社会問題小説・評論板
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- 毒林檎の樹。
- 日時: 2015/03/05 20:03
- 名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)
どうも、亜季と申します。
普段は本館のシリアス・ダークの方で活動しておりますが、今回新たに此方でも活動する事に致しました。
次から急にプロローグが始まりますご注意ください↓
—プロローグ 林檎—
皆さんは、林檎はお好きですか?
甘くて、ほんのり酸っぱい林檎。あの子の頬の様に赤い林檎。
それぞれ味や形を想像しているでしょう。
でも、この樹は違いました。
皆さんが林檎を食べて幸せに為るとすれば、この樹は食べれば差し詰め不幸が訪れます。
ええ、そうでしょう。
誰もそんな物、食べるわけがないと思っていらっしゃるのでしょう。
ところがね。
頭や顔の良い子が、それをもぎ取っていくのですよ。
え?取る理由?
さあ、私には分かりかねませんね。だって、もぎ取って食べるわけじゃないんですから。
誰かにむりやり食べさせているのかもしれませんけどね。
- Re: 毒林檎の樹。 ( No.3 )
- 日時: 2015/03/13 18:11
- 名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)
—新芽 3—
紫藤凛が死んだと告げられた帰り道。
朝は晴れていたと言うのに、何故か雨が降っていた。
「空も、凛が死んだ事、悲しんでるみたい」
たまたま傍に居た香夏子が、そう呟いた。
…空さえ悲しんでいると言うのに、俺は泣いても居ないのか。
そう考えると、息苦しい感じがした。
「何御伽噺みたいな事言ってんの、香夏子。時雨だよ、きっと。小雨だしね」
香夏子の発言に対し、それを打ち消すように恵理が言った。傘で表情が見えない。
「…時雨って何?」
「知らないの?秋から冬の間に、降ったり止んだりする雨とか雪の事を言うんだよ。通り雨みたいな感じかな」
時雨の意味を聞いたのは、龍樹か。長い黒髪のポニーテールが見えるから、そうに違いない。
そう言えば、俺のクラスは割と成績優秀な奴が多かったっけ。
龍樹が一番目ぐらいに頭が…その、勉強があんまできなかった気がする。
でも、時雨ぐらいは知っとけよ。
少し頭の中で貶しながら、俺は香夏子達の前を通り過ぎた。
「ねえ」
ふと、鈴を振った様な声がする。
驚いて振り返ると、其処には神埼綾の姿があった。
…神埼綾。成績トップで容姿も良いという、アニメに出てきそうな奴。そのせいか、割とモテているらしい。
「凛ちゃんの事、知ってる?」
唐突に質問を投げかけられ、少し困惑した。
傍には恵理や龍樹もいる。どう答えたものか。
「…今、じゃないと、駄目か」
「駄目。此処で嫌なら、向こうの方行こう」
そう言われ、綾に腕を引っ張られた。その手は水か氷でも触ったのか、凄く冷たい。寒いから、その所為とも考えられる。
気付くと、綾と俺は体育館の裏に居た。
此処なら誰にも気づかれないか。
「で、凛ちゃんの事、知ってるの」
「…別に、よくは知らない。3年の頃に同じ係になったぐらい。逆に言えば、3年の時以外に同じクラスに為った事無い」
そう、本当の事を語った。嘘を吐いたって、何時かばれるものだし。それに、嘘を吐くメリットもない。
「ふうん…そう。ああ、そうだ。恵理ちゃんから聞いたよ。修也君、先生に凛ちゃんが死んだって聞かされた時、泣かなかったんだってね。それで、恵理ちゃんに『修也君は、泣かないの』って聞かれた。それで、修也君は『泣いたら凛に悪いから』って言ったんだよね。
その話、全部君が作りだした話でしょう。嘘吐くの、良くないよ」
「…それだけ?」
嘘を吐くのは良くないって、御説教しに来ただけなのか、こいつは。
なんか損した。何を言わされるか、少しドキドキしたじゃないか。
「さあ、どうだろうね。それだけかもしれないし、その中に含まれている意味があるかもしれない。まあ、その事を頭に入れておくといいよ」
そういって、彼女はにっこりと笑った。
…はあ。全く、何なんだよ、今日は。
「ああ、そうだ」
言い忘れた様に、綾は口を開いた。
「わたし、嘘とか嫌いなんだよね」
脳は、彼女の笑顔に警告をずっと出していた。
- Re: 毒林檎の樹。 ( No.4 )
- 日時: 2015/03/08 11:00
- 名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)
なんか文章が迷子になってきた
—新芽 4—
彼—嶋村修也—は、わたしが話し終えると、さっさと帰ってしまった。
体育館裏から抜けて帰ろうとすると、下校する人はもうほぼ居ない。
もう皆帰ったのかしら。
そう思いつつ近くの時計を見ると、時刻は4時30分を廻っていた。
成程。だから誰もいないのね。
まあ、それはそれで好都合だけれど。煩いの、好きじゃないから。
学校の裏側に行くと、何時もの通りわたしの家の車が止まっていた。確か、メルセデスベンツのS65 AMG クーペっていう奴だったかしら。
前に御父様が言っていた気がするけれど、まあ関係無いわね。
「邑松」
車の外で待っていた運転手—邑松—を呼ぶと、普段通り私に一礼して恭しく後ろの扉を開ける。
革のにおいが、つんと臭いを放った。わたしはこの臭いがあまり好きじゃない。今度ファーにして、と頼んでみようかしら。
「御嬢様、学校は如何でしたか?」
邑松は、毎回この話を聞いて来る。そんなにわたしの学校生活が気に為るのかしら。はっきり言ってうざったいわ。
「別に。これといって。…ああ、ニュースならあるわよ。6年B組の紫藤凛が死んだんですって。皆わあわあ泣いちゃって。騒がしいったらありゃしないわ」
「ほう。御嬢様は悲しまれたのですか?」
その問いに、わたしははあっと溜息を吐いた。それも大げさに。
「なんでわたしが庶民の死にいちいち泣かなきゃいけない訳?人間なんて、何時か死ぬものなんだから、わあわあ泣くなんて大袈裟だわ。
っていうか、紫藤凛なんて子、いたのね。わたしその子と話した事あったかしら?」
「それは失礼致しました。まあ、覚えていないのであれば、きっとお話されたことなど無いのでしょう」
邑松はわたしの怒りに動じる事無く話を終えた。
どうせすぐに終わるんだったら、学校はどうだったかなんて聞かなくていいのに。
わたしは、ぼうっと窓の外を眺めながら、そう悪態をついた。
- Re: 毒林檎の樹。 ( No.5 )
- 日時: 2015/03/09 18:36
- 名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)
みて頂いている方々、コメントしてくださって構いませんよ。
「此処が変」「此処の表現がおかしい」等と批評してくださっても全く構いません。
—新芽 5—
家には何時もの如く、誰もいない。母さんはパートだし、父さんも仕事。
何気無くテーブルの上を見ると、紙切れがあった。
『6時には帰ります。母』
走り書きで、そう書かれていた。よかった、今日は割と早いみたい。
安堵の溜息を吐きながら椅子に座ろうとする。
「ゲホッ、ゲホケホ」
突然、何故かせき込み始めた。嘘だ。さっきまで、咳なんて一度も出ていなかったじゃないか。
そういえば、母さんは心配性だ。俺が咳をしているのを見て、仕事を無理やり空けてまで病院に連れて行こうとするかもしれない。
休んだ後、母さんはいつも帰りが5日連続で遅かった。その時の母さんはくたくたで、最終日なんてもう歩く事も出来ないんじゃないかという具合だった。
駄目だ。母さんの前で咳なんて。絶対できない。
それでも、咳はずっと出た。頑張って我慢して、なんとか上手く咳を我慢するように努めた。
「ただいま、修也。宿題はもう済ませた?」
バタンと扉が閉まる音と、慣れた母さんの声が後ろからした。
母さんは、帰って来ると決まってこのパターンを言う。
「おかえり。もう、済ませたよ」
咳を抑え、自分も決まった台詞を微笑を保ちつつ言う。
「そう。今から急いでご飯作っちゃうから。7時には食べれると思うわ」
「それなら手伝うよ。どうせ、する事なんてないし」
俺が立ちあがって台所へ向かうと、散らかった食器類が目に入った。
よくよく観察すると、それは途中で洗うのを止めたようだ。朝に、母さんは急いで洗おうとして、時間が無かったから止めたのだろう。
「じゃあ、悪いけど、食器を洗ってくれないかしら」
言われたままに、食器を洗い始める。上手く汚れが取れていなかった為、中々汚れが落ちない。
皿洗いをしている間にも、咳を抑えるのは止められなかった。時折我慢できないくらいになるけれど、傍に母さんがいる。咳なんてできない。
「そういえば、修也」
思い出したかのように、母さんが声を発する。俺は中々頑固な汚れを取りつつ「なあに」と聞いた。
「今日、先生から紫藤凛ちゃんって子が死んだって話、されたんでしょ?」
俺の手が、照明を消したように、ピタと急に止まる。
「なんで、その話—…」
「それで修也は泣かなかった。今日の下校時に、神埼綾ちゃんっていう子に、何故あの時泣かなかったのか、何故隣の子に『泣いたら凛に悪い』なんて事言ったのか、問い詰められたんでしょ?体育館裏で」
母さんの言葉で、あの時の情景、声が、鮮明に思い起こされる。
「なんで、母さんはその話を知って—…」
「一語一句覚えてるわ。『さあ、どうだろうね。それだけかもしれないし、その中に含まれている意味があるかもしれない。まあ、その事を頭に入れておくといいよ』」
「母さん—」
「『ああ、そうだ』」
「わたし、嘘とか嫌いなんだよね」
- Re: 毒林檎の樹。 ( No.6 )
- 日時: 2015/03/10 19:55
- 名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)
—新芽 6—
「かあ、さん…」
俺は、目の前の“少女”を、ただ茫然と見つめていた。
何故?何故、こうなった?
「嫌ね、わたし、貴方のお母様じゃないわ。知っているでしょう?今日、会って話したもの、ねえ?」
目の前の、少なくとも母さんでは無い奴は、にっこりと意地悪そうに笑った。
「嫌だ…嫌だっ、止めてくれ!」
「何よ。まだわたし、何もしてないじゃない。
ああ、そうね。わたしの名前、答えてみてくれる?知ってるんでしょ」
また笑い、俺に問う。
—まだ?まだって、如何言う事?
これから、何かするとでも言うのか?
「時間切れ。正解は、神埼綾でした〜。残念ね、当てられなくて。
さあ、次の問題です。わたしは、何故此処に居るのでしょうか」
目の前の奴の声が、はっきりしない頭に煩く響く。
もう、うんざりだ。止めてほしい。
「…黙れよ。そんなくだらない話なんて止めろよ!」
「あら、怖い。じゃあまず落ち着いて話しましょうか?そうね、まず話す事があるわね。じゃ、座って」
女は、図々しくも俺の家の椅子に座った。
こんな奴の話なんて、聞きたくない。だが、ずっと居座られるのも嫌だ。
仕方無く、俺はこいつの話を聞く事にした。
「まず、何処から話しましょうかね。…うーん、ああ、そうだ。今日、紫藤凛が死んだでしょう?あの子、誰かに殺されたの。で、その誰かって言うのは…」
「それが何と関係あるんだ」
俺は低く唸るように言った。今は、何が何でもこいつに反論したかったのだ。
「わたしと関係あるのよ。貴方、わたしの事信用してないでしょ?だから、信用してもらうべく、ね」
信用させたいのなら、まずはっきりその誰かを言えばいいのではないか。
じぃっと睨んでいると、そいつは何故か微笑み返してきた。やっぱり、なんか苛々する。
「じゃあ、その話をするから、その間黙っててくれるかしら?
質問は、その後じぃっくり聞くから、ね」
じっくりの所に力を込めて、そいつは言った。
その笑みには、もうなんだか慣れてしまったのが許せない。
こんなムカつく笑み、慣れる方がおかしい。
「それじゃ、本気で黙っててね」
- Re: 毒林檎の樹。 ( No.7 )
- 日時: 2015/03/13 18:32
- 名前: 亜季 (ID: a6i4.RaK)
—双葉—
〜〜
わたしは双葉
可愛い 小さな双葉
だけど 甘く見ちゃ駄目
刺のある双葉も あるものだから
〜〜
昨日の午後4時辺りかしら。
その頃庭で本を読んでたのよ。え?題名なんて、どうでもいいでしょ。
その時に、何故か玄関のベルが鳴ったの。今日はティーパーティも催すつもりは無かったし、来客もこの時間帯は来ないから、誰か分からなかった。
それでメイドが出てみると、亡くなった紫藤凛の親友、椙浦香夏子だったのよ。わたしの事、陰口叩いてる癖にね。
それでわたし、こう言ったの。
「どうしたの、何か用事?」
杉浦香夏子はちょっとびくびくしながら言ったわ。
「え、えっと…裏山に、あの、キノコ生えてるんだよね?ちょっとくれないかなって…」
わたし、そんな話こいつにしたかしらと思いながらも、いいよって笑顔で答えたの。面倒だから、さっさと採って行ってほしかった訳。
「有難う、綾ちゃん。えっと、それで、これ…」
そう言ってソイツはわたしに手作りと思しきクッキーの紙袋を渡したの。でも、それ一口メイドに食べさせたら凄い不味かったって言うのよ。料理下手なら、そんなものわざわざ作らないで欲しいわ。
「あ、いいのに。そうだ、毒キノコの見分け方とか分かる?分からなかったら、わたしキノコの図鑑貸すよ」
まあそんなもの、貸す気なんて更々無かったけれど。
意地悪?意地悪はどっちかしら。
「いや、大丈夫。分かるから」
わたしは本の残りがあるから、召使に頼んで裏山まで連れて行くように指示したの。自分で連れてくなんて面倒な事、したくもなかったからね。嫌ね、普通そう思うでしょ。
それでわたし、彼女が何をする気かちょっと気になったものだから、敷地内に設置している防犯カメラで彼女を探したのよ。
そしたら彼女、普通にキノコを採ってたわ。それまではいいんだけど、彼女の採ってるキノコ、全部毒キノコだったのよ。凄い毒々しい物もあって、食べたら絶対お腹壊すじゃ済まされない物もあったわ。
吐いたり腹痛になったりした挙句、死んじゃうような、ね。
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