二次創作小説(紙ほか)

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狼ゲーム アナザーストーリー
日時: 2023/11/25 22:28
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: YrPoXloI)

※この小説はスタジオわさび様が作成したアプリゲーム、「狼ゲーム」及び「狼ゲームアナザー」の二次小説です。
ストーリーの本筋はそのままですが、内容などはだいぶ変わっています。そのため、本家様との混合はおやめいただけると幸いです。
もちろんオリキャラも登場します。


《あらすじ》

『さあ。カードを1枚選べ。』

『おまえたちの"命を左右する大切なカード"だ。』

突如、謎の建物に集められた男女30人。
そこで「狼ゲーム」という謎のゲームに巻き込まれてしまう。

そこでは、カードをそれぞれ引き、狼と羊の役割が与えられる。

狼のカードを引いた人間が誰か1人を殺害しなければいけない。

羊のカードを引いた人間は、「狼裁判」にて、誰が狼だったのかを正しく見抜いて処刑しなければいけない。

脱出のための命がけのデスゲームが、今、始まる。
(ほぼ原文ママ)



初めまして、プリズムです。
今回からスタジオわさび様が作成、及び配信された「狼ゲーム」というアプリゲームの二次小説を書いていこうと思います。

あのゲームにはすっかりどハマりしてしまいました。
ストーリーもさることながら、キャラクター達も魅力たっぷりで大好きです。

狼ゲームをご存知の方も、そうでない方も、ぜひ楽しんでいってくださいね。
では、次回のレスからストーリーを始めようと思います。
お楽しみに。

・目次
第一章「狼ゲーム」>>1-2>>5-8
『全ての始まり』>>1
『集められた人たち』>>2
キャラクター紹介・本家キャラ編>>3
キャラクター紹介・オリキャラ編>>4
『恐怖のゲーム』>>5
『最初の犠牲者』>>6
『第一回狼裁判』>>7
『Another side Ep.1』>>8
キャラクター紹介・外部キャラ編>>9

第二章「険悪な空気」
『終わらないゲーム』>>10
『血みどろの水』>>11


・登場人物(星マーク付きはオリキャラ)(ゲーム参加者でバツ印付きは脱落した参加者)
ゲーム参加者
霜月 ユキナリ
森 ミサキ
飯田 リンタロウ
神木 リツ
小宮 チエ
新村 コウ
米森 サトル
海堂 ミホ
永井 オサム
土屋 タクヤ
高山 マキ
×小島 タケオ
瑠璃川 ユウト
赤村 ショウマ
篠崎 アオリ
王生 ダイゴ⭐︎
立花 ユウヒ⭐︎
初瀬 ヒロム⭐︎
×渡嘉敷 スミレ⭐︎
×泉 コタロウ⭐︎
一ノ瀬 ジュン⭐︎
藤沢 アスナ⭐︎
×三浦 ヒロシ⭐︎
松本 タツヤ⭐︎
内海 カズサ⭐︎
白雪 ネム⭐︎
翠山 トワ⭐︎
中山 メイ⭐︎
葛城 シンイチ⭐︎
黒橋 カレン⭐︎

外部の人物
神崎 ソウシロウ
一条 ツバキ
鳳凰 カイト⭐︎
榎本 コトハ⭐︎
三浦 エレナ⭐︎

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.7 )
日時: 2023/11/13 11:08
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: GNo3f39m)

『第一回狼裁判』
____________________

ユキナリ達七人は、廊下に残っている血の跡を辿っていた。

ユキナリ「...どこまで続いているんでしょう...。」

シンイチ「だいぶたどり続けてるが...まだなのだろうか...。」

チエ「あ、足跡はここに入ってますね...。」

血の跡は、扉の向こうに続いていた。
そこは、トイレ・シャワールームだった。

ジュン「ここはトイレとシャワーと風呂の部屋だったな...。」

ネム「あ、僕わかったかも〜。」

ジュン「ん、なにがだ?」

ネムが何かに気づいたらしい。
五人はネムの言葉に耳を傾けた。

ネム「もしかしたら狼の人はうっかりタケオさんの血溜まりを踏んじゃって、ここで証拠隠滅のために靴の裏についた血を洗い流そうとしたんじゃないかな〜。」

ユウヒ「なるほど...そうかもしれません...。」

ユキナリ「よし...調べるために、入ってみましょう...。」

ユキナリ達はトイレ・シャワールームの扉を開け、調べるために内部に入ろうとした、が...。

トワ「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

チエ「キャーーーーーッ!?」

なんとタイミング悪く、シャワーを浴び終えたばかりのトワが下着を穿いている途中のところに出会してしまった。

ユキナリ「ご、ごめんトワ君...!き、気づかなかった...!」

トワ「い、いいよ別に...ってか早く外出ろよ!人が服着てるとこジロジロ見るな!!」

シンイチ「わ、悪かったね...。」

数分後、トワが服を着終わったため、再びユキナリ達はトイレ・シャワールームに入った。

ジュン「で、お前はどうしてシャワーを浴びていたんだ?」

トワ「あぁ、ちょっと今の状況に不安が募ってきてね...。」

チエ「す、すみません...覗くつもりはなかったんです...。」

トワ「もう気にしてないよ。」

ユキナリ「(うーん...血の足跡を辿って着いた先がトイレ・シャワールーム...そしてそこでトワ君がシャワーを浴びていた...。もしかして...トワ君が狼...?でも、証拠がこれだけじゃまだ確証は持てないな...。)」

と、その時...。

メリー「12時間経ちましたので、狼裁判を行います...!参加者の皆さんは集まってください...!」

ユキナリ「(い、いよいよか...でも、まだ証拠が足りない...。なんとか乗り切るしかないか...。)」

そして生存者は皆、狼裁判が行われる法廷のような場所に集まった。

メリー「そ、それではみなさん!全員揃いましたね?い、今から狼裁判を開廷いたします...!」

コウ「本当にやるんだな...。」

オサム「今は、従うしかありません...。」

メイ「もう...電気はイヤ...。」

当然生存者は皆乗り気ではないが、気にせずメリーは続けた。

メリー「お、狼裁判ではみなさんに狼が誰なのかを推理してもらいます...!そして、狼を一人選んで処刑してください!」

スミレ「ということは、今から確実に誰か一人が●ぬということですね...。」

コタロウ「マジっすか...。」

メリー「その通りです!そして、見事狼を処刑できれば脱出への扉が開かれます!みなさんの名推理を期待しますよ!それでは第一回狼裁判の開廷です!」

第一回狼裁判、開廷...!

タツヤ「まずは、状況を整理しよう。」

アスナ「確か昨日の夜、武器庫でタケオさんが血を流して●亡しているのが発見されたよね。」

シンイチ「私が遺体を詳しく調べたところ、●因は首を後ろから刃物のような物で、刺されたことによる出血多量で間違いないだろう。」

ユウト「そして、武器庫を見張ってた残りの三人が容疑者の名に挙がってたよね...。」

ダイゴ「だ、だから俺たちじゃねぇって...!!」

リツ「そーやってムキになってるのがより怪しーな?」

確かにダイゴ達は犯行をしていない。
だが、本人達とユキナリ、チエ、ネム以外は事情を知らないため、なおも一蹴した。
すると、三人のアリバイを把握しているユキナリが割って入った。

ユキナリ「そ、そのことなんだけど...ダイゴさん達は、狼じゃありません...。」

ショウマ「はぁ?ユキナリ君何言ってんだ...?」

アオリ「三人が狼でないと証明できるものはあるの...?」

ユキナリ「はい...実は俺、三人から当時の状況を聞きました。」

四人で武器庫を見張ってた時、ユウヒが玩具のゴキブリに驚いて一目散に逃げて行き、その後をカレンが追いかけたこと、そして、ダイゴが体調を崩してトイレに駆け込み、三人が戻ってくるまでタケオが一人で見張っていた時に狼に襲われた可能性があること、それら全てをユキナリは皆に証言した。

リンタロウ「なるほど...それが本当なら、三人がタケオさんを襲うなんてできないね♪」

ミサキ「でも、それだけじゃ狼はまだわからへんな...。」

ジュン「それなら、かなり有力な証拠がある。」

カズサ「有力な証拠?」

ジュン「ああ、実は現場には血でできた足跡が残されていてな、それが現場の外に続いていて、それを辿った先にトイレ・シャワールームがあった。」

ネム「狼の人はうっかり血で足跡を作っちゃって、靴の裏についた血を洗い流すために、シャワールームに行った可能性があるんだ〜。」

オサム「なるほど...確かにかなり有力ですね...。」

ユキナリ「そして...俺たちがたどり着いたシャワールームには、トワ君がいたんだ...。」

ミホ「じゃあ、狼はトワ君ってこと...?」

トワ「はぁ!?ち、違うよ!!」

トワはあらぬ誤解をかけられたため、必死に否定するが皆の目つきは変わらない。

タクヤ「だったら、お前じゃないって証拠はあるのか...?」

トワ「えっ...。」

タクヤにそう聞かれたトワは言葉を失った。

マキ「トワ君、どうなの...?」

トワ「証拠は...ない...。」

サトル「ないなら...狼は君かもしれないね...。」

トワ「ち、違うってば...!!」

トワは皆に問い詰められ、次第に涙目になっていった。

ユキナリ「(...本当に、狼はトワ君なのかな...?)」

ユキナリは心の中でそう呟くと、記憶の中に見逃しているものはないか探し始めた。
そして、それを見つけたようだ。

ユキナリ「...いや、トワ君は狼じゃないかもしれない...。」

コウ「ほう...ならばそれを証明してみせろ。」

ユキナリ「はい...。トワ君、靴を片方だけでいいから、貸してもらえないかな...?」

トワ「...俺の無実が証明できるなら...。」

ユキナリ「ありがとう...。」

ユキナリは、トワから借りた靴をまじまじと観察し始めた。

ユキナリ「...やっぱり...そうだったんだ...。」

メイ「どういうこと...?」

ユキナリ「トワ君はやっぱり狼じゃない...!」

コタロウ「説明してくださいっす...。」

ユキナリ「実は念の為、足跡を写真に撮っていたんですが...よく見てみてください。」

皆が写真とトワの靴を見比べると、あることが判明した。

リンタロウ「トワ君の靴の裏と写真の足跡、全然違うね♪」

ジュン「本当だ...それに、俺たちが足跡を初めて見つけた時、たまたまトワがシャワーを浴びてた可能性もあるが...。」

ヒロム「なら、トワは狼じゃないか...だが結局、狼はまだわからないままだな...。」

ユウヒ「そういえばユキナリさん...現場で名刺入れを拾ったんでしたよね...?」

ユキナリ「そういえば...。」

ユウヒにそう聞かれたユキナリは現場で拾った名刺入れを取り出した。

ユキナリ「あの、現場にはこれが落ちていて...。」

ヒロシ「ああっ!それ、僕の名刺入れです!」

ユキナリ「ヒロシさんのだったんだ...。」

ヒロシ「いやー、ありがとうございます!」

ユキナリ「ど、どういたしま...。」

コウ「ちょっと待て。」

ヒロシがユキナリが拾った名刺入れを受け取ろうとしたが、それをコウが静止した。

コウ「ヒロシさん...なぜあんたの名刺入れが現場に落ちていたんだ?」

ヒロシ「えっ!?な、なぜって...。み、みんなで現場を見た時に落としてしまったんだと思います...!」

スミレ「あの...ヒロシさんって現場を廊下の方から眺めて、そのまま別の部屋に行ったんじゃ...?」

ヒロシ「えっ!?そ、そうでしたっけ...?」

ヒロシの発言に若干の焦りが見えてきていた。

メイ「あれ...?」

ユキナリ「ん、メイさんどうしたの...?」

メイ「ヒロシさんの...ズボンのポッケ...。」

ヒロシ「え?」

メイの指摘通り皆がヒロシのズボンのポケットを見ると、妙な膨らみがあった。

チエ「な、なんでしょう...妙に膨らんでいますね...。」

メイ「中身...見せて...。」

ヒロシ「え、えっと...。」

ユウト「まどろっこしいから無理やり見ちゃえば...?」

ショウマ「だな。ヒロシさん、ちょっと失礼するぞ。」

ヒロシ「あっ...!ちょ、ダメ...!」

ショウマとタクヤが無理やりポケットから取り出すと、とんでもない物が出てきた。

ダイゴ「これは...サバイバルナイフ!しかも血がついてるぞ...!」

カレン「こっちは玩具のゴキブリ...。」

ユウヒ「あっ...!それ、僕が武器庫で見たのと同じです...!」

シンイチ「ふむ...一気に疑惑が傾いたな。」

ヒロシ「ち、違うんです...!あっ、きっと僕がシャワーを浴びてる時に狼がズボンのポケットに忍ばせたんですよ...!それで、僕に疑惑が向くように、その時に名刺入れを持ち出して現場に置いていったんだと思います...!」

ヒロシは必死に自分の考えを訴えるが、まるで信じてもらえていない雰囲気だった。

リツ「うわ、見苦しー。」

ヒロシ「じ、じゃあ逆に聞きますけど...?それだけじゃ僕が狼なんて断定できませんよね...?」

スミレ「どういうことですか...?」

ヒロシ「だって、ダイゴさん達に急用ができて場所を離れたってタケオさんが残ってるんですよ?そしたらどうやってサバイバルナイフを手に入れるんですかね...?」

チエ「あ、それなら...。」

ヒロシが必死に抵抗するが、チエは思い出したかのように食べ物の入ったビニール袋を取り出した。

チエ「これ、現場に落ちてたんですけど...。」

マキ「あら、食べかけの食べ物がいっぱいね。」

チエ「私が思うに...ヒロシさんは差し入れとしてこれをタケオさんに渡して、食べ物に注意を惹きつけている間にサバイバルナイフを手に入れて...そのままタケオさんを襲ったんだと思います...。」

コタロウ「なるほど...可能性大っすね...。」

チエの推理にヒロシ以外は納得していた。

ヒロシ「...い、いい加減にしろよテメェら...!!!」

リツ「うわっ!ぎ、逆ギレだ!」

トワ「こ、怖い...!」

すると、途端にヒロシが態度を一変させ、声を張り上げた。

ヒロシ「さっきから一方的に俺が狼って決めつけやがって...!!そんな方法、誰だって思いつくんじゃねぇのかよ...!?えぇ!?」

ネム「むぅ〜、確かに。これなら僕でもできるしね〜。あっ、そういえば...。」

すると、ネムも思い出したかのようにポケットから何かを取り出した。

ネム「病室にこんなのが落ちてた〜。」

サトル「ふむ...これは下剤のようだね...。おや...しかもいくつか使ってある形跡が...。」

ダイゴ「あっ!もしかして...!」

ダイゴが何かに気づいたようだ。

ダイゴ「ヒロシさん...あんた、俺のコーヒーに下剤盛っただろ?」

ヒロシ「!!ななななな、なんのことだよ...!?」

ミサキ「どういうことなん...?」

ダイゴ「俺とタケオさんで見張ってた時間があったって言ったよな、その時にヒロシさんが俺たちにコーヒーを差し入れに来たんだ。」

ヒロシ「!!」

ダイゴ「ゲームが始まってからコーヒーしか飲んでない俺が、いきなり腹壊すなんておかしいと思ったぜ。でも、下剤入りコーヒーを飲ますのはどっちでも良かったんだよな?そして、残ったもう片方に時間差で食べ物を差し入れて、その間に武器を手に入れて、流れで奇襲を図った...だよな?」

ユウヒ「じゃあ、ゴキブリで僕を脅かしたのも...!」

カレン「見張り組を分散させるための作戦だったんだな...。」

ヒロシ「!!!!!」

三人の推理はピタリだったようで、ヒロシはかなり動揺した。

ユキナリ「じゃあ、やっぱり狼はヒロシさんなんだね...。」

ヒロシ「ち、違います...僕じゃありません...!信じてください...!!!」

ヒロム「もう諦めろ。狼はあんたで間違いない。」

ヒロムの言葉にヒロシ以外が頷く中、メリーが場を仕切り始めた。

メリー「そ、それではみなさん...今回の処刑対象は"三浦ヒロシ"でいいですか?」

ユキナリ「はい...。」

シンイチ「異論はないよ。」

カレン「異議なし...。」

ヒロシ「そ、そんな...!み、ミホさん!!あなた弁護士なんでしょ!?ここ法廷なんだから僕の弁護をしてくださいよ...!」

ミホ「...ごめんなさい...。」

ヒロシ「......!」

ミホに拒否されたヒロシは、顔色を変えて絶望した。

リツ「都合のいいやつだな...。」

ウルフ「それでは、これより三浦ヒロシの処刑を行う...。」

メリー「サラリーマンのヒロシさんには、サラリーマンらしい処刑法を用意したので、ぜひ楽しんでください!」

ヒロシ「た、楽しめるかぁぁぁぁぁぁっ!!」

ヒロシは抵抗虚しく、メリーとウルフに処刑場へと無理やり連れて行かれた。

メリー「それでは、処刑を開始します!」

ヒロシ「い、いやだぁぁぁぁぁぁぁ...!!やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!」


『それでは処刑を始めます』


ヒロシは胴体と足をイスに縛り付けられ、立つことができない状態にされた。

そして、彼の目の前にある机に仕事で使われるような資料が山積みになっている。

『仕事を全て終えたら生き残れるぞ』

ウルフにそう唆されたヒロシは、助かるために無我夢中で仕事をこなし始めた。

ヒロシは目の前にある資料を全て片付け、ホッとした束の間...。
彼の机に、新たな仕事の資料が追加された。

『......!?』

そう、ウルフは机の上にある資料で全てとは一言とも言っていない。
ヒロシは動揺しつつ再び無我夢中で仕事をこなし始めるも、今度は仕事の途中で次々と資料が追加されていった。
...やがて、上の方の資料がもはや見えないほど、いつのまにか山積みになっていた。

『う、うわぁぁぁぁぁぁっ...!!」

すると、積み上げられすぎた資料がバランスを崩し、バサバサとヒロシに向かって落ちていった。
ヒロシは数え切れない資料の山に押しつぶされ、窒息して息絶えた...。

『処刑完了』

小島タケオ・狼の犯行により●亡
三浦ヒロシ・処刑により●亡

生存者・残り28/30人

...続く。

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.8 )
日時: 2023/11/14 19:10
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: S6dv/qbT)

『Another side Ep.1』
____________________

ヒロシの処刑の瞬間を目の当たりにした生存者は皆、顔を青ざめて立ち尽くしていた。

ユキナリ「ほ、本当に処刑されちゃった...。」

アスナ「...地味だけど、結構エグかったね...。」

ウルフ「お前たちに人の命を心配してる暇はないぞ。今から、処刑された人間が本当に狼だったのか答え合わせだ。」

リツ「そういやそうだったな...。」

ウルフ「もし正解なら脱出の扉が開く。」

メリー「それでは皆さん!心の準備はいいですか?」

もし不正解だったなら、無実の羊を無駄●にさせたことになる...。
名状し難い何かが生存者全員を襲いつつ、緊張の結果発表が始まる...。

メリー「それでは、答え合わせスタートです!」

『狼か、羊か?』

スポットライトがメリーとウルフに交互に当たりながら、生存者に焦らしと緊張を与えていく。
そして、スポットライトが止まったのは...








ウルフだった。

メリー「お見事!正解です!皆さんの推理通り、三浦ヒロシが狼でした!」

正解だったことにメリーが賞賛しつつ、ヒロシの犯行の全てを生存者に説明した。

メリー「彼は武器を手に入れるため、武器庫に狙いをつけたのですが...見張りが厳重だったためまずは見張りを減らそうと企てました...たまたま持っていたジョークグッズのゴキブリの玩具を利用し...立花ユウヒと黒橋カレンを武器庫から遠ざけました...。」

カレン「今でも疑問なんだが...本当になんで、たまたまゴキブリの玩具を持っていたんだ...。」

コウ「永遠の謎だな...。」

メリー「そして、王生ダイゴと小島タケオの二人だけになったところに、片方は普通のコーヒー、もう片方は下剤入りのコーヒーを差し入れに持って行きました...。」

ダイゴ「あっぶねぇ...!下剤入りを飲んだのがタケオさんの方だったら、俺が●んでたかもしれねぇのか...。」

メリー「そして小島タケオ一人だけになったところに、注意を惹きつけるべく...しばらく経った後に食べ物を差し入れとして持って行き...小島タケオが食べるのに夢中になっている間にサバイバルナイフを手に入れ...そのまま小島タケオを●害した...これが、今回の●害の全容ですね...。」

マキ「それにしても連続で差し入れに来たのに、よく怪しまなかったわね...。」

シンイチ「タケオもタケオで、よくもまああっさりと引っかかったもんだな...。」

メイ「...ヒロシさん...本当に処刑されちゃったんでしょ...?」

トワ「これ...俺たちが●したようなものなの...?」

周りがタケオの悲惨ながらもマヌケな最期に呆れる中、ヒロシを処刑した罪悪感でメイとトワは泣きながら震えた声でそう言った。

ユキナリ「な、泣かないで...メイさん、トワ君...。」

チエ「そ、そうですよ...あの人もタケオさんの事を●してたから、自業自得ですよ...。」

ヒロム「...どちらにせよ、もう後戻りはできんな...。」

全員の表情に、緊張と不安が広がる...。

ユキナリ「...とにかく、俺たちの推理は正しかった。ということは...脱出の扉が開くんだよね?」

ウルフ「その通りだ。狼の処刑に成功したため、脱出の扉が開く。」

メリー「それではいきますよ!オープンザ!ドア!」

『ギィィィ...』

生存者は皆開いた扉の先に導かれ、脱出に成功した...。
...かのように思われたが...。

ユキナリ「!?こ、ここは...。」

____________________

一方、その頃...。

『警視庁・捜査第一課』

『ガチャ...』

ソウシロウ「おはよう♪」

ツバキ「おはようございます、警部。」

カイト「おはようございます...。」

コトハ「おはようございます!」

ここは、東京都の警視庁捜査第一課の部屋。
緩やかな表情をした警部の『神崎ソウシロウ』と、彼と同じ警部である生真面目な『一条ツバキ』と彼らの部下である表情が厳つい『鳳凰カイト』、そして同じく元気のいい『榎本コトハ』が課の一員として勤めている。

ソウシロウ「さぁて♪今日はどのお菓子を食べようかな〜♪」

カイト「いや、たった今出勤したばっかじゃないっすか...。」

ソウシロウが出勤して早々お菓子の入っている机の引き出しを漁り始めたため、カイトはツッコんだ。

ソウシロウ「あっ、マカロン発見♪いただきま〜す♪う〜ん、美味しい♪」

ツバキ「警部、またお菓子ばっかり食べて...。」

コトハ「しょうがないですよ、お菓子は美味しいですもん♪」

ソウシロウ「そうそう♪」

マカロンを食べてご機嫌なソウシロウはコトハに笑顔で賛同した。

カイト「はあ...マジでソウシロウさんの下で警察を続けられる自信がねぇっすわ...。」

ツバキ「...気持ちはわかる...。だが、そのうち慣れるさ...。」

カイトはソウシロウの貫禄の欠片もない姿にガックリと肩を落とし、ツバキは彼の肩にポンと手を置いて励ました。

と、その時だった...。

エレナ「お、お巡りさん...!助けてください...!!」

刑事「ち、ちょっと君!勝手に入ってはダメだよ!」

課の部屋の扉がバンと勢いよく開いて外国人らしき女性の『三浦エレナ』と、彼女を追いかけてきた刑事が入ってきた。

ツバキ「お、落ち着いてください...どうかされましたか...?」

エレナ「お、夫が...夫が帰って来ないんです...!!」

ソウシロウ「まあまあ、落ち着いてください...ゆっくりでいいので、詳しくお聞かせください。」

数分後、ようやく落ち着きを取り戻したエレナは事情を話し始めた。
彼女の夫は『三浦ヒロシ』...狼ゲームで最初に処刑された参加者であった。

エレナ「あ、私の名前がまだでしたね...。私、『三浦ヒロシ』の妻の三浦エレナと申します...。」

ソウシロウ「ではエレナさん...。旦那さんがいつから帰ってきていないのか教えてください...。」

エレナ「は、はい...夫が帰ってこなかったのは昨夜で...昨日の朝は普通に会社へ出勤する夫を見送ったんですが...いつもの帰宅時間に帰ってこなくて...残業かバスの走る道が混んでいるかと思って、しばらく待っていたんです...。」

ソウシロウ「なるほど...それで...?」

エレナ「それで...夜中の9時を回っても帰ってこなかったので、夫の勤める会社に問い合わせたんですが...上司の方から既に定時で退勤したと...それで、私は先に寝て待っていたんですが...今朝になっても帰ってなくて...不安になってしまったんです...。」

ソウシロウ「なるほど...よくわかりました...。」

エレナ「ま、まさか...夫は何か事件に巻き込まれたんじゃ...!!」

コトハ「お、落ち着いてください...!」

頭を抱えて慟哭するエレナをコトハは必死に宥めた。

エレナ「もし夫の身に何かあったら...私...私...!」

ソウシロウ「エレナさん...旦那さんは必ず見つけ出して保護します。なので、我々捜査第一課に任せてください。」

エレナ「...は、はい...お願いします...!」

エレナはソウシロウからその言葉を聞くと、安心して緊張の糸が切れたように身体をグッタリとさせた。

カイト「...ソウシロウさん...もしかしたら、今俺たちが調査してる大量行方不明事件と、何か関係があるかもしれません...。」

ソウシロウ「僕もそう思うよ...。」

ツバキ「この短期間で27人もの行方不明者が出ている...やはり普通じゃ考えられないですね...。」

ソウシロウ「よし、今日から本格的に行方不明者に近しい人や場所を捜査してみようか...。」

三人「はい...。」

刑事四人は只事ではないこの事件の捜査を始めることにした...。

...続く。
____________________
第1章・完

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.9 )
日時: 2023/11/14 22:31
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: S6dv/qbT)

今度は参加者以外のキャラクター達を(ご本家様のキャラ、オリキャラ合同で)紹介していきたいと思います。
随時追加予定です。

神崎カンザキ ソウシロウ
年齢・29歳 身長・162cm 誕生日・6月6日
警視庁刑事部の凄腕刑事。
子どもの頃はアメリカで暮らしており、大学を主席で卒業するほどのエリート。
とても頭が切れて、警察組織の中でも一目置かれている。
甘いものが大好きだったり、ふわふわした喋り方などから、経歴とのギャップがすごい。

一条イチジョウ ツバキ
年齢・25歳 身長・170cm 誕生日・3月13日
ソウシロウの相棒。
階級はソウシロウと同じ警部だが、ソウシロウのことを尊敬して敬語を使っている。
警察学校を主席で卒業したエリート。
体力、知力どれを取っても誰にも負けないほどの才能の持ち主。

鳳凰ホウオウ カイト
年齢・22歳 身長・169cm 誕生日・7月14日
表情がとても厳ついソウシロウとツバキの部下。
22歳という若さで警部補になるというすごい才能の持ち主。
生きる意味を見失って自ら命を絶とうとしていたところにソウシロウと出会い、彼の説得で救われて警察を志したんだとか。

榎本エノモト コトハ
年齢・18歳 身長・153cm 誕生日・5月18日
警視庁捜査第一課に配属された警察になりたてでソウシロウとツバキの部下。
とても元気で優しく、ちょっと緩い性格だが時々おっちょこちょいな面を見せることも。
路地裏で痴漢常習犯の男に襲われているところをツバキに救われて警察を志したんだとか。

三浦ミウラ エレナ
年齢・25歳 身長・162cm 誕生日・6月30日
三浦ヒロシの最愛の妻。暴漢から助けくれたヒロシの正義感に触れ、2年に及ぶ交際を経て無事ゴールイン。
今でも超アツアツで、いつまでも冷めることはないだろう...。

次のレスから第二章が始まります。
お楽しみに。

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.10 )
日時: 2023/11/19 15:33
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: tnkG6/9W)

第二章「険悪な空気」
『終わらないゲーム』
____________________

前回のあらすじ。
タケオを●害した狼がヒロシだった事を見事当てた生存者たち。
狼であるヒロシが処刑されたため、生存者たちは脱出の扉を開くことに成功し、無事脱出することができた...。
...と、思いきや。

ユキナリ「!?こ、ここは...。」

そこには建物の外の景色ではなく、病院の待合室のような部屋が広がっていた。

リツ「そ、外じゃねぇ...。」

カレン「おいメリー、ウルフ...話が違うぞ...。」

ヒロム「俺たちは狼を処刑したんだぞ、脱出できるんじゃないのか...?」

話が違うことに腹を立てた生存者たちはメリーとウルフを睨みつけた。

メリー「い、一回目では外に出ることはできません!」

ミサキ「はぁ?卑怯やん!狼を処刑したら出られるって言ってたのに!」

メリー「ひ、卑怯ではありませんよ!私は脱出の扉が開くと言っただけで...。一回で出られるとは言ってません!」

タツヤ「ふざけんな!そんなの言い訳だろ!!」

コタロウ「まあ、こういう展開で一回ばかで出られるとは思ってなかったっすがね...。」

文句をぶつぶつ言う生存者たちをスルーし、ウルフは次なる狼を決めようとした。

ウルフ「それでは、次の狼を決めるぞ...。」

ダイゴ「ち、ちょっと待てよ。」

ウルフ「なんだ...?」

ダイゴ「一回目からいろいろありすぎて疲れちまったからよ、少し休ませてくんねぇか?」

ウルフ「...ふん、仕方ねぇな...。じゃ、ニ時間だけな...。」

ダイゴからの要請を受け、メリーとウルフは二時間の休息時間を設けた。

ユキナリ「(確かに...。少し疲れたな...提案してくれたダイゴさんに感謝しなきゃ...。)」

そして、生存者たちは各々休憩をし始めた。

ジュン「お前ら、腹は減ってないか?」

スミレ「ええ、もうぺこぺこです...。」

タクヤ「そういや、このゲームが始まってから何も食ってなかったっけな...。」

チエ「私もお腹が空きました...。」

腹の虫の具合を確認するジュンに、三人はそう答えた。

ジュン「よし、今から飯を作ってくる。二時間もあれば飯の時間も取れるだろうからな。」

ミサキ「あ、うちも手伝うで。」

タクヤ「俺も手伝うぜ。」

ジュン「おお、ありがとな。料理は人手が多い方が効率もいい。頼むぞ。」

ジュン、ミサキ、タクヤの三人はリビングを後にし、キッチンへと向かった。

コウ「あの三人...こんな状況でよく食事を作ろうと思えるな...。」

ユキナリ「で、ですね...。」

ダイゴ「こんな状況だからこそだ。飯食えば気分も落ち着くだろ。」

コウとユキナリがそうぼやく中、ダイゴは前向きな発言をした。

それから十数分後、いい匂いと共にリビングに大きな鍋が二つほど運ばれてきた。

ジュン「待たせたな。飯ができたぞ。」

サトル「ふむ...いい匂いだな...。」

ミサキ「左の鍋はカレー、右の鍋はシチューやで♪」

オサム「ほう、食べたい方を選べるのはいいですねぇ。」

ダイゴ「よーし!俺はカレーにするぜ!」

ミホ「私はシチューにしようかしら。」

リビングにいる皆が和気藹々とする中、一部輪に入れていない者が数名。

メイ「...みんな、楽しそう...。」

トワ「こんな状況で和気藹々とできるなんて、どうかしてるって...。」

ユウヒ「僕たちは日陰者ですもんね...。」

トワ「おい、"僕たち"はやめてくれよ"たち"は!」

ユウヒ「す、すみません...。」

リンタロウ「あれ〜?三人ともそんなところで何やってるの〜?」

三人「!!」

三人は隅に縮こまってヒソヒソと話す中、リンタロウに突然話しかけられビクッと反応した。

マキ「あなた達もこっちへいらっしゃい♪」

シンイチ「一ノ瀬たちが作った料理は絶品だぞ。君たちも食べたらどうだ?」

ユウヒ「え、遠慮します...。」

トワ「お、俺も...。」

メイ「私も...。」

三人はマキとシンイチにも誘われるが、首を横に振って拒否した。

ジュン「遠慮はいらんぞ。こっちへ来るといい。」

ヒロム「呑気なもんだな、お前らは...。」

ジュンも輪に入るよう促すが、そこへヒロムが割って入った。

ヒロム「こんな状況でよく和気藹々とできるな...ある意味羨ましい。」

タクヤ「おい...その言い方はなんだ!!」

ヒロムの態度を見かねたタクヤが彼に食ってかかった。

ヒロム「ふん、俺はお前らとは仲良くなどできん...。素性もわからん初対面の連中とは特にな...。」

タクヤ「て、てめぇ!いい加減に...!!」

ユキナリ「ち、ちょっとヤバい雰囲気になってきた...!」

言い争いが激しくなる中、ネムが二人の手を取った。

ヒロム「!?」

タクヤ「!?」

ネム「二人とも、喧嘩はダメだよ〜。仲良くしなきゃ〜♪」

ミサキ「せ、せやで...!」

タクヤ「...そ、そうだな...。」

タクヤは落ち着いたが、ヒロムだけはネムの手を払いのけた。

ヒロム「さっきも言ったはずだぞ...お前らと仲良くなんてできん...。それにお前、その態度はやめろ。舐めてるとしか思えん...。」

ネム「え〜?その態度って、なんのこと〜?」

ヒロム「その態度をやめろと言ってるだろ...!!!」

とうとう激怒したヒロムはネムを突き飛ばした。
ネムはその衝撃で床に倒れてしまった。

ネム「ふぎゃっ。」

リンタロウ「わっ!?」

チエ「ヒェッ...!」

ジュン「お、おい!やりすぎだ!謝れ!」

ヒロム「ふん...。」

ジュンも彼の態度に憤慨するが、ヒロムは不貞腐れてその場を足早に去っていった。

ミホ「ネム君、大丈夫...?」

ネム「へーきだよ〜。でも、なんで僕ヒロム君に怒られたの〜?」

オサム「ま、まだ理解できてないのですね...。」

シンイチ「全く...あの態度はなんだ...。」

コウ「流石にあれは人として最低だな...。」

リツ「(コウが言える立場なのか...?)」

ヒロムの傲慢にも程がある態度のせいで、場の空気は最悪になっていった。

ユキナリ「(ど、どうしよう...空気が重すぎる...。)」

ユウヒ「ご、ごめんなさい...!僕たちがお誘いを拒否なんてしたから...!」

ダイゴ「いや、お前達は気にするな。今のは確実にヒロムが悪い。」

トワ「ふえぇ〜...。」

メイ「うぅ...。」

泣いている三人の頭をダイゴは優しく撫でて慰めた。

と、その時だった...。

「キャーーーーーーッ!!」

一同「!?」

突然、建物内で悲鳴が響き渡った...。

ユキナリ「ひ、悲鳴...!?」

コウ「バカな...。まだ次の狼は決まってないはずだぞ...!」

シンイチ「とりあえず行くぞ!」

悲鳴が聞こえたのはキッチンだった。
悲鳴を聞きつけた生存者たちが現場に駆けつけると、衝撃的な惨状を目撃した。

カズサ「こ、コタロウさんが...!」

カズサが青ざめた顔と潤んだ眼をしながら、血を流して倒れているコタロウを指差した。

シンイチ「い、泉...!?大丈夫か!?返事をしろ!!」

ユウト「ね、ねえ...次の狼ってまだ決まってないよね...?」

アオリ「そのはずなんだけど...。」

休憩中にも関わらず、犠牲者が出てしまった。
しかし二回目の狼決めはまだ行われていない。と、なると...。

サトル「これは...自●...だね...。」

ショウマ「ま、マジか...。」

トワ「でも、休憩の前までは平然としてたのに...。」

サトル「わからないものだよ...人の心境は変わりやすいからね...彼は精神が参ってしまったんだろう...。」

マキ「...コタロウさん...耐えられなかったのね...。」

オサム「まさか...こんな形で犠牲者が出るなんて...。」

メリー「な、なんだか大変なことになってしまいましたね...!」

ユキナリ「うわっ...!?」

自●者が出てしまったことに生存者たちは戦慄するが、そこへメリーとウルフが突然現れた。

ジュン「おい...、この場合はどうなるんだ...?」

ウルフ「自●者はそのままゲームから脱落だ...。さて、休息の時間は終わりだ...。次の狼を決めるぞ...。」

カレン「待てぇっ!無慈悲すぎるだろ!後こんな状況で次の狼決めるなんてできるかぁっ!!!」

カレンは声を荒げてウルフの血も涙もない発言にツッコんだ。

メリー「す、すみません...でも、それが狼ゲームのルールなので...!」

チエ「というか、まだ狼ゲームをやるんですか...?」

メリー「もちろん!脱出できるまで終わりませんよ!」

リツ「そう言って、最後まで誰も出られなかったってオチじゃないだろーなー?」

メリー「そんなことはありません!ちゃんと外に出ることができますよ。このゲームの真相を理解した人だけですけど...。」

シンイチ「...?真相...?どういう意味かな?」

メリー「あっ!?それは、その...ごめんなさい!それでは!」

答えられなかったメリーはそそくさと姿を消した。
しかし、「このゲームの真相を理解した者だけが脱出できる」...その言葉だけが生存者たちの疑問に残った。

ヒロム「もういい、とっとと決めるぞ...。さっさとこの場から離れたいんだが...。」

タクヤ「本当にこいつは...。」

ウルフ「では、お望み通り早く次の狼を決めるぞ。」

ダイゴ「待てよ、ゲームの真相ってなんだよ?」

ウルフ「それは...。お前たちはすでに知っている。」

ネム「むぅ?どーゆー意味なの〜?」

ウルフ「それは...自分たちで気づけ。そうでなければ意味がない。」

ユキナリ「(このゲームの真相を俺たちはすでに知っている...?どういう意味なんだ...?)」

メリーが言っていたこのゲームの真相は「参加者は皆すでに知っており、それに自分たちで気づく」とのことだが、どういうことなのだろうか...?

ウルフ「それではカードを配る。」

二回目ともなれば生存者は皆、自分が狼になるかもしれないという恐怖と躊躇いに襲われつつあった。
そして、ユキナリが引いたカードは...。

ユキナリ「(ほっ...次も羊だ...。)」

運良く羊を引くことができた。
しかし裏を返せば、他の狼かもしれない人に狙われる可能性が出てきた...そんな恐怖もユキナリにまとわりつく。

ウルフ「自分のカードは確認できたか...?では、次も生き残れるように頑張れよ...。」

ウルフもそう言い残すと、姿を消した。

それから数分後...。
ユキナリは大部屋のベッドで仮眠を取っている時、夢を見ていた。
____________________

ユキナリ(小学生の頃)『また転校するの...?もう、僕友達とお別れするの嫌だよ!』

ユキナリの母親『パパのお仕事だからしょうがないでしょう?』

ユキナリ『そ、そんな...。』



先生『それでは、転校生を紹介します。』

ユキナリ『ど、どうも初めまして...霜月...ユキナリです...。よろしくお願いします...。』

先生『みなさん。仲良くしてくださいね。』

クラスメート『はーい。』

先生『それでは一時間目は理科室に移動してくださいね。』

ユキナリ『(理科室ってどこだろう...?)』

トモヤ『ねえねえ!僕が案内してあげるよ!』

ユキナリ『え...?』

トモヤ「僕、トモヤって言うんだ。』

ユキナリ『よ、よろしく...。』

トモヤ『あ、あの...よかったら...。僕と友達に...ならない...?』

ユキナリ『え...?お、俺と...?』

トモヤ『うん...。』

ユキナリ『ど、どうして...?』

トモヤ『え、えっと...。」

ユキナリ『べ、別に友達になってもいいけど...。』

トモヤ『え...。ホント...?やった...♪』

ユキナリ『これからよろしくね...えっと、藍沢君...。」

トモヤ『トモヤでいいよ...。』

ユキナリ『じゃあトモヤ君...。」


トモヤ『ぼ、僕も君のこと下の名前で呼んでもいいかな...?』

ユキナリ『もちろんだよ...。』

トモヤ『えへへ♪ありがとう、ユキナリ君!ほら、一緒に行こう!授業に遅れちゃう...!』

ユキナリ『う、うん...!』
____________________

ユキナリ「はっ...!」

と、ここでユキナリは夢から覚めた。

ユキナリ「ゆ、夢か...でも、どこか懐かしかったな...。」

夢の中で見た夢、それは父親の仕事の都合で転校を繰り返し、せっかく友達ができても転校のたびに会えなくなること...。
そして、新しい転校先で『藍沢トモヤ』という新しい友達ができたこと...。
どことなく、普通の夢にも思える。

ユキナリ「でも、なんで急に小学生だった時の夢なんか...。」

と、その時だった...。

「キャーーーーーッ!!」

ユキナリ「!?」

またも、建物内に悲鳴が響き渡った。
恐らく今回狼になった者が動き出したのだろう。

ユキナリ「も、もう狼が誰かを...!!」

ユキナリは悲鳴が聞こえた部屋へと駆けていくのだった...。

...続く。

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.11 )
日時: 2023/11/25 22:27
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: YrPoXloI)

『血みどろの水』
____________________

今度は植物室の方から悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴を聞きつけたユキナリは植物室に急いで駆けつけた。

ユキナリ「今度は誰が...!?」

ミサキ「あ、あれ...!!」

ミサキが指を指した先に、手足を拘束されて水槽に沈められ、ピラニアの餌になってしまっているスミレの無惨な姿が...。

ユキナリ「す、スミレさん...!!」

シンイチ「これはもう、流石に火を見るより明らかだな...。」

新たな犠牲者が出たことに戦慄する生存者たち。
すると...。

ジュン「おい!こっちにヒロムが!!」

タクヤ「えっ...!も、もう一人...!?」

ジュンが側にあった大きめの花壇の中に、ヒロムが血を流して倒れているのを発見した。

ショウマ「おいおい...今度は二人同時にかよ...。」

メイ「次の狼...とっても残酷...。」

一度に二人もの犠牲者を発見してしまい、ますます心臓の鼓動が大きくなっていく生存者たち。
と、その時...。

ヒロム「ぐっ...うぅ...。」

ユウヒ「うわぁぁぁぁっ!?」

花壇からヒロムが突然むくりと起き上がった。

リツ「い、生き返った...!?」

ヒロム「い、いてて...な、なにがあったんだ...?」

ヒロムが辺りを見回すと、水槽の中のスミレの遺体に気付き、大急ぎで駆け寄った。

ヒロム「なっ...!す、スミレさん...!...くそっ、ダメだったか...。」

オサム「いや、どうやら気絶していたようですね...。」

カレン「おいヒロム...なにがあったのか知っているか...?」

ヒロム「あぁ、実はさっき...。この部屋の前を通ろうとしたら、何かが水に沈む音がしてな、中を確認したら...スミレさんがこの水槽に沈められていて、助けようとしたんだが...誰かに後頭部を何かで殴られて、そこからは意識が途絶えたんだ...。」

アオリ「なるほど...ヒロム君は狼に襲われたってわけね...。」

ネム「ってヒロム君、血がベッタリだよ〜。」

ヒロム「ほ、本当だ...なんで血が...?」

皆がヒロムをよく見ると、服に血が大量に付着していた。

サトル「だ、大丈夫かい...?」

ヒロム「あぁ。どうやら後頭部の痛み以外の外傷はないらしい...。いてて...。」

シンイチ「......。」

すると、シンイチはヒロムを睨みつけた。

ヒロム「な、なんだ...?」

シンイチ「怪しいな...本当は自作自演なのではないかな...?」

ヒロム「な、何を言うんだ...そんなわけないだろ...!!」

スミレを●害した疑いをかけられ、ヒロムは慌てて否定した。

シンイチ「なぜそう言い切れる?君は狼を見てはいないのだろう?」

ヒロム「み、見てはいないが...。」

リツ「怪しさしかねーじゃん!まさかお前が今回の狼か?」

ヒロム「ふざけるな...!俺じゃない...!なぜ信用しないんだ...!!」

ユウト「あんたはあの時、僕たちを不愉快にさせたじゃないか...。信用されないのも当然だね...。」

ヒロム「ぐっ...!!」

確かにヒロムはあの時リビングにいた他の生存者たちを不快にさせた。
でも、それだけで信用は落ちるものなのだろうか...?

ヒロム「...もういい...信用しないなら俺もそうさせてもらうぞ...!俺は一人で調査する、邪魔をするなよ...!!」

そう言ってヒロムは不機嫌そうに植物室を後にした。

リツ「おう、どーぞご勝手にー。」

タツヤ「俺たちはあいつが狼だと確定できる証拠を集めるとするか。」

皆がヒロムを狼だと断定する中、約三名は違う意思を示した。

メイ「ね、ねぇ...信じてあげようよ...。」

ダイゴ「そうだそうだ、あいつも態度に問題あるけど、不愉快にさせられたぐらいで決めつけることないだろ?」

カレン「信用はできんが、まだ決まったわけではないじゃないか...。」

そう言うメイとダイゴ、カレンに対しコウが反論した。

コウ「ふん...無理な願いだな...。信用問題は全てあいつのせいだ...。あんな奴を信用できるわけがないだろう?」

マキ「確かにあんな態度の人を信用しろって言われても...ねぇ...?」

メイ「そ、そんな...!ヒロム君が可哀想だよ...!」

メイが血相を変え、珍しく声を荒げてそう言った。

チエ「ごめんなさい、メイさん...。でも、とてもヒロム君を信じてあげることは...。」

メイ「......!ひ、酷いよ...!ユキナリ君は...!?」

ユキナリ「えっ...ご、ごめん...信じたいけど...今はみんなと同意見かな...。」

メイは涙を流しながらユキナリに目線を移すが、ユキナリも皆と同意見だった。

メイ「酷い...!!みんなのバカ...!!」

『ダッダッダッ...』

ダイゴ「お、おい!待てよ...!」

カレン「はぁ...めんどくさいことになったな...。」

メイは怒りに震えてそう吐き捨て、泣きながら植物室を走り去り、ダイゴとカレンはその後を追って行った。

チエ「め、メイさん...。」

ユキナリ「...ごめん、俺も...。」

タツヤ「ほっとけ...。今は証拠集めが先だ。」

ユキナリ「で、でも...。」

コウ「あんな奴は信用に値しない...。やめておけ...。」

ユキナリもメイを追いかけようとするが、タツヤとコウに肩を掴まれて止められた。

シンイチ「...だが、少し我々も言いすぎたかな...?」

ショウマ「そんなことねぇって。どうせ狼はあいつに決まってんだからな...。」

コウ「とにかく、まずはスミレさんの遺体を水槽から引き上げるか...。」

ジュン「俺がやる。」

そう言ってジュンは水槽に沈められたスミレの遺体を持ち上げようとするが...。

ジュン「...あ、やっべ。」

チエ「ど、どうかしました...?」

ジュン「そういえばピラニアがいるんだったな...これじゃ俺の手も餌になっちまう...。」

ユウヒ「あ、そういえば...。」

ピラニアが盛んになっている為、今手を水に突っ込んだらジュンの手まで食べられてしまいそうだった。

ミサキ「あ、だったらキッチンにあるお肉を使えばええんちゃう?」

アオリ「なるほど...。」

タクヤ「じゃあ、ちょっと探してくるぜ。」

ネム「僕も行く〜。」

そう言ってタクヤとネムはキッチンへと向かって行った。

ジュン「俺は戻ってくるまで別の部屋に証拠がないか探してくる。」

コウ「俺もそうするか。」

と、一部の参加者は植物室を後にした。

ユキナリ「(俺はここに残って探索しようかな...いや、その前にメイさん達の様子を見てくるか...。)」

ユキナリはそう心で呟くと、メイ達を探し始めた。


ヒロム「...あっちに行け...。」

メイ「大丈夫だよ...。私は、ヒロム君のこと信じてるから...。」

ヒロム「慰めなんかいらん...それに慰めを欲するほど俺は落ち込んじゃいない...。」

ユキナリ「(いた...。)」

大部屋にてメイがヒロムを慰める様子が繰り広げられていた。

ヒロム「なんで俺に干渉したがる...。お前には関係ないだろ...。」

メイ「関係はない...けど、ヒロム君傷ついてるみたいだから...ほっとけない...。」

ヒロム「...ほっといてくれ...。」

メイ「ほっとかない...大丈夫...私はヒロム君の味方だから...。」

ヒロム「......。」

ヒロムはメイのその言葉を聞くと、一瞬黙り込んだ。

ヒロム「...ふん...別に味方してくれなくてもいい...。」

メイ「そう...?でも味方しちゃうから...。」

ヒロム「勝手にしろ...。」

メイ「勝手にする...。」

ユキナリ「(あれ、ヒロムさん...なんだか表情が緩んだような...。)」

ユキナリはヒロムの心情に変化が起きたことを表情から僅かながら気づいていた。

ユキナリ「(あ、いけない...俺も証拠とかを集めないとな...。)」

そしてユキナリはスミレを●した狼を特定するために、証拠集めに動くのだった...。
...続く。


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