社会問題小説・評論板
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 僕の物語
- 日時: 2013/01/30 20:32
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY (ID: WR6BJnUH)
初めまして。
ここで小説を書かせていただくのは初めてです。
至らない点もあると思いますがよろしくお願いします。
感想をもらったら滅茶苦茶嬉しいのでできれば感想をよろしくお願いします・・・。
批評でもいいです。
- Re: 僕の物語 ( No.5 )
- 日時: 2013/02/01 23:58
- 名前: タクヤ (ID: tHinR.B0)
めちゃくちゃ面白いです!!
ここからの展開が非常に気になります。
更新楽しみに待ってます!!
- Re: 僕の物語 ( No.6 )
- 日時: 2013/02/02 17:35
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY (ID: WR6BJnUH)
タクヤさん、ご感想ありがとうございます。
滅茶苦茶嬉しいです!
これからもタクヤさんの感想を励みにして頑張ります。
- Re: 僕の物語—第2章— ( No.7 )
- 日時: 2013/02/02 18:17
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY (ID: WR6BJnUH)
7月、学校に何本も植えてあるクヌギの木からは、何匹もの蝉の鳴き声が聞こえ、学校中にこだましているようだった。加えて、この暑さ。
クラスの全員が、眉を寄せている。
僕らの担任の眉をいつも寄せてイライラしている上野先生も、いつも以上に眉を寄せ、イライラしている。
皆もそれが分かっているのか、「あつーい」や「だるーい」などの声を出さないよう気を付けている。
もしそのようなことを言うようであれば、すぐに上野先生が椅子から立たせて、粘っこい嫌味を言ってくるのだ。
「…じゃあこの問題を、桜井。解きなさい」
「はい」
始まった。
上野先生はいつもイライラしていてそれが発散できないと、桜木健太に難しい問題を解くように言うのだ。
それは、健常者である僕たちでさえ難しく、いつも精一杯授業についてきている桜井では解けないような問題だ。
クラスの皆も、全員そのことが分かっているので、男子は小声でケラケラ笑い、女子は苦笑いしつつも、どこか楽しんでいる。
これも、いつも上野先生が桜井健太を指す理由だ。皆が桜井を笑うことで、自分がさも皆を笑わしたような優越感を得るのだ。
僕はこの上野先生が嫌いだった。
上野先生が桜井を指してから5分ほど経過した、桜井はずっと黒板とにらめっこをしている。時々「うーん…」といった声も聞こえた。
「あー、もういい桜井。自分の席に帰りなさい!」
上野先生が怒鳴り声を上げた。
「はい」
桜井は少しビクビクしながら自分の席に戻った。
「まったく、こんな簡単な問題もできないなんて…。君はちゃんと授業を聞いているのか?」
嘘だ。僕も、一応考えてみたけど、半分までしかわからなかった。それはもしかしたら、僕の頭の所為なのかもしれないが。
「すみません…」
桜井は、本当に申し訳なさそうに謝る。しかしそれをやると、サディストな上野先生は、また優越感に浸るのだ。
早くこんな授業終わればいいと思った直後、チャイムが鳴った。
「さっきの上野、超怖かったなー。滅茶苦茶イライラしてたもんな」
休み時間になり、上野先生が教室から出て言った途端、片瀬は僕に近づいてきてそう言った。
「そうだね。僕も嫌味を言われるんじゃないかって冷や冷やしたよ」
「ああ、俺もだ」
これは、本当の事だった。クラスの皆の前で立たされて、嫌味を言われるというのは凄く恥ずかしい事だ。ましてや、好きな女の子のいる前では。
「だけどさ」
片瀬はいつも、確信めいたことを言おうとするとに人差し指を立てながら喋る。それが格好いいと思っているのだ。だけど、正直僕にはそうは思えなかった。
「あいつ、桜井も馬鹿だよな。あんな問題も解けないだなんて」
「え?」
こいつ…いや、片瀬は何を言っているのだろうか?
「え?って何だよ」
「いや、片瀬はあの問題が解けたのかと思ってさ。僕は、半分までしかわからなかった」
「いや、まぁ俺も半分までだったけどさ…。普通は、少しは解けるもんだろう?だけど桜井は、少しもチョークを黒板に付けなかったんだぜ?馬鹿だよな」
何故だろうか?
何故、桜井にそこまで求めるのだろうか。
例え桜井が少し黒板にチョークを付けたところで、君に何か利益はあるのかい?
そう、問いただしたくなった。
だが、桜井が少し黒板にチョークを付けても、今度は「桜井の奴、半分も解けてなかったぜ?馬鹿だよな」と言うのだろう。
「うん」
こんなことを思っても、絶対に口にしてはいけない。
言ってしまったら最後。なにもかもがバレてしまう。それだけは嫌だ。
だからまた僕は言った。
「そうかもしれないね」
「だろー?」
片瀬が首を頷かせながら言った。
僕は今日、たった今、片瀬が嫌いになってしまった。
- Re: 僕の物語—第2章— ( No.8 )
- 日時: 2013/02/04 19:20
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY (ID: WR6BJnUH)
その日の5時、僕は家に帰りついた。
学校は3時半くらいに終わったのだが、それから寄り道して遊ぶのが「いつも」の僕らだ。
「ただいま」
「ハーイ、こうちゃんおかえり」
母だ。
母は僕が赤ん坊のころから僕をこうちゃんと呼んでいる。正直、もう恥ずかしいので止めてほしいのだが、一向に言い出せずにいた。
「何かおやつある?お腹へったんだけど」
「うーん、ポテトチップスならあるよ。食べる?」
「うん」
「あ、香織ちゃんにも聞いてみて。食べるかどうか」
いやだ。と言えたら楽だったが、僕はできれば両親に姉をどう思っているか知られたくなかった。
僕は形だけ快く返事をして、『あの人』のいる部屋へ向かった。
コンコン、とノックをする。
部屋の中から「いいよ」と返事が返ってきた。
「…お母さんが、ポテトチップス食べる?だって」
ポテトチップスの袋を見せながらそう言った。
この時僕は、「食べる」と言ってほしくなかった。
「食べる」と言われてしまっては、また『この人』と会話しなければいけない。また『この人』と顔を合わせなければいけない。
(いらないって言え。いらないって言え。いらないって言え!)
それを感じ取ったのか知らないが姉は「いらないや」と言った。
僕は「わかった」と返事もせずに、ガチャッ、とドアを閉めた。
- Re: 僕の物語 ( No.9 )
- 日時: 2013/02/04 19:48
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY (ID: WR6BJnUH)
7月23日、午前9時01分。
校長先生の、聞いても聞かなくてもいいような話を聞かされながら、僕らは立っていた。
今日は終業式であった。明日から夏休み、ということで先生方からの注意を耳にタコができるまで聞かされた。
「…じゃあ、これで夏休みの注意事項は終わりだ。皆、ちゃんとこれを守るんだぞ」
その注意事項を聞くのも三回目である。
「それでは、日直、終わりのあいさつを」
僕らの学校では、SHR(ショートホームルーム)が終わると日直が終わりのあいさつをするシステムだった。他の学校ではどうするかしらないが、これが僕らの常識であった。
「きりーつ、しせい、れー」
「「「「さようならー」」」」
明日から夏休みと言うせいもあってか、皆の声も一段と大きくなり、教室中に反響していた。もちろん、僕も声を大きくした一人である。
終わりのあいさつが終わり(変な言い方だが)、僕の机の周りには人だかりができた。自分で言うのもなんだが、僕は結構クラスの中心人物であった。
「孝太、今日家帰って昼飯食ったら、甲陽公園で遊ぼうぜ」
「皆で、サッカーするんだ」
甲陽公園と言うのは、僕らの住んでいる町のほぼ中心にある大きな公園である。そこには遊具のほかに、テニスコートやサッカーゴール、ちょっとした野球ができるスペースもあった。
「いいね、行こう!」
快く返事をした僕。
すると後ろから声をかけられた。
「おい、高橋。ちょっといいか?」
上野先生だ。
僕は少しギョッとした目で振り返った。
友達からも「おい、上野だぜ」「孝太、大丈夫か?」と小声で言われる。
「たぶん大丈夫だよ」
そういった僕は、上野先生の方へ向かっていった。
「…なんですか?」
「なーに、そう怯えるな。君に頼みたいことがあるんだ」
「え?」
「今日、桜井が休んだだろう?」
そうだ、今日桜井健太は、風邪をひいて休んでいた。
「夏風邪は馬鹿が引くんだよな」と片瀬が笑いながら言ってたのも覚えている。
「ああ、そうですね」
「でな、お前の家から桜井の家から近いだろう?」
「そ、そうなんですか?」
「あ?あーうん。そうなんだ。そうか、知らなかったか…。あの、平田マンションのすぐ近くにあるんだが」
本当に、近くに住んでいた。
今まで、まったく桜井の家がどこか知らなかった。
小学校4年生のころも、桜井の家まではさすがに調べなかった。
「…ああ、はい。平田マンションなら知ってます」
「そうか。…このプリントを桜井の家まで届けてほしいんだがいいか?」
嫌です。と言えたら楽だったが、そうとも言えなかった。
嫌いな上野先生の頼みごとでも、一応聞いといたほうが、折り合いがよくなる。自分で言うのもなんだが僕は結構、先生方から信用されていた。
その後、友達に桜井の家までプリントを届けるから、もしかしたら甲陽公園に付くのが遅れるかも。と言ったら、
「えーマジかよー!」
「ドンマイ、孝太。よりにもよって桜井か…」
励ましの言葉をもらった。

