社会問題小説・評論板
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- The vengeful plan to her
- 日時: 2013/07/23 21:58
- 名前: suzuka ◆3p2qsnXqkQ (ID: 8wzITB29)
お久しぶりです。もしくははじめまして。
suzukaと申します。
いつも途中で断念してばかりですが、今度こそ頑張って完結しよう。と思い、新しい小説をつくりました。コメントとかもらえたらすごいやる気でます。きつめのアドバイスなども勿論OKです。(というか、すごい勉強になります。嬉しいです)駄作ですが、よろしくおねがいします。
・荒らしなどの迷惑行為は禁止です。
・文才等はございません。
・更新おそいです。(でも、書く時はいっきに何話も更新します)
・suzukaが嫌いな方は読むのをおすすめしません。
・何か問題点がありましたらご指摘よろしくおねがいします。
プロローグ >>1
キャラクター >>2
第0話 >>3
第1話 >>4
第2話 >>5
第3話 >>6
第4話 >>7
第5話 >>8
- Re: The vengeful plan to her ( No.4 )
- 日時: 2013/07/15 02:18
- 名前: suzuka ◆3p2qsnXqkQ (ID: 8wzITB29)
ついたり消えたりする蛍光灯が、雨でじめじめする教室で目障りなほど自己主張していた。その蛍光灯の光で、机に私の陰ができたり、消えたり。その机には『死ね』『きえろ』とありきたりないじめに使われる単語が無数に書かれていた。見るだけで吐き気がするような、気持ち悪い言葉を、何時間かけたのか知らないが私の机に隅から隅まで。中学二年生にもなって、まったく理解できない。人を傷つけるという行為に、これまでの時間と労力を費やすだなんて。
「ルイちゃん。どうかしたの? もしかして泣いちゃってる?」
ミカが楽しそうに声を弾ませてそう問いかけた。私は手をぎゅっとにぎると、息を吐き出してから手の力を抜いた。蛍光灯が私の顔をてらす。濁った空気が胸に詰まる。背後に感じるユウカとレナの目線にも気がついてはいるが、気がつかないふりをした。私はただ耐えた。
今日、この日。私へのいじめが始まった。ユウカとレナに酷い言葉を告げたのもこの日。すべてはいじめがきっかけで。いじめが私の世界を壊した。
朝の机の一件が終わると、私は移ろった目でその後の授業をうけていた。大きな先生の声も。耳に残る背後の笑い声も。不安な顔でちらちらと私を見てくるユウカも。どこか遠い世界の事のようで。いじめが理解できないわけではない。受け入れられない、理解したくない。嘘であってほしい。ただそう願った。
この後どうしたらいいのか。ユウカとレナだけは、何があっても巻き込みたくない。机の落書きを消しても、何も消えてなくて。胸に刺さった針が深く刺さっていき、私を苦しめて。こんな思いは絶対にさせない。
「この問題がわかる人……」
笑い声が少し大きくなったかと思うと、先生の視線が私の背後。つまりは、ミカへと向かった。振り返ると、ミカは満面の笑みで手を真っすぐ上に上げていた。ミカは一瞬、私に冷たい視線をむけてから、先生の方へ再び笑みを見せた。
「先生! ルイちゃんがわかるそうです」
私が答えられずに、クラスの笑い者にされたのは、もうわかりきっていた。
- Re: The vengeful plan to her ( No.5 )
- 日時: 2013/07/15 02:24
- 名前: suzuka ◆3p2qsnXqkQ (ID: 8wzITB29)
突き刺すような大雨がグラウンドに大きな水たまりをつくっていた。大きな灰色の雲は空一面に広がり、太陽をどこかへ隠してしまっている。薄暗い教室に、朝と同じように蛍光灯がついたり消えたり。気分が重くなるような空間だった。
学校内にはもうほとんど生徒はいない。数分前に『警報が解除されたので生徒は至急下校してください』という放送が流れたからだ。警報が出たら学校で待機、解除されたら至急下校というのが主な学校の方針だが、今でもかなりの大雨な訳で。生徒たちはぬれながらも帰っていった。
私とユウカとレナも、急いで帰る支度をしているところだった。ついさっきまで私の机の落書きを消していたのだ。一人で消そうとすると、ユウカが無言で手伝い、レナも私の頭を軽くたたいてから手伝ってくれた。嬉しさで涙がこぼれそうだった。耳があつくなる感じがした。それと同時に、巻き込んではいけない。という考えもよぎった。
「あっ! 傘持ってない……」
ユウカがそうつぶやくと、レナは「私も」と言って窓の外を見た。雨は酷くなる一方で、止んでくれそうにもない。
私は鞄の中に折り畳み傘がはいっている事に気がつくと、息を飲み込んだ。折り畳み傘だと、ギリギリ二人はいれるかどうかだ。どうせ一人ぬれてしまう。
それなら、今話を切り出すべきだ。きっと、神様が今言え、と言っているんだ、と勝手な思い込みで、私は大切な友達を傷つけた。
たとえそれがその人のためでも、罪は罪でしかない。
「ユウカ……なんで私の机の落書きを消すの……手伝ったの?」
ユウカは少しだけ驚いた顔をした。その後、すごく優しい笑顔で私に言った。
「だって、ルイが大好きだから……友達だから!」
その笑顔が本物だという事も、言葉に嘘が一つも含まれていないという事も知っていた。透き通ったきれいな瞳で、真っすぐに私を見るユウカも、ユウカらしいな、というふうに笑うレナも。私の事を、心から友達だと思ってくれている事も知っていた。だから。
「友達……? ふざけないでよ、偽善者が。それならなんで、今日……私がいじめられている時に助けてくれなかったの? 本当は私を見下してるんじゃないの? 友達だなんて、よく言うね」
ユウカの顔が真っ青になるのが見えた。レナが大きく目を見開いて、今にも泣きそうになっているのがわかった。自分の顔が悲しみで歪みそうなのもわかった。
私は出来る限り無表情を装い、冷たい目で二人を見た。乾いた声で、二人を傷つけた。
「友達のふりはもうやらなくていいよ。私ももう止めるから。……最初から二人とも嫌いだったの。ユウカは“いい人”を演じきって。レナはかっこいい自分を演出して。見てて目障りだった」
私がそこまで言うと、ユウカは力いっぱい私を抱きしめた。予想外の行動で、涙があふれそうになった。あたたかくて、優しい。
泣きながら震える声でユウカは言った。その声は途切れ途切れで、聞き取りにくくて。でも、その言葉たちは私の心へと突き刺さった。
「レナはね……かっこいいんだよ。演技とかじゃなくて、本当なの。…………ルイだって、かっこよくて……優しいんだよ。こんな卑怯な事されても屈しないの。……だから嫌いだったなんて嘘なの。きっと、なにか理由があるんでしょ? ……ルイは優しいから……理由があって、嫌いだなんて嘘ついたんでしょ……?」
————ユウカには嘘なんてつけないな
「ルイ、ごめんね。いじめを止めれなくて……でも、ユウカは悪くないんだよ! 私がユウカを止めたの。……でも、明日は絶対に私がいじめなんて止めさせてみせるから。ルイも、ユウカも……私が守るから!」
————レナは本当にいつも私やユウカを守ってくれる。
「嘘な訳ないでしょう? 私は二人が嫌いなの。……守るとか、できもしない事を……。言うだけなら簡単ね」
私はユウカを突き放した。ユウカが悲しそうな顔で私を見る。私は重く淀んだ空気を吐き出した。
「さようなら」
ユウカは涙を流して教室を出て行ってしまった。ユウカは本当に悲しそうな顔をしていて、私は結局泣いてしまった。それをみたレナは今にも泣きそうな顔で私に問いかけた。
「どうして……あんな事」
「巻き込みたくないの……大切な友達だから」
「でも……」
「レナ、あなたは私よりもユウカを大切と思っているでしょう? ……責めているわけじゃないよ。それでいいと思う。だって、私も一緒だもん」
レナは驚いたような顔をしてから、小さくうなずいた。
「私がは強がりで、なかなか友達が出来なかったの。……でも、ユウカがそんな私に声をかけてくれた……。私を救ってくれた。大切な人」
私はその言葉を聞いてから、胸に何かが刺さったような痛みを押さえつけるようにブラウスの胸の辺りを強くつかんだ。
涙を必死にこらえ、再びレナの方向へ視線を送ると、カバンの中から折り畳み傘を出した。
「まだ間に合うから。ユウカを追いかけて……。おねがい、きっと傷ついてるから…………レナが必要だから」
私は折り畳み傘をレナへと差し出すと、窓の外を見た。さっきよりも激しい横殴りの雨が窓をたたく。ガタガタと音をたてる窓に手をそえるととても冷たかった。
「ルイ、私は納得してないよ。……きっと他に方法があるはずだから。ルイの回答は誤答でしかない……結局、ユウカを傷つけたんだから」
悲しそうなレナの声に、私は目をそらした。
- Re: The vengeful plan to her ( No.6 )
- 日時: 2013/07/20 15:16
- 名前: suzuka ◆3p2qsnXqkQ (ID: 8wzITB29)
いじめが始まってから何日が経っただろうか。机や教科書など、私の私物を隠されたり、落書きされたり。陰口、言葉の暴力。得体の知れない水をかけられ、体操服を泥まみれにされたり。ミカは何十ものいじめのパターンで私への攻撃を続けた。最初からわかっていたことだが、それが止まる事はまずない。止めるためには、私がこの学校からいなくなるか、もしくは誰か他の人がいじめられるという二択だけ。いじめがなくなる事はあり得ない。
私は誰にも助けを求めなかったし、手を差し伸べてくれたユウカを裏切った。誰かを犠牲にしてまでいじめという無意味な遊びから抜ける気はない。確かに辛い、苦しい。しかし、誰かを犠牲にする事で、もしもユウカやレナまでもが犠牲になったら。
それをさけるためにユウカを傷つけたんだ。その行動を無意味にしてはいけない。
「ルイちゃん。その制服おしゃれだね〜」
「あはは! 本当だ!」
「よくにあってるよ」
たとえ夏服のブラウスに落書きされようと。泣き叫びたいほどに辛かろうと。二人がいじめられる光景を目の前に無力で卑怯な自分を憎むよりは、まだ耐える事が出来た。
—————————— —————————— ——————————
生徒が密集している体育館の温度は、教室の温度と比べるまでもなく、尋常ではない暑さだった。体中から汗が噴き出し、ブラウスが体にひっついて気持ち悪い。お茶を飲んでくれば良かった。と後悔しながら、額の汗を拭う。
一学期最後の学校、夏休みのはじまり。去年のようにユウカとレナと一緒に夏を過ごす事が出来るかはわからないが、少なくともあの地獄のような日々からは一時的ではあるが抜けられるのだ。
私は校長先生の話を半分聞き流しながら、ぼんやりとユウカとレナを見ていた。真面目に校長先生の話を聞くユウカに対して、レナは眠そうに目をこすり、うつむいている。今にも寝てしまいそうだった。
————二人らしいな……。
うるさいセミの声が体育館に響き、私の意識を遠くしていった。
- Re: The vengeful plan to her ( No.7 )
- 日時: 2013/07/20 15:33
- 名前: suzuka ◆3p2qsnXqkQ (ID: 8wzITB29)
目を開けると、そこにはミカがいた。ミカはつまらなさそうに不機嫌な顔をこちらに向けている。体中に嫌な汗がにじんだ。
「あ、目が覚めた?」
優しい声でミカがそう言った。しかし、目は鋭い目つきで、睨むように私を見ていた。
現状を把握できなかった。今までに聞いた事のないほどのミカの優しい声に、今までに見た事のないほどのミカの怖い表情。頭が混乱していた。覚えているのは、体育館で私が倒れた事だけだった。先生たちの声が少しずつ遠くなっていくのを何となくではあるが覚えていた。
私が必死に記憶を探っていると、ミカが手を差し、再び優しい声で話しだした。
「ごめんなさい、反省してるの……あなたをいじめた事。もうあんな事しない、約束する。だから仲直り……しましょう?」
その言葉とは裏腹に、ミカは私を見下すような目で見ていた。差し出された手もどこか上からで、ユウカたちとは振る舞い方がまるで違った。
私が不思議そうな顔をしていると、ミカの背後のカーテンが少しゆれた。よく見てみると、そこには担任がいるようで、私はようやく現状を把握した。
「いいよ……ミカちゃん」
私はその手を握って微笑んだ。
————本気で謝罪もしない人間を、誰が許すって言うの?
- Re: The vengeful plan to her ( No.8 )
- 日時: 2013/07/23 21:57
- 名前: suzuka ◆3p2qsnXqkQ (ID: 8wzITB29)
「もうルイいじめは出来ないね、残念」
廊下に二人の足音が鳴り響く。もう他の生徒は帰ってしまったようで、どの教室も電気が消されている。
少し悲しそうにそう言ったミカは私の斜め前を有意義に歩いている。
「……まだ、続けるつもり?」
「当たり前でしょ? あんなに面白い暇つぶしはないもの」
冷たい口調で淡々と話しているミカの後ろ姿は、怖かった。
「次は……誰にするつもり?」
私の問いかけに、ミカは少し悩んでいるようだった。しかし、数秒がたった後「あっ!」と楽しそうな声と同時にクルッとこちらをむいて答えた。
「ユウカにしましょう!」
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