社会問題小説・評論板

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

銀色に燃えるキャンドル
日時: 2014/02/28 16:57
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

目次 >>5

*****************************
登場人物

来瞳 ‐くるみ‐
漆沢家の長女

柚香 ‐ゆずか‐
漆沢家の次女

翔太 ‐しょうた‐
漆沢家の長男

こうめ ‐こうめ‐
漆沢家の三女

優希 −ゆうき‐
漆沢家の二男

大沢瑠璃 
藍星塔花 
佐川遥
美山もも
浅野広哉
赤城遼
清水恭太
*****************************

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.4 )
日時: 2014/02/28 17:50
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toくるみ

「どうしたの?」
あまりに顔色が悪い優希に、あたしは近寄った。

甘いチョコレートのかおりが身体をいやしてくれる。

「…気持ち悪い」

「———そっか」
額に手を当てる。
ちょっと熱い気もする。

体温計を取り出して、測らせる。

「ただいまー」
小梅がおかえりなさーいと言い、玄関に走っていった。

「あ、翔太お帰り」
リビングに入ってきた翔太に、あたしは言った

「うん ランドセル置いてくる。」
と二階にあがっていった。

ピピッ…ピピッ

体温計が音を鳴らした

「なになに…?」
あたしが 優希から体温計を受け取った

「37,4…微熱。いつから気持ち悪いの?」
そう言うと、口を開いた

「おしるこ食べたあと」
普段はなんでも食べる優希だが おしるこだけは大嫌い

——なぜかね。

「そっか…それが問題…はは。」
渇いた笑いを浮かべると、二階で寝るよう促した

「そうする」
優希はふらふらと二階へ上がっていった

それと入れ違いに、翔太も宿題を持って、テーブルに座った

「お、美味しそう!」
クッキーを手に取って おいしそうに頬張った。

「翔太、優希ちょっと熱あって寝てるから、あんまり部屋に出入りしないであげてね」
翔太と優希は同じ部屋なのだ。
あたしと ゆずとうめもそうなのだが…

あたしが そう言うと 翔太は頷いた

「了解、あいつおしるこが原因だろ?」
と見事に当てるので

「そうらしいね」
と頷いた

「おしるこ美味しかったのにー!」
と宿題を終えた小梅が、顔を上げた。

「さて…。優希に氷枕でもあげようかな」
と冷凍庫から 氷枕を取り出して、カチカチだと寝ずらいので、机の上でタオルにくるんで叩いていると、

「くるちゃん宿題やってたら?あたし、氷枕おいてくるよ」
と、小梅がたちあがった。

「本当?ありがとう」
あたしは、言葉に甘えて、宿題を始めた。

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.5 )
日時: 2014/02/28 20:19
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

φ第一章φ 銀の世界

第一話【夕闇の螺旋】 

*朝を斬る少女 >>1 
*握りしめた手 >>2
*五人はひとり >>3
*君に揺れる瞳 >>4
*苦しさの中で >>6
*暗闇の訪問者 >>7
*もらえない物 >>8
*夜中に潜む絆 >>9
*小さなひかり >>10

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.6 )
日時: 2014/02/28 18:23
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toくるみ

しばらくして ゆずが帰ってきた。
皆宿題も終えて 一段落したところで、あたしが声を上げた。

「全員集合!」
リビングから少し行ったところにある和室で、今日の割り当てを説明した

あたしたち五つ子の両親は共働き。最近は夫婦喧嘩っぽくもなっていた。
今では、お母さんもお父さんも夜中に帰ってきて お金を置いて、夜明け前に出て行ってしまうから、顔を合わせないほどになっていた。

洗濯や食事はたまにやっておいてくれるけれど、ほとんどはあたしたち五人が協力してやるしかない

そのために こんな表も作った
————————————————
第一週 当番表

くる 夕食&朝食準備 

ゆず 掃除機・掃除全般

うめ 掃除全般・庭掃除(庭掃除は金曜日だけ)

ゆうき 洗濯

しょうた 買い物・家計簿   
————————————————

これ、もちろん 第二週も三週もあって、一週間ごとに当番がずれてくの。
つまり 第二週目をみれば、当番表は くるみが 掃除機・掃除全般になり、ゆずが、掃除全般・庭掃除 うめが洗濯になるということ。

「今週の当番発表するね。まず、あたしが、朝食と夕食準備ね。」
全員頷いた

「ゆずは 掃除機と掃除全般 うめも掃除と庭掃除。しょうたは買い物と家計簿つけ。」
みんな頷く。

「優希は今日は体調不良だから 悪いんだけど 柚香以外で 代わりに誰か 手が空いたら洗濯して。あたしも割り当て終わったら やれたらやる。」

優希も翔太も、これを期に、料理ができるようになってしまった。
そして、上手な買い物の仕方も覚えてしまい お金も大事に使うようになった。

「開始!」
自分の割り当てが終われば、そのあとはくつろいでもいい。

——————————
習い事一覧表

月曜日 来瞳 ピアノ   
火曜日 柚香 習字
水曜日 優希 野球
木曜日 小梅 バレエ 
金曜日 翔太 サッカー
——————————
両親に ひとりひとつ習い事をやる の定めに従って、今日は、火曜日。柚香は 習字のおけいこがある

「今日は何にしようかな」
冷蔵庫や棚を見ておかずを考え、メモに書いて翔太に渡して、材料を買ってきてもらう
今日は肉じゃがにしよう!!

「これ、買ってきてね」

「おーけー」
翔太がメモを受け取って頷いた。
すぐ帰る!と運動がてらに と走って行った。

その間に あるもので明日の朝ごはんを作ったり、お米をといだり お味噌汁を作ったりする。

けど、あたしはあることが気になって二階にあがった。

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.7 )
日時: 2014/02/28 18:36
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toくるみ

「入るよー」
返事がないけれど 寝ているのだろうと考えて 入った

「あ…くるみ」
薄々目を開けた優希に

「…どう、気分は?」
とあたしは言った。でも顔がほてってるから 絶対ダウンだろう。

「…さっきより…悪いかも。でもたぶん大丈夫だから」
と布団から立ち上がって、今日の割り当ては何?と聞いてきた

「待って」
あたしは優希の額に手を当てて、言った

「…まだ、熱あるよ。無理しないで。あたしたちが分担してやるから。心配しないで」
と体温計を渡す。

丁度持ってきたお茶を渡すと、勢いよく飲み干した

「…ありがと」
とコップを渡す。

「…」
しばし沈黙が続いた。


——ピピッ ピピッ

「…38.3…ダメじゃん。割り当てどころじゃないよ。早く寝な。たぶんあしたもダメだね」
体温計をしまい、氷枕を新しいのに取り替えるために、一旦キッチンへ

(…ふう)
こういう風に何かやっていると 気持ちもまぎれる

冷たいタオルと お茶と氷枕と 後、お薬

「どうぞ。あ、くすり、お茶で飲んで汗」

「…ありがと」
そのまま、部屋を離れた

———
それから二時間くらいたった。

もう六時だ。皆クタクタになって、リビングにやってきた

「わ、肉じゃがだー!美味しそ。うめ大好き」
と、小梅がニッコリ笑い、ゆずが言った

「ほんとだー おいしそう!。」

「えへ、ありがと。」
あたしは褒められて嬉しくなる。
優希の分は おかゆをさっき持っていった。

『いただきまーす』
全員、あいずも何もしていないのに なぜか声がそろう。これが五つ子ってものなのだろうか。

「おいし」
我ながら 良くできた。
と思っていると、扉が開く音がした

「・・父さんか母さんでも帰ってきたか?」
翔太が、怪訝な顔をした。

両親の顔を見るのはもう一週間ぶりにでもなるか。

「…そうっぽいよね。泥棒とか空き巣じゃあるまいし」
小梅が笑った

「それじゃあ 鍵閉めたはずなのに開かないしね」
とゆずが言う

「見に行ってみようか」
と、行儀は悪いのだが席を立った。

——
廊下は、リビングと違って少し寒い

「……」
玄関が見えてきたあたりで、お母さんが帰ってきたと気付いた

「お帰りなさい」
そう言うと 

「ただいま」
と声が帰ってきた

やさしげなその声は さしぶりに聞いた気がする

「お母さんの分の夕食、あるよ。食べたら」
そう言うと、お母さんはにっこり笑った

「そうするわね。本当はわたしが作らなきゃいけないはずなのに。くるみ、いつもありがとう」

でもお礼されるだけ。

「ううん、いいよ。」
コートを脱いで お母さんが、部屋のところにかけた。

「頂きます」
リビングに入ってきたお母さんに、小梅が怪訝な顔でにらみつけた

小梅だけじゃない、翔太も柚香も皆お母さんのことをあまりよく思っていないみたいで。

何にせよ あたしたちを野放しにして 何もしてくれないのだから

でも本音は お母さんが好きなのだけれど。

「あら、優希は?」

「熱があるから 上で寝てるよ」
誰もしゃべろうとしないので、あたしが言った

「そっか。ちょっと様子見てくるわ」
と お母さんが立ち上がった

「寝てると思うし いいんじゃない?」
小梅が上目使いで言った

誰も あなたに顔を合わせたくない

その瞳がそう物語っているようだった。

Re: 銀色に燃えるキャンドル ( No.8 )
日時: 2014/02/28 18:52
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

to翔太

今、目の前に居る。
俺の視界に映る

俺や、くるみを苦しめてきた人。
俺たちをずっと孤独にさせてきた人。

どうしても許せない。
目をそらした。

俺は、この人から贈り物をもらってない。

もらったものは、命と五人それぞれにつけられた名前だけだと思ってる。

俺たちの名前は 女子は食べ物っぽいかもしれないけど ちゃんとキレイな由来があって、う」が適当についてるけど、
誰が見てもわかるような共通点なくて、五人セットに毎回されるのは あんままりだって考えた、自ら双子である 両親がつけてくれたちゃんとした名前

翔太 と この命

これ以外何も貰っていない
これを超えるものはなくとも、他に何も貰ってない

そのまま無言で食事が終わり、割り当て通りにくるみが食器を洗っていた。

俺は、それをはなしに見ながら、家計簿をつけた
母親は何一つやろうともしない。

俺はともかく、くるみにくらい 代わってやる。か一緒にやる。の一言も言えないのか コイツ。

スマホを片手に、ソファに腰かける母親

「ま、なんかやろうかって声かけたところで うめが迷惑だって 許さないかもな」
ひとりで 母親に聞えよがしに言うと、顔を上げる。

心当たりが幾つかあったのか、決まりが悪そうになった


Page:1 2 3



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。