社会問題小説・評論板
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- 校内格差、【更新中】
- 日時: 2013/04/07 19:10
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: jwtW4gOO)
( 堕ちないため、生き残るため、今日も私は嘘を吐く )
村雨と申します(・ω・)
今作品では、いじめというよりは校内格差について書いていくつもりです。
コメントやアドバイスを貰えると喜びます((
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- Re: 校内格差、【更新中】 ( No.26 )
- 日時: 2013/04/02 09:11
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: jwtW4gOO)
ー
私の体は、まるで重力が一気に倍になったかのように重かった。
学校から帰ると真っ先に自室に向かった。鞄をそこら辺に放り投げ、ベッドに頭からダイブする。
驚いた。瀬名にあんなことを言われるとは。しかも皆がいる所で。
礼奈とメグは、私が小学校のとき暗い人間だったことを知ったからといって、今後の友人関係に何か影響が出てくるとは考えにくい。きっと「ふーん、そうなんだ」程度のことなのだろう。……でもやっぱり、知られたくはなかった。
それに、更に気がかりなのは有明と秋風だ。彼らなら友人との会話の中で、何気なく今日瀬名が言ったことを話してしまう可能性はある。そうしてより多くの人に知られてしまうことを考えると、ぞっとした。
小学校が一緒だった子と中学校でまた同じクラスになってその子と話すということは、今までにもあった。
そのときに「そういえば浜島小で一緒だったよね?」などと確認をすることはあったが、小学校のときの私について切り込んで話をしてくる人は、誰もいなかった。
面と向かって言われたのは、今日が初めてだ。
瀬名の奴。授業中寝ていることを除けば、少し口数が少ないだけの人だと思っていたのに。
要注意人物だ要注意人物。出来るだけ関わらないようにしよう。
席替えをしてからの日数を計算してみる。……まだ三日。一ヶ月後はまだまだ先だ。明日も明後日も、あの人の隣なのか。いっそ、有明の隣の方がマシかもしれない。
不意に、一人教室で本を読んでいる感覚に陥る。
大半の人は外に遊びに行ってしまった後で、残っている人は残っている人で集まって、楽しそうに喋っている。
賑やかな笑い声がすごく遠くから聞こえてくる感じ。私は一人、取り残されたみたいで。
実際、読書は好きだった。「本が友達」という言葉も、確かに言われてみれば当たっていると思う。
いや、でも! ちゃんと人間の友達もいた。数は大分少ないけど。
──────あ、そうだ。明日は英語の授業がある。予習しないと。
ベッドから起き上がり、私は机に向かった。
- Re: 校内格差、【更新中】 ( No.27 )
- 日時: 2013/04/02 09:08
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: jwtW4gOO)
今日の一時間目は美術だった。朝のホームルームが終わると、皆次々に美術教室に向かう。教室の扉に目を向けると、一人で教室を出て行く加藤の姿が目に入って、私は思わず目をそらしてしまった。
「紗綾、行こっ」
「うん」
後ろの席の礼奈に声を掛けられ、私は急いで机の中から教科書を引っ張り出す。礼奈やメグたちと会話をしつつ、廊下に広がって歩く。私の左隣に礼奈とメグ。それから後ろに万里子と千種。万里子も千種も今年初めて同じクラスになった子で、今はよく一緒に行動したりする友人。二人とも明るくて面白い子だ。それから────あれ、いない。
「凌香は?」
「あれー」
「本当だ」
振り返ってみると、ちょうど急いで教室から出てくる凌香の姿が。「あ、来た」
置いて行っちゃうよー早くー、と私は笑顔で声を掛ける。
飯田凌香(いいだ しのか)。大人しくておっとりした性格で、明るくよく喋る子が多い私のグループでは、一際それが目立つ。皆で喋っていても自分から積極的に話を展開することは少なく、大抵は聞き役に回っている。そんな子。
「今週の土曜さー、皆でカラオケ行こうよ!」
特別棟へと続く渡り廊下に出た所で、思いついたように礼奈が提案した。
「うんっ、行く行くー」
私は真っ先に賛同し、メグや万里子や千種もわっと盛り上がる。凌香はいつもの調子で、にこにこしている。……よし、皆いつも通りだ。
美術の時間、今日は前の時間に書いた下書きに沿って水性絵の具で色を塗る。多くの人が隣近所の人と雑談をしつつ作業を進める一方で、私は真面目に、誰とも喋らずに作業をしていく。私の席の周りは男子ばかりで、特に誰と話すこともない。
ふと廊下側の席を見ると、礼奈やメグたちが楽しそうに雑談しているのが目に入った。
三つほど前の席では、有明が作業を完全放棄して友人たちと談笑している。昨日瀬名が言ったことは、今の彼の頭の中に果たして残っているのだろうか。──多分、もう忘れているだろう。というか、忘れていてほしい。忘れろ忘れろ、と無駄は承知で有明に念力を送る。同様に、後ろの方の席で雑談、というよりは騒いでいる秋風にも念力を送った。
それが終わると、私は気を取り直して作業を再開する。自分の絵心のなさには正直諦めがついている。が、それでも絵の具を微妙な加減で混合して、それで真っ白だった画用紙に少しずつ色をつけていく、という作業は楽しいものだった。
一旦筆を置いたとき、ふと思った。私は一人の時間も案外好きなのかもしれない。
- Re: 校内格差、【更新中】 ( No.28 )
- 日時: 2013/04/07 19:09
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: jwtW4gOO)
-
うちの学校では、必ずしも部活に入らなくてはいけない、というわけではない。しかし実際、九割以上は何らかの部活に所属しているため、部活に入っているのは当たり前だという認識がある。帰宅部といえば、むしろ少数派だ。
それから部活をやっている人の間では、比較的運動部の方が明るくて異性にもモテる、そんな感じ。男子は恐らく、ほぼ全員が運動部に所属しているのだと思う。
一方文化部というと、大人しい人が所属しているイメージ。悪く言えば、暗いということだけど。
私が所属している吹奏楽部は文化部だけれども、練習のハードさは運動部にも負けていないのではないか、と思う。うちの学校の吹奏楽部は顧問の先生が怖いと有名な斉藤先生で、毎日の練習も下校時間ぎりぎりまで続く。
そういったこともあってかうちの学校では、吹奏楽部は運動部と文化部の中間に位置している、という認識が広がっている。
帰りのホームルームが終わると、私は音楽室に楽器を取りに行く。
今日は自主練といって、各自空いている教室などで練習をする日だ。先生がずっといるわけではないから、楽で良い。
「紗綾っ」
後ろから肩を叩かれて振り返ると、凌香が立っていた。
彼女は私と同じく吹奏楽部で、自主練の日は第二音楽室でいつも一緒に練習している。
凌香と一緒に特別棟三階にある第二音楽室へと向かう。
廊下でお喋りに興じている人たちの間を通り過ぎ、第二音楽室に着く。まだ誰も来ていないみたいだった。中に入り、電気を点ける。
適当に椅子を引っ張り出してきて、楽器の準備をする。私はホルンで、凌香がフルート。収納ケースを開けると、金色に輝くホルンが現れた。傷を付けないよう、慎重に取り出す。
ふと、私の近くで楽器の準備をしている凌香に目を向けた。
彼女は、私の数少ない小学校からの友人だ。小学校四年のときに初めて同じクラスになった。休み時間に私が一人で本を読んでいたら、凌香の方から話しかけてきたのが最初。
「玉城さん、何読んでるの?」
私は初めて凌香と話したときのことをよく覚えている。
それまでにも一人で読書をしているとき、クラスの女の子たちに話しかけられることは何度かあった。でも彼女たちは、裏で私のことを見下して笑っているような気がして、正直あまり好きにはなれなかった。
いつも集団で固まって、中身のない会話をして騒いでいる。そんな印象だった。私は心の中で彼女たちを軽蔑していたのだと思う。まあ、今の私はまさしく彼女たちと同じなのだけれど。
────凌香は、違っていた。
私に話しかけたのも興味本位などではなく、純粋に仲良くなろうとしてのことだったのだと思う。
そのとき凌香は私と同じく、クラスの中で特定の友人もあまりいないようだったし、私も彼女が自分と同じ雰囲気を持っていることを感じていた。
そうした親近感からか、私と凌香が心の距離を縮めるのに、大して時間はかからなかった。
- Re: 校内格差、【更新中】 ( No.29 )
- 日時: 2013/04/08 11:23
- 名前: 歌寔 (ID: DLYJwhjR)
わああ!
凌香が沢山出てきているみたいで嬉しいです^^
因みに言っておきますが、凌香はあまり外見が綺麗な方ではないと思われます。
それも踏まえて宜しくです((
- Re: 校内格差、【更新中】 ( No.30 )
- 日時: 2013/04/09 17:07
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: jwtW4gOO)
>>歌寔さま
そうなんですか!
了解致しましたー(・ω・)