社会問題小説・評論板
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- いじめ崩し(いじめは私が無くす・心理療法士神尾の挑戦)
- 日時: 2014/05/31 21:44
- 名前: おきた達也 (ID: NCbhQBaO)
イジメは、いつまでたっても無くならない。
中学生A少年は、同級生の5人にイジメを受け、何度もお金を要求されノートに「もうこんなことはボクだけでやめてくれ・・」という遺言とイジメた5人の名前を残して自宅の勉強部屋で首を吊って自殺した。
女子高校生Bは、4人の同級生から度重なる陰湿なイジメを受けてイジメた同級生の名前とイジメの一部始終を書いたノートを残し学校の屋上から投身自殺を遂げた。
そんなイジメは、起こる度にテレビで取り上げられ教育評論家がもっともらしいコメントを語り、市や県も二度と同じ悲劇が起こらない様に最善の対処をして行きたいというコメントをお題目の様に唱えるがイジメは一向に無くならない。
ある5月の夕方、池袋のカラオケボックスで火災が起こった。しかしその火災はただの火災ではなく日本中を震撼させる事件の始まりだった。その火災がただの火災ではなかったのは部屋にいた焼死した男子高校生5人はその5人の中の一人が撒いたガソリンを全身に浴びせられガソリンを撒いた生徒が自らのライターでつけた炎に焼かれ焼死するという言わば無理心中に近い事件だったからである。
そしてその4日後、静岡県の中学校の屋上で7人の女子中学生が同じくガソリンに引火した炎に焼かれ全員が死亡した。
そう・・それらは事故ではなく明らかに仕組まれた事件だったのである。
その事件には、事件を起こした子供たちから先生と呼ばれる一人の男が関与していた。
その男とは、横浜に住む神尾まもる43歳、なんと子供たちからイジメの相談を受け自殺などをしないように対処する命の110番的な仕事を生業とする男であった。
神尾は、いくら心を込めて説得しても後を絶たないイジメによる子供たちの自殺に業を煮やしていた。
そして大人たちの無責任とも言える事後処理にも我慢がならなかった。
被害者であるはずの自殺した生徒の人権は踏みにじられ、イジメがあった事すら学校は隠蔽する。そして自殺に追いやった犯罪者とも言うべき加害者の子供たちは「未来がある少年少女たちだから」と擁護される・・・。
「そんな理不尽な事が許されていいのか!」神尾は何度も世間やマスコミに訴えたがうなづく者はいても真剣に行動を起こしてくれる者は皆無に等しかった。
そんな中で、神尾は、いじめられている子供たちに対して「悪魔のささやき」とも言える提案を試みたのだった。
もしこれが20年前であったならば、事件はこんなにも大きくならなかったと想像できるがインターネットやフェイスブックなどが子供たちの手で簡単に扱われる今日、それは津波が広がるように全国に飛び火したのであった。
神尾は、10年前、自分に心を開いてくれていたある男子生徒の自殺を止められなかったという苦い経験を持っていた。親身になって相談に乗り、学校やイジメている生徒の親にも直接に話をもっていったが信じられない対応をされてしまったのである。
学校の言う真剣な対応とは、全校生徒やホームルームで匿名にしてはいるものの「イジメられていると言ってきた人間がいるので絶対にイジメはしてはいけない。もしイジメを目撃したら先生に言う様に」という話をする事であった。さらに、イジメた人間の名前を伝えた事に対しての処置は、イジメた生徒とイジメられた生徒を放課後に一緒に呼んでイジメた生徒に「先生はイジメだとは思わないが、もうイジメと間違われるような言動は慎むように・・」と言って生徒同士で握手させる事であった。そんな処置でイジメが無くなるはずがない。イジメはより巧妙に陰で隠れて行われるようになった。そしてその生徒は、事態をより悪化させた神尾をも恨みながら命を絶ったのである。
それから神尾はその反省を生かし何人もの生徒の命を救ったが全国的には自殺する生徒は後を断たず、イジメ自殺のニュースを聞く度に神尾は自分の無力さを実感せずにはいられなかった。
そしてまた神尾がイジメの相談を受け面倒を見ていた中学2年の女生徒がイジメた人間の名前とやられたイジメを遺書に書き残し自分の住むマンションの屋上から飛び降り命を絶った。
学校は、事件を隠蔽しようとし、実名を書かれた加害者の生徒や親は自殺した生徒がノイローゼで被害妄想から自分たちの名前を書いた・・と事実を認めようとはしなかった。
全く変わらないその成り行きを見て神尾は激怒した。
そして一つの恐ろしい決心をしたのだった。
2014年4月27日、神尾はインターネットで自殺を考える少年少女に檄を飛ばした。
「自殺を考えている皆さん・・私は常々命は一つだ!死んだらお終いだ!絶対に死んではいけない・・という言葉を繰り返してきました。でも、そんな言葉は追い詰められた人には通用しませんでした。だからもう私は、死んではいけないとは言いません。でもよく考えて下さい。皆さんは悔しくありませんか?皆さんが「生きて行くのは死ぬより辛い」と思わせた人間をそのままにして自分だけ自殺して悔しくはないんですか?よく、自分の死によって自分をイジメた人間が自らのやったいじめを反省して心から悔い改めて欲しいといった内容の遺書を残して自殺する人がいますが、それでその自殺をした人が望むようにイジメた人間が反省した事がありましたか?そいつらは、皆さんの遺書を見ても何の反省もなく「あんな遺書を残して死にやがって頭にくる」といった感想しか持たない人間だと気づきませんか?イジメを感じ取っていながら阻止しようとせず見て見ぬふりをして助けようとしなかった学校や周りの人間が反省して事を公にした事がありますか?見て見ぬふりをした事がバレるのを恐れて隠蔽しようとするのを皆さんは何度も見てきているんじゃありませんか?そんな中で自分だけ死んだとしたらそれは犬死に以外の何ものでもありません。私はこれから皆さんの死が犬死にならない方法を提案したいと思います。それは、どうせ死ぬならば皆さんをイジメて皆さんに死を覚悟させた人間も全員一緒に道連れにして死のうという自分で言って恐ろしくなる悪魔の提案です。しかし、皆さんの死は無駄死ににはなりません。皆さんは犬死をする負け犬ではなくイジメをした人間は自分の命で清算しなければならないリスクを負うのだという事を思い知らせる英雄となるのです。今から皆さんをイジメた人間がたとえ何人でも一緒に道連れにできる方法を教えます。今から皆さんが相手が何人でも命を取れる位に強くなってもらって相手に復讐するなどという事は不可能です。そんな事が出来る位ならばイジメられて死のうなどとは思わないはずです。でも、死を覚悟すれば方法は存在します。その方法を実行する為にまずガソリンをポリタンク一杯ほど用意して下さい。これは10人位の人数を道連れにする時に必要なガソリンの量ですので数人ならば2Lのペットボトルに1〜2本のガソリンで大丈夫でしょう。自宅に車がある家は車のガソリン注入口からポンプを使って吸い出して用意できます。ガソリンを浴びせて火をつけて焼き殺すならば何の修練もいりませんよね!イジメの加害者を呼び出すのなんか実に簡単です。手紙で・・今はメールですかね「もうお前たちには我慢の限界だ!大人しくしてればいい気になりやがって!みんなまとめて俺が一人でぶっ殺してやるから雁首そろえて夕方5時に学校の屋上に来やがれ!」みたいな文章を送れば喜んで集まってくるはずですから・・さあ皆さん、イメージしてみて下さい。ガソリンをかけられて恐怖におののきながら命乞いする貴方をイジメた人間を見て皆さんは大笑いしながらゆっくりライターに火をつけて燃え盛る火の中で死ぬ時の快感は、寂しく一人で死んでいく時とは天と地ほどの差があるはずです。でも出来るならば私は皆さんに死んで欲しくはありません。死んで欲しくはないのですが犬死のような自殺をするのならば、今までのイジメられて悔しかった思いの丈を充分に遺書に書き残し皆さんに死を選ばせた人間に天誅を下して欲しいと思います。」
その呼びかけに一体何人の生徒がどんな反応をしたのか・・・後は結果を待つだけだった。
- いじめ崩し(いじめは私が無くす・心理療法士神尾の挑戦) ( No.13 )
- 日時: 2014/05/26 23:42
- 名前: おきた達也 (ID: NCbhQBaO)
「ご覧の通りだ!みんな神尾さんの話を聞くために来たと言って過言ではない様なのでその方向で進行させてもらうけれど太田さんの話を完全に無視する事も横暴なので・・・そこで神尾さん、太田さんの話を聞いて一言何かあれば・・」
丁寧にお辞儀をして神尾が話し出す。
「太田さんのご意見は私ももっともだと思っています。
確かにそういう教育が行き届き、家庭に愛が満ち溢れて親が子供の一挙手一投足に目を届かせることが出来ればイジメもイジメによる自殺も無くせるのかも知れません。
でもその意見通りに実際に行動に起こしても事が成就するまでに一体何人の子供がイジメで死んでいくのでしょうか?それを私はじっと見ていられませんでした。
まずは即効性のある方法を取って自殺する子供を一人でも少なくしたいという思いでイッパイだったのです。
ちょっと話がズレますが、アメリカの銃を規制しろという話をどう思われるでしょうか?銃が自由に手に入るから学校で銃を乱射して大勢の人間が死ぬような事件が起こるんだ・・銃を規制すればそんな事は起こらないと言う人がいますが、果たしてそうでしょうか?
確かにアメリカの国民全部が同意して1,2の3で全員が銃を放棄したならばそうなるでしょう。
でも多分そうはなりませんよね!銃を放棄するのは、たとえ銃を保持していても何の問題もない善良な市民たちだけで銃を取り上げなければならない人間は法律を無視して銃を持ち続けると思いませんか?
そうなれば善良な市民は悪人が自分の平和な生活を迫害しようとした時に何の抵抗も出来ずに命を落とす事になるのが現実なんです。」
「神尾さん・・その話は、一体何の関係が?・・」
小田原が問う・・
「ああ、失礼しました。
つまり平和な生活を守る為にアメリカでは銃が必要だった様にイジメられて命の危機まで追い詰められた生徒には、自分の命を守る為に相手の命も脅かす威力を持った武器が必要だと思ったのです。
ならば、武道でも習って強くなればいい・・といった意見が出てきます。確かにイジメられっ子だった生徒がボクシングの世界チャンピョンになったという現実もあるのですから有効な方法に思えますが、現実はそんなに甘くありません。
生半可な技を覚えて向かって行っても最初の1発は当たってもそれによって余計に相手の怒りを買って何倍にも利子がついて返り討ちに会うのが落ちなのです。
相手が複数ならば刃物を使っても無理でしょう。
ならばピストルだと考えても日本では簡単に手に入りません。
爆弾ならばなおさら入手困難です。
そこで私が考えた方法がガソリンだったのです。
しかし本当にガソリンを使えば大勢を一緒に焼き殺すことが出来るという事を知って欲しかったのはイジメられていた生徒ではなくイジメていた生徒の方だったのです。
いい気になってイジメていると自分の命を落とす可能性があるんだと知って欲しかったのです。
でも、簡単には伝わりませんよね!伝わっても「やれるもんならやってみろ・・」程度にしか考えなかったでしょう。だから、イジメられている生徒に伝えたのです。
今、イジメをしていた生徒は、いつ自分もガソリンを浴びせられて焼き殺されるかも知れないと考えて恐怖におののいているのではないでしょうか?」
「しかしねえ神尾さん・・・実際に大勢の子供が死んでいるんだから・・」
児童評論家の目黒が問いかける。
「では目黒先生は、イジメを無策で放置してその何百倍もの数の生徒が死ぬのは構わないと言われる訳ですか?」
「それは飛躍のし過ぎだ!私はそんな事は一言も言っていないじゃないか!」
神尾は目黒の言葉を聞いて呆れ返った表情で首を左右に振りながらフーッと大きく息を吐いた。それを見ながら小田原が話し出す。
「僕は、神尾さんの話はよく解るな!日本の自衛隊も同じじゃないかな。
相手を殺すことを目的にはしていないけれど何かがあったら命掛けで抵抗するぞという目的で武装するから抑止力になる。
これが丸腰で正論を言っていても意味をなさないと分かっているから防衛力を養うんだと僕は思っている。
大人の世界でも国際世界でもそうなのに子供の世界では武装無しに理不尽な迫害から身を守れとか戦えとか言うから問題が解決を見ないのかもしれない・・と思い始めた・・」
「皆さん、一度、イジメられて死を覚悟した生徒の目線でモノを考えてみて下さい。
これから自分の命を絶ち短い人生が終わるんだ・・・この世は生き地獄だ・・生きていたくない・・そう考えて死ぬ時に絶対に無念だと思います。
イジメた人間が憎たらしく殺してやりたい気持ちで一杯だと思います。でも自分は弱いから怖くてできない。
だから一人寂しく死んでいく・・・自分の子供がそんな死に方をして、死んだ後に加害者や学校から「自殺なんかしやがって迷惑な・・」みたいな扱いを受けたら私だったら関係者をまとめて殺してやりたい気持ちになると思います。
それと比べて考えてみて下さい。
イジメた人間が恐怖におののいて命乞いをするのを見て笑いながら死んでいく方が、親だったとしたらどれだけ心が慰められるか!
でも本当に私は、一人の子供も私の発言で死んで欲しくはありませんでしたがこんな結果になりました。
それは残念でなりませんし私が一生背負っていかなければならない十字架だと思っています。
しかし今彼らの死を無駄にしない為に彼らの死はこの国からイジメを無くすために人柱になった英雄として讃えてあげたい気持ちです。
人間は賢いようで愚かな生き物です。
いくら口で言ってもまさかそんな事は起こらないだろうと思っています。
でも彼らが本当に行動に起こしたのでなめていたら本当に殺される事になるんだ・・という現実をイジメをしている人間は、心の底から実感したはずです。」
- Re: いじめ崩し(いじめは私が無くす・心理療法士神尾の挑戦) ( No.14 )
- 日時: 2014/05/27 00:01
- 名前: けんじ (ID: AKehFwYl)
臨場感ある表現で思わず引き込まれました。
小説の中の人物なのに本当に実在するような錯覚に陥りました。
特に評論家のコメントは、本当に何人かの意見をもらって書き込んだのでは
ないでしょうか。かなり先が楽しみです。
もう結末は決まっているのでしょうか?
今後を期待しています。
- いじめ崩し(いじめは私が無くす・心理療法士神尾の挑戦) ( No.16 )
- 日時: 2014/05/27 14:30
- 名前: おきた達也 (ID: NCbhQBaO)
神尾の話を聞き、腕組みをしてうなづく者もいれば、首を振りながら紙に何かを書き込んでいるコメンテーターもいる。
小田原が首を振っていた産共党の葛飾ひろし参議院議員に「葛飾さん何かありますか?」と問いかけ葛飾が話し始める。
「神尾さんの言っている事は私にはやはり詭弁にしか聞こえないですね!日本は法治国家なのですから「目には目を歯には歯を」のような復讐は許されないと思いますよ」
その問いに対して神尾が間髪入れず
「いいえ!私は、イジメられた者がイジメた者に対して復讐をする話なんか一つもしていませんよ!人権を無視されて理不尽に死に追いやられようとしている人間が尊厳を守るために戦う方法の一つがこれではないか?という自分ながらの意見を言っているんです」
「しかし、今回の少年はいきなりガソリンをかけて4人もの人間を焼き殺したんですからね!いくら自分がイジメられていて自殺まで考えていたからって言って道連れに一緒に殺すと言うのはどうしても納得できないですよ・・いや納得してはいけないと思います!
ガソリンを見せて『これ以上イジメるならばこれをかけて一緒に自殺の道連れにするぞ!』と脅かすだけで充分に効果があって両方とも死ななくても良かったとは神尾さんは思わないんですか?」
その言葉を聞いて神尾は呆れ返ったように
「葛飾先生・・よ〜くイメージしてみて下さい。
イジメられていた少年は自殺するくらいに追い詰められていたんです。
しかも追い詰めていた相手は4人です。その相手にガソリンの入ったペットボトルを見せて『僕をこれ以上イジメたらこのガソリンをかけて火をつけて一緒に焼き殺すぞ!』と言ったら相手の4人がそれを恐れて『ご免なさい!もうこれ以上イジメたりしないから許して下さい!』といってその後は仲良くなりました・・などという流れになると本当に思って言っていますか?
もしそうならば大甘です!
あまりにも現実を知らな過ぎる!
もしその少年がガソリンの入ったペットボトルを見せて脅かして身の安全を図ろうとしたらどうなると思いますか?
相手は4人です。
『てめえ!ふざけた事を言ってんじゃねえぞ!やれるものならばやってみろ!』
と言われて飛びかかって来られたらガソリンを相手に浴びせる前に取り押さえられてしまいます。だから不意打ちだから可能な方法なんです。
さらに相手は冷酷非情なイジメっ子です。
もし失敗したら自分が持ってきたガソリンを取り上げられて自分にかけられて自分だけが焼き殺されて『僕たちは自殺を止めようとしたんですが止められませんでした』みたいな事になるのではないか?という発想もその少年にあったかもしれませんし、事実そうなった可能性も高いと思います。
万が一そこまで行かなくてもイジメっ子の4人がその後で口を揃えて『僕たちはあいつにガソリンをかけられて殺されそうになりました」と言われたら自分は今よりもっと苦しい立場に置かれるという発想もあったはずです。葛飾先生もっと現実をとらえて発言して下さい!政治家がそんな発想しかないからイジメも自殺も無くならないんです!」
次の瞬間、会場のあちこちから神尾の発言に対してまばらではあるが拍手が起こった。
画面に顔を引きつらせる葛飾の顔が映し出される。
モニターに映し出される自分の顔を見て自分がカメラで抜かれている事に気が付いた葛飾は慌てて話し始めた。
「しかし私たちも法律を変え警察の対応も変えさせてイジメ撲滅に尽力しているんだからそこは評価してもらいたいですな・・!」
「もちろんそれは評価しています。またもっともっと努力を重ねて改革してイジメを撲滅してもらいたいと思います。しかしこう言っては何ですが現在進行形でイジメられている子供たちにとっては、そんな実を結んでいない努力や改革など全く役に立たないモノでしかないという事も認識して下さい。先ほどアメリカの銃規制の話をしましたが、暴漢が家に押し込んできて自分たちの命をも脅かされる危機に遭遇した時に間に合うならば警察に連絡して安全を確保してもらい犯人も逮捕してもらえればそれに越した事はありません。しかし、丸腰でそれをやれば上手く警察に連絡できたとしても銃を持つ暴漢に何の抵抗も出来ないままに撃ち殺されて警察がかけつけた時には射殺体が転がっている・・・それが現実なんです。だからイジメ問題も国や学校や警察にも頑張ってもらって安心して勉強できる本当の意味で平和な学校にしていってもらいたいと心の底から思ってはいますが、いつになるか一向に分からないそんなモノを期待していたら何千人何万人の子供たちが心を痛め死んでいくか分からないというのが今の日本の現実なんです。」
- いじめ崩し(いじめは私が無くす・心理療法士神尾の挑戦) ( No.17 )
- 日時: 2014/05/28 01:37
- 名前: おきた達也 (ID: NCbhQBaO)
「でも10年前より随分と改正されてきたというのも現実です。是非、その辺は理解して評価してもらわないと一生懸命やっている私どもは残念でなりません」
「私は10年前に関わっていた生徒を助けられずに死なせてしまいました・・そして10年たった現在もやはり変わらずに助けられなかった・・・有効な程度には何も変わっていませんよ。前が酷過ぎて、現在が普通に近くなった・・そんな程度の変化だと思います。」
「・・・・・・・」
無言の葛飾議員を見た小田原は、その隣にいて発言したそうな顔をしていた二人の女性のうちまずは前回、他局(テレビ日本)で神尾と対談した精神科医の中野を指名した。
「精神科医の立場から少し話をさせて下さい。私はイジメをする人間もされる人間も病んでいると思っています。彼らは全員病気なんです。そして私たちの住んでいるこの社会も病んでいます。イジメをされる側の人間も可哀想ですが、実はイジメる側の人間も病んでいて可哀想なのだという事を理解して頂ければと思います。
『お前なんか死んじゃえ』と言われて本当に死んでしまう子は心が不健康だと思います。
相手が死んでしまうまで暴行やイジメをしてしまう人も病気だと思います。
病気なんですから、それなりの扱いをしてしかるべきだと思うんです」
「話の途中で申し訳ありませんが中野先生の言っている意味が分かりません!イジメる人間も病んでいるんだからイジメられて死ぬ人間がいてもイジメた人間を恨むより病気を恨んでイジメた人間は憐れんでやれ!またイジメられても健全な人間ならば決して自殺などしないものだから自殺したのはイジメた人間のせいではなくイジメられた生徒が病んでいたのが原因だからイジメた生徒を恨むのは筋違いだ・・というご意見ですか?」
神尾の剣幕に中野は少し戸惑いながら
「そんなふうな意味で言ったつもりは無いんですが・・私は、イジメをした生徒も病んでいるのですから普通の人間とは区別して考えないとならないという事を言ったまでです。法律的に言っても精神病だった時には責任能力なしと見なされれば無罪になりますよね!また、病気まで行かなくてもストレスが溜まって心神喪失状態に近い時などは減刑されるじゃないですか・・覚せい剤など法律で禁止されている薬物を使って心神喪失状態だった時にも無罪になったりするんですから、法律違反をしたわけじゃなくストレスが溜まった状態でストレス解消をしようとついイジメをしてしまった生徒だけを厳しく罰しよう・・ましてその罰がガソリンをかけられて焼き殺される事というのはおかしいに決まっているじゃありませんか!」
「はあ?本気で言っていらっしゃるんですか?では中野先生は、イジメている生徒は、病気なんだからイジメをしてもしょうがない!それよりそんな病んでいるイジメっ子にイジメられても自殺しない健全な精神を持ち卒業するまで耐え続けろという意見なんですね?」
「何でそういう角が立つような言い方になるんでしょうか?私たち医師も医師なりの最善の努力をちゃんとしていますからあまり揚げ足を取る様な言い方ばかりしないで下さい!」
「ほう!そうなんですか・・では参考までに聞かせて下さい。一体どんな努力をしているんですか?」
「医師ができる・・というより医師しか出来ない事をやっています。医師しか出来ない事と言えば薬を処方する事です。最近はとても良い薬ができてきたので心のケアもかなり効果を上げています。」
「最善の努力とは、薬を出す事ですか?イジメも自殺も無くならない訳ですね!イジメられても薬を飲んで自殺まで行かないように頑張れ…という事が医師として最善の方法なんですね?まあ確かに医者に行くとしたらイジメられて悩んで心が病んだ生徒だけで、イジメている人間が自分からイジメをした行いを深く悔いて『イジメをしてしまって悩んでいます。どうかイジメをしなくなる薬を下さい』なんて相談しに来る訳がありませんから実際に全然問題解決にはつながっていませんよね!」
「・・・・」
「今、覚醒剤の話が出ましたが、法治国家である日本の法律はザル法過ぎます。百歩譲って覚醒剤を使用して精神喪失状態で殺人を起こしたならば無罪でもしょうがないとしても、その人間は一生無人島がなんかで一般社会から隔離して欲しいと思います。それがしばらく入院したら何の問題もない一般人と同じ扱いで社会生活を始め、その周りの人間には、そいつがいつまた同じ事件を繰り返す可能性があるかすら教えてもらえないんです。ブライバシーがあるとか個人情報の守秘とか必要以上の権利を与えすぎると思いませんか?覚醒剤を使おうがストレスが溜まってだろうが他人の権利を迫害して傷つけたり命を奪った人間には権利を与え過ぎてはいけないと私は思います。日本人は自由の意味を履き違えています。だからイジメる事すら『俺たちの自由だろ!』みたいな寝とぼけた事を堂々と言う子供が現れるんです。私は日本人にはもっと自由の意味を考えて欲しいと思います。日本人は、こんなに優秀な民族なのに何でこんなに自由の解釈がおかしいんだろう?と考えた事があるんですが、私がたどり着いた答えは、今の日本人の自由は、諸外国と違って血を流して勝ち取った自由ではないからだという答えでした。フランス人はフランス革命、アメリカは独立戦争や南北戦争など民衆が自由を勝ち取る為に多くの血を流して勝ち取りました。しかし日本人は太平洋戦争に負けて戦勝国であるアメリカからある日突然に与えられた自由なので自由の本当の意味が分からなくなっている気がしてならないのです」
「神尾さん!神尾さんが提起する事は面白くて奥が深い事が実に多い!それを一つずつ討論の議題にしたい事ばかりだけど話を少しもどそう。」
- いじめ崩し(いじめは私が無くす・心理療法士神尾の挑戦) ( No.18 )
- 日時: 2014/05/29 01:15
- 名前: おきた達也 (ID: NCbhQBaO)
中野の話に一区切りつけ小田原が中野の隣のNPO法人「愛がイジメを無くす」代表の江田すみ子を指名した。江田が待ってましたとばかりに話し出した。
「私が考えるのは、イジメを無くし自殺を無くすのはやはり何と言っても「愛」しかないと思っています。命の尊さをよく理解させて貴方たちは人を憎んだりイジメたりする為に生まれて来たんじゃなくて愛されたり愛したりする為に生まれて来たんだ・・という事を自覚させるようにしなければ決してイジメは無くならないけれど、それを理解させたら絶対にイジメは無くなると思っています。・・テレビドラマなどに出てくる不良少年の話が一番わかりやすいですが、その人がどんなにやさぐれていようが、どんなに極悪非道なことをしていようが、その一番奥にあるのは『本当は愛して欲しかった」という気持ちです。
「愛してほしい」というのは何も恋愛や親子の愛情のことだけではありません。
人は自分が期待していた通りにならない時、ガッカリして自分は天から愛されていないと思います。
そして、この『自分は愛されていない』という思いこそが、全てのボタンの掛け違いの始まりなのです。ついつい他人に辛く当たってしまったり、逆に他人から辛く当たられたりするのもその奥には、愛情に飢えている苦しさと、「助けて!」という声が存在しています。
まずは、自分の中の「助けて!」の声を見つけて、よ〜く耳を傾けてあげるところから始めましょう。そうするとだんだん心も落ち着いてきます・・・・その様に「愛」という心は・・・」
江田がそこまで話した時、スタジオに大きなブザーの音が鳴り響いた。見ると電光掲示板の数字が32を示し見ている間にさらに24まで下がった。よって江田の話は強制的に打ち切られた。
「ブザーが鳴ってしまったんですが、何で一般の視聴者が江田さんの話を聞くに値しないと判断したんだろうか?僕は、みんなイジメを無くしたいという気持ちの根っこは同じだけれど理想論という枝と現実論のという枝の違いがあり今は現実論を討論するのを聞きたいという事ではないかと考えているんだけれど間違っているだろうか?確かに理想にはこだわらなければならないと思う・・思うけれど、この場では聞くに値しないと視聴者が判断したのは理想論に固執し過ぎると本当に役に立たない机上の空論になってしまうという事を今までの議論で分かってきたからではないだろうか?
また冒頭から議論の中心になっている「イジメ」という言葉は、ちょっとしたイタズラの度が過ぎたモノ・・みたいなニュアンスに聞こえるふしがあるんだけれど、今行われているイジメはそんな生易しいモノじゃない気がする。
僕はそれをイジメと呼ぶのを止めたほうがいいと思う。
カツアゲは恐喝
暴力は暴行障害
ネットでの誹謗中傷も今は犯罪になる。
全て今の行き過ぎたイジメ行為は犯罪以外の何物でもない。
イジメを無くすのではなくて、学校から犯罪行為を無くそうと考えるべきじゃないかと思うんだが・・如何なもんだろう?」
その問いに民自党の江戸川衆議院議員がこの時とばかり指名を待たずに話し出す。
「全く小田原さんの言われる通りだと思いますね!イジメという言葉には何か「子供の悪ふざけ」的なニュアンスが漂っていてたくさんの自殺者を出すような深刻な問題ではあるけれど犯罪ではない・・という扱いをされるケースが少なくない気がするんですが、それは大きな間違いでイジメは犯罪そのものでだと思います。学校という聖域とでも言うべき治外法権的な領域で起こりやすいものなので、どうしても対処が遅れるんですね・・・そしてその結果自殺と言う悲劇が起こると親は学校や担任の責任だと言い、学校はイジメは無かったと隠蔽を図る・・そしてとうとうイジメの存在が隠蔽できなくなると原因は家庭にあったと開き直る・・・人が一人死んでいるんですから警察もすぐに捜査しなければならないはずなのに学校にはなかなか思い切った捜査が出来ないのが現状です。」
「だったらどうしたらいい?」
「学校聖域伝説は間違いだと認識して警察介入に対してもっとハードルを下げるべきだと思います。いやそれより学校と警察がもっと連絡を密にとり連携する位の改革が必要だと思います」
「それは暴言だ!教育の場に警察権力を導入するなんて言語道断だ!」
江戸川議員の発言に葛飾議員が噛みついた。