社会問題小説・評論板

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 アクアリウム。
日時: 2011/09/18 22:51
名前: 白兎 (ID: 0inH87yX)





どうも、ハクトです(^^)

傍観者の主人公 伶がクラスのイジメに関わっていく話。

受験生なので更新が遅くなると思いますが、つたない文章を書いていきます。


荒らしトカ周り見えてない発言する奴は個人的には大好きだが
他の閲覧者様を不愉快にさせてはいけないので控えましょ。

応援から酷評まで、コメント受け付けてます(キリッ`・ω・)
 

Re:  アクアリウム。 ( No.8 )
日時: 2011/09/12 18:17
名前: 白兎 (ID: 7foclzLM)

 




帰り道、私の気分は最悪だった。

理由はよく分からない。
でも、ものすごく不愉快だ。

なんでだろう、なんて考えながら歩いていると
肩にぽんっと手を置かれた。


「よう、伶」
「げっ…」

振り向くと、それは知っている人だった。
友達かと聞かれると微妙な位置だ。


「開口一番、げっは止めろよ」

「わざとじゃない」

そう言うと、余計傷ついたなんて言いながら奴は笑う。
ちっとも傷ついてなんか無いじゃないか。

彼は岡田 尚弥という。
教室でいつも騒いでいるようなタイプで、そのテンションの高さがすこし苦手だ。


「今日は一人だから。由紀はいないよ?」
「知ってる」

間髪いれずに答えられると怖いんだけど。
岡田は噂好きで、学校のくだらない情報には聡い。


「……ケンカ、してんだって?」


岡田には似合わない真面目な顔だ。
三枚目がそんな顔しても笑えるだけだからよせばいいのに。
なんて思う自分もちっとも笑ってなんかなかった。


「喧嘩とかじゃないけど」

岡田は、じゃあ何なんだという顔で私を見つめた。
けど、それに答える気はない。


「……色々あんのよ」


「色々って」
何だ、と続けようとした声を制す。


「由紀、教室で騒いでたからそろそろ来るんじゃない? よかったね」

「マジで!?」
「来る来る」
「うっしゃー! ……じゃなくて」
由紀で釣ってはぐらかそうとしたのだけど、いくら頭の悪そうな岡田でもこんなんじゃ通用しないか。


「仲直りしないの?」

「無理だよ」


岡田の視線が痛い。
気まずくて目を逸らした。


「……そろそろ本当に由紀来ちゃうから、もう行くね」


逃げるように、いや逃げる私に岡田はまたなとだけ言った。
私はしばらく会いたくないけど、なんて軽口さえ言えなかった。


 
 

Re:  アクアリウム。 ( No.9 )
日時: 2011/09/16 23:45
名前: 白兎 (ID: 0M.9FvYj)





   ▽



最近、どうにも学校が憂鬱で仕方ない。


寝不足なワケでも無いのに目覚めは悪いし
たいした運動もしていないのに帰りの足取りは重い。

元々 学校なんて面倒臭いから嫌いだけど、こんな心底 嫌になったことはなかった。
その上このままじゃダメだと思っていたところへ、また一つ面倒事が増えてしまった。


「……またか」

思わず口から声が漏れていた。
その声は普段の私より低め。






毎日の日課と化している水野蒼へのプリント渡し。
もちろん今日もそれはあったワケで、今現在進行形で実行中なのだけど。

水野宅のポストは、またしてもいっぱいだった。

さて、どうしようかと考える。
前は丁寧に届けてやったけど、あいにく今の私にそんな気力は無い。

本当に、何もかも面倒臭い気分なのだ。
このプリントだって、本当はそこら辺に放り投げて自分はさっさと帰ってしまいたかった。
その気持ちを抑えて来たのに、こんな仕打ちは無いと思う。


やっぱり、いくら満タンだろうが無理矢理にでも突っ込んで早く帰ろうと決めた、
のに



私の携帯は振動を始め出した。


良い知らせなんてどうせ来ない、
むしろ嫌な予感しかしない振動音を発するこの携帯に心底嫌そうな顔を向ける。
しかし、機械にそんな目を向けたところで無意味なだけ。


私は携帯を開き、相手を確認することもせず通話ボタンを押した。



「———……あ、三上さん?」




お前か。

声の主が誰かを確信したとたん、
呆れ果てるような声を漏らした。
その声が低かったのは言うまでもない。


 

Re:  アクアリウム。 ( No.10 )
日時: 2012/03/16 22:14
名前: 白兎 (ID: 0inH87yX)





「まあ、上がりなよ」


柔和な笑顔を向けられても、今の私には全く通用しない、というか逆効果で、私は不機嫌な表情を隠しもしないでズカズカと上がり込んだ。

前と同じソファーに音を立てて座る。


「御用件は」

開口一番、冷たい声でそう言ってみせた。
私をここへ呼びだした水野は少しだけ目を丸め、肩を竦めた。


「随分と機嫌が悪いようだけど、どうしたの」


返事はしない。


無言のまま座っていると、奴がそっとクッキーと紅茶を差し出してきたから
それだけはしっかり受け取ってやった。


「返事はしてくれなさそうだから、僕が一方的に話しちゃうけど」

そんな前置きを、紅茶とともに受け流す。


「最近、元気ないって聞いて」

元気ない?
何じゃそりゃ。

誰からだよ。


「ああ、岡田くんから聞いたんだけど」


……あいつか。

Re:  アクアリウム。 ( No.11 )
日時: 2012/03/16 23:06
名前: 白兎 (ID: 8keOW9sU)





「クラスで、パシリにされてる子がいる」


岡田の告げ口のせいでひどい脱力感に襲われた私は、気付いたら教室での出来事を話していた。


「パシリ……?」
「昼飯を奢らさせてるの。酷い時はコンビニまで買いに行かせたりさ」

机上のクッキーを口に運びつつ、愚痴るように言う。
すると、水野はクツクツと笑った。

「三上さんてそういうの気にするんだ」
「私が人間なの知ってるよな?」
「当たり前だよ」
「あんまり冷血扱いしないでよね」

「でも、冷たいよ。君は」


断言するような物言いに眉根を寄せる。
私はそんなに冷めた人間なんだろうか。


「……まあ、見てて気持ちの良いものじゃ無いよね」
「……あんたなら、どうする?」
「どうって……」

どうもしないよ、と水野。
学校から逃げたコイツは、こんな場面でもやっぱり逃げるのだろう。


「結局、頑張らなきゃいけないのはその子だしね」

その意見には私も賛成だった。

「その子……三浦っていうんだけど、見た目がアレなんだよね」
「ああ、それで嫌われてる、みたいな?」

そう、と頷く。

「不細工でも、身の振り方を考えれば虐められないんだけどね」
「本人も変わる努力してないみたいだし……中身も外見も」

水野が微笑を消し、不思議そうな顔をした。

「刺のある言い方をするね……その子のこと嫌いなの?」
「正直、外見を取り繕わない人間は嫌い」

見た目より中身、なんてよく言うけど
それは性格さえ良ければ外見を気にしなくて良いって訳じゃない。
自分を良く見せるという努力をしてない人が、出来た人間とは言えないと思うから。


「自分を変えようともしなければ、誰にも助けを求めない……そんな人を、好きになんてなれないよ」


窓の外を見詰めながら、紅茶を飲み干した。


「……ごちそうさま。帰る」
「うん、話してくれてありがとう」

紅茶とクッキーを食べに来ただけなのに、よくお礼なんて言えるな……。
受け答えも無愛想だし、話も面白くないのに。

「やっぱり三上さんは冷たくて、面白いよ」


……こいつの面白いの基準は、何か間違っていると思う。

 

Re:  アクアリウム。 ( No.12 )
日時: 2012/03/17 21:08
名前: 白兎 (ID: 271PzwQK)

 




それから一ヶ月も経たない内に、うちのクラスには不登校の生徒が一人増えた。
三浦亜耶である。
彼女は不登校の理由については何も話さないのだという。
因みに、彼女へのプリント渡し係は私ではない。
三浦の幼なじみだという男子が毎日家に行っているのだと聞いた。


「三浦さんにお手紙を届けてくれる人はいるかしら」
担任が芝居臭い口調で聞くと、その男子はスッと手を挙げた。
水野の時とはえらい違いだ。
……それだけ、三浦のことを気にかけていたのだろう。

それなら、何故すぐに助けなかったのか。何もしなかったのか。
そう言ってやりたくもなったけど、彼も悪くないのだ。
自分も虐めを受けたり、また異性であるためにからかわれたりしたかもしれない。
虐めを助けるというのは、実際問題難しい。

でも、そんなに思ってくれてる人がいるんだから
三浦ももっと頑張ってみても良かったのに—……なんて、言わないけどさ。














「おはよ〜!」


朝、下駄箱の前で靴を履き変えていると
後ろから高めの可愛らしい女の声が聞こえた。

実菜かな? なんて思いながら振り向くと、やっぱりそうだった。

「おはよう」
「伶ちゃん、今日はいつもより早いんだね〜」
「今日は早く目が覚めたからね」

私は教室でジッと座っている時間が嫌いで、いつも遅刻ギリギリに学校に来ている。
だから、その時初めて見たのだ。
実菜に起こっていることを。


「……あれ、実菜の下駄箱に何か」
「あ、手紙だ」

実菜の下駄箱の中に入っていた白い便箋に、私はすこし高揚した口調で言う。

「もしかしてラブレターとか?」
「まさかぁ。ちょっと古くない?」

実菜は有り得ないと笑いながらも、嬉しそうな表情で中身を開けた。

すると、実菜の悲鳴が小さく響いた。


「キャッ……なに、これ…」
「実菜、血が…!」

手紙の中を探った実菜の手に、切り傷が出来ていた。
少量だが実菜の手を血が汚している。

軽く放心状態の実菜を横目に手紙の中を見ると、血に濡れたカミソリの刃が入っていた。

カミソリレターが現実にあったとは……それこそ古い気がする。

それにしても、どうして実菜にこんなものが?
とりあえず、実菜を保健室に連れていくことにした。
 


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