社会問題小説・評論板

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銀色に燃えるキャンドル
日時: 2014/02/28 16:57
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

目次 >>5

*****************************
登場人物

来瞳 ‐くるみ‐
漆沢家の長女

柚香 ‐ゆずか‐
漆沢家の次女

翔太 ‐しょうた‐
漆沢家の長男

こうめ ‐こうめ‐
漆沢家の三女

優希 −ゆうき‐
漆沢家の二男

大沢瑠璃 
藍星塔花 
佐川遥
美山もも
浅野広哉
赤城遼
清水恭太
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Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.9 )
日時: 2014/02/28 19:16
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

to優希

「!」
一階から聞こえる、口論の声に目を覚ました

父さんと、母さんか。
この前から 一週間くらい、友達の春輝がしばらく学校に来なかったことがある。

その内容は、「家の事情」で

後から聞いたらその「家の事情」とは親の離婚だった。ということを知り、今では違う学校に通っていると聞いた。

そのことを思うと うちの親もそうならないだろうか。とちょっと怖くなってしまった

「…はあ」
暑いのに なんとなく布団をかぶって、口論の声が聞こえないように、これ以上考えないように 枕で耳をふさいだ。

喉の渇きに 置いてあったお茶を飲んだ。

「完全ダウンしたな・・」
ここは 翔太&優希の部屋で、優希は下の段、翔太は上の段で、毎日二段ベットで寝ている

額に手を当てて、あまりの身体の不調に何度も寝返りを打つ
暫く、ずっと時計を眺めていると、翔太が上から顔を出した

「ゆうき 大丈夫か?」
大丈夫じゃない。けど——…

「・・大丈、夫・・だけど……下から、声が…」
と言うと、そうかな?と翔太が耳を澄ませた

『そっちこそ!あなたが真面目な職業につかないから わたしまで働いているんでしょう?』

『収入も大したことないくせに威張る権利はおまえにない!』

『わたしの収入に頼っているくせに!』

「…確かに。父さんと母さんだな。くるみたちに相談しようぜ」
と ドアを開けて、フラつく俺を翔が抱きかかえてくれる。

「入る…ぞ」
有無も言わせずに、部屋に入った

「・・どうしたの?」
柚香と小梅は寝ているようだったけれど、くるみだけは起きていた。

二段ベットに 小梅と柚香は寝ていて、その横にL字型にもう一つ二段ベットが並んでいる

(■□
  ◆)■=一段目 ゆずか □=二段目 小梅 ◆=一段目 くるみ

でも一段目は、ベットじゃなくて机と収納で 二段目にくるみが寝ている

「…父さんと、母さん、ケンカしてる…」
おぼろげに俺がそう言うと、くるみは頷いた

「そうね。ゆず、うめ おきて」
くるみは、柵を飛び越えて 柚香を揺り起こし、梯子を下りて小梅を揺り起こす。

「なに?」
柚香は、俺と翔太を見て 梯子で降りてくる

「眠いよ」
小梅も目をこすりながら、俺たちを向いた

「父さんと母さん 夫婦喧嘩してる」
翔太が言う

「さっきから お皿が割れる音がするし。」
くるみがそう言った

「え!皿?」
小梅が そう言った瞬間、物音が貫いた

ガッシャ————ン!!

「…お皿でも投げて、割った音っぽいだろ…?」
と、止めに行こうと俺が立ち上がる

「ゆうき。だめ。」
俺はくるみに腕を掴まれた

「——なん、で」
ぐらっと視界が揺れて、斜めに倒れそうになるのを翔太が受け止めた

「…ほら。熱あるでしょ?まだ。それに、あたしたちは 明日学校があるの。もう12時 速く寝なくちゃならないよ。あたしがお母さんたちを止めに行く。だから ゆうきは寝てて」
くるみが言った

(なんで くるみばっかり)

くるみばっかり。

くるみが言うことは正論で正しい。

でもくるみばっかり頑張りすぎ。

「くるみも女だろ。皿投げれるヤツと居たら 危ないだろ。俺が止めに行く。俺が止められないならくるみを呼ぶ。俺が止める。だからゆうきは病気をなおせ。」
翔太が横で言った

「……分かった。でもダメそうなら あたしを呼んでよ」

「分かってる。」
翔太はそう言うと、リビングまで向かおうとするが

「……お願い、わたしも行かせて。」
柚香が、立ち上がった

「あ、あたしも!」
小梅が立ち上がるが、無力に くるみに二人でじゅうぶんだよ と引き戻される

「じゃあ柚香と翔太に頼むよ」
くるみが 初めて人に頼った。

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.10 )
日時: 2014/02/28 20:06
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

to柚香

「くるちゃん、頑張りすぎって思ってたんだけど。しょうたも、ちゃんとわかってたんだね。やっぱり 五つ子だね。」
わたしがぼそっと呟いた。

「ああ。でも口だけで、なかなか行動に出ないんだけど」
翔太も照れくさそうに前髪をかきあげた

「アドリブで行くぞ」
ドアの目の前まで来た。

これを開けば お母さんとお父さんが居る。

「うん」

スパ—————ン!!

ドアを開けると、お母さんが机をたたいて反発しようとしていたところで。

お皿の破片が散らばっていて、二人とも傷を負っていた。

「なにこれ…」
隣で翔太が絶望の声を上げた。

空き巣でも入ったのだろうかと言う勢いで、夕方わたしたちが掃除したはずの場所が散らかされていて

「せっかく 掃除したのに」
その声が聞こえていただろうか、お父さんが反応した。

「…もう…。うるさいよ!!明日、わたしたち学校あるんだよ。ゆうきは熱出してるんだから、静かに寝かせてあげなさいよ!!」
言い過ぎかな とも思ったけど 思ったことは言わないといけないとも思った

「そうだぞ!!俺たちがどれだけ振り回されてるかわかってるのか!くるみにも、お礼だけしてお返しはしてないんじゃないのか!」
翔太も尻馬に乗って言い切った。

お父さんもお母さんも何も言わなかった

「…なんか言ってよ」
私が睨みつけた

「なんか言ってよ…」
私が声を絞り出すように続けるが 二人とも、顔もあげなかった。

「どうなんだよ。俺らと会ったの一週間ぶりだろ。普通の家庭と何が違うと思う?。」
お母さんは謝るだけ

お父さんは告げるだけ

「もうケンカやめてよ」
私が言うと、翔太が目を合わせてきた

「ゆずか、もういこ」
二人とも何も言わないから 私たちは切り上げた。
———
「…どうだった!」
小梅が乗り込んできた

「一応おさまりはしたんだと思う」
そう言うと くるみは言った

「そろそろ、あたしもダウンするかもしれない」

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.11 )
日時: 2014/02/28 20:17
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

to翔太

「五時十分…か」
目覚まし時計はまだなっていなかったけど起き上がることにした。

俺は何時も 五時半に起きる。

来瞳 小梅 優希 俺 柚香の順でいつも起きるけど、優希は風邪ひいてるみたいだから 今日は遅いかな。

そばに置いてあった服に着替え、下へ降りていく。

不安はあったのだけれど、今朝起きれば、皿の破片や散らかっていた物は、片づけられていた。

「あ、おはよう。しょうた。今日はやかったね」
柚香が珍しく早く起きていた

「あ、おはよう。柚香こそ、早いんじゃないの」
俺はそう言いながら、お茶をもらい一口飲んだ

「うん、気になったから。」
と柚香が夜のことがね。と付け加えた

「おはよう。しょうた早かったね」
同じことをくるみにも言われ、ああとうなずいた

「俺、朝練してくる。」
はやく起きたし 余裕があるから リフティングでも庭でしてくる。と告げ、サッカーボールを持って 庭にいった。

「おはよー!って。どうしたの?片付けた?」
小梅が起きてきた

「ううん、起きてきたらこうなってて、お皿の破片もなかったのよ」
と、くるみが言った。

———————
to来瞳

「ゆうき、どう?」
お茶、くすり、体温計を持って、ゆうきのもとに、あたしは行った

「昨日より いいかもしれない」
体温を測ると 37,3℃あり、37,4以下なので 学校には行けるのだが、昨日のことも考え、大事を取って休むことに決めた。

「あ、俺今日、野球ある。どうしよう」
あたしは、窓の外をのぞいて言った

「雨降っているんだけどね。」
あたしはそう言って、部屋から出た。

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.12 )
日時: 2014/02/28 20:42
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toくるみ

今日も 六時二分

公園の時計を見て あたしは頷いた。

公園の時計は二分遅れているから 六時二分=六時

「おはよ〜」
塔花とルリと、登校中にちょうど落ち合って、一緒に学校まで向かう。

「昨日さ、わたしの家ブレーカーが落ちたのね、わたしと妹がぎゃーぎゃー叫んでたら お母さんに叱られたんだけどさ、一日にブレーカーが三回も落ちるなんて異常だよね」
ルリの話も遠く遠くに聞こえる。

「あーブレーカーか!あたしン家も落ちたことある。お父さんがなおすんだけど、ドライヤーと電子レンジとオーブントースター使ったら落ちた」

「それは使い過ぎだもんー!」
と笑い転げる。

あたしもよく聞いてないけど 二人とも笑っているから 合わせて見た。
——
「一時間目 社会か…」
あたしは社会は嫌いじゃないけれど 眠たくなってしまう。

いつもは授業中はよく手を挙げるのだけど、何となく 今日は気が進まなかった。

「…では、今日はいっぱい進んだので、ちゃんと記憶しているかどうか、先生があてて確かめます!」

「えー!」
児童のなかから声が上がる。
普段手を挙げない人が、当たっているような気がする。

中には答えられないような子もいて

今日 授業をあんまり聞いてなかったから 当たってほしくないなと思っていたのだけれど

「では…漆沢さん。」

「えっ!」
油断していたばかりに、やばい と思った

「公害病の水俣病の原因となったのは 化学工場から出された…?」
…え!わかん・・ない。

と、途惑っていると、隣から助言が来た

「メチル水銀」

「め、メチル水銀です!」

「正解です!」
隣の席である清水恭太。普段は必要以外はしゃべらないのだけれど…

「あ、ありがと——」
助かった。

「いいよ 別に。」
素っ気なく言うと、恭太は、真っ直ぐ向いた

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.13 )
日時: 2014/02/28 22:15
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toくるみ

「ただいま」
学校から帰ってくると、だいたいは小梅が居て、宿題に手を付けている。
あたしはだいたい二番に帰ってくる。

けど、今日は、あたしが一番に帰ってこれた。

「お帰り」
でも 今日は優希が居る。

「ゆうき、どう?」

「もう快調だよ!」
と、スポンジで出来たバットを振り回していた。残念な話、今日は 優希の一つの習い事である 野球には行かせられない。病み上がりだから。

(ピアノでも、弾こうかな)
今週一回も弾いていなかったことに気づき、ピアノを弾くことに決めた。

弾き始めると、楽しくなってしまい、何度何度と間違えても、曲になってくると楽しくなる。

気付く間に、みんな学校から帰ってきていた。

「おわろっと」
蓋をとじ、楽譜をしまって、宿題を始める

「あ、昨日おかあさんカステラ置いてったんだ。」
小梅が、カステラを勧めた

「おいしそー!」
あたしも手に取って食べる

「うめ、もう二きれも食べちゃった」
と、小梅が、くるっとバレエのターンをしながら笑って言った。

「俺三きれ目たべてもいい・・?」
何時になく影が薄い翔太が、あたしたちの間に割り込んできた

「えー!ひとり二きれだよぉ?」
柚香が私のあと一きれと、専用のお皿を用意して、紅茶と楽しんでいる

「いいよ。あたしの一きれあげる。一きれでじゅうぶんだから」
と言うので 翔太が目を輝かせて

「ゆうきー!来い」
と言って、ひとつのカステラをふたつに分けて ふたりで楽しんでいた

「あは…」
あたしは、微笑ましく思った。
———


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