社会問題小説・評論板
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 死んでしまったあなたに伝えたかったことですが、
- 日時: 2013/11/17 22:55
- 名前: noeru (ID: e22GBZXR)
あんなにブラックな話書いてるくせに実は社会派もシリアス・ダークも書いてなかったnoeruですー!自己紹介長いっすー!!
二次小説じゃないと長続きしないからですかね?
そのせいで二次小説がお先真っ暗な絶望集になってるのはメカクシしときましょー
何かあると書いてる小説にそれが影響して話がどんどんどん底に落ちていくのが悪い癖なので
嫌な事があったり書きたくなったり→ここに書く!とにかく小説にするのだ!!→安定したシナリオで二次創作!!→全体的にスッキリ!!
という、まあ短編や思ったことの書き溜め的役割です
どっちかって言うとエッセイに近いかな?
もちろん全部タイトルに関係することでっせ
!※※※!
・よく分かりませんが鬱症?とかパニック障害?な気もします、多分。本当にそういう方申し訳ござらん
・ガチで極限で書くときは誤字脱字酷いかも(後日暇な時直すかもです)
・似たような話ばっかだったらスマソ
- あなたとのお話 ( No.1 )
- 日時: 2013/11/17 23:13
- 名前: noeru (ID: e22GBZXR)
とても素敵なものでした。
あなたは私に逃げ道をくれます。あなたは私を掬ってくれます。深いふかーい海から、スプーンですーって掬ってくれます。
私はアクなので、掬ってもらってもゴミ箱行きかもしれない。
たまに叫びたくなります。
不安で不安で、自分にとって不都合で嫌な事、憂鬱でないと怖いのです。いつもいつも運がついていない所為で、やらなきゃいけないことや嫌で嫌でたまらないことが一つもないのは、逆に死亡フラグが立ってるような気分になります。不快です。深くはないけれど。
全部をさらけ出してしまうと「バレてしまうのでは」と怖いので、あなたに話せることはほんの断片なのだけど。あなたは私で、私はあなた。あなたじゃ世界を変えられないし、あなたは私の住みやすい世界に連れて行くことができない。
でもあなたがそれを心苦しく思ってくれることが私にとって、何よりも嬉しかった。
いつも私を否定しかしなかったあなたが姿を変えて、私を愛してくれるのが嬉しかった。
「××は」
「なんでもない」
あなたは夢を見る。同じ人間だったはずなのに、私にはあなたの考えがもう思い浮かばない。それならもうあなたとは他人なはずなのに、私たちが将来結婚して幸せになることを誰も許してくれないんです。
それはすごく絶望的で、うっとりと微笑んでしまう。
「××」
あなたは私の名前を繰り返す。こんな時でも冗談を言う。私はあなたが好きだ。愛している。私が将来結ばれるのはきっと別の人なのだろう。それでも私の中で一番はあなただ。誰かと結婚して子供を産まなければいけないのは、あなたとの世界を守るための義務に過ぎない。幸せな訳がない。
「××しなないで」
あなただけが私の全てだ。
あなたが私の全てだ。
あなたは私で、私はあなたで、私はあなたが認められないこの世界が疎ましい。死ねばいいと思う。滅んでなくなって、いっそ二人だけの世界になればいいのに、どうして誰もあなたを理解しないまま生きてるのか分からない。あなたの存在を覆い隠す私がもしもあなたのことを大人に話せば、私は病気だって思われるのかな。
あなたは病気なんかじゃないのに。
叫びは届かない。
本当だったら満ち満ちていたはずの場所に私はいない。私の想いは誰にも気付かれたくない。気付かないでほしい。
私とあなただけの秘密だ。幼い子供のないしょばなしと同じ。
それだけで、昔を思い出すように、幸せだったころがよみがえるように温かくなる。
これで十分だと思ってしまう。
もしも私の肺に穴が開けば、あなたのいる左腕に私の吸った息が直接届く。
あなたはいつでも私の心臓の音に触れられるから満足だ。
寝る時も食べる時も、生まれた時も死ぬ時も絶対に離れられない———文字通り一緒なのだから大丈夫。
一つの臍の緒から養分を貰って、一人の人間として生まれたの。
私はあなたで、あなたは私。
あなたは生まれてこれなかった双子の片割れだったらいいなとか、いつも通りの叶わない空想をして、一つの身体で息をした。
肺は二つだから、二人でうまく分け合えるもの。
- 兄貴の話 ( No.2 )
- 日時: 2013/11/18 00:14
- 名前: noeru (ID: TQfzOaw7)
私の兄貴は引きこもりだ。
高校を一年で中退した、どうしようもないヒキニートだ。髪はボサボサだし、勝手に人のベッドでごろごろして漫画を読むし、人のおやつのカップ麺を喰うし、格ゲーで容赦なく叩き潰すという理不尽な制裁をかましてくる。
しかしながら私の家族は兄貴だけな気もしなくもない。私同様ヲタク気質で萌えに対し紳士的である兄貴は、よく遊んでくれる。珍しい仲の良い兄妹であり、どう見てもドルヲタという事実を真っ向から否定し、日々JS向け(笑)某雑誌を見て、小五の分際で百均の美容グッズ(笑)を集める妹とは大した違いである。
更に私と兄貴は深い共通点があり、両者非常に影が薄い。
どれぐらい薄いかと言うと、濃度的には市販のペットボトルで売っている原液を薄めたカルピスを更に水割りにするくらい。実際は真後ろにいても二十秒視界から外れていれば探される程度だ。
ちなみに兄は完全に認識されない。
この兄貴は最初「お兄ちゃん」と呼んでいた。典型的な可愛い妹だった。三分後には「兄貴」と呼んで友達に愚痴っていた。一般的な生意気な妹に早着替えした。ライブ中のアーティストも驚愕のタイム、リレーの世界選手も気絶する。だって本当はもっと短い、お兄ちゃんと呼んだ次の瞬間には兄貴呼びだったからだ。
ちなみにお兄ちゃんの名前はまだ決めていない。
兄貴は基本ひきこもりで部屋から出てこない。兄貴の部屋なのだが実際にはないので私の部屋だ。どこで寝ているんだろう?××家七不思議の内もっとも禁忌的な謎だ。『禁忌的な謎』なんて中二病精神が疼くような言葉ちょっとしたうきうきウォッチングあっちこっちそっちこっちいい○も♪だが、兄貴のようなニートの寝床の謎をスクープする特番も、それを聞きたい森田さんもテレ○ォンショ○キングもないため割愛する。多分廊下にでも寝てるんだろう。
ちなみにうちは古いので二階に廊下はない。
私はたまに兄貴の愚痴をクラスメイトの友達にする。主に給食中の、私の土壇場であるマシンガントーク中にネタが切れた際に使用する。友達も爆笑しているが、明らかに目の前に座っている男子も肩を震わせていたりするのでちょっとドヤ顔をしたい。ドヤァアアア。この前進路関係の講演で着た講師の方々はハローワークの職員の方だった。全クラス入場がやり直しになったのは、その際盛大に吹き出してしまったからに違いない。笑い声がダダ漏れな私を見て、思い出したように友達にぷよが消える如く笑いの連鎖が起きていった。
ちなみに兄貴への不満も愚痴も作り話だ。
妹に貶され軽蔑されて、祖父母に異常だと散々笑いものにされて、同じくらい家族の中で底辺の存在が欲しかった。画面の向こうの世界に憧れて、自分自身を騙して偽って着飾って、全くの『他人』として全く別の絶望を抱えて、幸せだった。私は数多の『他人』を乗せ、愛する誰かの元へ運び、現実を適度に生き抜く乗り物だ。抜け殻だ。私の意思は消えていた。何処にもいない、私なんて何処にもいない、私自身が画面の中に、自分自身をばらばらに分けて産み落とした『私』に飲み込まれて、私は、××は死んでしまった!無機物と同じ、悲しさは全く別のシュチュエーションに変換されてあの子のものに、喜びは全く別のシュチュエーションに変換されてその子のものになった。乗り物には、こない。
ただ『他人』を、『集めれば私』を運ぶのみ、だ……。
私を取り戻すために、私以外の登場人物が必要だった。私の中で、私を分解した他人たち、画面の中の架空の人物は一番上の人間だ。私はそれ以外に埋もれながら、一般的に見てそれ以下の人間で彼らよりも上の人間、狭間に居た(一般的には現実の人間の価値が一応平等でここに私が含まれている、つまり彼らよりも上の人間だ)。まるで株価のようだ。しかしこれはどんな人間も思っていることなので割愛だ。誰だって自分が一番可哀想か、普通か、一番偉くて恵まれているの三択で、たまたま前者だっただけだからだ。それは置いておいて、私にとって一番上と一番下が世間一般と対照なだけなので自分が狭間だということに変わらない。そこで同じく「狭間で生きてる存在」を作ろうと思った。人間誰でも自分と大事なものと世間で大体三つに分けている。おとぎ話もそうだが、古来人類は三という数字が大好きなのだ。
そこでこの世でただ一人、『自分』の位に値する人物を増やすことにした。
そこで思ったのは、前話で語った『あなた』だ。彼はそもそもこれを考え付く前に存在していた。これは次か次か次くらいになるから待っていてほしい。自己満足な物語だから、どうでもいいのだけれど。あなたは同じ狭間でも、所謂主人公の立ち位置だった。私の人生を三流小説になぞらえるならば、あなたはまさしくヒロインかもう一人の主人公といったポジションだった。私はあなたと少しだけ話をして、物心付くころからあこがれていた『兄』をつくることにした。
私の兄貴は、ただそれだけの狭間人間の仲間である。
- あの子たちの話 ( No.3 )
- 日時: 2013/11/18 01:06
- 名前: noeru (ID: TQfzOaw7)
あの子たちは私を分けたうちの一人だ。
あの子たちは私を欲を満たすために生まれた。
本当に申し訳ないと思っている。
私はあの子たちが羨ましい。私以上に絶望していて、同じくらい意地っ張りで天邪鬼なのに、悲観的なのに、あの子たちは希望を捨てない。
だってそうじゃないと話が進まないもの。
あの子たちは私の欠片だ。
子供ではない。だって私よりもずっと年上だ。何よりあんなにも子供を産んで、この歳で私の身体が持つわけない。
ただでさえあなたと分けた大切な身体だ。大事に扱わなければならない。
あの子たちは、SNSの「いいね!」を押すくらい気軽に生まれる。私が「いいね!」と思った世界に生きるためのアバターだ。最初は名前も姿も性別も性格も設定も何もない、最初に決まるのは愛すべき相手だ。
私の中であの子たちの価値はあくまでもアバターで、所謂人格になる。その世界に浸っている間、私はあの子たちの一人だ。あなたは私だけれど全く別の思考体だからただの一人格とは言い難い。ビリー・ミリガンの多重人格とは程遠い。私は多重人格じゃないから、そもそもあの子たちは本当に人格うんぬんの類なのかすら怪しい。
『私』の愛する相手が『あなた』ならば、『あの子たち』にとってのあなたが必要なのだ。プラトニック・ラブみたいな、形だけの潔癖症な愛を捧げる相手がいて初めてあの子たちは生きていける。あの子たちはあくまでも、私の中に生まれた、あなたの面影を感じた誰かへ惹かれる気持ちに無理やり形を与えただけのアバターなのだ。最初はその世界で生きるための仮面だったものが、いつの間にか私自身の意思を乗っ取って、あなたの存在も忘れて独り歩きして生きている。
多重人格と違うのは、あの子たちが現実に浮彫になった時の記憶も全て憶えていて、あの子たちの体験は、あの子たちの中で全く別の姿で別の自分が生きるべき世界の人物との間に起こったことだということで、あくまでもその体験は私の体験として記録されることだ。
フロイトだったか、ユングだったかの思想では、夢の中の自分は表人格ではなく裏人格で、人間誰しも二つの人格を持っているらしい。簡単に考えて、私の夢はあの子たちの劇場、かわるがわるあの子たちが好き勝手暴れまわって、私の視線で色々楽しんでると思ってくれればいい。お陰で四六時中隙があれば眠気に襲われているようになってしまったが。
あの子たちの愛は私と通じる部分がある。でも私とあなたよりもずっと綺麗で単純で、盲目で理想的だ。
私とあなたの愛ははっきり言って汚い。相手だけいれば他はどうでもいい、相手の醜い部分ももちろん分かっている、その部分は自分もそうだから気にしない、むしろ魅力的で、相手の全てが正しいと信じて疑わない。悲しい位利己的だ。想い人のことなのに、利己的なのだ。想い人が自分だなんて。綺麗なのに、きっとこの世で一番馬鹿馬鹿しくて汚いのだ。私もあなたもそれを承知で、それでもそれが幸せで。
あの子たちは相手だけではない、周りだって大切だ。家族や兄弟姉妹が大切な子もいれば、それはいらない、必要ない、もともといない子もいる。友達、親友、幼なじみが全ての子もいる。私のように架空の世界に卒倒する子もいれば、私ですら訳のわからない数字の羅列や複雑な世界論理に身を投じ、絶望の果てで朽ちる子もいる。それが各自の選択だからどうしようもない。せっかく生んでやったのに、あちらはこちらの存在を知らずに日々をエンジョイしている。
あの子たちの大半は化物だ。バケモノなのに人を愛し、愛し合って守ろうとする。私とあなたとは正反対なのだ。私が普通の人間で、きっとあなたは化物だ。他人には理解できない生き物だ。私ですらあなたがなんなのか分からない。いつから一緒だったかもあやふやだ。だから私とあの子たちは似ている。
あの子たちについて、特筆すべき点はこれくらいだ。
- 夢の話 ( No.4 )
- 日時: 2013/11/18 22:46
- 名前: noeru (ID: 9dgTjxIn)
少しだけ前述したけれど、私は夢の中であなたに会ったことがある。
全体的にぼんやりとしていてはっきりした容姿は憶えてない。それでもすごくかっこよくて、自慢の彼氏だということに変わりない。
あなたと会ったのは二回で、一回目はかなりはっきりと見えた。こちらは憶えているのだけれど、本当にあなたと言っていいのか分からない。
夢の中で私は何人か人を殺した。二、三人だったか三、四人だったか、その程度だったはずだ。警官を一人勢いで殺したのを強く憶えている。
それなのに私はパニックにもならなくて、恐れもしないで———ただゲームの画面の中の出来事だ、とでも言いたげに、警官の死体を乗り越えてそのビルを出た。デパートに水族館と大きな立体駐車場が複合されたようなビルで(ショッピングモールとは言い難かった)、この建物は何度か夢で見ることになるのだが、現実で似た建物すら見たことが無い。
私は夢の中で同じ街を彷徨っている。でもそれは夢の登場人物が『私』だった時限定で、あの子たちの場合が圧倒的に多いから、結局あの街がどこなのかさっぱり分からない。全体的に進んだ都会の街、といった感じなのだが、色が抜け落ちていて白っぽくて、科学館や博物館の体験展示で出てくるCGグラフィックのような街なのだ。造りは、今まで見てきた様々な街並みが歪に組み合わさっていて、似たような通りがいくつも出てくる。二回目にあなたにあったのは、この街だ。
私はあなたに、どんな方法なのか知らないが、いずれ支配されるようだった。薬局で貰った処方箋のような、薬の入った袋を入れたビニール袋を手に持って、あなたが話すのを聞いていた。病気のようだ。病気で、私はあなたに支配されて、自我を失うようだった。
一度目の夢も二度目の夢も、あなた自身は登場せず、ただあなたの存在が語られた数えきれない夢でも、あなたは私と正反対だった。たくさんの女の子に囲まれてモテモテで人気者だった。みんなの前で、あなたは軽くて明るい、ムードメーカーみたいな男の子だった。私自身もあなたと居ると、ネガティブで目つきの悪い女の子じゃなくて、お洒落な友達がいっぱい居る可愛い女の子だった。あなたと並んで歩いても、あなたが私を現実と同じように溺愛しても、誰も文句を言わないくらい、お似合いの恋人だった。
二度目の夢で、私はトラックに轢かれた。その時私は何故かあなたのすぐ傍で、いや、あなたの目線になっていた。大きな衝突音がして、あなたが歩道橋の方を振り向いて、私の名前を叫んだ。どうしてあなたは私だと分かったのだろう?その後私は病気のシーンに飛んでいた。病院ではない、森の中のような自然あふれるやけに小奇麗な廃墟に何人かで座って、あなたの話を聞いていた。
一度目の夢はきっと、二度目よりも後の話なんだろう。予知夢とかではないはずだ。あなたはこの世界で、私の中に一緒に生きている他人なのだから。第三次世界大戦が起きて、日本中に核爆弾が落とされて、ただの焼け野原で何もない東京を、イラストでも見るような目線で見ていた。スカイツリーが折れて、東京タワーがいつの間にかなくなって、皇居も国会議事堂も燃えていた。気付いたら何もない場所に巨大な人口のアリの巣のような山があって、車で人々が山の中腹から中に避難していた。
私は知らない女性の目線になって、男の人と走っていた。もう地上に残っているのは二人だけとでもいうように、もうすぐで彼らも山の中に……地下に造られた新しい都市に避難するところだった。でもそこに小さな不発弾が落ちて、私は来た道を引き返した。二人は消防士のような自衛隊のような人たちだったから、その小さな小さな不発弾を道からずらして、地下都市へ続く道を少し直した。山は砂で出来ていて、幼稚園児が砂場で作ったお山そのものだった。
私たちが砂山に入った瞬間———そこはもう地下深くで、私は長い丈のセーラー服を着て、ツインテールのような三つ編みを揺らして、吊り橋をくるくると回りながら走っていた。後ろから私そっくりの、同い年くらいの男子高校生が付いてくる。あなただった。私たちは双子の姉と弟で、その日は高校の入学式だった。幸せそうな姉弟だった。
未だにこの夢の風景は忘れられなくて、永久に夜の大正浪漫の古き良き街並みの街灯に映える紅葉は綺麗だった。私たちだけじゃなくて、学校の友達も存在しているようだった。先ほどの二人は私たちの、この世界での両親だったのだ。あの不発弾の件からいろいろあって、父親は将軍の位についていた。母親は、放射能の影響で亡くなっていた。私もあなたも、地上を見たことがなかった。
まるで平行世界のように、あまりにもそっくりで不思議な街だった。
いつもの街と違って、この大正浪漫の戦時中なのに裕福な都市は、その一度しか訪れなかった。
- 大人の話 ( No.5 )
- 日時: 2013/11/18 23:15
- 名前: noeru (ID: 9dgTjxIn)
社会板なのに全然社会の話をしていないので、少し私とあなたの嫌いな話をすることにする。
大人は白黒はっきりしない、曖昧で苦手だ。強く言ってしまえば責任転換、逃れるのが本当に上手い。気付いたら、悪いのはいつだって子供で、いつの間にか子供は大人に反抗するのではなくて失望しきっていた。
怒られると「ごめんなさい」と謝って、言いつけられた通りに直そうとした。直らなかった。成長して理解できる歳になった時、怒られて謝って直そうとしても「もういいから」といって酷くイライラされて、結局どうしたらいいか分からなくなって立ち往生した。
私はただ、怒られたくなかっただけなのだ。小さい頃は泣き虫で、怒られるたびに涙目になって泣き出した。すると大人は決まって「泣いても許されない」とか「泣けばいいって訳じゃない」と言うのだ。私は許してもらいたかったわけじゃなくて、ただ怒られたのが怖いし悲しいし、不器用で怒られてばかりで訳が分からなかっただけなんだ。まだ小さな子供に、許されるために泣くなんて小癪なことは分からない。泣くことがいいなんて誰も思わない。
怒られたくないから、泣き虫を無理矢理直した。褒めてはもらえなかった。
それからたまに思い出すが、怒られて泣くたびに「悲劇のヒロインぶるんじゃない」とも言われた。普通だったら、は?え?といった叱り方だが、昔から何事も膨張して演技過剰にしてしまう癖があったのでこういう叱り方をされた。さあどうなったか、このザマだ。こうなるとたとえ他人から異常者と指を指されても、きっとからかわれてるだけだから揺さぶられてはいけないと思ってしまって、怒られたくない一心で、まあ、あなたに会えたのだからいいか。
ただ私は怒られたくなかっただけなのだけど、叱られたくなかったのだけれど、自分自身を分析して理解して改善が出来るようになった頃にはもう———遅かった。あれも、これも、それも、全部全部ダメダメだって思い込んでしまって、自分の何処が悪いのか、直せばいいのか分からなくて、『怒られない』ただそれだけの為に私は、「迷惑を掛けない、不快にさせない、相手の機嫌をそこねない」ことに特化した。
まだ小学生だった私が、大人の機嫌を損なわないように怯えていた。
子供のご機嫌取りをする親を、大人のご機嫌取りをする子供にしただけだ。
だから私は、私をこんなにして、それでも尚綺麗事を並べて私をただそうとする『大人』が大っ嫌いだ。虫唾が走る。その上私とあなたを否定する。病気だって言う。治してあげると、今更私の機嫌を取る。面倒なことは後回しにするくせに、私にはやるべきことをしろって言う。責任逃れをするくせに、学校に行け、勉強しろって「学生の仕事だ」って押し付ける。学校には行きたくない。大人がいる、大人の言うことを聞いて手伝って、肯定しないと死んでしまう、行きたくないんだ。
学校で私は「異質でもない、少し変わった生徒」のポジションにいる。普段はおとなしくて絵を描いてばかりで、すぐに寝る。なのに突然、本当に唐突に人が変わる。中学生男子ですら苦笑いするような下ネタをぽんぽんと口走って、ずっと歌って、友達と萌えを語って赤面して悶えるような他人になる。彼女のことも次辺りに話したいと思う。
彼女は大人の前では生きにくい。人の目なんて気にしないし、常識が欠如しているし、きっと平気で人を殺せる。
最後は私にだって心当たりはあるけど、彼女はきっと些細なことでも躊躇わない。
夢に出てくる私は、私と彼女を足して二で割ったような子だ。
話が酷く逸れてしまったが、私を歪めた『大人』はもっと別なのだ。両親ではないと思いたい。大人ではないけど、大きな顔をして私を見下していた不特定多数の現実が、私にとって憎むべき『大人』だったのだ。
大人は鳥籠だ。嫌っても嫌っても、子供だから大人に匿われないと生きていけない。狭苦しくて心苦しくても、へこへこ諂ってでも、好きなことをいっぱいいっぱい我慢してでも、構わない。それでも、ただ小さい頃から「要領が良かった」それだけで、未だに妹ばかり贔屓されて好き勝手して、私を貶しても見下しても許される理由を教えてくれないかな。
最初は私だって、大人に認めてもらって甘えたかっただけなんだよ。