの!?」
「昔までなら短刀たちと同じぐらいの背丈だった主が…もう打刀と同等の背丈に!」
- Re: 新米審神者日記 ( No.5 )
- 日時: 2020/02/19 21:10
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「それでは失礼いたします」
太郎太刀は立ち上がり礼をして部屋を出ていく。うっかり忘れてしまうのが上のこと。
ゴンッという音で何が起こったのか察するだろう。
「大丈夫?太郎さん!?上には気を付けてね」
「面目ないです」
彼はそういってから少し頭を下げて外へ出て行った。
また別のとき、今度は岩融が部屋を出て行こうとしていた。この言い方で察する方も
いるだろう。
「うわっ!大丈夫!?岩融」
審神者が不安そうに声を上げた。彼は笑って返す。
「大丈夫、ちっと痛かっただけだ!」
「もう、気を付けてよ?」
苦笑を浮かべる審神者。
再び別のとき、来たのは御手杵だった。彼も背が高い。最近ではなかったが忘れた頃に
やって来るとはこのことだ。
「いってて!しまった、すっかり忘れてた」
「太郎さんたちと同じことしてるし…これから頭上注意って注意書きを書いとこうかな…?」
呆れたような顔の審神者と照れくさそうに笑う御手杵。やがて審神者が溜息を吐いた。
「背が大きいとなんかカッコよく見えるけど高すぎるのも困るもんなんだなぁって。頭を
ぶつけてる人を見ると毎回思うわぁ」
「主だってそれなりに高いんじゃねえの?」
「女子としてはね?そんな沢山ぶつけたりしないけど」
- Re: 新米審神者日記 ( No.6 )
- 日時: 2020/02/23 14:50
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
「うわぁ!厚、凄い!!」
乱が声を上げて厚藤四郎は自慢げな笑みを浮かべていた。
「どうだ?凄いだろ!」
「なんか恥ずかしいんだけど…」
審神者は苦笑してはいるが嫌だとは言わない。
「でもやっぱり僕たちよりも主君の方が背が高いのでギリギリですね。足が床に着いちゃいます」
前田藤四郎は審神者の足を指差した。厚はゆっくり審神者を降ろす。
「何々?みんな何してるの?」
外での作業を終えて帰って来た大和守安定はへやを覗き込んだ。
「今、あるじのお姫様抱っこをしてたんだよ」
鯰尾藤四郎がそう言って、大和守は「へぇ」と声を出す。
「でも身長逆転してるし大変そうだね」
「そういう大和守も大将より小さいけどな」
「う、うるさいなぁ!僕だって主の事は抱っこできるよ!!」
薬研に審神者より小さいと言われて不機嫌になった大和守は審神者に歩み寄りスッと抱き上げた。
短刀たちが声を上げた。
「あ、お前たち。主を困らせてはいけませんよ、すみません主」
気が付いた一期一振が彼女に謝る。
「いやいや大丈夫ですよ。なんか昔もこんな風に抱っこされてたんだなぁって」
懐かしく感じた。大和守は一期一振のほうを見て提案する。
「そうだ、一期一振も抱っこしてみなよ。僕よりも審神者の方が大きくて地面に足が付きそうだけど
一期一振なら大丈夫だと思うな」
「え!?いち兄があるじさんをお姫様抱っこするの!?いいな〜!」
「おぉ役得だな、いち兄!」
乱と薬研が言う。他の藤四郎たちもやって欲しいと願ってくるので仕方ないと一期一振は
大和守から審神者を受け取り抱っこした。高すぎず低すぎず、程よい高さだ。
「あぁ、昔は打刀でも丁度よく抱っこできたのになぁ…」
「懐かしいですな主の幼い頃。よく抱っこしたものです」
審神者がまた照れくさそうに笑っていた。
- Re: 新米審神者日記 ( No.7 )
- 日時: 2020/05/13 17:53
- 名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)
今、一期一振を含めた数人は遠征で出かけている。そんな中、密かに藤四郎兄弟たちは
作戦会議を開いていた。審神者もその会議に参加している。
「一期に何かしたい、かぁ…あの完璧超人の一期にねぇ…」
「そうなんだよ!お願い、主さん!何かないかな?」
乱たちに頼まれ審神者は暫く考える。
「みんな、何してるの?」
粟田口の大部屋を覗き込んできたのは燭台切だった。そこで審神者、ピンッと何かを思いついた。
「燭台切、少し力を貸してくれない?今日だけ、ここにいる全員で料理を作ってみようよ。
弟たちが作ったってなったら喜ぶっしょ。でもこれだと一期だけにはならないかな。みんなは
一期に、何かしてあげたいんでしょ?」
全員が頷いた。大勢で厨房に歩いている途中だ。
「だったら1日限定だけど楽にさせてあげようよ。確か明日、一期は畑当番のはずだから
一緒に手伝ったり」
「よぉし、そうしよう!頑張るぞぉ!!」
全員が返事した。彼らが作った料理がテーブルに並べられる。一期一振は弟たちが作ったと
聞いて大層喜んでいた。
「いち兄、明日は休んでて良いからな」
「薬研?どうしたんですか?」
食べ終わった食器を藤四郎たちが集めて片付け洗っていく。次の日、畑には当番の一期一振と
御手杵以外に乱藤四郎、厚藤四郎、秋田藤四郎が参加していた。部屋に戻りゆっくり
していると後藤藤四郎、博多藤四郎、五虎退は一期一振の肩を揉む。
「急にどうしたんですか?」
「いち兄を少しぐらい楽にさせたいんです…」
五虎退が答えた。彼らの気持ちを一期一振は無下に出来なかった。
「で、どうだったの?弟たちの労い」
審神者はそう聞いた。
「とても良かったですよ。主が手を貸していたんですね」
「バレたか」
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