社会問題小説・評論板
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- どうもこんにちは『最終回』です。ありがとうございました!
- 日時: 2012/01/22 20:15
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: WPJCncTm)
はじめまして、揶揄菟唖です。バカです。
この小説は完結済みです。
イメージソングは塩分Pの『リアルインテンション』です。勝手に決めました。
しかも、あまり男の人が出てこないという明るい要素も含んでいたり、社会問題だけじゃないです。
でも、そういうところに社会問題を含んでいるこの小説を置いたらきっと明るい小説だと思って読んだ方が不快だと思うのでここに置くことにします。
ご了承下さい。
この小説をオススメできない方
・荒しが趣味な方
・中二病が嫌いな方
・更新が早くないと嫌な方
・作者のもうひとつのカキコネームを知っている方
・作者に文才を求めている方
こんな方はオススメできません・・・。
それでも「いいよ。しょうがないな、付き合ってやろうではないか」という方、ありがとうございます。
登場人物
『僕』
本名は本文で出てくると思います。
高校二年くらいだと思います。
『霧峰 彪』
読み方はキリミネ アヤです。
イメージカラーは赤。
僕と同学年の設定です。
『諏訪田 彌魅』
読み方はスワダ ミミです。
イメージカラーは緑。
僕と同学年(転校生)で体が少し幼い設定です。
『城吾 魔夫』
読み方はタチア マオです。
イメージカラーは青。
そのほかは謎みたいな設定。
『壕内 葵苛』
読み方はホリウチ キイラ。
イメージカラーは黄色。
お茶目な先輩設定。
『壕内 椎名』
葵苛の双子の姉。
+目次+
1、春とたんぽぽ>>1
2、謎と少女>>4
3、転校生と疑問>>5
4、記憶と無知>>9
5、罪といじめ>>17
6、再会と表情>>24
7、廊下と階段>>25
8、恨みと痛み>>27
9、動きと関係>>28
10、声と名前>>29
11、青と赤>>30
12、緑と青>>31
13、黄と紫>>32
14、赤と僕>>33
15、僕と隙間>>34(最終回)
目次更新し忘れてたらごめんなさい。
- Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.30 )
- 日時: 2012/01/01 15:06
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: t18iQb5n)
第十一声「どうもこんにちは『青』です。」
今日もあの子に会いに行く。
あの子の傷は今日も増えている。
知っている。
知っている。
私は、知っている。
きっとアレだ。
親にやられているのだろう。
いつも服は綺麗だから、イジメではない。
私は知っているけれど絶対に口は出さない。
私は笑ってあのことあそぶだけ。
知らない振りして、あそぶだけ。
うそつき、なのかな。
私はうそつき?
意地悪?
なんなんだろう、私は。
なにがしたくて、何を求めているのだろう。
わからない、んだ。
わかりたくないのかもしれない。
それすらも、わからない。
ただ私は、あの子に笑ってもらいたい。
みんなに笑ってもらいたい。
学校が終わればあの子にあいに行く。
ごめんね。
きょうもあそべないんだって。
彼と彼女につげて。
そうすると彼女は嬉しそうな顔をするし、彼は淋しそうな顔をする。
いこうって彼女が彼の手を引いていくと私をじっと見つめている彼に怒って彼女が頬を膨らませる。
それは全部、いつものこと。
私だって彼と遊びたい。
でも、あの子を一人にするわけにはいかないから。
しょうがないから。
あの子はきっと一人になれば、壊れてしまうから。
温もりをあの子に与えてしまったから。
あの子はもう冷たい世界には戻れないから。
私が責任を持ってあの子を暖めてあげなくちゃ。
結局、私は怖いんだ。
失うのを。
恐れているんだ。
彼も、あの子も、私自身も、失いたくない。
ただ、彼女だけは。
一緒にいたくない。
怖い。
彼女が、怖い。
彼と一緒にいる私を睨む、疎む、憎む彼女が。
「………………なのに、さ」
私は一人呟いた。
痛い。
おなかがあつい。
つめたい。
そうか、さされると、こんな気分なんだ。
私、どうなるのかな。
オワリかな。
じゃあ、どうしよう。
最後に私が思うことは、何にしようか。
あぁ、やっぱりアレしかないか。
「………………とー、くんっ………………」
助けて、なんて毛頭言えるはずないけれど。
〜end〜
十一話目です。
番外編なわけではないです。
短めで、ごめんなさい。
『』の中を見てくれれば誰の話なのか分かるかと。
因みに過去の話です。
あ、そういえばあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
更新は、遅いですが。
- Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.31 )
- 日時: 2012/01/07 16:16
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: f0LIvz7Q)
第十二声「どうもこんにちは『緑』です。」
いつものように公園で魔夫ちゃんを待っていても一向に魔夫ちゃんは現れなかった。
どうしてだろう。
私、なんか変なこと言っちゃったかな。
魔夫ちゃん、怒っちゃったのかな。
私のこと、嫌いになっちゃったのかな。
そう思うと涙が止まらなくなった。
私、もう魔夫ちゃんに会えないのかもしれない。
公園のベンチから立ち上がって走り出す。
小学校に行ってみよう。
魔夫ちゃん、きっと授業が遅くなっちゃったに違いない。
私嫌われてないよ。
大丈夫。
私は息を荒くして走る。
早く魔夫ちゃんに会いたかった。
私のこと、嫌いになってないよねって聞きたかった。
嫌いじゃないよって笑って欲しかった。
「………っ」
全力で走っていたから、曲がり角で思いっきり転んでしまった。
「あ、れ………………?」
痛くなかった。
前まで、痛かったのに。
違うよ、私は嫌われてなんかないよ。
大丈夫なの。
大丈夫だから。
痛みを感じて。
涙が止まらない。
道端に落ちていた木の棒を掴んで腕に突き刺してみた。
痛くない。
痛くない。
嫌だ。やだ。
やっと痛くなったのに。正常になれたのに。
もう一度。もう一度。
何度も何度も木の棒を突き刺す。
痛くない。
魔夫ちゃん。
助けて。
痛くないよ。
私、魔夫ちゃんがいないと痛くない。
「魔夫ちゃん………………っ」
ねぇ、教えて。
一体魔夫ちゃんに何があったの。
+ + + +
そうして私は魔夫ちゃんを探すことにした。
きっと何処かにいる、そう信じて。
私を嫌いになってなんか無い、そう信じて。
痛みを取り戻したい。
痛みを感じるために魔夫ちゃんを利用していたのかもしれない。
でも今は純粋に私は魔夫ちゃんに会いたい。
また笑って欲しい。
自分で痛みを取り戻すかもしれないと思って毎日ナイフで腕に傷をつけているけれど痛みを感じることはなかった。
そして私はまた呟く。
「………………助けて」
濁った目の自分を見つめながら。
〜end〜
十二話目です。
今回も一人語りです。
終盤に近づいてきました。
まだまだ頑張っていきます。
短めでごめんなさい。
- Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.32 )
- 日時: 2012/01/21 11:40
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: eCrj8qey)
- プロフ: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?536569
第十三声「どうもこんにちは『黄』です。」
わたしはシアワセだった。
世界に何の不満もなかった。
だって、お母さんは優しいし、お父さんもよく一緒に遊んでくれていた。
だからわたしはいつも笑っていた。
そりゃあ嫌なことの一つや二つはあったけど、楽しいことも一杯あったから気にしなかった。
友達だって居た。
大切な友達。
優しい友達。
あぁ、わたしの人生は『あたり』なんだ。
『はずれ』じゃない。
だってこんなに毎日楽しいんだ。
『はずれ』であるはずがない。
そう思っていた。
だけど。
わたしがまだ幼稚園の頃。
同じ歳くらいの友達だって沢山いたけれど一番仲が良かったのは1つ年下の女の子と男の子だった。
わたしたちは毎日一緒に遊んで毎日一緒に帰っていた。
二人とも優しくて大好きで。
わたしはある日、そんな二人を騙そうと思ったんだ。
ちょっとの遊びのつもりだった。
暇つぶしのつもりだった。
つもり。
わたしは姉との打ち合わせ通り二人と遊ぶ約束をしてきた。
わたしのお気に入りの服を着たわたしの姉はわたしそっくりだった。
双子。
わたしと姉は双子だった。
それも綺麗な一卵性だったから顔も体つきもそっくりで見分けられるのはお母さんとお父さんくらいだったと思う。
ふたりで笑いあって
「これじゃあきっとわかんないよ」
って。
口を揃えて自慢げに言い合った。
わたしはわたしそっくりの姉のあとを付けていった。
どうなるか、みたかったから。
わかるかなってドキドキしていた。
今思うとわたしはわかって欲しかったんだろう。
二人なら、きっと分かってくれるって。
わたしと姉の違いくらい、分かるって。
信じてた。
待ち合わせには男の子のほうしか居なくてがっかりしたけどまぁ後で女の子のほうも騙そうと思った。
多分、姉も。
彼はわからなかった。
だって笑ってる。
何の疑問も抱いていないようでわたしじゃないのに、わたしに話しているときみたいに笑っている。
悔しかった。
なんだ、結局誰でもいいんじゃん。
わたしじゃなくても、顔がわたしみたいなら、声がわたしみたいなら、誰でも。
わたしの姉と彼が話しているのを見ていて急に私は淋しくなってきてネタばらしをしようと二人に近寄ろうとした。
「とーくんから離れろぉっぉおおおぉおおおぉおぉぉぉぉぉおぉぉおぉおおおっぉお!!!」
それは悲鳴にも似ていた。
声からかけ離れていた。
待ち合わせ場所の公園に勢い良く走って入ってきた彼女は二人にもう突進していった。
「っ」
何がしたいのかわからなくなった。
何をするべきなのかわからなくなった。
何が起こるかわからなかった。
何をしていれば、何を言っていれば。
この運命を避けることができたのか、わからない。
分からないことだらけのわたしはその場でただただ震えていた。
蹲るわたしの耳には彼女の悲鳴と、肉を裂く音と、わたしの名前を呼ぶ彼の声だけが届いていた。
+ + + +
そうなの。
わたしは本当に人殺し。
正真正銘の。
みんなの言うとおりだ。
わたしがバカなことをしなければ、姉はまだ生きていた。
わたしは本当にバカでどうしようもない奴だ。
今だってそう思う。
彼女は、彪は何がしたかったんだろう。
本当は分かっているのに、わたしはこの疑問を抱えたフリをしている。
卑怯でバカで。
そんなわたしはとーくんだけが支えだ。
今も昔も。
わたしはとーくんの中ではもういないことになっているけれどわたしはまだとーくんをみていられる。
だからわたしはまだシアワセなの。
〜end〜
十三話目です。
おひさしぶりです。
完結させたはずの「僕と戸口さんともうひとつ」を連載再開したので最近ちょっと忙しいかもしれません。
でもまぁ、そろそろこれが終わるので楽になるでしょう。
それを希望に頑張ります。
あ、そういえば目次書きましたよ!
- Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.33 )
- 日時: 2012/01/22 18:13
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: WPJCncTm)
第十四声「どうもこんにちは『赤』です。」
全部全部嫌い。
許せない。
この世界はあたしの思い通りにちっともなってくれない。
おかしいね。
おかしいんだよ。
だってあたしが一番最初に彼のことを好きになったんだよ。
誰の物でもない彼を一番最初にあたしが手に入れたの。
そこに間違いはない。
筈なのにさ。
あたしじゃない子に笑いかける彼のことだって嫌いになっちゃいそうなほどあたしの中には憎しみしかなくなっちゃった。
本当に好きなの。
あたしの全ては貴方なの。
貴方しか要らない。
あたししか欲さないで。
あたしの願いはいつだって叶わない。
どうすればいいのか分からなくなってあたしは何をしたんだっけ?
そうだ、思い出した。
全部全部壊そうと思った。
全部壊せば、全部彼の前から消せば彼の目にあたししか入らなかったらあたしの願いは叶うでしょ?
ここにも間違いはない。
だからあたしは何の疑問も抱かずにそれを決行した。
彼にベタベタする気持ちが悪い『アイツ』を刺した。
彼は悲しそうな顔をして泣いていたけれど仕方ないんだよって抱きしめてあげた。
ねぇねぇ、あたしを見て。
あたししかいないから。
そしたら今度は。
上手く行っていたのにそれを壊す奴が現れた。
気持ち悪いキモチワルイ。
あたしの彼に触れないで。
しょうがないな。
お前も『アイツ』みたいになりたいんだ?
そうでしょ?
だってあたしの彼に触るんだもん。
しょうがないことなんだよ。
あたしは彼が居ればいいから。
お前なんて、世界なんて要らない。
だからあたしはまた同じ事を繰り返した。
しばらく平穏が続くと思っていた。
幸せになる筈だった。
彼はあたしを見てくれるようになった。
あたしだけに笑うようになった。
彼の中はあたしでいっぱいになった。
なのにあたしは満足できなかった。
おかしいな、なんて。
あたしは首を傾げることなんてしなかった。
だって分かっているから。
この心に空いた穴が何なのか、あたしは知っている。
後悔。
そう。
あたしはきっと後悔してる。
嘘、なんだ。
ホントは好きだった。
彼と同じくらい『アイツ』もあいつも。
みんなで居るのが楽しくて、シアワセだった。
あたしは何て事をしちゃったんだ。
あたしが悪い。
あたしはみんなの幸せを、自分自身のシアワセを奪った。
本当に、バカ。
だからきっと彌魅ちゃんの首を絞めているあたしは泣いているんだ。
あとでまたあたしはこのことを後悔するの。
あたしの人生はそれの繰り返し。
〜end〜
十四話目です。
今回はようやく彪ちゃん目線。
疑問は解けているのでしょうか。
私はまったくわからないです。
多分次回最終回。
- Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.34 )
- 日時: 2012/01/22 20:09
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: WPJCncTm)
第十五声「どうもこんにちは『僕』です。」
それは始めから決まっていたこと。
彪の人生を捻じ曲げたのは他でもない僕だ。
彪だけが悪いみたいなのも僕だ。
彪に全てを擦り付けて僕は逃げていた。
辛いことを彪に押し付けて、追い込んだ。
どれ位ごめんねといえば彪は救われるんだろう。
僕は空っぽの頭で考えた。
わかんないよ。
彪の気持ちがわからない。
何で泣いているんだろう。
辛いんだ。
きっともう彪は限界なんだ。
辛くて辛くて仕方なかったから彪は泣いているんだ。
もういいよ。
彪は苦しまないで欲しい。
悪いのは全部僕だから。
昔、僕が幼稚園の頃。
仲良しの女の子が居た。
名前は壕内 葵苛。
優しい、ふんわりとした彼女の笑顔が僕は好きだった。
でもある日遊ぶ約束をしていた僕の前に現れたのは『良く似た』女の子。
不思議に思ったけれど僕はその子が葵苛じゃない証拠なんてなかった僕は疑問を抱いたまま『彼女』と話をしていた。
そしたらいきなり現れた彪が包丁で『彼女』を滅多刺しにした。
僕が泣いても叫んでも彪は『彼女』を刺す事をやめなかった。
彪は泣いていた。
「………たすけて、透哉くん」
『彼女』はそう言ったことを僕はしっかりと覚えている。
この瞬間に僕は『彼女』が葵苛じゃないことを確信した。
葵苛は僕のことをとーくんって呼ぶから。
じゃあ、これは誰?
僕のせいで彪に殺された、これは誰?
こわい。こわい。
僕のせいで。
僕は自分が怖くなって彪に縋った。
それは彪が望んだこと。
数年後、小学生になった僕はすっかりそのことを忘れていた。
記憶に蓋をしていたから。
そんな僕を襲ったのは再び彪が起こした事件だった。
また彪は僕と仲が良かった女の子を包丁で刺した。
名前は城吾 魔夫。
彼女が大怪我ですんだのは彪が無意識に遠慮をしたからだろう。
ここですでに彪は一杯一杯だったに違いない。
僕はまた怖くなった。
そして彪に縋った。
情けない。
僕は僕を咎めない彪を居場所にしていた。
そして彪を苦しめて。
最低じゃないか、僕。
一番最低なのは僕だ。
ぎゅぅっと下唇を噛むと鉄の味が口に広がった。
彪の目からはだらだらと涙が零れていた。
彌魅を傷つけたことを彪は後悔してる。
僕のせい。
僕のせい。
僕はユックリと両手を広げた。
「彪」
なるべく優しく名前を呼んであげると彪の両目が震える。
驚いている。
ねぇ、彪。
僕が支えてあげるから。
ごめんね。
待たせたね。
縋っていいよ。
ごめんね。
分かってたんだよ。僕。
彪が求めていた物を、僕は知っていた。
でも逃げていた。
彪を傷つけていた。
ごめんね。
彪。彪。
彪が渋っているようなので僕から歩み寄って彪を抱きしめた。
途端に鼻の奥がつんとして目の前がかすんだ。
後ろには気配がした。
二人人が居る。
まぁ、いいや。
僕は今この腕の中の人を守っていればいいんだから。
僕はやっと受け止めることができるんだ。
みんな、ごめん。
僕は気付くことができた。
最初からこの隙間を埋めることができるのは『僕』だけだったんだね。
〜end〜
最終回かと。
後日談とかをいつか更新するかもしれないです。
なんだか自分の中では満足のいく小説ではなかったのですが最後まではやはり行かなくてはと思ったので。
今まで支えてくださった皆様、ありがとうございました!!
また別小説などでお会いできたら幸いに思います。