社会問題小説・評論板
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- どこへも行けない
- 日時: 2012/05/20 01:01
- 名前: かな (ID: u.BxU8HJ)
はじめまして
スレ立て失礼します
社会問題提起系の短い話を幾つか書いて行きたいと思います。
一話一話はそれぞれ独立しており。完結しています。
よろしくお願いします。
「テーマ別索引」
いじめ >>1
障害者 >>3
認知症 >>4
いじめ2 >>9
リストカット >>13
- Re: どこへも行けない ( No.12 )
- 日時: 2012/05/19 22:48
- 名前: kkd ◆lYkiMnUdWQ (ID: 5K27D2Vq)
□緋賀アリスさんへ
何上から目線になってるんですか?
そういう風に貴方は言っておりますが、貴方の方は実際どうなのですか?
貴方は小説を鑑定して頂いたり、コメントを貰ったりとして、行が狭すぎるなどと多数言われているはずなのに、それに対して、必要な行は・・・などと言い、まったくと言って応えないじゃありませんか。
だとしたら、貴方はここの方と同じですよね?
というよりか、凄く上から目線ですが、貴方どれだけ偉いのですか?
ほら、言ってみてくださいよ。
それに捕捉やらなんやらと言っておりますが、実際貴方の文だって、骨
も無く、台も無く・・・そうではありませんか?
何貴方は、一日前程から来た人に向かって気取って言っているのですか?
具体的に何所がどうなのかを言ってみてくださいよ。
>>0にはきちんと「短い話」と書いてあるではありませんか。
貴方は一体ここの何なのですか?
上から目線で人にアドバイスするのも大概にしてください。
読み方が特殊とは、「優梨」の何所が特殊なのですか?
ライトノベルには実際「優梨」という名前のキャラがありますよ?
その他実際にこの小説以外にも「優梨」で通じる小説は多々ありますよ?
そういう事を分からないで使うのはやめたらどうですか?
それとも何ですか?書き始めて一日目で「下手」というのですか?
貴方だって最初は、台本小説で、動作や心理描写などはあまり書かないで、言葉でびっしりだったというのに良くそんな事が言えますね。
本当にそういう所尊敬しますよ〜
- Re: どこへも行けない ( No.13 )
- 日時: 2012/05/20 01:18
- 名前: かな (ID: u.BxU8HJ)
5つめ
「絶望工場」
自殺しちゃだめってよくいわれるけど、死ぬより生きてるほうがずっと辛いって思ってる人もいる。
でも誰も死んだことのある人は生きていないから、自殺したら地獄に落ちるよと言われても反論できない。
こういうのずるいと思う。だって生き地獄もあるんだもん。
死ぬことは、人間の本能に反している行為だから、私は自殺する人を素直に尊敬してしまう。
私はお父さんの借金を返すために(自主規制)で働く前は少し暗くて友達がいない女の子だった。
けど全部ピンクのペンキで塗られた部屋でおっさんやおじいさんの(自主規制)する生活を1年くらい続けていると、自分が汚物だと思うようになった。意地の悪いお客さんにも時々そういった言葉を投げられた。
自分で自分を汚いとか劣っていると認めるのはとても難しい。
私はそういうのが辛い。とか苦しい。とかを友達とか恋人がいなかったので店に行くのが嫌になってきた。
ある日、店長に「やめさせてください」というと
「お前けっこう働いてくれて一応人気あるからそういうこと言うなよ」
と飲み屋につれて行ってくれて甘いお酒を飲んで私がたてなくなったら「しょうがねえな」と店長が言って店長の部屋につれていかれて店長は玄関先で「自主規制」をさわって、私はびっくりした。
そのあと店長は店長の臭い布団に私に押し込もうとしたので私は臭い布団の中で店長の(自主規制)と思うと気持ち悪いからいやですと店長に言ったら殴られた。頬が熱くなって、ジンジン痛くなり始めた。
ここでおとなしくなっちゃだめだ。と私は思った。
店長に負けてはいけない。でも私は力がないから殴りかえして店長を負かすことができない。
だから、店長がびっくりするようなことをしてその隙に逃げようとおもった。
私は「ちょっといいですか」とおとなしくなったふりをして布団から這い出た。
台所にいって包丁を探して小さな果物ナイフがあったのでおもいっきり左の手首に突き立てたら意外と殴られるより痛くなかったけど噴水みたいピューって血が出た。店長はびっくりしていて勝ったなとおもったけど、いつもよりすごい量が多いから死んじゃうと思った。
お店が終わった後、寂しいのとしんどいのが襲ってきたときに私はそういうストレスを解消する手段がわからなかったバカだったからよくカッターで二の腕の内側の方を切ったりたばこの火を押しつけたりしていた。
すごく痛くて辛かったけどそれは寂しい苦しさとは全然違う苦しみで簡単に耐えられたし、痛みに耐えられた自分をほめることができた。汚い私が血と一緒に流れたみたいに自分が一瞬心のなかから消えた。しかも耐えた後は頭がくらっとして痛みが気持ちよかった。
お店の女の子でも手首に傷があるこは数人いて一回も話したことはなかったけど、
「リスカの跡無駄に追求するおやじがいるんでうっぜーの」とちょっと自慢気に話しているのをロッカーで又聞きしているのをきいた。私はお客さんに聞かれたくなかったし誰にも偉そうに語りたくなかったからあまり見られない二の腕の内側にした。
店長の時は店長に見てもらいたかったから手首に傷を付けたけどこんなに血が出るとは思わなかったから
私は涙が出てきてしまって、「いたいたすけて」と泣いてしまった。
店長がなにをしているか涙でぼやけて見えなかったけど、電話をしたみたいで私は白い服の男の人たちに担がれて布にくるまされて
救急車に乗せられた。腕がすごい痛くて頭がぼーっとして気持ち悪かったけどはじめてのった救急車はおもしろかった。
横を見ると店長がゆがんだ顔をして座っていて、私に気づくと笑顔になってお前明日からこなくていいからなと優しい声で言った。入院中は当たり前だったけど誰もお見舞いに来なくて、私は病院の人にいろいろ聞かれたあとに実家に帰らされた。
5年ぶりに実家に帰るとお母さんが家にいて、お帰りと言ってくれた。
お母さんは5年前とあんまり変わってなくておうちも変わってなかったけどフェレットのスモモは死んでいた。
私は捜索願いを出されていたらしい、お父さんは破産宣告をしたので私はこれ以上働く必要はないらしい。
破産のあとにいろいろゴタゴタがあったけど父方のおじいちゃんが何とか始末をつけてくれたらしい。
お父さんはゴタゴタが終わったあと樹海の方に行って警察の人に捕まった。その後家に連れ戻されて、
自分の部屋でずっと引きこもっていたけれど、あるひ私の部屋で首をつって死んだらしい。
「おとうさん私の部屋で死んだんだ。」
と言って私が笑うと、お母さんが
「何笑ってるんだよお父さん死んだのに涙の一つも見せないのか、薄情な子だね。」
と怒った。お母さんが怒ったので私は二階に行って自分の部屋に行った。
部屋は何にもなくて、小さい時部屋にあった机や本棚やぬいぐるみは魔法みたいに消えてた。
お父さん変なの、なんで私のへやで首つったんだろ、変なの。でもお父さんちゃんと死ねていいなあ。
しんだら永遠に目をつむっていられるんだもん。私の人生目を開けても嫌なことばっかりだから、私はずっと目を閉じて眠っていたい。
いつかお父さんみたいに立派に死ねたらなあ早く死にたいなあ。と思ったら、きゅうにおかしくなってきて、空っぽの部屋で私は大きな声を出して笑ってしまった。こんなに笑ったのは生まれて初めてだった。
あとがき
自主規制はこういった感じでOKでしょうか。もし誤った点があるのならばご指摘ください。
- Re: どこへも行けない ( No.14 )
- 日時: 2012/05/20 04:16
- 名前: 緋賀アリス (ID: 35AN48Qe)
>>12
はて?何を言ってるんでしょうか?私そんなに上から目線でしたか??
めんどくさいので引っかかる所をかいつまんで反論させていただきますが
>貴方は小説を鑑定して頂いたり、コメントを貰ったりとして、行が狭すぎるなどと多数言われているはずなのに、それに対して、必要な行は・・・などと言い、まったくと言って応えないじゃありませんか。
確かに私の小説内では、「行が狭すぎる」等の指摘が多いですね、でも他の(例えば掲示板内で鑑定するような)所で私の場合は台詞が短い物が多いから返って行を空けると変かもしれないという指摘も同じ位受けました。私は、どちらかというと後者の考えでしたので行はあまり空けていません。それに前者の指摘に対しても返答はしていますkkdさんの言い分だと私がその指摘を無視してるみたいじゃないですか。
しかもブッチャケだから何ですか?何でそれがかなさんと同じってなるんですか??
>それに捕捉やらなんやらと言っておりますが、実際貴方の文だって、骨も無く、台も無く・・・そうではありませんか?
そうでしたか?ご意見ありがとうございます、今度用語辞典等を充実させます。できればどの辺りで補足がほしいなぁと感じたのか教えてくれると嬉しいです。
私は、1つ目でデブの子があっさり死んでしまっただけで終わってしまったので「え??」と思ったので何かほしいな…と思いもしかして2つ目が1つ目の続きなのかな??と思い捕捉を…と思いましたね、しかもまえがきが無いにしろあまりにも急展開だったので。
また思い違いなら申し訳ありませんが「一話一話はそれぞれ独立しており。完結しています」は後から付け足されたのでは??
>貴方は一体ここの何なのですか?
上から目線で人にアドバイスするのも大概にしてください。
読者ですが??読者がアドバイスしちゃいけないんでしたっけ??後さっきから上から目線連呼してますが、そんなに上から目線でモノ言った覚えはないんですが……
>読み方が特殊とは、「優梨」の何所が特殊なのですか?
ライトノベルには実際「優梨」という名前のキャラがありますよ?
その他実際にこの小説以外にも「優梨」で通じる小説は多々ありますよ?
そういう事を分からないで使うのはやめたらどうですか?
実際特殊じゃないですか??私はたまたま「優梨」で「ゆな」というキャラクターを知っていたので読めましたがそのキャラの名前は初見で「ゆうり」だと思っていたので友人と一緒に「変わった名前だねww」
と談笑した覚えがあります。後、沢山いるからって特殊じゃないってわけではないと思います。少なくとも私と私の友人は初見で読めませんでした。まァ名前の下りについては、かなさんが優奈を打ち間違えたみたい(?)なので置いといて……
>貴方だって最初は、台本小説で、動作や心理描写などはあまり書かないで、言葉でびっしりだったというのに良くそんな事が言えますね。
はい。そうですね。私の小説は、台本小説で、動作や心理描写などはあまり書かないで、言葉でびっしりでした(ってか今も)そもそも私は「本小説で、動作や心理描写などはあまり書かないで、言葉でびっしりだった」事を指摘してるわけじゃないですし、仮にそうだとして指摘しちゃいけないんですかね??貴方の考えだと犯罪者は犯罪者を咎めてはいけないと、犯罪者は一生犯罪と共存しろと言いたいわけですね??
でも私はそんな考えおかしいと思うので指摘しました、何か問題あるでしょうか??
最後に、かなさんあなたの小説に長々とすみません。5つ目は中々考えさせられる深い話だと思います、あえて「私」の心の傷であろうモノを
(自主規制)と表現するのが物語の深さを倍増させていると思います。
- Re: どこへも行けない ( No.15 )
- 日時: 2012/05/25 22:39
- 名前: かな (ID: u.BxU8HJ)
6つめ
「悪口」
私は中学一年の頃、すこし不登校になったことがあります。
4月の後半で、私はどこのグループにも入りそこねていて、焦っていました。
安藤さんという人が前の席にいました。プリントを配るときに顔を合わす程度でしたが、時々休み時間に私に話しかけてくれるようになりました。
安藤さんは制服を着崩していて、髪に軽く茶を入れていたいわゆるギャルの人でした。
どうして私に話しかけるんだろうと疑問に思いながら、安藤さんが気まぐれなお喋りに付き合っていました。
後で思うと、安藤さんもクラスで浮いていたのかもしれません。クラスの女子の中で派手で明るい子はいても安藤さんのような不良が入ったギャル系の子はいませんでした。
お喋りはとてもほっとする行為でした。みんながざわついてる空間で一人黙りつづけているのは苦行です。丸1日声を出さずにいると、言葉が出口を塞がれたまま死に絶えていきました。溜まった言いたいことの死骸でいつも胸がつっかえました。安藤さんと先生のことや、テレビドラマについて話すとそういう類の息苦しさがなくなりました。
ある日、女子トイレにいって個室で用を足していると、何人かの女子がトイレに入ってきました。安藤さんの声が聞こえました、他の女子は違うクラスの人のようでした。
「安藤、お前のクラスどーよ。」
「最悪、あんたんとこ編入したいし。」
「あー加藤とか浅野とかだっさいのしかいないもんね。」
「でさ、後ろの席に佐藤ってデブがいんだけど前テレビに出てた豚にめっさ似ててあさ。」
「安藤ひっでー。実際似てんの?」
「なんか豚が豚小屋から脱走してるし!レベル。」
「写メって見せろよ!」
「こっちに遊びにこいよ!」
「やだよなんか実物臭そうじゃん。」
「あ、確かに臭いけど我慢してよー。」
胸が苦しくて、どこにもいけなくて、誰も助けてくれなくて、涙がだらだらと流れました。
確かに私は安藤さんの言うとうり太っていました。けれどお風呂は毎日はいっているし、わきがでも無いので決して豚程臭くはありません。
安藤さんたちはトイレにいつまでもいて、笑っていました。笑い声を聞きたくなくて指で耳を塞ぎました。声を出さないように口の中を歯で噛んで泣きました。
泣いたって誰もあんたなんて助けねーよ。安藤さんのせせら笑いが聞こえるような気がしました。
みんなが私を馬鹿にしているように見えました。私は私の存在が恥ずかしくて、消えたい。と思いました。
泣きながらずっと目をつむり、安藤さんたちが消えるのを待ち続けていました。
チャイムがなりはじめると、ドアを開ける音がして、
私の心臓を刺すような笑い声は消えていました。私はやっとトイレの個室から出ることが出来ました。洗面台で顔を洗って教室に向かいました。涙の跡は誰にも気付かれませんでした。私は誰からも見られていなかったからです。
学校から帰ると、ずっと胸がむかついていて、その日言われた言葉がずっと頭に響いていました。
お風呂に入る時も安藤さんたちに監視されているようでした。体重計に乗るとまた涙が出ました。
自分の部屋のベッドに横たわると吐きそうになりました。吐く代わりに声を出して泣きました。家族に聞こえないように枕に顔をうずめて私は豚じゃないと叫びました。
翌朝、本当にお腹が痛くなり学校を休みました。何回も下し、吐きました。とても苦しくて痛かったですが、元気に学校へ登校するより何百倍も幸福でした。
学校で安藤さんと顔をあわせることを考えると、胃が痛んだので、なるべく安藤さんのことを考えつづけました。そうすれば、お腹は痛くなりつづけて、私はずっと学校を休める。と考えていました。
私は休んだままゴールデンウイークを迎えました。
私の病気のせいで、箱根への家族旅行は中止になりました。普段は働いていて忙しいお母さんが、おかゆやゼリーを作って看病してくれました。
私は家族に申し訳なくなって、休みがあけたら学校に行こうと決意しました。
たびたび泣きそうになりながら通学路を歩いて、安藤さんがこのクラスから消えていたらいいのにと祈りつつ教室のドアを開けました。目を開けると安藤さんはやっぱりいました。
けれど、安藤さんは私の前の席ではなく一番後ろの席に座って男子と楽しそうに喋っていました。
私はどこに座っていいか分からずに隅で立っていると、学級委員の男子が話しかけました。
「あ、佐藤さんが休んでいるあいだに席替わったんで、佐藤さんの席は前から一番目の先生の後ろの席です。」
いつの間にか、席替えが行われていたのでした。私はクラスのみんなが嫌がる、先生に一番近い席に座りました。私はとてもホッとして、ため息をついてから机の上で腕を伸ばしました。
「ね、なんでずっと休んでたの。」
後ろの席にいた女の子が話しかけてきました。
「おなか痛かったの。」
苦し紛れに私はいいました。
「おなか痛かったんだ。」
女の子は素直にその言葉を受け入れて、笑ってくれました。
一時限目の授業が始まりました。英語でした。先生に言われた教科書のページを開くと、暗号が並んでいました。私は授業に遅れていました。
チンプンカンプンな先生の言葉を解読しようとしましたがどうにも上手くいきません。
休み時間、呆然としている私に、後ろの席の女の子が話しかけてきて、
「ノート貸そうか?」と聞いてきました。私は自分が困っていたところを見透かされたような気がして、カッと顔が熱くなりました。
「別に大丈夫だよ。」
そう言い捨てて、そっぽを向きました。あ、これで嫌われちゃった。また悪口言われるな。
後ろの女の子がトイレで「あのデブがさ〜」としゃべっている場面が映像として浮かび怖くなりました。
さっき言った自分の発言を今すぐ取り消したくなりました。違うの、本当はちょっとびっくりして
思わず断っただけなの。そう弁解したくて後ろを向こうとしましたが、首の筋肉が緊張して動きません。
今更、そんな言い訳をしてもその子は一層私を変に思うだけでしょう。そう考えると、目の奥が熱くなって涙が出そうになりました。
トントンと背中を小突かれました。後ろを振り向くとノートが突き出されていました。
「ずっと休んでたのに、ほんとに大丈夫なの?」
女の子は、さっきの私の態度を特に気にしていないようでした。
ごめんねありがとうと、私は一言残して、ふらふらと一人でトイレに向かいました。
トイレの個室の中で私はもう一度泣きました。前、泣いた時とは全く違う質の涙でした。
悪口に負けないくらい強い人間になりたいな。とその時思いました。ほんの些細なことで
怯えたり、みじめになったりはもう嫌でした。自分に自信を持って生きていきたい。
自信を持つということは、ただむやみに威張ることではなく、何らかの過程を経て自分自身をきちんと好きにならなくてはいけません。私は今の自分が大嫌いなので、少しずつ好きな自分を作っていこうと決意しました。
今の自分のままを好きになるのは難しいけれど、そんな自分を変えることは決して不可能ではないと思いました。私の中学生活はまだ始まったばかりだからです。強くなれば、安藤さんのことも怖くなくなるはず。
そう思うと、また涙が出てきました。
教室に戻ると、後ろの席の女の子が心配そうにこっちを見ていました。
「目、赤いけどどうしたの?」
女の子が私に話しかけました。
「トイレでお腹痛くて泣いてた。」と私は笑って答えました。
「大丈夫ー保健室いまからいく?」
「だいじょうぶ、もう治ったから。」
私たちはその後おたがいに自己紹介をしました。
安藤さんとは、その後何回か話をしました。もう、お腹は痛くなりませんでした。
- Re: どこへも行けない ( No.16 )
- 日時: 2012/05/28 21:05
- 名前: かな (ID: u.BxU8HJ)
7つめ
「まるちしょうほう」
みんなは山本さんのことを頭おかしい人と噂していたけれど、
私はそうは思えなかった、なぜなら山本さんはバイトのはじめにいつも私におはようと言ってくれるし.目があったときにニッコリと笑ってくれるからだ。
だから私のお財布が無くなったのは決して山本さんのせいじゃないし、職場の外からきた
見知らぬ悪いやつがわたしのロッカーをなにか特殊な方法で開けて盗んでいったのだ。と思う。
山本さんはわたしのお財布が無くなった2日後にバイトをやめた。辞めた理由は山本さんがわたしの財布を盗んだからだという噂が立っている。噂なんてあてにならない。本当の理由は山本さんの夫の転勤だ。一緒についていくわ、
「遠い田舎へ行くの。」
と山本さんは私に言っていた。
「被害届を出しなさい」という店長のいいぶんは正しいけれど、
「山本さんがやったと警察に言え」
なんてあんまりだ。
「問い詰めたらアイツお前の財布とったって吐いたぜ。」
店長はそう言っていたけれど、わたしは信じない。
きっと店長は私と山本さんが嫌いで二人の仲を引き裂こうとしているのだろう。
店長は、自分がコンビニの店長だから、山本さんがコンビニの食べ物を悪く言うのが気に入らないのだ。
店長は私のことが好きじゃない。もっと愛想よくしなさい、とかお前はもうちょっとしっかりしたほうがいいとか、とかいう悪いことしか言わないから。私も店長がきらい。
山本さんは店長と違ってとても優しくて良い人だった。ニコニコと笑って私に話しかけてくれたり、飴をくれたりした。飴ははちみつ百%のとても体にいいもので、山本さんは
「これを食べてから持病のアトピーが見る間に治った」
と言っていた。
「自然のものを摂取しないと人間は心と体が悪くなる。あなたはとてもよい子で健康だけれど、レトルトや出来合のものを食べていると年をとったときに大変なことになるの」
といって私に色々と健康自然食品を薦めてくれた。私は今まで私が働いているコンビニのお惣菜が添加物だらけで体に毒だということも知らなかったので、山本さんがとっても安い値段で譲ってくれたはちみつのカプセルとかうめぼしエキスを沢山飲んだ。
天然の成分を摂れば摂るほど、あなたはもっと良い人間になれるわと言われた、私は山本さんがそう褒めてくれるだけで、まるで自分がとても質がいい人間になったような気がした。
あんな優しい山本さんがわたしの財布を取ったなんてのはデタラメだ。
財布が盗まれる前日に、
「自分のロッカーが壊れたから、あなたのロッカーの中にわたしの荷物を入れたい。鍵を貸してほしい」
と山本さんに頼まれた。私はいうとおりにした。それは本当だ。だからって山本さんがわたしの鍵のコピーをとってロッカーを開けて私の財布をとったなんて、店長が言っていることはただの推測だ。
財布がなくなった翌日に、店長が山本さんを締め上げたら、私が財布を盗みましたと泣きながら言ったらしい。それはおかしい。山本さんがそんなことを言うはずがない。きっと店長がそう言えと強要したのだ。山本さんを犯人と決めつけて自白を強要したのだ。そうに違いない。
「山本さんに夫と子供がいるのも嘘らしい」
、とも店長は言っていた。
確かに山本とお喋りしていると、山本さんの子供が、四人兄弟から二人姉妹になっていたり、3才だった長男さんが成人して結婚してしまっていることがある。矛盾した部分は沢山あるけれど山本さんだって人間なのだ、誰だって記憶違いはある。そういえば山本さんは夫が社長とも言っていた。裕福な生活をしている人が盗みをはたらくはずがない。
じゃあ私のお財布は一体誰が盗んだのだろう。
今私はとても恐ろしいことを考えた。
店長が言っていることは全部嘘なんじゃないのか。
店長がわたしの財布を盗んで、山本さんに濡れ衣を着せようとしているんじゃないのか。だから、山本さんはこのバイトをやめたのだ。濡れ衣をかぶったのだ。店長がこの店を辞めないと殺すぞ、とか怖い事を言ってやめさせたのだ。そうして山本さんが私の財布を盗んだという噂を流して、私に山本さんが泣きながら自白したというデタラメを吹聴したのだ。
店長は私はおろか山本さんまで嫌っているのか、店長という立場を使ってこここまで無実の人間を追い込むなん、そんなひどいことがあるものか。
そう考えるとすべてつじつまが合う。
店長は山本さんのことをあんなインチキ女は早く逮捕されればいいと言っていたけれど、逮捕されるべきなのは、私の財布を盗んだ、店長。お前だ。
ああいやだ、私は今まで店長に騙されていたのだ。憎たらしい。警察で逮捕して欲しいけれど生憎私は店長が財布を盗んだという確かな証拠を持っていない。悔しい悔しい。恨んでやる。
こんな職場になんか働いていられない。そもそも私は普段職場で喋ってくれる人は殆どいなくて、今まで山本さんしか仲良くしてくれる人はいなかったのだ。山本さんがいない職場にいるなんて、苦痛でしかない。
明日店長にバイトを辞めますといってやろう。ああそのときなんて言ってやろう。店長あなたのやっていることは全てお見通しですよ!なんて言ったら店長、震え上がるかしら。ざまあみろだ。
店長に内緒にしていたが、私と山本さんは今でも連絡をとっている。まだいっしょに働いていたとき、山本さんはあんな俗物たちと一緒にいたら体に毒物がたまる、こんな仕事は辞めてわたしは夫と子供といっしょに田舎へ行き大自然のもとで健康的に暮らしたいと言っていた。
山本さんは今、その田舎にいるらしい、そこにはある団体がコミュニティを作っていて山本さんはそこで販売員をしている。
山本さんに私は明日仕事をやめますと電話で伝えたらとても喜んで
「あなたもこっちに来なさい」
と誘ってくれた。
私みたいな清廉で心がピュアな人間が、バイト先のようなところにいたらかわいそうだ。あなたは昔の私を見ているようだ。私のようにこれ以上心が汚れるまえにこちらへ来て汚れを落としなさいといってくれた。私は嬉しくて電話口で泣いてしまった。最後に店長の事を話すと店長の言っていることは全部嘘だから信じるなと強く言われた。私の推理は間違っていなかったのだ。
そうだ、もうこんな所に一刻もいられない。ここは人間が汚い。こんなところにずっといると店長みたいな嘘をついても平気でいられるような奴になってしまう。もともと汚いひとは汚いところに留まっておけばいいが、私みたいな心が綺麗な人間は綺麗な場所にいる方がいいのだ。そういう決まりなのだ。
この職場を辞めて、私は将来山本さんのような良い人間になって幸せになるのだ。